『…オイ!なんとか言えよ高村!いっつも黙ってテサァ…そういうとこがウゼェんだよ!』
腹を殴られ吐きそうになる。僕の体はボロボロで顔やスネ、ひざなどはもう殴られてあざができていてもう言い返す気力もなかった。
『高村ァ〜 お前、きたねぇから俺が洗ってやるよ、ソレッ!うわービッショビショじゃん!ウケる〜』
水をかけられ洋服から水が滴り落ちる。もう何回目だろうか、こんな目にあうのは。いじめっ子達は僕をみて笑いながら帰っていく。僕はその日、決心した。「強く…なりたい」
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ー入学式ー
暖かい春の日差しのさす中、僕は色々な人のいる満員電車に揺られて高校へ向かう。私立梅宮高等学校は三年前に設立されたまだ新しい方の学校だ。偏差値はなかなか高くて僕も相当勉強してギリギリ入れた感じである。人の波を掻き分け電車から降りて5分歩くと学校が見えて来た。なぜだろう、校門をくぐるだけなのに凄く緊張する。僕は深呼吸して学校の校門に足を踏み入れた。桜の花びらが舞い落ちてすごく綺麗だ。僕は思わず『綺麗…』といった。すると同時に言った人がいることに気づいた。顔を確認すると美少女がそこにはいた。被ったのがよっぽど恥ずかしかったのか顔を赤らめている。そんな彼女をみて僕まで顔が赤くなって行く。僕は恥ずかしさを隠すために彼女の名前を聞くことにした。
「あの…お名前は?」
「あっ、神田…茉莉です…よろしくお願いします で、あなたは…?」
彼女も恥ずかしさをごまかすためか、笑顔を作ってくれた。
「あ、僕は高村 悠です…よろしくお願いします」
「高村さんですか…覚えておきますね 高村さんのお友達っていますか?紹介していただきたいです」
彼女は純粋な瞳で見つめてくる。僕に…友達なんかいるはずもないのに。僕はそんな表情したつもりはなかったんだが彼女は僕の顔を見て
「や、やっぱり大丈夫です!それじゃ、私クラス確認してくるので、さようなら!」
入学式、嬉しかったり悲しかったり色々な感情が湧き出てくる。
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