イナズマイレブンでエイリア学園のお話です!
30:太陽と月◆i6:2016/07/06(水) 23:54 ~雷門ベンチ(少し作者目線)~
「藤咲さんの家は代々家の当主は男と決まっていた。けど、藤咲さんは女の子。藤咲さん以外の両親は全員罵り、蔑んだ。だけど、藤咲さんの心の支えだった両親は、海外出張で行く飛行機の墜落事故で他界してしまった。一人となってしまった藤咲さんは、捨てられたのよ」
瞳子の話が終わり、その場は静かになった。
「望愛ちゃん・・・可哀想ですね・・・」
音無の呟きに一同はコクッと頷いた。
そんな中ガゼルとノヴァが帰って来た。
~試合(後半戦)開始(ノヴァ目線)~
ガゼル様が負けたら、どうなるのかな?追放・・・だよね。
「ガゼル様・・・」
俺はガゼル様が勝つ事を望んだ。
試合は結果的にも最悪な結末が待っていた。
ダイヤモンドダストが引き分け・・・、つまり負けたのだ。
エイリア学園に帰って、皆様の顔は悲しさで溢れていた。
「私達が・・・負けたの・・・?」
リオーネ様の声に重苦しかった空気がもっと重くなった。
俺・・・何も役に立たなかった。
「ノヴァ・・・すまない。勝つって言ったのに・・・」
「俺もすいませんでした・・・、役に立てなくて」
俺はガゼル様に頭を下げた。
それしか出来なかった。
今の自分を呪いたかった。
もう・・・失いたくなかったのに・・・。
何で、俺には力がないの?力があったら、守れたのに・・・。
「ノヴァ、部屋に戻りたまえ」
「・・・・分かりました・・・。皆様、本当に申し訳ございませんでした」
最後は涙声だったから分からなかったかな?泣きたい・・・。
~抜かしカオス戦~
カオスの話を聞いた。
俺もその一員として、雷門に挑んでいた。
「望愛!戻って来いよ!!」
「・・・・・」
私は黙って円堂守を見た。
バーン様が行くぞと言う声を聞くまでは、ずっと見ていた。
そして、試合は開始。
今回は試合に出して貰った。
「望愛!」
「その名前で・・・呼ばないで!!スタースティール!!ネッパー様!!」
塔子ちゃん・・・。
「望愛さん!」
「邪魔!!」
壁山くん・・・。
「望愛!」
「退いて!!」
綱海くん・・・。
色んな子の声が聞こえた。
聞きたくない・・・、
暗闇一人耳で塞いでいると、光の扉が開いて、手を差し出して来た。
「くっ!」
「取らせるもんか!!」
私がその手を取った時、エイリア石が砕け散った。
ヤバイ・・・。
落ちる!!このまま落ちれば、即死だ。
「「「「ノヴァ!!!!!」」」」
叩き潰されずに済んだ・・・。
でも、おかしいな・・・。
「ノヴァ!!ノヴァ!!」
「・・・すいませ・・ん・・・。ヒック・・・」
涙が止まらない・・・、何で?
続く
「望愛・・・」
あ、思い出した・・・。
円堂君・・・、サッカーバカで助けてくれた円堂君。
「円・・・どう君・・・。ごめんね」
「!思い出したのか?俺の事、風丸の事!」
俺は弱々しく頷いた。
涙が止まらなかった・・・。
「ノヴァ・・・望愛!忘れないでくれ!!私達を・・・一人にしないでくれ!!」
「ガゼ・・ル様・・・。」
「おい!目を閉じるなよ!!」
「バー・・・ン様・・・、忘れないよ。また・・・ね・・・」
そして・・・そこで俺の意識は無くなった。
~エイリア学園騒動が無くなり、数か月後(ヒロト目線)~
「望愛、今日も来たよ。それも皆でね」
望愛が倒れて意識が無くなってもう数か月経つ。
目を覚ましてくれた時、憶えてくれたらいいなと少し期待も持ってる。
「おい、晴矢。邪魔だ」
「いいだろ?お前、いっつもいい席座ってんだから!!」
「まあまあ、いいじゃないか」
晴矢と風介の喧嘩を止めたのは、風丸くんだった。
聞いた話、円堂君と風丸くんと望愛は幼馴染らしい。
早く目を覚ましてくれたら、嬉しいな。
「ねえ!皆で何か買いに行こうよ~!」
「はあ~、ルル。何かまた見つけたの?」
ルルが駄々をこねたので、皆で何か買いに行った。
けど、帰って来た時、俺達は予想もつかない事になっていた。
お店で色んな物を選びながら、病院に着くと、姉さんが受付の前で慌ただしく待っていた。
「あれ、姉さんだよね?」
「いや、そうだろ」
晴矢のツッコミ、さすだ。
俺達がそんなやり取りをしていると、姉さんは気が付いたのか俺達の所に来た。
それも息を荒くして。
「どうしたの?姉さん」
「ヒロト!皆!望愛が・・・」
姉さんの目に涙が浮かんであった。
望愛と聞いて、皆買っていた物をその場に落として、望愛の病室に駆け混んだ。
「望愛!?」
「・・・・皆、早いね」
そこには、酸素マスクが外されていた望愛が居た・・・。
~望愛目線~
目を覚ました・・・長い期間眠っていた気がする・・・。
「望愛ちゃん?!起きたの!!先生!!」
看護師さんが慌てて病室を出て行った。
その後、先生とお姉さまが息を荒くしながら戻って来た。
お姉さまは、私の顔を見て涙を零しながら俺を抱きしめてくれた。
「望愛・・・!望愛・・・!」
「お姉さま・・・、エイリア学園は?」
「今はもうないわ・・・、でも、望愛が無事でよかった」
お姉さまの事を憶えていた・・・。
と言う事は・・・エイリア石の副作用は発動しなかったの?
俺がそう考えていると、お姉さまは皆に知らせてくると言って病室を出て行った。
看護師さんがそれまで酸素マスクを外しますねと言って、外した時だ。
「望愛!?」
聞き覚えのある声・・・。
振り向くと、息を荒くした皆が立っていた。
あ、戻って来たんだ・・・。
「・・・・皆、早いね」
続く
「望愛!!望愛!!!」
杏ちゃんと愛ちゃんが俺に抱き着いてきた。
温もりがあった・・・。
俺、生きてるんだ・・・。
「皆・・・、俺・・・」
涙が溢れる、情けなく溢れて来る。
ごめんねって一言言いたいのに・・・言えなかった。
その代り、皆が俺に抱き着いた。
「お帰り、望愛」
「ただいま・・・皆・・・」
嬉しかった・・・。
皆が居る事に、その後、ヒロト君と治君とリュウジ君に怒られた。
三人のお叱りが終わった後は、カオスの皆にも怒られた。
「望愛・・・」
「風丸君・・・ただいま・・・」
「お帰り・・・望愛・・・」
俺には大切な仲間が居るって事に改めて気づかされた。
ありがとう・・・皆。
大好き!!
END(あぁ、番外編もあるよ。望愛のこ「話すな!!」)
番外編望愛の恋の話(風丸編)
俺は、雷門中に通っている。
お姉さまに頼み込んで、雷門中に転校した。
「望愛~!」
「あ、円堂君。風丸君」
そして、最近好きになった人が居る。
それが今、円堂君の隣に居る風丸君だ。
初めてここ(雷門中)に来て、案内してくれたのが風丸君だ。
と言うか、風丸君が好きだって気が付いたのは、FFIの時だ。
「一緒に帰ろうぜ!」
「うん」
FFIは、イナズマジャパンの勝利で終わった
この気持ちに気が付いたのは、ガルシルドの時だった。
私の両親は、ガルシルドによって亡くなった。
そんな私を助けてくれたのが風丸君だった。
「じゃあ、俺はこっちだ!じゃあな!」
「あぁ、またな円堂」「またね」
私と風丸君は同じ道のりだ、家は全然違うけど。
「なあ、望愛」
「何?」
「家に泊まるか?」
「え!?いいの??」
「あぁ、お日さま園まで遠いだろ?それに、俺の親、今日は居ないから」
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
凄い胸がドキドキしてる・・・。
風丸君の家に着くと、俺はソファーに座った。
「久しぶりだろ?俺の家来るの」
「うん、小1の時はすぐお日さま園に行ったから・・・。」
「知ってるよ、エイリア学園騒動が終わった後、円堂に教えて貰った。お前の意識がなかった事も・・・」
「・・・お婆様とお爺様達は俺が生まれてすぐに男の養子を入れてたらしいから。唯一可愛がってくれたのがお母様とお父様だったもの」
「・・・ガルシルドの話だと、お前ら家族の金が必要だったんだってな」
そう、どうやら両親は、ガルシルドの会社で昔働いていたらしい。
やめた時、ガルシルドは両親の莫大なお金に気が付いたらしい。
お金の為に俺の両親を他界させ、お金を奪うつもりだったが、お婆様とお爺様のおかげでお金は全てお日さま園に寄付された。
この時ばかり、お婆様とお爺様には感謝している。
「望愛・・・」
「気にしてないよ、でも、助けてくれてありがとうね。風丸君」
「ッ!あのさ、望愛・・・」
「ん?え!?」
俺が風丸君の方を見ようとした時、抱きしめられた。
「か・・・風丸君?」
「憶えてるか分からないけどさ、俺が告白したの憶えてる?」
「う・・・うん」
「俺の事・・・どう思う?」
カァと顔が赤くなった。
ここで、好きってちゃんと伝えれば良いのかな・・・。
「ねえ、風丸君・・・。」
「何だ?」
「その・・・風丸君にはおかしい事かもしれないけど、言っていいかな?」
「お・・・おう」
「俺・・・風丸君の事・・・好き。最初は、分からなかった・・・。けど、最近になって、風丸君の事しか頭になかった。だから、こんな俺でも付き合ってくれますか?」
最後は涙声で伝えられたか分からなかった。
涙を拭いていると、風丸君の抱きしめる手が強くなった。」
「そんなの俺から伝える事だろ?こんな俺でも、付き合ってくれるか?望愛」
「うん・・・、好きだよ。一郎太」
~10年後~
「全く!風丸君、起きてってば!」
「ん~~・・・望愛!」
「今日は円堂君と遊ぶ約束したって言ってたじゃん!円堂君が怒ってるよ?」
「分かったって。なあ、望愛」
「何?」
「好きだぜ」
「そんなの俺だって好きだよ、一郎太」
風丸編終了
番外編望愛の恋(風介編)
「あっち~~」
「大丈夫、皆?夏休みの宿題終わってないけど・・・」
俺は、目の前の光景に苦笑した。
早く終わらせとけば、こんな嫌な思いもしないのにってね。
俺は雷門中の夏休みを終わらせてるけど、他の皆は難しいからとか遊びに行くからとか言って、宿題に一切手に触れてなかったのだ。
お姉さまの怒りに触れてしまったヒロト君達は、この暑苦しい部屋でみっちり宿題をやらされている。
「お茶持ってきたから、ちょっと休憩しょっか」
「お茶~~!!!」
「そんな叫ばなくても、持って行くって。はい」
「望愛~~!風介さんが暑さでのびた~~!!」
「えええええええええええええ!!」
風介さんは一旦涼しいお部屋に連れて行って、介抱。
「大丈夫かな?」
「うぅ・・・ん?望愛・・・。あれ?私は・・・」
「暑さでやられたんだよ、ちょっとの間、ここに居よう」
「あぁ、すまないな。」
「ううん、エアコンつければ良かったね」
と言うか、お姉さまも拷問じみた事するな~。
いくら宿題やってないからって・・・。
「望愛の手・・・冷たいな。アイスみたいだ・・・」
「風丸君や円堂君にも言われるんだ、秋ちゃんや春奈ちゃんにも言われたし」
「雷門でも上手くやってるようだな」
「うん、サッカー部のマネージャーしてるんだ。円堂君ったら、ヒロト君達に負けないって張り切ってるもん」
「ふん、私も負けるつもりなんてない。それと、あまり私の居る前で他の奴の名前は出すな」
クスッと笑ってしまう。
ガゼル様の時は、あまり嫉妬とかヤキモチ見せなかったのに・・・。
「?何だ」
「ううん、風介君でもヤキモチとか妬くんだな~って。」
「バカにしてるのか?」
「そうじゃないよ、小さい頃は泣き虫でそれでも強がってた風介君がな~って」
「バカにしてるな!?私だって成長はするんだ!!」
あ、怒っちゃった。
風介君は、頬を膨らませながらプイッと私から顔を逸らして、ソファーで横になった。
ちょっとからかい過ぎたかな?私はそう思って、風介君の顔を覗きこもうとした時、風介君の手が俺の腕を掴んだ。
「え?!」
「ふっ、引っ掛かったな。さっきのお返しだ!」
「ん・・・」
驚くよりも前に風介君がキスをしてきた。
俺は目を見開いて、口を固く閉じていると、風介君の舌で無理矢理こじ開けられた。
これ、ヒロト君がグラン様だった時やった奴!!
「ん、、、ふぁ、、、ん」
ちゅくちゅくと鳴り響く広間に誰も見てないのか心配になった。
あ、と言うかこれを見た時、ネタにされないか心配。
風介君は満足したのか唇を離した、唇を見た時、銀色の糸がプツと切れ、キラキラと輝いた。
「どうだ?」
「参ったよ、さすがの俺も無理だったよ」
「まあ、私はこんな事、好きな奴にしかしないよ。私の大好きな彼女にしかね・・・」
そう、言い忘れていたけど、私達はもう付き合っている。
それはお日さま園の皆も雷門サッカー部の皆も知っている。
あ、でも、彼氏彼女の雰囲気を出さないから、よく皆に付き合ってるのか?と聞かれる。
「風介君、いきなりディープは無理だって前にも言った」
「フフ、すまない。だけど、君が悪いだろ?私をからかったんだから」
けど、風介君は私と二人っきりになると、彼氏っぽくなる。
其処が好きなんだけどね。
「ねぇ、望愛」
「何?」
「好きだよ、大好き」
それを聞いて、顔がボッと赤くなる。
「俺も・・・風介が好き・・・大好き!」
「私もだよ」
~その頃~
「風介大胆だな~、皆居るのに。まあ、これは見なかった事にしようっと!」
「しなかったら、風介がこぇえだろ?」
(((望愛は良いんだ!??)))
