イナズマイレブン〜俺はエイリア5TOPのペットです〜

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1:太陽と月◆i6:2016/07/04(月) 22:24

イナズマイレブンでエイリア学園のお話です!

50:太陽と月◆i6:2016/07/12(火) 11:33

番外編望愛の恋(晴矢編)

いきなりやる事になった王様ゲーム。
俺は付いて来れていないよ、だって、自分の部屋で本を読んでいたら・・・

〜回想(望愛の部屋)〜

「望愛〜〜〜!!」

「ん?」

愛ちゃんと杏ちゃんが部屋に入って来た。

「ん?じゃないわよ!」

俺の頭には?が浮かぶ。

「夏休み恒例の王様ゲームやるよ!」

〜回想終了〜

そう言えば、小さい頃からそんなのやったっけ?宿題を代わりにやらされたり、猛暑の中アイスを買いに行ったり、読書感想文書かされたり、俺はその夏休み恒例の王様ゲームでこんな体験を地獄のようにやって来た。
5年前からずっとエイリア学園でそんな物やってなかったから、すっごい忘れてた。

「はあ〜、今年もはずれくじだよ」

「望愛の場合は、読書感想文全員分書いてたもんね」

「今年は人権作文もあるからな〜」

「そん時はそん時だって」

夏彦君・・・あんたがその読書感想文全員分書けって言った事、俺は忘れてませんからね。
そして、始まった・・・。

「「「「「王様誰だ」」」」」

「あ、私だ」

玲名ちゃんか、玲名ちゃんなら鬼畜名命令はしないだろうな〜。

「なら、3番は今日の当番を全部やる事」

3番って・・・俺かよ!!

「望愛が3番」

「ちょ!華ちゃん!!」

「と言う事で、昼ごはんよろしく〜」

怒ると笑顔が引き攣るって本当なんだな〜。
まあ、エイリア学園じゃ昼ごはんは全部俺が作ってたけど・・・。

「じゃあ、次だ」

「「「「「王様誰だ」」」」」

「あ、僕だ」

修児君の場合、何だろう?悪寒が走った。

「じゃあ、10番の子はお日さま園全員分の人権作文を書く」

「・・・・・「望愛・・・10番ね」

布美ちゃん・・・、言わないでください。
そして、皆の同情の眼差しが痛い。

「望愛って、こう言う時の運はすっごい悪いからね」

「うぅ〜〜〜・・・、もう次やろう」

本当に泣きそうだよ、自分の運に。
そして、次の王様は数男君だった。

「じゃあ、4番は全員の部屋を片付ける。で、4番誰?」

全員の目が一斉に俺に来る。
一応言おう、俺が4番だ。

「望愛・・・ドンマイっぽ」

「ルルちゃ〜〜ん!」

「じゃあ、次で最後かな?」

「おう、これ以上やったら望愛の身が持たないからな」

晴矢君の言う通り、そろそろ精神が・・・。
そして、次の王様は・・・俺!?

「王様誰?」

「はい・・・・」

「「「「「望愛!?????」」」」」

まあ、そんなやって欲しい事ないし・・・。
皆の顔を見れば、顔真っ青、ちょっと面白いかも。
まあ、簡単な奴でやっとくか。

「じゃあ、2番の子はどら焼き買って来て」

「あ、2番俺じゃん。金、あったっけ?」

2番は晴矢君だった。
どら焼きは俺のおやつの中でも大好物中の大好物だ。
どんなもの買って来てくれるかな?

続く

51:太陽と月◆i6:2016/07/12(火) 11:59

「はあ〜、あ〜当番終った〜〜!!次は・・・人権作文か・・・」

俺は掃除機を掃除用具に片づけると、全員に渡された作文用紙と全員が書く人権作文のテーマと睨めっこスタート。
先に・・・王様だった修児君のからやろう・・・。
そんな作文にずっと熱中していると、時間は過ぎて行った。
全員分やっと終わったと思ったら、もう夕日が沈む所だ。

「やっと、終わった〜〜!」

「お疲れ様、望愛」

「あ、修児君。いや、これ、鬼畜にも程があったけどね」

「ごめんね。あ、そう言えばこれ」

修児君が袋を渡して来て、袋の中を見ると、俺が好きなどら焼きが2個もあった。
俺、どら焼きは1個でいいって言ったのに・・・。
修児君の話だと、陰からこっそり見ていた晴矢君が疲れには甘いもんが良いだろと言う事で、追加で買って来てくれたのだと言う。

「そっか・・・、そう言えば、おやつの時間のおやつ忘れてた」

「いや、皆も遅いって思って広間に行ったら熱心にやってるから」

「あははは、ごめ〜ん。あ!夕食」

「頑張ってね」

何にしよう。
あ!そうだ!!

〜夕食〜

「あ、望愛終わったのって!今日はハンバーグなんだ!」

杏ちゃんが先に来ると、テーブルに置いてある食事を見て目を輝かせた。
そう言えば、お日さま園じゃあ俺が料理する時は大抵は栄養を考えた物だ。
ハンバーグを作った事に珍しさもあるのかも。

「あ、はい。杏ちゃんの作文」

「わ〜!すっごい書いてる・・・。」

「パソコンとか俺のファイル全部見て、皆の書いたからね」

「さっすが!作文じゃ望愛には勝てないもんね」

「そんな事ないよ、あ、皆来た」

俺が言うと、泥だらけの皆が帰って来た。
そう言えば、サッカーして来るって言って、外に行ってたんだっけ?
俺にはもうそんな元気の欠片がないけどね、人権作文のおかげで・・・。

「それじゃあ、食べよう「待て、晴矢が居ないぞ」あ、本当だ」

風介君の言葉にヒロト君も晴矢君がいつも座ってる席を見て、口を大きく開けた。
いつもなら座ってる筈なのに・・・。
寝てんのかな?そう思い、部屋を覗くと、スースーと寝息の声と暗い部屋に一つだけの明かりがあった。
あぁ、つまりゲームしてたら寝むちゃったのかな?俺はソッと晴矢君の部屋のドアを閉め、皆に寝ていたからと説明した。

「あれ?望愛、晴矢のご飯どうするの?」

「起きたら食べさせるよ、晴矢君ってば起きたら飯は?って聞くから」

「確かに」

ラップを掛けとこう。
皆は食べ終わると、俺は皆の部屋の片づけに出発。
と言っても、あまり散らかっておらずこれはすぐに終わった。
後は、晴矢君の部屋の片づけだけ。
晴矢君の部屋は絶望的に汚いからやった事ないんだけど、今回も汚いだろうな〜。

「入るよ、ってまだ寝てる」

部屋の電気つけるか・・・。
電気をつけると、予想外に綺麗。
すると、ん〜と声が聞こえ、見ると晴矢君が目を覚ましていた。

「望愛?」

「おはよう、よく眠れた?」

「おかげさまでって!飯は!?」

「あるよ、起こしに行ったら寝てたから」

「起こしてくれよ〜。で、何だよ?今日の飯!」

「ハンバーグ」

俺が言うと、晴矢君は目をキラキラと小さな子供がするような目でやったー!と喜んだ。
そう、ハンバーグは晴矢君の大好物だ。
どら焼き2個買ってくれたお礼に、作ってあげたのだ。
どんな顔をして食べてくれるのかな?

