リストカット〜どこへも逃げれない人の行く世界〜

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1:杏奈:2014/06/09(月) 20:27 ID:vT6

私や友達の経験や悲しい思い。
私の知り合いの人の経験や思いなども含めてこの小説に書いていきます。
よろしくお願いします。

週2ぐらいのペースで書いていきます。

2:杏奈:2014/11/16(日) 21:05 ID:oyY

〜主な登場人物〜

小出友妃乃
リストカットをする中1の少女。
ささいな事で自分を責め、嫌う。
たった1人智恵乃にだけ心を開く。
普段は明るい性格。
本当は暗く、ネガティブ。

如月智恵乃
友妃乃にとってたった1人の心を開く友達。
明るく、ポジティブな性格。

その他の人物は出た時に紹介します。

3:杏奈:2014/11/16(日) 21:30 ID:ErE

桜が綺麗に咲くころ中学校の入学式が行われた。

私、友達作れるのかな?
クラスに馴染めるだろか?

友妃乃は、胸に不安を抱え、入学式に出た。

体育館には、生徒、先生、保護者、来賓客などがいた。
でも、決して多くはない。

友妃乃が通う学校は、小規模校。

友姫乃にとっては都合が良かった。

反対に、智恵乃は、胸に期待をふくらませ、入学式へと出た。

決して人数は多くはないが、新しい環境が嬉しくてたまらなかった。

入学式は終わり、その他の事も終わり、その日は家に帰った。

「明日から学校か〜憂鬱な気分。」

友妃乃はため息をつきそう言った。

「明日から学校だ〜楽しみ〜」

一方、智恵乃は嬉しそうにそう言った。

4:杏奈:2014/11/17(月) 19:12 ID:Wzg

〜次の日〜

「今日から学校か…小学校であんなだったのに、やっていけるのかな?」

友妃乃は不安をふくらませ、学校へ向かった。

教室は賑やかだった。
まだ、入ってもいないのにわかる。

友妃乃は教室に入ると、黒板張ってある席が書いてある紙に目がいった。

小出友妃乃。

友妃乃は自分の名前を探した。

あ、あった。
窓側の席だ。
友妃乃は、自分の席に座った。

隣は…?

友妃乃は気になり、隣の椅子の後ろを見た。

如月智恵乃。

友妃乃の隣にはそう書かれていた。

如月智恵乃さん?
誰だろう?
嫌な人だったらどうしよう?

