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登場人物
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あらすじ
なるべく続けられるように頑張ります!
<主な登場人物>
・神上 リン (しんじょう りん)
24歳。暗殺者。神上ランの双子の姉。両親は二人が2歳の時に交通事故で亡くなった。親戚がいないため孤児院で過ごす。妹は12年前のある事件で亡くなっている。12年前の事件に関わり妹の存在と事件を無かった事にした政治家と警察、妹を殺した犯人に激しい怒りと憎しみを抱いており、事件に関わった政治家や警察を暗殺していく。
・神上 ラン (しんじょう らん)
12歳(死亡時)。故人。神上リンの双子の妹。12年前のある事件で亡くなっているが政治家や警察が事件と共に『無かったこと』にしたため彼女の存在を知っている人はほとんどいない。
・結城 信 (ゆうき しん)
24歳。刑事。12年前の事件に関わった政治家の結城誠の息子。父のように人の役にたつ人になりたいと思い刑事になった。リンとある出来事がきっかけで知り合い好意を抱くようになった。しかしある時、父の『空白の2ヶ月』を調べていたときある真実を知り、またリンの正体に気付いてしまう。
・竹田 尚子 (たけだ なおこ)
48歳。リンとランが過ごした孤児院の園長。12年前の事件を知っている数少ない人物。またリンが妹ランの存在と事件を無かったことにした政治家や警察に復讐をしていることを知っている。そのため彼女に復讐をやめるように言うが周りの人の声が耳に届かなくなったことを知り困惑する。リンの正体を知った信に彼女を止めるように言う。
・結城 誠 (ゆうき まこと)
50歳。政治家。結城華の夫で結城信の父。12年前の事件に関わった人物。表状は温厚で良い印象を受けるが裏では卑劣な行為を行っている。信がリンを連れてきた時、ランにそっくりだったため酷く動揺していた。後にリンに疑われる。
・結城 華 (ゆうき はな)
48歳。結城誠の妻で結城信の母。とてもおっとりした性格だが芯が強い人。夫の誠が裏で何かをしていることをわずかながら感じていた。信がリンを連れてきた時はとても喜びリンに冗談ながらお嫁に来てほしいと言っていた。
・有田 太郎 (ありた たろう)
50歳。政治家。12年前の事件に関わった人物。結城誠の友人であり共に裏で卑劣な行為を行っている。
・山本 時雄 (やまもと ときお)
51歳。結城信の上司。12年前の事件に関わった人。12年前の事件のことをとても悔やんでいたがリンに殺されそうになる。
・上原 和人 (うえはら かずと)
21歳。刑事。結城信の後輩。信をとても慕っており、いろんな情報を彼に教えていた。
<あらすじ>
12年前、ある海辺でそれは起こった。神上リンとランは孤児院の近くにある海辺に来ていた。そこに二人で遊んでいた時、リンが貝殻拾いに夢中になってふと気付くとランの姿が無かった。ずっと長い海辺を歩いて探して、しばらくするとランが倒れているのを見付けた。抱き起こして見ると胸の近くから血が流れていた。するとランが目を開けてリンに青いシーグラスを渡し微笑むと体から力が抜けていった。しばらくすると警察が駆けつけて来たがその人が放った言葉が「その子は最初から居なかった。」と言った。すると後ろから政治家の人が「君は何も見なかった。この事件はなかった事にしましょう。」と言いランの遺体を持って行った。その時、沈みかけていた太陽の光が海を揺らしまるで青い陽炎のように見えた。あれから12年、あの事件に関わってきた警察や政治家を殺して来たが妹を殺した犯人をまだ見つけていない。
「はぁ...。」
冬の夜、白い吐息となって消えた。
雪が降るなか周りの人達は自分の家に帰るため足を急がせていた。
その様子をベンチでボーッと見ていた。
黒いコートを着て黒いマフラーを巻き黒いブーツを履いている女性、神上リンだ。
あれから12年、あの事件に関わり妹・神上ランの存在を消した政治家や警察を殺して来たけれど犯人はまだ分かっていない。
空から降って来る雪を手のひらで受け止めたがすぐ溶けてしまった。
「人の命もこの雪みたいに儚く消えているんだろうな...。」
と呟いた。
今日も一人、人を殺した。
明日は誰が自分の手に掛けられるかな等と考えているとバシャッと音がし自分のコートに水滴がついていた。
どうやらお茶がかかったみたいだ。
すると相手の方から
「そこでボーッとしてるのが悪いのよ!」
と女性の声がした。
何も言わず相手の女性の顔をジッと見ていると
「フンッ!」
と言い立ち去った。
しばらくするとある男性が声をかけてきた。
