匿名民のCPを勝手に作るスレpart14

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1:匿名の腐女子:2016/08/20(土) 18:48

かつて匿名板で名を轟かせた宣伝やしこしこあっさん、そして今現在人気急上昇中の人狼スレのみんなを 匿名民のみんなで CPを作っていこう。 なお本人の登場はやめてくださいね!ややこしくなるので

人狼メンバーの百科はこちら【http://go.ascii.jp/hx3
人狼メンバーCPの百科はこちら
http://dic.pixiv.net/a/%E5%8C%BF%E5%90%8D%E6%9D%BF%E4%BA%BA%E7%8B%BC%E6%B0%91CP%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81
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http://nanos.jp/anti111/bbs/3/

暇がある方は随時更新お願いします!
ただし更新前は混乱を避けるために一言お願いしますね!

351:匿名の腐女子 hoge:2016/08/27(土) 22:08

>>287の悪魔さんとしゅしゅさんの設定を一部お借りして書いたものを投下しますわ。

舞台設定が不可思議ですが人狼が襲撃していない人狼村とお考えくださいまし。
無駄に長くなってしまいましたので2レスに分けますけれどCP要素は限りなく薄くってよ。

352:匿名の腐女子 hoge:2016/08/27(土) 22:11

彼は火が好きだ。

火が灯る、火が燃やす、火が揺らめく。その全てに美しさを感じ陶酔する。
その喜びは彼の全身から滲むようにして伝わってくるのだ。しかし何も知らぬ者であれば、そんな彼の内情にそうそう気付かないだろう。

自分も初めて彼の家を訪れたときには不思議に思ったものだ。
「電灯があるのになぜキャンドルを置くのだろう」と。
何の気なしに尋ねると「度々火の柔らかい灯りに癒されたくなるから」という答えが返ってきた。誤魔化すような笑みが気になったが、確かそのときは適当な相槌を打って話題を変えたと思う。

暫く彼と過ごした今ならその理由も分かる。
彼は無意識の内に側に火を置くようにしているのだ。
居間のテーブルや浴室の中にはもちろん、家の至るところにキャンドルがある。
やかんで湯を沸かすとその側を離れない。
理由をつけてはごみを燃やしに行く。
ポケットには絶対に吸わないはずの煙草と、それからライター。

ただし本人もそれが自分の特徴から異常になりつつあることに気付いているようで、それであんな風に笑ったのだろう。


「おーっす、しゅしゅたん」
彼の部屋には今日も可愛らしい火がともる。
「こんにちは。本を借りたいということでしたよね」
玄関先で出迎えてくれる彼の顔にも仄かな灯り。
「そうそう。それを口実にしゅしゅたんと遊ぶのが目的だけどな」
「そんな目的は知りませんが」
軽口にはこうして辛辣な言葉が帰ってくるが、本気で嫌っているわけではないのは分かる。証拠に、テーブルの上にはカップが2つ。

「あなたが知りたがっていたことならこの2冊
で補えると思いますが、どうですか?」
「うん。これで良さそうだ、ありがとう。しばらく借りて良いか?」
「ええ。返すのはいつでも構いませんよ」
2冊の本を鞄にしまう。
彼の知識とそれの源である大きな本棚は、手に入るというなら欲しいくらい素晴らしいものだった。
「用は済んだはずですが、どうせこのまま帰る気は無いのでしょう」
「そりゃあもちろんな」
「それなら少し待っていてください。お茶を注ぎ直してきますから」
そう言って2つのカップを掬い上げる。
そのとき視界の端に鈍い光がちらついた。

「知恵の輪?」

拾い上げればジャランと音を立てる金属の絡まり。玩具店でよく見る一般的なやつだ。
「しゅしゅたん知恵の輪やるのか?」
「ああいえ、それは貰い物です。でもそれが綺麗なんですよね」
「綺麗?」
「ええ。蝋燭の火に翳すと、少しだけ綺麗に見えるんです」

また火か。
彼は一人ここに座り、知恵の輪の向こうで揺れる火に酔うのだろうか。今のは些か彼を損なうような言い方だが。
彼が火に関わるとどうしても首元が苦しく感じられるのだ。

