【東方】「夜想譚」

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1:語り手◆3.:2020/12/12(土) 03:52

幾つの夜を乗り越えたとしても凄惨な過去から逃れることは出来ない。
背後の闇は未来を進む者さえ呑み込もうと迫るもの……
これは紅魔の館に仕えるメイド……"十六夜咲夜"の物語

>>1 世界観と注意
>>2 異変キャラ

117:動かない大図書館◆5w:2021/02/02(火) 00:08

パチュリー
「…………ッ!これは………?」

咲夜と零夜が戦いを繰り広げている中、パチュリーは自分の体に刺さり、魔力を封じている魔封効果が込められた銀のナイフの柄を掴み、激痛に耐えながらもゆっくりと引き抜く。すると、そのナイフから違和感が感じられ、その違和感の正体が何なのかと勘繰り始める。

既にナイフは抜けたものの、まだ魔力は回復しておらず、完全に回復しきるまでには到底日の出には間に合わないため、フランを閉じ込めた時のように雨を降らせたり、空を雨雲で覆うことは出来ない。

二人の戦いに自分は介入することは出来ない……
時間操作が出来ない自分が零夜へ反撃しようとしてもかえって足手まといになってしまう事が目に見えているからだ。

118:戻ることのない時間◆gI:2021/02/03(水) 06:10

ガッ・・・・・!

ぐっ・・・・・!

(咲夜はナイフを取り出し、刃の部分で長剣の刃をなんとか食い止めるが、ナイフの刃と長剣の刃では圧倒的な差があるが、何が何でも負けられない咲夜は必死に抵抗する・・・・・

そして、
パチュリーがナイフを引き抜いたのを見ると「パチュリー様!ナイフをこっちへ・・・・・!」と叫ぶ・・・・・)

119:時の復讐者◆5w:2021/02/03(水) 08:03

零夜
「剣にナイフが勝てると思っているのか?」

零夜はナイフの柄
だが、幾ら振るいやすさを重視して軽量化されているとは言え、ナイフと長剣とではその単純な質量に差がありすぎる上に、床に倒れた状態で腕力しかまともに使えない状態の咲夜と長剣を振り下ろしている事で単純な腕力に加えて剣の質量や体重も攻撃に乗せることが出来る零夜とでは力を込められる姿勢や態勢にも大きく差を付けられてしまっている。

パチュリーも咲夜の呼び掛けに応えて魔封じのナイフを投げ渡そうとするが、この状況を打破し、零夜の注意を逸らす事が出来なければ容易く避けられてしまうだろう。

120:戻ることのない時間◆gI:2021/02/03(水) 14:23

・・・っ・・・・・私・・・・・は・・・・・負けられな・・・・・

ズブッ・・・・・

ぁ゛・・・・・

(咲夜の体に、長剣の刃が深々と突き刺さる・・・・・

どんなに負けるわけにはいかないという強い意志があったとしても、長年に渡って募った復讐心を前にしては、力が一歩及ばないということの証明なのかもしれない・・・・・)

121:時の復讐者◆5w:2021/02/03(水) 17:30

零夜
「………終わりだな。」

零夜は復讐を成し遂げられるという事への喜びも嬉しさも何も宿っていない、どこまでも冷たい無感情な顔をしたまま、咲夜のナイフの柄を貫いた長剣を更に押し込んで彼女の体を貫こうとしていく……
どれだけ時間を操れると言う規格外の能力を持っていようとも、人間である事に変わりはない……傷や怪我をすれば簡単には治らず、失った手足が戻る事もない……一つの傷や怪我が致命傷となりうる人間だ。



パチュリー
「………ッ!(防御魔法を……!いえ、それでは間に合わない……回復魔法をしようにも剣が刺さってしまっては意味を成さない……それ以前に今の私に魔力は残されていないし、このナイフを投げたところであの時使いに阻まれるのは確実……打つ手が……無い………)」

パチュリーは脳内に様々な打開策や救出方法を模索するものの、いずれにしても今の状況を打破しうるようなものは見付からない……

122:戻ることのない時間◆gI:2021/02/04(木) 06:16

・・・・・

(咲夜の手は力なく崩れ、長剣の刃が容赦なく体を貫く・・・・・

咲夜はもう抵抗もしない・・・・・いや、できない・・・・・

長剣が刺さった場所からは、血が流れ続けている・・・・・)

123:時の復讐者◆5w:2021/02/04(木) 12:34

零夜
「………残りは1時間20分か。
ここまでに相当の魔力を消耗したが……これでもう俺の時間操作に対抗できる奴もいない。このまま館内にいる奴らも殲滅しておくか……」

咲夜の体を貫いた長剣をそのまま床に刺して串刺しの状態にすると、懐から銀の懐中時計を取り出して日の出までに残された時間を確認し、咲夜の名を叫ぼうとしたものの、ナイフによって受けた傷によって大声が出せなくなっており、呻くような声をあげるパチュリーと、銀の鎖によって十字架に磔にされたレミリアとフランの三者の様子を見る。

そして、三者をまとめて始末しようと三人の頭上に召喚魔法を展開し、そこから銀の大剣を呼び寄せ、それを落とす事で三人をまとめて貫こうとする……

124:???◆5w:2021/02/04(木) 23:24

???
「………ッ!!
今の私だけでは……この結界を壊せない……」

零夜が幾重にも渡って張り巡らせた巨大にして強固な結界。
紅魔館の正面門の前では幾度も激突した後があるものの、結界が破壊できるまでには及ばず、己の無力さにうちひしがれている者が一人いた……
自分一人だけではこの壁を壊して助けに向かうことは出来ない……
だが、博麗の巫女ならばこの結界を解除して助けに向かうことが出来るようになるかもしれない。



???
「レミリア……フラン……待っていて………」

脳裏にはレミリアとフラン、そして館の住人達の事が次々と過り、歯を強く食い縛り、巫女の元へと向かって飛び去って行く……
かつてヴァルターの暴力や支配から二人を守ることが出来なかった……その過ちを再び繰り返す訳にはいかない。

125:戻ることのない時間◆gI:2021/02/05(金) 06:09

レミリア「・・・・・アンタは、必ず地獄に堕ちる・・・・・」

フランドール「・・・・・消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ」

(レミリアとフランドールの二人は咲夜を長剣で突き刺した零夜を睨みつけながら、抵抗も何もせずにただただ罵声を浴びせる・・・・・

今この時、自分達を救うべく動いている者がいるということも知らずに・・・・・)

126:時の復讐者◆5w:2021/02/05(金) 12:11

零夜
「地獄……か。ならば死した妖は何処へ行くのだろうな?」
《バチンッ》
レミリアとフランの二人の言葉を聞き、ならば完全に死亡した妖怪は何処へ行くのだろうと呟くと、零夜は指を鳴らす。
するとそろを合図として三人の頭上に召喚した大剣が三人の心臓目掛けて落ち始め、咲夜と同じように串刺しにしようとする。

127:戻ることのない時間◆gI:2021/02/06(土) 00:24

カチッ・・・・・

(突然、レミリア、フランドール、パチュリーの三人を亡き者にするために召喚した大剣が三人に直撃する寸前でその動きを止める・・・・・

零夜ならば・・・・・いや、零夜だからこそすぐにわかるような、この謎の現象の正体は・・・・・)

128:時の復讐者◆5w:2021/02/06(土) 07:57

零夜
「…………!!」

日の出を待つこと無くとも、決着は既についた。
体を貫かれ、絶命したであろう咲夜ではもう何も出来ず、咲夜以外で時間を操れる自分に対抗できる者はいない。

そう考えていた最中、突如として自分以外の者による時間停止が発動される……咲夜も人間だ。体を貫かれて尚、生きている事など出来ず、どれだけ強い能力を持っていようとも死してしまえば無力となる。

その筈であったにも関わらず、時間停止が成されている事に驚愕し、停止した時の中で左手に長剣を握ったまま何が起こったのかと咲夜の方へ振り返る。

129:時の守護者◆gI:2021/02/06(土) 20:54

ポタッ・・・・・ポタッ・・・・・

はぁっ・・・・・はぁっ・・・・・!

(零夜が振り返ると、咲夜は自分の体へ突き刺さっていた長剣を抜き取り、刺さっていた場所を左手で押さえながら右手で長剣を構える・・・・・

零夜の原動力が咲夜に対する復讐心ならば、咲夜の原動力はレミリア達に対する愛だろうか・・・・・)

130:時の復讐者◆5w:2021/02/06(土) 21:27

零夜
「馬鹿な……確かに体を貫いた筈だぞ?お前……まさか人間を辞めているのか?」

人間の生命力や再生力では体を貫かれた状態で立ち上がることなど、まして能力を使うことなど到底出来ない……だとしたら考えられる可能性は一つ。咲夜は既に人間を辞めて吸血鬼にでもなっているのだろうか?

……ならば此方も相応の戦法を取るまで。
零夜は軽く一回転し、その遠心力を乗せて右手に持った長剣を振るい、魔力を具現化させた横薙ぎの巨大な斬撃を放つ。

131:時の守護者◆gI:2021/02/07(日) 09:08

ガッ・・・・・!!!!!

