たとえ、叶わぬ恋だとしても 【12歳。】

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1:こすめ◆Xk:2019/10/14(月) 17:31 ID:vF6



「小日向くんが好きなのっ……!私と、つっ…付き合ってくれますか……?」


勇気を振り絞って、そう告げた。


──だけど、返ってきた言葉は想像以上に悲しい言葉だった。


「……ごめん。俺、実は他に好きな人いるんだ。」


「え………」


「だから、……ごめん。」


そう離れていく小日向くんの背中。


手を伸ばしても届かない。


私の恋は、砕け散ってしまった。

2:こすめ◆Xk:2019/10/14(月) 17:51 ID:vF6

次の日から、私は失恋のショックで学校を休むようになった。


立ち直ろうとしても、小日向くんの言葉が頭から離れない。


なんで?どうして?


私たち、結構仲良かったよね?


想楽ちゃんも、私と小日向くんは絶対両思い、って言ってたのに……


こんなに悲しむくらいなら、告白なんてしなければよかった。


こんなに後悔するなら、しなければよかった。


溢れてくるのは涙だけ。


いまごろ、みんなはわいわい楽しくやっているのだろうか。


小日向くんは、好きな人と笑い合ってるのかな。


それに比べて、私は……


寂しい部屋で、独りで泣いている。


そんなの、すごく嫌だ。


私が学校に行かなくなってから3週間。


明日は、行ってみようかな……

3:こすめ◆Xk:2019/10/14(月) 19:34 ID:vF6


今日は朝から胃が痛い。


不安だ。


緊張する。


みんなは私をどんな目で見るのだろうか。


嫌な目で見るのだろうか。


想楽ちゃんは、私に笑顔を見せてくれるだろうか。


そう、みんなを疑ってしまう自分が嫌だった。


どうしよう、どうしよう、どうしよう。


その言葉がぐるぐると頭を回る。


ランドセルを背負って、一歩家を出ただけなのに、久々の外気にソワソワする。


私は、3週間も外に出ていなかったんだな。


久しぶりに背負ったランドセルの感覚に、少し自分の情けなさを感じた。


いつもだったら、ここを想楽ちゃんが通りかかって、一緒に登校してたけど……


今日はいなかった。


他の子と行くようになっちゃったのかな。


そう考えると、すごく悲しくなった。


そりゃあ、そうだよね。


私が突然来なくなって、友達のたくさんいる想楽ちゃんが一人で行動するはずがない。


やっとのことで歩き出す。


誰かに見られたらどうしよう。


あいつ今まで何してたんだよ、とか、思われちゃうのかな。


そんなネガティブな考えばかりが頭を埋め尽くす。


想楽ちゃんに会いたい、という気持ちと、会いたくない、という気持ちが体中を駆け巡って息が苦しい。


どうして、どうして。


なんで私はこんなにも弱いのだろう。


情けない、情けない。


再び足が止まってしまった。


すると、ドンと後ろからぶつかられた。


突然のことにびっくりして振り返ると、一年生の子たちがきゃあきゃあと騒いでいるようだった。


私も、あんなに無邪気な頃があったんだな……


あの頃に戻りたいよ。

4:こすめ◆Xk:2019/10/15(火) 20:26 ID:2c.



楽しそうな雰囲気が滲み出てくる教室。


久しぶりに見る私の顔を、クラスメートたちはどんな目で見るのだろう。


もともと、クラスで目立つ方ではなかった私は、教室に入っても誰にも何も反応されないのではないかと気が落ち着かない。


教室のドアは開いていて、笑い声や話し声がたくさん聞こえてくる。


ゆっくりではありながら、一歩一歩確実に進む。




そして、教室に足を踏み入れた。


ガヤガヤとしていた教室が静まり返る。



「あれっ?カコ!?」


想楽ちゃんの声が沈黙を破った。


「久しぶり〜、元気だった?」


前と変わらない笑顔を見せられて、優しく話しかけられ、少し涙腺が緩んだ。


「うん…想楽ちゃん、久しぶり」


そう言うと、想楽ちゃんにぎゅっと抱きしめられた。


「良かった、戻ってきてくれて」


「想楽ちゃ……」


「相原さん、久しぶりー!!」


「やっほー!」


「おはよう相原さん」


次々とクラスメートの子たちが話しかけてくれて、私のさっきまでの不安は一気に消えた。

5:こすめ◆Xk:2019/10/15(火) 20:40 ID:2c.



