不思議なことに。
この世には世界が゛2つ゛、在るらしい――……
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>>02登場人物
>>07 紗霧さんありがとうございます!
まだ序章ですが、これからも読んで頂ければ幸いです^^
しばらく歩くと、学校らしき建物に着いた。
俺の普段通っている学校と同じような感じだ。
学ランのバッジを見る限り、翔也と同じクラスらしい。
彼に着いていけば大丈夫だろう。
「おはよー」
「……おはよう」
翔也に続いて俺も小声で軽く挨拶する。
「あ、翔也君!夢斗君、おはよう!」
翔也の時と同じく、顔も名前も覚えがない女子が挨拶を返してきた。
なんで俺は彼女の名前を知らなくて、彼女は俺の名前を知っているのだろう。
夢だからだろうか。
幸いにも教室に座席表が貼ってあったから、一関と印字された場所に座ることができた。
「どうしたの、夢斗君。普段と様子が違うけれど……というか、一週間も休んでたよね」
隣席で話しかけてきた女子は……双美亜女だ。
現実にもいる、唯一見覚えある人。
にしても、夢に出てくるほど彼女と俺は親密な関係だったろうか?
「……別に。変わんねーよ」
「ふーん。ま、いいけど」
やけに目ざといな……
多分、俺が違う俺だってことに、少し感づいているかもしれねぇ。
まぁ俺の夢だし、バレたところでどうってことないがな。
「じゃあ今日はー、予告通り理科の小テストだ」
授業が始まり、小テストの解答用紙が配られる。
教科書が鞄に入っていたので授業前にザッと見たが、現実でやっている内容で特に心配することもなさそうだ。
問題は10問、一問10点か。
気圧の問題、楽勝だな。
にしても、この夢一体いつまで続くんだろうか……
「テスト終了。後ろから回収しろ」
テストの解答用紙が前に回されていく。
確かこの夢の中では、俺はバカってことになってるんだったな。
「いーちのせきぃ〜、お前また珍回答書いたか?」
「だってお前、この前の社会のテストでペリーのこと豊臣秀吉って書いてたもんなぁ〜」
「今回も期待してるぜ、珍回答」
「あはははははっ!」
クラスの全員がこっちを見て大笑いしている。
完全に舐められているんだ、一関夢斗は大バカだってな。
けれど証明してやるよ。
本当の一関夢斗はバカじゃない……ってな。
――キンコーン……
終業のチャイムが鳴ると、先生が今日やった小テストの束を持って「返却するぞ」と言った。
「今回はデキが悪いぞー!平均点52点!このクラスが最後だが、学年で満点はこのクラスで一人だけだ」
「うっわー、満点って誰だろ」
「俺やべぇよ、赤点だわ〜!つーかhPaって何?」
「ま、最下位になることはないだろ。一関がいるんだし」
次々と名前が呼ばれ、悲鳴や歓喜の声があがる。
「一関夢斗…………満点、だ。よくやったな」
先生が優しい顔で、俺に解答用紙を手渡した。
悲鳴や歓喜の声が、水を打ったように静まり返り、視線が一気に俺に集中する。
ほら見たかよ、一関夢斗はバカじゃない。
花丸のついた解答用紙を受け取る。
「上出来」
俺は口角を釣り上げ、二ヤッと不敵な笑みを浮かべた。