スレタイ適当、笑。
えーと、ここは私が様々なジャンルの小説を書くところになりますね、
公式cpだったり、伽羅の独白だったり、夢だったり…。
まあ、暇つぶし程度に寄ってくれたならと思います。
・ 荒らしや、迷惑行為はお断りです。
・ 感想は大募集しております!
・ 更新は亀さんです、笑。
それでは、よろしくお願いしますね!
一緒ならば 【 ぬらりひょんの孫 / リクオ×夢主 】
宴の夜。騒がしい妖怪たちの声を背に、私と、そしてリクオは縁側で座っていた。
何も言葉は交わさない。でも、とても穏やかな時間。
つぼみになり始めたしだれ桜を見る。
「変わらないね、ここは」
ここに住む者たちは血が繋がっているわけではない。でも本当の家族のようで。すごく暖かい。普通の家庭で、親からの愛情を受けて育ってきた私でも、ここの温もりは羨ましい。
「……ずっと、ここの暖かさに触れていたいな」
ぽつりとつぶやいた。それができたらどんなにいいだろう。
ふと、左手にぬくもりが宿る。目を向ければ、赤色の全てのもの魅了する瞳と合う。
「――じゃあ、来るかい?」
「え?」
「俺の嫁として。奴良組に」
時が止まる。
賑やかな妖怪たちの声も聞こえなくなる。
「え、ちょ……質の悪い冗談?」
「そんなわけねぇ。俺はお前に心底惚れてんだ」
リクオの手が腰に周り、私を引き寄せる。酒のかすかな甘い香りで酔いそうになるほど、顔が近い。
「私……人間だよ? きっと、奴良組のお偉いさんに反対されるよ」
「なら、俺がねじ伏せてやる。俺は、奴良組3代目総大将だからな」
口角を上げて、自信有りげに言われてしまえばもう何も言えない。だって、今までの人生で彼がその自信に応えないことはなかったのだから。
「俺と一緒になれ」
もう、言葉はいらない。自然とまぶたが降りて視界が暗闇になる。唇にかすかな温もりが宿った。
胸が幸せでいっぱいになる。
(生きよう。この人とともに。壁があってもきっと一緒なら乗り越えられる)
私もリクオの背中に手を回す、その想いに応えようと唇を重ねる。
2人の世界で、しだれ桜だけが私たちを見つめていた。
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シリーズもの。続きます
(……入りにくい)
昼頃。私は、奴良家まえの門の前にウロウロしてます。
いやだって、昨日のことがあったわけだし入りにくいんです。
(でも、結婚、かぁ)
そんなことができる歳まできちゃったんだ。そう思うとどこか寂しい気もする。
そう、リクオと出会ったのはこの場所だった。
ここに引っ越してきたあの日。大きな子の家が物珍しくて、礼儀も知らず覗こんでいればたまたま見えてしまった妖怪に失神してしまい。次に起きたとき、私がいたのはさっきまで見ていた家の中。目があったのは、まだやんちゃだったリクオ。
『遊ぼ!』
その言葉に誘われ、私はリクオとそしてそのお付の妖怪たちと遊んだ。
本当に、純粋な頃だったから妖怪たちの存在をすんなりと受け入れて――まあ、最初は怖かったけど――この奴良組は、私の居場所の一つになった。
けど、あの日、リクオは妖怪として目覚め、そして変わってしまった。
中学に上がったらあの幼い頃のやんちゃさも消えてしまった。寂しかった気もした。でも、きっとリクオも悩んでたんだ。だから、私は彼のそばにいることを選んだ。
それから、1年。リクオは人間としても、妖怪としても大きく成長した。そして、清明を倒し、リクオが帰ってきたあとの宴で、私は告白された。
『僕は君が好きだよ』
その顔は、今までの幼かった彼じゃない。大きく成長した大人の人だった。
こんな私でもいいのか。そう思ったけど、でも嬉しかったから私は返事を返した。
『私も、好き』
(恋人なら、まだ良かった。でも、結婚となると――)
きっと、昨日は私もリクオも酔っていた。普通、人間と妖怪が結ばれることはありえない。リクオのおじいさんやお父さんがそうだったとしても。
それに、後継のことを考えればリクオのお相手は、純血の妖怪のほうがいい。
昨日は、返事を曖昧にしてしまった。でも、だから昨日のことをなかったことにもできる。だから私はここにいるんだから。
(……ああ、でもなぁ)
ほんと、根性なし。
「……侑葉(ゆうは)さん?」
「あ、氷麗ちゃん」
ぱたぱたと氷麗ちゃんが駆け寄ってきた。
「今日はどうされたのですか? リクオ様にご用事でも?」
「まあね。……リクオは?」
「リクオ様は――」
ちらり、と氷麗ちゃんは屋敷の方へ目を向けた。
「実は、朝から様子が変で……。あっちこっちを歩き回ったり、ぼーっとされる時間が多かったりと……」
その姿が安易に想像でき、思わず苦笑する。
きっと、昨日のが原因かな。
「そっか……じゃあ、尚更だね」
「え?」
「案内してくれるかな? リクオのところまで」
とある一室にリクオはいた。
座り込んで腕を組み、考え事をしているようだった。
「リークオっ!」
「え、侑葉!?」
声をかけると本当に気配に気づいてなかったのか、肩を揺らして振り返る。その表情は驚きそのもの。
「い、いつから」
「今さっき。……ねぇ、昨日のことだけどさ」
誤魔化すよりもさくっと解決したほうがきっといい。
リクオの傍に正座して座る。
「私、ちゃんと返事返してなかったでしょう?」
「うん……」
「――やっぱり、私たちの結婚は難しいよ。リクオがやめよう、そう言ってくれればまだ、なかったことにできるよ」
本当に嬉しかった。今まででない最高の幸せ。
でも互いの未来を考えて、ここは引くべきだって思う。大丈夫、まだ間に合う。
もし、昨日のプロポーズの否定が入ったなら。この関係も終わらせようと思ってる。結婚しないんだから、次のためにも別れたほうがいい。
私も、もう、ここにはこない。
「リクオは、どうしたい?」
リクオは、ぎゅ、と膝の上で作った握りこぶしを握った。
そして、私に手首を掴んだ。
一気に近くなる距離。慣れなくて、顔が赤くなる。
「り、リクオ?」
「僕は、本気だよ。君とずっとに一緒にいたい。この気持ちは、君に告白した時から変わらない」
あの告白の時、既に考えてたってこと?
「昨日の言葉だって、嘘じゃない。どうしようもなく、君が好きで、愛しいから……僕は侑葉と夫婦になりたい」
告白されたあの日より、さらに大人びた顔。夜とは違う、けれど見た人を離さないその瞳に吸い込まれそう。
「……いい、の? 私、人間だよ。弱いよ。……世継ぎのこととか、周りだって反対してくるかも」
「昨日、言ったでしょ?」
掴まれた手を引かれて、一回りも大きくなった体に抱きしめられる。
「そんなものどうにかしてみせる。君のためだったら。……僕を信じてよ」
切ない声が耳を掠める。ああ、もう、本当に……。
「君が好き、大好き。僕と結婚してください」
「はい、……貴方の隣に居させてください」
今度こそ。もう後戻りはできない。でも、満足感が私を満たす。
私はこの人が好きで、彼も私が好きで。なら問題ない。きっと、――大丈夫だ。