夢の中のキミと

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1:みぃ◆8Q:2017/08/14(月) 15:44

初めまして!
みぃです。
デビュー作は『ここは明確スイーツ研究部!』(小説板でただいま10巻)

●メッセージ●

今回は『夢の中のキミと』です。
第2回目の恋愛小説に挑戦!
優しくて前向きなすぐ行動する琴ちゃんを見守ってください。

●他作●

『ここは明確スイーツ研究部!』
(小説板・創作板連載中)
『1%の叶わない恋』
(小説板連載中)
『*レインボーハッピー*』
(小説板連載中)
『マオの内緒アート日記』
(小説板連載中)
『類木川小学校児童会』
(創作板・短編小説板連載中)

21:みぃ◆8Q:2017/08/16(水) 21:19

7.小さいメイドさんたち

私が目を開けた世界は、怖い。
暗くて、霧がかかっていて。
私にとって善はあまり思い浮かばないかもしれない。
だって…体のどこかが痛くて、常に辛いことが多いんだから。
体のことだけじゃない。
私の家はちょっと貧しい。
家族が多いし、みんなまだちょっとは手がかかる子ばかり。
ちょっとは、私も我慢してるけど。
我慢しても、一番私が手がかかるんだよね。
ごめんね、私がいて。


気配がする。
私が寝ているベッドのとなりにある、いつもはお母さんが治療とかで座っている椅子に…誰かが。

「ハッ!」

「鬼頭さんっ。起きたばかりなんだから落ち着いて」

は、花村先生か。
って、どうして私の家に!?
階段を上ってくる音がして、ドアの方を見ると、莉乃と莉桜が来た。

「花村センセー、お茶いかがですか」

「あら、ありがとうございます。じゃあ、いただこうかしら」

莉乃と莉桜が行ってからは、花村先生はすごく笑っていた。
私も笑っていたかったけど、それで緩んだら痛くなる気がして笑わなかったの。

「鬼頭さん大丈夫?すごい汗かいてるけど」

「大丈夫です」

汗を拭くと、汗が次々に出てくる。
ベッドの後ろのハンカチで拭きながらチラリと時計を見る。
日付と時間が書いてある時計。
え…?
この時計壊れたかな…?

「花村先生、入学式っていつでしたっけ?」

「一昨日よ。鬼頭さん、入学式の夜からずっと寝てたって聞いて、日曜日だけど訪問させていただいたの」

お、一昨日って…2日間寝てたの!?
また階段を上る音がして、莉乃と莉桜が来た。

「どうぞ」

「あらまあ、ありがとう。小さいメイドさんたちね」

小さいメイドさんたち…。

「あ、鬼頭さん、明日と明後日は、とりあえず学校を休むこと」

ええ!
みんなと話したかった。
花村先生は席を立って部屋を出ていってしまった。

22:みぃ◆8Q:2017/08/17(木) 16:46

8.怖くないこと

3日後。
私はようやく学校に向かった。
ひとりで。
制服のスカートをなびかせながら、スクールバッグを握り締める。
さぁ〜、友達たっくさん作るぞぉ!

「あ、鬼頭さん!」

花村先生が職員室の前から手を振っている。
め、目立ってる〜。
私が目立つことしないでくださいよ〜!

「体調は悪くない?痛いところはあるの?眠たくない?」

「はい!めちゃめちゃ元気です!」

花村先生に笑いかけたら、ホッっとしたかのようにため息をついた。
花村先生が職員室に戻り、ひとりポツンと取り残されると…。

「琴ちゃーん」

校門の方から、香織ちゃんを先頭にいろんな子が走ってきた。
クラスの子かも。
その中には、香織ちゃんとずっと小学校の頃遊んでた子もいた。

「ど、どうしたの?」

知らない子ばかりで後ずさりすると、グッっと香織ちゃんが前に歩み出た。

「どうしたのって、声かけてあげたんだよ。だって、ひとりぼっちだったじゃんか」

ひとりぼっち。
私、この言葉は怖くない。
目の前で、香織ちゃんたちは笑ってるけど、こんなの何にも怖くない。
慣れてるから。
どれもこれも、だいたい慣れてる。
心配されたって、ただ思い出させてるようにしか感じない…。
私の…イヤな気持ちを。

「何、琴ちゃん」

怒ったように香織ちゃんが詰め寄る。
私、これは怖いんだ〜。
どんどん私の立ち位置が狭くなっていって、いつしか周りは敵だらけ!

「そーいえば、私ちょっと早く行っていろいろしなきゃー。じゃーねー」

私は、ちょっと琴ちゃんを押して昇降口まで走った。
もーう。
中学生になってから、香織ちゃんキャラ変わった気がする。
何と言うか、常に中心って感じ。
人って、そんなにすぐ変われるの…?
なら、私も…!
私は、教室に大きく踏み込んだ。

23:くねくね:2017/08/17(木) 19:09

クエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエッ

24:くねくね:2017/08/17(木) 19:09

クエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエックエッ

25:みぃ◆8Q:2017/08/17(木) 19:11

荒らしはお断りします。
お帰りください。

26:みぃ◆8Q:2017/08/28(月) 10:54

9.みんなの気持ち

男の子はみんなでワイワイ。
女の子はグループに別れておしゃべりしたり、スマホ見たり、雑誌見たり。
完全に置いてかれてる…!