「…相原さん」


帰りの会が終わり、少し出遅れてしまった私は、急いで教室を出た。


すると、そう小さくも大きくもない声が聞こえてきた。


「…小日向、くん」


ゆっくりと振り返る。


「……久しぶりだね」


そう言って小日向くんは微笑んだ。


──どうして。


どうして優しくなんかするの。


もういいんだよ、気を使わなくて。


いいの、もう。


「小日向くんは、好きな人がいるん…だよね」


そう言うと、彼の動きが一瞬止まった。


「え、…うん、まあ…」


胸がちくりと痛む。


「その…好きな子は、何組なの?」


「え……」


「あ、な、なんかごめんね。困らせちゃって、」



そう踵を返すと、


「……2組だよ。俺と同じクラス」


「そう、なの…。がんばってね」


それだけ残すと、私は走ってその場を離れた。

6:愛梨◆YE:2019/10/16(水) 19:57 ID:d1Q

面白いです!
これからも頑張ってください(*´∀`*)

7:こすめ◆Xk:2019/10/17(木) 07:10 ID:Ka.

>>6
ありがとうございます!!

8:こすめ◆Xk:2019/10/17(木) 18:22 ID:b0g


私は、小日向くんに振られたことを、まだ想楽ちゃんに話せていない。


一番私の恋を応援してくれていた存在なのに、“振られたことを自覚したくない”自分がいるのだ。


私は、まだ小日向くんのことが好きだ。


小日向くんがどんな人混みの中にいようが、私の目は瞬時に小日向くんの姿を捉えてしまうし、小日向くんの声にはすぐ振り返ってしまう。


それくらい、好きなのだ。



休み時間、少し一人になりたくて図書室に来た。


結局、私は本を読む気になれず、椅子に座ったままぼんやりとしていた。


『君の声』という題名の小説が気になって、手に取ってみたけど、まだ1ページも進んでない。


はぁ……と、ついため息が漏れてしまう。


小日向くんの好きな人は、小日向くんと同じクラスで。


きっと、仲が良くて。


……あーあ、私も小日向くんと同じクラスだったら、ちょっとは違ったのかな。


私は先生を恨んだ。


すると、手からするりと本を落としてしまった。



拾おうとすると、私の手よりも先に、白くて華奢な手が、本を拾い上げた。


「あ……」


顔を上げると、そこには心臓が二回転するほどの可愛い子が立っていた。


天海春桃(あまみさくら)ちゃんだ。


学年──いや、学校で一番可愛いと噂されている、かなり美人な子。


「はい」


春桃ちゃんは本を差し出してにこっと笑った。


あまりの可愛さに、思わず見惚れてしまった。


「あ、あ…ありがとう」


私と春桃ちゃんの背は大体同じくらいで、去年背の順が前後で、そんな小さな事でもすごく嬉しかったのを覚えている。


そして、何より春桃ちゃんはすごく優しくて、怒っているのを見たことがない。



春桃ちゃんは女子に呼ばれ、あっちへ行ってしまった。


いい匂いがふわりとする。


不審に思われないよう、控えめに春桃ちゃんを見つめる。


大きくて綺麗な二重の瞳、小さな鼻、形の良い唇、白くてすべすべそうな肌、桃色の頬……


そしてさらさらで色素の薄い、肩より少し長めのストレートヘアー。


非の打ち所がない、完璧な見た目だ。


スタイルだって良いし、足も細くて綺麗で、笑うと真っ白で綺麗な歯が見えて。


声だって綺麗で可愛いし、仕草も表情も全てが可愛らしい。


本当に完璧な女の子。


今まで、小日向くんばっかり見ていたから、こんなに可愛い子だと意識していなかった。


ただ、『天海春桃ちゃんは可愛い』という噂が耳に入ってきただけで、そこまで気にしていなかった。


彼女は可愛いから、すごくモテるだろう。


あまりそういう噂は耳にしないが、密かに彼女のことを想っている人なんてたくさんいるはずだ。


私が男の子だったら絶対に好きになる。


心なしか、さっきまで少し沈んでいた気持ちが、明るくなった気がした。

9:こすめ◆Xk:2019/10/18(金) 18:05 ID:0zw


[小日向視点]



──始まりは、あの日の席替えだった。



『小日向くん、よろしく〜』



澄んだ声に目を向けると、天海さんが手をひらひらと振っていた。



『天海さん。よろしくね!』



それから、俺らは急激に仲が良くなった。



もともと、仲が良くなかったわけではなく、割と話していた。



彼女は、話していて楽しい人だ。



しっかりしているけど、どこか抜けていて、とても面白い。




『わ〜、見て見て!』



帰り道がたまたま一緒になり、二人で帰っていたときだ。


天海さんが空を指差した。


そこには薄っすらと浮かび上がる月が。


『月が綺麗だね〜!』


満面の笑みでこちらを向いてくる天海さん。


“月が綺麗ですね”は、“I love you”の日本語訳だとか。


そんなことをいつか聞いたような。


天海さんは首を傾げながらこっちを見つめている。


これは、告白なのだろうか。


それとも、天海さんは自覚していないのだろうか。


多分後者な気がするけど……


『う、うん。たしかに綺麗だね』




──俺はその日から、天海さんを意識するようになった。


理由は分からない、でも、その無邪気さや純粋さに、いつの間にか惹かれていった。



自分が、誰を好きなのか。


最近、よく話すのは相原さん。


最近、よく目で追ってしまうのは天海さん。


どっちなんだ。


俺が好きなのは───

10:こすめ◆Xk:2019/10/19(土) 11:29 ID:P8Y




『小日向くんが好きなのっ……!私と、つっ…付き合ってくれますか……?』


相原さんに、告白された。


頭の中に浮かんでくるのは、相原さんの笑顔と、天海さんの笑顔。


──どうしよう。


どうすればいい?


