〜prologue〜
大好きな君の背中に、今日もまた一言だけ呟いてみる。
聞こえないように、聞こえないように、誰も居ない時にそおっと小さな声で。
「ねえ、大好きだよ?」
君に届くはずもないって。私は自分でも笑っちゃうくらいの臆病ものかもしれない。それでも、
何かが届くと信じて、少し離れた君の背中に今日もまた呟いてみる。
「君の背中に羽を……」
皆さんこんにちは。
元ヒヨドリの柚音ですw
小説久しぶりー…… 何回も放置を繰り返し…結局完成させたのは2作品だけ…
なので、今回は頑張って完成させたいなと考えています!
応援よろしくお願いします!
この季節はとても好きだ。何でかって聞かれたら、夏が好きだからと答える。
本当の理由は誰にも話せない。話せるわけが無い。
「夏はね、毎朝会えるんだ」
「帰りもね、同じ時間になったら途中まで一緒に帰れるんだ」
そんなセリフを、ニッコリ笑って誰かに言ってみたいけど、そんなことは今は言えない。
だってこれは、絶対に話しちゃいけないし、誰かに知られたくないから…。
ヘルメットが重たい。どうしてこの学校は、自転車通学の時にヘルメットを着用しなきゃいけないんだろう
と、毎日のように考える。セットした髪の毛が崩れてしまうし、何よりも暑くてたまらない。
いつものように朝、自転車で学校に向かう。
この道は右側が二車線道路、左側は一面田んぼという一見ド田舎だ。毎日のささやかな楽しみと言ったら、
日々の稲の成長が見れること……だけ。
田んぼ道を3キロほど進むと、此処だけ何故か賑やかな住宅街に入る。
そこでいつも見つけるのが、私の好きな人。
心の中で、なにかが動くのがわかる。
無意識に背中を見つめてしまう。
見つめると、何を感じたのか君が振り返った。
そして、いつものように屈託無く笑った
「中田、おはよう」
私もつられてニッコリ笑って返す。
「日向、おはよう」
今日早いね、宿題でも忘れたの…?
いや、違う。偶然早起きしただけで…
そんな空想のやり取りが脳裏を過ぎったけど、声に出せなかった。
私達の朝のやり取りは、何か特別な事がないかぎりこの一言だけ。
勇気を出して、速度出しすぎの自転車のブレーキをかけられない。
私はやっぱり臆病だよなあ、嫌になっちゃうくらい。
その言葉を、胸に押し込んだ。
〜人物紹介〜
主人公
中田 理音(nakada rio)
女子バスケ部で日向が好き
日向 真(hyuuga makoto)
男子バスケ部エース
―――――――――――――――――――――――――――
「おはよう!」
私が教室のドアを開けると、何処からとも無く友達から挨拶が飛んでくる。
私も口角をあげて
「おはよう! 今日暑いよね〜」
「本当本当。しかもね理音、一時間目体育に変更だって」
「うっそ、ありえない!」
もう一度口角をあげて、くだけた笑顔で接する。
友達は、全然嫌いじゃない。今話しているヨッチーこと好美(yosimi)だって、仲いいときは本当に仲が
良いし、本当に困ったときは相談に乗ってくれる。でも。
「そうそう、聞いてよ理音」
「そういえばね!」
ヨッチーと、その隣に居る麻奈(mana)がそろって言った。
「また日向がやらかしたんだよ」
ヨッチーがふてくされた表情で、吐き捨てるように言った。
また心が動く。今度は少し息苦しいような。
「何を?」
「昨日の体育の時間にリレーの練習をしてて、あいつの仕切ってたグループで熱中症になった人が出たんだ
って」
今度は溜め息混じりに、ヨッチーが続けた。
でも麻奈は、顔が仕方なさそうに、少し笑っていた。
「まーた日向が無理な事させたのかな」
「そうに決まってんじゃん。本当に自己中心的なんだからあいつ」
ヨッチーと麻奈のやり取りを聞いていて、何となく話の内容を察した。
私はどんな反応をとればいいのか、二人の話を聞いているフリをしつつ、少し考えてから言った。
「日向は悪くないって! 悪いのは真昼間に体育の授業を入れる学校側と、この暑さでしょ」
私は大げさに太陽を睨みつけて、うっとおしそうに言った。
そこから、話題は日向からそれ、日焼けの話になった。
よかった、とホッと息をつく。
日向はこの学年でいい意味でも悪い意味でも有名だ。
テストではいつもトップクラスの成績を取ってるし、バスケ、野球、サッカーなどの全ての球技が抜群に
上手い。その上手さは、野球部やサッカー部が認めるほどだ。 そして、陸上部にも劣らない足の速さ。何
でも真面目に取り組む姿勢。背も高く、顔も奥二重だけど全く悪くない。
逆に悪いと言われているところは、性格…らしい。
努力家の日向は、とにかく勉強においても運動においても、努力をせずに結果を出さない事を徹底的に嫌
うところがある。そこに、学級委員という役職や先生からおしつけられるリーダーの仕事などで、引っ切り
無しに人を注意をしたり、時には言い合いや、喧嘩をしている。
そこが、一部の人に顰蹙をかったらしい。
日向は、いつも一生懸命で誰よりも努力しているから、努力しない人を嫌うという気持ちは、私が一番…
知っている。理解している。
どんな事があっても、私は日向は嫌いにはなれない。
あの、雨の日から――――
思ったよりも文末の位置がずれてますね……
見にくいですね、すみません!
