★☆♪まいと薫のコラボ小説♪☆★

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1:まい◆8Q:2017/08/07(月) 09:36

こんにちは!
ここは、私と薫先生のコラボ小説を書くところです。
コメント、ぜひお願いします!
荒らしとなりすましは禁止です。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【あらすじ】
多田本真美だよっ!真美が、あらすじを紹介します!
真美は、私立彦宮学園の児童会長。
いろんなことで悩みが増えていくの。
このままじゃ児童会長なんて無理!って思ってたんだけど。
何か道が見えてきたの。
行った先は、同い年くらいの子たちが仕事してる!?
まい先生と薫先生によるコラボ小説、第一弾!ぜひどうぞ!

7:みぃ◆8Q:2017/08/07(月) 16:23

1.精神的に辛い日々

わたしの初のCM撮影。
ドキドキ、ドキドキ。
CMを作る監督の中で恐いと有名な、森田監督と一緒。

わたし、金子藍。
って言うのは本名で、芸名は、金宮藍だよっ!
ある日、ひょんなきっかけで芸能界デビューしてから1ヶ月。
ちょっとはお仕事にも慣れてきた。
6月って言う梅雨の時期、ちょっとムシムシして暑いけど、現場がピリピリしてて寒かった!
アイドル活動では、レインボーハッピー、略してレイハピのメンバー。
ちょっとずつ有名になってきたよ!

「藍ちゃんいける?」

森田監督ににらまれて、もうちょっと休憩したかったけど、無理だなんて言えない。
小さい声で、「はい」って答えると、森田監督は「声が小さいっ!」って怒り出す。
関係ない人も背筋がゾクッっとするほどだよ。
わたし、頑張ってるつもり。
なのに、ダメ出しばっかり出るの。
オーケー出たのはない。
今までに撮った回数46回。
それがひとつも良くないなんて。
精神的に疲れすぎてて無理かも。

「藍ちゃん、いい?藍ちゃんが、15秒っていう短い時間で伝えるのは、芸能界1マンガ好きっていう藍ちゃんにしか出来ないこと」

うーん。
そんなに好きってわけじゃ。
わたしはただ、楽屋に『にゃお』っていう月刊誌持ってきただけで。
別に…。

「いい?にゃおガールに抜擢されてるんだから、しっかりやりなさいよ」

はい、すみません。
にゃおの魅力、必ずわたしが伝えて見せるから!
森田監督、見ててよ!

「いきます!」

わたしの掛け声が、撮影現場中に響いた。

8:薫:2017/08/07(月) 16:45

2.憧れのあいぴー

「トウナっ!見てみて‼」

事務所に入ってすぐ、ミオウが飛んで来た。

手には雑誌。

「なになに?……うわぁっ、あいぴーCM出るの?にゃおガール抜擢………すごいすごい‼わたしにゃお読んでるし‼」

「トウナ、あいぴー押しでしょ。ここ、インタビュー載ってるよ。にしても凄いね〜、レイハピ。結成してすぐに注目あびてるし、あいぴー最初からすごい厳しい監督に指導受けてるって………」

あ、説明するね。

レイハピは、わたしとミオウがファンのアイドルユニット。

解決事務所初仕事の後にミオウが読んでた雑誌に出てて、すぐファンになっちゃった‼

(解決事務所については本編を読んでね!丸投げしてごめん!)

いまでは1日3回以上『レインボーハッピー』って検索してるよ。

わたしはポジティブでピンクが似合うあいぴー推し!

ミオウは大人かわいいリリー推しだよ!

わたしはミオウから雑誌を受け取って、あいぴーのインタビューを見る。

………そうだ。

「ね、ミオウ!あいぴー事務所に招けないかな?悩んでるみたい……」

「確かに。そんな気する。インタビュー見ても……ね。笑顔を届けるアイドルには、笑顔でいてほしいし。ララさんたちに頼んでみる?」

「うん!」

憧れのあいぴーが前向きになってくれて、もしなかよくなれたら、一石二鳥だし!

というか、もし本当にそんなことあったら、一石1兆くらいだよ!

