こんにちは。結愛です!
今回は新たな試み、小説を書こうと思います。
これが初めてなので、アドバイスがあればお願いします!
ボカロのシャルルを小説化します。
3:結愛。◆kc:2018/07/13(金) 16:17マイペース投稿になるので、お願いします!
4:結愛。◆kc:2018/07/13(金) 16:50 _登場人物
朝倉 真奈美(あさくら まなみ)
主人公。N中学校の2年生。勉強も運動もできて、友達想い。少し人見知りなところもある。琴音とは幼なじみであり親友。
中村 琴音(なかむら ことね)
真奈美の親友。N中学校の2年生。誰に対しても明るく、楽しいことや体を動かすのが大好き。
藤澤 颯斗(ふじさわ はやと)
N中学校の2年生。フレンドリーな性格で、何にでも一生懸命。
真奈美や琴音とはよく遊ぶ仲。
北村 功太(きたむら こうた)
N中学校の2年生。颯斗の親友。勉強が苦手で少し天然ないじられキャラ。あだ名はコタ。
五十嵐 芽衣(いがらし めい)
K中学校の2年生。おとなしくて、女子力が高い。お嬢様。
真奈美たちとは違う学校に通う。
最初はシャルル要素より恋愛要素が多くなると思います。
6:結愛。◆kc:2018/07/13(金) 16:54 ずっと君のそばにいられると思っていた。
ずっと、ずっと。
だけど君は___
8:結愛。◆kc:2018/07/13(金) 16:55サヨナラなんていうはずがない、そう思っていた。
9:結愛。◆kc:2018/07/13(金) 16:56>>10から始まります。
10:結愛。◆kc:2018/07/14(土) 07:50
【第0話】プロローグ
__君のそばにいられると思っていた。
ずっと、ずっと。
サヨナラなんていうはずがない、そう思っていた。
でも君は__
前に投稿したプロローグが切れてしまったので繋げて第0話にしました
12:結愛。◆kc:2018/07/14(土) 08:39
【第1話】ハジメマシテ、誰かさん
「真奈美、って言うんだ。よろしくな!」
目の前の少年が優しい笑顔を浮かべ、私の名前を呼ぶ。
「俺 の 名 前 は___」
_ピピピピ、ピピピピ
目覚まし時計が鳴り響く、朝の6時。
「んー...。朝だぁ」
新しい1日が始まり、私、真奈美は大きく伸びをしながらベットから起きる。
いつもならギリギリまで布団にくるまっているか二度寝してしまうのに、今日は何故か目覚めが良かった。
「あれ、今日なんか夢を見た気がする…。」
何だろう、思い出せそうなのに何かが引っ掛かって思い出せない。
「まあ、いっか。それより今日は始業式じゃん!」
今日は4月1日。N中学校の始業式だ。
「まずは着替えて………。
ってやっぱ!!今日は8時から準備あるんだった…!」
そうだ、今日は始業式でスピーチをするんだ。
比較的いつもより早く起きたのに結局急ぐはめになってしまった。
そうして急いで支度をしているうちに、真奈美は今朝見た夢の事などすっかり忘れていた。
やっぱ!!→やっば!!
です間違えました…
これからは基本的に1日1話のペースで進めて行きます!
感想などあればどーぞ。
【第2話】出逢い
「はあっ…あっぶない…。遅刻するとこだった…?」
家から走って電車に乗って…それでも以外と時間があった。
何をしよう。
「あっ。スピーチの練習!」
教室もまだわからないので、中庭へ向かった。そこで練習しよう。通学カバンから作文用紙を取りだし、自分に聞こえるくらいの声で読む。その時。
「へぇ、君がスピーチするんだ。」
「わっ!」
知らない人の声がして、思わず大きい声を出してしまった。気づくと中庭のはしっこに男の子が立っていた。
「スピーチって頭いい人がするんでしょ?すげぇ」
その男の子がニカッと笑う。素敵だなぁ…
「あ、ありがとう…?えっと、誰ですか?」
その男の子が近くまできて一緒に座る。ち、近い。
「俺?藤澤颯斗。クラス替え楽しみ過ぎて早く来ちゃってさー。適当に中庭来てみたら人いて。」
…すごいな。初対面なのに全然気にせず話してくれる。
私みたいな人見知りには考えられないよ!
