その日は雨が降っていた。
最初は静かに静かに、シトシトと落ち着いた調子で。
傘から流れる雫が地面に落ちる度に、私のココとが削られていく。
そこに暖かい雫が一滴、零れ落ちた。
「やってられないよ」
「何でそんなに真面目なの?」
「理音のそういう言い方がいけないんだよ」
「てか、こんなのやめようよ」
一部の女子の溜め息と冷たい視線が、今も残像として目に焼きついている。
去年の合唱コンクールの時、学級の責任者が私だったのだけど、1人で先走って、うまくまとめられずに
どうしようもなかった時だ。
男子は格好つけて歌わない、女子はどうしてもアルトパートが聞こえない。
どうすればいい?
どうしたら、まとめられるの?
何て声をかければいいの?
何をすればいいのか分からなくなった。
練習に出てこない人も出始めていて、まとまらず男子と女子の争いが耐えない。
クレームの矛先は勿論、私だ。
「女子のアルト声出してないじゃん。 なんで俺らだけ注意されないといけないんだよ」
「理音ちゃん、男子に何とか言ってくれない? いっそのこと担任に言おうよ」
「おい中田、女子も男子の事言えないだろ!?」
なんて言えばいいの?
「…どっちも、声出そう……?」
それしか、言えなかった。
>>9 の上から三行目
×傘から流れる雫が地面に落ちる度に、私のココとが削られていく。
○傘から流れる雫が地面に落ちる度に、私の心が削られていく。 です。すみませんorz