白樺の木。   

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1:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/20(月) 22:43

とある作品の二次創作を主に書き、活動してきたものです。
自分で考えた小説を書きたいなあ……。と思ってこのスレを建てることにしました。

アドバイス、感想などお待ちしております。
批評などしてくれると喜びます。怖くなければ。( 念押し )


不定期更新となります。
とある中学校の三年間のお話です。
もちろん実話ではありません。
登場人物が多くなるかと思います。


次レスで登場人物の紹介をしたいと思います。
なんかすごく固くなっちゃいましたが、そんなお堅い話ではないです。
いじめなどが含まれる予定ですが、基本友情です。( 多分きっと )


読んで頂けると光栄です。

2:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/20(月) 22:54

舞台は北海道、鶴居村。
田舎で起きた三年間のあっと言う間の物語。

鶴居中学校に通うことになった新入生達。
ああ、もちろん実際とはなんの関係もございませんよ。


H26年度 新入生達。



左藤 柊翔( さとう しゅうと )

クラスのムードメーカー。
かなり目立つ変人的な人気者。
告白される事がよくある。運動はよくできるが、学問はまあまあな人。
白樺の会リーダー



新 柚璃( しん ゆずり )

柊翔の幼なじみ。
親のいわゆる出来ちゃった婚で、生まれる日が決まっていた日より早いため、生まれは釧路のほう。
いじめられっ子。
白樺の会に誘われた。 副リーダーをやっているが、自信がない為威厳がない。



澤村 颯斗( さわむら はると )

柊翔の従兄弟。家もお隣。生まれた病院も同じ、生まれた日は三日違い。なのに柊翔より身長が高い。柊翔より勉強もできる。顔もよし。運動はまあまあ。いわゆる残念男子。
柊翔と共に白樺の会を設立し、会長が2人いる状態。



小倉 罹星( こぐら りせ )

いじめっ子のリーダー。授業中とかも何も気にせずいじめをする。
柊翔が好きで、いつみ近くにいる柚璃が気に入らなく、初めて自分の意思でいじめが出来たことを嬉しく思い、かなり酷くいじめる。
白樺の会が嫌っている人。



天音 彩楓( あまね いろは )

可愛い顔して腹黒の典型的ぶりっ子。
罹星と共に柚璃をいじめる。
男子から、絶大な人気を誇る。
罹星にへばりついて離れない。いじめはストレス発散だと思っている模様。



罹星のグループ名は「 フォルテッシモ 」
ピアノ記号のフォルテ、それを2つ重ねたものの事。
意味は凄く強く。

メンバーは沢山いる予定ですが、この2人以外はそんなに詳しく出ないです。多分。

同じ名前の人、もしいたら大変申し訳ございません……。

3:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/20(月) 22:59


H27年度 新入生達。



神林 蒼汰 ( かみばやし そうた )

いわゆるインキャ。クラスでも目立たない。だが学問が出来る。
テストの結果は大体1-3位。とは言ってもクラス人数は30人いかないくらいだけどね。
運動は滅法出来ない。サッカーをっている時に、蹴ろうとして左右両方2回チャレンジしてみるもカスリもせず、挙句の果てに転ぶという運動音痴っぷり。だけど走幅跳びは得意。

辛い思い出を持ち、家に帰りたくなく人知れず公園のベンチで丸まって泣いていた所を柚璃が話しかけた。
白樺の会メンバー。



三村 理乃 ( みむら あやの )

蒼汰の事を陰ながら応援している女子。だって可愛いから だそう。運動音痴な所もおっちょこちょいな所も可愛い……んだそう。一人密かに思いを寄せる。泣いている所にたまーに遭遇するのだが勇気が無く話しかけられない。ピアノが得意で、全国大会二位の実歴がある。

声が可愛らしく、媚びを売っていると勘違いされてハブられている。ねえ……と話しかけ 行こう? とハブられる典型的ないじめを受けている所を柊翔に見つけられ、メンバーを聞いたときに蒼汰がいたので入ることに。
白樺の会メンバー。