よし、ララさんお願い‼

ミオウと一緒に、ララさんのいる部屋へ行った。

9:みぃ◆8Q:2017/08/07(月) 17:31

3.もう無理かも

森田監督を何度か見る。
失敗は68回目。
次が69回。
でも、森田監督でCM撮影した一番短い人は、131回目だから。
まだまだ頑張ってやる!
わたしは、ファンの子がいると信じて、毎回力を入れて取り組んだ。
最後のセリフ、「にゃおッコになればあいぴーのサインもらえる!」のセリフを強調して、カットがかかる。

「藍ちゃんのCMじゃない。にゃおのCMだ!自分のところだけ強調するな!70回目!」

はぁ。
ダメだったか。
立ち位置で怒られたり、発音、声の大きさ、動作と、全て怒られてるのに。
わたし頑張ってるのに。

「よーい、スタート」

森田監督がスタートして、動作、発音や立ち位置を細かくして動いてみた。
最後のセリフも、頑張って。
だけど、結果は同じ…。

「ダメだダメだ!今日は終わりだ。藍ちゃん、もうちょっと力入れて!」

「はい。あと一度撮らせてください」

最後まであきらめずに、立ち直って撮影すること。
それが、にゃおッコのため。
最後のセリフを言い切ると、ヘナヘナ崩れ落ちた。
もう限界。

「まあまあ。明日も同じ時間に来て。はい、終わり」

こういうあっさりした終わり方。
わたしは、今日は楽屋に泊めてもらうことにした。
でも、ニュースでは、『森田監督に厳しく見られるレイハピ藍ちゃん』と出て、わたしが崩れ落ちる様子が流れている。
ウソッ!
撮られてたの?
でも、もう流れてしまったものは仕方ない。
インターネットでは、森田派か藍派で討論されていた。

10:薫:2017/08/07(月) 18:06

4.なんで反対⁉


「ララさんっ!」

わたし達はララさんのいる部屋に飛び込んだ。

「あ、二人とも。あいぴーちゃん出てるわよ」

ララさんはつけているテレビを指差す。

本当⁉って、あ………

「あいぴー………」

そこには、監督に指導され、崩れ落ちるあいぴーが映っていた。

芸能界は厳しいんだ。

人気が鰻登りのあいぴーも、こんなに努力している。

やっぱりあいぴー、事務所に来て欲しい‼

「あのね、ララさん。この子……あいぴー、解決事務所に来れるようにしてくれませんか?芸能界厳しいし、やっぱり安心して相談できるここに来て欲しいんだ……」

沈黙。

「……無理ね。というか、個人的に反対」

「「なんで⁉」」

ミオウとハモる。

「そこは自分で考えなさい。ほら、あいぴーちゃんのニュースも終わったし。もう18時よ。帰りなさい」

「はーい」

ララさんの有無を言わさない口調にしぶしぶ退室。

「おれもみくさんに同感だな……」

ソウマの呟く声が聞こえた。

11:みぃ◆8Q:2017/08/07(月) 20:15

5.きらめく光

わたしは、翌日。
疲れた状態で中学校へ行った。
友達の、美音ちゃんと陽菜ちゃん、琴ちゃんと千尋ちゃんが覗き込む。

「仕事で疲れてるんじゃない?藍ちゃん、ずっと仕事一途で頑張ってるもんね」

琴ちゃんがスクバ(スクールバッグ)を持ってくれて、わたしはまた崩れ落ちた。
この様子をまた撮られていた。
この映像が、またニュースで出ていることに気付いたのは、スマホを持っている陽菜ちゃんだけ。
だけど、わたしたちのおしゃべりの声にかき消されて、スマホのことなど考えていない。

「行こう。わたし、止まってられないもの」

そうだよ。
ここという場所に対しても、芸能界という厳しい世界に対しても。
怖くて止まってられない。
わたしに出来るベストを作っていかないといけないだけだから。

「藍ちゃんは偉いね。絶対わたしたち味方だから」

美音ちゃんがにっこり笑ってくれて、これからも頑張ろうと思えた。
きっと出来る。

「ちょっと相談したいことがあるんだけど、相談室に一度相談したいの。いい相談室ない?」

わたしがつぶやいた瞬間、一瞬だけ、前に綺麗な光がほとばしる。
まぶしくて目を閉じちゃったら、学校の昇降口に立っていた。

12:薫:2017/08/07(月) 21:31

6.厳しい芸能界

「トウナ、見てみて。またあいぴーニュースになっちゃってる。登校の様子ね………。」

また?