見ていたのでした。
その後、全員が見ていたとばれると風介のノーザンインパクトが炸裂したとかしてないとか想像に任せます。
望愛は、見られた恥ずかしさで杏達の後ろに隠れていた。
風介編しゅ「終了じゃないぞ」
はい、そうです。
付き合うって望愛が言うシーン書くの忘れてた。
FFI編~設定~
藤咲 望愛(ふざさき のあ)中学2年生
元・エイリア学園の子。
イナズマジャパンのオペレーターとしてイナズマジャパンにやって来た。
エイリア学園の時とは違い、冷酷な性格は優しい性格に戻った。
今でもヒロト達の告白に戸惑っている。
~名前だけ出るけど、望愛の両親の設定~
藤咲 蜜柑(ふじさき みかん)
望愛の母。
飛行機墜落事故により亡くなった。
藤咲 松一郎(ふじさき しょういちろう)
望愛の父。
飛行機墜落事故により亡くなった。
ガルシルドの会社に働いていた。
FFI始まり
エイリア学園騒動が去り、数日後、世界を轟かす出来事が起こった。
それがフットボールフロンティアインターナショナル通称『FFI』だ。
その出来事には、日本にもある。
円堂守もその事を知らず、今、雷門中に向かっていた。
行く途中には、宇都宮虎丸と言う子にも出会った。
そして、雷門中に着くとそこには一緒に戦った者、出会った者が居た。
「珍しい奴らも来てるぞ、円堂」
「やあ、円堂君」
「ヒロト!」
そこには、エイリア学園のグランだったヒロトも居た。
円堂は目を真ん丸にして、ヒロトの元に歩み寄った。
「連絡を貰った時は驚いたけど、雷門には君が居る。今度こそ、本当のサッカーが出来るんじゃないかと思ってね」
「おう!」
すると、ヒロトは急にキョロキョロと辺りを見回すが、居なかったのかすぐに円堂の方に向いた。
「どうしたんだ?」
「いや、なんでもないよ。それより、もう一人いるんだ」
ヒロトは暗い顔を一変し、ある場所に向いた。
円堂達皆もヒロトが向いた方を見ると、緑色のポニテールをした男の子が居た。
「何で、あの不気味なオーラは・・・」
「あいつ、誰だ?」
皆が口々にそう言うと、男の子は円堂達の近くに来て、こう言った。
「失敬だな、地球にはこんな諺がある。男子、三日会わずは括目してみよってね!」
「そのフレーズ・・・!」
「レーゼ!」
「ジェミニストームのキャプテン!」
レーゼはそれは宇宙人ネームと笑った。
「俺には、緑川リュウジって言う名前があるんだから!」
「な~にが、緑川リュウジだ!!俺の学校を壊したっ的な?」
「それには色々諸々申し訳ない!ここだけの話、結構宇宙人役頑張ったんだ」
緑川の印象に雷門中の皆は目を点にした。
緑川はこれからよろしく!と言って、ヒロトと同じキョロキョロと辺りを見回した。
「ヒロト・・・やっぱり居ないね」
「うん、望愛・・・何処行ったんだろう・・・」
「望愛がどうかしたのか?」
「それがさ、望愛ここ最近お日さま園に帰って来てないんだよ。買い物して来るって言って」
緑川が説明すると、幼馴染の円堂と風丸がえええ!!と驚いた。
「こういう事は、初めてなんだ・・・。どうしたんだろ?」
「晴矢か風介がまた望愛に変なことしたんじゃない?」
「それはないよ、緑川。望愛が居なくなったのって、晴矢と風介が居なかったときじゃん」
~色々飛ばし~
不動の姿を見つけた鬼道は目を丸くした。
佐久間は不動も集められたと分かり、響を見た。
響はようやく集まったなと深く頷いた。
「お前達は、日本代表候補の強化選手だ!」
続く
「日本代表・・・?一体、何・・・」
「円堂君、世界大会の日本代表だよ」
「「「「望愛!!!!」」」」
そこには、パソコン片手に少し頬を赤らめている望愛が響の後ろから出て来た。
それには、円堂と風丸と緑川とヒロトは驚いてすぐに望愛の元に駆け寄った。
「何処行ってたのさ!望愛!!」
「あ、っと・・・、響さんに呼ばれてこの日が来るまで響さんの家に泊まらせて貰ってたの」
「何で姉さんにも言わなかったの!?」
「あ、姉さんにはメールで伝えたんだけど、間違えて消しちゃったみたい」
望愛がそう説明すると、緑川は心配した~と望愛に抱き着いた。
「心配し過ぎだよ、リュウジ君は。そこは小さい頃から変わってないね」
「と言うけど、一番心配してたのヒロトだからね」
緑川はからかうようにヒロトを見た。
ヒロトはそれはいいからと慌てた様子で言い、望愛にどういう事か説明してくれと頼んだ。
「そうだね、皆をここに集めたのは、今年からフットボールフロンティアインターナショナル、通称FFIが開催される事になったんです。ここに居る22人はつまり、日本代表候補なんです」
「・・・世界・・・」
望愛がそう説明すると、円堂は唸りそして皆の方に向き、叫んだ。
「すっげーぞ!皆!!次は世界だ!!」
「「おう!!」」
「世界か・・・」
「ついに世界か・・・・」
「腕が鳴るぜ!!」
「皆さん、喜んでいただけて何よりです。ですけど、残念な事に今居る皆様は、“候補”です。この22人から16人に絞り出します。秋ちゃん、選考試合のチーム発表よろしくね」
「えぇ、それではチームを発表します」
秋がそう言うと、Aチーム、Bチームと別れた。
円堂はAチーム、鬼道はBチームだがBチームに問題が発生した。
「よろしく、鬼道クン?」
「はあ~、不動君やめてよ。全く」
佐久間が文句を言おうとした時、望愛が不動の足を少し蹴って不動を睨んだ。
「チッ!」
「全く、呆れた。」
「てめーに言われたくねぇな。」
「忘れてると思いますけど、私が紹介したんだからね?」
不動と望愛の火花の睨み合いに、さすがにまずいと思ったのか、緑川が望愛を何処かにやった。
不動はまた舌打ちをして、何処かに行ってしまった。
「はあ~」
「望愛、不動とはどういう関係だ?」
「あ~・・・、不動君とはちょっとした知り合いですよ。昔はああじゃなかったんですけど・・・」
望愛はそう言って、また大きな溜息を吐いた。
それに苦笑する緑川は、まあまあと落ち着かせた。
そして、キャプテンは円堂と鬼道になった。
「試合は二日後、個人の能力を一人一人見たい為、連携技は禁止とします」
「全ての持てる力を出して全力でぶつかれ!」
「「「「はい!!!!」」」」
続く
夕方、円堂と秋は夏未に呼ばれ、鉄塔広場に居た。
夏未は、留学で今日この日本を出発する事を話した。
「選考試合、見ない内に行っちまうのかよ・・・」
「残念だけど、前から決めていた事なの」
「でも、FFIの応援には来てくれるんでしょう?」
「えぇ、応援には来るわ。・・・木野さん」
夏未は秋の方に向いた。
「これ、望愛さんに渡してくれないかしら?」
「これ・・・何?」
「望愛さんの両親からの遺言らしいの。お父様が持っていたわ」
「望愛のお母さんとお父さんの!!」
円堂は、秋が持っている封筒を見て、夏未を見た。
夏未は、正確には手紙だと言って、秋の方をまた見た。
「私が居ない分、貴方と音無さんと望愛さんに頑張って貰わなくちゃ、日本代表をお願いね。」
「・・・・えぇ」
「よーし!分かった!!留学、頑張って来いよ!!」
円堂はそう言って、夏未を応援した。
夏未と秋は円堂の様子にクスッと小さな笑みを浮かべた。
~その頃、雷門中では~
「すまない、君の両親の手紙を私が持っていて・・・」
「いいんですよ、もし、響さんや理事長様の言葉が正しければ私の両親の死の真相が分かります」
理事長は望愛に頭を下げるが、望愛は気にする様子もなく夕日が沈む窓に目を向けた。
「不動君との関係は円堂君達には?」
「まだ、話しておりません。彼は、まだ信じてない。そして、円堂君達は彼を一切信じていません」
「君と不動君は、何処か似ている。どうして彼を日本代表候補に?」
「彼が変われるのは、円堂君達と思ったのです。ですが、このまま行けば日本代表は世界には行けません」
「そうか・・・君は松一郎に似ている。正義感溢れ、人の心を見ている」
理事長はそう言うと、望愛はありがとうございますと言って、また窓に目を向けた。
(お父様、お母様・・・)
~雷々軒~
雷々軒では、円堂と鬼道が不動を何故選んだのかと響に言っていた。
すると、理事長の話が終わったのか望愛が店のドアを開けた。
「あれ?鬼道君、円堂君・・・」
「望愛、教えてくれないか?何で、不動を入れたんだ?」
鬼道に尋ねられ、望愛は少し顔を曇らせて、響にラーメンを一つ頼み話した。
「不動君を入れたのは、まあ、簡単な話なんですよ。不動君は実力共々良いんですよ、けど、その実力を終わらせたくなくて、入れたと考えてください」
「だが!」
「鬼道君・・・こう言う事はあまり私は言いませんけど、不動君は確かに真・帝国学園ではやり過ぎる行動に出ましたが、それをチームに入れないと言うのはどうかと思います。」
「・・・・」
「そして、不動君が日本代表に相応しくないと決めるのは、響さんです。」
望愛は赤色の瞳は鬼道を見据えた。
響はラーメン出来たぞと言い、望愛の目の前にラーメンを差し出した。
望愛は、ラーメンを啜りながら響たちのやり取りを横目で見た。
続く
「望愛の言う通り、相応しいか相応しくないかは、俺達が決める。その為の選考試合だ」
響の言葉に、鬼道は返す言葉もなかった。
「いいか?試合の内容によっちゃお前達は落とされるぞ」
「分かってます!分かってますけど・・・」
「自分の心と向き合えばいいんじゃないかな?君達がどう変わっていくかは、君達の心がカギだよ。円堂君」
望愛はそう言って、ラーメンの器を厨房に持って行き、器を洗っていた。
円堂は、心・・・と呟き、響を見た。
響もまた、胸に手を当て、二カッと笑っていた。
「それは、監督から俺達の挑戦ですか・・・?」
「“挑戦”か・・・。そういう事だな。」
響の言葉に望愛は、挑戦ってと少し苦笑いしていた。
すると、円堂は思い出したのか鞄から夏未に貰った封筒を望愛に渡した。
「これは・・・?」
「夏未の話じゃ、望愛のお父さんとお母さんからの手紙だって!」
「夏未ちゃんが・・・・」
「望愛、選考試合応援してくれよな!!」
「・・・・うん」
望愛は少し笑みを浮かべ、頷いた。
円堂と鬼道は雷々軒を後にし、残ったのは響と望愛だけだった。
「響さん、本当なんでしょうか?」
「何がだ?」
「俺の両親は只の事故じゃなくて、やっぱり誰かに殺されたんでしょうか?理事長や響さんを疑うつもりは一切ないんですけど」
「封筒の中身を見て見ろ、その中にお前の両親の死の真相に少し辿り着ける事が出来るヒントが書かれている」
望愛は言う通り、封筒を見て、中に入って居る手紙を手に取り、目を通して読んだ。
読み終わった望愛は、響に向き直った。
「俺、イナズマジャパンのオペレーター引き受けます。」
「そうか、真実にそれ程までに辿り着きたいのか」
「はい、俺の両親を事故に見せかけて殺した人を少しでも近づきたいんです」
「・・・分かった、あいつにはそう伝えておこう」
「ありがとうございます、それじゃあ、ヒロト君達が怒ってる可能性あるんで帰りますね」
「あぁ、気を付けてな」
望愛はそう言って、雷々軒を後にした。
~選考試合当日~
「凄い量だね・・・」
望愛は辺りを見渡しながら、口を半開きにした。
風丸は代表を決める試合だからなと笑みを見せて言った。
「皆!悔いのないゲームにしようぜ!」
「「「「おう!!!!」」」」
「俺達はチームでありライバルでもある!自分の力を出し切って行け!!」
「「「「「おう!!!!!」」」」」
そして、試合は開始する。
続く
~選考試合中~
望愛は、誰も居ない所に着くと、昨日の封筒をもう一度出した。
「ガルシルド・・・」
そう呟き、まだ中に入って居る書類を見て、書類を封筒に戻した。
すると、お前が藤咲かと後ろから声が聞こえ、振り向くと男が一人立っていた。
「そうですが・・・あなたが久遠道也ですね」
「私の名前を知っているのか、なら、話が早い。響さんからお前の事は聞いている」
「ありがとうございます」
~選考試合おわりまでカット~
「俺、皆の力を出せたかな?」
円堂は息を切らしながら、自分のチームを見た。
鬼道も息を切らしながら自分のチームを見た。
「俺もチームに活かすゲームが出来ただろうか・・・」
二人は不安そうな顔をしながらチーム一人一人を見た。
「さて、これから運命の選択をしなきゃいかん。望愛、出来ているな?」
「はい、しっかりと日本代表を決めましたから」
そう言って、出て来たのはボードを持った望愛と響だった。
望愛は22人を整列させると、響を見て頷いた。
響の後ろには男が一人と少女が一人立っていた。
「選考通過者発表の前に、お前達に新しい監督とオペレーターを紹介しょう」
そう言うと、久遠と望愛は一歩前に出た。
「私が、日本代表の監督を務める久遠道也だ。よろしく頼む」
「知ってる人もいるかもしれませんけど、俺が日本代表のオペレーターをする事になった、藤咲望愛です。副監督も務めるので、よろしくお願いします」
紹介を終えると、円堂達は狼狽えて響を見た。
響は望愛と久遠の力を知っているだろうと円堂達に言うと、円堂は響を見て頷いた。
響もまた頷き、発表に入ると言った。
「では・・・代表を発表する。発表は藤咲頼むぞ」
「はい、ではこれより代表を発表します。まず最初・・・鬼道有人!」
「はい!」
「次、豪炎寺修也!」
「はい!」
「基山ヒロト!吹雪士郎!」
「「はい!!」」
「風丸一郎太、小暮夕弥、綱海条介!」
「「「はい!!/おう!」」」
「土方雷電、立向居勇気、緑川リュウジ!」
「「「おっす!/はい!!」」」
緑川は選ばれたという安心感で胸を撫で下ろした。
「不動明王!」
「フっ・・・」
「宇都宮虎丸、飛鷹征矢!」
「はい!/・・!はい!」
「壁山塀五郎!」
「は・・・はいっす!」
壁山に栗松は希望の星でやんすと壁山に言うと、望愛はフワッと笑った。
「栗松鉄平!」
「え!?俺でやんすか!?」
「最後に・・・・円堂守!」
「はい!」
「これにて、代表メンバー16人+1人の発表を終えます。」
続く
発表を終えると、喜び合う者が居れば、悔しさで顔を歪ます者も居た。
染岡は暴れて来いよ!と円堂に言うと、円堂は選ばれなかった者への気持ちもあるのだと理解した。
その思いに円堂は頷いた。
そして、響は皆に向かってこう言った。
「今日からお前達は、日本代表イナズマジャパンだ!選ばれた者は、選ばれなかった者の思いを背負うのだ!」
「はい!」
「「「「はい!」」」」
響が去ると、すれ違いに久遠が前に出て来た。
「いいか?世界への道は険しいぞ!覚悟はいいな?」
「「「「はい!!!!」」」」
皆は顔を合わせ、何か喋っていた。
望愛は顔を浮かなそうにして、皆を見ていた。
そんな顔に気づいたのは久遠一人だけだった。
「どうかしたか?藤咲」
「!いえ、何も・・・・。久遠さん・・・俺ちょっと席を外します」
「分かった・・・」
望愛はそう言って、円堂達を横切った。
「望愛?どうしたんだ?」
「・・・ちょっとね、すぐ戻るよ」
「??おう」
望愛は、すぐに雷門中を後にした。
それには、皆首を傾げ、目をパチパチとした。
~色々と飛ばす(不動が虎丸をからかったところ)~
「不動君!そんな言い方はないでしょ!」
「けっ!お説教かよ、望愛」
「お説教してないでしょ?全く・・・。ごめんね虎丸君」
望愛は不動に蹴りを一発入れると、虎丸に謝った。
虎丸は気にしてないと頭を下げている望愛に慌てて言った。
「不動とどういう関係だ、望愛?」
「え?どういう関係・・・。ただの友達ですよ」
「誰が「何か言った?」別に」
望愛は文句を言いそうだった不動を一睨みして黙らせた。
「大体、ママって言い方は誰でもすると思いますけど・・・」
「あぁん?」
「昔、不動君もしてた癖に」
「うっせな~、で、練習は何するんだよ?」
不動は望愛の言葉に少し顔を赤らめ、文句を言い、練習の事を聞いた。
不動は望愛から離れると、鬼道は望愛に近づいた。
「不動はお前に弱いようだな」
「まあ、ちょっとした関係でしてね。不動君どうも私が苦手なんですよね~」
茶化してる様に言うが、目は笑っていなかった。
「望愛、目が笑って無いよ」
「そう?あ、監督さんが来たようですね。」
望愛はそう言って、監督の所に行った。
だが、望愛を見ている人影が一つ。
「ガルシルド様、居ました。藤咲松一郎の娘です」
『そうか・・・そのまま調査をよろしく頼む』
「りょ「何してるんですか?」
了解と言おうとした男に、望愛は睨みながら問うた。
男は何もないと言って、逃げるように去って行った。
「ガルシルド・・・か・・・」
望愛はそう呟いて、チームの皆の所に戻って行った。
続く
20を超えたので、特別企画です。はい。
「いやいや何でさ」
望愛ちゃんではないか。
まあ、いいじゃないか。
風丸君達以外にも絡ませたいから。
「それ、貴方の考えてる事でしょ?」
男の子の告白に弱い望愛ちゃんに言われた・・・。
悲しす・・・。
「まあ、見てる人のお礼としてはいいんじゃない?」
わーい!
「あ、やっぱり言わなきゃ良かった。」
と言う事で、少しの間FFI編はお休みだぜ!