「あ、あのっ!おはよっ!」

いち早くグループに入るため、近くの女の子に声をかけるけど…。
ひとりの女の子はあいさつしてくれたんだけど、もうひとりの女の子は逃げていった。
どうして?

「鬼頭さんだよね。鬼頭さんって、初日から海村ちゃんに怒られたの?」

「え…?」

海村さんを、私は怒らせたの?
その女の子は、胸の辺りに付いているの名札を見せてくれた。
…富山、さん。

「鬼頭さん、怖いって有名になっちゃってる。私は富山ね」

富山さんは、ちょうど入ってきた香織ちゃんを指差した。
香織ちゃんが流したの?

「香織さんと海村ちゃんが組んでると思うの。多分だけどね」

海村さんは分かるけど、香織ちゃんまでそんなこと言ってるの!?
なんか、寂しい。
保育園の頃から一応一緒なのにぃ。

「あ、さっき逃げちゃった子は、鬼頭さんのこと嫌いなんじゃないよ。分かってあげて」

「じゃあ何?何で逃げたの?」

富山さんは、グッっと口を詰まらせ、私に優しい目を向けた。

「あの子、海村ちゃんが天敵で、鬼頭さんがいろいろ海村ちゃんとあったから、関わると…」

「危ないってこと?」

私といたら危ないから関わりたくないってことなの?

「ちょっと、行くね」

あっ。
富山さんにまで嫌われたら、どうやって生きてくのーーー?

27:みぃ◆8Q:2017/09/02(土) 19:44

10.敵ばかりの空間

四時間目も終わり、お弁当タイム。
私は、お弁当持ってきてないから学食で食べるか、売店で買うんだ。
でも…私は場所を知らない!
誰かに聞かなきゃ!

「あの、富山さん」

笑いかけながら言ったけど、ニ、ゲ、ラ、レ、タ…。
ウッソー!
嫌われちゃったってことっ!?
思わず冷や汗が流れる。
私の青春時代がぁっ!

「何してるの、鬼さん」

「私は鬼なんかじゃないよ。私は琴。名前で呼んでよね」

キッっと見据えた先は、海村さん。
もちろんのごとく、カワイイ海村さんの取り巻きまでにらんできて。
やっぱり一番最強なのは海村さん。

「鬼さんとしか呼びたくな〜い」

取り巻きの子たちはクスクス笑って、クラス2大女の子グループのもう片方も来た。

「何してるのぉ?鬼琴ちゃん」

「鬼琴じゃない。鬼頭琴!」

思いっきりにらんだ先は、香織ちゃんたち一同。
香織ちゃんと海村さんは、見事に分裂したらしい。
どちらにも所属していないのは、富山さんペアと、本が好きそうな、読書してる子、5人グループだけ。

「鬼さんはかわいそうよねぇ。友達がいなくてひとりぼっちで」

海村さんが言ったのに、香織ちゃんたちもクスクス笑う。
ここにいても仕方ないや。
教室を出ようとした途端に、ひとりの笑い声が届いた。

「あれぇ?もしかして本野も聞いてたわけ?」

海村さんが、読書してる女の子に向かって言った。
本野さんかあ。
名前通り、本に関係してること好きそうだな。

「面白いな、本野!」

本野さんの肩は震えていて、怖くて震えていると言うよりは、面白くて震えているイメージ。
どうして面白いの…。
私の肩も、フルフルと震える。

「ちょっと!いい加減にしなよ。鬼頭さんは鬼じゃないから。海村さんも、もっといい行い出来ないの?」

5人グループのひとりが声を上げる。
後ろの4人は縮こまってるけど、その子だけ堂々としていた。

「鬼頭さん、行こっ!」

その子は、4人と私を引き連れてトイレへ行った。

28:みぃ◆8Q:2017/09/02(土) 20:22

11.噂は広がる

何か、『友達』って感じ。
私はあんまりいなかったから、イメージでしかないんだよね。

「鬼頭さん、私は海籐柚奈子。海村さんの敵。鬼頭さん、私たちと遊ぼ?」

海籐さんたちは、にっこり笑いかけてくれた。
ほぼ。
私に初めの友達。
であり、最後の友達になるかも。

「ありがとう!琴って呼んでいいよ!私は何て呼べばいい?」

海籐さんたちとワイワイトイレで話していると、先輩たちが入ってきた。
ちょっと緊張かも。
面と向かって会うのは初めてだし。

「1年の鬼頭って子荒れてるらしいから注意だね」

「琴って名前だってよ。家もビンボーで、汚いし怖いって海村ちゃん言ってたよ」

海村さん、先輩たちにもチクったの!?
ちょっと前のめりになった海籐さんを止めて、続きを聞く。

「私らは、まあ金持ちじゃん。ここの学校来ないでほしいよな」

「マジそれな。ここは、公立の中でも金かかるとこ。お前が通うとこじゃねえって言いに行こ」

私追い出される!
ってここ、お金かかるの!?
お母さんは、比較的安いって…!
もしかして言い訳!?
お母さんが安心させようとして?
それとも、先輩たちのウソ?
どっちにしろ、嬉しいことはない。