(咲夜は手負いの状態でありながらも、素早い動きで零夜の斬撃を避け、そして背後に回り込みさっきまで自分の体に刺さっていた長剣を振るう・・・・・

そして「私は人間をやめちゃあいないわよ・・・・・昔も、そして今も、失うことが怖いただの人間よ・・・・・」と、今は今この時、レミリア達を失うかもしれないことだろうが、昔というのは家族を助けられなかった時のようにも聞こえる・・・・・)

132:時の復讐者◆5w:2021/02/07(日) 16:58

零夜
「なら……あの状態からどうやって助かったんだ?確実にお前の体を刺し貫いていた筈だ。」

背後に回り込んだ咲夜を見て右手に持っていた長剣を振り向き際に振るい、咲夜が振るった剣と激突させて相殺しつつ、右足を咲夜の左横腹目掛けて蹴り出して鍔迫り合いにもさせずに一気に斬り伏せようとする。

133:時の守護者◆gI:2021/02/07(日) 17:31

さぁ・・・・・ね・・・・・私にだって・・・・・わからないわ・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は零夜の攻撃を再び避けると、ナイフを零夜へ向けて投げつける・・・・・

零夜の頬をナイフがかすり、鮮血が一滴滴る・・・・・

自分でもここまで手負いの状態で何故戦えているのかがわからないが、まだ戦えるのであれば、何としてでもこの戦いに終止符を打ちたい・・・・・)

134:時の復讐者◆5w:2021/02/07(日) 19:10

零夜
「……そうか……お前は人間を捨てたか。」

零夜の繰り出した蹴りは咲夜を前に空振りに終わり、同時に距離を取って咲夜が投げたナイフを零夜は回避したは良いものの、自身の頬に掠り、傷口から血が垂れると、それを左手の袖で拭う。



零夜
「ならば………俺も人間である事を捨て去り、完全なる殺戮と破壊の化身と化そう!!」

姉の咲夜は人間である事を捨てたのだと判断すると、零夜は左手の掌の上に召喚魔法陣を展開し、そこから黒い血液が入った小さな注射器を取り出す。
その黒い血液から感じられるおぞましく、禍々しい闇の魔力から、レミリアとフランにとって最悪の象徴とも言えるあの"ヴァルター"の血液である事が即座にわかるだろう……

135:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 06:18

・・・っ・・・・・!?

(零夜が掌に召喚したものが予想外過ぎるものだったため、咲夜は言葉を失う・・・・・

もしあれを注射してしまえば、零夜を本当の意味で救い出すことはできなくなってしまう・・・・・

どんなに敵同士だとしても、やはり血の繋がった実の弟・・・・・死なせたくはない・・・・・)

136:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 12:25

パチュリー
「させる訳がないでしょ……!」
【「ウィンターエレメント」】

零夜がヴァルターの血を取り込んでしまえば殆ど壊滅状態にある現在の紅魔館のメンバーでは対抗する手段がないと判断したパチュリーは自分の傷や怪我を回復する事よりも零夜の妨害を選び、床に右手を付けて水柱を立ち上げる事で零夜の左腕へ攻撃を加えて彼が持つヴァルターの血が入った注射器を吹き飛ばす。



零夜
「………ちッ!まだ生きていた……!!」
《シャッ》
零夜は吹き飛ばされた注射器の代わりに手元に短剣を生成してそのままパチュリーの眉間目掛けて正確に投げ、咲夜の代わりにパチュリーから先に仕留めようとする。

137:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 14:00

カチッ・・・・・

ヒュッ・・・・・!

(咲夜は時を止め、パチュリーに向けて投げられたナイフを停止させると、そのままそのナイフを握りしめ零夜の腕へめがけて思い切り投げる・・・・・

時が止まっていようとなかろうと、零夜と咲夜には関係ない、ここからは両者共に手加減なしの死闘である・・・・・)

138:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 16:02

零夜
「どこまでも邪魔をするつもりか……!!」

咲夜が時を止めようとも零夜はその影響を受けず、咲夜もまた零夜による時間停止の効果を受けないようになっており、静止した時間の中で投げ返されたナイフを避けて柄を掴むとそのまま咲夜目掛けて投げ返す。

そしてパチュリーの展開した水柱によって吹き飛ばされた注射器の方を確認するとそれを目指して飛翔する。ただでさえ現時点でも苦戦が免れない零夜が吸血鬼となってしまった場合、その戦闘力がどれだけ跳ね上がるのかは想像に難しくは無い……

139:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 16:27

させないわよっ・・・・・!!!!!

グォッ・・・・・!

(咲夜は飛んできたナイフによる攻撃は受けずに掴むと、そのままナイフを忍ばせて走り始める・・・・・

そして、零夜に追いつくとそのまま腹部へと拳による強烈な一撃を入れる・・・・・

この注射器を打ってしまったが最後、もう取り返しのつかないことになるのは明白である以上、どんな手段を使ってでも阻止しなければならない・・・・・)

140:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 17:15

零夜
「………ぐッ!」

注射器さえ手に入れてしまえば即座に殲滅する事が出来ると言う事や、先程までまともにダメージを受けていなかったと言うと例えば慢心から高速で追い付き、拳を繰り出した咲夜の一撃に対する反応が遅れて咲夜のボディーブローが直撃し、追撃のチャンスが生まれる。

141:時の守護者◆gI:2021/02/08(月) 17:29

アンタの好き勝手にさせないわよ・・・・・!!!!!

ズブッ!!!!!

(咲夜はボディブローに続いて、零夜の右肩へ向けて先ほど零夜が投げてきたものの、簡単に掴み取り忍ばせたナイフを深々と突き刺す・・・・・

追撃のチャンスが生まれた以上、なるべく深手を負わせることで動きを鈍らせた方がこちら側が少しでも有利になりうる・・・・・)

142:時の復讐者◆5w:2021/02/08(月) 18:24

零夜
「…………!!!」

咲夜が取り出したナイフが零夜の右肩に突き刺さり、右手に持っていた長剣を落とし、消失し、確固たるダメージを与える事に成功するものの、零夜は左腕で接近して来た咲夜に対して体内からダメージを与えようと掌底を打ち込もうとする。

143:時の守護者◆gI:2021/02/09(火) 06:18

ドゴッ・・・!!!!!

諦めなさい・・・・・アンタは絶対負けられないんでしょうけど、それ以上に私は絶対に負けられないのよ・・・・・

(咲夜は零夜の掌底打ちを避けると、再び零夜の腹部へとボディブローを入れる・・・・・

零夜へ初めてダメージと呼べるようなダメージを与えられた今、この戦いを終わらせるなら今しかない・・・・・

最初は弟に対して攻撃することを心のどこかで躊躇いがあったものの、今はもう容赦なんて必要ないと判断し、手加減無しで攻撃を仕掛ける・・・・・)

144:時の復讐者◆5w:2021/02/09(火) 07:49

零夜
「ぐッ……!!
図に……乗るな!!!」

掌底零夜は咲夜による追撃を受け、更にダメージを受けると反撃として魔術式を展開し、自分を中心とした周辺に青い爆炎を解き放ち、接近した咲夜をそのまま焼き尽くそうとする。

145:時の守護者◆gI:2021/02/09(火) 19:51

カチッ・・・・・

ズゥッ・・・・・!

ちょっとダメージを受けた程度で、随分と取り乱すのね・・・・・

(咲夜は先ほどのように時間操作で炎が放たれる前まで戻すと、零夜の左足へとナイフを投げ、深々と刺さる・・・・・

守るモノがある咲夜からすれば、ちょっとやそっとのダメージは跳ね除けてしまうぐらいに信念があるものの、守るモノもなければただただ復讐の鬼と化した零夜は、ダメージを受ければ受けるほど復讐計画に揺らぎが生じて今この時のように攻撃を受けやすくなっている・・・・・)

146:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/09(火) 20:57

零夜
「不意を突かれて動揺していただけだ。だが、奇跡はもう二度と起こらないぞ?」

零夜にはまだ自分の肉体の時間すら操るだけの力がまだ残っているのか、右肩に突き刺さったナイフを抜き取って投げ捨てると傷口に手を当てながら咲夜の投げたナイフを避け、自身の肉体の時間を遡ることで無傷の状態にまで自己回復していく。



零夜
「……どうやら俺はお前を些か過小評価していたようだ。もう油断も慢心もしない。お前に確実な死をもたらすまで手を緩めもしない。……本気で行こう。」
《ゴオォォォォォォォォォォォォォォォッ》

その宣言の通り、零夜の眼から優位性を確保していた事から来る油断や慢心が消え、純然たる殺意の炎だけが渦巻き始め、ヴァルターの血を取り込む事すら脳裏から排除し、眼前にいる咲夜を仕留める事だけに専念し始め、零夜の放つ魔力の質がより充実し、彼が青く揺らめく炎のようなオーラを纏う。

