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ずっとずっと忘れない。
君のことも、2人で見た海も、あの日誓った約束も、全部_____。
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✧°.プロローグ.°✧
「涼夏」
キラキラ光る海と、夕日に照らされた君。
なぜかなつかしくて、胸が苦しい。
「なに?」
返事をしたら、君はまっすぐ私を見つめて言った。
「俺は、ずっとお前のそばにいる。一生、お前のことを守りたい」
頬が、赤くなっていくのがわかった。
「ほんとに?」
「本当に。お前に、嘘なんて言わねーよ」
ずっとなんて存在しないのは知ってた。そばにいる、なんて言葉は絶対じゃないのも知ってた。
でも、この人なら、信じれる。
だから、私は笑顔で言った。
「約束だよ!」
✧°. 1 .°✧
「わっ、まぶし…」
目が覚めると、悪い寝相のせいか、カーテンが開いていた。
のそのそとベッドから起き上がり、学校に行く支度をする。
…それにしても、なんだったんだろ、あの夢。
内容はよく覚えていないけど、幸せな気持ちだったのは覚えている。
あと、夕日がきれいだったことも。
「涼夏、そんなにのんびりしてていいの?もう7時半過ぎてるわよ。明音ちゃん、なってるんじゃないの?」
お母さんの声にハッとして時計を見ると、言われた通り7時半を過ぎていた。
ヤバイ!夢のこと考えてて、すっかり時間を忘れてた。
「行ってきまーす!」
そう言って家を出て、私は急いで明音との待ち合わせ場所に向かった。
いつもの時計台の下には、もう明音が来ていた。
「ごめーん!」
私がはぁはぁ言いながら謝ると、明音は笑いながら、
「遅いよー!寝坊?」
と言った。
「寝坊じゃないけど、考え事してたら、準備が遅くなっちゃった」
そう答えると、明音は真剣な顔になって聞いてくる。
「夢?」
「うん」
明音には、話してあった。
たまに見る、内容は覚えてないけど、感情は覚えてる夢。
悲しかったり嬉しかったり、苦しかったり幸せだったり。
目が覚めたら泣いてたこともある。
でも、絶対に内容は覚えていない。
誰が出てきたとか、どんな場所だったとか、何1つ思い出せない。
「思い出せないなら気にすることない夢なのかもしれないけど、起きた時の感覚が他の夢とは違うの。なんて言ったらいいのか、わかんないけど…」
「夢の中の出来事を、知ってるみたいな感覚?」
そう言った明音は、斜め下を見つめてて、少し口をきゅっとしてた。
明音がこれをするのは、触れられたくない話をしてるときだ。
話題変えなきゃ。
「うーん…。わかんない。…そういえば、今日って小プリント提出じゃん!ヤバイ、するの忘れてた。明音、見せて!」
顔の前で手を合わせて、お願いのポーズ。
そしたら明音は、
「しょーがないなあ」
と笑ってくれた。
「ありがとー!!さすが明音!神様だぁ〜」
抱きついたら、「暑い」と言われてしまった。