次から直します!
その日は雨が降っていた。
最初は静かに静かに、シトシトと落ち着いた調子で。
傘から流れる雫が地面に落ちる度に、私のココとが削られていく。
そこに暖かい雫が一滴、零れ落ちた。
「やってられないよ」
「何でそんなに真面目なの?」
「理音のそういう言い方がいけないんだよ」
「てか、こんなのやめようよ」
一部の女子の溜め息と冷たい視線が、今も残像として目に焼きついている。
去年の合唱コンクールの時、学級の責任者が私だったのだけど、1人で先走って、うまくまとめられずに
どうしようもなかった時だ。
男子は格好つけて歌わない、女子はどうしてもアルトパートが聞こえない。
どうすればいい?
どうしたら、まとめられるの?
何て声をかければいいの?
何をすればいいのか分からなくなった。
練習に出てこない人も出始めていて、まとまらず男子と女子の争いが耐えない。
クレームの矛先は勿論、私だ。
「女子のアルト声出してないじゃん。 なんで俺らだけ注意されないといけないんだよ」
「理音ちゃん、男子に何とか言ってくれない? いっそのこと担任に言おうよ」
「おい中田、女子も男子の事言えないだろ!?」
なんて言えばいいの?
「…どっちも、声出そう……?」
それしか、言えなかった。
その言葉にむっとした人が数人居た。
やってられないよ何でそんなに真面目なの?理音のそういう言い方がいけないんだよてか、こんなのや
めようよ責任者がしっかりしてよやめようよそんな言い方男子はまず声出そう?てか俺ら辞退でいいじゃ
んああ、そうするかそれがいいそれがいいやめようこんなこと
放課後練習では、男子は一人も来なかった。
「私には……まとめられない」
練習の途中で、抜け出してしまった。
ヨッチーと麻奈が途中まで追いかけてきたが、すぐに撒いた。
荷物も教室に置きっぱなしで、内履きのまま学校の外に出てきていた。
悔しかった。
なんで私には何も出来ないんだろうと、適切な声をかけられないんだろう。
自分の無力さが心に容赦なく突き刺さる。
心なしか雨脚がさっきよりも強くなっていた。
空を仰いで、氷のように冷たい雨を体中に浴びたかった。
「お前、内履きじゃん」
その声で誰かすぐに分かった。
こんな時まで学級委員ズラなの?バッカじゃないの?空気呼んでよ…日向
歪んだ視界の片隅に黒いものが写った。
いつのまにか、雨が当たらなくなっていた。
たぶん、日向が私の上に傘をさしてくれたからだ。
どうしていいか分からなくなって、何も言えない…。
でも、むなしく目には涙が溜まっていって。格好悪い、こんなところで泣きたくないのに。
「知ってるか?」
日向が先に口を開いた。
「餃子の皮から、アップルパイが作れるんだ」
「は?」
何言ってるの、この人。なんでこの場に及んで餃子の皮なの。やっぱりこの人バッカじゃないの。バッ
カじゃないの…。餃子とか本当にどうでもいいわ。バッカじゃ…
「ははっ、バッ…カでしょ日向…本当、バッカ…」
涙が止まらなかった。もう泣きながら笑ってる感じで、逆に涙がどんどん出てきた。
この人、最低。泣きたくなかったのに。
最低だけど、最高。
硬直していた筋肉が緩んでいた。
いつしか、雨も小降りになっいった。
>>9 の上から三行目
×傘から流れる雫が地面に落ちる度に、私のココとが削られていく。
○傘から流れる雫が地面に落ちる度に、私の心が削られていく。 です。すみませんorz
「ちょっと理音聞いてるの?」
ヨッチーの声で意識が戻る。
「ごめんごめん! ちょっと考え事してたわ」
そう笑って答えると、朝のホームルームが始まるチャイムがなった。
席に戻ると断って、自分の席に着く。
そこで少しだけ考えてみた。
部活引退したら、告白しようかな…。
あいつは私が告白したら、どんな顔するだろう。
そして、何らかの形でそれが広まっちゃったら、みんなはどんな顔をするだろう…。
「想像つくなあ」
口パクで口に出さずにはいられなかった。
眉をひそめて、うそーって引く子も居るかもしれない。
今の私は、別にそれでもいいんじゃないかと思う。
でも、引退した後の私は…そんな事が言えるだろうか?