「本当にひどいよ。マスコミもちょっとは考えてほしいね。あいぴーにもプライベートあるんだし、悩みだってあるんだし。ねっ、ソウマもそう思うでしょ?」

なんとなく、ソウマに話を振ってみる。

「ま、オレもそう思うけどよ。現実を見てみろ、現実を。芸能界やマスコミはそんなもんだ。芸能界に入るにはそれなりの覚悟が必要なんだよ。そのあいぴーチャンも、そういうのに少しは慣れる必要があるんだ。メンタル強くないとやってけないからな。だからオレもみくさんも、あいぴーチャンの事を思って、事務所に招くことに反対してんだ。」

ふぅん。

たしかに一理ある。

でも、人に相談して強くなることもあるよね。

それは、あいぴーじゃない他のレイハピの子でも同じ。

みんなに前向きでいてほしいもん。

「ねぇソウマ。それはゆっちにも同じ事をいえる?」

ミオウが何気なく聞く。ソウマはゆっち推しなんだよね。

「まあな。それが優しさでもあるしな」

ソウマは凄い。

おちゃらけているけど、自分の考えがあるもん。

「予想外のことが起こったわね」

ララさんが顎に手を当てながらこっちに来る。

「どうしたの?」

「それが…… あいぴーちゃん、本当に事務所を必要としてるみたいなのよ。」

本当に‼

って喜ぶようなことじゃないか。

「あいぴーちゃん、事務所に呼んでもいい………というか、呼ぶ必要があると思うの。どう?トウナ、ミオウ」

「「もちろん!」」

あいぴーの役にたてるなら、なんでもOKだよ‼

「おいおい、遊びじゃねーんだからな」

ソウマがまた呟いていた。

13:みぃ◆8Q:2017/08/08(火) 07:44

7.強い意志

授業が全て終わり、きらめいた光を思い出して、また、同じことを言ってみようと思った。
同じことが起きたら、正体を探るんだから。

「…相談室ないかな」

目をギュッっと閉じて、おそるおそる目を開けてみる。
ただの、通学路。
みんなが、「レイハピの藍ちゃんだ」って言ってるだけ。
わたし、ヘンな人だよね。
さっきのは、疲れすぎて幻覚かな。
なーんて適当なことを考えて家に帰った。

「ただいまー」

「藍、CM出てるわよ!今やってる」

にゃおの?
CMって、いろんな時に出たり出なかったりだから、見たことないんだよ。
テレビを見て、目を点にする。
すっごく疲れた顔してるじゃん。
森田監督も、イヤだっただろうな。

「わたし、事務所行ってくる!」

こんなCMを届けるわけにはいかない。にゃおッコや、にゃおッコになりたい子へ届けるもの、こんなのでいいわけない!
わたしは、私服に着替えて電車に飛び乗った。
このままでいいわけない。
森田監督にお願いして、撮り直しか何かをしてもらうんだ。
芸能界は、そんなに甘いものじゃないはずだから…!

「小保さん!」

「あら、藍じゃない。仕事あるの?」

「いいえ。森田監督に撮り直しをさせていただきたくて」

すると、後ろから怖い顔の森田監督が来た。
ちょっと笑っているように見える。

「待っていたよ、藍ちゃん」

「この間は失礼しました!撮り直しさせてください!」

「よーし、やるぞーーっ!」

14:薫:2017/08/08(火) 11:04

8.まさかのあいぴー来られません⁉


「ねぇララさん、あいぴーここに来れるようになった?」

わたしがウキウキと聞くとララさんはソウマと顔を見合わせる。

「あいぴーちゃんはちょっと心境が不安定なのかな……占っても、個人情報がわからないのよ」

いやいや、個人情報なんて分からないのが普通だから。

てか、個人情報って必要なの?

「ここに来れるように上手く導くには、行動範囲とかを調べる必要があるんだ。でも、それがなぜか無理なんだよ」

わたしの心を読んで、ソウマは言う。

「いくつかの仮説をたてたわ。1つは、あいぴーちゃんの心境が特別だから。周りに悟られないように、心を塞いでるの。それか、もういっぱいなのね。1人で抱えすぎていて」

「あいぴーが?」

「まだ仮説よ。で、2つ目は事務所反対の誰かの仕業よ。ほら、沖縄からここに繋がる道も誰かの手で遮断されたでしょ。(詳しくは本編で‼)だからその誰かが占いの電波も悪くしたの」

電波って………なんだそれ。

「占いに電波なんてあるんですか?」

ミオウが聞くと、ララさんは

「ま、そんな感じの物があるのよ」

だって。

「占いの電波とやらが悪いなら、他のこと占っても分かんないんじゃない?」

「そう。でも他の事を占うとそうでもないから、1つ目の説が有力ね。だからあいぴーちゃんに心を開いて落ち着いて欲しいんだけど、それが事務所の仕事だし」

う〜ん、なんかいいことないかな。

あっ!

