2027年──7月 「……もしもし、佐藤です」 受話器を手に取り、何回か相槌をうつ青年。右手ではメモを取っている。 「はい、分かりました…では、また」 通話を終えると、青年──佐藤那由多は長い息をつき、メモを見つめながら掠れた声で呟いた。 「やっと、だ……」