「大丈夫ですか?よかったらこれ使って下さい。」
と真っ白なハンカチを渡してきた。
「いや、でも...。」
と言うと
「いいですから。使って下さい。」
と言いハンカチを渡した。
「ありがとうございます...。」
とお礼を言うと男性は微笑み人混みの中に消えていった。
家などないからホテルに帰った。
あまり滞在するといけないのであと2日か3日位かななどと考えながら洗濯する物をホテルマンに渡した。
部屋でワインを飲みながらハンカチを貸してくれた男性を探していた。
様々なデータを元に自分が探している男性と比較していた。
すると
ピコンッ
と音がした。
画像を見るとハンカチを貸してくれた男性とほぼ一致。
「ジャスト...。」
と言いながら他の事も調べていると家族構成と言う所で手が止まった。
『結城 誠』
その名前は12年前の事件に関わった政治家の名前だった。
偶然にもハンカチを貸してくれた男性・結城 信の父親だった。
信の職業を見てみると『刑事』と書かれていた。
目を細めどうするか計画を練った。
刑事だから少しでも変な行動をすると怪しまれてしまう。
しかしまだ彼の刑事の仕事ぶりを見ていないから決めつけるのはまだ早いとし明日は偵察すると決めた。
ワインを飲み干し目を閉じた。
「12年たった今もまだ犯人を見つけられていない。でも今度こそ見つけるよ。例え死んでしまったとしても絶対捕まえて殺してやる。」
青いシーグラスを見つめながら呟いた。
するとシーグラスが僅かに光ったように見えた。
朝日が昇る1時間前に起きた。
シャワーを浴びたあと歯を磨き、顔を洗う。
服を着替え、時計を見た。
「6時30分...。」
今ごろホテルのシェフが朝食を作っている真っ最中だろう。
7時になったら朝食を部屋に持って来るよう頼むことが出来る。
それまであと30分。
その間、世間の動きなどないかチェックする。
そうしているうちに7時になった。
部屋の受話器を取りフロントに連絡する。
10分位して届いた。
あと昨日頼んでいた黒いコートとハンカチをクリーニングしてくれたみたいで渡してきた。
クリーニングの紙を受け取り頷くと部屋から出ていった。
朝食を足早に済ませ、必要な物を黒いウエストポーチに入れていた。
ウエストポーチの中を2回ほどチェックしたあと昨日と同じ黒いコートに黒いブーツ黒いマフラーをしてホテルをあとにした。
8時位だったので会社に出勤するサラリーマンやOLが大勢歩いていた。
ベンチに座り結城信の勤めている警察署を探した。
見つけるとタクシーを拾い近くのカフェで待つことにした。
しばらくすると結城信が現れた。
警察署に入って2時間位たったとき警察車両に乗って何処かに行ってしまった。
でも何処に行ったかは分かる。
昨日、殺した政治家のところに行った。
場所は分かっているのし距離もそんなに遠くないので徒歩で現場に向かった。
「彼が仕事をするときどんな感じになるのか楽しみだな。」
と呟きながら除雪された道を歩いた。
死亡した政治家は自宅の裏庭で殺したので裏庭が見える場所に移動した。
バレないように盗聴器を信がいる近くの植え込みに投げた。
小型のタブレット端末に盗聴器の電波を接続してイヤホンを耳につけた。
しばらく雑音が聞こえたがピントを合わせると声が聞こえた。
「和人、殺された被害者のことを教えてくれ。」
「はい、えーっと名前は富山裕(とやまひろし)51歳。死因は多量出血による失血死ですね。凶器はナイフで指紋はなく背中を一刺したようです。被害者の家族に聞き込みをしたところ皆アリバイがありました。あと昨日被害者と食事をしに行った人の話による、とても楽しそうに話していて特にいつもと変わらなかったそうです。」
「そうか...。ん?なんだこれは?黒い羽?」
「あっ、結城さん知りませんか?6年前位から政治家とか警察の人とかよく殺されるようになったこと知ってますよね?どんなに警備を強化しても殺されてしまう。決まって殺された被害者の近くには黒い羽が落ちているんですよ。それを僕たちは『死神の翼』って言ってます。」
「死神?じゃあこの事件も死神の仕業ってことになるのか?」
「ええ、それともうひとつ死神の翼が落ちていた事件は何故か早く切り上げるように言われるんです。」
「それはまたどうして?」
「詳しいことは分かりませんが噂では何か公にしてはいけない何かがあるんじゃないかと言われています。」
すると笛がなり和人がどうしたのか聞いて来ると
「どうやら捜査を切り上げろと上からの命令がきたみたいです。」
と言う声が聞こえた。
どうやら彼の仕事はここまでのよう。
自分も帰ろうと思ってイヤホンを耳から取ろうとするとイヤホンから声が聞こえた。