「わたしたちで調べるのは?あいぴーのことを1日5回スマホで検索、街中であいぴーを探して、尾行‼」

我ながらいいと思う‼

「いいと思うけど、ストーカーにならない?」

ミオウが言う。

でも………

「なんとかなるでしょ!ね、ソウマ‼」

適当に話しを振ってみる。

「ま、実行するのはお前たちだ。任せるけどよ、なんかあったら自己責任だ」

「よーし、ミオウ責任取るよね!いこういこう、あいぴー尾行大作戦」

………てなわけで、あいぴーが事務所に来れるように、尾行大作戦がはじまった。

15:みぃ◆8Q:2017/08/08(火) 11:39

9.最短CMオーケー

その日わたしは、最短69カットでCMが決まった。

「森田監督、ありがとうございました!また、よろしくお願いします!」

「いやいや。藍ちゃんが気付いてくれて嬉しいよ。ありがとう」

わたしは、事務所を出た途端、何となく心臓辺りが痛くなった。
衝撃が走るイメージ。
疲れがたまったのかな。
じゃあ、電車の中で寝よう。
そんなことを考えながら、ふと立ち止まる。
キョロキョロと辺りを見回す。
誰かが見ている。
そんな気がして怖かった。
だけど、また幻覚を見たのかと思って電車に乗る。
寝たかったけど、ちょっと寝られなかったの。
今日が初の給料日で、ついでに小保さんにもらったんだもん。
取られたくないし。
電車を降りて家に帰ると、ご飯の準備がきちんとされていた。

「藍、お帰り。疲れたでしょう?今日は藍が好きなハンバーグよ」

今にもあふれでそうな肉汁。
ゴックンとつばを呑み込んで、ハンバーグをバクバク食べる。
パクパクのレベルじゃないの。
バクバク。
疲れもだんだん取れてきて落ち着いてきたけど、相談したいことは山ほどある。
ママには出来ない、ね。
相談室、早く見つからないかなあ。
お願い、わたしを導いて!

16:薫:2017/08/08(火) 13:15

10.鋭いあいぴー


あの後わたしたちは急いで電車に乗って、あいぴーの所属事務所の最寄り駅で待ち伏せした。

そしてその後、尾行開始‼

まず、ミオウがあいぴーの乗る電車を確認。

ミオウは同じ電車に乗って、わたしは先回りしてあいぴーの降りる駅で待つ。

一応作戦成功‼

なんだけど、あいぴーはわたしたちに気付いてた……と思う。

しょっちゅう後ろ振り替えってたし。

でもちゃんと最後まで尾行できた!

一応あいぴーの家も確認。

そしてその近くの中学もチェック。

「やっぱりあいぴーの事務所近くがいいのかな。芸能について悩んでるなら、その近くがベストでしょ」

なんてミオウと会話しながら、事務所に戻る。

今日の尾行をララさんに報告して、事務所に来れるようにしてもらおう!

17:みぃ◆8Q:2017/08/08(火) 17:30

11.マスコミが見たもの

わたしは、何とか学校へ行った。
無理そうだったんだけど、頑張って。
友達と会えるしね。

「美音ちゃん、陽菜ちゃん!」

ちょうど、美音ちゃんたちがいたので、力を抜いた。
陽菜ちゃんは、おそるおそるスマホを見せる。
ん?何々?
スマホを覗き込むと、昨日崩れ落ちた時のことが載っている!

「藍ちゃん、解決出来ないことあったら言って。わたしたち、力になりたいから」

陽菜ちゃんがスマホをしまう。
美音ちゃんも、うんうんとうなずく。
わたしには仲間がいる。
けど…。

「うんん、平気。昨日、何とかしたから。ありがとね」

うん、そうだよ。
平気だよ。
ここではね。
相談室が見つかれば、綺麗さっぱり片付くのに。
本当にお願いします。
わたしに、芸能界で生きていく力をください。
何でもしますから。
わたしは、作り笑いでそっと笑った。

18:薫:2017/08/08(火) 20:58

12.解決事務所に続く道


やっぱりあいぴーに事務所に来て欲しい‼

だから早速ミオウと一緒にララさんにお願いした。

「ララさん、お願いします!あいぴーが事務所に来れるようにしてください!」

わたしとミオウが頭を下げると、ララさんは言った。

「昨日の尾行はどうなったの?」

「なかなか上手くいったよ!やっぱりあいぴーの事務所の近くから来てもらえたらいいな」

解決事務所に続く道は国内にいくつも………意外と沢山あるの。

あいぴーの事務所の近くにもないかな?