黒田 優佑 ( くろた ゆうすけ )

いやーいつも助かってるぜ!なんて背中を叩かれながら言われる……そんな男子。名前の通りすごく優しい。蒼汰と従兄弟で、虐待されている事を知っている。運動も勉強も出来るけど、トップスリーには行けない残念男子。
蒼汰が柚璃に話しかけられている所を見つけ、心配で話しかけに行ったところ蒼汰が心配で入ることに。
白樺の会メンバー。



フォルテッシモ 2年生メンバー


不破 知利 ( ふわ ちり )

罹星と共にいじめをする。2年生リーダー。
理乃が気に入らなくて、罹星に媚びを売り2年生リーダーになり理乃いじめを始めた。執念深い。
白樺の会が嫌っている人。


暁 三咲 ( あかつき みさき )

親の再婚でここ( 鶴居の予定 )に、5歳の時に引っ越して来た。かなりの目立ちたがり屋。
コミュ力お化けで、その当時インキャだった知利に話しかけ意気投合。親友になる。
月日はすぎ中学に上がった時……知利は罹星のグループにはいり、三咲も入る事になってしまう。本人抜けたいとしか思っていないが、先生からの信頼もあついグループで、しかもそこにいると学校の中心で居られる。目立ちたがり屋の三咲にとってはいいポジションなため抜けられずに居る。

理乃の事を実は……?

4:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/20(月) 23:05


H28年度 新入生達。



一ノ瀬 泰一( いちのせ たいち )

中学生の春休みで引っ越してきた。
その時からグループは決まっていたため一人ぼっち。
運動も勉強も出来ないヘタレ男子。そのくせ顔はいいから顔目当ての女子からのお話がすぎるらしい。知利にも好かれているが、こんなグループに入るわけないだろう。と思っている。
絵を書くのが得意で、地元によく生えていた白樺の木に似た……ね? の絵を一人書いているところを颯斗に話しかけられ、絵を褒められついでに……と話た白樺の会。白樺……地元みたいだ。と思い入団した。知利に好かれているため、たまーに情報を集めに行くことがある。
白樺の会メンバー。



澤村 凱斗 ( さわむら かいと )

ツートップ 颯斗の弟。つまり柊翔の従兄弟にあたる。勉強もでき運動もまあまあ出来る兄に比べて出来損ないの凱斗は引きこもってしまった。そんな凱斗を心配して凱斗の部屋に毎日通っていた颯斗。出来損ないだと感じるきっかけになった兄を毛嫌いしていた凱斗だが、そのうち兄が行っている白樺の会に入りたくなり脱引きこもり。柊翔もすごく心配していたようで、潔く入団させた。
白樺の会メンバー。



會原 優音( あいはら ゆら )

クラスの中心人物。
どことなく天然で、男子から守ってあげたいランクなどで絶大な人気を誇りながら、女子とも中が良く、先生からの信頼も厚い。
勉強は得意。運動は苦手。蒼汰と同じかんじで、最近は二人で朝ジョギングを始めたとか。
いじめなどは一切関係ない。

過去に軽いいじめ、そして義父さんからの虐待、人生に絶望していた事がある。
当本人の気持ちが理解出来るため、白樺の会では相談役に当たることもある。



フォルテッシモ 1年生メンバー


西奈 望央( にしな みお )

いじめはしない優等生キャラ……という設定の学校最大のいじめっ子。
なんなら同じメンバーの子だっていじめてる。
こちらも同じく、ストレス発散だと思っている。



東 美麗奈 ( あずま みれな )

演じている天然。誰も見ていない所では真顔。
実は知利と従姉妹で絶対権力。同じ中学に進む と決まった時から1年生リーダーは決まっていた模様。
なんの感情もなく、相手を殴って蹴る。盗聴器などが仕掛けられていたら気づくという特殊体質。逆らえるものはいないとかで恐れられている。望央と組み、もうそれはそれは怖い存在に。