「ごめんなさいね、こんなダメ作者で」
ダ・・・。
まあ、それでは最初に書く方は大体決まってるので、お楽しみに~。
望愛の追加設定とこれから出るキャラ設定
藤咲望愛
不動とは元カレ。
別れた理由は互いの力の為。
~これから出る新キャラ~
藤咲来夢(ふじさき らいむ)中学2年生
藤咲家の養子。
望愛を連れ戻す為、ガルシルドに協力する。
サッカーは望愛より上手い。
必殺技
・ダークレイン(シュート技)
・サザンストーム(ドリブル技)
・ザ・ロック(ブロック技)
元でも一応は彼氏だから(望愛×不動)特別企画第1弾
「は~いって、不動君じゃん」
「悪かったな、俺で」
ここは雷門中、今は合宿所と言う事で使っている。
オペレーターや副監督を務めている望愛は、ノックした人物を見て目を丸くした。
それは不動だったからだ。
「何?」
「冷たいな~、久しぶりに会ったってんのに」
「はあ~、別れを切り出したのそっちの癖に」
望愛は不動を部屋に招き入れると、机に置いてあった書類をファイルに直した。
「とはいえ、お前も別れ話しようとしてたじゃねぇか」
「しょうがないでしょ?お父様の為だったんだから。不動君は力が欲しいって言う理由で別れ話した癖に」
「お前と変わりねぇだろ?で、前に会ったお前んとこの養子男どうなったんだよ?」
「使用人の話じゃ最近行方不明だって」
「使用人と連絡取ってんのかよ」
「えぇ、使用人の半分は俺の方が当主で良かったんじゃないかって言う子が多いのよね~。」
望愛はそう言いながら不動の隣に腰を掛けた。
「ふ~ん、養子男が家出ってか。おもしれぇな」
「面白くないわよ、そのせいでお婆様とお爺様がお日さま園に押しかけてるんだから!」
「あぁ、あの婆と爺か。まだ生きてんのかよ!俺が会った時は79だろ?」
「そうよ、俺達が付き合ったのが小学6年だから・・・もう81歳」
望愛はそう言うと、大きな溜息を出した。
「それにしても、久しぶりに会った時はまさかエイリア石持ってるとか思わなかった」
「力が欲しかったんだよ「結局影山には切り捨てられたけどね」お前・・・グサグサ言うな」
「でもね~、俺がイナズマジャパン入れた理由本当は知ってるでしょ?何で、円堂君達と仲良く出来ないかな?」
「はっ、仲良しごっこは嫌いなんだよ」
不動はそう言って、望愛の肩を借りた。
「重い・・・」
「そりゃな・・・。」
「眠いの?」
「ねみぃよ・・・。寝ようとしたらあいつらに起こされたんだから」
「はあ~・・・分かったよ。ちょっとの間なら寝ていいから」
「やけに優しいな~、泣き虫望愛よ~」
「誰が泣き虫よ!一応元でも彼氏だったからね」
望愛はそう言って、不動を見た。
不動は不敵な笑みを浮かべながらも望愛の肩でゆっくり目を閉じた。
終わり
作者と望愛の雑談
作「はい、作者の太陽と月です」
望「ネーミングセンスゼロね。」
作「よく言われます」
望「まあ、いいけど・・・。本当に駄文ね。会話文しかない」
作「泣いちゃうぞ?」
望「泣くな、うっとしい」
作「え?私の接し方酷くない!?円堂達には優しいのに!!」
望「それはそれ、あれはあれよ。」
作「ああ言えばこう言うだね。で、不動君ともう一回付き合おうとは思わないの?」
望「さぁ?不動君はどう思ってるか分からないし、だからってヒロト君達の思いを無駄にしたくない」
作「・・・・不倫ッスか?ゴホ!」←殴られた
望「そんな訳ないでしょ!?今度変な事言ったら、シャドウブレスト打つわよ!!」
作「はい、すいません。申し訳ありません!」
望「そう言えば、FFI終われば、GOよね。其処は書くの?」
作「10年後の望愛ちゃんか・・・、可愛いな~。」
望「・・・・・シャ「すいません」
作「まあ、あれだわ。書くけど、映画の奴を書こうと思ってます」
望「えっと~、どっちの?」
作「シュウと白竜が出て来る「絆のグリフォンね」はい、そうです」
望「え?何でそれに私を居るの?」
作「え~、うん、まあ、幼馴染の風丸と円堂が心配で一緒に来たんだよ、望愛ちゃんが」
望「あんたね、一応言うけど、円堂君は本当に心配するのよ?小さい頃なんか「思い出話はまた今度で」
作「さて、雑談もここまでにしよう。と言うか、望愛ちゃんの家って、舞踊とかなんか?使用人がどうとか言ってたけど」
望「俺の家は代々能面とか作る家業でさ、それを仕切るのは男だったって訳」
作「うわ、来夢可哀想だね。と言うか、来夢とは連絡取ってるの?」
望「来夢の顔すら見た事ないのに、連絡なんて取れる訳ないでしょ?」
作「まあ、もう少しで出て来るかもね。それじゃあ、最後の挨拶を望愛ちゃん!よろしく!!」
望「全く、これからもこの小説を応援してくださいね」
作・望「それじゃあ、小説で!」
FFI編再開~とある場所~
「全く、使えん奴め。ヘンクタッカー君、彼奴を呼べ」
「はっ、ガルシルド様。おい、来夢」
「んだよ、おっさん。望愛姉の居場所分かったのかよ」
扉の奥から現れたのは、茶髪で片目を隠れた少年だった。
ヘンクタッカーと言われた男は口を慎めと来夢に怒った。
来夢は気にする様子もなくガルシルドの方を向いていた。
「お前の言う望愛は見つかったぞ」
「へえ~、で、今から回収か?」
「よろしく頼むぞ」
「任せなよ、望愛姉を取り戻せるなら何だってやるさ」
来夢はそう言って部屋を出て行った。
それを不敵な笑みで見送る二人。
~イナズマジャパン合宿所~
「皆~、お疲れ様~!」
秋が食堂で皆に料理を配った。
「お疲れ様、今日も大変だったね」
「とか言って、練習内容を考えてるのは望愛だろ・・・」
風丸にツッコまれ、望愛は舌を少し出して、しょうがないじゃんと笑顔で言った。
「久遠監督に頼まれたんですもの」
「あの監督もきついッス~」
「そんなんでへこたれんなよ」
土方がそう言うと、円堂もそうだなと頷いた。
すると、音無が慌てた様子で食堂に入って来た。
皆は音無の様子に首を傾げていると、音無は何処かを指差していた。
「ど・・・どうしたの?音無さん」
「何か、男の子が一人望愛先輩を出せって」
「俺・・・?」
望愛はそう言って、窓辺に近づき校門を見て、舌打ちを一つした。
「望愛の知り合いか?」
「・・・・ちょっと下に行って来ます」
望愛はそう言って、窓を開け放ち飛び降りた。
全員はギョッとし、窓の下を見た。
望愛は無事に地面から着地したのか、校門に歩いていた。
全員も急いで下に降りて行った。
「貴方・・・誰?」
全員が望愛の近くに行くと、望愛の低い声で男の子に語り掛けていた。
「やだな~、望愛姉。まあ、僕の顔見た事ないから知らないか・・・。」
「だから、誰?」
「僕の名前は藤咲来夢。望愛姉が言っている養子だよ」
「「「「養子!!!!」」」」
続く
「え・・・円堂君!それに皆さんも!」
望愛は声のした方を見て、目を大きく見開き皆の元に行った。
「の・・・望愛!養子ってどういう事だ?!「望愛姉の義理の弟って事」
円堂の問いに来夢は不機嫌な様子でそう言った。
望愛は、そういう事と小さく呟き大きな溜息を吐いた。
「貴方がお婆様達が言っていた養子ね。今、貴方は当主の筈よ?」
「だって、望愛姉が居ない家は面白くないからさ~」
「お婆様達が俺を家に戻すことは望んでいない。俺の今の居場所はお日さま園だもん」
「・・・・そっか、でも、望愛姉知りたいでしょ?望愛姉のお父さんとお母さんが死んだ理由」
その話を聞いた円堂達は一斉に望愛を見た。
望愛は持っていたバインダーをギュッと強く握り締め、来夢を見ていた。
「だったら、何?」
「僕と一緒に来てくれたら、話してあげるよ。と言うか、望愛姉のお父さんとお母さんを殺した人物の元まで案内してあげるよ」
「・・・・・・」
(望愛・・・!)
「お断りするわ、今の私は自分の力で真実に辿り着きたい。それに、オペレーターが勝手に居なくなったらチームの皆にもご迷惑になる」
望愛はそう言い切ると、来夢はチラッと円堂達を見て、そうと呟いた。
「また会いに来るよ。その時は、僕のチームも連れて来てあげる」
来夢はそう言うと、雷門中を出て行った。
「何だったんでしょうかね?あの子」
「気にしない事だ」
春奈が不思議そうに言うと、後ろから声が聞こえた。
振り返ると、久遠が望愛を見ながらこちらに近寄って来た。
「それより、藤咲。あの事は伝えたのか?」
「!忘れてました・・・・」
「何をだ?」
「皆さんはもう知ってますよね?FFIの地区予選の相手・・・。」
「あぁ、いきなり優勝候補だったから憶えてるよ。ビックウェイブスだろ?」
「はい、それで監督の命令により皆様をこれから2日決して合宿所から出ないで下さいと」
望愛がそう言うと、全員は久遠を見た。
久遠は望愛より前に出ると、こう言い放った。
「これは命令だ。オーストラリア戦までの2日間、一切合宿所から出る事を許さない。」
続く
合宿所から出るなと望愛や久遠に言われ、皆は渋々ながら自分達の部屋に戻った。
だが、それで納得する筈もなく、監視している望愛に皆集まった。
「あの~・・・俺に言われも意味ないですよ。」
「何でだ?」
土方が聞くと、望愛は自分の本業はオペレーターであり副監督は副業だと話した。
それでも納得のいかない円堂は、久遠監督に言ってくれと頼んだ。
その頼みでも望愛は浮かない顔をしながら首を横に振った。
「何でダメなんだ?」
「俺は、あの人に頼まれて皆さんの監視をしています。俺だって、皆さんには練習をして貰いたいのですが・・・、今度の相手は今まで戦ってきた相手とは全然違います。」
「その為の練習だ「そのための命令じゃないんですか?」・・・・・」
鬼道は言うが、望愛は赤色の瞳で皆を映しながら言った。
未だに折れない円堂に緑川は急いで耳打ちした。
「円堂、この時の望愛って怒らせると怖いからやめといた方が良いよ?」
「でも~・・・「一体何してるんだ?」監督・・・」
望愛は礼を一つすると、ファイルから紙を取り出し、久遠に渡した。
久遠は紙を受け取ると同時に円堂達をギロッと睨んだ。
全員は渋々部屋に戻った。
「やっぱり・・・呪われ監督なんだよ」
部屋に帰る途中ヒロトはそう呟いた。
ヒロトの呟き、全員は振り向いた。
「望愛はあんまりそう言うのは信じないし、大抵の事は秘密にしてるんだ。桜咲中のサッカー部が、フットボールフロンティアを棄権する事になったのは、久遠監督の事故を起こしたからだよね?なら、今度はこの日本代表で・・・」
「俺も初めっから胡散臭ぇと思ったぜ」
ヒロトの言葉に綱海も深く頷いた。
すると、それは違うと後ろから声が聞こえた。
「望愛!話聞いてたのか?」
「はい、監督に言われてここに来たらちょうど・・・」
「望愛、どういう事だ?それは違うとは・・・」
「・・・オーストラリア戦で分かりますよ。それに棄権したのは別の理由です」
望愛はそう言うと、持って来ていた椅子に座り、ファイルを開き始めた。
全員は望愛の言葉が分からず、首を傾げ、自分の部屋に戻った。
望愛は、戻って行った皆を見て、ボソッと呟いた。
「そう、この命令を聞かなきゃ試合に勝てない・・・。」
~ここから望愛と久遠の会話~
「で、満足の行く予想は出来たのか?」
「いえ、全然。ですけど、今日俺の養子が来た事で少しだけ・・・」
「何だ?」
「俺の両親を殺したのは、養子の後ろに居る。それだけです」
「そうか・・・、監視に戻れ」
「はい・・・おかしい事を言っていいですか?」
「何だ・・・」
「俺と貴方の娘さん、少し似ています。気に障ったらすいませんが、冬花さんって貴方の娘さんじゃありませんよね?」
「・・・・・さあな」
続く
~お昼~
食堂では、浮かない顔をしながら昼食を口に運ぶ選手達が居た。
それには秋と春奈と冬花も心配そうな顔をしながら、一人一人見ていた。
「御馳走さん」
その中で一人だけそんな顔をしてないのが、経歴不明な飛鷹だけだった。
円堂は、急いで立ち上がると、飛鷹を呼び止め、話さないかと言った。
飛鷹は大した人間じゃないと言って、食堂を出て行った。
「どうかしました?」
「・・・・飛鷹の事なんだけど、望愛、飛鷹もお前が候補として入れたのか?」
「いいえ、入れたのは響さんですよ。それより、練習もた「練習も必要ですが!知識も必要です!!」
目金が息を荒くしながら望愛の言葉を遮った。
望愛と円堂は急に出て来た事に驚きポカーンと目金を見た。
目金の持ってきたDVDを皆で見るが、そこには海で遊ぶビックウェイブスが映っていた。
「目金・・・これ・・・」
「プレイは無理でも、海で遊ぶシーンを手に入れて来ました!!」
その言葉を聞き、見に行っていた円堂達はズコッとこけた。
不動と冬花は、役立たずと言うと、目金はそこで石の様に固まった。
だが、望愛は・・・
「凄い・・・」
「「「「え!????」」」」
褒めていた。
その言葉を聞いた皆は、頭に!?マークを浮かべ、望愛を見た。
「さすが、噂だけはあるなって思いまして。先程、すべてのファイルをまとめていたら、ビックウェイブスの情報が。ですから、本当かどうか解らなくて目金君か春奈ちゃんに聞こうとしたら、これを見て本当だなと」
「望愛さん・・・・!いつでも聞いてください!!」
褒められた事で立ち直った目金に望愛は優しい笑みでありがとうございますと笑った。
「それじゃあ、改めて。ビックウェイブスの情報はすべて私のファイルの中にあります、まあ簡単に言えば海の男って感じです。先程、DVDでもあった様に海で心と体を鍛えています、そして、守備が固く未知な戦術を使うとか・・・」
「どんな戦術かは分からないの?望愛のファイルの中でも」
「えぇ、ただその戦術は攻撃を完全に封じます。」
その話を聞いた円堂は、ジッとしていられないと張り切って出ようとした時だ。
望愛はあちゃーと言う様子で両手で顔を覆い隠した。
「・・・・監督・・・・」
「・・・・藤咲、監視に戻れ」
「はい・・・・あ!皆さん、ビックウェイブスの資料が必要だったらいつでも来て下さい」
望愛はそう言うと、監視に戻って行った。
~まあ、少し原作を飛ばして~
「で、望愛がお願いしたら・・・」
「練習が出来たって事?」
グラウンドに全員集められ、ユニフォームを着ている望愛に聞くと、望愛はコクッと頷いた。
「そのユニフォームで行くの?エイリア学園の」
「これしかなかったから・・・それにエイリア学園の時の実力じゃなくて世界大会並みの実力で行きますよ」
ヒロトの問いに望愛はコクリと頷き、足で止めていたサッカーを円堂達の頬すれすれに蹴って、ゴールに入った。
「いいぜ!「ですけど、俺に勝てたら監督は貴方達の練習を認めると」本当か!?」
「えぇ、俺がウソツキと?」
「絶対勝つぞ!!」
「「「「おう!!!!」」」」
続く
番外編望愛の恋(晴矢編)
いきなりやる事になった王様ゲーム。
俺は付いて来れていないよ、だって、自分の部屋で本を読んでいたら・・・
~回想(望愛の部屋)~
「望愛~~~!!」
「ん?」
愛ちゃんと杏ちゃんが部屋に入って来た。
「ん?じゃないわよ!」
俺の頭には?が浮かぶ。
「夏休み恒例の王様ゲームやるよ!」
~回想終了~
そう言えば、小さい頃からそんなのやったっけ?宿題を代わりにやらされたり、猛暑の中アイスを買いに行ったり、読書感想文書かされたり、俺はその夏休み恒例の王様ゲームでこんな体験を地獄のようにやって来た。
5年前からずっとエイリア学園でそんな物やってなかったから、すっごい忘れてた。
「はあ~、今年もはずれくじだよ」
「望愛の場合は、読書感想文全員分書いてたもんね」
「今年は人権作文もあるからな~」
「そん時はそん時だって」
夏彦君・・・あんたがその読書感想文全員分書けって言った事、俺は忘れてませんからね。
そして、始まった・・・。
「「「「「王様誰だ」」」」」
「あ、私だ」
玲名ちゃんか、玲名ちゃんなら鬼畜名命令はしないだろうな~。
「なら、3番は今日の当番を全部やる事」
3番って・・・俺かよ!!
「望愛が3番」
「ちょ!華ちゃん!!」
「と言う事で、昼ごはんよろしく~」
怒ると笑顔が引き攣るって本当なんだな~。
まあ、エイリア学園じゃ昼ごはんは全部俺が作ってたけど・・・。
「じゃあ、次だ」
「「「「「王様誰だ」」」」」
「あ、僕だ」
修児君の場合、何だろう?悪寒が走った。
「じゃあ、10番の子はお日さま園全員分の人権作文を書く」
「・・・・・「望愛・・・10番ね」
布美ちゃん・・・、言わないでください。
そして、皆の同情の眼差しが痛い。
「望愛って、こう言う時の運はすっごい悪いからね」
「うぅ~~~・・・、もう次やろう」
本当に泣きそうだよ、自分の運に。
そして、次の王様は数男君だった。
「じゃあ、4番は全員の部屋を片付ける。で、4番誰?」
全員の目が一斉に俺に来る。
一応言おう、俺が4番だ。
「望愛・・・ドンマイっぽ」
「ルルちゃ~~ん!」
「じゃあ、次で最後かな?」
「おう、これ以上やったら望愛の身が持たないからな」
晴矢君の言う通り、そろそろ精神が・・・。
そして、次の王様は・・・俺!?