続く

52:太陽と月◆i6:2016/07/12(火) 18:26

「うめぇな、望愛はってこんな料理上手だったっけ?」

「失礼だな、こう見えてもエイリア学園じゃ皆の料理作ってたんだから」

「昔はあれだけ不味かったのにな」

そう、小さかった頃の俺は皆がその場で吐いた位の不味さ。
一応その料理を食った俺もこの場で吐いた位だ、作った張本人の俺が。

「後、その、どら焼き、ありがとう」

「・・・!別に、俺の作文も書いてくれてんだし、いつも世話なってるしな」

そう言えば、晴矢君は憶えてるかな?小学校の頃・・・。
俺がいつも虐められていたら、いつも晴矢君が俺を守ってくれた。
だから、自分が虐められても俺を守ってくれた。
その時から好きだったのかな・・・晴矢君の事。

「お〜〜い、望愛」

「!ど・・・どうしたの?」

「いや、ずっと俺の事見てたからさ。そういや、お前憶えてるか?小学校の頃、よくお前が虐められて俺が助けて、俺が虐められたらお前が助けた事」

「憶えてるよ、俺が毎回助けたら晴矢君すっごい怒ってた事も」

「だ・・・だってな、女のお前に助けられるのがなんか恥ずかしかったんだよ」

「でも、俺は嬉しかったよ。いつも真っ先に助けてくれたのは晴矢君だったから、凄い嬉しかったよ」

俺が言うと、晴矢君の顔は真っ赤になった。
そして、今の言葉が爆弾発言だと気付いた俺も顔を真っ赤にした。

「あ、えっと・・・一緒にどら焼き食べよっか・・・」

「お・・・おう!」

と言う事で、晴矢君の遅い夕食は終わって、デザートとしてどら焼きを食べている。
でも、話す内容が思いつかない。
あんな爆発発言しちゃったもんな〜。

「あのさ、お前このどら焼き好きなのか?」

「あ、うん。ここのどら焼きは味が違うからね。って、これ俺がいっつも行ってる和菓子屋の奴!高かったでしょ?」

「あ、それがさ、望愛ちゃんの友達かな?って和菓子屋の親父が俺に言って来て、サービスでどら焼き2個くれて、安くしてくれた。あ、あと望愛、頬にあんこ」

「え、あ、本当だ「取ってやるよ」

俺が取ろうとした時、晴矢君が舌で舐め取った。

「ふえ!?」

「その、さっきのセリフ・・・、俺の事さ好きでいいんだよな?」

「/////」

俺がコクッと真っ赤な顔で頷くと、晴矢君が優しいキスをした。
そのキスは甘いキスでした。

晴矢編終わり

53:太陽と月◆i6:2016/07/12(火) 22:27

特別企画第2弾スタートです、はい!

「また?」

また?とは何だ!また?とは!!

「だって、前は不動君と絡ませたから・・・」

お〜?不満?ふ←殴られた

「最後に一言は・・・?」

すいません、ありませんですはい。
まあ、話しを変えると、今回はもう夏っすから、海を絡ませようかと。

「・・・・・・」(汚物を見る目をしています)

そんな目やめてよ!!悲しいし傷つく!!
まあ、うん、ちゃんと楽しい物にしてあげるから。

「・・・・・・」(疑いの目+汚物の見る目)

悲しい・・・(´・ω・`)
まあ、望愛ちゃんが嫌って言ってもやるけどね!

「と言う事らしいから、またFFI編お休み?」

そん事、さすが望愛ちゃん。
ついでにある子を出すつもり。

「ある子?誰よそれ?」

はい、出て来てもらいましょ!どうぞ!

「やあ、望愛姉」

「げっ・・・、何でこいつよ」

え?来夢がうるさく言って来たから・・・。
あ、設定上FFIは終わってるよ!

「つまり・・・中学3年生ね、俺達は」

そん事!さすが〜!
それと、俺っ子キャラやめてみる?

「は!?お前が考えた設定だろ!?」

メタイっすよ、望愛さん。
と言う事で、まあ雷門の子達も登場する予定ですよ〜!お楽しみ〜!

「は!?ちょ!!」

54:太陽と月◆i6:2016/07/15(金) 22:13

夏色染まる海と祭り(特別企画第2弾、望愛目線)

今日は、お日さま園の皆で隣町にある海辺の夏祭りに行く事になった。
皆ウキウキしながら、お姉さまがくれた浴衣を着ている。
あ・・・えっと・・・一応俺も浴衣を着てるからね。

「望愛!どうかな?」

「うん、可愛いよ。愛ちゃん似合ってるよ。」

「えへへ〜、望愛も浴衣似合ってるよ。いつもジャージとかで過ごしてるもんね」

「だって、動きやすいんだもん。あ!愛ちゃん、ちょっと待っててね」

「?うん」

確か、自分の机の中にあった筈・・・。
あった!!
俺はその机の中にあった物を愛ちゃんの所まで持ってきた。

「愛ちゃん、ごめんね。」

「いいよ。わあ〜!可愛い髪飾り!!」

「これ、愛ちゃんに貸してあげるね」

「いいの?」

「うん、俺は違う髪飾り付けるからさ。それに愛ちゃんだけ髪飾りなかったでしょ?」

「見てたの!?」

「見てたって言うか修児君と話してたら聞いただけだよ。付けてあげるね」

俺はそう言って、愛ちゃんの髪の毛に髪飾りを付けてあげた。
愛ちゃんの赤紫色に似合う薄い赤い色の髪飾り。
やっぱり、俺より愛ちゃんの方が似合うな〜。

「出来た、はい鏡」

「すっごい〜!ありがとう望愛」

「ううん、お兄ちゃんに見せておいでよ。」

「うん!」

愛ちゃんは満面な笑みを浮かべて修児君の方に行ってしまった。
俺も髪の毛を変えようと思い、自分の部屋に向かった。
どうしようかな・・・、そうだ!

「玲名ちゃ〜ん、布美ちゃ〜ん」

「どうしたんだ?」

「あら?望愛が髪を降ろすなんて、珍しいわね」

「えへへ、あのさアイロン貸してくれない?」

「あぁ、確か今布美子が持っていたな」

「いいわよ、はい。出発までまだだからね」

あの二人はおしゃれだからな〜、すっごい綺麗だった。
さて、俺は俺で準備しよう・・・。

「望愛〜!出来た?」

「あ、うん、」

「望愛は可愛い〜!そうだ、髪飾り貸してくれたお礼にお兄ちゃんが玉簪くれたの!」

「え?いいの?」

「うん!お兄ちゃんも貸してあげなよって言ってたから」

「じゃあ、お言葉に甘えて貸して貰うね」

俺はそう言って、ポニテールの所に玉簪を付けた。
シャラリと音が鳴り、愛ちゃんを見ると、愛ちゃんはニコッと可愛らしい笑顔をした。

続く

55:太陽と月◆i6:2016/07/16(土) 00:01

夏色に染まる海と夏祭り2話(望愛目線※大抵は望愛目線です)

お日さま園を出て、皆で駅に向かっていた。
周りを見て見れば、俺達だけじゃなく他の人も浴衣を着ていた。

「望愛」

「どうしたの?修児君」

「いや、髪飾りの事。お礼を言おうと思ってね。愛が嬉しそうだったよ」

「良かった、気にしなくていいよ。俺もありがとうね、玉簪貸してくれて」

「ううん、気にしないで。」

俺と修児君は小声で話しながら歩いていると、誰かにぶつかってしまった。

「いてて・・・すいませんって!お婆様、お爺様!それに来夢!」

「望愛姉、久しぶり〜!」

俺達がポカーンとしていると、来夢が俺にくっついてきた。
来夢はガルシルドに利用された後、お婆様とお爺様に謝って今はりっぱな当主をやってるらしい。
何故か甘えん坊上手は日に日にうまくなっている。

「来夢はどっか行くの?」

「うん!夏祭りで僕が作った能面で舞を披露するから、今向かってるんだ〜!」

「え!?舞を披露するって、来夢が?」

「そうだぜ!ヒロト!!祭り始まる2週間前からずっと練習だったんだぜ・・・」

来夢はそう言って、お婆様の所に行った。
あ、車なんだとこの時多分全員が思ったところだろう。
思った矢先に車が現れて来夢達は乗って何処かに行ってしまった、本当に来るまで行っちゃったや。

「ま・・・まあ、早く行こうか。お祭り」

「そうだな」

ヒロトの言葉に皆頷き、また歩き出した。
海・・・か・・・。
久しぶりかな、海に行くの・・・。
お日さま園じゃすぐにエイリア学園に行っちゃったし、エイリア学園終った時は追いついてなかった勉強で海に行けなかったし、最後に行ったのは小学1年生の夏休み、お日さま園に入る1週間前だ。
そして、お日さま園に入る前日明日海に行こうと約束したが、その後すぐにその約束は果たされない物となった。