「あなたが、小出友妃乃さん?」

声のする方を見ると、そこには身長の高い、ミディアムヘアのよく似合う女の子がいた。

「はい。そうですが…」

「私、隣の席の如月智恵乃。よろしくね!友妃乃ちゃん。あっ私の事は智恵乃って読んでね。」

「私は小出友妃乃。よろしくね。智恵乃ちゃん。」

「うん!」

とても明るい子だな。
明るい子は苦手気味だけど、智恵乃ちゃんとなら、仲良くなれる気がする。
良かった。

友妃乃は心の中でそう思った。

5:杏奈:2014/11/18(火) 23:13 ID:ucA

「ねぇ、友妃乃ちゃんは部活何に入るの?」

智恵乃は興味しんしんで友妃乃に聞いた。

友妃乃は少し戸惑いながらも答えた。

「えっと、私はバスケ部かな。運動出来ないけど、バスケならしたい。」

友妃乃の答えを聞くと智恵乃は目を輝かせた。

「私もバスケ部に入りたいんだ。同じだね。嬉しいな、友妃乃ちゃんと一緒。」

「うん。私も智恵乃ちゃんがいてくれて良かった。嬉しいな。」

友妃乃はホッとした。

6:杏奈:2014/11/24(月) 11:14 ID:Y2o

月日は巡り、友妃乃は中学校生活に慣れてきた。

バスケ部の仲間は優しく、友妃乃も智恵乃も暖かく迎え入れてもらった。

智恵乃は、クラスのみんなともうまくいっていた。

一方、友妃乃は1部の子たちとはうまくいっていなかった。

男子が友妃乃の近くに行った。

「おい、友妃ゴリ。」

そう言った男子は大樹だった。
友妃乃は大樹を睨んだ。

「その呼び方止めてって言ってるでしょ!」

「なんでいけんだいや。いいが友妃ゴリ。なぁ?」

大樹は、隣の他の男子、蒼馬に言った。

「アハハハ!友妃ゴリぴったり。」

「止めてって言ってるでしょ!」

「はいはい。分かりましたよ。友妃ゴリ。」

そう言うと、大樹と蒼馬は行ってしまった。

友妃乃は自分の席につくと、机の上に顔を伏せた。

なんで…なんで私だけそんなふうに言われなきゃいけないの?
言われるほうは辛いのに……

友妃乃はこぼれそうになる涙をこらえた。

7:杏奈:2014/11/26(水) 19:36 ID:vT6

友妃乃の心は傷だらけだった。

他の人からすれば、些細なこと。
でも、友妃乃にとってはつらいことだった。

部活にだっていないほうがいいんだ。
私がいたって、いなくたって変わらない。
みんながいるもの、大丈夫よ。

友妃乃はいつしか、関係ないことでも、マイナスに考えてしまうようになっていた。


友妃乃は、家にあったカミソリをてにとり、自分の手首を切った。

血なんてでるか、でないかわからない。
でも、気がつけば切っていた。

友妃乃は、リストカットへの扉を開けてしまった。

逃げ場のない人の行く世界へ。

8:杏奈:2014/11/30(日) 21:42 ID:W4A

友妃乃の右手首に、10。
左手首に、20も切ってしまった。

友妃乃は泣きながら切った。

私は、こんな些細なことで、切ってしまった……

私は一番したくなかったことをしたんだ。

でも、切らなきゃ気が済まない。

あぁ、なんて汚い手だろう。

こんなんで、智恵乃に合わせる顔がない…

9:杏奈:2014/11/30(日) 21:44 ID:V2s

〜回想〜

「智恵乃ちゃん。私の話聞いてくれる?」

友妃乃は智恵乃に聞いた。

「うん!友妃乃ちゃんの話なら何でも聞くよ。」

「ありがとう。私、小学生の頃から、些細なことで傷つくし、すぐ精神的に頭が痛くなるんだ。」

「そっか〜みんなから些細なことでも友妃乃ちゃんからすれば、つらかったんでしょ?」

「うん。小学校の先生に相談しても、何も変わらないし自分が傷つくだけだった。相談出来る友達もいなかった。智恵乃ちゃんにあって初めて友達と呼べる人が出来たの。」

智恵乃はにっこり笑った。

「じゃあ、私以外には、話せる人いなかったんでしょ。私にだけ本当のこと教えてくれて嬉しい。ありがとう。だから、私の親友になってくれない?私は友妃乃と親友になりたい。」

「私も、智恵乃ちゃんと親友になりたい。智恵乃ちゃんしか、信じること出来る人いなかった。」

「んじゃ決まりだね。私のことちゃんじゃなくて智恵乃ってよんでね。友妃乃!」

「うん!智恵乃。」

笑顔で友妃乃は答えた。

10:友紀菜:2015/02/21(土) 20:05 ID:i6U

私は、大切な友達を、いや親友を持っていながらも、自分を傷つけて……

なんて、最低なんだろう。

この事言ったら、智恵乃なんて言うんだろう?

怒る……だろうな…
きっと。

わかってる……

ひどいいじめにあっている人、家で虐待されている人、本当につらい人しか、リスカなんてしちゃいけないこと。

誰もが、私がされていることで自分を傷つけるなんて、ただ、かまってほしいだけだとしか思っていないこと。

知ってる……

全部…知ってるよ……

友妃乃は、ただひたすら泣いた。

声を殺して、誰にも聞こえないように、ただひたすら独りで泣いた。


杏奈から、友紀菜に名前変えます。

11:友紀菜:2015/02/21(土) 22:17 ID:ucA

友妃乃は次の日、行きたくもなかったけど、泣きはらした顔で学校に行った。

友妃乃は、準備を済ませ、机で本を読んでいた。

「おはよー!友妃乃。今日も早いね!」

「おはよう。智恵乃。智恵乃は相変わらずだね。」

良かった…泣いたことも何も気づいてないみたい。

友妃乃はほっとした。

「ねぇ、友妃乃…」

智恵乃は心配そうに声を掛けた。

「何?」

友妃乃は、無理に笑顔をつくり、明るい声で言った。

「最近……ううん何でもない。」

「そう?何かあったら言っていいよ。」

友妃乃は、また本を読み始めた。

聞かない方がいい。

最近変だよ、なんかあった?なんて。

友妃乃は、何にもないよ、なんで?って明るく問うから。

智恵乃は、そう思った。

12:友紀菜:2015/02/22(日) 11:08 ID:q6.

ある日の昼休憩の事だった。

その時は、悪夢の日々が始まるなんて思ってもいなかった。

友妃乃は、いつものように大樹にいじられていた。

「やーい友妃ゴリ。お前なんか動物園に行けよ!」

友妃乃は、その日、女の子の日だったためか、とてもイライラしていた。

そしてとうとう切れた。

「止めてって言ってるでしょ!いい加減にしてよ!何様なのよ!」

「は?うっせーよ!」

たったそれだけのことに腹を立てた大樹は、友妃乃を殴った。

殴られた、友妃乃は床に倒れた。

痛い…

お願い…助けて……

誰か、私をかばって………

友妃乃はそう願った。

でも、その期待を見事に裏切られた。

「もっとやっちゃいなよ。そんな奴。そうだ!今日から、友妃乃さんをいじめましょう。いいよね?」

そう言ったのは、大樹の彼女の可憐だった。

可憐はクラスのリーダー的存在だった。

「もちろん!これからが楽しみだね!」

みんなが口々に言った。

智…恵乃……

友妃乃は、智恵乃の方を見つめた。

智恵乃は、ごめんと口を動かして、教室から出た。

その日からだった。

友妃乃が、本格的にいじめられるようになったのは。

13:友紀菜:2015/02/22(日) 12:08 ID:q6.