「王様誰?」
「はい・・・・」
「「「「「望愛!?????」」」」」
まあ、そんなやって欲しい事ないし・・・。
皆の顔を見れば、顔真っ青、ちょっと面白いかも。
まあ、簡単な奴でやっとくか。
「じゃあ、2番の子はどら焼き買って来て」
「あ、2番俺じゃん。金、あったっけ?」
2番は晴矢君だった。
どら焼きは俺のおやつの中でも大好物中の大好物だ。
どんなもの買って来てくれるかな?
続く
「はあ~、あ~当番終った~~!!次は・・・人権作文か・・・」
俺は掃除機を掃除用具に片づけると、全員に渡された作文用紙と全員が書く人権作文のテーマと睨めっこスタート。
先に・・・王様だった修児君のからやろう・・・。
そんな作文にずっと熱中していると、時間は過ぎて行った。
全員分やっと終わったと思ったら、もう夕日が沈む所だ。
「やっと、終わった~~!」
「お疲れ様、望愛」
「あ、修児君。いや、これ、鬼畜にも程があったけどね」
「ごめんね。あ、そう言えばこれ」
修児君が袋を渡して来て、袋の中を見ると、俺が好きなどら焼きが2個もあった。
俺、どら焼きは1個でいいって言ったのに・・・。
修児君の話だと、陰からこっそり見ていた晴矢君が疲れには甘いもんが良いだろと言う事で、追加で買って来てくれたのだと言う。
「そっか・・・、そう言えば、おやつの時間のおやつ忘れてた」
「いや、皆も遅いって思って広間に行ったら熱心にやってるから」
「あははは、ごめ~ん。あ!夕食」
「頑張ってね」
何にしよう。
あ!そうだ!!
~夕食~
「あ、望愛終わったのって!今日はハンバーグなんだ!」
杏ちゃんが先に来ると、テーブルに置いてある食事を見て目を輝かせた。
そう言えば、お日さま園じゃあ俺が料理する時は大抵は栄養を考えた物だ。
ハンバーグを作った事に珍しさもあるのかも。
「あ、はい。杏ちゃんの作文」
「わ~!すっごい書いてる・・・。」
「パソコンとか俺のファイル全部見て、皆の書いたからね」
「さっすが!作文じゃ望愛には勝てないもんね」
「そんな事ないよ、あ、皆来た」
俺が言うと、泥だらけの皆が帰って来た。
そう言えば、サッカーして来るって言って、外に行ってたんだっけ?
俺にはもうそんな元気の欠片がないけどね、人権作文のおかげで・・・。
「それじゃあ、食べよう「待て、晴矢が居ないぞ」あ、本当だ」
風介君の言葉にヒロト君も晴矢君がいつも座ってる席を見て、口を大きく開けた。
いつもなら座ってる筈なのに・・・。
寝てんのかな?そう思い、部屋を覗くと、スースーと寝息の声と暗い部屋に一つだけの明かりがあった。
あぁ、つまりゲームしてたら寝むちゃったのかな?俺はソッと晴矢君の部屋のドアを閉め、皆に寝ていたからと説明した。
「あれ?望愛、晴矢のご飯どうするの?」
「起きたら食べさせるよ、晴矢君ってば起きたら飯は?って聞くから」
「確かに」
ラップを掛けとこう。
皆は食べ終わると、俺は皆の部屋の片づけに出発。
と言っても、あまり散らかっておらずこれはすぐに終わった。
後は、晴矢君の部屋の片づけだけ。
晴矢君の部屋は絶望的に汚いからやった事ないんだけど、今回も汚いだろうな~。
「入るよ、ってまだ寝てる」
部屋の電気つけるか・・・。
電気をつけると、予想外に綺麗。
すると、ん~と声が聞こえ、見ると晴矢君が目を覚ましていた。
「望愛?」
「おはよう、よく眠れた?」
「おかげさまでって!飯は!?」
「あるよ、起こしに行ったら寝てたから」
「起こしてくれよ~。で、何だよ?今日の飯!」
「ハンバーグ」
俺が言うと、晴矢君は目をキラキラと小さな子供がするような目でやったー!と喜んだ。
そう、ハンバーグは晴矢君の大好物だ。
どら焼き2個買ってくれたお礼に、作ってあげたのだ。
どんな顔をして食べてくれるのかな?
続く
「うめぇな、望愛はってこんな料理上手だったっけ?」
「失礼だな、こう見えてもエイリア学園じゃ皆の料理作ってたんだから」
「昔はあれだけ不味かったのにな」
そう、小さかった頃の俺は皆がその場で吐いた位の不味さ。
一応その料理を食った俺もこの場で吐いた位だ、作った張本人の俺が。
「後、その、どら焼き、ありがとう」
「・・・!別に、俺の作文も書いてくれてんだし、いつも世話なってるしな」
そう言えば、晴矢君は憶えてるかな?小学校の頃・・・。
俺がいつも虐められていたら、いつも晴矢君が俺を守ってくれた。
だから、自分が虐められても俺を守ってくれた。
その時から好きだったのかな・・・晴矢君の事。
「お~~い、望愛」
「!ど・・・どうしたの?」
「いや、ずっと俺の事見てたからさ。そういや、お前憶えてるか?小学校の頃、よくお前が虐められて俺が助けて、俺が虐められたらお前が助けた事」
「憶えてるよ、俺が毎回助けたら晴矢君すっごい怒ってた事も」
「だ・・・だってな、女のお前に助けられるのがなんか恥ずかしかったんだよ」
「でも、俺は嬉しかったよ。いつも真っ先に助けてくれたのは晴矢君だったから、凄い嬉しかったよ」
俺が言うと、晴矢君の顔は真っ赤になった。
そして、今の言葉が爆弾発言だと気付いた俺も顔を真っ赤にした。
「あ、えっと・・・一緒にどら焼き食べよっか・・・」
「お・・・おう!」
と言う事で、晴矢君の遅い夕食は終わって、デザートとしてどら焼きを食べている。
でも、話す内容が思いつかない。
あんな爆発発言しちゃったもんな~。
「あのさ、お前このどら焼き好きなのか?」
「あ、うん。ここのどら焼きは味が違うからね。って、これ俺がいっつも行ってる和菓子屋の奴!高かったでしょ?」
「あ、それがさ、望愛ちゃんの友達かな?って和菓子屋の親父が俺に言って来て、サービスでどら焼き2個くれて、安くしてくれた。あ、あと望愛、頬にあんこ」
「え、あ、本当だ「取ってやるよ」
俺が取ろうとした時、晴矢君が舌で舐め取った。
「ふえ!?」
「その、さっきのセリフ・・・、俺の事さ好きでいいんだよな?」
「/////」
俺がコクッと真っ赤な顔で頷くと、晴矢君が優しいキスをした。
そのキスは甘いキスでした。
晴矢編終わり
特別企画第2弾スタートです、はい!
「また?」
また?とは何だ!また?とは!!
「だって、前は不動君と絡ませたから・・・」
お~?不満?ふ←殴られた
「最後に一言は・・・?」
すいません、ありませんですはい。
まあ、話しを変えると、今回はもう夏っすから、海を絡ませようかと。
「・・・・・・」(汚物を見る目をしています)
そんな目やめてよ!!悲しいし傷つく!!
まあ、うん、ちゃんと楽しい物にしてあげるから。
「・・・・・・」(疑いの目+汚物の見る目)
悲しい・・・(´・ω・`)
まあ、望愛ちゃんが嫌って言ってもやるけどね!
「と言う事らしいから、またFFI編お休み?」
そん事、さすが望愛ちゃん。
ついでにある子を出すつもり。
「ある子?誰よそれ?」
はい、出て来てもらいましょ!どうぞ!
「やあ、望愛姉」
「げっ・・・、何でこいつよ」
え?来夢がうるさく言って来たから・・・。
あ、設定上FFIは終わってるよ!
「つまり・・・中学3年生ね、俺達は」
そん事!さすが~!
それと、俺っ子キャラやめてみる?
「は!?お前が考えた設定だろ!?」
メタイっすよ、望愛さん。
と言う事で、まあ雷門の子達も登場する予定ですよ~!お楽しみ~!
「は!?ちょ!!」
夏色染まる海と祭り(特別企画第2弾、望愛目線)
今日は、お日さま園の皆で隣町にある海辺の夏祭りに行く事になった。
皆ウキウキしながら、お姉さまがくれた浴衣を着ている。
あ・・・えっと・・・一応俺も浴衣を着てるからね。
「望愛!どうかな?」
「うん、可愛いよ。愛ちゃん似合ってるよ。」
「えへへ~、望愛も浴衣似合ってるよ。いつもジャージとかで過ごしてるもんね」
「だって、動きやすいんだもん。あ!愛ちゃん、ちょっと待っててね」
「?うん」
確か、自分の机の中にあった筈・・・。
あった!!
俺はその机の中にあった物を愛ちゃんの所まで持ってきた。
「愛ちゃん、ごめんね。」
「いいよ。わあ~!可愛い髪飾り!!」
「これ、愛ちゃんに貸してあげるね」
「いいの?」
「うん、俺は違う髪飾り付けるからさ。それに愛ちゃんだけ髪飾りなかったでしょ?」
「見てたの!?」
「見てたって言うか修児君と話してたら聞いただけだよ。付けてあげるね」
俺はそう言って、愛ちゃんの髪の毛に髪飾りを付けてあげた。
愛ちゃんの赤紫色に似合う薄い赤い色の髪飾り。
やっぱり、俺より愛ちゃんの方が似合うな~。
「出来た、はい鏡」
「すっごい~!ありがとう望愛」
「ううん、お兄ちゃんに見せておいでよ。」
「うん!」
愛ちゃんは満面な笑みを浮かべて修児君の方に行ってしまった。
俺も髪の毛を変えようと思い、自分の部屋に向かった。
どうしようかな・・・、そうだ!
「玲名ちゃ~ん、布美ちゃ~ん」
「どうしたんだ?」
「あら?望愛が髪を降ろすなんて、珍しいわね」
「えへへ、あのさアイロン貸してくれない?」
「あぁ、確か今布美子が持っていたな」
「いいわよ、はい。出発までまだだからね」
あの二人はおしゃれだからな~、すっごい綺麗だった。
さて、俺は俺で準備しよう・・・。
「望愛~!出来た?」
「あ、うん、」
「望愛は可愛い~!そうだ、髪飾り貸してくれたお礼にお兄ちゃんが玉簪くれたの!」
「え?いいの?」
「うん!お兄ちゃんも貸してあげなよって言ってたから」
「じゃあ、お言葉に甘えて貸して貰うね」
俺はそう言って、ポニテールの所に玉簪を付けた。
シャラリと音が鳴り、愛ちゃんを見ると、愛ちゃんはニコッと可愛らしい笑顔をした。
続く
夏色に染まる海と夏祭り2話(望愛目線※大抵は望愛目線です)
お日さま園を出て、皆で駅に向かっていた。
周りを見て見れば、俺達だけじゃなく他の人も浴衣を着ていた。
「望愛」
「どうしたの?修児君」
「いや、髪飾りの事。お礼を言おうと思ってね。愛が嬉しそうだったよ」
「良かった、気にしなくていいよ。俺もありがとうね、玉簪貸してくれて」
「ううん、気にしないで。」
俺と修児君は小声で話しながら歩いていると、誰かにぶつかってしまった。
「いてて・・・すいませんって!お婆様、お爺様!それに来夢!」
「望愛姉、久しぶり~!」
俺達がポカーンとしていると、来夢が俺にくっついてきた。
来夢はガルシルドに利用された後、お婆様とお爺様に謝って今はりっぱな当主をやってるらしい。
何故か甘えん坊上手は日に日にうまくなっている。
「来夢はどっか行くの?」
「うん!夏祭りで僕が作った能面で舞を披露するから、今向かってるんだ~!」
「え!?舞を披露するって、来夢が?」
「そうだぜ!ヒロト!!祭り始まる2週間前からずっと練習だったんだぜ・・・」
来夢はそう言って、お婆様の所に行った。
あ、車なんだとこの時多分全員が思ったところだろう。
思った矢先に車が現れて来夢達は乗って何処かに行ってしまった、本当に来るまで行っちゃったや。
「ま・・・まあ、早く行こうか。お祭り」
「そうだな」
ヒロトの言葉に皆頷き、また歩き出した。
海・・・か・・・。
久しぶりかな、海に行くの・・・。
お日さま園じゃすぐにエイリア学園に行っちゃったし、エイリア学園終った時は追いついてなかった勉強で海に行けなかったし、最後に行ったのは小学1年生の夏休み、お日さま園に入る1週間前だ。
そして、お日さま園に入る前日明日海に行こうと約束したが、その後すぐにその約束は果たされない物となった。
「望愛?」
「!どうしたの?穂香ちゃん」
「え?だって、私が喋ってるのに、望愛、ボーっとしてるから」
「ごめんね。何か海って聞くとお父様とお母様の事思い出しちゃって」
「確か・・・飛行機墜落事故よね。そのニュース・・・私も見てたから分かるわ」
「まあ、お母様とお父様を殺した犯人は分かったから、気にしてないんだけどね。そうだ!お祭りの時、一緒に回ろうよ!」
「いいわね、杏は玲名と華と回るって言ってたし。」
俺と穂香ちゃんはクスクスと笑った。
続く
夏色に染まる海と夏祭り3話
夏祭りの会場に着くと、皆はそれぞれ友達と夜店を回る事になった。
俺は穂香ちゃんと回る事になった。
「穂香ちゃんは何処回る?」
「そうね・・・、金魚すくいはどう?」
「いいね!俺もやろう!」
金魚すくいをやると言う事になり、金魚すくいの夜店に向かった。
着くと、見覚えのある帽子が目に入った。
あれって・・・・
「あの~・・・松野君?」
「ん?あれ!望愛じゃん、望愛も居るんだ!」
松野君がそう言って、金魚が入って居るであろう器を持ちながらこちらを向いた。
チラッとその器を見ると、金魚が気持ち悪いほど入って居た。
俺がドン引きしていると穂香ちゃんが耳打ちした。
「望愛、この人は?」
「あぁ、雷門サッカー部の松野空介君。」
「皆からマックスって呼ばれてるんだ。そうだ!望愛、金魚あげようか?」
そんな気持ち悪い程居る金魚は全力でお断りです。
「松野君、いくら器用でもその量は・・・」
「だよね~。そう言えば、望愛の隣にいる女の子誰?」
「望愛と同じお日さま園に居る仁藤穂香。望愛がお世話になってるわね」
「こっちも助けて貰ってるからね。「おーい!マックス~!」半田が帰って来た」
声のした方を向くと、焼きそばを二つ抱えた半田君が走って来た。
松野君は遅い~とへらへら笑いながら、半田君から焼きそばを貰った。
まず、金魚すくいか焼きそばかどっちかにしようとは思わないのかな?呆れながらそう思っていると、それは金魚すくいのおじちゃんも思ったのか、松野君にやるのか?と聞いた。
「ん~、もういいよ。お腹すいたし、そうだ!おじちゃん、その金魚3つに分けてくれない?」
3つって、金魚を料理するみたいな言い方だよ。
おじちゃんは意味が分かったのか袋を3つ持って、金魚を同等に袋に入れて松野君に渡した。
「はい、望愛、穂香」
「「ありがとう・・・」」
「じゃあ、僕は焼きそばでも食べて来よう。行くよ、半田」
「ちょ!待てよ!!」
半田君ご愁傷様・・・。
続く
そして、お祭りも終わりそうな頃。
皆と集合して、花火を何処で見ようかという話になった。
俺は金魚は死んでないと言う心配と草履に慣れてないのか足が痛い。
「?望愛、どうしたの」
「え?!何でもないよ」
杏ちゃんに言われ、皆の目が一斉に俺に来る。
俺は余計な心配は皆に掛けさせたくない為、足を痛いのを我慢し、何もないと答えた。
足の今の状況を見たいが、何処か座れる場所があったらそこで見ようと考えた。
「それにしても、やっぱり座る場所がないな」
「花火が見れるいい場所も取られてるもんね」
確かに花火が見れるいい場所はすべて知らない人たちが使っていた。
どうしよう・・・、花火見れないじゃん。
そう思った時、聞き覚えのある声が耳に入った。
前を見ると、雷門サッカー部の皆が居た。
「お前ら何してんだ?」
「花火の場所取りに出遅れちまって、場所がねぇんだよ」
「なら、俺達もだよな。俺達も場所を探してるけど、いい場所が無くて」
風丸君があははと苦笑いをしながら沢山の人が居る河原を見た。
皆が溜息を吐いた時、望愛姉!と元気いっぱいの声が聞こえた。
後ろを振り返ると、装束姿で能面を頭に着けている来夢がこちらにやって来た。
「望愛姉たち何やってるの?」
「え?あぁ、花火を見れる場所が無くて」
「なら、俺達の所に来いよ!めっちゃいい場所だぜ!」
そう言った時、後ろから今来夢に仕えている使用人が嫌だのへったくれだの言っている。
来夢はギロッと一睨みすると、その使用人たちは黙り俺達の方に向いた。
「本当にいいの?お婆様達に迷惑掛けちゃうし・・・」