「望愛?」

「!どうしたの?穂香ちゃん」

「え?だって、私が喋ってるのに、望愛、ボーっとしてるから」

「ごめんね。何か海って聞くとお父様とお母様の事思い出しちゃって」

「確か・・・飛行機墜落事故よね。そのニュース・・・私も見てたから分かるわ」

「まあ、お母様とお父様を殺した犯人は分かったから、気にしてないんだけどね。そうだ!お祭りの時、一緒に回ろうよ!」

「いいわね、杏は玲名と華と回るって言ってたし。」

俺と穂香ちゃんはクスクスと笑った。

続く

56:太陽と月◆i6:2016/07/16(土) 12:26

夏色に染まる海と夏祭り3話

夏祭りの会場に着くと、皆はそれぞれ友達と夜店を回る事になった。
俺は穂香ちゃんと回る事になった。

「穂香ちゃんは何処回る?」

「そうね・・・、金魚すくいはどう?」

「いいね!俺もやろう!」

金魚すくいをやると言う事になり、金魚すくいの夜店に向かった。
着くと、見覚えのある帽子が目に入った。
あれって・・・・

「あの〜・・・松野君?」

「ん?あれ!望愛じゃん、望愛も居るんだ!」

松野君がそう言って、金魚が入って居るであろう器を持ちながらこちらを向いた。
チラッとその器を見ると、金魚が気持ち悪いほど入って居た。
俺がドン引きしていると穂香ちゃんが耳打ちした。

「望愛、この人は?」

「あぁ、雷門サッカー部の松野空介君。」

「皆からマックスって呼ばれてるんだ。そうだ!望愛、金魚あげようか?」

そんな気持ち悪い程居る金魚は全力でお断りです。

「松野君、いくら器用でもその量は・・・」

「だよね〜。そう言えば、望愛の隣にいる女の子誰?」

「望愛と同じお日さま園に居る仁藤穂香。望愛がお世話になってるわね」

「こっちも助けて貰ってるからね。「おーい!マックス〜!」半田が帰って来た」

声のした方を向くと、焼きそばを二つ抱えた半田君が走って来た。
松野君は遅い〜とへらへら笑いながら、半田君から焼きそばを貰った。
まず、金魚すくいか焼きそばかどっちかにしようとは思わないのかな?呆れながらそう思っていると、それは金魚すくいのおじちゃんも思ったのか、松野君にやるのか?と聞いた。

「ん〜、もういいよ。お腹すいたし、そうだ!おじちゃん、その金魚3つに分けてくれない?」

3つって、金魚を料理するみたいな言い方だよ。
おじちゃんは意味が分かったのか袋を3つ持って、金魚を同等に袋に入れて松野君に渡した。

「はい、望愛、穂香」

「「ありがとう・・・」」

「じゃあ、僕は焼きそばでも食べて来よう。行くよ、半田」

「ちょ!待てよ!!」

半田君ご愁傷様・・・。

続く

57:太陽と月◆i6:2016/07/19(火) 22:56

そして、お祭りも終わりそうな頃。
皆と集合して、花火を何処で見ようかという話になった。
俺は金魚は死んでないと言う心配と草履に慣れてないのか足が痛い。

「?望愛、どうしたの」

「え?!何でもないよ」

杏ちゃんに言われ、皆の目が一斉に俺に来る。
俺は余計な心配は皆に掛けさせたくない為、足を痛いのを我慢し、何もないと答えた。
足の今の状況を見たいが、何処か座れる場所があったらそこで見ようと考えた。

「それにしても、やっぱり座る場所がないな」

「花火が見れるいい場所も取られてるもんね」

確かに花火が見れるいい場所はすべて知らない人たちが使っていた。
どうしよう・・・、花火見れないじゃん。
そう思った時、聞き覚えのある声が耳に入った。
前を見ると、雷門サッカー部の皆が居た。

「お前ら何してんだ?」

「花火の場所取りに出遅れちまって、場所がねぇんだよ」

「なら、俺達もだよな。俺達も場所を探してるけど、いい場所が無くて」

風丸君があははと苦笑いをしながら沢山の人が居る河原を見た。
皆が溜息を吐いた時、望愛姉!と元気いっぱいの声が聞こえた。
後ろを振り返ると、装束姿で能面を頭に着けている来夢がこちらにやって来た。

「望愛姉たち何やってるの?」

「え?あぁ、花火を見れる場所が無くて」

「なら、俺達の所に来いよ!めっちゃいい場所だぜ!」

そう言った時、後ろから今来夢に仕えている使用人が嫌だのへったくれだの言っている。
来夢はギロッと一睨みすると、その使用人たちは黙り俺達の方に向いた。

「本当にいいの?お婆様達に迷惑掛けちゃうし・・・」

「いいのいいの!婆が何か言ったら俺が言い返すから!なあ、いいだろ?ヒロト、円堂!」

ヒロト君は少し困り顔でお願いするよと言い、円堂君も同じく困り顔で頷いた。
来夢はパアァと顔を明るくし、こっち!と案内してくれた。
着くと、そこにはドンッと構えているブルーシートがあった。
存在感あり過ぎる。

「来夢坊ちゃま!一体どちらへって!お「婆、これは命令だ!望愛姉たちも入れろ!!」ッ!かしこまりました」

さすが、来夢。
お婆様とお爺様の蔑む目を知らないふりしながら来夢に案内場所に皆座った。
俺は後ろで見ようっと。
そして、始まるまで皆と喋っているとバーン!と上空から聞こえて来た。

「始まった!」

「綺麗〜!!」

皆は花火に気を取られてる隙に、俺は草履で痛めた足を見た。
少し親指に皮が剥けている。
痛い・・・。
俺がそう思っていると、絆創膏が目の前に差し出されていた。
前を見ると、風丸君がニコッと笑って絆創膏を差し出していた。

「ありがとう」

「いや、持って来て良かったよ。さっきマックスから望愛が来てたって聞いたからな、前に望愛が草履で足痛めた時も俺や円堂に黙ってたしな」

「やっぱりばれてた?」

「あぁ、望愛はそう言う時はすぐに大丈夫!って言うからな。それより、今日はツインテールじゃなくてポニテールか・・・。これって・・・」

「これ?玉簪だよ。今ちょっと借りてるんだ〜」

俺と風丸君は花火を見ながら色んな事を話していた。

「花火久しぶりだな〜」

「そうか?俺は何度も見てるからな」

「俺はエイリア学園にすぐに入ったから花火見れる機会も無くて・・・海も久しぶりに来た」

「そうだったな、俺も円堂もよく望愛のお母さんとお父さんに連れて行ってもらったな、その分の跡円堂のテンションはすごかったけどな」

俺と風丸君はクスクス笑った。
久しぶりに見た花火は夜空に咲く満開な花で夏色に染まっていた。

続く

58:太陽と月◆i6:2016/07/23(土) 14:10

夏色に染まる夏祭りと海5話

そして、お日さま園に帰って来た。
何とか金魚は死ななかった、奇跡だなと思いながらお姉さまにお願いして水槽を用意して貰った。
穂香ちゃんも手伝ってくれて、金魚も早く水槽に入れる事が出来た。

「あ、玉簪返して来よう」

俺は急いで玉簪を外し、修児君の所に行った。
修児君の所に行くと、愛ちゃんが隣で眠っていた。

「修児君、玉簪ありがとうね」

「ううん、あ、そうだ。これ、愛が。ありがとうだって」

「良かった。って何したの!?二人共」

俺は修児君の机に目をやれば、景品の山があった。
流石の俺もびっくりして聞くと、愛ちゃんと二人で射的をやったらたくさん取れたのだとか。
二人の事だから計算してやったんだろうな・・・。

「あ、これあげるよ」

「これって・・・髪留め?」

「ほら、前に愛と杏が望愛の髪留めで喧嘩して壊しちゃったって聞いたから。明日買いに行く予定だったんだけど、ちょうど射的でね、愛が望愛に似合いそうなものがあった!って」