友妃乃は、リストカットを続けた。

しかも、だんだん深く、たくさん切っていた。

友妃乃は、嫌だったけど、毎日学校に行った。

怖い……行きたくない…

友妃乃は、そう思った。

友妃乃が教室のドアを開けた、瞬間黒板消しを投げつけられた。

「ゲホッゲホッ!」

友妃乃はひどく咳き込んだ。

「うっわー顔面に当たったよ。」

みんながニヤニヤして友妃乃の方を見た。

友妃乃が後ろを向こうとした。

「何突っ立ってんだよ!じゃま!」

大樹はそう言って、友妃乃を後ろから蹴った。

友妃乃は、床に倒れた。

「おっはよー大樹。朝からさんざんだね〜」

「本当、さんざんだわ。さっさと消えろよゴリラ!」

不機嫌そうに大樹は言った。

「さっさと、死ねよ!ゴリラ!」

可憐が大樹に続けて言った。

友妃乃は、倒れたままだった。

どうして……

私だけ傷つかないといけないの?

助けて…助けて…智恵乃………助けて……

友妃乃は、必死に願った。

すると、担任が上がって来た。

「おはようございます。あらっ何してるの?小出さん。さっさと、席に着きなさい。」

先生も助けてくれないんだ……

友妃乃は絶望の淵に立った。

14:友紀菜:2015/02/22(日) 17:00 ID:aF2

〜登場人物〜

日野大樹

いつも友妃乃をいじめる。
すぐ切れる。
可憐の彼氏。

上川蒼真

大樹と友妃乃をいじめる。

北条可憐

大樹の彼女。
友妃乃をいじめる。
クラスのリーダー的存在。

15:匿名:2015/02/22(日) 19:35 ID:9ak

中二くさ

16:友紀菜:2015/02/24(火) 20:40 ID:4ZY

友妃乃はフラフラしながら、席に着いた。

「小出さん、朝の準備も出来てないの?いつもはちゃんとしてるのに…きちんとしなさい!皆さん、読者の時間ですよ。」

担任は、とげのある言い方をした。

先生は、いつもはちゃんとしてるのに、今日はどうしたんだろうと不思議に思って、助けてくれないんだ…
智恵乃だって…

友妃乃はそう思いながら、隣を見た。

え…なんで?

友妃乃の隣には誰もいなかった。

私には、助けてくれる希望もないんだ…

友妃乃は、涙をこらえた。

17:宮下:2015/02/25(水) 16:54 ID:s5E

面白すぎる・・・!!

すごいですね!!頑張ってください!!

18:友紀菜:2015/02/25(水) 17:36 ID:ErE

>宮下さん

ありがとうございます!
面白いと言ってもらったのは初めてです。
頑張ります!

19:友紀菜:2015/02/25(水) 18:03 ID:oyY

友妃乃はそれからもいじめられ続けた。

教科書に落書きされ、スリッパを隠され、暴言を言われ、暴力を振るわれ、もう我慢出来なかった。

智恵乃はあの日から、学校に来ないままだった。

友妃乃は、リストカットを繰り返すばかりだった。

日に日に傷は深く、血が流れる量は増えていった。

死にたい……

この世から消えてしまいたい…

誰も私を助けてくれない…

私の居場所はどこにもない…

友妃乃がいじめられるようになって、一週間がたった。

友妃乃は、教室に入った。

バシャ

「キャーッ」

友妃乃が教室に入った瞬間、水をかけられた。

「なにがキャーッよ。気持ち悪い。さっさっと死ぬよ。」

可憐は言った。

「そうださっと、死ぬよ!このブス!ゴリラ!」

蒼真は友妃乃が殴った。

友妃乃は机にぶつかって、床に倒れた。

「アハハハッ机に当たるとかだっさ!ってか汚いし!」

痛い…痛い…

誰か…助けてよ……

ねぇ…智恵乃……

「なに倒れてんだよ!邪魔だっつってんだろ!」

そう言うと、大樹は友妃乃を何度も蹴った。

死にたい………

友妃乃の頭の中はそれだけだった。

20:友紀菜:2015/02/26(木) 10:21 ID:0wY

訂正します。

×蒼真が友妃乃を殴った。
○蒼真は友妃乃を殴った。

すみませんでした。

21:友紀菜:2015/02/26(木) 13:01 ID:3Vs

みんなが次々に友妃乃を蹴った。

「いい加減、わかったら?あなたは私たちにとって必要ない存在。さっさと死ね!」

可憐は、そう言うと友妃乃を思いっきり蹴った。

「うっ!」

もういい、死のう……

私が死ねばいい話だ。

「わかった…じゃあ、死ねばいいよね?」

友妃乃は言った。

みんなが、びっくりした顔で、友妃乃を見た。

「まさか、本当に死なないよね?」

クラスの中から微かに聞こえた。

「そう!死ねばいいの!」

可憐は嬉しそうに言った。

「わかった……」

友妃乃は、教室を出て、屋上へと走った。

「え…待って、友妃乃。いったいなにがあったの?」

友妃乃は、廊下にいた智恵乃に気づくことなく、必死に階段を駆け上がってしまった。

22:友紀菜:2015/02/26(木) 21:02 ID:Pt6

智恵乃は、教室に急いで入った。

「いったい何があったの?友妃乃に何をしたの?」

「大樹や私に逆らうなんてバカなの。だから、いじめてあげた。そしたら、死ぬって。バカみたいよね。」

可憐は、笑顔でそう答えた。

「ふざけないで!友妃乃をいじめてなにが楽しいの?友妃乃でもだれでも、この教室から誰かが居なくなるの想像してみてよ!本当につらくなるよ。いじめなきゃ良かったって。居なくなってかじゃ遅いんだよ!」