「先輩、鬼頭さんは、優しくていい子です。ビンボーなんて関係ないです」

海籐さんっ!
でも、標的は海籐さん。
先輩たちは、海籐さんに愚痴を言ったり、叩いたり。

「先輩っっっ!私が鬼頭琴です。海籐さんは関係ありません!」

私は、何とか海籐さんを後ろに回し、前に出た。
ちょっと何かされたとしても、私には味方がいるから大丈夫。

「聞いてたってことね。じゃあ話は早い。ここから出てけ。お前はいてほしくない」

「マジだよ。学校全体の敵」

「私には味方がっ、」

「いねぇだろ」

先輩たちは、ほっぺたを叩き、トイレに転がすように倒させ、あげくの果てには意識がもうろうと…。
私の命の灯火が、またひとつケムリを上げた。

29:みぃ◆8Q:2017/09/02(土) 20:52

12.私の決断

最近は、ずっとこんな夢ばっかり。
男の子が、いつも呼ぶの。

「琴ちゃん」

私は毎回振り返るけど、呼んでるのはとなりで花の冠作ってる子。
花畑でね。

「どうしたの、ヨウタくん」

ヨウタくんって名前なんだ〜。
ってところまでは分かるの。
でも、ね…。


ちょっと白い。
ゆっくり目を開けると、蛍光灯が光っていた。

「あら、鬼頭さん。大丈夫ですか?」

花村先生!
時計を見ると、朝の6時。
微妙に察したところは、ずっと花村先生は付きっきりでいてくれたということ。
目の下にクマが出来ていた。

「おはようございます。…あの、すみません」

花村先生は、私の手をギュッっと握っていて、微笑みかけた。
あたかも、「良かった…」って言ってるみたい。

「6時ですよね…」

「ええ。鬼頭さん、12時からずっと寝てたから」

18時間も寝てたの!?
私、そんなに寝た記憶ない。
花村先生は、売店で人気って言われてるらしいあげパンをくれた。
もっちもちで、ふわふわでもあり、砂糖がよく絡んでおり、温かい。
甘くて美味しい。

「今日は、ずっと保健室で寝てなさいね」

「いいえ。私はこの学校を卒業することにしました。退学でもいいです」

私は、ベッドのすみにまとめてあった荷物を手に保健室を出た。
このまま家も出たとする。
こんなままじゃ、命の灯火は真っ暗になってもおかしくない。
家へ帰ろう。
私は、しっかり寝て、普通の子になったら、受験しよう。
途中受験。
そうでもして、私の実力見せつけてやるんだから!

30:岬◆8Q:2017/09/17(日) 17:51

13.私の運命?

花村先生が、私の手を掴んだ。
拍子に、荷物がババッっと落ちる。

「体調のせい?先生ね、鬼頭さんも仲間と一緒に頑張ってほしいの。簡単に退学は出来ません」

琴ちゃん…琴ちゃん。
ヨウタくんって子の声がする。
どうしても、その子に会いたいな。

「鬼頭さん、どうして退学したいの」

花村先生に見つめられて、ドクンと脈打つ。
本当のことは言いたくない。
認めたくないもん。
私が迷惑な人なんだって。
居場所を、消そうとしている人が周りにいっぱいいるって。
だから。

「体が弱いのは仕方ないから、出来ることいっぱいやってみたいから」

「なら、ここの学校で、仲間と出来ますよ。わざわざ退学しなくても」

必死さが伝わる。
認めてくれてる人、花村先生しかいないかもだよ。
先生は、生徒の味方だもんね。
敵になったら捕まるから。
もし、捕まらなかったとしたら。
先生はどうしてるの…?

「とりあえず、寝てください。ゆっくりしてから話しましょう」

電機を消して、私はまた、深い眠りに落ちた。


花畑。
となりにも私に似た女の子。
花の冠を作っているの。

「琴ちゃん、琴ちゃん」

私は後ろを振り向いた。
男の子は、こちらに歩いてくる。
ゆっくりととなりに座って、手を握った。

「ちょっと、俺の話を聞いて」

私はコクンとうなずいた。
ヨウタくんだ、この子。
見覚えがあって、すぐ分かった。

「琴ちゃんはね、すごく悲しい運命を辿ることとなる。そんな中で、キミは恋するんだ。でも忘れないでほしい。キミの恋は絶対消えるから。まるで、ケムリのように。キミは炎だよ」

えっ?
ヨウタくんは立ち上がって、となりの女の子のところに座った。
これは私の物語?
だとしたら、私は恋するの?
いや、ウソだよ…。


「はっ」

「鬼頭さん!?」

外は眩しい太陽。
登校している子の声も聞こえる。
私、一夜過ごしたんだ。
花村先生の目の下はクマが!

