昨日見た夢
悪夢…
昨日の出来事。夢ではなかった…
昨日、俺は警察に出頭させられた。
車で30分程度はなれた郊外の空き地へこの女刑事に同行させられた。
そこには警察官らしき人物が数人おそらく監査官もいただろう。
俺を見るや手招きをする、鑑査官達。
空き地に着き俺は指示に従う。
「これ貴方ですよね?」
白いシーツにかぶされた物体を見せられる。
それは首のない死体であった。
俺は腰を抜かしその場に尻餅をついた。
「お、俺?」
ジーパンにTシャツを着た首なし…
「なんで?俺?」
俺は混乱していた。
俺は生きている……
「これに見覚えはないか?北野祐二」
一人の刑事がなにやら手帳らしきものを俺に見せる。
俺の運転免許証。
それに俺の財布、車の鍵。
そんな馬鹿な…
「俺持ってますよ」
あわてて財布を取り出す、ついでに免許も鍵も刑事に見せてやった。
「やっぱり…」
刑事はそう言い放ち、口を開き始めた。
「まさか本当に生きていたなんて信じられん。念のため君の家に連絡した時は驚いたよ。」
母親が電話対応したらしいのだが、その日俺は家で朝飯を食っている最中だった。
確認のためか…やっと理解できた。
「しかし、何で又、君の物を偽造せにゃならんのかね?」
刑事はタバコを咥えつつ頭を掻き毟る。
「ちょっときてください」
刑事は監査に呼ばれ、俺と女刑事を残し、死体現場に戻っていった。
「あの俺帰れないの?」
「ごめんなさいもう少し待ってください。こんな事今までに無かったケースだから…」
女刑事に不安全開の俺は恐る恐る尋ねてみるが…やっぱり素直に帰えしてはくれないか…
その場にしゃがみ込みタバコに火をつけ50メートルほど離れた現場に目を向けるが…ん
なんだ?
さっきの刑事があわててこちらにめがけて突っ込んできた。
「あ、あんた今日ここ来る前に何か買わなかったか?」
あ、そういえばコンビニよったんだっけ。
「ああ、朝飯途中で連れ出されたからコンビニでおにぎり買ったんですが?それが?」
それを聞き青ざめながら二枚のレシートを俺に差し出した。
買った品物、買った時間、値段、店。全てが一致していた…
それも死体の持っていた偽財布と、俺の財布にあったレシート…
「一体何なんだあんたちょっともう一回見てくれ」
俺の袖を引っ張り俺は又現場に連れて行かれる。
が…
刑事と俺は死体が起き上がって動き出しているのを目の当たりにして呆然とする。
「け、刑事さん?あれ死んでますよね?」
「あ、ああ、死体だよな?」
じゃああれはいったいなんなの?
首なしがすっくと立ち上がり俺と刑事の所にゆっくり歩み寄る。
そして俺の目の前で立ち止まり…俺を指差す。
…俺、北野祐二は、明後日深夜1:25分喫茶アランの交差点で殺される…
「しゃべった!?」
刑事が咥えていたタバコをぽとりと落とす。
…変えてくれ…頼む…
次の日朝早く。
俺は警察署に向かう。
試してみたいことがあったからだ。
警察署に出向き、ある女性刑事を呼び出すことにする。
とりあえず身元がばれぬようサングラスと帽子をかぶり
「すいません、加藤洋子って言う刑事さんがいると思うんですけど」
受付で尋ねる。
「はい、いま署に居りますがどちら様でしょうか?」
「弟の聡と言います。ちょっとだけお話したいことがありまして」
受付はすんなりパスした。
待合室で待たされ、待つこと約20分
待合室の扉が開いた。
「聡ってあれ?いないじゃない」
間違いない。昨日俺に指輪を渡した本人だ。
「あーすいません」
俺は彼女に声をかけた。
「はい?どちら様でしょうか?」
彼女は俺の呼びかけに反応した。
よし!今だ!