「あいぴーちゃんの事務所の近くの道……」

どこからか持って来た特大パネルにあいぴーの事務所が映し出される。

「あっ、ここね。事務所の最寄り駅の近くにあるわよ」

じゃあ、そこから来てもらえたらいいね!

「お願いできますか?ララさん。あいぴーがここに来れるようにしてください!」

もう一度頭を下げると、ソウマとララさんはプッと笑った。

「わたしたちも鬼じゃないわ。ダメなんて一言もいってないじゃない」

「そうだぞ。てかお前ら、オレの事忘れてないか?みくさんにばっかり頼んでよう」

ララさん………ソウマも、確かに忘れてたけどありがとう‼

「じゃあミオウ………あれやっちゃう?」

わたしたちの、あれ。

「いくよっ、せーのッ‼」

わたしはスウっと息を吸った。

「パワフル☆ピース………」

「「活動開始‼」」

19:みぃ◆8Q:2017/08/08(火) 22:39

13.光の正体

わたしは、後日の撮影後。
ヘトヘトな状態で駅へ向かう。
肩こった〜。
ちょっとグリグリ回しながら改札を通ろうとすると、後ろから肩を叩かれた。

「どちら様です?」

「あいぴー、こっち来て!」

謎の元気な女の子は、わたしを引っ張って駅の片隅のソファへ移動。
女の子ふたりがキラキラした目でこちらを見てくる。
わたしがアイドルって知ってるのかもしれない。
ちょっと身構えていると、わたしを引っ張ってきた子が声を上げる。

「わたし、浄坂桃奈!トウナって呼んでね!」

トウナさんは、にっこり笑う。
ちょっと、同じタイプかも。
きっと仲良くなれる。

「あ、わたしは金宮藍。っていうのは芸名だけど」

「へ〜え、あいぴーって芸名なんだ。知らなかった〜」

「あいぴーすみません」

女の子のひとりが、トウナさんに小さな声でしかる。
姉妹かな。
でも、身長は同じくらい?

「面白い方ですね。…何のご用でしょうか」

ちょっとトウナさんを上目使いで見ると、また手を引かれて、あの光だ!
美音ちゃんたちといたときに見たまぶしい光。
一瞬見えた光。
だけど、はっきり見える。

「あいぴー、飛び込んでっ!」

トウナさんに言われるがままに飛び込むと、わたしの体はふわりと浮いた。

20:薫:2017/08/09(水) 07:37

14.ミッションクリア‼



あいぴーが光に飛び込んだのを見届けて、不思議な感覚になる。

わたしたち事務所員は『繋がりの御札』があるから普通の道に見えるけど、相談者の人から見える道は少し違うのかも。

「トウナ。行くよ!」

ミオウに言われて、あいぴーを追いかける。

すると、いつものプラタナスの巨木の前にあいぴーが立っていた。

「あの、改めてはじめまして!わたし浄坂桃奈。律鎌小学6年!ひとつ年下だよ!で、こっちが……」

サイドテールのミオウを紹介する。

「真路美桜、崎紅学園の6年です。ミオウって呼んでください。あの、私たち勝手にあいぴーって呼んでて………すいません」

ミオウ、ちゃんとしてて凄い‼

あいぴーは

「いえいえ」

って突然の事で驚くはずなのに、冷静!