「すみません、先生!」

「いいのよ。それより、今はどう?」

花村先生がおでこに手を当てる。
ちょっとホッっとしたような顔を見せて、ご飯を差し出した。

「鬼頭さんのお母さんが持ってきてくれたパン。妹さんが、高熱でお迎えに来れなかったそうよ」

高熱っ!?
莉乃かな、莉桜かなっ?
私なんかほっといて、治してっ!

「ごめんなさいってすごく謝ってたわ。伝えてくださいって」

「いいんです」

私は、平静さを装って笑った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
名前変えました。

31:岬◆x.:2017/10/15(日) 14:03

14.ふたりきり

私は、荷物をそのまま持って教室へ。
いつも早く来ている海村さんがいた。
ふたりきりって、キツい!
すると、海村さんから声をかけてきた。

「鬼さんは家に帰らなかったみたいでね〜かわいそうに。貧乏らしいし」

「誰から聞いたの!?」

海村さんとの時間が流れていく。
音もなく、ただただふたりの見つめ合いが続いているだけ。

「おはよ〜」

久しぶりにひとりでいるのを見た。
この子は…。

「香織ちゃんおはよう!ねえねえ、昨日言ってたよね、鬼さんは貧乏って」

香織ちゃんはニヤニヤしながらうなずいた。
発信は香織ちゃんから!
でも私はくよくよしない。
取り消しなんて、今の私には出来ないんだから、違うことを証明するんだ。
口では絶対叶わないもん。

「貧乏だと思う理由は〜?」

海村さんが香織ちゃんに聞く。
面白そうに笑いながら香織ちゃんは答えた。

「見るからにそうじゃん。理由なんて特にないし」

そんなこと思ってたんだ。
香織ちゃんが同じクラスで、嬉しかったのに。
あんまり話したことなかったから、仲良くなれるかなって。

「あ、本田ちゃん!」

クラスの子が来て、香織ちゃんのとなりに並ぶ。
本田さんもキラキラしてて、香織ちゃんや海村さんと並んでてもカワイイ。

「鬼頭さんって、すごい怖いって学校で有名だよね」

本田さんが言った直後、先輩たちのあの言葉を思い出した。
イヤ、やめて…。
私は退学を決意したけど、みんなにこんなこと思われたままはイヤ…!

「やめ…て…」

私は亡くなるんだよね。
だったら、それまではちょっと待ってよ。
やりたいこと、やらせてよ。

32:岬◆x.:2017/10/15(日) 14:18

トリップ変えました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
15.言い合い・涙

クラスの子がだいたいそろってきて、花村先生も来た。
すぐに私のところに先生が来てくれるものだから、どうしても目立つんだよね。
目立つのは、ちょっと…だけど。

「鬼頭さん、妹さんが高熱で入院するらしいから、家に帰ったら、冷蔵庫にあるご飯を温めて食べてと」

花村先生が教えてくれる。
高熱で入院!?
まだ小さいから、高熱ってきっとひどいんだろう。

「アハハ、ヤバくね?」

海村さんをはじめとする女の子たちが笑う。
確かにそうだよね。
みんなみたいに、普通に過ごせる人はいつでも幸せだよ。
私も幸せだけど。
もちろん、辛いこともいつでもある。

「そんなこと言わないで。私、ヤバくないから。普通」

言い返すと、海村さんがにらむ。

「別にあなたの名前言ってないし。そもそも、それが普通ってこと自体ヤバいんじゃない?」

もういいのに。
私はいいって言ってるんだから。
関わらなければいいじゃん。
人の悪口言って楽しむとか、どれだけ弱いのよ。

「ほっといて」

海村さんに言い捨てて、教室を出る。
廊下を歩いていても、どこにいても悪い意味で注目される。
でも怖くない。
怖がってたら何も出来ないし。
天井を仰ぐ。
海村さんみたいに健康な人より、ちょっとは優先にしてよ。
そう思いながら、ふと涙を流した。
泣いてなんかいられないのに。

33:岬◆x.:2017/10/21(土) 16:44

16.富山さんは昔の私?

ハンカチで目を押さえていると、富山さんが肩を叩いてきた。
ビクッっとして、富山さんを見る。
私から逃げてたのに、何?
怒りの混じった目で見ると、富山さんは申し訳なさそうに言う。

「ごめんね、急にこの前は逃げて。だけどさ、鬼頭さんと仲良くしたいの」

「本当に?」

ただ、自分がしてしまったことをなくそうとしてない?
富山さんはそんな目をしてる。
私、分かるもん。
何度も何度も見てるから。

「どうして?鬼頭さんだって、ひとりでいなくて済むし、仲間が出来るのイヤなの?香織ちゃんたちにすごい言われてるのに」

思わず身震いする。
確かに、今まで同じ小学校で明るく優しかった香織ちゃんとは違う。
ヘンだなあとは思うけど。
そんなのを理由に、自分の罪を0にしようだなんて思わない。

