妄想の詰め合わせ。
◎文章書いたり設定投げたり
◎基本レス禁止
「センパイ、これあげます」
不格好にリボンが巻かれた箱の中身は不格好なチョコレート。人にあげていいような代物じゃないけど、センパイならきっと受け取ってくれる。優しさに漬け込むなんてやなヤツだ。そうと気付いてフッてくれたら嬉しい。
なのに、なんで笑顔で受け取るの。ありがとうなんて言わないでよ。嬉しそうに笑わないでよ。他の子からもらったチョコレート、たくさん持ってるくせに。
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時間が無いからここまで!クソ遅いバレンタインです。この子は誰でしょ
「好きです、好きです、好きです」
昨日から練習していた言葉を、何度も何度も繰り返す。今日、あたしは告白をするのだ。憧れのセンパイに。センパイに恋をするなんて、少女漫画みたいだとは思う。けど、あたしの恋はそんなに素敵なものじゃない。あたしはどこにでもいる一般人だし、センパイだって、人気のある王子様なんかじゃなくってクラスでもあんまり目立たないフツーの人だ。
「好き、好き。好きです。――よし、」
準備万端、センパイのところに行こう。チョコを渡して、それから、好きですって言おう。勢いをつけてくるりと振り向く。踏み出そうとした先には、センパイがいた。口元はあんまり笑ってなくて、不機嫌そうな顔をしてる。そんなんだから怖いって言われるんだ――じゃなくて。なんでここにいるんだ、この人。
「誰かに告白、するんだ?」
聞いてくれるなよ。あまりに突然の出来事に、あたしは口をぱくぱくさせるしかない。やっと頭が動くようになってから、腕に抱えたチョコに、多々良先輩へ、と書かれていることに気が付いてさっと隠す。やばい、見られたかも。対するセンパイはひとつもチョコを持ってなくて、ちょっと安心した。
「別に、こここ告白なんてしませんけど」
「あっそ」
あっそじゃねえよ。こっちがどれだけ恐怖してるか分かってんのか。女の子の気持ちに鈍感な男はモテないんだから。ちょっとイライラしてきて、さっきまで考えてた事はどっかに飛んでった。センパイといると、いつもそうだ。それが心地いいんだけど。
去ろうとするセンパイの後ろ姿めがけて、綺麗に包装されたチョコをぶん投げる。今回のは傑作だ。ニシンのカップケーキ、ちょー美味しいんだから。
「仕方ないから本命チョコくれてやるよ!!」
馬鹿みたいに捨て台詞を吐いてさっさと退散することにする。チョコを受け取ったセンパイがどんな顔をしてたのか、あたしは知らない。
*
ひのめ→多々良のつもりだったけどこれひのめちゃんじゃねえな