時間戦士 アシタ☆ガールズ

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1:ふたば◆r.:2019/08/02(金) 19:00

いつもと変わらない街並み。
いつもと変わらない人々。
いつもと変わらない日常。


……変わらないまま、時が過ぎていた。
と、言うより、過ぎる時すらその場所には存在しないのである。

全ての時が、止まっているのだから。



「……はあっ、はあっ!」

全てが止まった世界で、ただ一人動いている少女がいた。
その少女は、腰にバックルを巻き、肩や脚に防具のついた青色の戦闘服に身を包んでいる。

「誰か、誰かいないの?誰か、止まっていない人は……!」

その少女は、探していた。
手に持ったもう一つの同じバックル……タイムドライバーを託せる人間を。


「居るはずないだろ?俺らが全部止めてんだから」

「くっ……また、あなた!」

少女を嘲笑い、立ちはだかる若い青年。
長丈の服を着た青年の隣には、怪獣をそのまま小型化したような異形の怪物が従えられていた。

「ぐるるるる……」
「ま、負けないんだからっ……勝って、明日を取り戻してみせるんだから!」

少女は、戦闘用手袋で覆われた両手をしっかりと構え、戦闘態勢を取る。


「やれ」

青年の合図で、怪人が少女に襲いかかった。
そして少女も、怪人に向かって飛びかかり、そして………!



光が、彼女たちを包んだ。

81:匿名:2019/09/28(土) 20:24

クライマックスか!?

82:ふたば◆r.:2019/09/28(土) 20:42

……直後、変身が解除され、あすかが倒れた。
力尽きるように崩れ落ちる彼女を、サキミラが受け止める。

「あすか……」

「おねえ……ちゃん……もう、巻き戻さなくてもいいよ……わたし、
思い出したの。お姉ちゃんがお姉ちゃんだった時のこと。
もうそれだけで、わたしは十分まんぞくだから……」

あすかの呼吸が、どんどん小さくなる。
意識が戻らなくなるだけではない。死ぬことを暗示しているようだった。
パラドックスの言う通り、限界が来たのだ。

「ダメよ……それじゃあ私は、何のために戦ってきたの!あすかを、妹を助けるためだったのに……!」

サキミラはあすかの手を握り、必死に呼びかける。
彼女の目からは、涙がこぼれ落ちていた。

「お姉ちゃんは……明日に向かって、すすんで……わたしはずっと……それを願ってたから……」

「あすかちゃん……せっかく、奇跡が起きたと思ったのに……いや!死んじゃ、いや……!」

玲奈も、あすかに呼びかけた。
死なないで、死なないでと。心の中でも叫んでいた。
その願いを跳ね除けるように、あすかの目がどんどん閉じていく。

「ありがとう……わたし、みんなの明日を……守れ______」

あすかはゆっくりと目を閉じ、手からも力が抜けた。
そして完全に、動かなくなった。


「あすか……あすかぁぁぁぁぁ!うわああああああん!」

サキミラはついに、大声を出して泣いた。妹の名を呼びながら、泣いた。
時空の歪みでも何でもない、実の妹のために。

二人の変身が解けると同時に、あすかの体が光の粒子に包まれていく。


「あ……」

「ドライバーも、消えていく……」

あすかと一緒に、3人のタイムドライバーも粒子に包まれていた。
そして発光し、消え去った。


……学校の騒がしさが、二人の耳に入ってくる。
全て終わったのだ。全て。時間が止まることも、もうない。


「咲ちゃん……タイムドライバーって、あすかちゃんの願いそのものだったんじゃないかな」

「えっ?」

「みんなで生きたいって言う、願いの形だったのかもしれない。叶わなかったけど」

空を見上げながら、玲奈は呟く。
サキミラも同じように見上げながら、返事をした。


「ううん。私たちは確かに、同じ時間を生きたよ。いっぱいいっぱい。
あすかは、疲れちゃっただけなんだよ。だから……休ませて、あげようっ……!」

二人は抱き合い、しばらく涙を流した。
泣き疲れるまで、泣き尽くしたのだった。

83:ふたば◆r.:2019/09/28(土) 20:51

___20年後。



「……はい、強盗容疑ね。器物破損もあるわね」

「く、くそおっ!」

白昼の街中……。
一人の女性刑事が、犯人を捕まえていた。
肩を極めつつ、軽やかに手錠を掛ける。


「お疲れ様です!今川刑事!」

「はい、しっかり取り調べしなさいよね」

駆けつけた他の警官に引き渡され、犯人は連行されていった。

今川と呼ばれたこの女性は、サキミラ……咲である。

あの戦いから、咲は警察官になることを夢見た。
あすかの守った明日を、今度は自分で守れるようになりたいと。


「みんな、あなたのことを忘れちゃったよ。あすか。
でも、私と玲奈は、ちゃんと覚えてるから……見てくれてるかな、ふふっ」

上を見上げ、独り言のように言う咲。
空は雲のない青空で、日差しも少し眩しい。


___頑張って


そんな声が、彼女に聞こえた気がした。



終わり。

84:匿名:2019/09/28(土) 21:50

泣けた…
俺もこんなふうに書いてみたいなぁ

85:ふたば◆r.:2019/09/28(土) 21:52

泣けて頂けてとても嬉しいです


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