西奈 琉央 ( にしな るお )

望央の双子の妹。
いじめをしている望央が心配で白樺の会に駆け込んだ。
白樺の会メンバー。

5:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/20(月) 23:28

チクタクチクタク…………
均等に音を出す時計。
短針は7、長針は8を向いている。

入学初日から遅刻なんてありえない……。そんな事はない、今がそうだから。

「H26年度、鶴居中学校新入生パンフレット……?」
あ、あったあった。なんで机の下になんてあるかなあ……よっこらせっと。

俺は、左藤柊翔 今年中学1年生になった。
さて……準備は出来たし、そろそろあいつも来るし……学校に間に合うかどうかはあいつ次第なんだよな。

「おい柊翔ー! 早く降りてこいよ遅刻するぞー?」
「分かってるって。今準備終わらせて来た所だからっ!」
階段を2段飛ばしで掛け降りる。最後は6段ジャンプ……今日も怪我せずに1日の始まりだ。

「お、ほんとにちゃんと準備してた」
憎ったらしい顔で俺にそういうのは、従兄弟の颯斗。
家が隣どうし……しかも田舎すぎて中学校は1つしかない……さあもう一緒に登校するのは当たり前の状況がここまで揃ってたら、俺も反抗も何もする気力さえおきない。

「うっせーな。運動あんまし出来ない奴が偉そうにしてんな。走るぞ!」
バシッと背中を叩く。これも従兄弟ならではのスキンシップだろう。走りながら俺は颯斗を呼ぶ。小学生の頃は【とコンビ】なんて言われてたっけ。中学生がたのしみだなあ……なんて、普通の子は思うんだろう。

「なあ柊翔……小学校のくり上げで、全くメンバーが変わらない中学校についてどう思う?」
「つまらないと思う。というか最悪だ」
2人でこんなたわいもない会話をしながら走って、学校まで目指す。入学初日から散々だ。
しかも途中から、颯斗は息切れし始めてまともな会話は出来ない。

「あ、中学見えてきた!」
颯斗にそう言うと、嬉しそうな顔でペースを上げていった。

男の友情って、面白いもんだよな。

***

「おっはよーございまっす!」
スライド式のドアをガラガラっと勢いよくあける。
そして視界に入ってくる現状。小学校と全く同じ。

「ん、おはよ。黒板に出席番号で席順書いてあるからいってらー」
小学生の時と変わらない。変化が欲しい。なにか新しい物……机とかか?

「お、俺と柊翔前後だって。出席番号名前なんだ……へえー……行こ?」
黒板を見て歩いていく柊翔についていく。
そして、俺の目に飛び込んできたもの。ある意味新しい物。


「え、なにこれ……木?」

それは、白樺の木だったんだ。

┈┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈

わあ……面白そうだと思ってたけど完全暗くなる予感……。
アドバイスなど、期待してます。

6:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/21(火) 20:48

柊翔side

「は、柊翔おま……馬鹿じゃねえの?」
「馬鹿じゃなくて、こいつは生まれながらの変人なんだって!」
真顔でこっちを見てくるクラスメート達の中、俺の肩を抱いてそう言ったのは……颯斗。
ほら、ここで合わせとけ。なんて目線で訴えてくる。
いやまあ別に? 俺はたしかに変人だし? 別になにも言わなくてよくない? なんて、ひねくれた答えが頭で流れる。
俺はそんな受け答えをしたいわけじゃない。なんだろう……今はそんな気分なんだ。

自分がどうしたのか、どうしたいのか分からなくなって、俺は颯斗の手を振り払って席についた。悪目立ちするのも、変に目立つのももう慣れた。
慣れって怖いよな。その怖い慣れを作るのが学校だと俺は思ってるけど。
こんな風な対応をしても、やれやれとかなんとかボヤきながらついて来る颯斗。
従兄弟がこんな奴で、本当に良かったと思う。