「えっと、君は?」
「あ、真奈美って言います。朝倉真奈美。中2です。」
「まじ?同い年じゃん!じゃあタメで話してよ。」
「はい…じゃない、うん!」
この人とはなんか仲良くなれそうだ。
「スピーチ、楽しみにしとくな!」
「うん、スピーチ…あっ!」
恐る恐る腕時計を見る…。7時58分。あと2分で集まる時間。
「やばい、いかなきゃ!」
「あ!ごめんな、その、頑張れよ!」
藤澤くんも焦ってくれているのが分かる。
「あと!」
藤澤くんが呼ぶので、紙をしまいつつ振り替える。
「クラス同じだといいな!」
また藤澤くんは素敵な笑顔を浮かべる。
「…そうだね!じゃ、また」
藤澤君に言われたかもう一回考えて、私はドキッとしてしまったことに気づかない。走って体育館へ向かった。
_今日、私と颯斗は出逢った__
第2話、めっちゃ長くなりましたww
17:結愛。◆kc:2018/07/15(日) 09:37 >>15
最後から3行目のところの最初
言われたことをもう一回思い出して
です!微妙におかしかったです
【第3話】始業式
そんなこともあったけど、なんとか8時には間に合った。
よかった。あの怖ーい田中先生には叱られずにすみそう。
「朝倉さん、マイクテストしたからリハしよっか。」
私に声をかけたのは去年の担任だった前田先生。
「あっ、前田せんせー!」
前田先生は先生の中で一番若くて、優しくて、よく笑う先生。
そんな性格なので去年もみんなと打ち解けるのに時間はかからなかった。
「じゃ、お願いします!」
そしてリハが始まり、そして本番の始業式が始まった。
「…新しい環境で、新たな出会いや発見があるといいですね。」
校長先生の話がもうすぐ終わる。
「では、生徒からのスピーチです。」
(うぅ…緊張する…)
胸に手を当てる。心臓がドキドキなっていた。
(そうだ、藤澤くんだって応援してくれたし…頑張ろう!)
私は小さな声でよしっと気合いをいれる。うん、きっと大丈夫。
「新中学二年生、朝倉真奈美さん、お願いします」
拍手の中、私はステージに立った。
【第4話】新しいクラス。
「…ではこれで、第○○回始業式を終わります。
気をつけ、礼。」
始業式が終わった。
私のスピーチも、良くも悪くもなく終わったと思う。
みんなソワソワしている。そりゃ、これからクラスわかるんだもんね。
「続いて、クラス発表にうつります。
前列の先生から紙を受け取って下さい。」
生徒がざわざわと騒ぐ。
(琴音と同じクラスになれますように!)
今祈ってもきっとなんの意味もないと思うけど。
あ、そうだ。
(…藤澤くんとも同じクラスに)
「真奈美!!同じー!」
「わっ!琴音!まじ?」
そういって互いに喜びあう。
彼女は琴音。小学校1年生からの幼なじみ&親友だ。
小学校のころはちょくちょく違うクラスになったりしたけど、中学では2年とも同じだ。
「うちのクラスの担任は…えっと、」
「星野先生…新しい先生だ!」
星野先生。男の先生だ。どんな先生かな?
(そうだ。…藤澤くんは…)
琴音に言われてから見てなかった紙をよく見る…
(あっ同じだ!)
「真奈美どーしたー?好きな人とでも同クラなったかー?ww
うち聞いてないよー?」
顔に出ていたのか知らないけど、琴音はニヤニヤしながら聞く。一瞬視線を感じた気がする。
「違うって!いやまじで!」
ブンブンと首をふる。まさか。今日初めて会った藤澤くんだよ?ないない。
「ふーん、まいっか。クラス行こ!」
「わかったから引っ張るのやめ!」
そうやって自分のクラス…2年A組へ向かう。
今年も楽しいクラスになるといいな。
先生が増えたのでまとめ。
校長先生
→校長先生。
田中先生
→生徒指導の怖い先生。数学担当
前田先生
→真奈美の1年生の担任の先生。優しくて若くてよく笑う。生徒からしたら最高の先生。英語担当
星野先生
→真奈美の今年の担任の先生。面白くてノリがいい。理科担当
【第5話】4人の出逢い。
始業式から一週間が経った。
私はクラスで新しい友達ができた。
人見知りな私に話しかけてくれる人がいっぱいいて本当に助かった。ほとんど琴音のお陰かな。
ある日の朝。
「はよっ真奈美!」
「おはよー琴音!今日委員会決めだよー」
「そうだった…!同じやつ入ろ?」
「もちろん!」
教室に入ると色んな子が「真奈美ちゃん、琴音ちゃんおはよー」と声をかけてくれる。
__キーンコーンカーンコーン
「お前ら座れー」
チャイムと同時に星野先生が入ってくる。星野先生はいい意味で友達みたいで、面白い先生だ。
「朝学習は無しで、委員会決めるぞー。他のクラスはもう決めてるみたいだから早く決めないとやべーんだよ」
先生が黒板にスラスラと文字を書いていく。
「よし、じゃ入りたいとこに自分の名前かいてけ」
(どーしよっかな…あ、放送委員とか楽しそう!)