そんなことを思っていたら、口が勝手に、動いていたんだ。


『……ごめん。俺、実は他に好きな人いるんだ。』


『え………』


『だから………ごめん』


俺はふらふらとその場を立ち去った。


なんでかわからないけど、俺の心が、そう言った気がする。


『俺が好きなのは天海さんだ』……って



『お前…相原のことフッたのかよ』


突然、後ろから皆見の声が聞こえてきた。


『皆見。…聞いてたの?』


俺の問いかけに、皆見は答えなかった。


頷きもせず何も言わない。


『……相原のこと好きじゃなかったのかよ』


『分からない……。でも、俺が好きなのは、やっぱり──』


『ふざけんなよ!!』


ドンッと突き飛ばされた。


『いっ……!なにすんだよ皆見!』


『あんなに仲良くしといて好きじゃない?やっぱりってなんだ?ふざけんじゃねぇ』


皆見が俺に怒ったのは初めてだ。


だけど───


『なんでお前が怒んだよ!俺のことなんだからほっといてくれよ!』


皆見は顔を歪めた。


『相原は……相原が、どれだけ勇気振り絞って告ったと思ってんだ!!』


『…は?なんだよそれ。自分の気持ちに嘘ついてでも付き合えって言ってんのか?』


俺は正直な気持ちをいっただけだ。


それの何が悪い。


『……もういい。お前とはもう関わらない』


皆見は、今まで見た中で一番冷たい表情をして、去っていった。


なんであんなに怒るんだよ。


なんであんなに偉そうなんだよ。


俺のことなんか、分からないくせに。




──大嫌いだ、あんなやつ。

11:こすめ◆Xk:2019/10/20(日) 08:50 ID:Tic


[カコ視点]


「ねーねー、カコって可愛いよね〜」


昼休み、想楽ちゃんが唐突にそう言ってきた。


「え…え!?いや……想楽ちゃんの方が何万倍も可愛いよ………!」


私なんか、全然可愛くないのに。


「ほんとほんと!カコのこと『妖精さん』って呼んでる男子だっているんだから!」


「よ、妖精さん…!?なにそれ……」


「カコは密かにモテてるんだよ」


でも………


小日向くんには、振り向いてもらえなかった。


「想楽〜!」


教室に、ひときわ澄んだ明るい声が響いた。


みんな反射的にそっちを見る。


「あっ、春桃!!」


想楽ちゃんを呼んだのは春桃ちゃんだった。


やっぱり、遠くから見ても可愛い。


目立っている。


みんな春桃ちゃんを見つめている。


そこで、嫌な予感が頭をよぎった。



春桃ちゃんは、小日向くんと同じ2組。


小日向くんの好きな人は、2組。


もしかしたら、小日向くんの好きな人は────


考えたくなくて、慌ててぶんぶんと頭を振る。


そんなこと、考えない。




──私、いつか絶対小日向くんを振り向かせてみせる。

12:こすめ◆Xk:2019/10/20(日) 13:09 ID:VJk



今日の体育は、2組と合同。


小日向くんと一緒に体育の授業ができる!


──と、思ったものの、流石に2クラスもいると、人数が多すぎて小日向くんの近くに行くのは難しかった。


「カコ、小日向にアタックしてきな」


想楽ちゃんが耳打ちをしてきた。


告白したこと、振られたこと、まだ話していないから、想楽ちゃんは私の恋を前向きに応援してくれている。


すごく申し訳ない。


「今日は、1組と2組で鬼ごっこをしようと思います!」


先生がそう言うと、校庭に歓声が響いた。


「よっしゃ〜!!絶対勝ってやらぁ」


「楽しそう!」


みんな笑顔だ。


まぁ、私は走ることが苦手だからそこまで喜べないけど。


でも、もしかしたら小日向くんと話せるチャンスかも。


そう思うと楽しみになってきた。


ちらりと小日向くんの方を見ると、小日向くんは春桃ちゃんと話していた。


胸が嫌な音を立てた。


大丈夫。きっと大丈夫。


ふう、と息を整える。


「では、まず1組が鬼で、2組が逃げる側です!1組は60秒数えましょう!」





「「……58、59、60!!」」



みんな一斉に走り出す。



とりあえず、想楽ちゃんと一緒に走っていく。


すると、木の影からビュッと誰かが飛び出してきた。


「おぉ!相原さんだ〜!これは、触れてもらえるチャンス!!」


エイコーだった。


びっくりして私が尻もちをついてしまうと、想楽ちゃんが隙をみてエイコーにタッチした。


「あぁっ!?クソぅ!今村、空気を読め!」


「ぼーっとしてるあんたが悪いんでしょ〜。はい、牢屋行って」


男子相手に物怖じもせずズバズバと言ってのける想楽ちゃん。


さすが!