「なあ……罹星の事どう思う?」
「ええもう俺はただ怖いだけなんだけど」
小声でそう話している男子達。

「あはははっ! なにそれー!」
「なにそれってぇ……ひどぉい! 罹星ちゃん……なんかぁ きらぁい! 彩プンプン!」
大声で話している女子達。

ああなるほど……子天は仲良しだな。最悪のグループで。
大声で笑っている小倉罹星と、小文字に効果音を自分で出すという典型的なぶりっ子の天音彩楓。俺と颯斗と……男子軍の少数が嫌っている女子トップ2だ。
でも悲しい事に、罹星はグループのリーダー。
周りに女子は沢山いる。クラスの半数ほど。何を言っても少数の男子が負けるのは目に見えていた。

「うるせえよな……」
俺と颯斗は小声でその男子二人に話しかける。
あいつらのこと話してるのがバレたら困るから……と場所を変えて話す事にして移動した場所が窓を飛び越えた教室の外。
昨日も今日も晴れていたから濡れてなんて居なくて四人で座って話していた。
真っ白な入道雲が、もの凄い早いスピードで進んでいくのを横目で見ながら。

「おはよう」
上から聞きなれた高い声が聞こえた。
俺達にはなんの躊躇いもなく見せられる。と言っていた屈託のない笑顔。

「おはよ柚璃。お前もこっち来るか?一人で居たら危ないだろ」
後ろを振り返り、少し考えたあと勢い良く頷いた。
俺と颯斗とで手を広げ、抱きとめる体制になる。
大切な幼なじみ。しかも女子となったら怪我させるわけには いかないからな。

私そんなに重くないもん……なんて呟いてから降りてきた柚璃。
上手いこと着地して俺たちの補助なんていらない事が分かった。

それからしばらく話して……こういう時は本当に早く時間が過ぎていく。
時間も時間だったので切り上げて、このメンバーでのグループトークをLINEで作り、今度は体育館の玄関から教室に戻った。
上靴で外に行ったから……体育館掃除に使う、まだ目新しい雑巾を二つ持って上靴を脱いですぐそこにある手洗い場に行った。
雑巾を絞り、ささっと帰って皆で上靴を拭いた。

「入学早々に避難訓練の真似事かな?」
そんな事を男子の片方が呟いて……もう片方がノリノリでツッコミをいれて。
この二人は一生涯側に居そうだな。なんて颯斗と話しながら廊下を歩き教室に戻る。

戻ったその時の空模様は







この後の柚璃の感情を確かに表していた___

7:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/28(火) 21:42

sideを変える事はよくあると思いますが、基本>>2-5のレスに載っている生徒達だけなので、わからない場合はそちらを参考にしてください。

〇〇sideと載せて行きますので、そちらで把握をお願い致します……。

内容量が大きすぎます。と言われたので2回に分けて書き込みをします。しょうが無く内容を増やしたので変な所があるかも知れませんが大目に見てください……このレスと次のレス、2つのレスは繋げて読んで下さいね。