「真奈美ー何入る?」
「放送委員とかする?やってみたい!」
「あ、やるー!面白そうだし」
そして、私たちは放送委員会に入った。
一時限目はクラス内の委員会の話し合いがあった。
(あ、藤澤くんと同じだ…!)
さっきまで全然気づかなかった。
A組の放送委員は私、琴音、藤澤くん、北村くんだった。
北村くんとは話したことがない。藤澤くんの親友らしい。
「よろしく、中村さんと…あ!朝倉さん!」
藤澤くんが言う。
「真奈美、藤澤くんと知り合いなん?」
「あ、始業式の前に少し話したんだ」
「あ、本当だ!この前スピーチしてた人!」
と北村くん。
「今気づいたって遅すぎやろww」
藤澤くんがツッコむ。
「確かにww」
良かった。北村くん結構話しやすい感じだな。っていうよりなんか天然?で面白い人そう。
このメンバー、最高!
うちの委員会だけ話し合いが全然進まなかったのはまた別の話。
【第6話】接近。
あれから3ヶ月が経った。
私はすっかりクラスにも馴染んで、私と琴音と藤澤とコタはいつも一緒にいる仲(いつメン)になった。
そう、最初は『藤澤くん』と呼んでいたけどあるとき
「てか朝倉、もう俺のことくん付けやめてよww」
と言われてから藤澤呼びになった。
私のことも朝倉と呼んでくれるようになった。
そして『北村くん』もみんなから呼ばれているコタというあだ名になった。
そんな日、今日は私と琴音が昼休み放送の番だ。
いつも私と琴音でペアになっている。
でも今日の朝、
「ごめん真奈美!今日昼休み数学補修になった…!」
「まじ?勉強した言ってたじゃん!ww」
「もちろんテスト前日にしたさ!ww」
「もー。昼休み放送一人でやるよ?」
「あでも、藤澤が行ける言ってたよ?コタも補修だし」
「そう?じゃわかったー」
確かに、荷物運んだりマイクの設定をしたり音楽をかけたりするから一人じゃ大変かな…
昼休み
「藤澤ありがとね!」
「いやいや女子一人じゃ大変だろ?ww」
「まあね…wwてか琴音もコタも補修ってやばいよねw」
「だねww俺達はセーフやけどさ。あ、そーいえばさ…」
昼休み最初の放送をしてから終わりまでの時間、藤澤と他愛のない会話を繰り返す。
(…あれ?)
なんでだろう、胸がドキドキいってる。
『二人きり』
そう思った瞬間、顔が熱くなったのを感じる。
藤澤が、私のことを女子って思ってくれた。
(どうしたんだろ、私。藤澤が私のこと考えてたってなんもない…はず、なのに)
「それでコタがさ…朝倉?」
藤澤がこちらを心配そうにみる
「すっげー顔赤いけどどうした?風邪か?」
(…!)
私のおでこに少しひんやりした手が触れる。
藤澤だ。
「…大丈夫!ちょっと放送室暑くて、あ、あはは」
藤澤の手を振り払うように椅子から立ち上がる。
(変な空気にしちゃったかな)
