深い深い森の、さらに奥
そこには秘密の墓場が存在する――――その事を知っている者は数える程しか居ない
時々、処刑されて「そこに」消えていった筈の者が森から出てきたりする……
「何か」がある証拠としては、それで十分だろう
……興味を持った人間がそこに足を踏み入れる時――――彼ら彼女らは、一体何を見出だすのだろうか?
>>6
「リーリヤ、それがあなたの名前ね」
髑髏の顔故その表情は変わらないが、微笑んでいるかのような明るい声。
「ふふ、我アルカディアにもあり(Et in Arcadia ego) あたしが此処に居ることは何も不思議ではないわ、それにあたしは死んでいない……最初から“終焉”しているのだから」
言って、ゆっくりとマリオネットのような動きで身体を起こす、彼女の身体は子供のように小さく立ち上がってもその背丈は130cmほど。
>>7
「……ここは既に『終焉』した者達の末路……なら貴女がいるのもおかしくはない、ということですか」
(おそらく自分と同程度の身長を見つめる)
「……何が目的ですか?……墓には死体以外の何もないのですがね」
(近くの手頃な墓石に寄りかかる。不気味な雰囲気を感じ、必要以上には近づかない)
>>8
「あたしの目的? 残念だけどそれはあたしにも分からないわ、気付いたら此処に顕現していたの」
投げ掛けられた少女の問いに分からないと答えシロは辺りを見回す、そして呟くように。
「ふふ、もしかするとこの場所があたしを呼び寄せたのかもね」
>>9
「貴女も何かしたのですか……」
(こんな場所に呼び寄せられる以上おそらくろくなことではない。……ただ、死体目的の自分よりは遥かに健全な理由とも言えるかも知れない)
「……しばらく誰も来なさそうですが……まあ、ゆっくりしていってください」
(薄闇に閉ざされた、もはや自分の庭同然の墓場を眺めて言う)
>>10
「ええ、ではお言葉に甘えさせてもらうわ」
言ってシロは先程まで凭れていた墓石に向き直りしゃがみ込む。
白い指先が墓碑銘を撫でる。
その墓碑銘に刻まれた生涯は決して褒められたものではないが、シロはそれを否定することはしなかった。