┈┈┈┈┈┈┈┈ ❁ ❁ ❁ ┈┈┈┈┈┈┈┈
柚璃side

 教室について、席についたすぐの事。とは言っても5分くらい経っていたけれど。ドアが開いて先生が入ってきた。ガヤガヤとしていた教室が静かになったが、その後またすぐにうるさくなった。黄色い悲鳴って言うやつだね。顔を見て後ろの子と手を取り合う女の子も少なくはない。
 少し若くて優しそうな顔のよく言うイケメンに入る顔立ちの男の人……どうやらこの人が担任の先生らしく、黒板に名前を書き始めた。スーツは上等品みたい。きちんとした先生みたいで良かった……なんて思いながら黒板に書かれていく綺麗な字を見つめる。
 『 村田 昊 』横に書かれていく振り仮名には『 むらた そら 』と書かれている。
「先生は、今年初めて担任として務める事になりました」
 チョークを置いて振り返り、少し恥ずかしそうに頭を書きながらそういう先生。可愛い先生なのかもしれない……と、満場一致で思った事だろう。
「他の学校で副担任をやってきた経験はあるので、頑張って行きたいと思います。僕は国語の担任です」
 パラパラ……と、誰がし始めたかは分からないが疎らな拍手がなって。それで皆拍手を始めた。24人しか居ないクラスだ。そこまで大きな音はしないけれど、私達の視線の先には嬉しそうに微笑んでいる先生が居た。
 一時間目は入学式。毎年毎年早く終わる……らしい。という何とも曖昧な恒例を知り、入学式の進行を教えられ、その通りに動いてください。と言われ皆で元気にはい! と返事をする。
 小学校 ううん、保育園から一緒のメンバーだ。一致団結している返事なんて当たり前で。これなら大丈夫そうかな……と、先生が安心したように言いながら肩を落とす。
 その後に先生がした話に、誰もが耳を疑った。
 先生が前の学校で副担任をしていたクラスでは、いじめが起きていたらしい。被害者が日に日にやつれているのは先生自身も知っていたものの、いじめられていたと言うわけでもなく溜め込んでいたためいじめの事は知れなかった、と。被害者が勇気をもって言い、そこから自体が表向きになり、いじめていた自動は出席停止。でもいじめられて居た子は今でも心の傷は深くて、精神科に通っているらしい。
 皆さんはそんな事しないで下さいね。と先生が言った矢先、心配すんなよ先生! 俺ら保育園からの仲だから! と柊翔が言った。皆、その通り。と言わんばかりの顔をして先生を見つめると、先生はそっか……俺の考えすぎか。なんて首に手を当てながら言った。
 その後、たしか理科の先生が呼びに来て、体育館に行った。

 田舎の学校と言うのはどうしてこうも哀しげなんだろう。廊下を歩きながらそう思う。ガラスの窓の位置に来て、右と左を見てため息をつく。左はグラウンド。右は緑色。グラウンドにも雑草が生い茂っている。その先は更衣室、水飲み場……そして目的地。
 後ろを振り返って、右側に有るのは三年生の教室が一つと、二年生の教室が一つ。そして一年生の教室が一つ。下駄箱。そして壁を挟んで隣に教員の下駄箱。その先に職員室に医務室などが並ぶ。左側には、教室の立ち並ぶ辺りにスタディルーム、そしてその先に男女別のトイレがあって、一つ飛び出した丸い柱。そこはほぼ掲示板と化している。その先に大きな鏡が一つ。そしてそのすぐ横に階段があって二階に行ける。そして壁を挟んで水飲み場、理科室に技術室、その準備室になっていた。二階には美術室、家庭科室、音楽室、パソコン室、図書室、生徒会室、準備室がある。というかそれしかない。本当に狭い校内だ。
 ここで待っていてください。と言われ体育館の前で止められる。色の薄くなっているドア、ピッタリとつかない木製品独特の隙間……。その先から聞こえてくる声。私達に入って来いと言っていた。 

8:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/28(火) 21:43

ドアが開けられ、みんなで列をなして歩く。行く先は体育館の前の方……ステージのそばだ。新入生の抱負は、クラスの優等生がやる事になった。さっき話していた男子の片割れ。全学年と先生の視線が刺さる中、怖気もせずに言い切ったその相手に感嘆する。
 しばらくして校長先生の話だった。話が長い校長先生、あるあるだよねー。なんて思っている生徒も少なくはないはず。全員椅子に座っているから苦痛はないだろう。
 そんななか私は、辺りを見回していた。古びた体育館。天井に見える鉄骨。光ったり消えたりを繰り返す電球が一つ……。生徒の数も少なくて。そう言えば入った時に拍手されたけどそれはまるでロボットみたいに同時になり始めたなあ……なんて思っている間に校長先生のお話は終わったらしい。ラッキー! なんて思っていたら始まった先生の自己紹介。国語の先生、私達の担任だね。から事務の方まで、全員自己紹介するらしい。
 前に写し出されるパソコンの画面。突如なり始めた音楽。楽しいけれどもそんなに詳しく知らなくてもいいしな……なんて思って今度は考え事を暇つぶしとしてやる事にした。