「…無理すんなよ?てか、座れww」
藤澤がいつもの空気に変えてくれる。
「あ、うん__」
__キーンコーンカーンコーン
「あ、終わりの放送しなくちゃね」
私は結局、放送が終わって教室につくまで私は変に藤澤を意識してしまっていた。
【第7話】女子友。
その日の夜。
「ふー。今日も疲れたぁー」
今日の分の宿題が終わり、一息つく。
__無理すんなよ?
脳の中で藤澤の声が響く。それで今日の昼のことを思い出してしまう。なんだか恥ずかしいのか嬉しいのかわからない気持ちになる。
「あーもう…寝よ…」
さっきから変な気持ちになってしまうので早く寝よう。
寝つきが悪かった。
次の日の朝
いつも通り、琴音と駅で待ち合わせる。しばらくして琴音が来ると話ながら学校まで歩く。
「…だからさ、こんど女子何人かでどっかで遊ばない?」
「もちろんOK!女子会やねーww」
「誰誘おっかー誰でもええけど」
「んー渚ちゃんとか彩乃ちゃんとか…」
「あと、ひなとスズメも!」
「じゃ6人でれっつ女子会しよww」
「そだね」
「中村と朝倉じゃん、はよー」
通学カバンをどん、どんと2回軽く叩かれ、私たちの前を追い抜く二人がいた。コタと、…藤澤だ。
「うわカバン壊れたーww」
琴音がいつものテンションで返す。
「…もー。おはよ」
なんとか言い方だけいつも通りにできた。
でも前が向けない。なぜか顔が見れない。
「あと1ヶ月で修学旅行やぞ?」
「まじ?もう1ヶ月…!?楽しみすぎ」
四人で会話を続けているけど、藤澤と目があうとそらしてしまう。私はなんとか相づちをうつのが精一杯だった。
ここで女子友紹介。
渚
第一印象はおとなしそう。でも仲良くなって話しているとノリがよくて面白い。おしゃれ番長。アニメ好き。
彩乃
少しおっとりしてマイペースだけどみんなの盛り上げ役。
テニスが強くて、正義感が強い。
ひな
生徒会に入っていて、頼れる。
近寄りがたいわけではなく、いつも笑顔なので話しかけやすい。少しオタクで渚と話が合う。
スズメ
身長が小さくて、みんなに可愛がられる。
でも考え方はちゃんとしていて顔に出やすい。本名は鈴音。
追加。
《去年》
1-A→真奈美、琴音、ひな、スズメ
1-B→渚、彩乃、コタ
1-C→藤澤
《今年》
2-A→真奈美、琴音、藤澤、コタ、渚、彩乃
2-C→ひな、スズメ
【第8話】NEWいつメン。
「…スズメとひな、遅い。」
今日はみんなと遊ぶ日だ。渚ちゃんも彩乃ちゃんも琴音もそろっているのに二人が遅い。
「スズメはわからなくもないけど、ひなちゃんどうしたんだろーね?」
いつもマイペースな彩乃ちゃんもそう言葉をこぼす。その時、
「ごめん!待ったー?」
「待ってたに決まってるでしょ、うちらが遅れたんだし!」
そういってスズメとひなが息を切らせて走ってくる。
__どうやら、ひなはスズメからのL●NEの既読がつかないので様子を見に行ったら寝ていたらしい。
通りでスズメの髪はぼさぼさなわけだ。
「…しょーがない、うちブラシもってるから後でなおしてあげる!」
やれやれという様子で渚ちゃんが言う。
これから出発だ。
「えっと、これから〇〇駅でブラブラして、そこのモール行って、それからうちで女子会、だよね?」
琴音にしてはちゃんと考えている。
「ちょっと真奈美ー?うちのことなめてんのー?wwちゃんと計画くらい覚えてます!ww」
みんなも笑う。…やっぱり琴音にはお見通しだ。思っていることがばれてしまった。エスパーか。
そんなやりとりをしたりおしゃれな街を歩いたりショッピングしたり。そして琴音のうちで遊ぶ時間。
「いやーつかれた!」
「めちゃ歩いたよねー!」
「プリクラとか撮れたし!」
「うちら最高!ww」
「あ、なんかお菓子持ってくるわ」
「よーし、今日はダイエット中断だ!」
「スズメ全然太ってないしww」
__女子会の始まりだ。
【第9話】「好き」。
「さあさあみんな食べよ!」
ポテチの袋をバリッと豪快に開けて琴音が言う。
みんなでミニテーブルを囲み、自由な体制で話をする。
「でさ、女子会と言ったらー…恋バナだよね!」
ひながニヤッとしながら話す。
「ふふっ、みんな好きな人おる?」
渚ちゃんが嬉しさを隠しきれず笑いながら言う。
「ちょっとー!渚はモテるからってそーゆーこと言わんの!」
渚は女子力もあるし面白いし、モテないわけがない。実際、この前告白されたという噂も。
「彩乃は〇〇先輩好きなんだよね?」
「うん…//かっこいいんだ!この前部活でさー…」
彩乃ちゃんが恋する乙女だ。
「彩乃ちゃん可愛い〜ww」
「もー。真奈美ちゃんこそ好きな人いないの?モテるじゃん!」
ドキッとする。私がモテてる?顔が赤くなる。
「真奈美なんでもできるし優しいし密かにモテてるよー気づかんの?ww」
スズメが言う。
「密かに…って。てか好きな人とかいないいない!」
「えーじゃ気になる人はー?」
気になる人…?
それで頭に浮かんだのは__ニカッと笑う藤澤だった
(え…?)