「事件は解決していないのに、僕らの仕事は事件を解決して被害者の家族を安心させて犯人を逮捕することでしょう?それなのに捜査を切り上げるなんて...。」
と言う声が聞こえた。
それを聞き
「フーン、仕事ぶりや情熱は人一倍高いか。おもしろくなりそうだな。」
と呟き去って行った。
それから彼の行動パターンを知るべく3日間、観察していた。
そろそろ頃合いだろうと思い信に近ずくことにした。
夜、信が道を歩いている時に声をかけた。
「あの、すみません...。」
すると信は振り向いて少し驚いて微笑み
「あぁ、この間の」
と言った。
「あのこれを返そうと思って。」
と言い信から借りた白いハンカチを渡した。
「返そうと思っていたんですがなかなか会えなかったので返すのが遅れました。」
「いえいえ、そんな。」
と言うと
「あの、お詫びに食事にでも行きませんか?」
と言うと信は
「はぁ、今日は何なんで明日にでも。そうだ電話番号教えないと...。」
と言い電話番号を交換した。
「じゃあ、明日電話するので。」
と言うと
「よろしくお願いします。」
と返した。
彼が去ったあと
「一応、接近出来たけど明日の食事で印象を決めるから気をつけてないと。」
と呟いた。
翌日の午前9時頃に信から電話がかかってきた。
「はい、もしもし?」
「あっ、神上さん結城です。昨日の話なんですけど、夜の何時頃が良いですか?」
と言った。
自分は特にする事は無いしいつでも良いと思っていたので、
「何時でも。結城さんの時間に合わせて下さい。自分は大丈夫なので。」
と言うと
「そうですか、じゃあ午後8時に銀座のカフェの前で待っていて下さい。」
と言われた事をしっかり記憶して
「はい、分かりました。」
と返事をした。
すると信が
「あの神上さんはアレルギーとか苦手な食べ物ありますか?」
と聞いてきた
「えーっと、アレルギーはありません苦手な食べ物も無いですかね。」
「そうですか、凄いですね苦手な食べ物が無いの。僕、キノコ類が苦手で...。あの食感といい匂いといい苦手ですね。」
と言った。
話を聞いてるとどうやらキノコの中で一番苦手なのが椎茸なのだとか。
あの柔らかい食感とあの独特の匂いが苦手らしい。
そうこう話しているとあっという間に2時間たっていた。
「あっ、もうこんな時間だ。すみません遅くまで電話して。」
「いえ、楽しかったし自分も気付いていなかったので。」
「はぁ、そうですか。それじゃあおやすみなさい。」
と言う声が聞こえ電話が切れた。
フーッと息を吹いてからソファーに体を預けた。
ひとまず明日、結城信と食事に行くのが決まり少しリラックスしているのだ。
「さぁーてと、明日の為に寝ますか。」
と言いベッドの上で横になった。
次の日の夜、待ち合わせの場所に行くとすでに信が待っていた。
自分は待ち合わせの時間の10分前に来たのだが、向こうはその前から待っていたようだ。
「結城さん、お待たせしました。早くに来てたんですね。」
「あぁ、神上さん。いえいえ早く来すぎてしまって...。あっ、それよりお店に行きましょう。予約してあるので。」
と言い歩いてお店に向かった。
着くとどうやらお寿司屋さんのようで看板のライトが淡く光っていた。
「こんばんわ。」
と挨拶をして中に入った。
席の前にお皿と箸とおしぼりが置いてあるのでここが席だと分かる。
席につきおしぼりで手をふくと早速、大将がイカを捌いていた。
しばらくすると出来たようでお皿にそっと置いた。
箸で摘まんで食べた。
イカは甘くまた歯応えがありとても美味しかった。
「このイカ美味しいですね。」
「うん、甘く歯応えがあって美味しい。」
と話しているとまた出来たようでお皿にそっと置いた。
マグロで箸で摘まんで食べた。
これもまた美味しくお寿司の中でマグロが好きだったリンは
「わぁ、このマグロすごく美味しい!」
と嬉しそうに言うと信が
「そうですね、とても美味しいです。」
と言った。
その後も卵や海老、サーモンなど系12貫ほど食べた。
「ありがとうございました。」
と挨拶をして店を出た。
「とても美味しかったですね。」
「そうですね。また機会があれば違うところにも連れて行ってあげたいんですが、大丈夫ですか?」
と聞いてきた。
リンとしてはさらに接近するチャンスなのでもちろんOKした。
「えぇ、もちろん良いですよ。」
と返した。
信は
「じゃあまたいいお店探しときます。」
「今晩はありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそありがとうございました。では気を付けて帰ってください。」
と言って帰った。
信が見えなくなる所まで行くと
「フーッ、美味しかった今度はいつになるかな。それまでに結城誠が12年前の事件の犯人か調べないと...。」
と呟き夜の闇に消えて行った。