と拍手を送っていると、


「あ」


と後ろから声が聞こえた。


振り返ると、大きな目と目が合った。


春桃ちゃんだ。


春桃ちゃんはしまった、という表情を浮かべ、素早く走り出した。


「春桃足速いんだよなぁ〜。可愛くて運動できるってチートかよ」


と、エイコーが言った。


……ん?


「は?あんたまだ牢屋行ってなかったの?早く行け あと私の春桃に手出すな」


「へいへい」


想楽ちゃんにしっしっとされ、エイコーはしぶしぶ牢屋の方へと向かっていった。


「さ、早く追いかけよ!」


「うん」


私たちは春桃ちゃんを二人で追うことにした。

13:こすめ◆Xk:2019/10/20(日) 17:41 ID:FkA



「春桃ってめっちゃ天然でさ〜。もうほんと可愛いの」


想楽ちゃんがきゅんきゅんしたように、走りながら言ってくる。


「そ……な……んだ」


「ごめんカコ。そいえばカコって走りながらだと喋んのきついよね」


体力がない私は走りながらだとうまく喋れない。


「あっ、春桃みっけた!やっぱもうオーラでわかるよね〜」


想楽ちゃんの声のトーンが1段階上がったような気がした。


「さ、スピードアップ!」


「ええぇ……」


慌てて想楽ちゃんについていく。


「え、え!?なんで」


春桃ちゃんがぎょっとしたように私たちを見た。


やっぱり美人はこういう何気ない表情も画になるなぁ。


と思っていると、つまずいて思い切り転んでしまった。


「カコ!?」


「カコちゃん!」


想楽ちゃんと春桃ちゃんが同時に駆け寄ってきた。


春桃ちゃんは敵側なのに……


「ごめんね。ちょっと擦りむいただけだから大丈夫だよ」


すると、春桃ちゃんが首を横に振った。


「ダメだよ。女の子は健康にね」


そういって微笑んだ。


心臓が飛び跳ねる。


同性なのにこんなにドキドキしちゃうなんて………




「てってれ〜!絆創膏ー」


と、春桃ちゃんが唐突にそう言ってポケットから絆創膏を取り出した。


「いたいのいたいの飛んでいけ!はい、完了」


絆創膏を貼ってくれた。


「あ、ありがとう…!」


なんと手際のよい。


私が転んでから1分経ってないかくらいで手当てをしてくれた。


「私も転んで春桃に絆創膏貼ってもらいたいなぁ」


想楽ちゃんが真顔でそんなことを言うので思わず春桃ちゃんと顔を見合わせて笑った。


「えーと……で、私は逃げたほうがいいのかな?」


そうだった。鬼ごっこ中だった。


ハッと我に返ると、春桃ちゃんはもう走って行っていた。


「あーもう速い!」


すると、小日向くんの姿が視界に入ってきて、ドキンと胸が高鳴った。


「……カコ、行ってきな。私は春桃捕まえるから」


答える間もなく、想楽ちゃんは行ってしまった。


すごく心臓が暴れている。うるさい。


鬼とは思えないほど挙動不審な足取りで小日向くんの後を追う。


小日向くんは、私に気づいていないのか、足取りはゆっくりだった。


あと少しで、声が届きそう。


「──こ……」


小日向くん、と言いかけたとき。


「終了でーす!!次は2組が鬼です!」


という、先生の声が、耳に届いた。




最悪だ………。

14:こすめ◆Xk:2019/10/20(日) 19:06 ID:FkA



結局、後半は小日向くんとの接点はほぼ0で終わってしまった。


すぐに捕まっちゃったし………


今、私は一人でポツリと牢屋に座っている。


まあ、牢屋というか、砂に書かれた四角い枠の中に。


こうやって見ていると、春桃ちゃんはすごく足が速いんだな、としみじみ思った。


そして、彼女は人気者。


春桃ちゃんの姿を捉えると、みんな春桃ちゃんの名前を呼ぶ。


仲間だろうが敵だろうが。


春桃ちゃんはいつもニコニコしていて、天使みたいな笑顔を浮かべている。


表情豊かで、とても魅力がある女の子。


「天ちゃん〜、一緒に追いかけよーよ」


「げ、春桃来た!」


「春桃ちゃん〜〜!」


それが、すごく、


すごく………


辛い。


どうして私は小日向くんを好きになってしまったんだろう。


どうして小日向くんは私を好きになってくれなかったんだろう。


こんなの、わがままだって分かってる。


でも、どうしようもない思いが込み上げてくる。


こんな自分いや。


こんな情けない自分が嫌だ。


こんなんだからだめなんだ。


いつも想楽ちゃんに頼って、男子とはまともに話せなくて。


怖がりで臆病で気弱で。


気づけば、砂の上に小さな染みをいくつも作っていた。


泣いていた。


ほら、私はすごく弱いでしょう。


誰に言い聞かせてるのかも分からない。


どうして。


どうして、神様は、



私に微笑んでくれなかったんだろう。

15:こすめ◆Xk:2019/10/21(月) 20:57 ID:G4g



「ねぇ、今度他の学校と球技大会やるんでしょー?うちの学校で」


想楽ちゃんが教科書をランドセルにしまいながら言った。


「ええ。そうなんだ……」


私は運動が苦手だからアレだけど、他の学校と交流するのは嫌いじゃない。


「バスケとサッカーが選べるみたい。カコはどっちにする?」


「うーん………」


確か小日向くんはバスケが得意だったような。


だから、小日向くんはバスケにする確率が高い………


って、何考えてるんだろう、私。


「どうしよっかな〜バスケ楽しいけど転んだとき痛いしサッカーはな〜」


一緒に教室を出ると、


「………あ。私今日委員会あるんだった!ごめんカコ先帰ってて!!」


想楽ちゃんが思い出したようにそう言い、駆けて行った。


ぽつんと取り残された私。


「なぁ、相原」


突然皆見くんの声がしてびっくりする。


「あ……皆見くん」


「お前、小日向に告白したの?」


「なんで………」


誰かに見られていた?


それを皆見くんが聞いて………


ううん、そんなはずない。


あの情報通な想楽ちゃんが知らないんだから。


でも、なんで皆見くんが……


「俺、聞いちゃったんだ」


「…え…」


え、『聞いちゃった』?


