〜嘘から始まるrepeatの恋〜

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1:レモンπ:2015/04/29(水) 14:32 ID:CS2


 発端は本当に些細な事で

 運命は常に終わらない*repeat

 漫画やアニメでよく見るような冴えない主人公

 取り柄なし、可愛くない、根暗とか言われ続けてきた

 そんなこと、そんな事わかってる――……

 運命は常に終わらない*D.C……


 彼らのくだらないプライドが歯車の原動力となった

*repeat リピート  繰り返し
*D.C   ダ・カーポ  始めに戻る

>>02 character data
>>03 作者より

4:レモンπ:2015/04/30(木) 20:03 ID:CS2

 成績は惨敗、運動音痴、可愛くないしスタイルだって――……
 絵を描くのが得意だとか、歌が上手いとか、手先が器用とかは一切無し。
 
 私は何の取り柄も……魅力も……金も家族も希望も夢も!

 とにかく私に『特別』なモノなんてないんだ!


「この事を不完全燃焼と言い、有機物は……」
 理科室から漂う薬品の臭いと、耳に入っては抜けてく先生の声。
 ピカピカに洗練されて棚に並べられたフラスコに、自分の姿が歪んで映る。

 ぼんやり頬杖をついて、虚ろな目で黒板を見据えた。
 雑なシャーペンの字が並べられたやる気のないノート。
 情報処理不可、思考回路麻痺、脳内爆裂、疲労炸裂。
 
「では大津さん、砂糖は有機物ですか?無機物ですか?」
 唐突に自分が指名され、ハッとした。
 
 有機物?無機物?
 新種のハムスターとかシマリスとかですか?

 確率は二分の一……ここは自分の直感を信じるしか――……

「……有機物……?」
 自身なく、情けなく掠れた小声。

「ですね、砂糖は有機物です。まぁこれは初歩の初歩ですね」
 そう言われると、こっちもかなりプレッシャーがかかる。
 本当にそういうの、やめて欲しい――……

5:レモンπ:2015/04/30(木) 20:11 ID:CS2

 授業が終了し、次々と理科室から吐き出されて行く生徒。
 入口、通路は女子が封鎖し、井戸端会議の会議場にされいた。

「あの……ちょっとそこ通りたいんだけど……」
 別に怒るでもなく、迷惑そうにしてるでもなく、気弱な声で言った。
「あーすみませんねぇー。つか何その目、イラつくー」
 
 何その目――……

 昔から言われてきた言葉

 私の目はいつも虚ろで、焦点の定まらない目だった
 濁った瞳――……

 みんなみたいに透き通ったビー玉の様な目は無くて
 
 私の目はいつも蒸気を当てたような、曇って濁った汚い目

「うん……ありがとう」
 私は少しだけ開いた通路を横切り、溜息をついた。

6:レモンπ:2015/04/30(木) 20:18 ID:CS2

 丁度その頃、中庭に二人の美少年がベンチに腰掛けていた。
 バラ園の噴水の前で2人は女子達から逃亡し、まいたところで一息つく。

「凪木とまだ、決着つけてねぇよな。どっちがモテるか」
 節火が空を見上げながら、さりげなく言った。
「じゃあこういうのはどうだ……?今時計の短針が差した時間の出席番号の
奴をどちらが先に落とせるか」
「おっいいね!もう即に落としてるかもしれないけどねっ」
 節火は袖口を軽くたくし上げ、腕時計を見た。

「19……か」
「出席番号19つったら確か……大津じゃなかったか?」
「あぁ、楽勝ー!」
 節火は口角を釣り上げ、不敵な笑みを浮かべた。

「僕に惚れない子はこの世にいないよっ」
「お前にはぜってー落とせねぇ」
 今にも火花が見えそうな勢いで2人は睨み合った。

7:レモンπ:2015/05/03(日) 21:55 ID:CS2

 昼休み、2人は乃流を見つけると彼女に向かって走り出した。
 彼女は噴水前のカフェテラスでランチボックスを片付けている。
 周りでは女子が黄色い悲鳴をあげている。

「あのさ、大津さん」
 凪木が一足先に乃流に声をかけた。
(ちっ、先を越されたか)

「は……っ!?はいなんでしょう!?」
 乃流は冷や汗をかき、かなり動揺した様子だ。

「実はさ……前からずっと大津さんの事気になってて……付き合って下さい」
 凪木はもうこれ以上ないというくらいに格好よく微笑んでみせた。

「あの……言っている意味がよく……」
 なにこれ、現実?夢?いやいやありえない……夢だ、夢だ!
 なんで公共の場で?しかも唐突すぎるし胡散臭いし!
 え、何?どーゆー反応すればいいの?え?誰か助けて!

 乃流は完全に古いwindousのごとくフリーズした。

8:レモンπ:2015/05/04(月) 20:29 ID:CS2

 当然周りもザワつく。
 噴水前にいた女子、購買や食堂から様子を見に来た女子でごった返していた。
「そんなっ、どうして凪木様があんな平凡な女子と!?」
「あれって大津乃流じゃない、成績も良くないし可愛くないし」
 女子は驚愕の言葉と乃流を罵る言葉で溢れかえっていた。
 特にファンクラブの女子は恐ろしい視線を乃流に向ける。

「ごめんなさい、その……付き合えません」
(多分冗談だと思うし……女子の視線が怖い。ここは断っておこう……)
 乃流はこれ以上ないというくらいに頭を下げた。
 長い髪が虚しく揺れる。

「え、普通即答OKだろ!?なんで断る!」
「自意識過剰……」
 乃流はジト目でぼそっと呟いた。

9:匿名:2015/05/04(月) 20:35 ID:Y7U

おじゃまします…

登場人物を化学式にあてはめるなんて、すごい発想ですね!
こんなふうに例えて恋愛を描くなんて…
みた瞬間、すごいな!と思いました!!

私事ですが、化学式とか結構好きなんですよー
これからの活躍、楽しみにしています!

10:レモンπ:2015/05/05(火) 21:38 ID:CS2

ありがとうございます!
名前決めってなんか難しいんですよねー
自分は科学が好きなので関連させてみましたw


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