「知恵の輪というよりただの金属として見てるってことか」
「手慰みとして扱うことはありますよ。真剣に取り組んだことはありません」
湯気の立つカップを2つ並べる。
「少し沸かしすぎたので熱いかもしれません」
「平気平気、サンキュ」
『沸かしすぎた』の一言にも首が絞まる。
カップの持ち手をぎゅっと握ると、手元に視線を感じた。

「指のそれはどうしたんですか」
不意を突かれ驚いた。巻かれた絆創膏をそっと隠すように撫でる。
「ちょっとこの前包丁でざっくりな。っても軽傷だから気にすんな」
「危ないですね、お大事にしてください」
「サンキュ。ところでさしゅしゅたん、やっぱ気を付けた方が良いぜ」
「何にでしょう」
「火の扱い?この前も裏山で火事起きてヤバかったじゃん。結構乾燥する時期だしさ」

浮かぶのはあの日の彼の顔。
こちらに迫ろうかというほど燃え盛る火をぼんやりと眺める様は異様であった。
こちらが必死に腕を引っ張ってようやく生きた顔をしたのだ。

「あれは、君に助けられました。火がこちらまで来るのではと考えたまま体が動かず」
「良いって。俺消防呼んだだけだし、おまけに良いもの貰っちゃったしさ」
申し訳なさそうに眉を寄せる彼にからからと笑って手を振ってみせる。この話題は今有効ではなかったようだ。

353:匿名の腐女子 hoge:2016/08/27(土) 22:13

「あっそういえばさ、今日も着けてるんだぜ」
これ、と首に下げられたものを外す。
銀のチェーン。
そこには黄色い星がぶらさがる。しかし、プラスチックで出来た黄色いそれはどう見ても安物である。
「百合っちに『子どもっぽくて可愛いですねー』なんて言われたわ」
「そうでしょうね。食玩のネックレスですから」
「一周回って最先端を行くファッションアイテムに見えたりしない?」
「残念ながら見えませんね。アクセサリーならもっと良いものを持っているでしょうに」
「いやこれは大好きなしゅしゅたんに貰った宝物だしぃ……」
いじらしく照れるような仕草をするとすぐに蔑む視線を送られた。
「君は冗談が好きですね。僕に貰ったものだからといって気を使う必要もないんですよ。たまたま子どもの頃のおもちゃが残っていただけなんです」
彼は心底気の毒そうに言う。

これは、あの火事の後にしゅしゅたんからお礼としてもらったものだ。
「茫然自失のあのままでいれば無事では済まなかった、何かお礼を」という彼に「それならばこれが欲しい」と彼の小物入れにあったネックレスを所望した。
いかにも昔の荷物を処分し損ねただけというそれ。少し傷もある。
彼は本当にそんなもので良いのかと伺ってきたが、こちらとしては願ったり叶ったりなくらいだった。
冗談めかして言おうとこれが宝物なのは本当のこと。放すことは出来ない。

「いや、子どもしゅしゅたんがこれを手にしていたと考えるとますますな」
「変態ですか」
頭を小突かれる。
どうかその伸びた手が白いままでいてほしい。赤い色に飲まれないように。

「そうだしゅしゅたん、それ首につけ直してくれないか?」
「良いですけど」
「子ども用だからかチェーンが短くて、自分じゃ着けにくいんだよ」
「対象年齢が7歳以上ですからね」
ネックレスを手にした彼が後ろに回り込む。
チェーンの両端を持ち首へ回し、そのままカチリと1つの輪を作った。
「やはりこれは小さいですね」
「サンキュ。そのサイズ感も可愛いだろ?」
「幼い子どもが着ければの話だと思いますが」
「俺が着けても可愛いって言ってくれよ!」

そうしてしばらく歓談する内、窓から注す光が段々と闇に変わっていた。カチカチと鳴る時計に目を向ける。
「暗くなってきたな。長居してもあれだしそろそろ帰るわ」
「そうですね。最近はどうも物騒なようなので気を付けてください」
立ち上がれば玄関まで送ってくれる彼。
仄かな灯りを受けた顔は心配そうに歪む。