「え、いるん?今、誰のこと考えた?ねえねえ」
琴音が興味津々な様子で聞く。
「言った方が楽だよ〜?」
ひなが言い、みんなも私に詰め寄る。ただでさえ顔が熱いのにもっと熱くなった気がする。
よくわからないけど黙っている理由もない。
「…藤澤」
「えっまじ!?藤澤だったとは…」
「ちょっ、琴音!私あいつが好きな訳じゃ…」
そんなわけない。そう自分に言い聞かせる。
「じゃあさ、もし藤澤と琴音ちゃんが手を繋いでたら真奈美ちゃんはどう思う?」
「え…」
彩乃ちゃんがよくわからないことを言う。
藤澤と琴音が手を繋いで、楽しそうに会話している。思い浮かべてみるとすごく胸がズキッとする。
「嫌だ。モヤモヤする。」
「…じゃあ、」
「__真奈美ちゃんは藤澤のことが、好きなんだよ」
【第10話】自覚。
「私が…藤澤のこと…?」
(好き…)
そっか…。あの日のドキドキも、さっきのモヤモヤも、全部、恋だったんだ。
「いやーやっぱ藤澤だったのか!」
「藤澤は幸せ者だね〜」
「THE・青春!だね!」
「真奈美ちゃん応援してるよ!」
みんな口々に言う。
それでまた顔が赤くなるのを感じる。
「もーみんなやめてよ…」
近くにあったクッションでとっさに顔を隠す。
『好き』って意識してしまったらもうダメだ。これから藤澤といつも通り話すことはできないかもしれない。
「それにあいつがどう思ってるかわかんないよ…。」
愚痴をこぼすように話す。
「んー。藤澤はいつもうちらと一緒だし少しは意識してるんじゃない?」
琴音が言う。それは琴音と同じだし…。
「もう、普通に好きな人いるか聞いてみたらー?」
渚ちゃんがかるーい調子で言う。
「えっ無理無理!恥ずかしいよ…!第一、そんな仲じゃないし…。」
無理だ。あの藤澤ならからかってくるに違いない。
そもそも私と藤澤に恋だの愛だのなんてない…と思っていた。
「でもさ…。そうでもしないと藤澤も気づいてくれないし、なんも進まないよ?」
渚ちゃんの的確なアドバイス。
(た、確かに…)
「あ!いいこと思い付いた!!」
スズメが叫ぶように大声で言い、立ち上がる。
「スズメの提案か…。」
「ちょちょちょ、彩乃!そんな顔しないで聞いて!むしろ聞けー」
彩乃ちゃんが渋い顔をする。
「で、どーしたの?」
私はクッションから顔を出してスズメに問う。
「それは………」
最大に溜めてスズメがニヤニヤしながら言う。
「…ズバリ、修学旅行で告る!」
(え……っと、こ、告る?)
「おお!あと一ヶ月じゃん!真奈美ガンバ〜!」
「ちょ、告るって…!まだそんな…」
「…いいか真奈美?これを逃せばチャンスはもうないぞ?」
「うっ…。」
ひなが諭す。確かにその通りだ。
「大丈夫!うちらも協力するから!」
渚ちゃんがそう言ってくれるのは嬉しいし、そして頼れる。
「うん…。わかった。」
もう決めた。
私は…藤澤に告白するんだ。
【第11話】日常。
「告る…っていってもどーすればいいのかわかんないよー」
女子会も無事(6人からの質問攻撃があったが)終わり、家に帰り、家についた。琴音の家から近いのでみんなと帰ることはできなかったけれど。
そうだ。
「聞きそびれちゃったし、このこと渚ちゃんにスマホできいてみよ!」
スマホを取りだし、渚ちゃんへのメッセージを打つ。
[今日はありがと!
でさ、告るってどうすればいいかな?]
送信。
(これでよしっ…っと…ん?)
「あ!」
藤澤からメッセージが届いている。
(な、何かな…?)