零夜は両手に長剣を召喚し、更に召喚した長剣に燃え盛る青炎を纏わせ、剣に切り裂かれた際のダメージを跳ね上げ、傷口や断面を焼くことで一撃ごとに致死のダメージを負わせやすくしている。

戦闘に専念するようになった零夜の戦闘力は先程までとは比較にすらならないだろう……ここからが二人にとっての正念場であり、互いの生死を決定づける事になる。咲夜も、零夜も、先に致命傷を負った方が敗北し、命すらも失う事を意味している……

夜明けまで残り一時間……
因縁と宿命、因果の果てに退治する二人にとっての本当の死闘が幕を開ける……

147:時の守護者◆gI:2021/02/10(水) 06:19

そう・・・・・わかったわ、お互い本気でやりましょう・・・・・

(そう言うと、咲夜も目が今までとは違い、零夜に対する殺意が混じり始める・・・・・

だが、咲夜は心のどこかではまだ、零夜と和解してまた一緒に過ごしたいという気持ちもあるのか、表情は少し複雑そうにも見える・・・・・)

148:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/10(水) 07:53

零夜
「………………。」

沈黙したまま零夜の赤い瞳のある左目に青白い魔法陣が現れ、先制攻撃として咲夜の足元から巨大な青い炎の柱を立てる事で防御や回避に回らせる事で先ずは咲夜の動きを制限して体勢を崩させようとする。

149:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/10(水) 13:25

仮にも血の繋がった姉弟よ?ナメないでもらいたいわね・・・・・?

(咲夜は零夜の攻撃を先読みしたものの、それでも間一髪で炎の柱を避けるとそのままナイフを投げる・・・・・

零夜と咲夜、元は同じ時を刻んでいたはずの二つの秒針は、再び止まった時の中で動き出す・・・・・

それこそ、本当の意味で時が止まるまで、止まることは無い・・・・・)

150:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/10(水) 17:32

零夜
「……血の繋がった姉弟、か。
今となっては忌むべき宿命にしか聞こえないな!!」

零夜は立ち上げた炎の柱を回避した上でナイフを投げて反撃してきた咲夜を見て、姉弟と言う関係さえも今となっては憎悪を駆り立てるだけのものとなってしまっていると応え、向かってくるナイフを手にした青炎を纏った長剣で弾く。
すると、停止した時間の中でも燃焼する効力を持っているのか、弾かれたナイフが青炎に包まれ、溶けて消えていく……

更に零夜は双剣の利点を最大限に活用すべく、近接戦闘へと持ち込むべく距離を詰めようと飛翔し、両手に持った長剣を交差させるようにして振り下ろす。

151:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 06:51

ジッ・・・・・

ぐっ・・・・・っ・・・・・!

ズザッ・・・・・!

(零夜と比べれば、武器も攻撃手段も幾分か劣る上にかなりの痛手を負っているからか、咲夜は息を切らしながら零夜の攻撃への反応が遅れ、長剣が咲夜の服をかすり、わずかだが服を焼く・・・・・

炎が移った部分は破って何とかするものの、体力の面に関しては、これはどうにもできない・・・・・)

152:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/11(木) 14:02

零夜
「避けているだけでは何も変わらないぞ?」

零夜は今度は咲夜に向けて右手に持った長剣を横薙ぎに振るって一撃を放ち、続けて左手の長剣を振り下ろして二撃目を放ち、二つの斬撃を繰り出して猛攻を仕掛けようとする。
零夜が振るった剣は青炎を纏っているため、剣が振るわれた箇所には数秒間、青炎が残存し、ジワジワと逃げ場さえ奪っていく…

153:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 14:22

くっ・・・・・!次から次へとっ・・・・・!

(咲夜は息を切らしながら攻撃を避け続けるものの、確かに零夜の言う通り、避けているだけでは現状は何も変わることは無い・・・・・

だが、それは咲夜自身も一番わかっていることであり、零夜がヴァルターの血を取り込むことは何とか阻止できてはいるが、それ以外は追い詰められているという状況が続く・・・・・)

154:失われた過去と奪われた未来◆5w:2021/02/11(木) 15:14

零夜
「どうした、俺を倒すんじゃなかったのか?」

零夜は両手に持った長剣を振るい続け、息もつかせぬような苛烈な攻撃を繰り出し、双剣と言う手数と長剣のリーチ、数秒間は青炎が斬撃の軌道上に残ると言う圧倒的な戦力によって咲夜を追い詰める中、失われた過去が回想となって蘇る……



幼少期の零夜
「姉さんは強いですね!
僕も姉さんみたいに強くなって皆を守れるようになります!!」

咲夜の記憶の中にあった零夜は自分も姉のように強くなって皆を守りたい、全てを守れるぐらい強くなりたいと願っていた……いや、信じていた。
彼もあの襲撃さえ無ければ哀れな復讐者にならず、自分の信じるもの、大切なモノを守る守護者になれていたかもしれない。

零夜は全てを失い、レミリア達と出会うことが出来ずに絶望と苦痛の闇をさ迷い続けたもう"一人の咲夜"であるとも言えるだろう……



零夜
「お前が守ろうとしているモノも……お前の帰るべき場所も……全て奪い尽くしてやる……!!」

だが、あの襲撃を境に彼の身にどれだけの不幸が降りかかったのか……
その地獄のような日々は彼の思想や性格を冷酷な復讐者へねじ曲げてしまっているようで、今の彼の中には憎悪と復讐しか残ってはおらず、かつての彼の面影は最早残っていない……

零夜は決着を付けようと右手に持った青炎を纏い青い光を放つ長剣を勢い良く突き出して咲夜の心臓を貫こうとする。

155:止まった時のカウントダウン◆gI:2021/02/11(木) 16:22

幼少期の咲夜「私だってまだまだだよ!もっともっと強くならなくっちゃ!」

(過去の記憶も、血の繋がりも、今は全てが零夜の復讐心と憎悪の源となっている・・・・・

かつて強くなってみんなを守れるような人間になりたいという目標を持っていたあの頃・・・・・よりにもよって一番守りたい家族を襲撃されながら、恐怖のあまりに能力を有効活用することすらできずに逃げ出したあの日・・・・・

あの日から自分は、姉ではなく、零夜の性格を捻じ曲げることになった原因の一つでしかなくなったのだと、お互いの秒針は動かなくなったのだと、今更ながらに気づいた・・・・・)

ズブッ・・・・・

___・・・・・

(時が止まったかのように、その瞬間、音が消える・・・・・

いや、正確には、音が消えたかのような錯覚をするほどに、目の前の動きがスローに見える、と言った方が正しいだろうか・・・・・

咲夜の体を貫いた長剣は、青い光を放ちながら、今一度、咲夜の時を奪おうとする・・・・・)

156:二つの秒針が交錯する時◆5w:2021/02/11(木) 17:50

零夜
「俺にはもう守るモノも帰る場所もない……お前も……お前も同じ苦痛を味わえ!!!」

零夜の顔は激しい憎悪と殺意に満ちている……だが、その顔には何処か深い悲しみが潜んでおり、彼の放つ言葉には戻ることの無い過去、失われた過去への後悔と絶望が秘められており、咲夜の体を貫いた長剣に宿る青炎の火力を上げて内部から跡形もなく焼き尽くそうとする……

悪意と醜い欲望によって引き裂かれ、歪められた二つの運命が一つになる時……それは絶望に満ちた破滅となるのだろうか……

157:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 01:30

スッ・・・・・

・・・・・ごめ・・・・・ん・・・・・

(咲夜がとった行動は、意外なものだった・・・・・

剣で貫かれた状態で、もがき苦しむわけでも、必死に抵抗して引き抜くわけでもなく、零夜を抱き締め、震えた声で途切れ途切れにごめんと、吐血しながらかすれた声で言うと、そのまま地面に倒れると同時に青い炎が所々、僅かな範囲で咲夜の服や皮膚を燃やし始める・・・・・)

158:復讐果てにあるモノ◆5w:2021/02/12(金) 01:49

零夜
「!!?」

例え咲夜から反撃が来ようとも左手にはまだ長剣を持っており、ナイフを投げる前にその腕を切断することも出来るし、そうで無くとも致命傷にならなければ時を遡らせることで回復も出来る。何処にも死角は無く、あらゆる状況や状態を想定していたものの、咲夜の取った自分を抱き締めると言う行動までは予想することが出来なかった。



零夜
「なんだ……今さら……何もかももう遅い……遅すぎる!!」

頭の中では憎悪と殺意の他にこれまでに感じた事の無い程強い困惑と驚愕が渦巻くようになり、それが戸惑いを生じさせており、咲夜の体から長剣を引き抜き、倒れた咲夜を見て、精神の乱れによって青炎が維持できなくなり消えている事にも気付かずに困惑したまま両手に持った長剣を大きく振り上げてトドメを刺そうとする……

159:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 06:16

・・・・・

(倒れた咲夜の虚ろな目に映るのは、変わり果ててしまった弟の姿・・・・・

だが、零夜が今のような人格になってしまった原因は、一番は自分だとも言える・・・・・

咲夜は、自身の死を悟るも、最後の最後まで、また姉と弟として過ごすことが出来なかったことに、後悔の涙を流し始める・・・・・)

160:復讐果てにあるモノ◆5w:2021/02/12(金) 07:42

《ドオォォォォォォォォォォォッ》
零夜
「…………!?」

最早後には退けない、振り下ろした零夜の双刃が咲夜の体をバラバラに切り裂こうとした次の瞬間、術者である咲夜が倒れた影響で時間停止が解け、それに呼応するように紅魔館内から激しい轟音と衝撃が生じ、まるで地震が起こったかのような振動によって零夜は体勢を崩して床に片膝を付く。

161:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/12(金) 13:52

レミリア、フランドール「・・・っ・・・・・!?」

(時間停止が解けたことで、レミリアとフランドールも地震のように揺れる紅魔館に気づく・・・・・

停止した時間の中で咲夜と戦っていた零夜ですら、突然起きた出来事に驚くぐらいなのだから、突然と気が動き出すと同時に揺れているという状況を知ることになったレミリアとフランドールからすれば、もっと理解が追いつかないだろう・・・・・)

162:目覚めた龍◆5w:2021/02/12(金) 17:27

パチュリー
「この気は……眠れる龍が目覚めた……とでも言うのかしら?」

《バゴッ》
パチュリーは東洋の魔術を研究しており、そのため"気"についての理解や知識もあるため、紅魔館内から鳴り響くモノの正体をいち早く見抜くと、これまで苦痛や苦悶に満ちた表情をしていたパチュリーの顔に余裕と落ち着きが戻り始める。

パチュリーか轟音の主に気付いたのとほぼ同時に零夜の足元から天を貫くかのように巨大でありながら、夜明けの光明の如く美しい虹色の光の柱が立ち上がり、零夜を弾き飛ばす。更にその光柱の中には再生が不可能なまでのダメージと損傷を受けたリビングアーマーの残骸が含まれている。

零夜を弾き飛ばした光柱が徐々に薄れて消えるとそこには瀕死の咲夜を抱き抱えた美鈴が浮かんでいるものの、普段の彼女からは想像も出来ないほど強大な妖力と、本来ならば妖怪が使うことが出来ない筈の神力を身に纏っている。

普段彼女が被っていた緑の帽子は無く、その代わりに二本で一対の雄々しい龍の角が生え、背中から二枚の龍の翼、手や顔の左半分には赤き龍の鱗が生えたまさに人の形をした龍のような姿となっており、腰まで伸びた綺麗な赤い長髪が風に靡いて零夜と対峙する。

163:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/13(土) 06:22

レミリア「あ、あれは・・・・・」

(パチュリーは大体のことは把握出来ているようだが、レミリアは突然の出来事が連続で起きているからか、未だに理解が追いつかない・・・・・

ただ一つ言えるとすれば、希望の光が見えた、ということだろうか・・・・・)

164:目覚めた龍◆5w:2021/02/13(土) 12:33

美鈴
「遅くなってしまい申し訳ありません。」

美鈴は抱き抱えた咲夜に自身の気を操る能力を用いて彼女の生命力と再生力を上げて回復を施しつつ、地へ降り立つと、ゆっくりと咲夜を寝かせるようにして置く。



零夜
「まさか……あの忌まわしき竜族が居たとはな……それも、俺が倒した筈の奴が竜だったとは………」

弾き飛ばされた零夜だったものの、空中で一回転し、足から着地したため、直ぐに体勢を整えることが出来たため、美鈴の姿を見て憎悪の言葉を口にし、両手に持った長剣に再び青炎を纏わせ始める。

165:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/13(土) 17:05

レミリア「美鈴、気をつけなさい・・・・・そいつ、時を止める能力者よ・・・・・咲夜の弟というだけはあるわ・・・・・」

(再び戦闘を始めようと準備を整え始める零夜を見て、レミリアは美鈴に、零夜は咲夜同様に時を止めることが出来る能力者だから、気をつけるように忠告する・・・・・

零夜も人間であることに変わりはないが、その憎悪と復讐心、咲夜への執着心は異常とも言えるからだ・・・・・)

166:目覚めた龍◆5w:2021/02/13(土) 21:53

美鈴
「はい、身に染みています……」

一度零夜の時止めによって動きが封じられていた事もあり、全身を切り裂かれて倒された事があるため、レミリアの助言を聞いて、身に染みて知っていると応えると、パチュリーの気を操ることで咲夜と同じく回復させ始めると、床に寝かせた咲夜の方を見て優しく微笑む。


零夜
「……ふん、一度俺が倒した奴だ。
手負いの竜を一匹片付けることなど容易い事だ。
この竜を潰したら……次はそこの魔女、そしてその次が吸血鬼のお前らだ。」
《ダンッ》
零夜は一度倒した事のあると言うことから美鈴も容易く倒せると考えており、時間停止をすること無く、両手に青炎を纏わせた長剣を持ったまま、咲夜達を見ている美鈴の背後に回り込んでは飛び上がり、頭上から長剣を交差させるようにして振り下ろし、一撃で美鈴を倒そうとした次の瞬間。



《ドゴオォォォォォォォォォォォォォォッ》
零夜の振り下ろした凶刃が背を向けた美鈴の体に直撃するとなったその直後、振り下ろされた長剣が美鈴の体に当たるよりも先に美鈴の放った裏拳が零夜の手にし、交差する双剣を二本をまとめて打ち砕き、そのまま紅魔館の時計塔へ向けて零夜が軽々と吹き飛ばされ、爆発が起こる。



美鈴
「今の私は……"少し"怒っているので加減は出来なさそうですが……それで充分そうですね。」

今の美鈴の姿は、かつて、咲夜が来るまでメイド長を努めていた頃の強く、凛々しい美鈴の姿に戻っているが、それはつまり美鈴が心の底から激昂している事を意味している……
あまり美鈴と接した事の無かったフランの目からすれば、今の美鈴は普段隠していた"本性"をさらけ出したようにも映るだろう。

167:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/14(日) 07:15

フランドール「な・・・・・何あれ・・・・・あれは本当に、美鈴なの・・・・・?いつもと全然違う・・・・・」

(あまり接したことのないフランドールからしても、今の美鈴が見た目以外にも、いつもと根本的に何もかもが違っているということを本能的に直感する・・・・・

いや、寧ろ美鈴の種族を考えれば、いつもの方が本来とは違っていて、寧ろこっちの方が本来に近いのかもしれない・・・・・)

168:目覚めた龍◆5w:2021/02/14(日) 09:06

零夜
「どいつもこいつも……邪魔ばかりしやがって……!!」
《ダッ》
零夜は新たに長剣を両手に持って美鈴に向かって飛び掛かると、美鈴はその軌道を完全に見切っており、振るわれた長剣を次々とその刃を砕き、その度に零夜の魔力を削っていく。


既に館中に張り巡らせていた魔術式によって魔力を消耗し、咲夜との戦いでは体力を大きく消耗しており、時を止めて回避や防御が出来る零夜とは長期戦にはなるものの、美鈴が零夜を打ち倒すことは可能になるだろう。



パチュリー
「美鈴の力で体が動けるようにまで回復出来た……このまま行けば美鈴が彼を打ち倒すでしょうけれど……それだと」

地平線の彼方を見て、今ならまだ日の出には幾らかの猶予があると悟ると、自分の回復よりも咲夜の回復を優先して回復魔法をかける事で、美鈴の気の操作だけでは治癒しきれない外傷を治し始める。

169:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/14(日) 09:54

フランドール「・・・・・」

レミリア「咲夜がここまで追い込まれるとはね・・・・・でも、これでなんとか解決しそうね・・・・・」

(フランドールが唖然としたまま美鈴と零夜の戦いを見る中、レミリアは咲夜ほどの実力者がここまで追い込まれたことは意外だったものの、これで今回の件はなんとか解決しそうだと呟く・・・・・

本来、この戦いは咲夜が終止符を打たなければいけないのだろうが、今正に零夜を上回っているのであれば、このまま美鈴零夜をが倒せば戦いの方は解決、といったところだろうか・・・・・)

170:目覚めた龍◆5w:2021/02/14(日) 16:42

零夜
「…………ッ!こいつは面倒だな……ならば……!!」

零夜は美鈴に向けて振るう長剣、投擲する短剣が次々と砕かれ、魔力によって生成出来る量にも限界が見え始めると、美鈴の繰り出す殴打や蹴りを紙一重でかわしつつ、咲夜の頭上に短剣を生成、召喚して落とすことで仕留めようとする。

171:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/15(月) 06:15

咲夜「・・・・・」

カッ・・・・・!