智恵乃は、そう大声で言うと、教室を飛び出して、友妃乃を追いかけた。

友妃乃。
死なないで……
逃げて、ごめんね。
親友だったのに…
生きててお願い!
その頃にはもう友妃乃は、屋上に上がっていた。

23:友紀菜:2015/02/27(金) 09:30 ID:V2s

友妃乃は、屋上の一番奥、一歩前に出たら落ちる所に立っていた。

友妃乃は、ポケットから、カッターを出すと手首の上を思いっきり、切った。

鼓動に合わせ、血が溢れ出た。

智恵乃、親友になってくれてありがとう。

大好きだよ。

でも、助けて欲しかったよ…

友妃乃はいろんな事を短時間で想像した。

「友妃乃!待って、行かないで!」

智恵乃は、友妃乃が死ぬまでに間に合った。

智恵乃の後ろには、何人かクラスメートがいて、何人か走ってくる姿が見えた。

友妃乃は、優しく、少し悲しく笑った。

智…恵乃…

智恵乃…最後、会えて良かったー…
友妃乃は、屋上から落ちた。

「う、うそ…ゆ、友妃…乃……い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!友妃乃〜!なんで!なんでよ!」

智恵乃は、一人泣き叫んだ。

24:宮下:2015/02/27(金) 18:18 ID:s5E

そ、そんな・・・?!

友妃乃ーー!!

先が気になる・・・。はらはら(😞)

25:友紀菜:2015/02/28(土) 18:41 ID:4ZY

>宮下さん

読んでくださってありがとうございます。

先、楽しみにしててくださいね。

26:友紀菜:2015/02/28(土) 18:50 ID:4ZY

智恵乃は、大泣きし、クラスメートは、ただ呆然と立ち尽くしていた。

屋上には、友妃乃がリストカットをした時に、出た血だけが、こぼれ落ちていた。

「うっう…ゆっ…友妃乃…ごめん…ご…めんね…うっ」

智恵乃は、ただひたすら泣くばかりだった。

「う、うそだろ?」

「私たち、こ、小出さんを、し、死なせた…」

クラスメートは、次々に話し出した。

中には、泣く人もいた。

「諦めるのは、まだ早いんじゃないの?」

そう言うと、可憐は、スマホを出した。

27:マカロン:2015/03/01(日) 19:30 ID:hDo

すごく展開が面白くてはまりました!

続きがきになります( *´艸`)

28:友紀菜:2015/03/01(日) 20:49 ID:vPM

>マカロンさん

ありがとうございます!
続き楽しみにしててくださいね。


白い部屋で眠っていた友紀菜は、静かにゆっくりと目を開けた。

ゆっくり隣を見ると、智恵乃が眠っていた。

智恵乃は、友妃乃の手を握りしめていた。

「こ、こ、病院?智恵…乃?」

友妃乃は弱々しい声で言った。

はっと智恵乃目を覚まし、友妃乃を見た。

智恵乃の目からは、涙が溢れ出ていた。

「ゆ、友妃乃…良かった…もう二度と目を覚まさないかと思った。」

智恵乃は、そう言うもと、友妃乃に抱きついた。

友妃乃も、少し笑顔になった。

29:宮下:2015/03/02(月) 18:56 ID:s5E

おぉ、友妃乃!生き返った!!

あ、死んでなかった。テヘッ😄

30:宮下:2015/03/02(月) 18:59 ID:s5E

可燐、何をした…?!

途切れてすみません。

31:友紀菜:2015/03/02(月) 21:27 ID:CFk

>宮下さん

途切れても大丈夫ですよ。
続き書きますね。


でも、友妃乃は、また悲しい顔に戻った。

「智恵乃、智恵乃には、もう、一度会え、てよ、かったって思って、る。でも、なん、で死ね、なかった、の?私、いじ、められるの、つ、らい。智恵、乃には内緒にし、てたけどリスカ、もしてた。」

友妃乃は、全身に怪我をしていたため、うまく話せなかった。

「死ねなかったの?なんて言わないでよ。友妃乃は、生きるために、ここで生きてるの。私、怖かったの。毎日、友妃乃がいじめられるのを見るのが。だから、逃げた。友妃乃を助けず、自分を守るために、逃げた。ごめんね。本当にごめんなさい。リスカしてたことは知ってたよ。友妃乃は隠し通そうとしてたし無理に聞こうとはしなかった。でも、聞けばよかったって思ってる。聞いてたら、友妃乃を助けれたかもしれないのにって。学校のことなら大丈夫だよ。友妃乃を助けたのは、可憐なんだよ。」

「えっ…?」

友妃乃は、智恵乃の言っている言葉が信じられなかった。

32:友妃乃:2015/03/03(火) 07:56 ID:3S2

智恵乃は笑顔で話し始めた。

「あの日、私は友妃乃が死んだと思って、悲しくて何もできなかった。でも、可憐がすぐに救急車呼んでくれたから、友妃乃はギリギリ助かった。あちこち骨折はしてるし、何より、リスカもしてたし、大量出血で危なかったんだよ。でも、可憐が冷静に行動してくれたから、友妃乃は助かった。可憐もすごく反省してて、毎日お見舞い来てくれてるんだよ。今日は、まだ来てないけど。それに、みんなも反省してるから、大丈夫。」