 登校して一番にする事は挨拶だよね。そう思いながら、窓の外にいた柊翔と颯斗に挨拶をしたあの時も。女子が1人だけのグループトーク……しかも男子4人なんて初めてだなあ……なんて少し微笑んだ時も。上靴を脱いで、バレないようにとそそくさと歩いて行った時の足取りも。それを見ながらくすくす笑っているあの感じも。柊翔と颯斗いれば基本楽しいんだよね……。
 幼なじみ……友達って、かなり大きな存在だなって最近よく思う。
 ドッと笑いが起こり、何があったんだろうと思って目を上げると数学の先生のプロフィールだった。なにか変な事でも書いてあったのかな……なんて思いながら次は何を考えようか。と頭を悩ませる。考え事するのは意外と好き。
 いじめ、虐待。色んな問題が最近ニュースでよく目にするけれど、そんなの一部に過ぎないし。もっともっと辛い思いをしている人もいるだろうに、テレビは死んだ事案ばかり取り上げて騒ぎたてる。違うでしょ、報道したらその人が帰ってくる訳じゃないんだから、いじめられて死のうとしてる子を報道して守るべきでしょ。なんて無理な事を考える。今の日本は疑わしきは罰せずなんて……なんて責任逃れな態度だろう。小学校の頃、3年生の時の担任の先生もそんな感じだったけれど。

 いつの間にか先生の話は終わっていて。あれ、デジャブ?
 立ち上がってください。と、その後すぐに言われて、気づけて良かったと思いながら立ち上がると左前方に立ち上がらない人。柊翔じゃん……と思いながら、隣に座っている颯斗に起こすように視線を送ると、柊翔の頭を思い切り良くチョップする颯斗。そしてそれを見て笑っている私達と先輩方。驚いたような顔をしながらもう反対側にいるを見ないであげて。完全なる誤解だから。いま君の後にいる人の仕業で、私が黒幕だから。というか颯斗も、鬱散ばらしじゃないんだからもうちょっとまともな起こし方させてやってよ……とそんな事を思いながら隣の生徒が動きだしたので、それについて行く。













後ろから私を睨みつける、憎悪の視線には気づかずに_____

9:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/08/30(木) 21:56

柊翔side

 教室に入って、席に着いてから時計をガン見する。一時間入学式をやってる予定で。三十分も経たないうちに終わってんじゃん……。
「なあ、俺らあと教科書もらったら帰れるんだろ? もう一時間目のうちに帰れるんじゃないか?」
「え、なら遊ぼーぜ! な、柚璃も来いよ! 俺なー、ちょっとお前らと一緒に行きたい場所があってさー!」
 左藤と澤村。苗字か『さ』から始まってるから隣の席で、柚璃も新だから俺の隣の席だったりする。幼なじみ達が周りにいると小さな休み時間に席から動かなかったり。小学校の頃は五分休みだったけど中学校は十分。着替えを挟むから、なんだとか。田舎なだけあって、一度ジャージに着替えてから制服に着直す事はほぼほぼない。でも時間以内でしかジャージを着ない時は昼休みに着替えなきゃいけない……めんどっちー。

 あ、行きたい場所って言うのはな、学校から一本、川を越えた辺りに俺の家があるんだけど、そこを奥にもう一本橋があって、そっちを渡ると横に道があるんだ。そこを越えたら……昔の水車小屋みたいのがあったんだ。だからそれを秘密基地みたいにしたら面白そうじゃんって思って。
 颯斗にはなんとなーく話してある。そして、その辺には小川が流れてて、なんならスイカも冷やせそう。屋根もついてるし、横に取り付けてあるはしごもあるからそこから登って上に行ったらデッキがある感じにして。それは俺の願望だけど。
 材木は簡単に手に入りそうなんだよな。気に隠れる感じで水車があるから入口付近の木を切り倒して。でもこっちから来る時には隠れるようにしたい。それこそ植樹でもしたいぐらいだ。