(頭上に短剣が生成されたその瞬間、咲夜は咄嗟に避けて短剣が地面に突き刺さる・・・・・

どうやら意識を取り戻したらしく、回復した咲夜は立ち上がっては零夜の方を見て、複雑そうな表情をする・・・・・

和解は通用しない、姉として何もしてやれない、こんな時、どうすればいいのだろうかとわからなくなる・・・・・)

172:目覚めた龍◆5w:2021/02/15(月) 12:32

零夜
「…………ちッ!!」

パチュリー
「目が覚めたのなら丁度良かった……今のうちに貴女にこれを渡しておくわ。」

美鈴による回復が効果を発揮したのか、咲夜が短剣を避けたのを見て零夜は舌打ちする中、美鈴が零夜を押している事で自分の回復に魔力を回せるようになった事で自分の回復を行うパチュリーが先程は渡すことが出来なかった封魔のナイフを咲夜に手渡そうとする。



美鈴(龍人化)
「(……おかしい……お嬢様の言うように咲夜さんと同じ時間操作が出来る筈はなのにそれをする素振りすら見せない……何かを待っている……?)」

零夜が生成し、投げ付ける短剣や長剣を美鈴は赤い龍の鱗が生えた両腕を振るうことでに刃を砕き、零夜の振るう剣撃も今の美鈴の体を切り裂くことが出来ず、その一方で美鈴の打撃は防御や回避をしてはいるものの、着実に零夜の体にダメージを蓄積させており、戦況は美鈴達に優位になりつつあるのだが、ここまで追い詰められても尚、零夜は時間操作を行う素振りを見せない。

その事に対して違和感を覚えた美鈴はまさか何らかの状況や状態になるのを待っているかのように感じてしまう。

173:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/15(月) 19:53

・・・・・ありがとうございます、念の為に、忍ばせておきます・・・・・

(咲夜は、弟を〇すことになるかもしれないという感情を抱きながら、パチュリーからナイフを受け取り、服に忍ばせる・・・・・

このまま美鈴と戦っていれば、圧倒的な戦力差によっていずれ零夜は命を落とすだろう・・・・・

せめて命だけは・・・・・命だけは救いたい・・・・・)

174:目覚めた龍◆5w:2021/02/15(月) 23:37

美鈴
「やはり……何かを企んでいる……!!
お嬢様方への危害を及ぼす前に……今ここで仕留める!!」
【華符「破山砲」】

美鈴は零夜との戦いの中、反撃できるチャンスが生じた際に魔術や魔力、時間停止と言ったものを使用せずにただ剣を召喚してそれによって自分の打撃を防ぐことにだけ専念しているところを見て、やはり零夜が何かしらの隙を伺っていると言うことを見破ると、下手に策を打たれないようにしようと考え付く。

美鈴は長剣を交差させるて盾のようにしている零夜に対して、美鈴は屋上の一角に無数の亀裂が生じるほどに強く踏み込み、龍の力と気の力を及ぼす交ぜた一撃必殺の威力を込めた虹色の光を纏わせた拳を繰り出し、交差させて防御体制に入っている零夜を長剣もろとも遥か時計塔のある方向に向けて殴り、零夜の手にした長剣を二本とも打ち砕いて彼の体を軽々弾き飛ばし、時計塔内へと外壁を破壊して叩き込む。



美鈴
「手応えあり……勝負はつきましたね。」

零夜の腹部を捕らえた確かな感覚があった事と、殴り飛ばされた零夜からは徐々に気が弱まっていくのを感じ取り、これで完全に決着が付いただろうと確信を得る……もう魔術や召喚術を使えるほどの余力も、時間操作をするだけの力も残されておらず、辛うじて生きているのが関の山と言ったところだろうか。

175:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/16(火) 06:21

・・・・・

(咲夜は、ただただ立ち尽くしながら零夜が殴り飛ばされた方向へと視線を向ける・・・・・

生きていたのなら、できればこんな風に再会することも、戦うこともしたくはなかった・・・・・

昔も、そして今も、姉として何も出来ない自分自身が嫌になってくる・・・・・)

176:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/16(火) 08:07

零夜
「……………ははははははッ!!」

美鈴の一撃によって殴り飛ばされた先、立ち込める土煙の中、ボロボロになった零夜が瓦礫の中から立ち上がり、高らかに笑い始めている。
先程していたような自分の肉体の時間を巻き戻して回復する事すら出来ない程に満身創痍になってはいるものの、その手には先程零夜の手から落ちた黒血が入った注射器を持っている。

零夜が防御に徹し、まともに反撃をしなかったのは注射器の落ちた場所を確認していたからであり、注射器の在処を確認すると、一気に勝負をつけようとする美鈴が何らかの大技を出してくると言う事まで読み、敢えてその一撃を受けて注射器の落ちている場所まで吹き飛ばされるように誘導していた。



零夜
「これで俺の……勝ちだ!!」

零夜は手にした注射器を今度は何の躊躇いもなく自分のくびすじに刺し、そのまま黒血を流し込み、黒血を取り込み始めていく……

177:消えた過去と歪んだ未来(今)◆gI:2021/02/17(水) 06:07

咲夜「なっ・・・・・!?」

(零夜のとった行動に、姉として何もしてやれないという葛藤が一気に晴れるほどの衝撃を受ける・・・・・

レミリアを先に拘束したり、自身の体の時間を戻して回復に応用したりなど、戦いにおいて用意周到な零夜のことだ、恐らくは零夜の飛ばされた先に注射器が偶然あったのではなく、零夜は自分で注射器を取りに行けないのであればと、敢えて美鈴を誘導してこうなるように仕向けていたのだと察すると、後戻りできない取り返しのつかない事態に心の底から震えが生じ始める・・・・・)

178:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/17(水) 12:12

美鈴
「マズい……!!!」

零夜が自分自身の首に黒血を注入としているのを見た美鈴が再度虹色の光を纏わせた拳を撃ち込もうと零夜に迫るものの、美鈴が放った拳は零夜の左手によって掴まれ、制止される……
黒血を取り込んだ零夜の身体には無数の血管が浮かび上がり、目からは血の涙が流れ、彼から感じられる魔力が禍々しいものへと変わっていく。



零夜
「やってくれたな……竜人!!」
《メキッ》
美鈴
「ぐッ……うああああッ!!」

零夜は掴んだ美鈴の拳を片手で握り潰し、美鈴はそのあまりの激痛に叫ぶ……零夜は黒血を取り込んでまだ数秒しか経っていないにも関わらず、ここまで力が跳ね上がっている事から、黒血を完全に吸収し終えた場合、どれほどまでの力を得るようになるのかは想像すら困難……

179:終わりの時◆gI:2021/02/17(水) 15:57

・・・・・おい

(零夜が美鈴の拳を片手で握り潰した次の瞬間、背後から声が聞こえる・・・・・

その短い一言の中には、殺意にも似た威圧感が込められている・・・・・

零夜と咲夜、最終決戦の幕が上がった・・・・・)

180:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/17(水) 17:29

零夜
「…………!
……ふん、背後に回り込めば奇襲が出来るとでも思ったのか?」

零夜は背後から声が聞こえて来ると、後ろに回り込めば奇襲を仕掛ける事が出来るとでも思ったのかと言い放つと、零夜の背中から四枚の二対の巨大な青黒い蝙蝠やドラゴンのような翼腕がある翼が展開される。

直接背中から生えた翼では無いものの、常時後方5mに接近不可、生存不可の翼型の魔力嵐が形成されているため、下手に背後に回り込もうとすれば翼を構成している魔力の奔流によって呑み込まれ、バラバラに引き裂かれ、塵にされてしまうだろう。

181:終わりの時◆gI:2021/02/17(水) 18:05

奇襲?そんな卑怯なことしないわ・・・・・

(そう言うと「相手がアンタじゃなかったらね・・・・・」と言い、ナイフを構える・・・・・

まさか何の躊躇いもなく血を取り込むとは予想外だったが、こうなってしまった以上、咲夜が夢見た和解などもう到底叶わず、倒すか、相打ちかのどちらかしか本当に道は残されていないということになる・・・・・)

182:復讐の果てにある闇◆5w:2021/02/17(水) 21:41

《ゴオォォォォォォォォォォォッ》
零夜の背中から展開された四枚の竜翼のような形状の闇の魔力の奔流が零夜の背後に回り込みナイフを構えた咲夜の体を呑み込み、跡形もなく消し去ろうとする。

183:終わりの時◆gI:2021/02/18(木) 06:22

・・・・・こんなに変わり果てて・・・・・

(ついさっきまでは、ただただ復讐心によって性格が変わり果ててしまっただけだったものの、今となってはもはや種族も含めて何もかもが変わってしまった・・・・・

咲夜は哀れんで呟く・・・・・)

184:成れの果て◆5w:2021/02/18(木) 08:02

零夜
「俺は復讐のためにここまで捨てたぞ……!!
人間の心も、人間の体も……全てを捨てて復讐の化身となった!!」

零夜は自身の背中から展開した魔力翼で呑み込んでその体を焼きながら、美鈴の体を叩き付けるようにして投げ、二人をまとめて葬り去ろうとする。

零夜の本来の性格は大人しく、自分だけでなく、家族も守りたいと願っていた優しい心を持っていた……いったいどれだけの苦痛を、絶望を味わえばここまで歪んでしまうのだろう。