少しドキドキしながら見てみると、ひとつのメッセージとひとつの動画が送られてきていた。
[↓これ今日学校から帰ってた時の動画ww]
コタと藤澤とあとクラスの男子がしょーもないことしている動画だ。
「…っははは!なにしてんのあいつらー!」
すっごくくだらない。だけどこういう会話でも藤澤なら楽しいし、いつまでもしたいと思ってしまう。
そうだ、返信…
[ほんとに何してんのww]
送信。
これからも変わらない日々が続くんだろうな。こんな何の意味もない話を続けたり、一緒にばかなことやったり。
…藤澤が私のこと、恋愛対象として見てくれる日が来るのかな…
(だめだ、ネガティブなことばかり考えちゃう。)
今日はもう寝よう。
その夜は寝付きが悪かった。
【第12話】知らない人。
あれからしばらくだった日の昼休み。
いつもの教室で私は琴音と机で向かい合って話しながらお弁当を食べる。
「真奈美ぃーシュウリョどこまわる?」
シュウリョっていうのは修旅、つまり修学旅行の事だろう。
嬉しいことに私の班は私と琴音と藤澤とコタだ。
ちなみに男女別ペアを作ってくじで決めたので、藤澤とコタと一緒になったのは本当に偶然だ。
「絶対、遊園地行きたい!!」
「それな!折角T県きたんだし。先生もわかってる〜。」
今回の修学旅行はT県のある一部。私たちが住んでいる所より都会な場所だ。
「まーでも真奈美はこの機会であいつにアタックしなきゃだもんね〜。」
「…うぐぅ」
琴音がにやっと笑い、言う。
修学旅行まであと3日。
あの日から、藤澤となんとか普通に話せるようにはなった。
(修学旅行で告白までできるといいけど…。)
「あっそうそう、今日先早く帰るわ」
そんなことを考えていると、購買で買ったカフェオレを飲みながら琴音が言う。
「ちょ、それ私が買ったやつ」
「一口だけってさっき言ったよ」
「いや言ってない…ってまあいいや、今日なんかあんの?」
「うちに家庭教師くるんだって。来週からは休日になるけど」
「そっかーちゃんと授業聞きなよ?」
「まあダルいけど。にーちゃんも受けるしサボれないからなー」
にーちゃんって言うのは琴音のお兄さん、遼也君のことだ。
「じゃ、今日は図書室よってから帰るわ」
「ほい、いってらっしゃーい」
ふざけた感じで琴音が返す。そこでチャイムがなり、急いで自分の席に戻った。
放課後。
私は昼休みに言った通り、図書室にいた。勉強する人、黙々と本を読んでいる人で図書室は少しだけ混んでいた。
(読書感想文に使う本、今週中に決めなきゃな…。これにしよっかな?)
「あれ、朝倉?」
本を選んでいると聞き覚えのある声で呼ばれて、振り返る。そこにはやっぱり。
「うわっ藤澤」
藤澤がいた。思わず変な声が出てしまった。
「『うわっ』ってなんだよ。そんな驚くことねーだろ?」
口調だけ聞くと怒っているみたいだけれど、藤澤は笑っていた。
「藤澤が図書室って珍しいね」
「…あーまぁ、その、偶然だよ。読書感想文の本決めなきゃだし」
言葉を濁らせながら藤澤は言う。まぁ、気にすることではないか。
「ふーん。私は本借りたし、そろそろ帰ろっかな」
「ん、じゃあな、朝倉。」
本当はもう少し話したかったけど図書室だし司書さんに怒られたら大変だ。借りた本をカバンに入れて、昇降口に向かった。
(今日は暇だなー帰りにどっかよってさっきの本読もっかな…)
そう思っていた矢先。
「すみません、朝倉先輩。」
後ろから女の子の声がした。
鈴が鳴るような綺麗な声。この声の主を私は知らない。いや、一回聞いたことあるかな…?
それに私は部活に入っていないので、『先輩』なんて呼ばれたことなんてほとんどない。
「…ひ、人違いでした、ごめんなさい…」
私がボーッといろいろ考えていたせいで誤解させてしまった。
「あ、違います、えっと、朝倉です。」
やっと振り返ると、小さな女の子が立っていた。
「良かった…。朝倉先輩、少し話しをしてもいいですか?」
ホッとした様子で彼女は言う。
(でも、誰だろう…?彼女は私を知っている、ってことだよね…?)
「いいですけど…あの、名前は」
本当に彼女のことを知らなかったので名前を聞く。
すると、彼女はこう言った。
「__はい、中学一年生の久保田 杏奈です。」
出てきた人物紹介したかったんですけど、次の話のネタバレになるので次の次に!
32:結愛。in夏休み◆kc:2018/08/04(土) 10:02 【第13話】ライバル。
「久保田さん…って、あ」
久保田 杏奈。
その名前を聞いて、4月中旬ころを思い出した。確か…
「はい、朝倉先輩と同じ放送委員です」
「ああ…そっか」
同じ委員会の後輩を忘れていたとは。
「それで…話があるんでしたっけ?」
「そうです。ていうか、朝倉先輩はタメでいいです」
(これは、久保田さんにタメ口でいいってことだよね?)