 ガラガラ とドアが開いて先生が入って来た。めっちゃ焦りながら机に戻る。柚璃の返事聞けてないけどまあ来ると思う。颯斗は連れていくから問題外。
 教科書を貰ったら帰れる。という俺達の期待に先生は答えてくれたようで、そこからものの20分で帰る事が出来た。帰り道の方向がほぼ同じな俺達三人。再度話をしたら二人とも来るようだ。

 家に帰ってからバックを机の上にスライディングさせて、大急ぎで着替える。七分丈で裾がすぼまさっている浅く染まっているジーパン。白のシャツのボタンを上二つ残すぐらいで着て駆け足で勉強する時の椅子にかかっていたジーパンの生地で出来ている藍色の腰ほどの上着を羽織る。
 本州や四国九州の方では桜が咲きながら散る……なんて風流な環境の中で入学式なんだろう。北海道は入学式の頃なんて薄ら寒いのが当たり前なんだよなあ。下手すると雪が残ってたり……てか去年はうっすら雪が降ってたような気がする。

 学校に持って行っていたリュックサックから筆箱を抜いて、それよりも小さいリュックサックに詰める。方眼のメモ帳しかも少し大きいサイズのメモ帳買っておいて良かった……と思いながらそれも詰めて、ポテトチップスやトッポ、そこら辺のお菓子と、とびっきり膨らんでいる期待を詰めて走り出す。
 家から出ると颯斗が自分の家の前に片背中を預けながら居た。お気に入りなんだ。と言っていたウエストバックを付け、スマホで柚璃と連絡を取っていてくれた。こっちに向かってるらしいから、俺達も柚璃の方向に進む。ちょうど落ち合う辺りに、その秘密基地がある横道の前にまた曲がらなくてはならない道があった。……ややこしいな、目的地に近い。とでも言ってけばいっか。

10:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/09/22(土) 23:59

柊翔side

「あ、いた!」
 さっき別れたばかりの柚璃に飛びかかる。あ、もちろん軽くだからな? 本気で飛びかかるようなやつではない。
 柚璃は実は方向音痴だったりする。会う時にはお互いの姿が見えていたはずなのに柚璃が居なかったのは自分が行っている方向があっているのか心配になって柚璃が確認してたから。今から森の中、とは言っても道はあるけど。そこを進んで行くのに、こんな調子で大丈夫だろうかと少し心配になる。
「で、どこに行くの?」
 それはまあ、ついてからのお楽しみでしょ。と、俺は人差し指を口にあててウインクしながら言う。
「いっつもそれでどうにかしようとするよなお前ー」
「ほんと! でもまあ……結局楽しいから許しちゃうよね」
 ほら、話は後でいくらでもできるから進むぞ。なんてリーダーっぽく言いながら進んで行く。唯一リーダーっぽくないのは2人を置いていく所だろう。問題だらけなリーダー、まあいいや実際のリーダーは颯斗だし。
 あ、もう少しでつくかな。なんて思いながら右を見ると、駄弁っている二人。この様子だと柚璃も迷わなそうだし、しかも一本道だから迷うことはないであろう。今度ラジオとか持ってころうかななんて呑気な事を考えていたら目的地についたらしい。
「わ、なにここ……」
 二人は、俺が望んでいた反応をしてくれた。驚いた顔。ああ、連れてきてよかったな。と思う顔
「決まってんだろ。ここは、これから俺たちの秘密基地だ!」
 川を見て、小屋を見て、木を見て思う。もっと俺たちらしくしたいと。もっともっと使いやすく、来やすく。なんなら第二の家ぐらいにしたいと。
「もっともっと、俺達がここに来たいって思えるようにしようぜ! ここに来たやつは皆、秘密は無し。相談もぜーんぶする事。それがルール。」 
 柚瑠の吐き出し場にしてやりたかった。少しでも力になりたい。それは学校じゃ出来ない。家でも押しかけてきたら一環の終わりだ。そして、自分が安心できる場所も欲しかった。
「じゃあさ、ここに名前付けない?」
そう言った颯斗に俺は笑いかける。実はもう決まってんだ……ここはな
「ここの名前は白樺の秘密基地! 教室にあったあれがモチーフな!」
 白樺の花言葉……『あなたをお待ちします』とか、『光と豊富』、『忍耐強さ』、そんな意味を込めた。なんて言ったら柄じゃない。そして柚瑠が遠慮する可能性があった。いつか……いつか言える日が来るといいな。
「ふふ、指すが柊翔だね。リーダーは……やっぱり柊翔?」
 柚瑠を副リーダーに任命するってのは前から決めてて、そしたら隊員なんて作りたくないから。
「俺と颯斗のダブルリーダー、そして柚璃が副な。」
 はんば強引にそう決めて、二人と一緒に水車小屋に入った