箱の中身を見て見ると、白い花と赤い花のオブジェが黒いヘアピンにあった。
これ・・・可愛い。
俺はお礼を言うと、修児君の部屋を後にした。
早く浴衣脱いでお姉さまに渡しておこう。
俺は自分の部屋に戻って、杏ちゃんにお願いして浴衣を脱ぐのを手伝ってもらった。


「そう言えば、こうやって望愛と出かけるのって初めてだよね。」

「うん、そうだね。俺が入って来た時は、すぐにエイリア学園に行ったからね」

「望愛が入って来た時、私まだ憶えてるよ。来た時なんてすっごい恥ずかしがってたよね」

「あはは・・・。小さい頃の俺って人見知り激しかったって治君にも言われたよ」

それは俺も覚えている。
最初に仲良くなったのが、杏ちゃんと愛ちゃんと玲名ちゃん。
その次に仲良くなったのが、茂人君と晴矢君だ。
今の俺の居場所は此処だと思っている、まあ、高校生になったらどうするかはまだ決まってない。

「はい、終わったよ。望愛」

「ありがとう、お姉さままだ居るかな?」

「居ると思うよ、早く返してきなよ」

俺は私服に着替え直しお姉さまの所に向かった。
お姉さまを見つけると、お姉さまの様子を窺った。
お姉さまは皆から貰った浴衣を畳んでいた。

「お姉さま」

「あら?望愛。どうしたの?」

「浴衣を返しに来ました」

「そう、ありがとう。そう言えば、貴方宛に手紙が届いていたわよ」

「俺宛?」

俺はお姉さまから手紙を受け取ると、そのまま部屋に戻って行った。

続く

59:太陽と月◆i6:2016/07/23(土) 14:50

夏色に染まる夏祭りと海6話

俺は部屋に戻り、手紙の封を開けた。
便箋の中に書かれている字はお母様の字だった。
読んで行く事にした。

「望愛へ この手紙を読んでいると言う事は約束を果たせていないかもしれないわね。・・・」

『あなたを一人にして心配している、お婆様とお爺様が貴方を虐めるかもしれないと言う考えもある。その時は円堂君の両親と風丸君の両親に頼ってね。短い文だけど、この手紙を持って約束を果たしに行ってね、昔よく遊んだ海の所に』

そう手紙に書かれていた。
今日は確かお母様とお父様の命日。
俺は皆眠っているか確認して静かにお日さま園を後にして、約束の海に向かった。
手紙を持って・・・。

「あ、お姉さまにメールしとこう」

お姉さまに黙って出て来ちゃった。
俺は歩きながら、メールを打った。
メールを打ち終わると、送信と言うボタンを押してケータイをポッケに閉まった。

「遠いな〜。今更ながら言うけど」

もうすぐ着くと言う時に、ケータイから音が鳴った。
ケータイを開くと、お姉さまからのメールだった。
早く帰って来るように書かれていた、俺は少し笑みを浮かべケータイをポッケに閉まって、海岸に向かった。

〜約束の海〜

「着いた・・・」

周りは暗いけど、空を見上げれば星々が沢山あった。

「そう言えば、よく水の掛け合いもしたっけ?その度に俺ってお父様に沢山かけてたな〜」

一人砂浜に座っていると、水面がキラキラと光った。
靴を近くに置いて水の中に入って見ると、また水面がキラキラと光った。
そう言えば、プランクトンだっけ?光るのって。
俺は持って来ていたタオルで足を拭いて靴を履き、帰ろうとした時だ。

『ありがとう』

「!お母様!」

そう叫ぶが誰も居なかった。
だけど、どうしてお母様の声がしたのか少しだけ分かった。
俺は今の俺の居場所に向かってゆっくりと足を進めて行った。

〜望愛が居なくなった海辺では〜

『望愛、これから元気でね』

『大丈夫さ、望愛はお日さま園の子供達と円堂君達が居る。』

『そうね、松一郎さん』

望愛の母・蜜柑は、自分の夫である松一郎に寄り添い星々が輝いている夜空を見上げた。
海辺をもう一度見て見ると、その二人の姿はもう居なかった。

終わり

60:太陽と月◆i6:2016/07/23(土) 15:09

雑談と今後の話

作「やっと終わりました、第2弾」

望愛「だって、貴方・・・途中休んでたでしょ?」

作「それは・・・ネタの為です!」

望愛「ウソつけ。」

作「(´・ω・`)」

望愛「そう言えば、話し変わるけど・・・。FFI編の話ちゃ〜んと考えているのでしょうね?」

作「・・・・まだです^^」

望愛「だろうね。ネタがまとまるまで何するの?」

作「簡単な話、望愛ちゃんの恋の話まだ終わってないので、それを書こうかと」

望愛「はあ!?///」

作「ヒロト君の告白の返事まだだしね。それが終わったら、デートも書こうかとって望愛ちゃんは?」

来夢「恥ずか死ぬ〜〜〜!!って言って逃げたよ」

作「からかい過ぎたか、来夢って好きな子っているの?」

来夢「ん〜〜〜、分からない。でも、愛は可愛かったな〜!」

作「そうなのか〜〜。と言うか、来夢から見て望愛を大切にしそうな人って誰?」

来夢「ん〜〜、風丸とか大切にしそうだけど、ヒロトも風介も晴矢も大切にしそう!」

作「全員か・・・。んじゃ、話は変わるけど今後の事についてね」

来夢「何のお知らせ?」

作「わしにはね、学校と言う物があるんだよ。ワトソン君」

来夢「俺ワトソン君じゃないし、そう言えばうp主って中学2年だよね」

作「そう、そして今は夏休み期間まっしぐらなのさ。宿題も当然ある」

来夢「宿題があるから投稿が遅れると」

作「そういう事」

来夢「その前に見てくれる人が居るのかな?」

作「(´・ω・`)言わないでよ」

来夢「ごめんって、まあそれくらいかな?それじゃあ」

作・来夢「またね〜〜〜!!」

61:太陽と月◆i6:2016/07/25(月) 21:08

番外編望愛の恋(ヒロト編)

風邪を引いた・・・。
俺は自分の部屋の天井を仰ぎながら、ボーっとする頭を働かせようと頑張るが痛みのせいでうまく働かない。
仕方ない、風丸君と円堂君に連絡を入れとこ・・・。
雷門サッカー部の皆に迷惑掛けたくないし・・・。

「うぅ・・・」

「うわ!望愛!!歩いたらダメだよ、症状が悪化しちゃうよ」

リュウジ君が止めてくれるが、今の俺の頭の中には連絡を入れなくてはと言う言葉しかない。
何故、風邪をこじらせてしまったかは、俺が全体的に悪い。
昨日、茂人君が久しぶりに大熱が出てしまったのだ。
その時の俺も少し風邪気味だったが、動けば治ると自分に過信を持ってしまい、茂人君を看病に回ったが、結局風邪は治る所かすっごい悪化した。

