じりじりと、アスファルトに日差しが照り付けている。私は木陰のベンチに腰かけ、近場のコンビニで買ったお握りとペットボトルを手に、ぼんやりとそれを眺めていた。
否、実際に眺めていたのはアスファルトではなかったのだが。
小さな子どもだった。まだ、小学生になるかならないか。伸びきったシャツに、色の剥げたピンクのスニーカーを履き、黙って座りこんでいる。かれこれ十分は経っただろうか。あと五分経ったら話しかけてみよう、私はそう決めていた。
不意にスーパーの買い物袋を提げた男性が、子どもの傍らに立つ。
「おとうさん」
途端、子どもの顔がぱっと明るくなり、男性の手を取り、足取り軽やかに去っていった。私はほ、と息をつく。
「――よかった。あの子は、悪魔の子じゃなかったんだ」
夏の日差し、蝉の声、蜃気楼揺らめくアスファルト。
私は、彼女の事を思い出していた。