「ねぇあいぴー。ここは悩みを相談してもらって、来た人を前向きにする事務所なの!わたしたちが話しを聞くよ!中に入って‼」

そしていつもの通りプラタナスのへこんだ部分を押して、あいぴーに中へ入ってもらう。

ふふっ。

驚くよねぇ。

あいぴーとダイニングテーブルに向かい合って座って、にっこり笑う。

「話しきくよ。秘密は守るから!ねっ。わたしたちあいぴーに、前向きになって欲しいんだ‼」

21:みぃ◆8Q:2017/08/09(水) 17:06

15.祈りの気持ち

ファン、なんだね。
だからわたしのこと知ってるんだ。
でも…。

「あなたたちは、どうしてわたしをここに呼んだの」

「前向きになって、ほしいから…」

トウナさんがつぶやいて、わたしは前向きじゃないんだって思った。
きっと、トウナさんとミオウさんが、わたしを救ってくれる、救世主。
お願いします、どうかわたしを助けてください。

「わたしは、姉のスカウトで、姉が断ったのでわたしが替わりにアイドルになりました。やる気は、そんなにありませんでした」

わたしは、ちょっとでも詳しいことを言おうと思って、思い出す。
森田監督に厳しく言われたこと。
マスコミに撮られてしまったこと。
そして、精神的につらいこと。
期待に応えられないこと。
ありのままのわたしじゃない気がすることを話した。

「長くなってすみません。何か、小さいことでも良いので、アドバイスなどください」

トウナさん、ミオウさん。
わたしをレイハピのピンクの子に戻してください!
わたしは、祈るような気持ちでふたりの返答を待った。

22:薫:2017/08/09(水) 18:59

16.解決事務所の本当の仕事

「あのね、あいぴー。この事務所は悩みを解決するんじゃなくて、相談してくれた人に前向きになってもらう、そして、自力で解決してもらう、っていう事務所なの。あ、先に言っておこうと思って」

わたしがあわあわと言うと、ミオウがコソっと言う。

「トウナ、説明分かりにくい……」

「わぁっ、ごめん。んー、なんとなく理解して‼」

で、あいぴーに前向きになってもらうには…………

あっ!

「わたしね、事務所の男子に言われたんだ。あいぴーを事務所に招くのは反対、って。でもね、それはあいぴーがこれからも芸能界でやっていくために、メンタル強くないといけないし、慣れないといけないから、って理由だったの。だから……」

「自分は自分、と前向きに進んでほしいの」

ミオウがわたしの言葉につないでくれる。

「あいぴーの辛さ、大変さ、きっとレイハピのみんなも分かってくれるよ。自分でアイドルをやりたい、アイドルとしてこうしたい、っていう目標をちゃんと持ってやっていけば、きっと上手く行くよ!」

うん。

「あいぴーの本当やりたいことをやればいいんじゃない。あのね、関係ないかもしれないけど私、『勇往邁進』って言葉が好きなんだ。目標にむかい、真っ直ぐ元気に突き進むこと、って意味なの。で、トウナの好きな言葉が…………」

「『楽しい』は創るもの、って言葉がモットーなの。」

わたしはあいぴーに向かってにっこり笑った。

「あいぴーのやりたいことを正直にメンバーに話したらどうかな。あいぴーは、もっと人に頼っていいと思うよ。わたしも、今は仕事で話を聞いてるけど、いつでも友達として、話をきくよ!」

あいぴーを見ると、

「ありがとう」

って微笑んでくれた。

前向きになってもらえたら、事務所から元の場所に戻る。

あいぴー、前向きになってくれたかな?

23:みぃ◆8Q:2017/08/09(水) 19:44

17.前向きガール

わたしはその日、ベッドでボウッっとしていた。
アイドルとして、やるべきことが出来なかった気がして、ため息。
でも、きっとトウナさんが前向きにしてくれたかな。

翌日。
土曜日なので学校もなく、そのまま事務所に向かった。
今日、出来たらみんなに言おう。
これからも、迷惑かけるかもだけど、よろしくお願いしますって。
これが、昨日悩みに悩んで決めた最大の言葉になると思う。
楽屋でTシャツに着替えて、みんなを待つ。
鼓動が…ドクドクドクドク。

「早いね、あいぴー」

ゆめりんが手を振りながら事務所にやって来た。
またどんどん鼓動が激しくなってる!

「あ、あいぴー!おはー」

ゆっちも来て、すぐリリーも来た。
みんなが事務所の一角に集まる。
スタッフさんもいない、今がビッグチャンス!

「み、みんなっ!聞いて!」

メンバーみんなの視線がこちらを向いた。
わたしと同じ時期に芸能界デビューしたゆめりん。
元モデルの頼れるゆっち。
元青空キラリメンバーの大人っぽい、わたしの憧れリリー。

「わたし、まだ何にも出来ないけど、みんなで協力して、進化していきたいから、迷惑かけるかもだけど、よろしくお願いします!」

届いて!
この言葉で、わたしも、レイハピ全体が前向きになれれば…!