185:終わりの時◆gI:2021/02/18(木) 20:58

・・・・・残ったものがただの復讐心だなんて、哀れな・・・・・

(そう言うと、咲夜はパチュリーから先ほど受け取ったナイフを取り出そうとする・・・・・

どんなに変わり果てても、何もかも変わったとしても、やはりずっと会いたかった実の弟・・・・・

いざ倒せるのか、トドメをさせるのかと問われたとしたら、はいかいいえで答えるのではなく、首を横に振るだろう・・・・・)

186:成れの果て◆5w:2021/02/19(金) 00:33

美鈴
「ぐ……うッ……!!」

咲夜目掛けて投げられた美鈴の体に魔封のナイフを取りだそうした事や、ナイフを構えていた事が仇となり、美鈴の体に咲夜のナイフが突き刺さり、更に何の防御も回避もせずに魔力嵐の中にいた事で、2人の体を零夜が展開した魔翼が呑み込み、二人の体を少しずつ切り裂き始める。

荒れ狂う濃縮された魔力の嵐は皮膚を裂き、肉を切りる。
一呼吸ごとに体内にまで魔力の奔流が鼻腔を通して肺にまで到達し、刃のような魔力の暴風によって体を外側からだけでなく、内側からも切り刻まれてしまうことになるだろう。



零夜
「ハハハハッ!なんとでも言え!その哀れな奴にお前は消されるんだからなぁ!!」

魔封のナイフを使えば変異途中の零夜の力を封じて倒すことが出来るかもしれない……だが、人間の頃であればいざ知らず、今の彼は人とは根本から異なる異形にして異質な存在になりつつある。

それも、パチュリーのように人間に近い性質を持った魔女であるのならばまだ魔力を封じられてある程度のダメージを受けるだけに抑えられるものの、邪悪や魔力の塊のような存在になりつつある零夜が受ければ体の大部分を占めるように侵食を続ける黒血そのものが消失することになるため、零夜の死を意味することになる……

だが、それも全ては零夜が何らかの決定的な隙を見せなければナイフを当てることすら叶わないだろう。

187:終わりの時◆gI:2021/02/19(金) 06:08

・・・っ・・・・・!美鈴!落とし前は後でしっかりつけるからもう少しだけ協力してちょうだい!

(本来なら自分のせいで美鈴の体にナイフが突き刺さってしまったことに精神的なショックを受けるものの、今はそれすらもできないほどの緊急事態であるからか、美鈴に対してこの落とし前はあとでつけるからもう少しだけこの戦いに協力してくれと懇願する・・・・・)

188:終わりの時◆gI:2021/02/20(土) 17:10

>>187に付け足します!】

(咲夜は美鈴にもう少しだけ協力してくれと頼めば、そのまま美鈴の腕を引いて魔翼から抜け出す・・・・・

抜け出したはいいものの、さっきまでとは何もかもが桁違いになっている上に、まだ完全に馴染んではいないであろうことから、これから更に力は増してゆくばかりだろう・・・・・)

189:惨劇の時◆5w:2021/02/20(土) 17:58

【OKです!】


美鈴
「私に出来ることなら何でもやりますよ……!!」

咲夜の異様な回復力や、あの命を奪う魔の嵐の中でも平然としていた事に驚くものの、自分に出来ることがあれば協力を惜しまないと応える。



零夜
「ハハハハハ!凄まじい力だ!人間である事を辞めるだけでこれだけの力が手に入るのならばもっと早くに辞めておくべきだったな!!」
【惨爪「狂刻千裂ノ業罰」】
《ズガガガガガガガガガガガガガガッ》

魔翼による嵐から咲夜達が脱出すると、二人の方へと振り返り、零夜は背中から展開した四枚の翼を四本の巨大な三本指の細長い腕へと変化させるとそれらを滅茶苦茶に振り回し、周囲一帯に無数の青黒い斬撃が繰り出す。

その千を超える斬撃の一つ一つに人体を容易く切断できる威力があり、一撃でもまともに受けてしまえば致命傷は免れないだろう……

190:終わりの時◆gI:2021/02/21(日) 13:24

本当に人間じゃなくなったようね・・・・・

(咲夜は美鈴の手を掴んだまま零夜の斬撃を紙一重で避けてゆく・・・・・

最初から歪んでしまってはいたものの、それでもまだ家族を助けられたはずなのに助けずに一人逃げた咲夜に対する復讐心から襲撃を仕掛けるという、まだ人間らしい部分があった・・・・・

だが、今は違う・・・・・

零夜の言葉は、血を取り込んだことによって人格にまで影響が及んでいるのか、それとも零夜の本音の一つなのかは定かではないが、ただただ力を求めるあまりに変わり果ててしまった愚か者の成れの果ての言葉に聞こえ、容姿の変化もその欲望に見合った相応の結果に思えてくる・・・・・)

191:決別の時◆5w:2021/02/21(日) 14:25

零夜
「言っただろ?人間である事を辞めて完全なる破壊と殺戮の化身と化そう……とな。」
【惨翼「狂刻滅潰ノ災禍」】
《バゴォッ》
零夜の四本の腕の一つが咲夜と美鈴を中心とした半径10mを球体状に抉り取り、消し飛ばす事で館の一角がまるで何かを補食されたかのように半円状に削り取られる……その威力から、即座に範囲外にまで逃れなければ、肉片一つ、血液の一滴も残らずに消し飛ばされてしまう事になるだろう。



零夜
「一つ良いことを教えてやる。
後30分で夜明けになる……これが何を意味しているのかは説明しなくてもわかるな?」
【惨腕「狂刻暴裂ノ翼撃」】
《ドドドドドドドドドドドドドドドドッ》

半円状に館の一部もろとも消し飛ばすだけに飽き足らず、例え今の一撃を避けたとしても即座に撃滅出来るように背中に展開した四本の巨腕が再び翼状に戻ると同時にその羽根を飛ばす事で一気に畳み掛ける。

その羽撃の威力は凄まじく、館の壁や天井、床を貫き、中に避難していた多数の妖精メイドの体を貫き、バラバラに消し飛ばして行く。この羽根による猛攻を受けた場合、あらゆる防御は意味を成さず、足を止めた瞬間にその体は無惨にも貫かれ、妖精メイド達と同じ末路を辿ることになってしまうだろう……

更に、羽根を弾丸のように撃ち込みながら、零夜は空いた右手を自分のズボンのポケットから取り出した銀の懐中時計を開けてその秒針を咲夜達に向けて残り30分もすれば夜明けを迎え、磔にされているレミリアとフランの二人がその陽光によって焼き尽くされ、消滅してしまうと言うことを告げる……

192:終わりの時◆gI:2021/02/21(日) 15:26

・・・っ・・・・・!!!!!

ぐっ・・・・・

(咲夜は、目の前で館の一部が抉り取られる挙句、妖精メイド達も次から次へと無残にもバラバラにされてゆくその悲惨な光景を見て、咲夜は零夜の猛攻を避けることに専念しながらも、怒りが込み上げてくる・・・・・

怒りのあまり、拳に人間とは思えないほどに強い力を込め始める・・・・・

そして咲夜自身は怒りのあまりに気づいていないものの、美鈴の手を掴んでいる方の拳も強い力が入り、どれほどの怒りがわいているのか、美鈴にも十分伝わる・・・・・)

193:破滅の時◆5w:2021/02/21(日) 17:53

零夜
「だが、あの吸血鬼姉妹やそこの竜人、魔女は俺の狙いじゃない……俺の狙いは最初からお前一人だ。お前だけは何に変えても必ず消す……!!」
【惨爪「狂刻捻壊ノ裂葬」】
《ドドドドドドドドドドッ》

零夜は撃ち込んだ無数の羽根弾の一つ一つに媒体として無数の黒い竜巻を生じさせ、付近にある全てのものを引き込み、瓦礫であろうと骸であろうと、関係無く引き寄せ、呑み込み、バラバラに引き裂き消失させている。

更に、その黒い竜巻からは無数の黒い真空刃が放たれ続け、それら全てが咲夜一人を狙っており、真空刃を受けて足を止めたところを竜巻によって一気に引き込もうとする。



美鈴
「正面から向かっても迎撃されてしまう……
咲夜さん!何か……策はありますか?」

体勢を立て直した美鈴は強い怒気を感じる咲夜に対し、何か策はあるのかと聞きつつ、彼女に向けて放たれた羽根弾や真空刃の一部を両腕に赤龍の鱗を纏わせて弾く事で支援する。
だが、このまま行けば時間だけが過ぎて行くことになる。
そして、その時間の果てにあるのはレミリア達の消滅という最悪の未来だ……

194:終わりの時◆gI:2021/02/21(日) 18:11

・・・・・策・・・・・策は・・・・・

(こんな時だからこそ機転を利かして何かしらの策を導き出さなければならない・・・・・

が、それは戦う相手が常人ならの話・・・・・

零夜は時間停止能力も通用しなければ、ヴァルターの血を取り込んで時間経過と共に徐々に力が跳ね上がってゆく・・・・・

守らなければならないモノを守るべくして戦っているのに、その為の策が何も浮かばない・・・・・

まず、策を練っていられるほどの余裕なんてない・・・・・)