「あの件で聖書さんも酷く悲しんでいました」
「おう。公園の花壇が荒らされてたんだったっけ」
「他にも木の枝が折られていたり」
「でも、人には及んでないんだろ?誰かが調子こいて遊んでるだけだ」
「それでも迷惑な話ですよ」
「確かに木や花をいたずらに切るなんて異常だよな。あ、本助かったわ。ありがとな」
「返却はいつでも構いませんから。
そうだ、今度はそちらにお邪魔したいです。こちらもセンスのことで笑われっぱなしでは腑に落ちません」
と急にいたずらっ子のような笑みを浮かべた。それに慌てて弁解を始める。
「ぬいぐるみのことは悪かったって!てか俺の部屋マジですげえ散らかってるから当分無理だわ。今度は二人でどっか外に行こうぜ」
そのまま彼の返事を待たずに半ば無理矢理ドアを閉じる。

あの向こうでまたこの夜も、多くの火が灯るのだろう。

354:匿名の腐女子 hoge:2016/08/27(土) 22:14

日が傾くなかをひたすら歩く。

首にあるこの重みを忘れてはいけない、ポケットにあるこの重みを握ってはいけない。
歩を進める度に目につくのは木々や草花、蠢く虫たち。
果ては前を横切る猫にまで。
見ればついつい嫌な想像を広げてしまう。
それを振り払うように家へ向かう足を速めた。


「ただいま」
一人で暮らすこの家、「おかえり」はない。
もちろんあの家のように柔らかい火による出迎えもない。
ただし、電灯を付ければ室内には多くの煌めきが浮かび上がる。

光を鈍く反射する刀身たちだ。

机上に散らばるカッター。
床に並べられた刀剣のレプリカ。
多種多様に取り揃えられた包丁。
大きな箱には斧や鉈。
壁に刺さった鋏はいつのものか思い出せない。

「これだって、持ち歩いてどうすんだよ」
ポケットから取り出したのは携帯ナイフ。
折り畳み式の比較的小型なもの。

「もう迂闊に外出れねぇかもなあ……」
ナイフの刃を撫でながら苦しそうに笑う。


彼は刃物が好きだった。

刃が光る、刃が滑る、刃が切り出す。その全てに美しさを感じ陶酔する。
ただし彼が刃物を愛するのと先の彼――しゅしゅたんが火を愛するのとでは明確な差があった。

彼の火依存症は自覚するかしないかという程度のもの。
それに引き換え彼の刃物依存症は、既に引き返せないものになっていた。
紙を切る、壁を裂く、果ては刃を自らに突き立てる。
そこまで辿り着いたとき、自らの収まらぬ衝動がもうどうにもならないことに気付き泣きそうになった。

「しゅしゅたんはまだ治る、戻れる。取り返しがつかなくなる前にどうか、どうか」
山火事を前に取り憑かれたような表情で佇む彼にぞっとした。
もしも彼の依存が悪化して行けば彼はいつか火に飲まれてしまうかもしれない。そうなる前に少しずつでも良いから彼を火から離したい。
その時自分に何か固い約束が欲しいと思ったのだ。

それを表すのがあのネックレス。

これを身に付けることで彼を守るよう自らを戒める首輪。

その役目はもう一つ。
あの時無防備な彼を、美しいと感じてしまったから。
あの首に刃を通せばどう変化するのだろう。皮膚を突き破った刃は肉の中でどう動くのだろう。
そんなことが頭を過り背筋が凍った。
自分の依存は治らないと苦しみながらも諦めていたが、だからといって人道を外れることを正当化するつもりはない。
そんな衝動が自らを突き動かさないよう、なるべくならそんな衝動が起こらないようにと願う。


彼を守ることと自分を抑えること。
その2つの誓いを込めたあのネックレスは二重の首輪となる。


玄関口での会話を思い出す。
『最近はどうも物騒なようなので』
あの不安そうな顔。
自分を心配してくれていた。もう不必要にあんな顔はさせたくない。
いっそ次が来る前に首輪がこのままぎゅうと締まってはくれないかと夢想する。
それでも次の衝動は来てしまう。



「罪悪感で首絞まりそうだわ、マジで」
ケタケタと笑う目は銀に澱む。


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