「いいじゃん、あいぴー」

ゆっちがつぶやくと、ゆめりんとリリーも「いいよ」って言ってくれる。
わたし、恵まれてるな〜。

「あら?みんな集まってるじゃない。はいはい、レイハピガールの撮影よ」

みんなで笑い合いながら、レイハピガール撮影現場へ行く。
きっと、前向きになれた。
トウナさんありがとう!
わたし、もう一度トウナさんのところへ行きたい!
そう思いながら、撮影現場へ移動した。

24:薫:2017/08/09(水) 21:12

18.友達として


あいぴーは前向きに、自分のこれからを考えて、新たな1歩を踏み出した。

だからもう解決事務所に用はない。

もう来れないし、来ないし、来てはいけない。

今日は土曜日。ダンススクール『ミサンガ』もないし、事務所員のララさんにも『土曜日はゆっくり休みなさい』って言われたし、リビングでゴロゴロ。

今日、あいぴーは仕事あるかな?

もしかしたら、事務所の最寄り駅で会えるかも。

わたしは出掛ける支度をして、家を出た。

会いたいな、あいぴーに。

事務所の仕事云々じゃなくて、友達として。

話して、遊んで……って、あいぴーは忙しいんだった。

それに会えるか分からないし。

でも、あいぴーと友達として話したい‼

そう思って、あいぴーと初めて会ったところで待った。

25:みぃ◆8Q:2017/08/10(木) 08:10

19.本当のアイドル

前に見た人影。
この前は避けちゃったけど…。

「トウナさん?」

「会えた!トウナだよ!」

やっぱりトウナさんだ。
やった、会えた。
もしかして、トウナさんも会いたいって思ってくれた?

「トウナさん。わたし、トウナさんとミオウさんと仲良くなりたい」

お礼に、次会えたら渡そうと思っていた物をカバンから出す。
これはね、わたしが初めて書いたサイン。
色紙をトウナさんに見せながら…。

「確か、わたしのファンって言ってくれたよね…だから、これ」

ミオウさんのも、わたしのファンじゃないかもだけど、書いてきた。
トウナさんは嬉しそうに受け取ってくれて、すごく嬉しかった。
前向きになれて、アイドルとして笑顔を届けられたって思えて。

「あのね、イヤだったらいいの。わたしと…友達になって、遊ばない?」

わたしは、トウナさんの解答に胸を踊らせながら待った。

26:薫:2017/08/10(木) 12:08

20.友達


えっと……遊ぶ、って2つの解釈ができるよね。

・今から遊ぶ、遊びに行く

・仲良くする

わーん。もっと国語勉強すればよかったー‼

「えっと、遊ぶって今からですか?どっか行きます?それか、仲良くすることも遊ぶっていいますもんね………」

うわ〜〜っ!

あいぴーごめん‼

「あっ、わたしどっちでもいいですよ。ぜひぜひ!ごめんなさい、わたし、国語苦手て………」

だれかー、ヘルプミー!

わたしがあわあわしていると、

「トウナは国語なんじゃなくて、勉強が苦手なんでしょ」

後ろから聞き慣れた声が聞こえた。

「わーんミオウ!わたしの理解不足、語彙力0以下なためにあいぴーに…………」

わたしがまくしたてると、ミオウは言った。

「トウナはどうしたいの?それでいいのよ。ごめんなさいあいぴー。この子、最初は『仮説』の言葉の意味も分からなかったから…………」

ミオウ〜〜〜〜っ!

バカ呼ばわりしないでー!

事実だけど止めてー‼

あ、あいぴーが話に入りにくいよね。

「あのっ、わたしはあいぴーと仲良くしたいし、ぜひぜひ!友達として話も聞くし、遊ぶし!アイドルのあいぴーもそうだけど、1人の女の子としてのあいぴーの友達になりたいな!」

そして、わたしもあいぴーの返答を待った。

27:みぃ◆8Q:2017/08/10(木) 13:19

21.おソロコーディネート

「本当にトウナさんとミオウさんは面白いコンビだね!わたしも、もちろん仲良くしたい。せっかく会えたんだから、遊びに行こっ!」

そこで、わたしは東京ガールズ事務所のとなりに位置するショッピングモールへ案内。
三人おソロのコーディネート。
わたしは、お姉ちゃんが使ってる『Good morning』へ入る。
グモーって呼んでるんだけど。
すっごくオシャレなの。

「わたしが払うから、みんなおソロの買お!」

トウナさんとミオウさんは、すぐグモーの中に飛び込んだ。

28:薫:2017/08/10(木) 16:39

22.オシャレを楽しもう‼


うわぁ、すごい。

オシャレで綺麗なグモーの店内。

初めて入ったよ!