195:終焉の時◆5w:2021/02/21(日) 20:16

美鈴
「……それなら……私がアイツを引き付けます。
その隙に咲夜さんは魔封のナイフを当てて下さい。」

美鈴は策を弄する余裕が無く、回避に専念している咲夜に対して咲夜が持つ特異なナイフの気を察知し、それが魔封の効果を持っているのではないかとまで推測した上で自分が囮となって隙を作り、その隙を付いて魔封のナイフで零夜を討って欲しいと言う。

だが、それは下手をすれば美鈴も零夜に殺害されてしまうだろう……そうなってもおかしくは無いほどの強大な力を持つ存在に零夜は成ってしまっている。更に、ナイフを当ててもそれで倒しきれると言う確証はなく、あまりにもリスクの大きい賭けとなっている……



零夜
「もういい……この館もろともお前らを消し飛ばしてやる!!!」
【惨滅「狂刻鏖滅ノ炎陽」】
《ギゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……》

零夜はなかなか攻撃が当たらない事に痺れを切らし、両腕を振り上げると頭上に禍々しい青黒い炎の塊生成し始める……すると、まるで空間そのもが軋んでいるかのような異様な音を響かせ、紅魔館を覆う結界内にある全てのものを消滅させられるだけの途方もない破壊力を持った大技を繰り出そうとする。

零夜の生成した太陽がごとき炎球はそれなりに離れているレミリアや美鈴達でも呼吸が苦しくなり、肌が焼かれるような強烈な熱を放っている。

196:終わりの時◆gI:2021/02/22(月) 06:20

・・・・・美鈴・・・・・

(元を辿れば自分がこの惨劇の元凶でもある為、なるべく家族を巻き込むような事態に発展させたくはなかった・・・・・

だが、協力なくしてこの戦いを終わらせることは不可能・・・・・

美鈴が囮となり、零夜が大技を繰り出そうとしている今この時、咲夜は魔封のナイフを構える・・・・・)

197:狂絶の時◆5w:2021/02/22(月) 07:53

美鈴
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
【星気「星脈地転弾」】

先程零夜に掴まれ、握り潰された拳を気の集中による再生力の向上に加えて強固な赤龍の鱗で外からも支える事でギプスの役割を果たすようになっており、咲夜が回避を手伝ってくれた事である程度動かせる程に回復することが出来た。
再び腕を握り潰されてしまうかもしれない、失敗して全て無駄になるかもしれないと言う不安を振り払うように、気力を振り絞るように、吼えると両腕に虹色に輝く巨大な光球を形成していく。

本来ならば周囲の気を集め、それらを練り上げる事で威力を高めるのだが、気を練るような余裕を与えてはくれないだろう零夜への迅速な攻撃を可能にするため、自身の体に流れる気を回復や身体強化に回していたものも全てこの一撃へ込め、零夜に向けて放つ。



零夜
「はははは!今の俺は竜の力をも凌駕している!!その無駄な抵抗もろとも潰れ、塵となれ!!!」

零夜は大きく挙げていた両腕を勢い良く美鈴達に向けて振り下ろし、闇の魔力を源とする青黒い炎によって作り出された巨大な魔炎弾がゆっくりと美鈴と咲夜の二人をまとめて呑み込もうと迫る……
零夜の放つ魔炎弾は美鈴の渾身の一撃である虹色の光球の数倍はあり、案の定、美鈴の一撃も押し返され始めてしまう。

だが、攻撃に集中している事と、多少ダメージを受けようと、この一撃が決まればこの結界内にいる自分を除いた全ての存在が焼き尽くされ、消滅すると言う事実から周囲への注意が薄れている。

198:終わりの時◆gI:2021/02/22(月) 19:40

・・・・・

(咲夜は零夜へ魔封のナイフを投げる為、狙いを定める・・・・・

今までこんなにもナイフを投げる対象に照準を合わせることはなかった・・・・・

手が震える・・・・・もし外したらという不安からか、それとも・・・・・)

199:滅壊の時◆5w:2021/02/22(月) 20:43

美鈴
「……く……ぅ……!!想像以上に重い……!長くは……持たない………!!」

美鈴はまだ完全には練り終えてはいないものの、周囲の気も少しずつだが虹の光球へ送り込み、威力を上げてはいるものの、零夜が持つ莫大な闇の魔力を前に殆ど効果は無く、数分は持ちこたえていられると考えていたものの、早くも片膝を付いてそう長くは持ちこたえてはいられないと呟く。

200:終わりの時◆gI:2021/02/23(火) 08:36

ヒュォッ・・・・・!

(咲夜は零夜の胸へとめがけて、魔封のナイフを全力を込めて投げつける・・・・・

咲夜の心境としては、無・・・・・

弟へ対する罪悪感、この手で葬らなければならない運命、今の家族の命の安全を第一にするべきという現状、様々な感情が入り乱れて投げたナイフを見つめながら、咲夜は無表情のままいつの間にか涙を流していた・・・・・)

201:決着の時◆5w:2021/02/23(火) 09:11

零夜
「ははははは!潰れろ!消えろ!!
この世から完全には消え去れ!!!」

零夜は憎悪と怨念が混ざった罵声を怒鳴りながら、増大する闇の魔力を利用して美鈴の抵抗を押し切って館もろとも全てを消滅させようとしており、減るどころか増していく零夜の魔力を前に美鈴も遂に限界を迎えようとしていた……

だが……そこへ一閃。
咲夜の投げたナイフが夜明け前の夜闇を切り裂くかのような一筋の銀光が走り、それが零夜の右肩に突き刺さると、一時的に零夜の得ていた莫大な闇の魔力が制御を失い、魔炎の太陽が弱まり、美鈴の虹色の光弾に逆に押し返されて消滅し、更には零夜の体が床へと崩れ落ち倒れる。



零夜
「ぐッ………!これは……俺が投げたナイフ……!?
そうか………あの時に魔女に刺さっていたものか!?」

零夜は奇しくもパチュリーと同じ右肩に刺さった魔封のナイフの柄を掴み、そのまま引き抜こうとする。反撃のチャンスは今しかない。
だが、パチュリーが銀の鎖にかけられた拘束術式を解除して助け出そうとしているものの、未だ拘束されているレミリアとフランは勿論、美鈴は周囲の気だけでなく、自身の気も全て出しきっているため疲弊しきっており、魔力の回復も未だ不完全なパチュリーも追撃に参加する事が出来ない……

決着は咲夜の決断と実力に委ねられた………

202:終わりの時◆gI:2021/02/23(火) 13:09

・・・・・ぁぁあああああああああああああああぁああぁぁあああああっ!!!!!

ズブッ・・・・・!グサッ・・・・・!

ズブッ・・・・・!グサッ・・・・・!

ズブッ・・・・・!グサッ・・・・・!

(零夜が魔封のナイフを引き抜こうとしたその時、その隙を狙って咲夜は零夜へと飛びかかり、馬乗り状態でナイフを引き抜くと、今度はそのまま零夜の心臓めがけてナイフを振り上げ、ナイフの刃が全て見えなくなるまで零夜の胸へ深々と突き刺す・・・・・

それを何回も何回も、ただひたすら、無我夢中と言わんばかりに繰り返す・・・・・)

203:絶望の時◆5w:2021/02/23(火) 17:16

零夜
「…………ッ!!」
《ガッ》
零夜は咲夜が飛び掛かって、押し倒し、肩に刺さっていたナイフを引き抜いて自分の心臓目掛けて振り下ろそうとするのを見て、ナイフを振り下ろした右手の手首に自分の両手を交差させて右手を止める事でナイフの刃を制止させる。

204:終わりの時◆gI:2021/02/24(水) 03:54

グググッ・・・・・

・・・っ・・・・・っ・・・・・!