「円堂君に連絡入れとく・・・」

「大丈夫かよ?顔真っ赤だぜ?」

「大丈夫だって、寝たら治るよ」

ソファーに座らせられ、俺は電話片手にそう言った。
一応言っておきます、寝ても頭が凄い痛い。
早く出てくれないかなと思いながら待っていると、ガチャと誰かが出た。

『もしもし、円堂ですけど』

「あ、おはよう。円堂君。ゴホッ、ケホッ」

『おはよう望愛!それより、どうした?凄い咳したけど・・・』

「今日、学校休む。風邪こじらせた」

『えぇ!?分かったよ、風丸達にもそう言っておくな。じゃあ、体、気を付けろよ』

円堂君・・・凄い心配してたな〜。
そう言えば、小さい頃からあんまり風邪になった事ないや、これで2度目とは・・・。

「ほ〜ら!早く自分の部屋に戻って、風邪が悪化したら余計サッカー出来なくなっちゃうよ!」

「うん、そうするよ。それじゃあ、皆、学校行ってらっしゃい」

皆それぞれ心配そうな顔をしながらお日さま園を後にした。
俺は皆を見送った後、自分の部屋に戻った。
学校に通えなくなると考えると、すっごい暇だな〜。

「はあ〜・・・、そう言えば今日ってみんな帰ってくる時間遅いんだっけ?」

最悪だ・・・。
その時間まで、俺は一人なのだ。
暇、暇過ぎてしょうがない。
俺は被っていた布団に潜りこんだ。

「そんな事してたら、風邪・・・もっと悪化しちゃうかもよ?」

「別に・・・って!えぇ!!ひ・・・ヒロト君!!何で・・・!?ゴホ、ケホ」

「ほら、そんな大声上げたらもっと悪化しちゃうよ。後、何で俺がここに居るのかは、リュウジ達に頼んで俺、望愛の看病する事にしたから。」

「でも・・・今日、行事の準備があるって・・・」

「それも、リュウジ達に頼んで代わって貰ったよ。今は、望愛の方が優先だしね」

俺は顔をカアァと赤くして、ヒロト君が直視出来ない。
本当・・・ヒロト君って、あれだよね?優しい・・・。
俺は、ヒロト君に見つからない様に胸に手を当てると、胸がドクンと早く脈打っていた。

続く

62:太陽と月◆i6:2016/07/26(火) 21:52

「大丈夫?昨日、無理してたでしょ?」

「わ・・・分かってたの?」

俺はその事を聞いて、少し目を丸くした。
昨日のヒロト君は、ずっと本を読んでていた。
いつ分かったのだろう?と少し疑問に思っていると、おでこに冷たい感触が来た。

「冷たい・・・」

「冷えピタ。後、何で望愛が昨日無理してたのかは、俺は望愛が好きだから」

「え!?///」

いきなりの告白に顔をがまた真っ赤になった。
これでヒロト君に告白されたのは3回目。
1回目はグラン様の時だったけど・・・。
あ、2回目はヒロト君としてか、うん。

「あ、言っておくけど、望愛の答えはいつでも待ってるから。晴矢と風介と風丸君の告白は断ったらしいけど、それって本当なの?」

「え?まあ、うん。後、それって誰から聞いたの?」

「布美子と杏と春奈ちゃんかな」

布美ちゃんと杏ちゃんは、お日さま園の何処かで盗み聞きしたな。
春奈ちゃんも・・・雷門中の何処かで盗み聞きか。
でも、思い返せば、あの三人には悪い事しちゃったな、好きな人は教えたけど。

「好きな人って誰なの?」

「え!?ひ・・・秘密!」

ここだけの秘密、俺の好きな人はヒロト君だ。
三人共応援してやる!って言ってくれたけど、本心は悔しいよね・・・。
と言うか、俺の何処か好きなんだろう?風介君や晴矢君は小さい頃に好きになったって聞いたけど、風丸君は会った時からって言ってたし・・・。
でも、ヒロト君のはよく分からないんだよね〜。

「あ、体温測ろう。体温計持ってきたから」

「うん、ありがとう。」

俺は寝間着の上のボタンを2個外して体温計を脇に挟んだ。
俺はチラッとヒロト君を見ると、ヒロト君は体を後ろに向けていた。
あ、そっか。
俺が女の子の体だから、胸とか見たら、あれだね。
思春期の男の子にとっては、倒れちゃうかもしれないからね。
俺の胸は小さいのにな〜(愛ちゃん達には胸は大きいって言われるけど)。
そう考えていると、ピピピ・・・と脇から音が聞こえた。

「どう?」

「うん、少し下がったかも。」

「良かった、お昼はお粥とすり潰した林檎でいいよね?」

「うん、ありがとう」

ヒロト君ってお粥作れたっけ?大丈夫だよね、そこは。
俺は、布団を被りゆっくりと目を閉じた。

〜ヒロト目線〜

俺は台所で望愛のお粥とすり潰した林檎を作っている。

「お粥は・・・卵でいいかな?」

俺は冷蔵庫から卵を取り出した。
そう言えば、風丸君と晴矢と風介って望愛に告白断られて、好きな人教えて貰ったんだよね。
誰だろう?円堂君?豪炎寺君かな?鬼道君かも知れない?でも、吹雪君かもしれないよね〜・・・。

「はあ〜・・・本当に誰だろう?望愛の好きな人」

気になって勉強にも集中出来なくなりそう・・・。

続く

63:太陽と月◆i6:2016/07/31(日) 19:38

望愛目線

「で、治ったけど・・・ヒロトに風邪がうつっちゃった?」

「うん、さっきしんどいって言って今は自分の部屋で寝てるの」

俺はそう言いながら玲名ちゃんと一緒に夕食の準備をした。
でも、ヒロト君が作ってくれたお粥と林檎・・・美味しかった〜。
優しい味がしたよ、でも、俺のせいで風邪になっちゃったもんな。
責任はちゃんと取らないと!俺がそう意気込んで居ると、肩を叩かれた。