「私は私なりにやっていくから、富山さんイヤならイヤでいいのに。自分に言い訳するとね、私みたいになるよ」


 ピーポーピーポー
担架に乗せられ、救急車で運ばれた。
あの時診断された答え。
看護師さんは言ったよ。

「ストレスのためすぎ。あなた、言い訳してない?楽に生きなさい」


何年前だろう。
あれが原因で、治らない。
ずっと、ずっと、体調を崩す日々。
こんなの、見てる方が大変に決まってる。
お母さんだって、5人も子供がいて、小さい子ばかりなのに、その子たちより私って。
絶対、こんな子いらないよね。

34:みゆ◆x.:2017/11/02(木) 17:10

17.失う友情

富山さんは、ちょっと私をにらむ。
そして、吐き捨てるように言って走っていった。

「鬼頭さん、こんなのだからいじめられるのよ!」

私、何か悪いことした?
言ってあげたよ。
富山さんが辛くならないように。
すると、海藤さんがつぶやいた。

「今のはやっぱり鬼頭さんが悪かったんじゃない?」

「何で?私はこういう人をよく見ているから、富山さんもならないように」

「何でも引きすぎなんじゃない?私が富山さんの立場だったら、ちょっとイライラするかもだよ。ほら、鬼頭さんが、私に遊ぼって言うけど、辛いことになるからって断られたらどう?」

「…」

ごめんなさい、富山さん。
ありがとう、海藤さん。
気付かせてくれて。
もう、ここでやっていける自信がないよ…。

「私行くわ」

海藤さんは教室へ足を傾け、私の隣を歩いていった。
すると、前を歩いていた男の子たちが笑った。

「この人鬼頭じゃね?」

「ヤベッ!近付くと菌が…!」

菌遊び!?
男の子の方へ視線を向けると、声を上げた。

「もう今日気絶する。悪いけど、病院までよろしく」

男の子たちは苦しそうな顔を演技で表現し、教室に入っていった。
もう本当に辛い。
無理。
いくらポジティブで前向きな私だとしても、いい方向へ向けない。
もうどうにでもなっちゃえ。
私は、冷たく感じる涙を流した。
一筋、また一筋と。

35:みゆ◆x.:2017/11/12(日) 08:31

18.琴なら出来る

翌日の朝。
頭痛と腹痛で欠席した。
小学校の時は、こういう時にお見舞いに来てくれて、授業ノートを渡してくれたけど…。
思わずため息をつく。
だって、そんなことしてくれる友達なんていないもの。
きっと海藤さんとは一緒にいられない。私が富山さんに言った一言、で。

「琴、開けるわよ」

お母さんが部屋に入ってくる。
あつあつのお鍋を持って。
中には、とろりととろけた卵。
そしてうどんが入っている。

「花村先生から電話がかかってきて、話は聞いたわよ。海藤さんって子が先生に教えてくれたみたい」

事情、花村先生に知り渡ったんだ。
すると、お母さんは悲しい顔で私の顔を覗き込む。

「退学したいの?琴」

「う…ん」

「どうして?大丈夫よ。琴なら出来るわ。友達が寄ってきてくれるから」

寄ってきてなんか、くれない。
全校に私の顔を知られて、嫌味言われて、菌遊び。
そんなので何も出来ないよ…!

「とりあえず、うどん食べて休みなさい。入学したばっかりなんだから、琴のこと知らない子と仲良くなれるわ」

お母さんはにっこり笑って、部屋を出ていく。
どうしたらいいのか分からない。
私は、悲しみと悔しさ、絶望で涙を流した。
こんなのなら、生きたくないよ…。

36:みゆ◆x.:2017/11/12(日) 08:39

19.私の希望

翌日も、その翌日も。
わたしは仮病で学校を休んだ。
不登校ってやつ。
ご飯もろくに食べてない。
お母さんとも会ってない。
ずっと部屋に閉じこもって泣いている。こんなことしてても、何もならないのに。


「琴ちゃん、琴ちゃん」

お花を摘み、お花の冠を作っていると、後ろから名前を呼ばれた。
ヨウタくんに。

「何?」

ヨウタくんはにこにこ笑う。
そして、私の耳元でささやいた。

「キミはね、希望がないんだよ。希望を作りな。そうすると、絶望は消えるはず。どうしたら希望を作れるかは、キミ次第だよ」

ヨウタくんは、スーッっと透明になって消えていく。
私は、希望がない…?
確かに希望はないけど…。
希望を作るって、どうやって…?


う…。
ぼう…。
希望…。

「琴?」

ドアの前で寝ていたはずが!
ベッドに…。
それにお母さん?
どうして!?

「琴は、体調崩しやすいでしょ?なのにご飯は食べない。お風呂も入らないし、着替えもしない」

お母さんは、小さなため息をつく。
そして、私を見て一言。

「こんなことやってると、本当に死んじゃうのよ」

『死』。
私の心の闇。
これと希望は、ひとつの線で結ばれる運命なの…?