うそ。


じゃあ、私が小日向くんに振られたことも……


「知ってるよ」


まるで私の心の声が聞こえたかのように、皆見くんは頷いた。


……恥ずかしいところを見られてしまった。


「…そ、そうなんだ。……私、用事あるから、行くね」


これ以上深堀りしてほしくなくて、走ってその場から離れた。


俯きがちに走っていたから、誰かにぶつかってしまった。


「あ……ご、ごめんなさ」


「カコちゃん……」


ぶつかった相手は春桃ちゃんだった。


すると、春桃ちゃんは私の顔を見るなり涙目になり、大きな瞳から綺麗な雫を流した。


「………えっ……えっ!?…ごご、ごめんね…!もしかして、怪我とか……」


そう言うと、春桃ちゃんは横に首を振った。


「違うの………私…私……っ…うぅ…」


春桃ちゃんの泣いた姿は滅多に見たことがない。


強いて言うならば、クラス替えのお別れ会のときだ。


それ以外で、私は見たことがなかったから、春桃ちゃんの涙にあたふたする。


「とりあえず、あっち行こう」


人がいない場所へ促す。


空き教室に入って、椅子に腰をかける。



「私────……」

16:こすめ◆Xk:2019/10/22(火) 09:58 ID:rg6



「───…フられちゃったの」


「──え」


嘘、


春桃ちゃんには、もう───


好きな人が………


「だ……誰に告白したの?」


春桃ちゃんは俯けていた顔をゆっくりと上げた。


やっぱり泣いている姿も綺麗だ。


「……1組の」


「1組?」


まるで立場が逆じゃないか。


すれ違いすぎる。


嫌な予想をしてしまっているけれど、多分小日向くんの好きな人は春桃ちゃんで、だけど春桃ちゃんには好きな人がいて。


私と同じ、1組で。


「……1組の、…歩」


三島くん。


三島歩(みしまあゆむ)くんは、端正な顔立ちをしていて、目が大きくて、だけどどこか抜けている、モテる男の子だ。


「……三島くん、って…春桃ちゃんと幼馴染みじゃなかった……っけ」


そう訊ねると、春桃ちゃんはこくりと頷いた。


「……小さい頃から、ずっと一緒で…、めっちゃ仲良くて……」


涙声で喋る春桃ちゃん。


今思えば、どうして私は春桃ちゃんの話を聞いているのだろう。


頼まれたわけでもない。


ただ、なぜか泣いている春桃ちゃんをほっとけなくて。


「──……春桃ちゃんは、…三島くんの、どこが好き?」


ふいに気になって訪ねてみた。


「…全部、かな」


春桃ちゃんは、ぽつりと呟いた。


「歩はね、おおらかで能天気で、ほんとにバカなの。……だけど、ほっとけないの」


春桃ちゃんは儚い笑みを浮かべた。まるで女神さまのように。


「ずっとずっと好きで、さっき、告白したの」


でも、と春桃ちゃんは言葉を続けた。


「断られちゃった」


弱々しく笑った彼女は、思わず消えてしまいそうな雰囲気だった。


自分のことではないのに、なぜか胸が苦しくなる。


「恋愛対象としては見れない、って」


ふぅ、と彼女は息をつくと、すっと立ち上がった。


「…でも、もういいの。告白してスッキリした」


とは言っているけれど、まだ瞳は潤んでいるし、手も少し震えている彼女。


──本当は、すごくすごく辛いだろうに。


私は、小日向くんにふられてしまったから、その気持ちが痛いくらい分かってしまう。


「ありがとう、カコちゃん。わざわざ話聞いてくれて」


