はい。掛け持ちします←
〈注意!〉
・恋愛ものです。苦手な人はご注意ください。
・気まぐれです。「夏だから夏っぽいの書きたい」って衝動的な理由のでもう一つよりも遥かに気まぐれです。
・感想、アドバイスよろしくお願いします!
それでは恋愛もの初書き&恋愛経験皆無の人が絵描くラブストーリーのはじまりはじまり。大してイチャラブしないので期待してた人はごめんなさい。
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〈宣伝〉
https://ha10.net/novel/1592107951.html
「それが運命だとしても、」って奴です。
かなりシリアスで血生臭いです。
あと若干厨二っぽい。
よかったらどうぞ。
君は今日の青空を知らない。
空はこんなにも青いのに。
太陽はあんなにも眩しい笑顔を見せるのに。
君の眩しい笑顔は見当たらない。
どこに行ったの、と探し回っても見つからない、
当然だ、今日を生きていないのだから。
だから今日の青空なんて当然知らないし、
知ることもない。
ーーそう、永久的に。
僕が彼女、京本七海(きょうもと ななみ)と出会ったのはちょうど一年ほど前の夏のことだった。いつも何か嫌なことがあった時、僕は気分転換のために近くの浜辺へ行っていた。その景色はテレビで見るような美しい海ではなかったが、僕的にはその方が心が落ち着いた。だから毎度毎度飽きもせずあの海を眺めていたのだろう。
その日は部活で失敗して責められてしまい、いつものように落ち込んでいたところ、珍しく先客がいたのでたる。前述の京本七海だ。黒く、長い髪を風になびかせ、まるで心ここにあらずと言わんばかりに遥か向こうを眺めていた。
その放心した姿がどこかいつもの僕の姿と重なり、彼女に少し興味を持ったのだ。しかし、初対面の彼女に声をかけるのは流石に気が引けたため、その日は少し遠くで彼女のように放心状態で海を見つめていた。
少し遠くで海を見つめる日々が一月ほど続いた。ある日、ついに彼女の方から僕に声をかけてきた。
「貴方、いつもここに来る人よね?はじめまして、ではないけどはじめまして。私、京本七海っていうの。貴方は?」
「…澄田律(すみだ りつ)。よろしく」
似た者同士だろうと推測して気にかけていた彼女に声をかけられたにも関わらず、僕は存外冷たく返事をする。が、彼女はそんなことを気にも止めず、どこの高校に通っているの?だとか何年生?だなんてちょっとした質問をどんどん投げかけてくる。
七海は僕よりも一つ年下の高校二年生で、この8月に17歳になったばかりらしい。だが、とある理由で高校には通えていないという。本人曰く、重い病気ではなく、自由に動けるとのことだったが、はじめて話したその時は詳しく聞くことができなかった。
また一月ほど、そうやって僕達の日常を伝え合ったりして笑い合う日々が続いた。その頃、嫌なことのあった日も当然のことながら海辺に行っていたが、毎週木曜日は二人で1週間のことを話す日として海辺に通っていた。ちなみに木曜日だったのには理由がある。金曜日は彼女の病気の検査の日で、土曜日と日曜日は家族で過ごす日と彼女らの家族で決められていたからだ。後付けのように「ついでに木曜日は私達が初めて話した日だからね!」と冗談っぽく笑った彼女の顔が忘れられない。
事が起きたのは9月の終わりかけのある木曜日の夕方だった。いつものように流れてきたのであろう丸太に腰掛けて二人で大笑いしていたその時。
ーー突如、彼女の姿が消えたのである。
どこかに行ってしまった訳でもない。神隠しにでもあったかのように目の前から静かに消えてしまったのだ。驚きを隠せなかった僕は、何度も何度も彼女の名前を呼んだ記憶がある。
そうして何度も名前を呼んでいるうちに七海の姿が何事もなかったかのように現れた。その瞬間を見てはいなかったもののただ事ではないことに流石の僕も気づいた。
「…ごめんなさいっ!!」
彼女は頭を下げて謝るとそそくさと走っていってしまった。目の前で起きた出来事を理解できず、その日は遅くまでその場所に留まっていたような、そんな気がする。いまだにその後のことをよく思い出せないのだ。
その日以降、木曜日に海辺へ向かっても七海は現れなかった。どれだけ待っても現れなかった。そうして秋が過ぎ、そろそろ12月になろうとしていた11月末のある土曜日だっただろうか。その日は家族でデパートに出かけていた。家族で談笑しながら歩いているとき。
ーーすれ違う人混みの中に七海によく似た姿の少女を僕の目が捉えた。
どうやら彼女も家族と一緒に来ているらしかった。最後に話したあの日の様子を見るに問い詰めてはならなかったのはよく分かっていた。それでも僕の足が止まることはなく、彼女の方に向かって一直線に走っていった。
「七海っっ!!」
声をかけると彼女は驚いていた。逃げ出そうとするような動きもあったが、意思が変わったのかその場に立ち止まって僕の方を見つめる。その間、急に走り出した僕を追いかけて来た僕の家族も、七海と一緒にいた彼女の家族も静かに僕達を見守っていた。