「あ、うん、杏奈ちゃん…?」
「まぁ、話って言ってもここではなんですし…近くのカフェで話してもいいですか?」
「わ、わかった」
なんか話の展開が早すぎて戸惑う。先輩として情けない。
学校からカフェまではそんなに時間はかからなかったけど、沈黙が続いて長く感じた。すごく気まずい。
〜〜〜♪
やがて、お洒落な音楽がなっているカフェに着き、私たちは隅っこらへんの二人席に座った。
そして、私はミルクティー、杏奈ちゃんはオレンジジュースを頼んだ。
「早速、話なんですが…」
杏奈ちゃんが一息ついてから口を開く。
「朝倉先輩って、藤澤先輩と付き合ってるんですか?」
「…へ?」
思いもしなかった話題に、思考が追い付かなかった。きっと、私はキョトンとした変な顔になっていたはずだ。
「え?藤澤ってあの……颯斗、のこと?」
あいつしか思い付かなかった。
ちなみに、藤澤を『颯斗』と名前呼びするのは初めてで、少し恥ずかしかった。
「はい、そうですけど…。付き合ってるんですか?」
(付き合ってる?いやいや。)
「そ、そんなわけないよ!」
体温が上がり、頬が紅潮するのを感じる。
付き合うって…まだ片想いなのに。
「そうなんですか?……良かった」
(え?)
杏奈ちゃんがホッと息をつく。
(『良かった』ってどういうこと?)
「それって、杏奈ちゃんは藤澤のこと」
聞きたくないのに。聞きたくないのに認めたくなくて聞いてしまう。
「はい、…好きなんです、藤澤先輩のことが。小学校の時からずっと」
_ズキン。
胸が痛むのを感じる。
(杏奈ちゃんが、藤澤のこと。)
心臓の鼓動が鳴りやまない。
好きな人なんて、聞いてしまったら応援しなければいけないんだ。
それには…自分は捨てるしかない。自分の恋を。
そこで飲み物が届き、杏奈ちゃんは話を続ける。
「藤澤先輩とは小学校のころから仲良くしてもらって、ずっと好きでした。告白しようと思っても藤澤先輩はいつも人に囲まれてて
…先輩?聞いてますか?」
杏奈ちゃんが私の顔をのぞきこむ。
どうやら、少しうつむいていたらしい。そして、ショックを受けすぎて杏奈ちゃんの話が頭に入ってこなかった。
「…うん、聞いてるよ。」
無理やり笑顔をつくる。
もう、ここから逃げ出したい。
「それでお願いなんですが、藤澤先輩に私が好きだってこと伝えてほしいんです。朝倉先輩、藤澤先輩と仲良いですし…いいですか?」
_ズキン。
また胸が痛む。
杏奈ちゃんが私を見つめる。彼女の目から純粋に恋を実らせたい、そんな気持ち感じ取れた。
(ずっと藤澤のことを想っている杏奈ちゃんには、傷ついてほしくない…)
私はぐっと手を握る。そして私は言った。
「…うん。藤澤に言ってみるね。」
私はそう決めた。
告白するはずだった修学旅行で、藤澤に告白するんだ。他の人の恋心を。
【第14話】帰り道。
「はぁ…。」
私はカフェからの帰り道に思わずため息をつく。
(ずっと藤澤と一緒にいた杏奈ちゃんに勝てるわけない。)
誰だってずっと異性がそばにいたら嫌でも意識するはずだろう。
私が告白するべきか。それとも杏奈ちゃんの恋を実らせるべきか。
「どうすればいいんだろうな…」
私は夕方の空を見ながら言葉を溢す。
その時。
「真奈美せんぱーい!」
私を呼ぶ声がした。
声を聞いてすぐわかった。
「華蓮ちゃん!」
夕日を浴びて現れた彼女は北村 華蓮。コタの妹で、昔から何かと私を頼りにしてくれる。
後輩だからってかしこまっているわけではなく、フレンドリーに接してくれる。
「ひさしぶりですねー。先輩、元気でしたか?」
元気か。そう聞かれるとyesとは言えない。
「まあまあかな…ちょっと悩んでて」
「そうなんですか?珍しいですね。話聞きましょうか?」
そうだ。華蓮ちゃんは確か杏奈ちゃんと同じクラスだったはず。
「あのさ…久保田杏奈ちゃんってどんな子かわかる?」
すると華蓮ちゃんはうーん、と少し考え思い出したように、あ!と声をだす。
「あのモテ子ちゃんですか。清楚な感じで可愛くていい子ですよ。」
モテ子ちゃんって…モテてるんだ、あの子。
「この前も田中くんに告られてて…でも杏奈は断ったらしいですよ!なんでもずっと想っている好きな人がいるとか」
「そ、そうなんだ…」
杏奈ちゃんの好きな人。それは藤澤だ。
一応、言わないでおいた。
というか1年生の6月だというのにもう告られるって…すごすぎやしませんかね。
「そーいえば、杏奈がどうかしたんですか?」
「あ、えっと…」
言葉につまる。
華蓮ちゃんは杏奈ちゃんと同じクラスだ。華蓮ちゃんを信用してないわけじゃないけど秘密にしたいと思った。
「…私あの子と同じ委員会で可愛いなって思ってさ、どんな子か気になって!」
あはは、と笑って誤魔化す。なんとかなったかな?