37:みゆ◆x.:2017/11/12(日) 08:53

20.ひとり目の友達

「行ってきます」

スクールバッグをギュッっと握り、家を出ていく。
退学はやめた。
私のわがままだから。
まだ、弟や妹がいるんだし、ただでさえ、私が…。

「琴ちゃんっ!」

「か、香織ちゃん」

香織ちゃんの取り巻きたちも後に続いてやって来る。
私をジーッっと見て、吐き捨てるようにつぶやいた。

「退学にならないのね。退学を望んでたし、琴ちゃんが休んでくれて、学校は大盛り上がりだったのに」

私がいなくて大盛り上がり…。
妙に心に刺さる。
そんなにいてほしくないんだ。
…でも、こんな人たちに負けない。

「私の目標は、4月の間に友達10人作ることなの。あなたたちは無理そうだから、他を当たるね」

出来るだけ笑顔で言い、香織ちゃんたちの前を通る。
ああいう人たちは、無視無視。
悪いけど、富山さんと海藤さんはカウントしないとするから、10人。

「キミが琴ちゃん?」

「はい」

急に呼ばれた名前。
振り向くと、同い年くらいの男の子。
からかわれたり、嫌味言われたりするのかも。
思わず身構える。

「ヤダなあ、琴ちゃん。僕は何もしないよ。僕は灰塚。よろしく」

「鬼頭です」

灰塚くんは、私のとなりに並び、学校へ向かう。
えっ、な、何?

「僕は琴ちゃんらしく行けばいいと思うけど。他のやつなんかどうでもいいんだから」

えっ…?
灰塚くんって、私の味方?
そう思うと嬉しくなる。

「友達、に、なってください!」

私が灰塚くんにお辞儀すると、灰塚くんは普通に「いいよ」と。
友達、ひとり目だ〜!
私は、嬉しい気持ちで心が踊った。

38:みゆ◆x.:2017/11/12(日) 08:58

21.友達作り

学校に着くと、すごく視線を浴びた。
まず、灰塚くんがとなりにいるということ。
それから、私が学校に来ているということに。

「あの子が鬼頭琴か…」

すみで私と灰塚くんを見ている人がいるなんて知らずに。
私たちは1日を過ごした。


「友達に…」

「ごめんなさい、無理」

ダメか〜。
じゃあ次だ!

「鬼頭琴ですけど、ぜひ友達…」

「友達多いからいいかな〜」

多いのいいじゃん。
ひとりくらい紹介してよね。
まあ、仕方ない。
次の人を掴まえる!

「すみません、鬼頭琴と友達になっていただけませんか…?」

「…考えておくね…。私は梅島」

梅島さん!
知らない子だけど!
どんどん友達、作っていくぞーっ!

             (つづく)

39:みゆ◆x.:2017/11/12(日) 11:17

あとがき

初めまして!
私はみゆです。
(そろそろ名字も付けたいところです。名前だけかも?)
さて、今回の『夢の中のキミと』いかがでしたか?
略すとユメキミ。
ある私の好きな漫画を参考に書かせていただきました。
気付いた方がいるかも…!
タイトルが少し似てると思ったり、ストーリー似てると思ったりした方、すみません!
ですが、琴ちゃんの物語はどんどん進んでいきますから、見守ってください。よろしくお願いします!

皆さんは友達作り、大丈夫ですか?
失敗してませんか?
私はかなり失敗しました。
今は多分充実してます。
友達作り、友達関係、よろしければ教えてください。
イヤな方はスルーしてね☆

最後にお礼。
ここまで読み進めてくれたあなた、どうもありがとうございました!
最高に嬉しい気持ちです。
コメントをくださった方々もありがとう!
これからもよろしくお願いします。
琴ちゃんと私、みゆを、どうか見守ってください。

     みんなに感謝しているみゆ

40:みゆ◆x.:2017/11/12(日) 11:19

●次回予告●

1年生全員出席のお楽しみ合宿。
そこで、初めて告白される!
目標達成や新しい目標へ歩む!

41:相原梨子◆x.:2017/12/03(日) 19:35

『夢の中のキミと vol.2』

人物紹介

鬼頭 琴
優しく、妹・弟想いの中学1年生。
5人兄弟の1番上。生まれつき体が弱く、倒れることも…。

灰塚 将太
琴のことをいつも笑わせてくれて、助けてくれる。
いつも笑顔な秀才。

紫村 陽太
学年1イケメンで、強引なところも。
琴のことが好き。

42:相原梨子◆x.:2017/12/03(日) 19:39

あらすじ

体が弱くて、5人兄弟の長女の中学1年生の琴は、妹や弟、お母さんとお父さんに心配をかけないようにひとつの目標をたてる。
その夢に向かって走るけど、学年1イケメンの陽太に出会う。
自分の目標を第一に考えている琴が好きになった陽太はちょっとでも一緒にいたい。
だけど、家族・体・目標を考えている琴には上手く届かなくて…。

43:相原梨子◆x.:2017/12/03(日) 20:09

1.合宿のグループ

4月もあとちょっとで終わる頃。
ここの学校の1年生の棟は、合宿の話で持ちきりだった。

「絶対同じ班だよーっ!」

香織ちゃんの声が響く。
クラスの真ん中にいる香織ちゃんと同じ班になりたい子は多い。
その中で誘われた子は、香織ちゃんに選ばれた子なんだよね。
ちなみに私、鬼頭琴は、いつも通り、誰にも誘われてません!