同じ部活の子しか、気楽に話せる子は居ないし、クラスに女子バスケ部の子は私だけ。
バスケ部仲のいい子を抜かしたら、私はクラスで一人ぼっちなのかもしれない。
ヨッチーと麻奈が居なかったら確実に孤立するもんな。
私は、薄っぺらい友情と恋愛…どっちを選ぶことになるんだろう。
それからしばらく経った日の昼休みのこと。
「ひゅうがあああ!!」
「ちょっと! いい加減にしてよ!」
廊下で騒ぐ騒がしい女子の声に、昼休みのささやかな時間を中断させられた。
「は? 日向は5組で上の階でしょ? なんでこんなところまで声が聞こえるわけ?」
「さあ…」
ヨッチーがすごく怪訝な顔で言った。
麻奈も不思議そうな顔で廊下のほうに視線を移す。
「お前らが自分でやれよ」
「やってって頼んでくるだけだからさー!」
「そうだよ日向、そんな事いうなら、日向がやればいいじゃん!」
この女子の声は…日向のクラスの学級委員の女子か?
確か……あ、美恵子だったっけ?
「誰? 日向とあと、二人女子の声聞こえたね。 うっとおしい…」
「まあまあヨッチー落ち着いて」
私がなだめても、ヨッチーのイライラはいつも、なかなか治まらない。
「理音、この声誰?」
「日向のクラスの生徒会の子だよ。 美恵子っていう子、あともう1人は知らない」
「美恵子…誰? 女バス?」
「うん。 私と同じ」
日向たちの声がだんだん近づいてきてる。
何処のクラスに用があるんだろう。
私達のクラスのある3階は、被服室とかのいつも使われない教室しかないのに。
(私達3年生は1、2組が3階、3、4、5組が4階にある。私は2組で、日向は5組)
足跡が近づいてきたと思ったら、急に教室のドアが開いて、想像通り美恵子がドアから顔を出した。
「理音!? ちょっと話があるんだけど…」
「お断りする!」
私は即答する。
美恵子が持ってくる仕事なんて、いつもとんでもない仕事ばっかりだ。
「そんな事言わないで! 私達生徒会には、あなたのが画力が必要なの!!」
美恵子が私の机まで詰め寄ってきた。
ヨッチーはあからさまに嫌な顔をしてる。そんなヨッチーを麻奈はなだめる。
「無理。 絶対にしないわ、そんな面倒くさそうな事」
おかしなことに巻き込まれた。
日向はドアから顔を覗かせて、私の顔を見て屈託無く笑った。
「ほら、そんな事頼んで誰がやるかっつーの」
「うるさい! 日向は黙っててよ! ウザイ! 邪魔っ!」
「そう言ってるあなたが一番うるさいよ? 美恵子」
美恵子の言葉は1つ1つの単語の間に、感嘆符が必ずと言っていいほど付く。
「ねえー聞くだけでいいから! お願い!」
「わかったわかった。 何の仕事なの?」
「体育祭のスローガンのバックの絵!!」
「無理!」
何言ってるの美恵子は…。
あんなの2週間たっぷり使っても終わらないわ。
「理音ちゃんお願い!」
美恵子の隣にいつの間にか、私の知らない女の子が居た。
何なのこの人たち……。
隣を見るとヨッチーと麻奈が席を立ったところだった。
え、ちょっと待ってよ…。
「でも最後の公式戦前なんだよ? そんな絵描いてたら練習行けなくなっちゃうから」
「そこをなんとか」
本当に面倒くさいな。
ダメだ、本性が出そうで、それを抑えるのに必死なんだけど。
ふざけるなと言い放てたら楽なのに。
「もういいだろ。 生徒会なのにお前らみっともないと思わねえのかよ」
日向が教室に入ってきて、美恵子の体操着を引っ張る。
「戻るぞ」
美恵子は抵抗しつつも、廊下側に引っ張られていく。
「日向離して! とにかく、理音も考えておいて!」
「あっ、ちょっと待って2人とも…」