「玲名ちゃん・・・どうしたの?」

「ヒロトの所に行ってやれ、望愛の事だ。自分が悪いとか思っているな看護に行ってやれ」

「ありがとう!玲名ちゃん!」

俺は当番を布美ちゃんに代わって貰い、すぐにヒロト君の部屋に向かった。

「ヒロト君、入るよ〜」

「ゴホ、ケホ、あ、望愛・・・」

「大丈夫!?俺の風邪・・・うつったから・・・」

「大丈夫大丈夫、そう言えば今日って当番じゃなかったっけ?」

「そうなんだけどね・・・布美ちゃんと代わって貰ったんだ」

俺がそう説明すると、ヒロト君はそうなんだと頷いた。
熱のせいで顔が真っ赤だ・・・。

「ご飯は・・・桃とお粥でいい?」

「うん、でも、何で桃なの?」

「えっと、ヒロト君が早く良くなって貰いたいから・・・」

「望愛・・・ありがとう」

ヒロト君は優しい笑みを浮かべながら俺の頭を撫でてくれた。
優しいな、ヒロト君って。

続く

64:太陽と月◆i6:2016/07/31(日) 21:29

「ヒロトの様子どうだ?」

「晴矢君・・・全然よくならない・・・」

お粥を持って来てくれた晴矢君が俺に尋ねて来た。
俺は未だに風邪が治らないヒロト君を見て、小さく呟いた。
自分の病源菌がここまで強いとは思わなかった。

「元気出せって、好きな奴の事、ほっておけねぇのは俺も分かるからよ」

励ましのつもりなのだろうか晴矢君が俺の肩を叩いて、力強い笑顔をでこっちを見た。

「ありがとう、晴矢君。」

「おうよ!あ、あと、桃なんだけどよ。風介が持って来てくれるってよ」

「そっか、風介君にもお礼言わないと」

「じゃあ、俺は部屋に戻るけど、なんかあったら風介や俺に言えよ」

そう言って、晴矢君はヒロト君の部屋を後にした。
晴矢君と入れ替わる様に風介君が桃を持って来てくれた。

「ヒロトの様子は・・・まだ治りそうにないな」

「うん。・・?どうしたの、風介君?」

「望愛、自分の気持ちを隠し続けても気持ちは伝わらないぞ。ヒロトだって、君の事を好いている。だから、伝えて見ろ。君がヒロトが好きだと言う気持ちにね」

「風介君・・・」

そうだね、風介君の言う通りだ。
自分の気持ちに正直になって見よう、俺はそう決め、風介君にお礼を言った。
風介君と晴矢君には、すっごい励まして貰ったな〜。

「そろそろ私は部屋に戻るが、用事があったら言ってくれ」

「うん、本当にありがとうね」

風介君は優しそうな笑みを浮かべながらヒロト君の部屋を後にした。
俺は心の準備の為、何回も深呼吸した。
俺がそうしていると、ヒロト君の目がゆっくりと開いた。

「あれ?望愛。夜ご飯終わったの?」

「まだだよ。あ、はい。お粥と桃ね」

「わぁ!ありがとう、望愛。「後、ヒロト君に言いたい事があるの」何?」

やばい・・・!緊張してきた!!俺はもう一度深呼吸をして、意を決し口を開いた。

「ヒロト君の告白の返事なんだけどね、俺ってあんまりしっかりしてないし、ヒロト君の迷惑になると思うけど、こんな俺でよければ・・・付き合って下さい!」

「・・・・やっと望愛の答えが聞けて、俺、嬉しいよ。こちらこそ迷惑掛けるけど、よろしく望愛」

「うん!」

俺は告白の返事を聞けて、自分でも分かる程顔を真っ赤にした。
それは、ヒロト君も一緒で風邪とは違う嬉しそうに顔を赤くしていた。

〜ヒロトの部屋の前(作者目線)〜

「やっと付き合ったわね、あの二人」

布美子が安心しきった様な声でそう言った。
それには望愛の大親友の愛と杏も嬉しそうにおめでとう!と言っていた。

「そう言えば、望愛のご飯・・・どうしよう」

「あぁ、それなら望愛がヒロトの風邪が治ったら食べると言っていた」

「さすが、玲名。情報が早いな」

伊豆野が驚きを半分にそう言った。

「とは言っても、最後に望愛の背中を押したのは晴矢と風介さんだったんだけどね」

「だな」

茂人の言葉に全員は晴矢と風介の部屋を見た。
その二人は嬉しそうな笑みを浮かべながら、それぞれの趣味に手をつけていた。

終わり

65:太陽と月◆i6:2016/08/01(月) 10:03

望愛のデート(風丸編・10年後設定)

俺は今、お日さま園を離れ、シードが創り出されていると言うゴッドエデンに居る。
あ、もちろんスパイとしてね。
これは、久遠監督、響さん、理事長さんのレジスタンスのミッションとしている。
だから、ここ何年かはお日さま園の皆や俺の恋人の風丸君にも逢えていない。

「皆に逢いたいな〜・・・ん?電話?」

俺が一人そう呟いていると、プルプルプルと着信音が聞こえた。
ポッケからケータイを取り出すと、すぐさま人のいない場所に行き、電話に出た。

「はい。藤咲です」

『お!望愛!久しぶりだな〜、元気だったか?』

「円堂君!」

電話の主は、今母校である雷門中でサッカー部の監督をしている。
時々思うけど、本当に凄いな円堂君って・・・・。

「どうしたの?急に電話なんて」

『それがさ、白恋中との試合で吹雪に教えて貰ったんだ。シードが創り出されてる所があるって』

「そうだけど・・・(あれ?何で吹雪君知ってるんだろう?)」

『でさ、俺と吹雪と壁山と不動と風丸でゴッドエデンの事を調べるんだけど、さっき久遠監督達が望愛も居るって聞いたからさ。一緒に協力してくれないか?』

茫然と言えばいいだろう。
電話の向こうからは、望愛?と心配そうな声で話し掛けて来る円堂君がいた。

「いいけど・・・俺もゴッドエデンのスパイとして潜入してるから・・・」

『わかった!じゃあ、明日船着き場でな!』

「うん、分かったよ。またね」

さっきの沈んだ気持ちは何処へやらと思う程、俺の気持ちは嬉しさで満たされていた。
仕事と言っても、俺は選手のデータを確認するだけと言う何とも地味な作業で、本気でやれば5分も掛からないだろう。
円堂君達に逢えるのも嬉しいけど、風丸君に逢えるのがすごく嬉しいな。

「あ、でも・・・明日の朝に来るのか???」

この後、俺は急いで円堂君に連絡を取って、明日の朝に来ることが分かった。

〜次の日〜

「あ、皆〜!」

円堂君達の姿を見つけた俺は、出来る限りの声で叫んだ。
それに真っ先に反応したのは、円堂君だった。
円堂君・・・しばらく見ない内に凄い焼けてる・・・。

「望愛!久しぶりだな!」

「望愛先輩、久しぶりっす」

「望愛ちゃん、久しぶり。」

「よお、てか身長伸びたか?」

不動君・・・少しは変わってるのではないかと思ったが、私に対するその嫌味は直ってないのか。
それに身長伸びたかって、お婆ちゃんが言うセリフだし。

「身長は伸びてないよ、それより、皆に逢うのは久しぶりだね。そう言えば、風丸君は?」

「あぁ、ちょっと遅れて来るんだってよ。何か、急に練習が入ったらしくて」

風丸君って確か、今はプロリーグの選手だったもんね。
そりゃ忙しいよね。

「でも、望愛ちゃんも雰囲気変わったね。髪の毛も伸びてるし」

「吹雪君も変わってるね、サッカーの腕も凄い上がってるんじゃない?」

「まあね」

「それより、望愛先輩もスパイ活動疲れてないっすか?」

「普通だよ、昔のサッカーを取り戻す為なら何だってやるしね」

皆との会話に弾んでいると、野太い声は奥から聞こえて来た。
やばい!牙山じゃん!!牙山と言うのは、ここでの教官。
一応、俺の上司と言う事になっている。

「皆!早く逃げて!」

「何で?」

「此処の教官が出て来たら、後々ややこしいから」

俺は皆の背中を押しながら、森の奥に走って行った。

続く

66:太陽と月◆i6:2016/08/01(月) 11:30

10年後の望愛の設定

藤咲望愛

ゴッドエデンにスパイとして潜入している。
本来の仕事は、ヒロトの会社の手伝いとお日さま園の手伝い。
天馬達の事はテレビで見ているから知っている。

容姿
ツインテールをやめて腰まであるロングヘア。
目は悪くなってしまった為、黒縁メガネをしている。
服は動きやすい格好。

仕事
ヒロトの会社の手伝いをしている。
本業はお日さま園。

67:太陽と月◆i6:2016/08/01(月) 12:03

何とか見つからずに済んだ。

「皆、ごめんね!あの教官に見つかったら、スパイだってばれちゃうから・・・」

「そっか、気にすんなよ!」

円堂君は、相変わらず太陽みたいに眩しい笑顔でそう言ってくれた。
だから、夏未ちゃんも惚れたのかな?円堂君の事。

「望愛先輩も大変っすね、ゴッドエデンのスパイだなんてバレたら大変っすよ」

「うん、それじゃあ、皆にこの報告書は必要かな?」

「それなんだよ?」

「ここに居るシードのデータだよ。俺はそのデータ管理任されてるから、聖帝に頼まれたって言えば簡単に持ち出せるよ」

「さすが、望愛ちゃんだね。」

なんか照れちゃうな・・・。
すると、不動君が悪戯な笑みを浮かべてこう言った。

「そういや、望愛と風丸ってもう付き合って10年だろ?いつ結婚するんだよ?」

「はあ!?////」

「そう言えば、そんなになるのか?風丸と望愛が付き合って」

円堂君はそう言って、全員の目が一斉に俺に来た。
とは言っても、俺も今は忙しいし、風丸君も忙しい筈だ。
それよりも、本当に不動君は変わってないよ、全く。

「それより、風丸君・・・僕達の居場所分かるかな?」

「電話で知らせたいけど、よく分からないと思うんだよね。ここ、分かりにくい場所にあるし」

「けど、俺達が行ったら望愛が言う教官に見つかっちまうぜ?」

「望愛・・・その〜・・・」

円堂君が助けるような目をしてきたので、俺が行く事になった。
いや、まあ、俺が行かないといけないんだけどね。
そういう事で、俺は船場に急いで行くと、風丸君が何やらキョロキョロしながら立っていた。