「富山さーん。そっちふたりだよね?涼子たちと組まない?」

富山さんも取られちゃった…。
4人の女の子グループ、3人の男の子グループの計7人グループ。
富山さんは、前にちょっと仲良くしてたけど、それからいろいろあって気まずい関係のまま。
だから、仲直りも含めて同じ班になりたかったんだよ〜。

「ね〜ね〜、鬼頭さん」

寄ってきたのは、一番クラスで苦手な子、海村さん。
入学初日で悪口を言われた。
キラキラしててカワイイ。
香織ちゃんと同じように、クラスの真ん中。

「やっぱりひとりぃ〜?かわいそ〜。誰かぁ〜、鬼頭さんと組んであげてよぉ〜。見てられなぁ〜い」

思ってないくせに。
でもそんなこと言わずに無視する。
相手にしてる時間がもったいない。
海村さんのとなりを素通りすると。

「何?私に逆らう気?だから海藤さんにも嫌われるんだってば」

また聞きたくない名前。
海藤さん…。
前、私をかばってくれた。
だけど、私と富山さんとのことで離れていってしまった。

「逆らってるんじゃない。私は私のやりたいことやるの。誰と同じ班になっても、私はいい」

「ふ〜ん。じゃあ、私や香織ちゃんと同じ班でも楽しめるってこと?すっごく面白〜い」

海村さんの後ろの取り巻きたちはクスクス笑う。
香織ちゃんの取り巻きも笑っていた。
その中には、同じ小学校出身の、結構話してた子もいる。

「香織ちゃん、一緒に組も。私と香織ちゃんと鬼頭さんと〜。麻央、イケルよね?」

海村さんは後ろを振り返る。
麻央ちゃんは、渋々うなずいた。
小学校の頃は仲良かったのに。
ちょっとショックを受けつつ、グループが決まったことと、合宿の恐怖のふたつが要り混じっていた。

44:相原梨子◆x.:2017/12/03(日) 20:24

2.お楽しみ合宿へ

バスのとなりは香織ちゃん。
じゃんけんで負けたんだって。
ふくらんだリュックを細い手で押さえながら窓の外を見る。
窓に映った私の顔。
ブサイク。

「鬼頭さん、大丈夫?」

前の座席から、花村先生が顔を覗かせる。
花村けいこ先生は、クラスで浮いている理由、体調を崩しやすいという理由で気にかけてくれている。

「全然大丈夫です!昨日まで休んでたけど。2泊3日なんて楽しみです!」

すると、花村先生は声をひそめた。

「富山さんから聞いたけど、海村さんに誘われたみたいね。かなり心配してたわよ。優しいわね、富山さん」

私、見捨てたのに?
きっとあれ、見捨てたよね。
友達になろうとしてくれたのに…。
後悔しつつ、制服のスカートの裾をギュッっと握る。
私なら楽しめる。
大丈夫だよ、琴!

「挑まれたみたいね。海村さんたちとでも楽しめるか」

「はい…」

花村先生はにっこり微笑んだ。
そして、『お楽しみ合宿のしおり』と書かれているしおりを開いた。
何度かめくり、班のメンバー表のページで止まる。

「ごめんね、早く気付いてあげられなくて。だけど大丈夫。このことは、あの頼れる級長の福田くんが知ってるから。何かあれば、先生が行くようになっているからね。出来るだけ先生も一緒に行動するし」

私は、首を横に振る。
花村先生を安心させるように、ゆるく笑いながら。

「私、海村さんたちと私なりに楽しんで、仲良くなりたいんです。何かあればお願いしますけど、先生はずっといなくても大丈夫です!」

私は、ちょっと涙でにじんでいた。

45:リリカ@恋歌◆JA 米がないと困るけど、コメントもないと生きてけない>_<病みリリカだぞ☆        :2017/12/04(月) 21:12

久しぶり!(話すのが)
琴ちゃん・・・。
私も、似たような事があるから、すごい共感する!
語彙力もあって、あこがれる!
(神ですか?)
これからも、頑張ってね(*^^*)          

46:相原梨子◆x.:2017/12/16(土) 21:24

久しぶりだね!
コメントありがとう♪
共感してくれて嬉しい。
私も琴ちゃんと似てるの。
憧れるだなんてもったいない。
そんなこと言ってくれてありがとう!
これからもよろしく♪
リリカも頑張って!
リリカの読んでるからね♪