もう1人の生徒会の女子も2人を追って、ドアの方に急ぐ。
あっ……
私の目線は、自然と美恵子の体操着を引っ張る日向の手にいく。
日向と目が合って、日向は「ごめんな」というように仕方無さそうに苦笑いした。
日向がドアを閉めるときに美恵子の体操着から手を離した。
日向の肩が美恵子の肩とぶつかった時。
ズキンッ…と胸が痛んで苦しくなった。
その日の時間。
体育館を見回しても、美恵子と日向の姿は無い。
たぶん、生徒会の集まりだからだろう。
「大丈夫? 理音、元気ないよ」
「え……分かった?」
一番仲のいい花(hana)が、心配して声をかけてくれた。
今までの友達の仲で一番気の合う、いわば親友だ。
「そりゃ分かるよ。 さっきからコート見回してさ。何、恋わずらい?」
「え……うーん。いや」
誤魔化そうとしても、花にはバレる。
今まで恋愛のことは隠し通してきたけれど、きっと花には分かっていたんだろう。
花は少し笑って、軽く私の背中を叩いた。
「まあ、頑張って! 私、応援してるから」
「……うん。 でも、よく分かったね」
「当たり前でしょ。何年の付き合いだと思ってるの?」
そう言って、花は体育館の端に居る1、2年生に声をかけた。
「1年生! 必要な道具、用具室から出して!! 30分にはトレーニング始めるよ」
「ハイ!」
1年生の威勢のいい声が返ってくる。
2年生も体育館の端でくっちゃべっているので、それも花が注意した。
花は、生徒会に行ったっきり戻ってこない、ちょっとお騒がせな美恵子キャプテンの代わりに、
いつもこうやって仕切っている。
「よし、理音。 私達もそろそろ大会だし、頑張んなくちゃね」
私が花の問いかけに、頷こうとしたその瞬間――――――
「理音ー!! 今だけ!! 一度でいいから生徒会室に来てくれない?!」
と言っているうちに、既に私の腕を引っ張っていく美恵子を、やっとの事で認識した。
私はそのまま無理やり体育館のドアの方に連れ去られていく。
「ちょっと、美恵子!!」
花が美恵子に声をかける。
「ごめんなさいね! ちょっとだけだから、メニュー進めてて!」
「美恵子!!」
ついに花の怒鳴り声が聞こえた。
それでも美恵子はお構い無しだ。
私はもう半ば諦め気味で、もう勝手にしろよと思っていた。
言われるがままについていき、生徒会室のドアを開けた。
そこにはあからさまに不機嫌そうな日向と、自称天文学者の生徒会長、昼に教室に入ってきた
もう1人の女の子、その他2年生の役員数人が、一斉に視線を私に移した。
「連れて来たよー」
美恵子が暢気に言った瞬間、今にも掴みかかりそうな勢いで日向が声を上げた。
「連れて来たよじゃねえよ! 本っ当に使えないな、生徒会の3年女子は!!」
「日向、ウザい」
昼間の内気そうな女の子が日向に文句を言った。
こんなキャラだったんだ、この子。
「実は、頼みたい事がある」
自称天文学者の生徒会長が、眼鏡を押し上げ、格好をつけて言い放った。
「この生徒会には絵が描けるやつが居ない! その為、前々からその才能を輝かせている君に、
スローガンの背景の絵を描いて欲しいのだ。 ん? ダメか? ダメなのか!?」
言っているうちに自称天文学者の生徒会長が詰め寄ってきた。
ごめんなさい、気持ち悪いわとても。
私は一歩後ずさりする。
怖い、ここめっさ怖い。
美恵子は平気な顔をして、生徒会室の椅子に座り込んだ。
「もー、早く決めちゃって? やるの? やらないの?」
美恵子の声が耳に突き刺さる。
その言い方、もう私に否定権ないじゃん。
なんで、自分が好きなように絵を描いてただけで、こんな事にならなくちゃいけないの?