「急に行かなくなっちゃってごめんなさい。あのことを知られたから、嫌われたと思って…」
七海らしくない気弱な姿で、俯きながらそう言う。彼女の病気は突如透明化するものらしく、前例がないがためにまだ病名も決められていないらしい。そう彼女は話した。
「大丈夫、僕はそんなことで七海のことを嫌ったりなんてしない」
そうやって僕が笑うと、安心したかのように七海も笑い返す。
二人で微笑みを交わす時間がしばらく続いてから、彼女の父が、いつも娘がお世話になっております、と僕の親に深々とお辞儀した。こちらこそ息子がお世話になっております、と父がお辞儀し返した。そこからしばらくちょっとした世間話になって、僕達子供は大人しく、静かに過ごしていた。久しぶりのことでなんとなく気まずかったからだ。すると、もう一人の僕と同い年くらいの青年がこっちに走ってくる。
「もしかしてお前が七海の言ってた律って奴か?俺は七海の兄で光輝ってんだ。ちなみに七海の一つ上ね」
「あっ、同い年だよ」
「おっ、マジか!」
七海の兄、光輝との共通点のおかげで気まずい空気はどこかにふっとび、3人で普段の日常を語り合ったりした。親達の間でご飯を食べに行かないか、という話にもなったが生憎僕達は昼食を終えていたためにその話はなくなってしまった。
「じゃあ、またね」
別れ際にそう笑った彼女の笑顔がすごく印象的で、懐かしくて、今でも忘れられない。
次の木曜日、いつも通り海辺に彼女はいた。あの後の日々のこと、少し昔の僕のことや七海のこと、そんなことを話している間にあっという間に夕日は海の方へと沈んでいき、別れの時間だと僕達に知らせる。
「そうだ律、今度の日曜日ね、私の病院に来てよ!ここから見えてるあの病院に入院してるの」
夕日が完全に沈みきって少し薄暗くなって来た頃、七海はそう言った。勿論僕の答えはイエスだった。前々から祝日にも彼女に会いたい、だなんて思っていたからだ。僕としてもその誘いは嬉しかったのである。
そして金曜日、土曜日と過ぎ、日曜日がやって来た。12月最初の日曜日だというのに、その日はひどく寒い日で、外出するのも少し嫌になりそうなくらいだった。しかし、七海に会える、なんてことを考えると不思議と外に出たくない、なんて気持ちは消えていた。
嬉々として朝食を頬張る僕を家族はどこか暖かい表情で見守っていた。七海と会えることを楽しみにしていたのが両親にも伝わっていたのだろう。あっという間に朝食を食べ終えて、待ち遠しいと言わんばかりに僕は部屋中をウロウロと歩き回っていた。
そして12時頃にはそろそろ行って来まーす!なんて言っていつもよりも早く家を出た。よっぽど楽しみなのだろうと自分でも感じた瞬間だった。何がそんなに楽しみだったのかも正直わかってなかったが、全力で自転車を漕いで、40分くらいかかる道を30分くらいで走りきった。
受付を通り、嬉々として七海の病室である819号室まで今にも走り出しそうになりながら歩く。早すぎたら怒られるかなぁ?なんてことを考えながら病室の扉を開けた瞬間ーー。
パァンっ!!
クラッカーの音とともに、テープが僕の方へと飛んでくる。
「誕生日おめでとう、律!!」
七海、光輝の声と七海のご両親の誕生日おめでとう、律くん!という声が重なった。
サンシャイン様神
9: 遥架◆/RIeTN.:2020/08/03(月) 19:49
>>8
この小説がサンシャイン様並みに神ってる、ですって?まあ、ありがとうございます!
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音とともにつぶった目を開けると部屋はお誕生日おめでとう、という看板やパーティーリングで綺麗に飾られていた。そうだ、今日はたしかに僕の誕生日だった。毎年両親に祝われているものの、すっかり忘れていた。というか例年は親が朝目覚めると声をかけてくれるのだ。
「何がなんだかわかんないって顔だね、どうして分かったんだ、ってところかしら?」
七海の言葉は全て今の僕の心境を捉えていた。思わず彼女の言葉に首を縦に振る。
「簡単よ、ご両親から教えていただいたの。お父さんに世間話の一環で話してたみたいね」
「病院で祝おうっていうのは七海が言い出したんだぜ!すげーだろ、俺の妹!」
なぜか光輝が誇らしげに語っていることはさておき。例年僕は両親に朝、「おめでとう」と言われてやっと自分の誕生日に気付く。今年は言わなかった、つまりはこの誕生日会のことについて知っていたのだろう。
「今日は楽しんでいって頂戴!」
七海が言うと彼女の家族一堂でどこからか取り出した新しいクラッカーをもう一度鳴らした。そしていぇーい、なんてノリのいい声が響く。僕一人のために盛大すぎる気もするがまあいいだろう。それにしてもこれだけの飾りをどれだけの時間かけて作ってくれたのだろうか。今日を楽しみにしていただけにこのサプライズが僕にとってとても喜ばしいものであったことは言うまでもないだろう。