序
「進めぇぇぇぇぇ! 」
そのかけ声と同時に数多の者たちが走りだした。そして走り出した瞬間に倒れていく者もまた数多なのである。
尚も倒れない者たちの目標は、前方に広がる蠢くカメムシ共の群れなのだ。
決して勝つことのない戦であることを各々理解しながら……。
―――我らの駆けていく音、世界に響く。
我らは逝く、尿臭の充満する地へと向かって。
この銃剣突撃こそは、世界を守る。
我らは逝く、この最期の攻撃を誇って。―――