「いいのいいの!婆が何か言ったら俺が言い返すから!なあ、いいだろ?ヒロト、円堂!」
ヒロト君は少し困り顔でお願いするよと言い、円堂君も同じく困り顔で頷いた。
来夢はパアァと顔を明るくし、こっち!と案内してくれた。
着くと、そこにはドンッと構えているブルーシートがあった。
存在感あり過ぎる。
「来夢坊ちゃま!一体どちらへって!お「婆、これは命令だ!望愛姉たちも入れろ!!」ッ!かしこまりました」
さすが、来夢。
お婆様とお爺様の蔑む目を知らないふりしながら来夢に案内場所に皆座った。
俺は後ろで見ようっと。
そして、始まるまで皆と喋っているとバーン!と上空から聞こえて来た。
「始まった!」
「綺麗~!!」
皆は花火に気を取られてる隙に、俺は草履で痛めた足を見た。
少し親指に皮が剥けている。
痛い・・・。
俺がそう思っていると、絆創膏が目の前に差し出されていた。
前を見ると、風丸君がニコッと笑って絆創膏を差し出していた。
「ありがとう」
「いや、持って来て良かったよ。さっきマックスから望愛が来てたって聞いたからな、前に望愛が草履で足痛めた時も俺や円堂に黙ってたしな」
「やっぱりばれてた?」
「あぁ、望愛はそう言う時はすぐに大丈夫!って言うからな。それより、今日はツインテールじゃなくてポニテールか・・・。これって・・・」
「これ?玉簪だよ。今ちょっと借りてるんだ~」
俺と風丸君は花火を見ながら色んな事を話していた。
「花火久しぶりだな~」
「そうか?俺は何度も見てるからな」
「俺はエイリア学園にすぐに入ったから花火見れる機会も無くて・・・海も久しぶりに来た」
「そうだったな、俺も円堂もよく望愛のお母さんとお父さんに連れて行ってもらったな、その分の跡円堂のテンションはすごかったけどな」
俺と風丸君はクスクス笑った。
久しぶりに見た花火は夜空に咲く満開な花で夏色に染まっていた。
続く
夏色に染まる夏祭りと海5話
そして、お日さま園に帰って来た。
何とか金魚は死ななかった、奇跡だなと思いながらお姉さまにお願いして水槽を用意して貰った。
穂香ちゃんも手伝ってくれて、金魚も早く水槽に入れる事が出来た。
「あ、玉簪返して来よう」
俺は急いで玉簪を外し、修児君の所に行った。
修児君の所に行くと、愛ちゃんが隣で眠っていた。
「修児君、玉簪ありがとうね」
「ううん、あ、そうだ。これ、愛が。ありがとうだって」
「良かった。って何したの!?二人共」
俺は修児君の机に目をやれば、景品の山があった。
流石の俺もびっくりして聞くと、愛ちゃんと二人で射的をやったらたくさん取れたのだとか。
二人の事だから計算してやったんだろうな・・・。
「あ、これあげるよ」
「これって・・・髪留め?」
「ほら、前に愛と杏が望愛の髪留めで喧嘩して壊しちゃったって聞いたから。明日買いに行く予定だったんだけど、ちょうど射的でね、愛が望愛に似合いそうなものがあった!って」
箱の中身を見て見ると、白い花と赤い花のオブジェが黒いヘアピンにあった。
これ・・・可愛い。
俺はお礼を言うと、修児君の部屋を後にした。
早く浴衣脱いでお姉さまに渡しておこう。
俺は自分の部屋に戻って、杏ちゃんにお願いして浴衣を脱ぐのを手伝ってもらった。
「そう言えば、こうやって望愛と出かけるのって初めてだよね。」
「うん、そうだね。俺が入って来た時は、すぐにエイリア学園に行ったからね」
「望愛が入って来た時、私まだ憶えてるよ。来た時なんてすっごい恥ずかしがってたよね」
「あはは・・・。小さい頃の俺って人見知り激しかったって治君にも言われたよ」
それは俺も覚えている。
最初に仲良くなったのが、杏ちゃんと愛ちゃんと玲名ちゃん。
その次に仲良くなったのが、茂人君と晴矢君だ。
今の俺の居場所は此処だと思っている、まあ、高校生になったらどうするかはまだ決まってない。
「はい、終わったよ。望愛」
「ありがとう、お姉さままだ居るかな?」
「居ると思うよ、早く返してきなよ」
俺は私服に着替え直しお姉さまの所に向かった。
お姉さまを見つけると、お姉さまの様子を窺った。
お姉さまは皆から貰った浴衣を畳んでいた。
「お姉さま」
「あら?望愛。どうしたの?」
「浴衣を返しに来ました」
「そう、ありがとう。そう言えば、貴方宛に手紙が届いていたわよ」
「俺宛?」
俺はお姉さまから手紙を受け取ると、そのまま部屋に戻って行った。
続く
夏色に染まる夏祭りと海6話
俺は部屋に戻り、手紙の封を開けた。
便箋の中に書かれている字はお母様の字だった。
読んで行く事にした。
「望愛へ この手紙を読んでいると言う事は約束を果たせていないかもしれないわね。・・・」
『あなたを一人にして心配している、お婆様とお爺様が貴方を虐めるかもしれないと言う考えもある。その時は円堂君の両親と風丸君の両親に頼ってね。短い文だけど、この手紙を持って約束を果たしに行ってね、昔よく遊んだ海の所に』
そう手紙に書かれていた。
今日は確かお母様とお父様の命日。
俺は皆眠っているか確認して静かにお日さま園を後にして、約束の海に向かった。
手紙を持って・・・。
「あ、お姉さまにメールしとこう」
お姉さまに黙って出て来ちゃった。
俺は歩きながら、メールを打った。
メールを打ち終わると、送信と言うボタンを押してケータイをポッケに閉まった。
「遠いな~。今更ながら言うけど」
もうすぐ着くと言う時に、ケータイから音が鳴った。
ケータイを開くと、お姉さまからのメールだった。
早く帰って来るように書かれていた、俺は少し笑みを浮かべケータイをポッケに閉まって、海岸に向かった。
~約束の海~
「着いた・・・」
周りは暗いけど、空を見上げれば星々が沢山あった。
「そう言えば、よく水の掛け合いもしたっけ?その度に俺ってお父様に沢山かけてたな~」
一人砂浜に座っていると、水面がキラキラと光った。
靴を近くに置いて水の中に入って見ると、また水面がキラキラと光った。
そう言えば、プランクトンだっけ?光るのって。
俺は持って来ていたタオルで足を拭いて靴を履き、帰ろうとした時だ。
『ありがとう』
「!お母様!」
そう叫ぶが誰も居なかった。
だけど、どうしてお母様の声がしたのか少しだけ分かった。
俺は今の俺の居場所に向かってゆっくりと足を進めて行った。
~望愛が居なくなった海辺では~
『望愛、これから元気でね』
『大丈夫さ、望愛はお日さま園の子供達と円堂君達が居る。』
『そうね、松一郎さん』
望愛の母・蜜柑は、自分の夫である松一郎に寄り添い星々が輝いている夜空を見上げた。
海辺をもう一度見て見ると、その二人の姿はもう居なかった。
終わり
雑談と今後の話
作「やっと終わりました、第2弾」
望愛「だって、貴方・・・途中休んでたでしょ?」
作「それは・・・ネタの為です!」
望愛「ウソつけ。」
作「(´・ω・`)」
望愛「そう言えば、話し変わるけど・・・。FFI編の話ちゃ~んと考えているのでしょうね?」
作「・・・・まだです^^」
望愛「だろうね。ネタがまとまるまで何するの?」
作「簡単な話、望愛ちゃんの恋の話まだ終わってないので、それを書こうかと」
望愛「はあ!?///」
作「ヒロト君の告白の返事まだだしね。それが終わったら、デートも書こうかとって望愛ちゃんは?」
来夢「恥ずか死ぬ~~~!!って言って逃げたよ」
作「からかい過ぎたか、来夢って好きな子っているの?」
来夢「ん~~~、分からない。でも、愛は可愛かったな~!」
作「そうなのか~~。と言うか、来夢から見て望愛を大切にしそうな人って誰?」
来夢「ん~~、風丸とか大切にしそうだけど、ヒロトも風介も晴矢も大切にしそう!」
作「全員か・・・。んじゃ、話は変わるけど今後の事についてね」
来夢「何のお知らせ?」
作「わしにはね、学校と言う物があるんだよ。ワトソン君」
来夢「俺ワトソン君じゃないし、そう言えばうp主って中学2年だよね」
作「そう、そして今は夏休み期間まっしぐらなのさ。宿題も当然ある」
来夢「宿題があるから投稿が遅れると」
作「そういう事」
来夢「その前に見てくれる人が居るのかな?」
作「(´・ω・`)言わないでよ」
来夢「ごめんって、まあそれくらいかな?それじゃあ」
作・来夢「またね~~~!!」
番外編望愛の恋(ヒロト編)
風邪を引いた・・・。
俺は自分の部屋の天井を仰ぎながら、ボーっとする頭を働かせようと頑張るが痛みのせいでうまく働かない。
仕方ない、風丸君と円堂君に連絡を入れとこ・・・。
雷門サッカー部の皆に迷惑掛けたくないし・・・。
「うぅ・・・」
「うわ!望愛!!歩いたらダメだよ、症状が悪化しちゃうよ」
リュウジ君が止めてくれるが、今の俺の頭の中には連絡を入れなくてはと言う言葉しかない。
何故、風邪をこじらせてしまったかは、俺が全体的に悪い。
昨日、茂人君が久しぶりに大熱が出てしまったのだ。
その時の俺も少し風邪気味だったが、動けば治ると自分に過信を持ってしまい、茂人君を看病に回ったが、結局風邪は治る所かすっごい悪化した。
「円堂君に連絡入れとく・・・」
「大丈夫かよ?顔真っ赤だぜ?」
「大丈夫だって、寝たら治るよ」
ソファーに座らせられ、俺は電話片手にそう言った。
一応言っておきます、寝ても頭が凄い痛い。
早く出てくれないかなと思いながら待っていると、ガチャと誰かが出た。
『もしもし、円堂ですけど』
「あ、おはよう。円堂君。ゴホッ、ケホッ」
『おはよう望愛!それより、どうした?凄い咳したけど・・・』
「今日、学校休む。風邪こじらせた」
『えぇ!?分かったよ、風丸達にもそう言っておくな。じゃあ、体、気を付けろよ』
円堂君・・・凄い心配してたな~。
そう言えば、小さい頃からあんまり風邪になった事ないや、これで2度目とは・・・。
「ほ~ら!早く自分の部屋に戻って、風邪が悪化したら余計サッカー出来なくなっちゃうよ!」
「うん、そうするよ。それじゃあ、皆、学校行ってらっしゃい」
皆それぞれ心配そうな顔をしながらお日さま園を後にした。
俺は皆を見送った後、自分の部屋に戻った。
学校に通えなくなると考えると、すっごい暇だな~。
「はあ~・・・、そう言えば今日ってみんな帰ってくる時間遅いんだっけ?」
最悪だ・・・。
その時間まで、俺は一人なのだ。
暇、暇過ぎてしょうがない。
俺は被っていた布団に潜りこんだ。
「そんな事してたら、風邪・・・もっと悪化しちゃうかもよ?」
「別に・・・って!えぇ!!ひ・・・ヒロト君!!何で・・・!?ゴホ、ケホ」
「ほら、そんな大声上げたらもっと悪化しちゃうよ。後、何で俺がここに居るのかは、リュウジ達に頼んで俺、望愛の看病する事にしたから。」
「でも・・・今日、行事の準備があるって・・・」
「それも、リュウジ達に頼んで代わって貰ったよ。今は、望愛の方が優先だしね」
俺は顔をカアァと赤くして、ヒロト君が直視出来ない。
本当・・・ヒロト君って、あれだよね?優しい・・・。
俺は、ヒロト君に見つからない様に胸に手を当てると、胸がドクンと早く脈打っていた。
続く
「大丈夫?昨日、無理してたでしょ?」
「わ・・・分かってたの?」
俺はその事を聞いて、少し目を丸くした。
昨日のヒロト君は、ずっと本を読んでていた。
いつ分かったのだろう?と少し疑問に思っていると、おでこに冷たい感触が来た。
「冷たい・・・」
「冷えピタ。後、何で望愛が昨日無理してたのかは、俺は望愛が好きだから」
「え!?///」
いきなりの告白に顔をがまた真っ赤になった。
これでヒロト君に告白されたのは3回目。
1回目はグラン様の時だったけど・・・。
あ、2回目はヒロト君としてか、うん。
「あ、言っておくけど、望愛の答えはいつでも待ってるから。晴矢と風介と風丸君の告白は断ったらしいけど、それって本当なの?」
「え?まあ、うん。後、それって誰から聞いたの?」
「布美子と杏と春奈ちゃんかな」
布美ちゃんと杏ちゃんは、お日さま園の何処かで盗み聞きしたな。
春奈ちゃんも・・・雷門中の何処かで盗み聞きか。
でも、思い返せば、あの三人には悪い事しちゃったな、好きな人は教えたけど。
「好きな人って誰なの?」
「え!?ひ・・・秘密!」
ここだけの秘密、俺の好きな人はヒロト君だ。
三人共応援してやる!って言ってくれたけど、本心は悔しいよね・・・。
と言うか、俺の何処か好きなんだろう?風介君や晴矢君は小さい頃に好きになったって聞いたけど、風丸君は会った時からって言ってたし・・・。
でも、ヒロト君のはよく分からないんだよね~。
「あ、体温測ろう。体温計持ってきたから」
「うん、ありがとう。」
俺は寝間着の上のボタンを2個外して体温計を脇に挟んだ。
俺はチラッとヒロト君を見ると、ヒロト君は体を後ろに向けていた。
あ、そっか。
俺が女の子の体だから、胸とか見たら、あれだね。
思春期の男の子にとっては、倒れちゃうかもしれないからね。
俺の胸は小さいのにな~(愛ちゃん達には胸は大きいって言われるけど)。
そう考えていると、ピピピ・・・と脇から音が聞こえた。
「どう?」
「うん、少し下がったかも。」
「良かった、お昼はお粥とすり潰した林檎でいいよね?」
「うん、ありがとう」
ヒロト君ってお粥作れたっけ?大丈夫だよね、そこは。
俺は、布団を被りゆっくりと目を閉じた。
~ヒロト目線~
俺は台所で望愛のお粥とすり潰した林檎を作っている。
「お粥は・・・卵でいいかな?」
俺は冷蔵庫から卵を取り出した。
そう言えば、風丸君と晴矢と風介って望愛に告白断られて、好きな人教えて貰ったんだよね。
誰だろう?円堂君?豪炎寺君かな?鬼道君かも知れない?でも、吹雪君かもしれないよね~・・・。
「はあ~・・・本当に誰だろう?望愛の好きな人」
気になって勉強にも集中出来なくなりそう・・・。
続く
望愛目線
「で、治ったけど・・・ヒロトに風邪がうつっちゃった?」
「うん、さっきしんどいって言って今は自分の部屋で寝てるの」
俺はそう言いながら玲名ちゃんと一緒に夕食の準備をした。
でも、ヒロト君が作ってくれたお粥と林檎・・・美味しかった~。
優しい味がしたよ、でも、俺のせいで風邪になっちゃったもんな。
責任はちゃんと取らないと!俺がそう意気込んで居ると、肩を叩かれた。
「玲名ちゃん・・・どうしたの?」
「ヒロトの所に行ってやれ、望愛の事だ。自分が悪いとか思っているな看護に行ってやれ」
「ありがとう!玲名ちゃん!」
俺は当番を布美ちゃんに代わって貰い、すぐにヒロト君の部屋に向かった。
「ヒロト君、入るよ~」
「ゴホ、ケホ、あ、望愛・・・」
「大丈夫!?俺の風邪・・・うつったから・・・」
「大丈夫大丈夫、そう言えば今日って当番じゃなかったっけ?」
「そうなんだけどね・・・布美ちゃんと代わって貰ったんだ」
俺がそう説明すると、ヒロト君はそうなんだと頷いた。
熱のせいで顔が真っ赤だ・・・。
「ご飯は・・・桃とお粥でいい?」
「うん、でも、何で桃なの?」
「えっと、ヒロト君が早く良くなって貰いたいから・・・」
「望愛・・・ありがとう」
ヒロト君は優しい笑みを浮かべながら俺の頭を撫でてくれた。
優しいな、ヒロト君って。
続く
「ヒロトの様子どうだ?」
「晴矢君・・・全然よくならない・・・」
お粥を持って来てくれた晴矢君が俺に尋ねて来た。
俺は未だに風邪が治らないヒロト君を見て、小さく呟いた。
自分の病源菌がここまで強いとは思わなかった。
「元気出せって、好きな奴の事、ほっておけねぇのは俺も分かるからよ」
励ましのつもりなのだろうか晴矢君が俺の肩を叩いて、力強い笑顔をでこっちを見た。
「ありがとう、晴矢君。」
「おうよ!あ、あと、桃なんだけどよ。風介が持って来てくれるってよ」