友妃乃は、今、体中包帯が巻いてあって、手首にも巻いてあることに気づいた。

「そっか。みんな、反省してくれてるんだ。私、何日間眠ってた?」

友妃乃は笑顔に戻った。

「5日間だよ。私、毎日お見舞い来てたんだよ。学校終わったら来て、暇さえあれば、すぐ来てた。」

「ありがとう。智恵乃。私も、智恵乃に打ち明けなくてごめんね。私の事心配してくれてありがとう。」

「ううん。いいの。だって、私たち親友だもん。」

「そうだね。」

友妃乃と智恵乃は、抱き合った。

33:友紀菜:2015/03/03(火) 09:14 ID:vPM

〜次の日〜

智恵乃は、みんなを連れて、病院に来てくれた。

「ごめんなさい。友妃乃さん。私、本当にひどいことしてきたわ。本当にごめんなさい。」

可憐は、友妃乃に頭を下げて謝った。

「ごめん。悪かった。本当にごめん。」

「ごめんなさい。小出さん。」

「ごめん。かばえばよかった。」

みんなが、次々に謝ってくれた。

「ありがとう。今日来て、くれて嬉しい。」

友妃乃はニッコリ微笑んだ。

友妃乃は、退院後毎日楽しく学校に通えた。

そしてもう、このクラスからは、いじめはなくなった。

友妃乃は、親友智恵乃と笑顔で毎日を生きた。



このお話は、ここで終わりです。

読んでくださった方々ありがとうございました。

次は、また別のお話を書きます。

34:友紀菜:2015/03/03(火) 09:52 ID:vPM

〜登場人物〜

高橋友紀
リストカットをする中1の少女。
親の事、友達の事、先生の事が嫌い。
でも、ある先生と出会い、心を開けるようになった。

長石洸
小児科内科の先生。
明るく、元気な先生。
たくさんの小、中学生、高校生を救って来た。

高橋綾子
友紀の母親。
友紀の事が嫌いではないが、友紀の祖父の介護をしているため、育児放棄をしている。
1人で、友紀を育てた。

小林恵子
友紀の担任。
口うるさくて、物忘れが多い。

松島久美
クラスのリーダー的存在。
久美には、みんなが従わないといけないという裏ルールがある。

35:友紀菜:2015/03/03(火) 11:13 ID:F2M

薄暗い部屋の中、友紀は1人で静かに泣いていた。

机の引き出しからカッターを取り出すと、手首の上を軽く滑らした。

手首からは、紅い血が流れた。

「綺麗…」

ポタッ

友紀の涙が、手首の上に落ち、血がにじんだ。

この世界は汚い物で、染まっているけど、この血だけは、綺麗だなぁ。
これだけが、私の救い。


友紀は、そう思った。

「この夜が明けたら、朝が来ちゃうのかぁ…」

友紀は、小さくため息をついた。

血が止まるのを待って、友紀は、ベッドに潜り込んで寝た。

36:友紀菜:2015/03/03(火) 13:30 ID:6ko

〜次の日〜

太陽が明るく差し、部屋は明るくなっていた。

友紀は目を覚ました。

「朝に…なっちゃったのか。」

友紀は、下に降りると誰もいなかった。

何も置いてない机を見て、友紀はため息をついた。

「今日もか…当たり前だよね。」

友紀の母親は、別の場所に住んでいる、祖父の介護をするため、朝からいなかった。
一日中いない日もあった。
朝ご飯が準備されてないのだって当たり前。
一緒にご飯食べないのなんて当たり前。
いつも独りなんて当たり前。
友紀はそれにもうなれていた。

友紀は、台所に置いてある食パンをトースターで焼いて朝ご飯を済ませた。

友紀は、部屋に戻ると、制服に着替えて、リスカの跡をそっと撫でると、紺色の少し長めのリストバンドをつけた。

まぁ、見ていい気のする人なんていないし、ある程度のマナーとしてつけないとね。
可愛いのつけてる人もいるけど私には、必要ない。


友紀は、そう思った。

そして、重たい足取りで階段を降り、玄関の戸を開けた。

「はぁ…学校行きたくないな。」

友紀は、そうつぶやくと、仕方なく学校へ向かった。

37:友紀菜:2015/03/03(火) 18:54 ID:Wqw

友紀は、教室に入り、席についた。

教室の中は、汚い声が耳をふさぎたくなるくらい聞こえていた。

「友紀さん、来たんだ。来なくてよかったのに。」

久美はそう言うと友紀の隣を、すり抜けていった。

わざわざ、それ言うために、ここ通ったんだ。
そんな事しなくてもいいのに。

友紀はそう思った。

机の中を見ると、紙切れが一枚入っていた。

友紀は、震える手で中を見た。

学校来るな

消えろ

紙切れにはそう書かれていた。

友紀は、震える手で破った。

そして、ゴミ箱に捨てた。

1つ1つ小さいことだが、友紀と直接関わらないように、みんながいじめていた。

暴言が書かれた紙を、机に入れられたり、シャーペンの芯を全部折られたり、ノートに落書きされたり、いろいろされていた。

友紀はいつも、独りぼっちだった。

家でも学校でも、そこに居る意味が分からなくなっていた。

38:友紀菜:2015/03/03(火) 21:58 ID:4.c

なんで、毎日毎日つまらない人生を歩んでいかなきゃいけないの?