「なるほど〜。それに杏奈は顔面偏差値高くてこの前スカウトされたって噂も…」
華蓮ちゃんは納得し、話を続ける。
なんか少し話が噛み合ってない感あるけど、まあそれは昔からだ。そういう子なのだ。
(それにしても華蓮ちゃん情報屋って感じだなぁ)
「でも杏奈は実は…」
華蓮ちゃんはそこまで言った後で、
「あ!コタ兄!」
コタ、つまり華蓮ちゃんのお兄ちゃんを見つけて駆け寄った。
「おう、杏奈と…え、なんで朝倉?」
「こっちこそ。コタ帰るの遅くない?」
「いや、あの、カバンごと学校に忘れて取りに戻ってた」
もう、いつも通りのコタなはずなのにおかしくて笑ってしまう。
「はぁ、頭おかしいんじゃないの!」
華蓮ちゃんがバシッとコタの背中を叩く。
「ほら、帰るよ!夜ご飯の材料買うの手伝ってよね!あ、真奈美先輩、帰りますね!さよならー」
華蓮ちゃんはそう言いながら手を振り、コタと一緒に帰路についた。
きつい言葉言いつつ、やっぱりお兄ちゃんと一緒に帰るって本当にお兄ちゃんが好きなんだなぁ。
(そういえばさっき、なんか言いかけてたような…)
まあいいか。杏奈ちゃんについて知れた。これだけでも大きな収穫だと思えばいい。
そうして私も家に帰るために電車に乗った。
(本でも、読むかな…)
新しく出てきた3人です!
久保田 杏奈(くぼた あんな)
N中学校の一年生。藤澤と小学校が同じで、藤澤のことが好き。一途で素直。真奈美と同じ放送委員会。
北村 華蓮(きたむら かれん)
N中学校の一年生。コタの妹。少し不思議ちゃんだけど話しやすい。兄に対して厳しいが、実は兄想い。
中村 遼也(なかむら りょうや)
公立高校1年生。琴音の兄。サッカーが得意で、 サッカー部所属。そこそこかっこよく、明るくて人気者。
【第15話】自分の気持ち。
「ってことがあってさ…」
「まじか、ライバルかぁ…」
あの事件が起きた翌日の昼休み。その日ももちろん琴音と話しながらお弁当を食べる。
いつもと違うのは机が二つ、増えていること。今日は渚とスズメも加わったのだ。
ちなみに、ひなは学級委員会の集まり、彩乃はテニス部のミーティングだそうだ。
話題はもちろん、昨日の出来事。
「しかも結構強力だね…あいつの幼馴染みなんでしょ?その子。」
「うん…しかもめっちゃ可愛い」
「…オーマイガー」
スズメが参ったというリアクション、渚ちゃんが頭を悩ませる中、琴音が私に問いかける。
「でもさー真奈美はあいつのこと好きなんでしょ?」
ちなみに私たちは一応教室にいるので藤澤のことは『あいつ』とよんでいる。
「もちろんそうだけど…」
「じゃあさ、告ってもいいと思うんだけど。その杏奈、って子にはそういうこと聞かれてないんでしょ?」
「それは……あ」
そうだった。『付き合ってるか』は聞かれていたけど、好きかどうかは聞かれていなかった。
「…確かに」
「それなら、告った方がいいよ。自分の気持ち、大切にしなよ。後悔するのは真奈美ちゃん…自分自身なんだよ?」
渚ちゃんがそっとつぶやくように言う。
私は、決めた。
「そっか…わかった。私、告白するよ。でも…」
一瞬の間を置いて、言う。
「杏奈ちゃんの頼みもきいてあげたい。」
私たちの中に沈黙が漂う。教室は喋り声で騒がしいけれど。
「…ホント真奈美ってお人好しすぎる」
やれやれ、と琴音は言うが、いつも応援してくれている。
「真奈美ガンバ〜うちらがサポートする!」
「結果教えてね!」
私には、応援してくれる仲間がいる。
「へへ、みんなありがと」
明日からとうとう、修学旅行だ。
しばらく休止します。
大方の設計図?はもちろんあるので、もし待ってくださる優しい方がいるのであれば、今までのものを読んでくださると嬉しいです😊