「そっか、風介君にもお礼言わないと」
「じゃあ、俺は部屋に戻るけど、なんかあったら風介や俺に言えよ」
そう言って、晴矢君はヒロト君の部屋を後にした。
晴矢君と入れ替わる様に風介君が桃を持って来てくれた。
「ヒロトの様子は・・・まだ治りそうにないな」
「うん。・・?どうしたの、風介君?」
「望愛、自分の気持ちを隠し続けても気持ちは伝わらないぞ。ヒロトだって、君の事を好いている。だから、伝えて見ろ。君がヒロトが好きだと言う気持ちにね」
「風介君・・・」
そうだね、風介君の言う通りだ。
自分の気持ちに正直になって見よう、俺はそう決め、風介君にお礼を言った。
風介君と晴矢君には、すっごい励まして貰ったな~。
「そろそろ私は部屋に戻るが、用事があったら言ってくれ」
「うん、本当にありがとうね」
風介君は優しそうな笑みを浮かべながらヒロト君の部屋を後にした。
俺は心の準備の為、何回も深呼吸した。
俺がそうしていると、ヒロト君の目がゆっくりと開いた。
「あれ?望愛。夜ご飯終わったの?」
「まだだよ。あ、はい。お粥と桃ね」
「わぁ!ありがとう、望愛。「後、ヒロト君に言いたい事があるの」何?」
やばい・・・!緊張してきた!!俺はもう一度深呼吸をして、意を決し口を開いた。
「ヒロト君の告白の返事なんだけどね、俺ってあんまりしっかりしてないし、ヒロト君の迷惑になると思うけど、こんな俺でよければ・・・付き合って下さい!」
「・・・・やっと望愛の答えが聞けて、俺、嬉しいよ。こちらこそ迷惑掛けるけど、よろしく望愛」
「うん!」
俺は告白の返事を聞けて、自分でも分かる程顔を真っ赤にした。
それは、ヒロト君も一緒で風邪とは違う嬉しそうに顔を赤くしていた。
~ヒロトの部屋の前(作者目線)~
「やっと付き合ったわね、あの二人」
布美子が安心しきった様な声でそう言った。
それには望愛の大親友の愛と杏も嬉しそうにおめでとう!と言っていた。
「そう言えば、望愛のご飯・・・どうしよう」
「あぁ、それなら望愛がヒロトの風邪が治ったら食べると言っていた」
「さすが、玲名。情報が早いな」
伊豆野が驚きを半分にそう言った。
「とは言っても、最後に望愛の背中を押したのは晴矢と風介さんだったんだけどね」
「だな」
茂人の言葉に全員は晴矢と風介の部屋を見た。
その二人は嬉しそうな笑みを浮かべながら、それぞれの趣味に手をつけていた。
終わり
望愛のデート(風丸編・10年後設定)
俺は今、お日さま園を離れ、シードが創り出されていると言うゴッドエデンに居る。
あ、もちろんスパイとしてね。
これは、久遠監督、響さん、理事長さんのレジスタンスのミッションとしている。
だから、ここ何年かはお日さま園の皆や俺の恋人の風丸君にも逢えていない。
「皆に逢いたいな~・・・ん?電話?」
俺が一人そう呟いていると、プルプルプルと着信音が聞こえた。
ポッケからケータイを取り出すと、すぐさま人のいない場所に行き、電話に出た。
「はい。藤咲です」
『お!望愛!久しぶりだな~、元気だったか?』
「円堂君!」
電話の主は、今母校である雷門中でサッカー部の監督をしている。
時々思うけど、本当に凄いな円堂君って・・・・。
「どうしたの?急に電話なんて」
『それがさ、白恋中との試合で吹雪に教えて貰ったんだ。シードが創り出されてる所があるって』
「そうだけど・・・(あれ?何で吹雪君知ってるんだろう?)」
『でさ、俺と吹雪と壁山と不動と風丸でゴッドエデンの事を調べるんだけど、さっき久遠監督達が望愛も居るって聞いたからさ。一緒に協力してくれないか?』
茫然と言えばいいだろう。
電話の向こうからは、望愛?と心配そうな声で話し掛けて来る円堂君がいた。
「いいけど・・・俺もゴッドエデンのスパイとして潜入してるから・・・」
『わかった!じゃあ、明日船着き場でな!』
「うん、分かったよ。またね」
さっきの沈んだ気持ちは何処へやらと思う程、俺の気持ちは嬉しさで満たされていた。
仕事と言っても、俺は選手のデータを確認するだけと言う何とも地味な作業で、本気でやれば5分も掛からないだろう。
円堂君達に逢えるのも嬉しいけど、風丸君に逢えるのがすごく嬉しいな。
「あ、でも・・・明日の朝に来るのか???」
この後、俺は急いで円堂君に連絡を取って、明日の朝に来ることが分かった。
~次の日~
「あ、皆~!」
円堂君達の姿を見つけた俺は、出来る限りの声で叫んだ。
それに真っ先に反応したのは、円堂君だった。
円堂君・・・しばらく見ない内に凄い焼けてる・・・。
「望愛!久しぶりだな!」
「望愛先輩、久しぶりっす」
「望愛ちゃん、久しぶり。」
「よお、てか身長伸びたか?」
不動君・・・少しは変わってるのではないかと思ったが、私に対するその嫌味は直ってないのか。
それに身長伸びたかって、お婆ちゃんが言うセリフだし。
「身長は伸びてないよ、それより、皆に逢うのは久しぶりだね。そう言えば、風丸君は?」
「あぁ、ちょっと遅れて来るんだってよ。何か、急に練習が入ったらしくて」
風丸君って確か、今はプロリーグの選手だったもんね。
そりゃ忙しいよね。
「でも、望愛ちゃんも雰囲気変わったね。髪の毛も伸びてるし」
「吹雪君も変わってるね、サッカーの腕も凄い上がってるんじゃない?」
「まあね」
「それより、望愛先輩もスパイ活動疲れてないっすか?」
「普通だよ、昔のサッカーを取り戻す為なら何だってやるしね」
皆との会話に弾んでいると、野太い声は奥から聞こえて来た。
やばい!牙山じゃん!!牙山と言うのは、ここでの教官。
一応、俺の上司と言う事になっている。
「皆!早く逃げて!」
「何で?」
「此処の教官が出て来たら、後々ややこしいから」
俺は皆の背中を押しながら、森の奥に走って行った。
続く
10年後の望愛の設定
藤咲望愛
ゴッドエデンにスパイとして潜入している。
本来の仕事は、ヒロトの会社の手伝いとお日さま園の手伝い。
天馬達の事はテレビで見ているから知っている。
容姿
ツインテールをやめて腰まであるロングヘア。
目は悪くなってしまった為、黒縁メガネをしている。
服は動きやすい格好。
仕事
ヒロトの会社の手伝いをしている。
本業はお日さま園。
何とか見つからずに済んだ。
「皆、ごめんね!あの教官に見つかったら、スパイだってばれちゃうから・・・」
「そっか、気にすんなよ!」
円堂君は、相変わらず太陽みたいに眩しい笑顔でそう言ってくれた。
だから、夏未ちゃんも惚れたのかな?円堂君の事。
「望愛先輩も大変っすね、ゴッドエデンのスパイだなんてバレたら大変っすよ」
「うん、それじゃあ、皆にこの報告書は必要かな?」
「それなんだよ?」
「ここに居るシードのデータだよ。俺はそのデータ管理任されてるから、聖帝に頼まれたって言えば簡単に持ち出せるよ」
「さすが、望愛ちゃんだね。」
なんか照れちゃうな・・・。
すると、不動君が悪戯な笑みを浮かべてこう言った。
「そういや、望愛と風丸ってもう付き合って10年だろ?いつ結婚するんだよ?」
「はあ!?////」
「そう言えば、そんなになるのか?風丸と望愛が付き合って」
円堂君はそう言って、全員の目が一斉に俺に来た。
とは言っても、俺も今は忙しいし、風丸君も忙しい筈だ。
それよりも、本当に不動君は変わってないよ、全く。
「それより、風丸君・・・僕達の居場所分かるかな?」
「電話で知らせたいけど、よく分からないと思うんだよね。ここ、分かりにくい場所にあるし」
「けど、俺達が行ったら望愛が言う教官に見つかっちまうぜ?」
「望愛・・・その~・・・」
円堂君が助けるような目をしてきたので、俺が行く事になった。
いや、まあ、俺が行かないといけないんだけどね。
そういう事で、俺は船場に急いで行くと、風丸君が何やらキョロキョロしながら立っていた。
「風丸君!」
「あ、望愛!久しぶりだな!!」
「うん、風丸君も久しぶりだね。前よりたくましくなったね」
「望愛も前に会った時より凄い美人だぞ」
「もう、早く行こう。円堂君達が待ってるよ」
「おう!」
俺は風丸君の手を引いて、また森の奥へと足を運んだ。
続く
「お!風丸!!」
「よお、皆。何見てんだ?」
風丸君はそう言って、俺が持って来ていた報告書を眺めた。
うぅ・・・やっぱり風丸君・・・すっごいカッコいいな~。
「凄いな・・・これ、望愛がやったのか?」
「まあ・・・ね」
「凄いな、読みやすいぜ」
「あ・・・ありがとう////」
やばい、顔が真っ赤になって来る。
はあ、俺の純情ぶりも直してみよう。
すると、またもや不動君の悪戯な笑みが見えた。
「それよりさ~、風丸君」
「何だよ?」
「望愛といつ結婚するんだよ?望愛も待ちくたびれてるんじゃねぇの?」
「「!!?///」」
俺と風丸君は同時に顔を真っ赤にした。
何で不動君は、こう言う時にドSモードになるのかな?俺は持っていたコップを落としそうになりながら、不動君を睨んだ。
「あ、いや、それは・・・。一応は、プロポーズはしたんだぜ?」
風丸君!!!!!!それを聞いた瞬間、俺はプロポーズされた思い出がフラッシュバックした。
その話を聞いた円堂君達の顔と言えば、ポカーンと口を半開きにしている。
そして、一斉に視線が俺に来る。
「本当なの?望愛ちゃん」
「う・・・うん。でも、その、結婚はお互い落ち着いてからって事で・・・」
あぁ、もう焦るわ!そう思いながら、何とか笑顔を保った。
まあ、それを聞いた円堂君なんか涙目でおめでとう!とか言っている。
この事は先にお日さま園の皆に知らせたら皆にも涙目でおめでとう!って言われたっけ?思い出したら、少し笑えちゃう。
「そうだ!久しぶりに会ったんだから、望愛も風丸も散歩して来いよ!」
「え!?でも、皆に任せるのは・・・」
「そうっすよ、キャプテンの言う通りっす!」
「調べ物は僕達がやってるし、二人で楽しんできなよ」
「そうだぜ、望愛。いい男ゲットしてんのにな~」
皆に念を押され、俺と風丸君は久しぶりに一緒に歩く事になった。
続く
皆に念を押され、散歩に出かけている。
森に居れば、あの牙山にも出会えないし、あまりここにゴッドエデンの選手は来ない。
俺はチラチラッと風丸君を見た。
「あのさ、望愛」
「え?何?」
「望愛って森の事詳しんだな、さっきから通り易い道通ってるし」
「まあね、データ送る時にこの道通っていくから。風丸君もプロリーグの仕事とか忙しかったのに、どうしてここに来たの?」
まあ、電話でシードの事を調べるために来たんだよね。
そう言えば、プロポーズの返事もまだだった!俺が頭の中でパニックしていると、風丸君が口を開いた。
「シードを調べる為とその・・・・」
「?」
「望愛にさ、もう一回プロポーズしようかなって」
それを聞いて、顔が真っ赤になっていく。
俺が真っ赤になっているのを余所に風丸君がポケットから何か取り出した。
「こう言うのはさ俺苦手だけど、望愛・・・結婚しよう」
「・・・・・・!」
それを聞いて、2回目の筈なのに涙が溢れて零れた。
「・・・・こんな私でよければ・・・喜んでお受けいたします・・・・」
涙声だけど、私の言葉はちゃんと届いたのか風丸君はすごく嬉しそうな顔をしていた。
そして・・・その数年後、やっと私もゴッドエデンを抜け風丸君の仕事も落ち着き、約束通り結婚した。
その時の円堂君の顔ったら、涙でぐしょぐしょで俺と風丸君は笑っていた。
他に泣いてた子と言えば、大親友の杏ちゃんと愛ちゃんだ。
「凄い祝ってくれてるね、風丸君」
「だな、望愛もすっげー可愛い」
「もう///」
俺が顔を真っ赤にして、風丸君を見ていると、晴矢君と風介君が風丸君に何やら言って一緒に何処かに行ってしまった。
その姿を苦笑しながら、見ていると、優しい風が吹いた。
「お父様とお母様もお祝いしに来てくれたのね、ありがとう」
これからの未来、私が選んだ人と歩む事になる。
苦しい事もあるかもしれないけど、風丸君と一緒なら大丈夫だよね。
終わり
作者の心境
頑張ったお(^p^)
望愛のデート(風介編※少し10年前に戻る)
ゴッドエデンでのスパイ活動も終わり、フィフスセクターの管理サッカーも無くなった。
話を簡単にまとめれば、新生雷門イレブンがホーリーロードを制し、聖帝の座は豪炎寺君じゃなく響さんになった。
俺と言えば、スパイ活動が終わりお日さま園の仕事やヒロト君の会社の仕事で大忙し。
今日は、お日さま園での仕事だ。
そして、今は休憩・・・。
「久しぶりの仕事はハード・・・。」
「望愛~、生きてる?」
「愛ちゃん、殺さないで!」
お日さま園での同僚と言えば、愛ちゃんと茂人君。
他の子達は、違う仕事をしていたり、ヒロト君の会社に働いていたり、その系列会社に働いていたりとしている。
愛ちゃんのお兄さん・修児君はヒロト君の会社に働いていて、風介君の部下らしい。
風介君は俺の自慢の彼氏です(少しSっ気があるけど)。
「お疲れ様、二人共」
「茂人君、全然疲れてない!」
「それもそうよ、晴矢にいつも振り回されてたんだから。疲れる時と言えば、晴矢に振り回された時ぐらいよ」
茂人君は、晴矢君の幼馴染。
今日は何故か仕事が休みと言って、お日さま園のお手伝いをしてくれている。
「まあ、昔よりはおとなしくは・・・なって無い様な気がする」
「おい、茂人!それどういう意味だ!!」
ソファーで寝てた筈の晴矢君は、ガバッと起き上り茂人君に詰め寄った。
俺は苦笑しながら、二人の様子を見た。
愛ちゃんはうざそうな顔をしながら、茂人君が入れて来たコーヒーに口を付けていた。
茂人君の入れるコーヒーって苦くないから、俺でも飲めるんだよね。
「そう言えば、何で晴矢が来てるの?」
「そうそう、風介から伝言があったのすっげー忘れてた。」
「晴矢・・・それって望愛宛ての伝言じゃないの?」
「そうなんだよ・・・・狩屋のサッカー練習で忘れてた。わりぃ!!望愛!!」
土下座をして謝って来る晴矢君には俺は慌てる。
別に晴矢君が悪い訳じゃないしね。
でも、茂人君と愛ちゃんの視線と言えば、ちゃんと謝りなよと言う視線だ。
「いいよ、私も早めに聞けばよかったよね。で、その伝言って?」
「えっとな・・・今日仕事が早めに終わるから終わったら遊びに行かないかって伝言だったぜ」
「望愛も今日の仕事早めに終わるんだよね?風介さんとデートだね~」
「愛ちゃん///!」
「望愛、顔が真っ赤」
皆にからかわれ、真っ赤だった顔が更に赤くなる。
皆で騒いでいると、ガチャと部屋のドアが開いた。
ドアに目を向ければ、うるさいと言えばいいだろう顔をした狩屋君が居た。
「うるさいですよ、愛さん、望愛さん、茂人さん、晴矢さん」
「「「「ご・・・ごめん」」」」
子供に怒られる大人って・・・・。
きっと俺を入れた4人はそう思っているだろうな~。
「でも、望愛さんって仕事が終わったら、風介さんとデートですか?」
「あ、いや、デートと言っても、えっと~」
「望愛さん言い訳苦手でしたね」
この子なんでこんなSっ気あるの!?と驚きつつ何とか言い訳を考えようとするけど、あまり思い浮かばないと頭を悩ませていると、狩屋君から痛!と言う声が聞こえた。
見れば、ファイルを片手に狩屋に説教をしている風介君が居た。
「風介!」
「全く、君達は何度私の彼女をからかえば気が済むんだ?」
怖いです、風介君。
その後、狩屋君と晴矢君と愛ちゃんと茂人君はその場で正座させられ、修児君が来るまで4人の説教をしていた。
続く
4人の説教が終わり、風介君と俺はお日さま園を後にした。
俺と入れ替わりで夏彦君が代わりに入った為、お日さま園の今の状況は大丈夫だろう。
風介君と言えば、暑いのかスーツのジャケットを手に持って、ネクタイを緩めていた。