いつだって独りぼっちで、誰からも愛されない。

友紀はいつもそう思っていた。

「高橋さん。ちょっと来てくれる?」

担任の小林先生が友紀を呼んだ。

いかにも、今から叱りますオーラが出ていた。

友紀は、嫌だなと思いながらも、先生の所に行った。

「すみません。何ですか?」

「何ですか?じゃないでしょ。いつになったら、懇親会の紙提出するの?もう、いいから、保護者の方出席か欠席か教えて。」

すっごいトゲのある、腹立ってます感ある言い方するな。
仕方ないじゃん。
お母さん、家にほぼいないし、出しても忙しいからって書いてくれないんだから。

「すみません。欠席でお願いします。」

言っても無駄だよね。
家の事情なんて知らないって言うんだから。

友紀は、無駄な言い訳はしなかった。

「普段ちゃんとするときはするんだから、こういうのもちゃんとしなさい。」

普段の私と比べないでよ!
ちゃんとするために、周りに迷惑かけないように、どれほど苦労してきたか知らないくせに…
私がどんなに苦しくて、悲しくて、つらいか知らないくせに…

友紀は、イライラしていた。

39:友紀菜:2015/03/03(火) 22:25 ID:rY6

放課後、教室はいつも通り賑やかだった。

早く部活行こーとか、この後、遊ぼとか、後から、お前んち行くからとか、楽しそうだった。

ただ、1人を除いて。

今日も、1日くだらない学校生活が、終わる。

友紀はそう思っていた。

友紀は、独り廊下を歩いていた。

「友紀さん。」

そこには、保健室の先生、篠川先生がいた。

見たことはあるが、話したことはなかったから、友紀はびっくりした。

「はい。」

「ちょっと、話があるんだけど、保健室にきてもらえるかな?」

篠川先生はにっこり微笑んだ。

「えっあ、はい。」

友紀は、戸惑いながらも保健室に行くことにした。

40:友紀菜:2015/03/03(火) 22:45 ID:SSA

〜登場人物追加〜

篠川遥
保健室の先生。
若い方で、生徒からはわりと人気。妊娠しているため、産休に入る。


保健室は、整理整頓してあり、綺麗だった。

「突然、ごめんね。少し、気になっていることがあって。少しいいかな?」

「はい。」

何言われるんだろ?
悪い事なんてしたかな?