「風丸君!」

「あ、望愛!久しぶりだな!!」

「うん、風丸君も久しぶりだね。前よりたくましくなったね」

「望愛も前に会った時より凄い美人だぞ」

「もう、早く行こう。円堂君達が待ってるよ」

「おう!」

俺は風丸君の手を引いて、また森の奥へと足を運んだ。

続く

68:太陽と月◆i6:2016/08/02(火) 00:07

「お!風丸!!」

「よお、皆。何見てんだ?」

風丸君はそう言って、俺が持って来ていた報告書を眺めた。
うぅ・・・やっぱり風丸君・・・すっごいカッコいいな〜。

「凄いな・・・これ、望愛がやったのか?」

「まあ・・・ね」

「凄いな、読みやすいぜ」

「あ・・・ありがとう////」

やばい、顔が真っ赤になって来る。
はあ、俺の純情ぶりも直してみよう。
すると、またもや不動君の悪戯な笑みが見えた。

「それよりさ〜、風丸君」

「何だよ?」

「望愛といつ結婚するんだよ?望愛も待ちくたびれてるんじゃねぇの?」

「「!!?///」」

俺と風丸君は同時に顔を真っ赤にした。
何で不動君は、こう言う時にドSモードになるのかな?俺は持っていたコップを落としそうになりながら、不動君を睨んだ。

「あ、いや、それは・・・。一応は、プロポーズはしたんだぜ?」

風丸君!!!!!!それを聞いた瞬間、俺はプロポーズされた思い出がフラッシュバックした。
その話を聞いた円堂君達の顔と言えば、ポカーンと口を半開きにしている。
そして、一斉に視線が俺に来る。

「本当なの?望愛ちゃん」

「う・・・うん。でも、その、結婚はお互い落ち着いてからって事で・・・」

あぁ、もう焦るわ!そう思いながら、何とか笑顔を保った。
まあ、それを聞いた円堂君なんか涙目でおめでとう!とか言っている。
この事は先にお日さま園の皆に知らせたら皆にも涙目でおめでとう!って言われたっけ?思い出したら、少し笑えちゃう。

「そうだ!久しぶりに会ったんだから、望愛も風丸も散歩して来いよ!」

「え!?でも、皆に任せるのは・・・」

「そうっすよ、キャプテンの言う通りっす!」

「調べ物は僕達がやってるし、二人で楽しんできなよ」

「そうだぜ、望愛。いい男ゲットしてんのにな〜」

皆に念を押され、俺と風丸君は久しぶりに一緒に歩く事になった。

続く

69:ルナ◆Oo:2016/08/09(火) 10:20 ID:4hI

皆に念を押され、散歩に出かけている。
森に居れば、あの牙山にも出会えないし、あまりここにゴッドエデンの選手は来ない。
俺はチラチラッと風丸君を見た。

「あのさ、望愛」

「え?何?」

「望愛って森の事詳しんだな、さっきから通り易い道通ってるし」

「まあね、データ送る時にこの道通っていくから。風丸君もプロリーグの仕事とか忙しかったのに、どうしてここに来たの?」

まあ、電話でシードの事を調べるために来たんだよね。
そう言えば、プロポーズの返事もまだだった!俺が頭の中でパニックしていると、風丸君が口を開いた。

「シードを調べる為とその・・・・」

「?」

「望愛にさ、もう一回プロポーズしようかなって」

それを聞いて、顔が真っ赤になっていく。
俺が真っ赤になっているのを余所に風丸君がポケットから何か取り出した。

「こう言うのはさ俺苦手だけど、望愛・・・結婚しよう」

「・・・・・・!」

それを聞いて、2回目の筈なのに涙が溢れて零れた。

「・・・・こんな私でよければ・・・喜んでお受けいたします・・・・」

涙声だけど、私の言葉はちゃんと届いたのか風丸君はすごく嬉しそうな顔をしていた。
そして・・・その数年後、やっと私もゴッドエデンを抜け風丸君の仕事も落ち着き、約束通り結婚した。
その時の円堂君の顔ったら、涙でぐしょぐしょで俺と風丸君は笑っていた。
他に泣いてた子と言えば、大親友の杏ちゃんと愛ちゃんだ。

「凄い祝ってくれてるね、風丸君」

「だな、望愛もすっげー可愛い」

「もう///」

俺が顔を真っ赤にして、風丸君を見ていると、晴矢君と風介君が風丸君に何やら言って一緒に何処かに行ってしまった。
その姿を苦笑しながら、見ていると、優しい風が吹いた。

「お父様とお母様もお祝いしに来てくれたのね、ありがとう」

これからの未来、私が選んだ人と歩む事になる。
苦しい事もあるかもしれないけど、風丸君と一緒なら大丈夫だよね。

終わり
作者の心境
頑張ったお(^p^)

70:太陽と月◆i6:2016/08/09(火) 23:05 ID:4hI

望愛のデート(風介編※少し10年前に戻る)

ゴッドエデンでのスパイ活動も終わり、フィフスセクターの管理サッカーも無くなった。
話を簡単にまとめれば、新生雷門イレブンがホーリーロードを制し、聖帝の座は豪炎寺君じゃなく響さんになった。
俺と言えば、スパイ活動が終わりお日さま園の仕事やヒロト君の会社の仕事で大忙し。
今日は、お日さま園での仕事だ。
そして、今は休憩・・・。

「久しぶりの仕事はハード・・・。」

「望愛〜、生きてる?」

「愛ちゃん、殺さないで!」

お日さま園での同僚と言えば、愛ちゃんと茂人君。
他の子達は、違う仕事をしていたり、ヒロト君の会社に働いていたり、その系列会社に働いていたりとしている。
愛ちゃんのお兄さん・修児君はヒロト君の会社に働いていて、風介君の部下らしい。
風介君は俺の自慢の彼氏です(少しSっ気があるけど)。

「お疲れ様、二人共」

「茂人君、全然疲れてない!」

「それもそうよ、晴矢にいつも振り回されてたんだから。疲れる時と言えば、晴矢に振り回された時ぐらいよ」

茂人君は、晴矢君の幼馴染。
今日は何故か仕事が休みと言って、お日さま園のお手伝いをしてくれている。

「まあ、昔よりはおとなしくは・・・なって無い様な気がする」

「おい、茂人!それどういう意味だ!!」

ソファーで寝てた筈の晴矢君は、ガバッと起き上り茂人君に詰め寄った。
俺は苦笑しながら、二人の様子を見た。
愛ちゃんはうざそうな顔をしながら、茂人君が入れて来たコーヒーに口を付けていた。
茂人君の入れるコーヒーって苦くないから、俺でも飲めるんだよね。

「そう言えば、何で晴矢が来てるの?」

「そうそう、風介から伝言があったのすっげー忘れてた。」

「晴矢・・・それって望愛宛ての伝言じゃないの?」

「そうなんだよ・・・・狩屋のサッカー練習で忘れてた。わりぃ!!望愛!!」

土下座をして謝って来る晴矢君には俺は慌てる。
別に晴矢君が悪い訳じゃないしね。
でも、茂人君と愛ちゃんの視線と言えば、ちゃんと謝りなよと言う視線だ。

「いいよ、私も早めに聞けばよかったよね。で、その伝言って?」

「えっとな・・・今日仕事が早めに終わるから終わったら遊びに行かないかって伝言だったぜ」

「望愛も今日の仕事早めに終わるんだよね?風介さんとデートだね〜」

「愛ちゃん///!」

「望愛、顔が真っ赤」

皆にからかわれ、真っ赤だった顔が更に赤くなる。
皆で騒いでいると、ガチャと部屋のドアが開いた。
ドアに目を向ければ、うるさいと言えばいいだろう顔をした狩屋君が居た。

「うるさいですよ、愛さん、望愛さん、茂人さん、晴矢さん」

「「「「ご・・・ごめん」」」」

子供に怒られる大人って・・・・。
きっと俺を入れた4人はそう思っているだろうな〜。

「でも、望愛さんって仕事が終わったら、風介さんとデートですか?」

「あ、いや、デートと言っても、えっと〜」

「望愛さん言い訳苦手でしたね」

この子なんでこんなSっ気あるの!?と驚きつつ何とか言い訳を考えようとするけど、あまり思い浮かばないと頭を悩ませていると、狩屋君から痛!と言う声が聞こえた。
見れば、ファイルを片手に狩屋に説教をしている風介君が居た。