「大丈夫?」
「あぁ、この暑さの中、あの自由奔放社長は取引先の社長と会わずに・・・・」ブツブツ
風介君が言った自由奔放社長と言うのは、吉良ヒロトつまり基山ヒロト君の事。
どうして、基山が吉良になったかは正式の養子となったから。
でも、時々仕事をほったらかして皆に迷惑を掛けている(そのせいか時々来る時の玲名ちゃんは凄い怖い)。
「大変だったんだね・・・」
「あぁ、その取引先の社長と言えば、こっちが仕事の話をしようとしたら何故か知らんが恋人は居るか?なんて聞いて来る」
「そ・・・そうだったの!?」
その社長さん、何しに取引に来てんだって風介君思っただろうな。
すると、俺の後ろから何か見られている気配があった。
俺が後ろを振り向くと、誰も居ない。
気のせいか・・・。
「どうしたんだ?」
「ううん、何もないよ。それにしても、こうやって歩くのって久しぶりだね」
「あぁ、高校生以来だな。そう言えば、晴矢から聞いたんだが、望愛は高校でもよく告白されてたらしいな」
「まあね、でも、俺には風介君が居たから。全部断ったけどね」
すると、ヒヤッとした物が俺の手から全部に伝わった。
びっくりして、手の方を見ると、風介君の手が俺の手を握っていた。
恥ずかしい・・・!顔を真っ赤にしていると、風介君が耳元でこう呟いた。
「真っ赤になった顔も可愛いぞ」
「////!」
「フフっ、本当にからかいやすいね君は」
「もう!!知らない!」
俺が怒ってそっぽを向くと、風介君は慌てて謝った。
もう、俺がクスッと笑うと、急に俺と風介君の目の前に黒いリムジン?(って言うのこの長い車)が現れた。
ポカーンと二人して茫然としていると、車の運転席から黒いスーツを身に纏ったおじいさんが現れた。
「風介君・・・知り合い?」
「いや、違うが・・・。望愛の知り合いでもなさそうだな」
「俺はあんな金持ちの友達はヒロト君ぐらいです!かと言って、ヒロト君・・・あんな目立ちたがり屋じゃないし・・・」
俺と風介君が小声で話していると、一番最後の車両から多分私と風介君と同い年の男の人が現れた。
あれ?この人・・・見た事ある様な・・・?俺がそう考えていると、急にその男の人が俺の目の前に跪いた。
俺と風介君は困惑していると、その人は急に顔を上げた。
「貴方が、藤咲望愛さんですね?」
「え?あ、はい。貴方・・・誰ですか?」
俺は風介君の後ろに隠れながら聞くと、何故か知らんが急に男の人はしょげた。
もう、何!?この人・・・本気で誰なのさ。
すると、風介君は思い出したかのように声を上げた。
「風介君知ってる人?」
「あぁ、さっき話した取引先の社長さ。」
「ええええ!!でも、何で俺の事知ってるの?」
「私は君の事は話してないぞ」
俺と風介君は顔を見合わせていると、男の人はようやく風介君の事を思い出したのか何故か久しぶりに会った友達みたいな接し方になった。
あ、風介君の顔がうざいってなった。
「あの、それで社長は何の用ですか?」
(風介君・・・顔怖いよ~)
「あぁ、そうそう。藤咲望愛さん、僕と結婚前提にお付き合いしていただきたいのですが・・・」
「「ええええええええええええええ!!」」
この日、俺と風介君の叫び声が響き渡った。
続く
~お日さま園(夜)~
「おい、てめー。うちの恋人らに何言ってんだ?」
晴矢君・・・怖いです、今朝の風介君と同様怖いです。
俺は風介君と何故か元・お日さま園出身の皆がお日さま園に集まっている。
取引先の社長さんと。
「そうよ!風介と望愛は、中学校から付き合ってるのに!!」
杏ちゃん、それはいいとして看護師の仕事は!?俺はそのツッコミを耐えながら、皆を見た。
怖い怖い、と言うか俺何処かでこの人と会ったっけ?そう思った時、ふとヒロト君のパーティーでこの人に似た男の人の顔が思い浮かぶ。
「あの・・・まさかと思いますけど、パーティーでお会いしましたっけ?」
「そう、そうです!と言うより、高校で出会ってます!!」
「へ?」
「社長・・・あまり私の恋人に触らないでくださいね」
風介君怖いって。
そう言えば、お日さま園で同じ高校だったのは、一角君と蔵人君とクララちゃんと愛ちゃんだったよね?俺は4人を集めて、小声で話す。
「あの人、見た事ある?」
「私はないわね、蔵人は?」
「俺ねぇな」
「愛ちゃんは?」
「知らないわよ、と言うか望愛に馴れ馴れしいわねあの男」
「じゃあ、一角君は?」
「俺もないな、なら、高校の卒業アルバムを見たらどうだ?」
その手があった!俺はお日さま園に置いてある高校生の時の卒業アルバムを取り出して、その男の人の前に座った。
えっと・・・どれだろう?俺が探していると、急に男の人は3-A組と書かれたページを指差して、居ました!と大声で言った。
子供達が起きるって。
「あれ?3-Aって、蔵人と望愛のクラスじゃない。二人共、本当に覚えてないの?」
「「全然」」
「じゃあ、今度はお前に質問だが、望愛に一度告白はしたことはあるか?」
「えぇ、ありますよ。見事玉砕でしたけどね」
「お名前は?」
「谷村って言います」
谷村?谷村・・・あぁ!!思い出した。
それは蔵人君も同じなのか目を見開いて、俺と同時に言った。
「「あの谷村/谷村君!?」」
「はい」
そう言えば、すっごい不良の人が俺に告白してきたっけ?確か、その人の名前も谷村だったし。
同じクラスでもその人すっごい不良だったし・・・。
え?てか、変わり過ぎない?俺がちんぷんかんぷんになっていると、谷村君が口を開いた。
「僕、望愛さんを高校で初めて会った時、一目ぼれしたんです!」
「あぁ、うん」
晴矢君、興味なし。
「ですけど、いつもそこの方達と話していて、あの時の僕・・・あんな格好でしたし、話し掛ける事も出来なくて」
皆の目、一応興味なしと言う目になっている。
まあ、話しはちゃんと最後まで聞かなきゃ。
「その、それで一回だけ話してくれたことがあるんです。憶えてないと思いますけど、俺のシャーペンを落とした時・・・」
~回想~
「あ」
谷村のシャーペンが隣の席の望愛の所まで転がって来る。
望愛はそれに気が付くと、シャーペンを取り、谷村に渡す。
「どうぞ、次落としたら先生に怒られるよ?」
~回想終了~
・・・確かにそんな事があった様な無かった様な気。
「それで一回告白したんですけど、自分には恋人がいるって言われて」
それを聞いた晴矢君達は、一斉にニヤッとこっちを見て来た。
うわあああ!やめて!!俺は顔を真っ赤にさせながら、風介君を見ると、風介君も真っ赤になっていた。
「それで真面目に改心して、望愛さんに相応しい人になったらもう一度告白しようと!」
だから、無理だってあの時言ったのに~!
続く
「んで、取引先であった風介に恋人は居るか聞いたのか?」
玲名ちゃんの後ろから魔王が出てきそう。
谷村君はそれを知らずに、はい!と大きく頷いた。
あれ?でも、何で俺の事知ってるんだろ?俺がそう思った時、谷村君が答えてくれた。
「いや~、パーティーでお会いした時の望愛さんとそっくりでしたので、まさかと思い声を掛けたのです」
「ほう、んでお前は風介と望愛が付き合ってることは知らなかったんだな」
「はい、ですが!俺は望愛さんにもう一度言います!」
何をですか!?
「俺と結婚前提にお付き合いしてください!」
「あの・・・それは、お断りさせていただきたいんですけど」
俺がそう言うと同時に玄関からヒロト君と緑川君の声が聞こえた。
部屋に入って来るなり、いきなり谷村君を見て、声を上げた。
そして、俺は全部説明を終わらせると、ヒロト君も困った顔をした。
「あの・・・社長さん、望愛は風介と付き合っていて、俺としては望愛の気持ちを尊重させたいのですが」
「しかし!「なら、いいだろう」
何が!俺はびっくりして声のした方を見ると、風介君が谷村君を見ていた。
何だろう?見えない火花が俺の目の前に見える。
「望愛、明日と明後日用事はあるか?」
「え?明日は朝からお日さま園の仕事で抜けるのは昼ぐらいだよ、ねえ?愛ちゃん」
「えぇ、で、望愛の明後日の用事もお日さま園の仕事でその日は夜勤になるから朝はお日さま園の仕事はありませんよ?」
「なら、その明日と明後日あなたと私で望愛に選んで貰おうじゃないか。」
え?俺はまたもやびっくりして風介君を見た。
それってつまり明日と明後日はこの二人のデートに付き合えと言ってるのか?俺は、頭の中こんがらがっていると、谷村君はいいでしょうとなんか受ける気満々に言った。
「ちょっと待った!風介、望愛の気持ちを尊重しようよ」
「そうだな、望愛はいいか?」
「それで二人が納得するなら、俺はいいけど」
「決まったな、なら、私は明後日に行こうじゃないか!」
「なら、僕は明日に。それでは、今日は此処で失礼します、それでは望愛さんまた明日」
はい、また明日。
完全に谷村君が居なくなると、皆は一斉に風介君に詰め寄った。
「おま!風介、お前何言ってんのか分かってんのか!?もし、望愛があの谷村って奴選べば、お前と別れんだぞ!!」
「そうですよ、やっと実を結んだのに!!」
「望愛も望愛で、何であそこで良いと答えちゃってるの!!」
「皆の言う通りだが・・・」
「確かにああするしかなかった様な気がする」
俺と風介君が言ったら、更なる説教が始まった。
その説教はお姉さまが帰って来るまで続いた。
~次の日~
「はあ~・・・」
「望愛、やっぱり乗り気しないんだな」
夏彦君が大量の洗濯物を持ちながら、そう言った。
それはそうだけど、谷村君が納得するならこれしかないと思うから。
仕方ないんだけどね。
「それもそうね、絶対あんな男に惚れちゃ駄目よ!!」
「分かってるよ、愛ちゃん」
その時だ、狩屋君が慌てて部屋に入ったと思ったら、夏彦君に激突。
俺と愛ちゃんは倒れた洗濯物と洗濯物の下敷きとなっている夏彦君を見た。
わお、さすが円堂君の所で鍛えている雷門中。
「どうしたの?狩屋君」
「ちょ!玄関の前何ですか!?何か、知らない人が花束持ってましたけど!!」
「それって、あの谷村じゃないの?」
「そうかも」
俺は玄関のドアを開けに行くと、目の前に花束があった。
それも薔薇!高そう・・・。
「お・・・おはよう、谷村君」
「おはようございます、望愛さん!」
大丈夫かな?この仮デート。
続く
~次の日~
「え!?風介君が二日酔い!!」
俺は修児君からの電話に驚いて、回覧板を持ってきたお婆さんに変な目で見られた。
そう言えば、昨日の電話で晴矢君達と飲んでるとか言ってたな~。
風介君ってお酒なんて飲めないのに・・・どうしたんだろう?そんな事を考えながら、回覧板のお婆さんから回覧板を受け取り、再度修児君に連絡する。
「ごめんね、で、風介君ってお酒飲めないんじゃなかったっけ?」
『そうなんだけど・・・俺が迎えに行ったら、もうべろべろのでろでろ。見た瞬間に、二日酔いだなとは思ったけど・・・。』
そんなに飲んだんだ・・・。
『俺は休みなんだけど、同じく昨日飲んでた茂人と夏彦も二日酔いでさ、今日のお日さま園出勤が愛しか居ないからその手伝いしないといけないから、風介さんの様子見て来てくれない?』
「うん、一応茂人君と夏彦君の様子も見て来るよ。そう言えば、飲んでたのって晴矢君もだけど、晴矢君は二日酔いじゃないの?」
『晴矢は元々酒豪だからね。多分、風介さんは晴矢に張り合って飲み過ぎたんだと思う』
「考えられるね、じゃあ、愛ちゃんお願いね。夜には交代するから」
一応・・・三人は今後お酒は控える様に注意しておこう。
出勤日じゃなかった風介君はともかくあの二人って出勤日に二日酔いって・・・。
そう思いながら、俺は車を運転しながらまず同居してる茂人君と夏彦君の家に向かった。
お日さま園の近くの家に住んでるって前に言ってたよね?まさか、これ?俺は厚石と言う表札と熱波と言う表札を見て、疑心してしまった。
「まあ、悩んでてもしょうがないよね。」
俺はインターホンを押すと、数分後はーいと苦しそうな表情が思い浮かびそうな声が聞こえた。
俺の名前を言うと、がたがたッと何か落ちる音がして入っていいと言う声が聞こえた。
「お邪魔しま・・・何があったの?」
「いや、まあ、ちょっと寝相が・・・頭が痛い」
「修児君から聞いたけど、昨日凄く飲んでたみたいだね。」
「晴矢さんに勧められて・・・つい」
「だからって、出勤日に二日酔いは・・・。修児君が代わりに行ってくれてるから」
「「あははははは・・・・」」
俺は二人に注意して、家にあった頭痛止めを置いて、二人の家を後にした。
多分、一番の被害者は風介君かも。
俺は家の中でゲッソリしてるであろう風介君を想像して、風介君の家に向かった。
それにしても・・・風介君の家ってあんまり行った事ないけど、晴矢君の話じゃ凄い田舎って言ってたな。
「そう言えば・・・お日さま園の時・・・」
~お日さま園(望愛高校生)~
「ただいま~」
「お帰り、望愛。今日も大変だったね」
高校生になって、俺は普通に言うとお金に余裕がなかった。
だから、余裕が出来るまではお日さま園でお世話になって貰っていた。
そこには、お金には余裕がありそうな風介君とかも居て、最初は不思議で仕方なかったけど愛ちゃん達みたいに年下の子も居るから、少しばかり恥ずかしかったから嬉しかったけど。
「うん、わあ~。本当、高校でもモテるね」
「今日も朝と帰りに大量のラブレターが入ってたよ」
「嫌味か何かかって晴矢君なら言いそう・・・。」
「嫉妬?」
「まあ、うん。それより、風介君って何で一人暮らししないの?」
「・・・・秘密」
「教えても良いじゃん!」
そこで俺がむくれたのも憶えている。
風介君がそんなむくれた俺に困った顔をして、何か悩んでいたのも憶えている。
「じゃあ、望愛が自分でキスしてくれたら教えてあげるよ。」
「え!?」
「まあ、今じゃ無理だからいつかね。約束してあげるよ」
「本当!じゃあ、約束!」
~回想終了~
風介君・・・この約束憶えてるかな?憶えてくれていたら、嬉しいけどな・・・。
そんな事を考えていると、風介君の家に着いていた。
わあ・・・本当に田舎だ、のんびりできそう・・・。
「よっし!」
俺は気合を入れ直して、インターホンを押した。
続く
~風介の家~
「失礼しまーす、やっぱり倒れてる」
俺はリビングに入ると、うぅと言う呻き声と共にげっそりとしている風介君を見て、苦笑した。
昨日お酒飲んだのが悪いと思うけどね。
「ん・・・あ、望愛か・・・。」
「大丈夫?修児君から聞いたよ、昨日すっごいお酒飲んでたって」
「あぁ・・・、昨日の出来事もあんまり覚えていない」
「だろうね、風介君お酒飲んだらぶっ倒れちゃうのに・・・。昨日はよくぶっ倒れたなかったね」
俺はそう言いながら、風介君を起こして、水を飲ませた。
俺は皆から晴矢君とは比べ物にならないくらいの酒豪だと言われている。
風介君は俺とは反対ですっごく酒が弱い、なんて言うかお酒のにおいを少しでも嗅いだら少し酔っちゃう。
初めてその光景を目にした時は、びっくりしたな~。
「・・・・」
「?どうしたの」
「あ、いや、昨日の仮のデートはどうだったかなって・・・。あれは無理矢理私が提案した物だから」
「気にしないで、デートって言ってもお日さま園の話とかしてただけだし。」
「そうなのか?」
「うん、それにずっと固まってたしね。俺」
風介君は安心したのかフワッと優しい笑みを浮かべていた。
心配してたんだ、俺が谷村君に惚れるんじゃないかって。
「心配した?安心してよ、俺は風介君が好きだからさ」
俺は頬を赤らめながらそう言って、風介君にキスをした。
俺はキスをやめて風介君を見ると、風介君の顔は真っ赤になっていた。