その弱々しい笑顔を見ていると、心が鷲掴みにされたように苦しくなる。


「……辛かったよね」


思わずぽろりと口にしてしまった。


春桃ちゃんの顔が歪んだ。


途端に、大きな瞳から涙を流した。


「……カコちゃんの意地悪」


泣いているのに、春桃ちゃんは眩しいほどの笑顔を浮かべた。

17:こすめ◆Xk:2019/10/22(火) 18:54 ID:b.M


[第三者視点]



「天ちゃーん」


そう春桃に声をかけたのは、春桃の親友である橘夏芽(たちばななつめ)。


明るくて元気で、みつ編みおさげが特徴的な、笑顔が可愛らしい彼女。


春桃の苗字である「天海」からとって、「天ちゃん」と呼び始めた最初の人物でもある。


「天ちゃん、私ね、好きな人ができちゃって!」


嬉しそうに笑うと、えくぼができる夏芽。夏芽は恋バナが大好きである。


「へぇ。夏芽ったら、ころころ好きな人変わるよね」


そう、澄んだ声で呟いたのは天海春桃。


端正な顔立ちをしていて、心優しい彼女は、男子からも女子から人気だ。


「そりゃそうだよー。だって、この学年ってイケメンが多いじゃん」


小声になって春桃の耳元で囁く夏芽。


「ん〜、まぁ確かにね」


「私も男子だったらなぁ〜」


と、ため息をつきながら呟く彼女。


「なんで?」


小首を傾げながら訊ねる春桃。


すると、夏芽は春桃にがばっと飛びついて春桃の手を握った。


「だって!男子だったら天ちゃんに告白し放題!アタックし放題!男子目線から天ちゃんを拝むことができる!あーーーもう男子だったらなぁ!!」


そう。夏芽は春桃を一目見た瞬間、心を射抜かれたのだ。


一人興奮している夏芽に、春桃は困ったように苦笑い。


「あーーちょっと傷ついた!!でもそんな顔も可愛いよ!ねぇよかったら付き合お!?」


「はいはい」


眉を下げながら困ったように笑う春桃。


まだ春桃の手を握りながら春桃の良さを述べる夏芽。



この二人は、これでも親友なのである。



──*──*──*──


ちなみに夏芽は、口を開かなければきっとモテる。


(……はず。)

18:こすめ◆Xk:2019/10/23(水) 18:10 ID:44w


[カコ視点]


「カコはさ、この学年でいちばん可愛いって思う女子、いる?」


想楽ちゃんが唐突に聞いてきた。


「え…う……ん」


可愛い、と言われて思い浮かぶのは、やっぱり春桃ちゃんの顔。


あと、結衣ちゃんも美人だと思う。


「さ、春桃ちゃん…とか…」


そう言うと、想楽ちゃんはムッとした顔をした。


「やっぱそうだよね〜。最近手当たり次第色んな人に聞いてるんだけどさー、みんな揃って春桃って言うんだよね」


想楽ちゃんは口を尖らせた。


「いいなぁ〜春桃は可愛くて。性格がいい人がモテるとか言うけどさー、顔に興味持たなきゃそもそも性格に興味なんか持たないっつーの」


「……想楽ちゃんだって、可愛いし優しいじゃん」


「お世辞ありがと」


少しイラッとしてしまう。


最近、想楽ちゃんは愚痴ばかり言う。


想楽ちゃんだって可愛いし、十分性格だっていい。


なのに、春桃ちゃんとかと比べて、ため息をつく。


最近の想楽ちゃんは、なんだかいやだ。


「みんな席ついてー」


先生が教室に入ってきた。


席に座ると、朝の会をやる前に、先生がなにやら机と椅子を持ってきた。


そして、私の後ろに置かれた。


ん?


みんながざわめく。


…転校生?