「私、できないって…。 一言もやるなんて…言ってないよ」
出来るだけ声をだしたつもりだけど、声の古江を抑えるのに必死だった。
そこで、大げさなほどの大きな溜め息が聞こえた。
「会長、席に戻れ」
日向の声が生徒会室に広がる。
生徒会長が怪訝な顔をして日向を見る。
「戻れって…言ってんだろ」
日向の低くて、一層不機嫌になった声が伝わった瞬間、会長は急いで席に戻った。
日向は席を立って私の方に寄ってきた。
そして、生徒会室に居る人を見回し、言った。
「言ったよな、そういうのは美術部に頼みに行けばいいって」
「いや、私は何処の部活にも手を借りずに、この仕事を―――」
「その考え方が腐ってんだよ」
食いつく会長を、日向は言葉で突き放した。
「結局力を借りるのは変わらねえじゃねえか。こんな大会前に失礼だと思わないのかよ」
「そんな事言うなら、日向が書けばいいじゃない。 そんなに理音をかばうなら」
美恵子が体を仰け反らせながら、日向を見た。
「他人事のように言うけど、絵を描くのも元はお前の仕事だろ。 俺に字の方を書けって言ったのも
お前だろ? 少しは自分の発言に責任持てよ」
美恵子が一瞬口ごもった時を突いて、日向が生徒会室のドアを開け、私に「出るぞ」と目で合図した。
――――――――――――――――――――
誤字が多いですね……すみません。。。
>>16の一番最後の行、
「声の古江」ではなく、「声の震え」 です…
――――――――――――――――――――
読ませていただきました。
私は、好きな方の作品で、書き方もいいと思いました。
ひとつだけ言うのならば、最初の人物紹介ですかね?
あそこでは、あまり感情表現は入れない方がいいと思います。
まぁ、駄作を書いている私の評価など、バカが見るとこんな感じか…
と位に思ってて下さい。
頑張って下さい
バ…バカなどと、滅相もない!!
評価ありがとうございました。
指摘されたところ、改善していきたいです。
これからも読者として見ていただければ嬉しいです!
生徒会室のドアを乱暴に閉めて、廊下を進んでいく日向に早足で付いていく。
「あの、ひゅう――」
「俺、あいつら嫌い。 仕事しないし」
日向が露骨に嫌そうな顔をしたのが、見なくても分かる。
こういう時の日向の考えている事が分からない。
ただ、仕事を忠実にこなさないメンバーに腹を立てたのか、私をかばってくれたのか。
でも、お礼は言っておかないとかな。
「助かったよ。 ありがとね」
背中を向けていた日向は、ゆっくりと振り返り、今度は優しく笑みを浮かべて言った。
「無理しなくていいから」
その時の顔をじっと見つめていられなくて、すぐに視線を反らしてしまった。
…格好良すぎた。
今頃、生徒会室では日向の悪口大会になっているだろう。
それでもお構い無しに、正義を貫いてここに居てくれる、そんな日向が眩しかった。
「日向も無理しないでね。 仕事、頑張って」
「おう」
生徒会室に戻っていく日向の背中を見つめた。
見ているのがばれてしまうと面倒な事になるから、私も数歩歩いて、振り返る。
そっと、確実に聞こえないくらい小さな声で呟いた。
「好きだよ、日向」
今は伝えられないけどね、いつか絶対に伝えるよ。
また、心臓がズキンッと痛くなった。
それに対抗するように、無理に笑みを作ってみる。
常に持ち歩いている生徒手帳を取り出し、附属のペンでメモのページに書き込んだ。
「君の背中に信頼を…」
第一章 1つの想い ・完・