友紀は、少し心配だった。

「友紀さん、リストバンドしてるよね?なんで、可愛いのとかしないの?」

「はい。別に、可愛いのとかする必要ないからです。」

「じゃあ、なんでつけてるの?」

友紀は少しドキッとした。

「つけていたいからです。」

「なんで、つけていたいの?」

友紀は、少しイライラした。

「別にどうだって良いじゃないですか。」

篠川先生は、少しきつい顔になった。

「どうでも、良くないわ。私、妊娠してるの。少し早いけど、産休に入るの。だから、あなた見てあげられないから。」

「見てくれなくて良いです。どうせ、最後はみんな私を見捨てるんだから。失礼します。」

友紀はそう言うと、保健室を出て、学校を急いで出た。

「なにが、わかるっていうの。助けてもらっても、後からつらくなるんだから。」

友紀は人と関わるのも嫌になっていた。

41:友紀菜:2015/03/03(火) 23:13 ID:8j6

家に着くと、珍しくお母さんが、家にいた。

「あら、友紀もう帰ったの。篠川先生から、電話があったわよ。ごめんなさいって、なにかあったの?」

友紀は機嫌の良いときは、優しいお母さんはほんの少しだけ好きだった。

「別に、今日はどうしたの?」

友紀は何もなかったように、話した。

「おじいちゃん、今体調いいの。だから、少し早いけど、ご飯食べさせて、帰ってきたの。」

今日の友紀の母は珍しく、機嫌も良かった。

「そっか。でも、帰って来て大丈夫だったの?」

「ええ、なにかあったら電話してって頼んでるし。それよりも、友紀の方が大丈夫なの?」

友紀は、母の言った意味が分からなかった。

「どういうこと?」

「どういうこと?ってあなた体調よくないんでしょ。篠川先生から聞いたわよ。明日、病院行こうね。篠川先生が紹介してくれたのよ。」

篠川先生か。
まぁ明日学校行かなくて良いし、いいか。

「あぁ、うん、ちょっとね。」

友紀は、その時だけ篠川先生に感謝した。

42:友紀菜:2015/03/04(水) 11:06 ID:0Go

友紀は、久しぶりにお母さんと夜を過ごした。

でも、お母さんは、念のため、一度おじいちゃんを見に家を出た。

あ、やっぱり、私よりおじいちゃんなんだ。
でも、仕方ないよね。

そう思いながら友紀は部屋に戻った。

リストバンドを、そっと外し、傷跡を優しくなでた。

「綺麗…だけど汚いな。自分を傷つけるなんて最低だよね。」

友紀は、綺麗と思う方が強いけど、無残な手を見ると、汚い、自分なんて最低だ、などと思うようになっていた。

そして、またリスカする。

それが、何度も続いた。

今日も、友紀はリスカをした。

いろんな思いが、こみ上げてくるときは、リスカすれば、スッキリするし落ち着く。

友紀はそう思った。

43:友紀菜:2015/03/04(水) 14:10 ID:0oA

友紀は、自分の手首を見た。

今日はまだ一回しか切っていなかった。

「来なくてよかったのに。学校来るな。消えろ。」

不意に、友紀の頭をよぎった。

久美に、クラスのみんなに言われてきた言葉。
思われていること。

「私だって行きたくないよ。でも、お母さんに迷惑かけるから。」

友紀の目からは涙がこぼれ落ちた。

「私なんて、生まれてこなかったらよかったのに……傷つかなくてすむ、傷つけないなくてすむ、苦しまなくてすむのに…どうせ独りぼっちなんだから、せめて独りの世界に行きたい。」

友紀は、カッターを手に取り、手首の上を何度も滑らせた。

無数の切り口からは、紅い血が流れ出した。

「私なんか、傷ついていればいいんだ。何の役にもたたない私は。」

♪〜♪〜♪〜

友紀はスマホを見た。

「お母さんだ。」

友紀は電話に出た。

「もしもし。」

「もしもし、友紀?おじいちゃん体調悪くなったから、今日はこっちに泊まるわ。明日の、病院もなしね。だいたい病院なんて行かなくてもいいわよね。じゃあ。」

お母さんは口早にそう言うと、電話を切った。

「私の事なんてどうでもいいんだ…」

友紀は、ひたすら泣いた。

44:友紀菜:2015/03/05(木) 12:32 ID:4Ms

朝の明るい日差しが、部屋の中を照らしていた。

友紀はベッドに横になっていない状態で目を覚ました。

「あ、私あのまま寝てたんだ。」

手首には、紅い血が固まっていた。

友紀は、丁寧にその血をふいた。

「あぁ、朝なんて来なきゃいいのに…学校行かなきゃ行けなくなるのに…」

いつも通り、朝ご飯を1人で食べ、いつも通り、朝の準備を済ませた。

やっぱり、お母さんの姿は見られなかった。

「体だるいな。本当に毎日体調悪いよ。」

友紀は、ため息をつくと、重たい体と心を無理やり動かし、学校へ向かった。

45:友紀菜:2015/03/05(木) 12:46 ID:SP2

「友紀さん、待って!」

友紀は学校の校門を抜けようとした時、誰かに呼ばれた。

友紀は、後ろを向くと、そこには篠川先生がいた。

「何ですか?」

友紀は、笑顔でそう聞いた。

「昨日はごめんなさいね。一緒に病院行きましょ。あなたが学校へ向かっているのを見て急いで、お母さんに電話したの。ちゃんと、了承を得てるわ。私もちょうど行かないといけなくてね。」