そして、先生が喋りだそうとした瞬間、ドアがガラガラっと開いた。


みんな目を丸くして教室の入り口に目を向ける。


「な…ちょ、小野寺さん!」


先生が慌てたように走っていった。


「先生が言ったら、って言ったでしょう!?なんでこんな早く……」


すると、その子は先生の間をするりと抜けて教室に入ってきた。


「私はクリスマスプレゼントじゃないんだから。なにもったいぶってんだよ」


女子にしては低め、男子にしては高めの声で、少女はそう言った。


パーカーのポケットに手をつっこんでいて、肩より長い髪の毛は、ボサボサではあるが髪質のよさそうな黒髪。


そして少女はスッとこちらを向いた。


その瞬間、私のは電撃が走ったような衝撃を受けた。

19:こすめ◆Xk:2019/10/24(木) 17:20 ID:xhA


か、か………


可愛い…………!!!


言葉遣いが荒くて髪の毛もボサボサだったから、もっと男っぽい子なのかなって思ったけど……


すっごい可愛い女の子……!


目はぱっちりしててくりくりだし、色白で小柄。


春桃ちゃんより小さいかな?


私のすっごい好み。


みんな驚いている雰囲気だ。


「席どこ?」


顔は良いが口は悪い。


先生がハッとしたように、


「ま、まずは自己紹介をしてくれる?ね?」


「めんど……小野寺聖(おのでらひじり)。」


すると、小野寺さんと目があった。


「なあ、私の席ってあそこ?」


と、さっき用意された私の後ろの席を指差した。


「え、ええそうよ。」


先生はもう諦めてる様子。


「わざわざ用意したのか?」


小野寺さんが先生に訊ねた。


「そうだけど…」


「さんきゅ!」


小野寺さんが先生に向かってにこっと笑った。


何あのギャップ……!?


「ど…どういたしまして」


先生も照れたように笑った。


すると、小野寺さんがこちらに向かってずんずんと歩いてきた。


そして、どかっと後ろの席に腰をおろした。


ぽん、と肩に軽い感覚。


「よっ」


改めて近くで見ると、すごく綺麗な顔立ちをしている。


「は、はじめまして……」


「ってか、この机にラクガキしたの誰だ?バカアホドジって書いてある。直接いえばいいのにな」


「う、うん…」


なんか、この子って野生動物みたい……


「お前の名前当てる!ん〜、石ノ上権三郎!!」


その声が教室に響き渡った。


「ご、ごんざぶろ……」


「お前の名前は権三郎!決まりィ!」


みんなケラケラと笑っていた。


なんか……


苦手なタイプかも、小野寺さん……


顔はすっごい好みだけど。


「…てことで、今日から小野寺さんはこのクラスの一員になります。よろしくね、小野寺さん」


先生が小野寺さんに向かって言う。


「うっす!」


先生は呆れたような顔で笑い、教室をあとにした。

20:こすめ◆Xk:2019/10/26(土) 20:14 ID:6SQ



「おい転校生!」


先生がいなくなると、教室の入り口からバカデカい声が聞こえた。


みんなびっくりして目を向ける。


そこにはエイコーと委員長がいた。


「おい、お前だろ、そのボサボサ頭!」


エイコーは容赦なく小野寺さんをビシッと指差した。


だけど、当の本人は頬杖をついてぼーっとしている。


「おい、転校生!」


エイコーがしびれを切らしてそう叫んだ。


「あ、うるさいでーす」


小野寺さんはちらりとエイコー達を見てから、そう口にした。


あっけらかんと言った彼女に、みんなぷっと吹き出す。


「な、なんだとっ!この…」


エイコーが眉をつりあげ、教室に入ってきそうな勢いの形相で小野寺さんの後ろ姿を睨んだ。(エイコーからは小野寺さんの顔は見えない)


「だからうっせーんだよゴリラ」


小野寺さんがため息をつき、面倒くさそうに振り返った。


エイコーの口があんぐりと開いた。


「…な、は?おま、転校生?」


そりゃあそうだろう。


男子並みに口が悪かったのに、こんなに女の子らしい可愛い顔をみたら、こうなるだろう。


「転校生転校生って。何でそんな興奮してんだよ」


小野寺さんが立ち上がってエイコーの顔を覗き込んだ。


エイコーより背が少し低めな小野寺さん。


そんな彼女に、エイコーは顔を赤くした。


「お前…なんなんだよ!名前は!」


「小野寺聖でーす。あんたの名前は、もうゴリラで確定な?」


こっちからは小野寺さんの顔はあまり見えないけど、いたずらっぽく口の端を上げて笑う姿が想像できた。


「ひ…ひじき!覚えとけひじき!」


エイコーはいたたまれなくなったのか、そう叫んで去っていった。


「ひじきじゃなくてひじりだっつーの!クソゴリラ!!覚えとけ!」


小野寺さんは廊下に身を乗り出して叫んだ。


すると、彼女はこちらへすたすたと歩いてきて、どかっと席に腰をおろした。


そして目が合うと、


「“ひじき”じゃなくて“ひじり”だかんな?」


と、いたずらっぽく笑いかけてくるのであった。

21:こすめ◆Xk:2019/10/29(火) 17:56 ID:KkM



[小日向視点]