47:相原梨子◆x.:2017/12/16(土) 21:42

3.謎の男の子

合宿所に着くと、まずは部屋の案内をされた。
班の女の子全員が同じ部屋。
楽しめるといいんだけど。

「ねえ、鬼頭さん。悪いけど、私の荷物持ってくれる?重たいの」

「えっ?」

突然、海村さんのボストンバッグを肩に乗せられ、ドスンと落としてしまった。
急にやられて、も…。

「あーっ、ひっどーい!ねえねえ、みんな聞いて〜」

海村さんは、今私が海村さんのボストンバッグを落としたことを細やかに話して聞かせた。
取り巻きたちは、コソコソと話し始める。

「鬼頭さんって本当に名字通り。やっぱり怖い怖い」

何でそんなこと言うの…?
助けを求めたくて、花村先生を探す。
すぐその辺りにいるはずだけど…。

「誰探してるの?鬼頭さん」

海村さんにニヤリと笑ってにらまれる。取り巻きの子たちが、私を囲うようにしてにらんでくる。

「誰!?」

「鬼頭さん。探してたのって、僕だよね?ごめんごめん」

海村さんは、とてもビックリした顔をしている。
そこに現れた男の子は、私も全然知らない男の子。

「えっ、あの…」

「違うんじゃない?行くよ、鬼頭さん。アンタには用ないから」

助けてくれた男の子から逃げるように海村さんは走った。
取り巻きをふくめて、私も追いかける。誰だろう、あの男の子。
お礼言わなきゃ。

「ここか〜。鬼頭さんは雑用ね。掃除とご飯作り、それから室長、健康観察をやるの。いい?」

私は大きくうなずいた。
ちょっとでもきっかけを作って、この人たちと関わりたかったから。

48:相原梨子◆x.:2018/01/21(日) 21:08

4.水筒事件

荷物を置くと、みんなひとつのベッドに集まって女子会を始めてしまう。
仕方なく、ひとりでみんなの健康を確認してカードにまとめて提出する。

「あ〜!お茶なくなっちゃったぁ〜!鬼頭さんさぁ、暇だよね〜。食堂行ってもらってきてくれる?」

「は、はいっ!」

まだ名前を覚えていない子だ。
水筒をポンと投げてきて、またおしゃべりに戻る。
これで関われるようにしなくちゃね。
食堂へ階段を下っていく。
水筒に名前、書かないんだ、この子。

「あれ?琴ちゃん。ちょっとぉ、聞いたよ。クラスで浮いてるって」

「大丈夫、大丈夫。大したのじゃないし、最近ちょっと体調悪いから学校行けてなくて…」

「琴ちゃん負けないで。私が付いてるから大丈夫っ!」

小学校の時、ちょっと他の子より多く一緒にいた友達、穂乃美が肩を叩く。
穂乃美、上手くやってるのかな?
ボーッっとしていると、階段を上ってきた子に「ちょっと…」と言われた。
あわてて避ける。

「おーい、琴ちゃん!水筒、食堂行くんじゃなーいのっ?」

「うん、そうそう!穂乃美、バイバイ」

手を振って穂乃美と別れて、階段をドドッっと下る。
食堂に着くと、花村先生がお茶当番をしていた。

「あら、鬼頭さん。お茶が進むのね。体調も悪くなさそうで。海村さんたちとは大丈夫?」

「大丈夫です!」

水筒を差し出すと、ちょっと顔を険しくする花村先生。
どうかしたのかな?
花村先生はこちらを見る。

「大丈夫じゃないんでしょ?この水筒は彦坂さんの水筒だから。名前もここに書いてあるわ」

水筒を見ると、しっかり『彦坂とと』と書いてあった。
ヤバイ…ダメなやつ?

「私が持っていくって言ったんです!室長だから…」

「鬼頭さん、室長もやってるの?海村さんに、室長はお願いしたはずですけど。どういうことですか?」

え…。
ここで失敗したら、きっと…うんん。
絶対、海村さんに怒られちゃう。
彦坂さんにも。
そんなの逆効果だよ〜!

「もういいです。高橋先生、お茶当番代わってください。さあ、鬼頭さんの部屋は何号室?」

「101号室です…」

花村先生を部屋に案内する。
どうしよう、どうしよう!
海村さんに何て言われる?
元々は、花村先生が協力してくれるとか言ってたじゃん。

「ここです…」

花村先生は、ドンッっと部屋のドアを開けて、彦坂さんに詰め寄った。
海村さんたちも動揺している。

「鬼頭さんにお茶入れされたのは、彦坂さんでまちがいないですよね?」

お願い、あんまり言わないでっ!

49:相原梨子◆x. 読者の皆様へ。:2018/02/20(火) 19:35

こんばんは。
久しぶりになります。
ここのスレでは、更新が遅れてすみません。

私は3月15日で葉っぱを卒業します。
ここのスレの小説は、切りが悪いですが、もう完結します。
完結と言いますか、更新停止をさせていただくことになりました。
これからはレス禁でお願いします。

ここまで読んでくださったあなた。
今まで本当にありがとうございました。

50:相原梨子◆x.:2018/03/03(土) 13:31

こんにちは。
突然、本当にすみません。

更新停止は責任を持ててないと思ったので、ちょくちょく来れるときにゆっくり完結させます。
コメントお待ちしております。


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