悪魔の子

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1:苗:2019/09/04(水) 00:11

 じりじりと、アスファルトに日差しが照り付けている。私は木陰のベンチに腰かけ、近場のコンビニで買ったお握りとペットボトルを手に、ぼんやりとそれを眺めていた。
 否、実際に眺めていたのはアスファルトではなかったのだが。

 小さな子どもだった。まだ、小学生になるかならないか。伸びきったシャツに、色の剥げたピンクのスニーカーを履き、黙って座りこんでいる。かれこれ十分は経っただろうか。あと五分経ったら話しかけてみよう、私はそう決めていた。
 不意にスーパーの買い物袋を提げた男性が、子どもの傍らに立つ。
「おとうさん」
 途端、子どもの顔がぱっと明るくなり、男性の手を取り、足取り軽やかに去っていった。私はほ、と息をつく。

「――よかった。あの子は、悪魔の子じゃなかったんだ」


 夏の日差し、蝉の声、蜃気楼揺らめくアスファルト。
 私は、彼女の事を思い出していた。


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