あいぴー、いつもこんなオシャレなお店に入ってるんだ。

おソロなんて嬉しいよ☆

でも………

「いいの?買ってもらっちゃっ………むぐっ」

いきなりミオウに口を塞がれて、ジタバタする。

「あいぴー、言葉に甘えて買ってもらうね。次は私たちの住んでる地域でショッピングしよう。その時は私が払うから。」

ミオウ、頭いい!

今回は買ってもらって、次はわたしたちが払う。

そうすれば、また一緒に遊べるよね!

「でもあいぴー、服……高くない?ほら、おソロのシュシュやポーチも売ってるし、そっちの方がいいんじゃない?またお金持って来たときにみんなで買えば………」

わたしも意見した………けど、最後の方はモゴモゴと声が小さくなる。

せっかくおソロにしようって言ってくれたもん。

失礼だよね⁉

おどおどしながら、あいぴーの返答を待った。

29:みぃ◆8Q:2017/08/10(木) 17:50

一章一章短くてごめんなさい!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
23.また、いつか

トウナさん、冷や汗が…。
わたしは、カバンからハンカチを取り出して拭いてあげた。

「買うよ。記念に、ね。わたしが買いたいから買わせて」

ニコッっと笑いかけ、みんなで一緒に服を決める。
ミオウさんはリリーファンらしいけど、みんなおソロのピンクにした。
あと、小物のシュシュも。

「ありがとう、あいぴー!」

トウナさんとミオウさんが袋を抱きしめる。
わたしは、恥ずかしながらモジモジして言う。

「わたしの…ファンなら?学校の友達に自慢して。おソロなんだよって」

ふたりは、にっこり笑ってうなずいてくれて、門限もあるのでお別れすることになってしまった。

「待っててくれてありがとう。次は、いつ会う?」

結局電話交換をして、家へ帰った。
肩のヘンな力も抜けていて、体がすごく軽かった。
さ〜、明日も仕事仕事!
わたしは電車から降りると、スキップしながら家を目指した。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
24.←これで完結できるかな?

30:薫:2017/08/10(木) 18:17

最終章.『楽しい』を創ろう!



あの日からしばらくたった。

あいぴーは忙しいし、あんまり会えないけど。

きっと……ううん、絶対にずっと友達!

グモーで買ったおソロの服。

お母さんに

「どこでどうやって買ったの?」

って言われたけど、わたしは言ったんだ、

「ヒミツ」

ってね!

そして、ちゃんと自慢したよ。

学校に着ていって、

「あいぴーとおソロなんだ!」

って。

サインもらってきて、とか紹介して、とか言われたけど、全部断った。

だって、あいぴーとわたしたちの間には、言葉では表せない絆があるんだもん!

ミオウは私立に通っていて制服だけど、ちゃんと休日は着てるみたい。

ふと見た雑誌から始まった、わたしたちの友情物語。

『あんまり会えないかも』ってあいぴーは言ってたけど、わたしはこう答えたんだ。

「ならその分、別の『楽しい』を創ろう‼」

ってね。

あいぴーと会って視野も広がって、お互いに高めあえた。

本当の、友達。

「トウナ、電話よ〜」

お母さんだ!

わたしが受話器を手に取ると、聞きたかった声が聴こえてきた。

「もしもし、トウナ?」

「あいぴー‼」

次はいつ遊べるかな?

うきうきしながら、会話を進めた。

ほら、みんなで『楽しい』を創れてる‼

それを実感できて………わたしは、スッゴく嬉しかった。

ほら、みんなも『楽しい』創ってみてね。

…………あれ、わたし誰に向かって話してるんだろ?

「トウナ〜大丈夫?」

「大丈夫!次はいつ遊ぶ?」

遊ぶ約束をして、雑談をして、電話を切る。

うん、楽しい‼

さーってと、今日の夕食は、な〜にっかな〜〜っ!


★☆♪みぃ(まい)と薫のコラボ小説♪☆★

【完】


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