―いつもありがとう―
『なっちゃんはいつも頑張ってるね。』
祖母にそう言われるのが大好きだった。
祖母は何をするにも褒めてくれた。
いつも忙しい両親に代わっていつも面倒見てくれたよね。
本当にありがとう
―[ここはあなたがいない世界]―
「ねー、奈乃花(ナノカ)のお遊戯会、見に来てくれる?」
「もちろんだよ。なっちゃん、幼稚園最後の
お遊戯会だもんね。おばあちゃん、張り切って見に行くよ。」
「やったぁ!奈乃花、頑張ってれんしゅうするね!」
「ああ。頑張ってね。」
「うん!」
この頃の私はおばあちゃんにそう言われてから毎日のように
踊りを練習しました。
どうしても、褒めてもらいたかったのです。
両親は厳しくて、今でも褒めてなんてくれません。
いつも怒られてばかりで、両親のことは嫌いでした。
だから私は何か行事がある度に、祖母に報告したものです。
「どうかな、おばあちゃん!
まだ、れんしゅうのとちゅうなんだけど...。」
私は、発表会ので踊るダンスを祖母に見せました。
両親だったら絶対に言ってくれなかった言葉を
祖母は毎回、当たり前のように言ってくれたんです。
「なっちゃんはダンスがとっても上手だねぇ。
いつも頑張って練習している証拠だよ。」
「えへへ〜、そうかなぁ〜!」
「そうさ。なっちゃんはいつも頑張ってるね。えらい!」
祖母が顔をくしゃっとさせてそう言ってくれたこと、
今でも鮮明に覚えています。
こうして祖母に褒められる度に私は嬉しくなって
より一層おばあちゃん子になるのでした。