いつも風介君からキスするからね。
俺からキスしてきたことに驚いたのかな?俺はそう思うと、クスッと笑ってしまう。
「風介君、顔真っ赤」
「そ・・・それはそうだ!い・・・いきなり」
「風介君だって、いきなりして来るから。そのお返しかな?それとさ、高校生の時憶えてる?」
「いつのだ?」
「えっと・・・お日さま園に居た頃。あの時、風介君お金に余裕あったでしょ?でも、一人暮らししてなかったし」
「あぁ、あれか?約束だからな、教えてあげるよ、耳貸して」
俺は言われた通り、風介君に耳を貸すと風介君は教えてくれた。
その言葉を聞いて、俺は顔を真っ赤にして数秒間は言葉に出来なかった。
風介君と言えば、仕返しと言わんばかりの悪戯な笑みを浮かべていた。
「それ・・・本当なの?」
「あぁ、本当。そう言えば、望愛の誕生日って今日だったな」
「う・・・うん」
「なら、昨日の夜に渡しに行こうと思っていたんだが、酒を飲んでしまっていたから。だが、今日渡せてよかった」
風介君はそう言って、棚から可愛らしいラッピングをした箱を持ってきた。
俺はそれを受け取ると、中身を確認する為ラッピングを取って箱の中身を見た。
そこには可愛らしいコースターがあった。
数を数えれば、お日さま園で働いている人たち人数分あった。
「これ・・・」
「前に修児から聞いて、作ってみたんだが・・・上手くは」
「・・・ありがとう、風介君」
俺は嬉しくて風介君に抱き着いた。
風介君は少しばかりびっくりしてたけど、すぐに俺の頭を撫でてくれた。
続く
~翌日(ヒロトの会社)~
「望愛・・・気のせいかな?休憩中でも、俺達の背中に痛いほどの視線が来てるんだけど」
徹君がコーヒーを飲みながら、俺をジトと見た。
俺はパンを食べながら、その目から逃れる様に目を逸らした。
もちろん、そんな痛いほどの視線を俺も受けていて、一緒に昼食を食べている修児君や徹君にも被害を受けている。
視線でこんなに痛いって思ったの久しぶりかも。
「あれでしょ?今日の朝の出来事じゃない?」
「あぁ、風介さんの彼女が望愛だって分かったから、風介さんが好きな女子が目の敵にしたって訳ね。」
「淡々とその事話さないでよ・・・。まさか、会社の朝礼で谷村君が来るとは思わなかったんだもん!」
「だからって、あそこで風介さんも望愛は自分の物って言うかな?そのせいで、風介さんも周りの男たちの視線が痛いほど来るって言ってたよ」
修児君はそう言って、自分のケータイを取り出しメールを打っていた。
メールの送り相手と言えば、愛ちゃんかな?愛ちゃんが修児君からよくお昼にメールが来るって嬉しそうに話してたし。
「また愛にメールか?」
「あぁ、まあ兄として心配なんだよ。前にお日さま園の仕事中倒れたって聞いてからずっとメールしてるしね」
「あれね。病院行ったら、ストレスって言ってよ。」
「話し戻すけど、あの後谷村の奴、どうしたんだよ?」
話を戻しましたね。
「まあ付き合えませんって言ったら、また告白に来ますって何か・・・」
「あいつ・・・諦め悪いな。」
「全くだよ、それにしても、今思い出しても望愛もあそこでよく風介さんが自分の彼氏だって言えたね~。やっぱり人間ってやれば成長もするもんだね」
しみじみと語る修児君。
いや、恥ずかしかったしあれ言わなかったら谷村君も諦めてくれなかったかもしれなかったから。
まあ、結局諦めてくれなかったけど。
「お!望愛、彼氏さんがお持ちだぞ」
「え?あ、そう言えば忘れてた!!」
「何を?」
「今日、風介君と一緒にヒロト君に代わって取引先の社長さんに会わなきゃいけなかったんだった!!」
「谷村じゃなきゃいいな。いってらっしゃい」
二人に見送られながら、俺は急いで風介君の所に向かった。
風介君の所に行くと、廊下にも他の女の子の殺気に似た睨みが俺に来た。
「遅いぞ、早く行かないとまた自由奔放社長が怒る」
「あはは、その言い方やめなよ。ヒロト君にクビされちゃうよ」
「その時は、お日さま園で働く」
「その手があったね。」
話してる間でも凄い殺気が来るな~。
どれだけ風介君モテてたのか今分かったよ。
「そう言えば、あのコースターどうしたんだ?」
「え?愛ちゃん達と一緒に使ってるよ、使いやすいって皆に好評だったよ」
「そうか、良かった。そう言えば、今何時だ?」
「もう、10時になるよ」
「!急ぐぞ、望愛!!」
「え!?分かりました!!」
その後、猛スピードで相手の社長さんに会いに行きました。
続く
~社長室~
「お帰り~」
「お帰りじゃないぞ、全く。ほら、相手方の資料さ」
ヒロト君の穏やかな笑みに風介君は嫌な顔をしながら、取引先の社長さんが渡した資料をヒロト君に渡したと言うより投げ渡した。
ヒロト君は受け取るとペラペラと資料を見ながら、満足したのかニコッとまた笑みを浮かべた。
「上出来だよ、いや~風介と望愛二人で行ったらいい情報が入るね。さすが恋人」
「冷やかしならお断りですよ、社長!」
「あはは、望愛を怒らせるとこっちが痛い目に遭うね。あ!なら、もう一つお願いしてもいい?」
「「え??」」
俺と風介君はヒロト君からのお願いにまた声を上げるとは思わなかった。
~夜~
「全く、一人は怖いからって何も私達をパーティーに誘わなくても」
「本当はリュウジ君と行く筈だったけど、リュウジ君が急に具合悪くなったもんね。仕方ないよ」
今俺と風介君は、ヒロト君のお願いと言う事で社長だけが集まるパーティーに誘われた。
俺はドレスと言う物をこれで2度目だ、やっぱり正装は苦手だな~。
「望愛のドレス姿も結構似合ってるぞ?」
「風介君もね、あ、ヒロト君の演説が始まる」
「確か内容は・・・これからの方針だったな。それなら、昨日ヒロトがやって来て、教えてくれたな」
「へえ~・・・確か、日常で役に立つ道具をさらに役に立つ物にするんでしょ?」
「あぁ、私達は席を外しておこう。」
「そうだね」
俺と風介君はそう言って、パーティー会場を後にした。
外に出ると、フワリと微風が吹く。
「そうだ」
「何?」
「これ、望愛にあげるよ。まあ、キザかもしれないけど」
風介君はそう言って、俺の髪の毛に向日葵の髪飾りを挿してくれた。
何で向日葵?と思い、風介君を見ると風介君はその気持ちを察してくれたのかフワッと満月にも負けない優しい笑みで耳元でこう呟いた。
「花言葉」
「え?」
「二人共~!」
俺が尋ねようとした時、ヒロト君の声が聞こえた。
かなり走って来たのか俺達の近くに来るとはあはあと息が乱れていた。
結構ながら頑張って走って来たんだね、社長。
「ごめん、違う社長さん達と話し込んじゃって・・・。二人はもう帰るの?」
「私は家に帰って、明日の仕事の準備だ」
「俺はお日さま園かな?愛ちゃんが何かの資格取るらしくてそのお手伝い」
「そっか、じゃあ送って行くよ」
「ふん、そのくらいはして貰いたいものだ」
風介君は憎まれ口を叩きながら、ヒロト君の車に入った。
俺とヒロト君はお互い顔を見合わせて、苦笑した。
~お日さま園の前~
「ありがとう、ここまで送ってくれて・・・」
「服は愛に預けてるから、着替えはお日さま園でしてね。それじゃあ、お休み~」
「望愛、お休み」
「うん、ヒロト君も風介君もお休み」
俺は二人にそう言ってお日さま園の中に入って行った。
あ、玄関暗いって事は小さい子達は寝たのかな?俺は、静かに廊下を渡り広間に行った。
広間に行くと、今日の家計簿とか付けてある茂人君と部屋の掃除をしている愛ちゃんと食器を洗ってるクララちゃんが居た。
「あ、お帰り~!望愛~~!!」
「ただいま、何か手伝おうか?」
「それじゃあ・・・まず、あそこで寝てるバカ二人を叩き起こしてきてくれないか?」
茂人君に言われ指差した場所を見ると、ソファーにぐーぐー眠っている晴矢君と夏彦君が居た。
あぁ、何となく理解したよ。
あれか、ソファーの掃除が出来ないからか。
それにしても、バカ二人はないと思うけどな・・・。
続く
晴矢君と夏彦君を叩き起こして、それぞれの仕事が終わった。
俺の仕事は二人を叩き起こす事だけだったけど・・・。
今は皆でお茶をしている。
「そう言えば、望愛って髪飾りとかしてたか?」
「え?」
「だから、向日葵の髪飾り。どうしたんだよ?」
晴矢君に言われ、俺は風介君から貰った髪飾りに触った。
あ、晴矢君達なら向日葵の花言葉知ってるかも。
「これ、風介君から貰ったんだけど・・・皆ってさ、向日葵の花言葉知ってる?」
「俺は知らねぇな、茂人は?」
「俺もそう詳しくはないから、夏彦は?」
「知らねぇ~、クララは?」
「愛慕と崇拝ぐらいしか・・・愛ならわかるんじゃない?」
「私は知ってるわよ、いや~風介さんもすっごいロマンチストね」
愛ちゃんの笑顔に?マークが頭の上で踊る晴矢君と茂人君と夏彦君と俺。
その様子を見た愛ちゃんは呆れた様な溜息でこう言った。
「向日葵の花言葉は・・・」
~風介の家(作者目線)~
「本当、風介も望愛が大好きだね。まあ、分かるけど」
「それはいいとして、何故貴様が私の家に居る!!」
風介はボキッと鉛筆を折ると、まるで自分の家の様に寛いでいるヒロトを睨んだ。
ヒロトは硬い事言わないでよとコーヒーを飲みながら、風介を落ち着かせた。
「それに・・・向日葵の花言葉知って・・・向日葵の髪飾りまで買うとは思わなかったけど」
「おま!何故、お前が知ってる!!」
「緑川と出掛けた時に、たまたま見かけたんだよ。緑川の勘って凄いね~、“あの髪飾りは望愛にあげるんじゃない?”って言ったからね。まあ、中学の時なんか円堂君達居るのに告白したもんね。」
「貴様・・・それ以上喋ると三途の川に渡らせるぞ」
「お~怖い」
ヒロトは冷や汗を掻きながらコップを台所に置きに行った。
風介と言えば、顔を真っ赤にしながら明日の仕事の準備に取り掛かった。
~お日さま園(望愛目線に戻る)~
「「「「ほう~~~~」」」」
花言葉を聞いた晴矢君達は、顔をにやけさせながら俺を見た。
俺と言えば、もうその場にカチンコチン。
風介君が多分この場に居たら、全員殴ってるだろうな(愛ちゃんとクララちゃんを除いて)。
「あら?望愛どうしたの?」
「今日はもう帰るよ、眠くなってきた」
「そう?最近ストーカーも多いから気を付けてね」
「お休み」
「お休み~、また明日」
俺はお日さま園を後にした時、愛ちゃんが言った言葉を思い出した。
『向日葵の花言葉は・・・私は貴方だけを見つめます』
「もう、それは俺もだって・・・あの時からずっと」
俺は急いで家に帰って庭に向かった。
俺もある花を風介君に贈ろうかな。
~数日後(風介の家・作者目線)~
「宅配でーす」
風介は玄関のドアを開けると、ブーゲンビリアの可愛らしい花束が目の前にあった。
風介は届けられたブーゲンビリアを受け取り、花束を見ると、その中には小さなメッセージカードが置かれていた。
「何だ、これ?・・・ブーゲンビリアの花言葉・・・か。」
風介はメッセージカードの中身を見て、小さな笑みを浮かべた。
「飾っておくか・・・私の大事な彼女がくれたんだからな」
風介はブーゲンビリアの花束を花瓶に移して、幸せそうな表情を浮かべた。
メッセージカードに書かれていた言葉、望愛が送った言葉はこうだ。
『ブーゲンビリアの花言葉『情熱・貴方は魅力に満ちている・貴方しか見えない』
風介と望愛の幸せそうな表情を知っているのは双方が贈った花と花の髪飾りしか知らないのであった。
そして、その数年後その二人が共に歩む人生を送るのはまた別の話。
終わり
望愛のデート(晴矢編)
「~♪あ、来た!」
俺は今、ワクワクしていてドキドキしている。
何でかって?それはね、今日は久しぶりに俺の彼氏である晴矢君とデートする事になったのだ。
俺と晴矢君の仕事上の都合が全然合わなくてデートは全然出来ないのだ。
だけど、今回は訳が違う!今日の私の仕事は休みで晴矢君の仕事も休みなのだ。
「よお、待ったか?」
「全然待ってないよ!遅刻してたら怒ってたけど」
「時間に厳しいのは治さんの影響か?まあ、いいや!久しぶりに望愛と二人だし!」
「もう、恥ずかしいよ」
「わりぃわりぃ、で、何処行くんだ?」
晴矢君に聞かれ、俺は鞄の中に入って居るチケットを取り出した。
え?このチケットは何って?このチケットは遊園地のチケット。
何処で情報を仕入れたか分からないけど、ヒロト君が晴矢君と行っておいでと言ってくれたものだ。
さすがヒロト君だと思ってしまったのは秘密にしている。
「ここの遊園地が良いな、今、ひまわり祭って言うお祭りもやってるし」
「望愛はひまわりが好きだもんな。いいぜ!じゃあ、しゅっぱーつ!」
「え!?ちょ待って!!」
俺は晴矢君の後を追いながら、遊園地に向かって出発した。
その遊園地はあまり遠くなく電車で行けば3駅なのだ。
それまで今の仕事の話とか遠くに行ってしまった俺達と同じお日さま園で暮らしてた子達の今の様子とかを話した。
「そう言えば、杏ちゃん。最近仕事の方も上手くやってるんだって!」
「へえ~、確かあいつ・・・看護師だったよな。最初の頃は泣き付いて来たのにな~」
晴矢君は感心しながら首を縦に振った。
そう、晴矢君の言う通り、杏ちゃんは最初看護師の仕事に戸惑って失敗ばかりしてしまい、先輩の看護師さんによく怒られて、俺や晴矢君や他の子達に泣き付いてきたのだ。
杏ちゃんが泣く所をあまり見た事がない俺は励ます事しか出来なかったけど、晴矢君や皆は自分が決めた物だとか泣き付くならやめろときっつい言葉を浴びせていた。
さすがの俺も泣きそうになり、皆に迷惑を掛けたのは言うまでもない。
「でも、あそこで望愛が泣くとは思わなかったぜ」
「何か・・・自分に言われてる様な気がして・・・」
晴矢君は苦笑いをしながら俺が泣いたところを思い出していた。
俺はと言うと、エイリア学園での黒歴史よりそっちが何よりの黒歴史となった。
その後、杏ちゃんは元気になって看護師の仕事を頑張っている。
お日さま園の頃みたいに殴ってなきゃいいなと思ったのは晴矢君もだ。
「お!そろそろ駅だな」
「そうだね、それにしてもここで降りる人いっぱいだね」
「そうだな・・・そんじゃ離れねぇように・・・」
そう言われ、晴矢君は俺の手を握った。
俺は驚くよりも嬉しさが込み上げてきた、晴矢君の手を握り返した。
案の定、ここで降りる人は多かった。
やっとの事ながら人いっぱいの駅から抜けると、俺は深呼吸した。
「んじゃ、目的地までしゅっぱーつ!」
「フフ」
晴矢君の後姿を見て、中学生の時の彼と変わっていないと思った。
いや、変わったら変わったで俺が一番困るかもしれない。
お日さま園の頃からヒロト君と玲名ちゃんに並ぶリーダーみたいな存在だ。
友達になろうと言いだしたのは晴矢君だったし、いじめられた時も誰よりも早く駆けつけてくれたのも晴矢君だった。
「どうした?」
「え?ううん、晴矢君は変わってないな~って」
「え!?変わっただろ、背とか」
「そうだね、前はヒロト君と風介君より身長小さかったのにね」
「やめろよな、風介は髪の毛がヤバイから高いだけだ」
そうなのかな?俺は苦笑しながら晴矢君の隣に並ぶ。
辺りを見れば、カップルの人が多い。
あ、俺もか。
「どうした?」
「え?何が?」
「何か・・・すっげー俺の手握るから」
晴矢君の真っ赤な顔に俺は自分の手を見ると、確かに握っていた。
「あ、えっと、ごめん!」
「いいよ、気にしてねぇから!着いたぜ、遊園地!」
「本当だ!うわ、花壇がひまわり!」
「そうだな、んじゃ、行くか!」
「うん!」
俺が頷くと、晴矢君は俺の手を握って遊園地の中に入った。
さあ、一体どんなデートになるのかな?
続く