なんで、先生と病院に行かなきゃいけないのよ。
あ、でも体調悪いし、見てもらってもいいか。
学校休めるし。

「わかりました。でも、なんで体調悪いってわかったんですか?」

「意外と見てないようであなたのこと見てたのよ。毎日あんな暗い顔で学校へ通ってたら、気になるし、普段きちんとしてるあなたが提出物を出せないのも気になってね。」

この私を見ていてくれた…
家でも、学校でも独りぼっちで、誰も私の事なんて見てくれなかったし、気にもしてくれなかったのに…
篠川先生は…

「そうですか。私のこと気にかけてくださってありがとうございます。」

友紀は、この時心からありがとうと思った。

そして、心を少し開くことができた。

46:友紀菜:2015/03/05(木) 18:22 ID:0wY

篠川先生は、友紀が思ったより素直で、少しびっくりした。

「いいえ、いいのよ。あなたを助けてあげられるのも、今日までだから。さぁ、行きましょう。車出すわね。」

友紀は、篠川先生について行った。

篠川先生の車は、ピンクの軽自動車で、篠川先生って感じだった。

私、また迷惑かけてるな。

友紀は、思った。

「さぁ乗って。早く行きましょう。」

「はい。お願いします。」

友紀は、車に乗った。

「どうぞーあと、シートベルトつけてね。」

車は動き出した。

無言のままの状態が少し続いた。

最初に口を開いたのは、友紀だった。

「あの、病院ってどこの病院ですか?」

「大学病院の小児科よ。体調の事だけじゃなくて、心の事も、話してみるといいわ。小児科と内科を受け持っておられる先生でね。いい先生よ。」

「そうですか。」

友紀はその先生になら、打ち明けてもいいのかもしれない。
助けてくれるかもしれないと、思った。

47:友紀菜:2015/03/05(木) 19:10 ID:0wY

20分もすると、病院についた。

とても、大きく白っぽくてきれいな建物だった。

「さぁ、着いたわ。行きましょう。」

「はい。」

友紀と篠川先生は病院へ入った。

「友紀さんは、ここの診察初めてなの?」

「はい。来たことはありますけど…」

「そう。保険証とかって持ってる?」

「はい。もってます。」

「そう。なら早いわね。」

友紀は受付を済ませ、小児科に向かった。

2348番かぁ〜
2345なら覚えやすかったのに。

友紀は受付表を見て思った。

体重、身長、血圧を量ると、しばらく待った。

篠川先生は私の事を紙にいろいろ書いていた。
初めての人は、いつも書く紙だ。

大きなテレビ画面に、診察状況が表示してあった。

1診 長石
2診 長谷川
3診 長原

す、すご。
全員、最初に長がついてる。
なんか、すごいな。
でも、1人じゃないって事は、誰になるか分かんないよね。

「先生。3人先生居ますけど。」

「大丈夫よ。上手に書いておいたから、必ず私の予想通りの先生になってるはずよ。」

「そう、ですか。」

友紀は、自分は誰に見てもらえるのか少し楽しみだった。

48:友紀菜:2015/03/05(木) 22:01 ID:0Vc

しばらくすると、音楽が流れた。

友紀はテレビ画面を見た。

2348番の方は、第1診察室へお入りください。
担当医 長石

テレビ画面には、そう書かれていた。

「じゃあ、行こうか。」

篠川先生は優しく微笑んだ。

「はい。」

篠川先生が言ってた、いい先生って長石先生なの?
長石先生かぁ〜
本当にいい先生だといいけど。
でも、油断はしない。
もうこれ以上信じて傷つくの嫌だから。
あーなんか緊張してきた。

友紀は、少し緊張しながら、診察室へ入った。

中は、物が整理整頓されていて、綺麗で、病院独特の匂いはあまりしなかった。

友紀は椅子に座った。

「はじめまして。友紀ちゃん。早速だけど少し、お話聞いてもいいかな?」

そう言った人こそ、友紀を変えることになる先生だった。

「あ、はい。」

友紀は少し緊張気味に答えた。

この先生が、長石先生?
明るい雰囲気で優しそうで、いい先生っぽいな。

友紀はそう思った。

「じゃあ、先生は少し席を外してもらっても、いいですか?」

「あ、はい。分かりました。じゃあ、先生待ってるね。」

先生はそう言って、診察室を出た。

49:友紀菜:2015/03/05(木) 23:14 ID:8j6

診察室は、友紀と長石先生ともう1人女の先生だけにになった。

「今日は、来てくれてありがとうね。篠川先生からね、いろいろ書いてもらったけど、リスカしちゃってるってのは本当かな?」

長石先生は、笑顔でそう言った。

きっと、私の緊張をほぐすためなんだろうなと友紀は思った。

「あ、はい。」

「あーそっかぁ。ちょっと見せてくれるかな?ごめんね。」

「はい。」

友紀は、リストバンドを外し、初めて人に手首を見せた。

「血管の上は危ないから、気をつけようね。左だけ?右はしてない?」

「左だけです。右はしてません。」

「そっかそっか。わざわざ、見させてもらってごめんね。お家のこと教えてもらってもいいかな?」

長石先生は、とても優しく友紀に話しかけた。

この先生、スッゴい私を気にかけてるな。
緊張してるのよくわかったなぁ。

友紀はそう思った。

50:友紀菜:2015/03/08(日) 10:24 ID:DlU

友紀は少しだけ微笑んだ。

「はい。」

長石先生も微笑み返してくれた。

「まず、同じ家に住んでる家族は誰?」

「お母さんと2人です。」

友紀は、長石先生に聞かれることに、きちんと答えていった。

お母さんはおじいちゃんのことでいっぱいだってこと。
学校でいじめられてること。
家でも学校でも、独りぼっちだってこと。
担任の先生がなにもわかってくれないこと。
先生も友達も親も嫌いだってこと。
いつも、自分の気持ちを殺してること。
毎日学校に行きたくないこと。
毎日体がだるくてつらいこと。

とにかく、友紀のすべてを話した。

「そっか。つらかったね。ありがとう。お話聞かせてくれて。また、来てくれるかな?」

「はい。」

「ありがとう。来週また来てくれるかな?」

「はい。分かりました。」

「じゃあ、また来週ね。篠川先生呼んできてくれるかな。」

「分かりました。」

友紀は診察室をでた。

長石先生は優しくて本当に、良い先生だ。
私のすべてを分かろうとしてくれる。

友紀は、嬉しくて仕方なかった。

51:友紀菜:2015/03/09(月) 20:07 ID:q6.

友紀は篠川先生に長石先生が呼んでいることを伝えた。

友紀は1人で椅子に座って待った。

誰も私に気にかけなかったし、分かろうとしなかった。
助けてほしくても誰も助けてくれない。
私は助けを呼ぶことすらできなかった。

でも、長石先生だけは違った。

「長石先生、ありがとう。」

友紀は誰にも聞こえないよう小さな声でそう言った。

しばらくすると、篠川先生が戻って来た。

「次の診察は来週の10時からよ。私が迎えに行くわね。」

「先生、大丈夫です。1人で行きますから。」

「そう?遠慮しなくていいのよ。」

そう、篠川先生も私を助けてくれた。
篠川先生が手を差し出してくれたから、私は長石先生と出会えた。

「大丈夫です。先生、私を病院につれて来てくださって、ありがとうございました。」

「どういたしまして。じゃあ送ってほしい日は言ってね。」

「はい。ありがとうございます。」

私は、もぅ独りぼっちじゃない。

友紀は、そう信じていた。


でも…つらい日々はなくなりはしなかった。


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