11:兎碧◆a.XScul9sZ0zs:2018/10/14(日) 01:20

小説更新はする……そう言い切ったので。
是非妹を発見してみてください(
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柊翔side

「以外と色々あるんだな。」
「ねえ、夏に集まりたい! そこの川で冷やしたスイカ食べたい!」
 二人は気に入ってくれたようで、大騒ぎしながら小屋の中を見て回った。
 気に入った? と声をかければ、いつもならお前はまた威張って……なんて言われるのに、本心から言われるように褒められた。特に柚璃に。
昔の事だけど、やっぱり辛いのに変わりはないらしい、と改めて思い知らされる。心に残った傷は消えないのだと。
 柚璃は、過去祖父母に虐待を受けていた。
 柚璃の祖父母はもうこの世に居ない。
 親達はこの事を全く知らず、柚璃が祖父母の葬式の時悲しめずに居た時、なぜ悲しまないのか。と叱ったそうだ。
 悲しめるわけないじゃないか。柚璃は祖父母に虐待を受けていたのを、俺達にしか話さず、苦しみを一人で受け続けていたんだぞ!? と、言ってやろうとしたら止められた。『今話したってどうせ信じてもらえないから。だって……おばあちゃんとおじいちゃんが私をいじめているけど、おばあちゃんはお母さんのお母さんで、おじいちゃんはお母さんのお父さんなんだよ? 自分のお母さんとお父さんが自分の娘に虐待をしているって……信じられると思う?』これが柚璃がその時に言った言葉。一言一句あっている。と、自信をもって言えるわけじゃないけど、でも、柚璃はこんな感じの事を言った。
 柚璃は一人で抱え込むタイプだ。大抵の人がそうだろう。破裂する前に話せよ。と一言言って、俺達は柚璃の前でフラフラしている。辛くなった時にすぐ話せるように。
 そして、それが簡単にできるように。そう思って俺はここを俺達の逃げ場になればいいな。と思ったんだ。だから……だから、遠回しに柚璃に伝えておく必要性があった。
「でさ……ここは、俺達が集う場所にしたいんだ。」
真剣な表情をしながら二人を見ると、二人も真面目な顔をしながらこっちを見てきた。いや、一人は、だろう。片方はいつも通り……そういつも通り変顔をしながら見つめてきた。もちろん颯斗だ。【急なボケはこいつの担当だな】クラスの皆が合唱できる事。だいぶ前から広がっていた、こいつの妙なところでボケるのは皆が知っていて、そして俺らは慣れている。
 だから俺は颯斗の変顔で笑いたくなるのを耐え、そして話を続けた。
「辛い事があったらここで話す。そして、俺達以外にも苦しんでいる人が居たらここに、白樺の会に入会してもらう。」
 そうして、少しでも傷を埋めていくんだ。
 最初は柚璃だ。実験台なんてものじゃない。一番に救わなくてはならない。一番傷を埋めなくてはならない。
 昔のすごくすごく明るい柚璃になって欲しいから。
 そして、それが〔 本物 〕であって欲しいから。
 そう、今の柚璃は……














創りもの。


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