深い深い森の、さらに奥
そこには秘密の墓場が存在する――――その事を知っている者は数える程しか居ない
時々、処刑されて「そこに」消えていった筈の者が森から出てきたりする……
「何か」がある証拠としては、それで十分だろう
……興味を持った人間がそこに足を踏み入れる時――――彼ら彼女らは、一体何を見出だすのだろうか?
(森に覆われて夜のような闇の中、月のような太陽が墓石を照らしている。
……その墓石の上に、どう見ても少女にしか見えない影がいた)
「……暇、だなぁ……」
仄暗い森の中、整然と立ち並ぶ墓石の列。
その一つに凭れかかる、黒ローブの骸骨。
鈴を転がすような少女の声で骸骨は静かに口を開く、それは独言のようであり死者に語りかけるよう。
「素敵ね、ええ、とっても素敵、この墓碑銘は貴方達の生きた証だもの、貴方達はきっと想像も出来ないような人生を歩んで此処に辿り着いた、それはとてもとても素敵なことよ」
(聞こえてきた声の方へと振り向く。
人影……ローブの姿。……死霊術師の自分ならわかる……彼女は肉体を失った存在だ
墓石の間をゆっくりと縫って彼女の前にたどり着き、興味を捧げる)
「……貴女は一体?」
>>4
「うふふ、あなたはあたしの事が気になるのね? あたしはサンタ・ムエルテよ、シロと呼んでも良いわ」
墓石に凭れたまま頭蓋骨だけを相手に向け、少女の声が名を告げる、サンタ・ムエルテ――死の聖女を意味するその名の通り声色は穏やかで落ち着いていた。
「……シロさんですね……はい、私はリーリヤと言います。」
(一応自分も自己紹介をしておいて……そして、……名前からなんとなく察しているが、確認をする)
「どこから入ってきたんですか?まさか埋められてたというわけじゃないでしょうし」