1組に、転校生が来た。


今日はその話題で持ちきりだった。


でもさぁ…なんか可哀想なんだよなぁ。転校生って。


転校生転校生って騒がれて、なんか息苦しそう。


こんな偏見持ちたくないけど、どうしてもそう思ってしまう。


そんなことを考えながら昇降口で履き替えていると、


「あのぅ……小日向くん」


今にも消え入りそうな小さな声が、後ろから聞こえた。


「…あぁ。相原さん」


立っていたのは相原さんだった。


「……い、委員会、何に入った…?」


「俺は保健委員だよ。相原さんは?」


「あ…そうなんだ。私のクラスは、まだ決めてなくて…」


すると、


「やっべぇ!!忘れ物した!」


聞き覚えのある荒い言葉遣いと、足音が聞こえてきた。


弾かれたように顔を上げると、昇降口に小野寺さんが駆け込んできた。


小日向くんは目を瞬かせている。


「あ…あの、小野寺さん」


声をかけてみた。


「おお。権三郎。」


なんてことのないように呼ばれ、苦笑いすると、


「…えっと…君が転校生の…?」


小日向くんは小野寺さんを見て不思議そうに首を傾げた。


「うっせーな!今急いでんだよ!じゃあな!!」


そう言うと小野寺さんは私たちの間をチーターのように駆け抜けていった。


小日向くんは笑みを浮かべたまま固まっている。


「あ、小日向くん…えっと、今の子が転校生で……」


しどろもどろに説明すると、小日向くんはふっと笑みをこぼした。


「なんか賑やかな子だね」


『賑やか』というのは『うるさい』っていう意味なのかな……。


「あれ?カコちゃんと小日向くん」


なんだか久しぶりに聞いたような澄んだ声、春桃ちゃんの声が聞こえた。


「あ、」


小日向くんはそう洩らすと、春桃ちゃんから顔をそむけた。


「そうだ。さっき女の子とぶつかっちゃって、『怪我してない?』って言ったらさぁ、『こんくらいで怪我するわけねーだろ!!』って言ってどっか行っちゃったの」



それ、絶対小野寺さんじゃん……


「一緒に帰らない?」


「あ…」


……どうしよう。


せっかく小日向くんと一緒に帰れるのに……でも、春桃ちゃんと帰りたい気持ちもある。


「じ、じゃあ…一緒に帰ろっか」


と言うと、彼女は桜の花が咲いたようにふんわりと笑った。


「ありがとう!じゃ、行こっか」


まだ顔をそむけている小日向くんに春桃ちゃんが気づいた。


「小日向くん、どしたの?」


春桃ちゃんが小日向くんの肩をぽんと叩いた。


すると、小日向くんは弾かれたようにビクッと肩を震わせた。


………小日向くんは、やっぱり───


「い、行こうか」


うわずる声、赤い耳。泳ぐ瞳。


そんな彼の姿を見て、確信した。


彼は春桃ちゃんのことが好きなのだ、と。


「わ、私………先、帰ってもいい…?」


そんな言葉が口から飛び出した。


二人が目を丸くしてこちらを見る。


驚かせてしまっただろう。だけど、この二人の様子を見続けるなんてあまりにも辛い。


目を背ければいい話だろうけど、どうしてもこの状況は嫌だった。


「え……あ、用事あった?ごめんね」


春桃ちゃんが眉を下げて申し訳なさそうに謝ってきた。


そんな彼女に、少しいらついてしまった。


だって、彼女はみんなにちやほやされて、私の気持ちなんかちっとも分からない。1ミリも。


いい人を演じればもう勝ちだ。見た目の時点でもう勝ち組なのだ、彼女は。


運動だってできるし勉強もできる。おまけに歌もうまい。


どうして?なんで?


なんで彼女にはあんなに良いことばかり与えたの?


それに比べて、私は?


良いところなんてちっともないじゃない。


今更、どうしてこんなことを思っているのか分からない。けど、とめどない怒りがこみ上げてきた。


抑えないといけない。でも、何かが私の中でプツリと切れた。




そして、次の瞬間、私は春桃ちゃんの肩をつかんだ。

22:こすめ◆Xk:2019/10/29(火) 17:58 ID:KkM

>>21

小日向視点だったはずが途中からカコ視点になっちゃっていました……ミスりました!!(汗)m(_ _)m

23:若桜☆郁里ひよねこ◆ME:2019/10/29(火) 19:23 ID:EYk

なんだか気になる展開……

続きが楽しみです!(いきなり乱入してすみません‼)


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