(咲夜は右手を止められても尚、力を込め続けながら零夜を押してゆく・・・・・

咲夜の目からは涙がこぼれ、零夜の頬に一粒、また一粒と落ちてゆく・・・・・

せめて自分が姉として零夜にしてやれることと言えば、もうこの手で葬り去ってやることぐらいしかない・・・・・)

205:決着の時◆5w:2021/02/24(水) 08:06

零夜
「………ぐッ!また……また俺を見捨てるのか!?」

体勢的に自分の腕力だけでなく、全体重もかけられる咲夜とは異なり、黒血を取り込んでしまったばかりに存在そのものが魔に成り果てた零夜にとって魔封のナイフは大きな脅威となってしまっている。

背中に展開していた魔翼も魔封のナイフが刺さった事で消滅し、更に魔封のナイフが近くにあるため常時魔力を消耗し、弱まっている零夜の腕力だけでは長くは防げず、徐々にナイフの刃が迫る中、涙が零れておる相手に対して「また見捨てるのか」と口にする。

206:終わりの時◆gI:2021/02/24(水) 14:38

ピタッ・・・・・

・・・・・

(咲夜の動きが止まる・・・・・零夜からすれば咲夜に反撃する隙を作る為に動揺するように放った言葉だと思われるが、咲夜からすればその言葉は、胸を締め付けるほどに酷な言葉だった・・・・・

数年前のあの日、零夜や両親を見放して自分だけ助かろうとしたわけではない・・・・・

ただ、怖かった・・・・・時間を止めることが出来るにしても、裏を返せばただそれしかできない・・・・・

今ならまだともかく、幼少期の自分からすれば、時を止めることが出来ても恐ろしすぎて何もできなかった・・・・・

咲夜は、零夜に向けたナイフを止めたまま、手が震える・・・・・)

207:決着の時◆5w:2021/02/24(水) 18:41

零夜
「お前は何時だってそうだ……!
守る、救う、助ける……そんなものは全てただの戯言だった!
俺は父を、母を最後まで守ろう、助けようと戦った!
家族を失ってからも姉さんに会うために必死で戦い、もがき、生き抜いた!何度も死にかけた!何度も叩きのめされた!何度も地の底を這い回った!生きるために盗みをしたり殺人もした!」

死の縁に追い込まれた者は取り繕っていたものが剥がれ、その本性が露となる……零夜の本性…本音が咲夜の心を突く言葉の刃となってしまっている。零夜は咲夜を動揺させるために吐いた言葉ではなく、剥がれた本性のままに言葉を口にしているため、そのまま咲夜を攻める言葉を続けていく。


零夜
「血を吐くまで蹴られた事があったか?
餓えのあまりムカデやネズミを生のまま食った事は?
醜悪な貴族からの拷問を受けた事は?
目の前で親しい奴隷仲間の命を潰された事は?
俺は地獄の中でしか生きられなかった……だがお前はどうだ!?
俺にはもう、受け入れてくれる家族も!心を許せる仲間も!帰るべき場所も!守るべきモノも!何も無い!!全てを失った!!!」

零夜の抱く憎悪と怨念が、零夜の魔力となって急速に回復していく……
このまま放っておけば零夜は再び強大な魔力を得て、二度と今のように有利な状況を作ることは出来なくなってしまうだろう……
加えて……既に地平線の彼方には日の光が空を照らし始めており、残された時間は数分しか無いだろう……

208:終わりの時◆gI:2021/02/24(水) 18:59

私だって守ろうと思ったわよ!!!!!でも所詮子供の力じゃあ時を止められても、それくらいしかできなかった・・・・・!!!!!ずっとずっと・・・・・ずーっと後悔していたわよ!!!!!

(零夜が咲夜に怒号を浴びせたように、咲夜も零夜に怒号を浴びせる・・・・・

子供の浅知恵と力では時を止められてもそれ以上はどうしようもできなかったこと、ずっと後悔しながら生きてきたこと・・・・・

しかし後悔してももう遅い・・・・・)

209:終戦の時◆5w:2021/02/24(水) 23:40

《パキィィィィィィィィィィンッ》

咲夜と零夜が対峙し、怒声を交わす中、突如として紅魔館を覆っていた零夜の展開した巨大結界が強制的に解除され、まるで砕かれたガラスのようにバラバラになって落ちて来る……
ガラスとは異なり、その破片に当たっても無力化された破片達が当たることはなく、建物や体をすり抜けて地上へと吸い込まれるようにして落ち、消えていく。



魔理沙
「よーし、そこまでだ!お前ら!」

零夜と咲夜の傍へ、砕かれた結界の間を縫うようにしてきらびやかな星弾を巻きながら箒に跨がった魔理沙が二人に八卦炉を向けて戦いを辞めるようにと仲裁をしようとする。
零夜は反撃や攻撃のために動こうとすれば、咲夜は時間を操作しようとしたり、ナイフをそのまま零夜に押し込もうとすれば、その瞬間にはマスタースパークを放てるようにと臨戦態勢に入っている。

210:終わりの時◆gI:2021/02/25(木) 05:43

・・・・・何しに来たの・・・・・?

(破片が落ちては消えてゆくという、幻想的な光景ではあるが穏やかではない状況の中、無数の破片に咲夜と零夜の顔が反射しながら落ちてゆく・・・・・

咲夜は魔理沙の方を向けば、何をしに来たのかと問いかける・・・・・

咲夜からすれば、魔理沙達の駆けつけなど眼中にないほどに心が締め付けられている・・・・・)

211:終戦の時◆5w:2021/02/25(木) 08:02

魔理沙
「何をしに来たのかって、見てわかるだろう?異変が起こりそうだったから面倒になる前に止めに来ただけだ。」

箒に跨がり、八卦炉を構えたまま異変が起こりそうな予感がしたため、幻想郷中に波及する前に止めに来たのだと応える。

212:終わりの時◆gI:2021/02/26(金) 04:41

・・・・・邪魔しないで・・・・・これは私が片付けなきゃいけない問題なのよ・・・・・

(今回の出来事の原因は自分にもあるし、今回のことは咲夜も、そして零夜も、自分自身で決着をつけなければ気が済まないし、自分達で決着をつけなければならない・・・・・

恐らくこれに関しては、零夜も同意見だろう・・・・・)

213:決着◆5w:2021/02/26(金) 17:24

霊夢
「……ええ、そうね。
だから貴方達同士の事にはこれ以上手出しはしない。
ルーミア、日の光を防いで。」

八卦炉を構える魔理沙とは別に、レミリアとフランの二人が磔にされている前に霊夢が上空から降り立ち指先で十字架目掛けて数回だけ空間をなぞるように動かすと、二人を拘束する銀の鎖の拘束封印効果が解除される。

魔力が枯渇し、体力と魔力の回復途中であったとは言え、パチュリーでさえ、相応の時間が必要となる拘束術式を容易く解除したのを見てパチュリーは唖然とする。

また、今の状況について把握していたのか、ルーミアを呼んでレミリアとフランの二人を闇玉で包み込む事で地平線の彼方から登って来る太陽からの光から二人を守る。



零夜
「………いや、どちらにせよ、もうタイムオーバーだ。」

夜明けの光によって照らし出される中、ヴァルターの血を取り込んだ事で吸血鬼となった零夜の体が焼かれ始めている。そんな中でも零夜は何時でも反撃できるだけの魔力を回復し、隙も幾らでもあったにも関わらず、敢えて両腕の力を抜き、咲夜のナイフが零夜の心臓を貫く……

214:止まる時間と残る時間◆gI:2021/02/27(土) 03:28

・・・っ・・・・・!

(零夜が両腕の力を抜いて自分が向けていたナイフの刃先が零夜の心臓を貫けば、咲夜は唖然とする・・・・・

「・・・・・どうして・・・・・?どうしてよ・・・・・」

咲夜は大粒の涙を両目からこぼしながらどうしてと零夜に問いかける・・・・・)

215:決着◆5w:2021/02/27(土) 12:33

零夜
「………気付いていたよ。
あの日、姉さんが俺達を見捨てた訳じゃなかったと言うことに…」

この屋上に着いてから……いや、それ以前に最初の異界の猟犬との戦いでも猟犬との戦いでもそうだった。

壁や結界は零夜の能力でも得意分野でも無かったため、本気で怖そうと思えば壊して逃亡する事も出来た筈だ。だが、それをせず、あくまでも自分の前に立ち、戦いの中でも一歩たりとも下がろうとはせず、最後まで自分と向き合っていた。

そんな姉が幾ら幼かったからとはいえ、自分達を置いて逃げ去る訳がないと言うことを戦いの中でも零夜自身も理解していた……だからこそ、何時でもトドメを刺せるような状況であったにも関わらず、それを一切しなかった……



零夜
「これで……よかったんだ………」
《カチッ》

零夜は心臓を貫かれており、吸血鬼化した影響で辛うじて話せてはいるものの、登る太陽の光が零夜の体を焦がしており、数分とたたずに零夜は消滅するだろう……

そんな確実な死が目の前に迫っているにも関わらず、零夜は穏やかな笑みをしたまま、弱々しい手付きでズボンのポケットから銀の懐中時計を取り出し、それを介して時間を巻き戻し、破壊された館や、殺害された妖精メイド達を甦らせ、逆に館中に召喚していた魔物達を異界へと送り返し、まるでこれまでの戦いが起こらなかったかのように綺麗な状態へと戻していく。

だが、霊夢達や、咲夜の刺したナイフはそのままになっており、零夜の時間は一秒たりとも戻ることはなく、寧ろ魔力を失った状態で大規模な能力の発動を行った事によって完全に力を失う。

216:止まる時間と残る時間◆gI:2021/02/27(土) 19:48

・・・・・嫌・・・・・逝かないで・・・・・

(もはや消える運命しか残されていない零夜を抱き締めながら、咲夜は泣く・・・・・

互いの時計の針は狂ってしまったまま、ここまで来てしまった・・・・・

ようやっと零夜が理解してくれたその時が別れの時だなんて、姉として非常に辛い・・・・・)


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