「この指輪だーれのかな?」
俺は小指にはめていた指輪を彼女に見せた。
「あ、」
彼女は自分の指に付けている指輪に目を留める。
「お遊びはお仕舞いだよドッペルケンガーさんよ」
そう。
ドッペルケンガー
ちょくちょくファンタジーなんぞに出てくる化け物だ
自分と瓜二つの容姿をしつつ本人と存在を入れ替える。もしくは殺して摩り替わる。
ただ弱点がある。
それは、自分がドッペルケンガーだと言うことを第三者に知られてしまうこと。
…昨日母親に起こり俺に起こった現象…
母は俺にそして俺は女刑事加藤洋子に存在を知られ消滅した。
ならば今俺の目の前にいる彼女がドッペルケンガーならばどうなるか?
「なんで持っている?」
彼女の声が低い化け物のような声に変わってゆく。
「さあ?持ってたからしょうがないじゃない?」
「うあぁぁああぁぁあ」
彼女は苦しみだしそして分裂してゆく。
とうとう二人の女刑事加藤洋子が姿を現した。
この悲鳴に似たうめき声を聞いてか数人が待合室にやってきた。
「どうした、何事だ」
そこには女刑事加藤洋子が二人。
そして指輪をはめていない女刑事加藤洋子の手を取りこちらに引き寄せた。
「ふぅ、なんとか気がついたよ」
俺は彼女にそうそっと呟いた。
そして例の現象と共に光り輝き偽物は天高く舞い上がってゆく。
「お帰り」
俺は彼女に指輪を渡した。
「只今」
彼女は指輪を受け取った。
完
電話番号は個人情報ですよ。犯罪です
全部読む/最新50/書き込む「小さな親切と、大きな感動」
我輩と母上は、テーブルに置かれた一通の封筒を不振そうに眺めておった。
「はて?何だ?この手紙?」
母上は、不思議そうに手紙を手に取り、宛名を確認するが……
宛名は妹。我輩は妹を呼び、封筒を開けさせた。
妹が封筒から、二通のメッセージを取り出し、一通目を読み出した。
そして我輩は叫んだ。
「ああ、あのときの人だ!」
5日前……
我輩はしぶしぶ母親を連れて、デパートのお客様感謝デーなどという
催し物にきていた。
良くある、お得意様しか入れない特別な日で、品物が安かったり、外れなしのくじが引けたりと……
いわゆる、おばさん達のパラダイスなのである。
しかし、そのような物に我輩は興味がない。
第一人が多い!あのようなところに入ったら、我輩は恐らくいらいらして
通行人を全て蹴っ飛ばして歩くであろう。
というわけで、我輩は駐車場に止めている愛車の中で、優雅に昼ねするのであった。
さて、どれくらい寝たであろうか……母上が、我輩の愛車のトランクを叩く音で眼が覚める。
また、大量に買い込んだものだ……トランク一杯に買い物袋を詰め込んで、
母上は、助手席に乗り込んだ。
そして、帰宅中、母上はこんなことを言っていた。
何でも、母上が店を出ると、家族連れの人が招待状が無くて入れなく、へこんでいたらしい。
母上は、どうせ捨てるのだからと、持っていた招待状を渡してきたのだといっていた。
しかしこれが、思いもよらぬ展開になるとは……
さて、舞台は我が家にもどる。
我輩は一瞬で悟った。
そう、この封筒はあの時母上が招待状を渡した人だったのだ。
なんともはや、便箋2枚に感謝の言葉がずらずらと……
母上は少し、気持ち悪そうにしていたのだが。
ゴミを渡して、感謝されるなんて正直我輩も驚いていた。
だが、ここまで感謝されると、何もしていない我輩も気分がいい。
二人の息子に、たまごっちも買うことが出来たと感謝文も書いてあった。
たったこれだけのことで、感動が生まれるのか……
人生面白いこともあるものだ。
さて、何故これが妹に届いたのか?
一家三人、しばし考え込み我輩がこたえる。
「招待状、お前のじゃないのか?」
我輩は、妹を指差した。
なるほど、納得。