「風介!」

「全く、君達は何度私の彼女をからかえば気が済むんだ?」

怖いです、風介君。
その後、狩屋君と晴矢君と愛ちゃんと茂人君はその場で正座させられ、修児君が来るまで4人の説教をしていた。

続く

71:太陽と月◆i6:2016/08/10(水) 16:01 ID:4hI

4人の説教が終わり、風介君と俺はお日さま園を後にした。
俺と入れ替わりで夏彦君が代わりに入った為、お日さま園の今の状況は大丈夫だろう。
風介君と言えば、暑いのかスーツのジャケットを手に持って、ネクタイを緩めていた。

「大丈夫?」

「あぁ、この暑さの中、あの自由奔放社長は取引先の社長と会わずに・・・・」ブツブツ

風介君が言った自由奔放社長と言うのは、吉良ヒロトつまり基山ヒロト君の事。
どうして、基山が吉良になったかは正式の養子となったから。
でも、時々仕事をほったらかして皆に迷惑を掛けている(そのせいか時々来る時の玲名ちゃんは凄い怖い)。

「大変だったんだね・・・」

「あぁ、その取引先の社長と言えば、こっちが仕事の話をしようとしたら何故か知らんが恋人は居るか?なんて聞いて来る」

「そ・・・そうだったの!?」

その社長さん、何しに取引に来てんだって風介君思っただろうな。
すると、俺の後ろから何か見られている気配があった。
俺が後ろを振り向くと、誰も居ない。
気のせいか・・・。

「どうしたんだ?」

「ううん、何もないよ。それにしても、こうやって歩くのって久しぶりだね」

「あぁ、高校生以来だな。そう言えば、晴矢から聞いたんだが、望愛は高校でもよく告白されてたらしいな」

「まあね、でも、俺には風介君が居たから。全部断ったけどね」

すると、ヒヤッとした物が俺の手から全部に伝わった。
びっくりして、手の方を見ると、風介君の手が俺の手を握っていた。
恥ずかしい・・・!顔を真っ赤にしていると、風介君が耳元でこう呟いた。

「真っ赤になった顔も可愛いぞ」

「////!」

「フフっ、本当にからかいやすいね君は」

「もう!!知らない!」

俺が怒ってそっぽを向くと、風介君は慌てて謝った。
もう、俺がクスッと笑うと、急に俺と風介君の目の前に黒いリムジン?(って言うのこの長い車)が現れた。
ポカーンと二人して茫然としていると、車の運転席から黒いスーツを身に纏ったおじいさんが現れた。

「風介君・・・知り合い?」

「いや、違うが・・・。望愛の知り合いでもなさそうだな」

「俺はあんな金持ちの友達はヒロト君ぐらいです!かと言って、ヒロト君・・・あんな目立ちたがり屋じゃないし・・・」

俺と風介君が小声で話していると、一番最後の車両から多分私と風介君と同い年の男の人が現れた。
あれ?この人・・・見た事ある様な・・・?俺がそう考えていると、急にその男の人が俺の目の前に跪いた。
俺と風介君は困惑していると、その人は急に顔を上げた。

「貴方が、藤咲望愛さんですね?」

「え?あ、はい。貴方・・・誰ですか?」

俺は風介君の後ろに隠れながら聞くと、何故か知らんが急に男の人はしょげた。
もう、何!?この人・・・本気で誰なのさ。
すると、風介君は思い出したかのように声を上げた。

「風介君知ってる人?」

「あぁ、さっき話した取引先の社長さ。」

「ええええ!!でも、何で俺の事知ってるの?」

「私は君の事は話してないぞ」

俺と風介君は顔を見合わせていると、男の人はようやく風介君の事を思い出したのか何故か久しぶりに会った友達みたいな接し方になった。
あ、風介君の顔がうざいってなった。

「あの、それで社長は何の用ですか?」

(風介君・・・顔怖いよ〜)

「あぁ、そうそう。藤咲望愛さん、僕と結婚前提にお付き合いしていただきたいのですが・・・」

「「ええええええええええええええ!!」」

この日、俺と風介君の叫び声が響き渡った。

続く

72:太陽と月◆i6:2016/08/10(水) 16:30 ID:4hI

〜お日さま園(夜)〜

「おい、てめー。うちの恋人らに何言ってんだ?」

晴矢君・・・怖いです、今朝の風介君と同様怖いです。
俺は風介君と何故か元・お日さま園出身の皆がお日さま園に集まっている。
取引先の社長さんと。

「そうよ!風介と望愛は、中学校から付き合ってるのに!!」

杏ちゃん、それはいいとして看護師の仕事は!?俺はそのツッコミを耐えながら、皆を見た。
怖い怖い、と言うか俺何処かでこの人と会ったっけ?そう思った時、ふとヒロト君のパーティーでこの人に似た男の人の顔が思い浮かぶ。

「あの・・・まさかと思いますけど、パーティーでお会いしましたっけ?」

「そう、そうです!と言うより、高校で出会ってます!!」

「へ?」

「社長・・・あまり私の恋人に触らないでくださいね」

風介君怖いって。
そう言えば、お日さま園で同じ高校だったのは、一角君と蔵人君とクララちゃんと愛ちゃんだったよね?俺は4人を集めて、小声で話す。

「あの人、見た事ある?」

「私はないわね、蔵人は?」

「俺ねぇな」

「愛ちゃんは?」

「知らないわよ、と言うか望愛に馴れ馴れしいわねあの男」

「じゃあ、一角君は?」

「俺もないな、なら、高校の卒業アルバムを見たらどうだ?」

その手があった!俺はお日さま園に置いてある高校生の時の卒業アルバムを取り出して、その男の人の前に座った。
えっと・・・どれだろう?俺が探していると、急に男の人は3−A組と書かれたページを指差して、居ました!と大声で言った。
子供達が起きるって。

「あれ?3−Aって、蔵人と望愛のクラスじゃない。二人共、本当に覚えてないの?」

「「全然」」

「じゃあ、今度はお前に質問だが、望愛に一度告白はしたことはあるか?」

「えぇ、ありますよ。見事玉砕でしたけどね」

「お名前は?」

「谷村って言います」

谷村?谷村・・・あぁ!!思い出した。
それは蔵人君も同じなのか目を見開いて、俺と同時に言った。

「「あの谷村/谷村君!?」」

「はい」

そう言えば、すっごい不良の人が俺に告白してきたっけ?確か、その人の名前も谷村だったし。
同じクラスでもその人すっごい不良だったし・・・。
え?てか、変わり過ぎない?俺がちんぷんかんぷんになっていると、谷村君が口を開いた。

「僕、望愛さんを高校で初めて会った時、一目ぼれしたんです!」

「あぁ、うん」

晴矢君、興味なし。

「ですけど、いつもそこの方達と話していて、あの時の僕・・・あんな格好でしたし、話し掛ける事も出来なくて」

皆の目、一応興味なしと言う目になっている。
まあ、話しはちゃんと最後まで聞かなきゃ。

「その、それで一回だけ話してくれたことがあるんです。憶えてないと思いますけど、俺のシャーペンを落とした時・・・」

〜回想〜

「あ」

谷村のシャーペンが隣の席の望愛の所まで転がって来る。
望愛はそれに気が付くと、シャーペンを取り、谷村に渡す。

「どうぞ、次落としたら先生に怒られるよ?」

〜回想終了〜

・・・確かにそんな事があった様な無かった様な気。

「それで一回告白したんですけど、自分には恋人がいるって言われて」

それを聞いた晴矢君達は、一斉にニヤッとこっちを見て来た。
うわあああ!やめて!!俺は顔を真っ赤にさせながら、風介君を見ると、風介君も真っ赤になっていた。

「それで真面目に改心して、望愛さんに相応しい人になったらもう一度告白しようと!」

だから、無理だってあの時言ったのに〜!

続く

73:太陽と月◆i6:2016/08/10(水) 17:11 ID:4hI

「んで、取引先であった風介に恋人は居るか聞いたのか?」

玲名ちゃんの後ろから魔王が出てきそう。
谷村君はそれを知らずに、はい!と大きく頷いた。
あれ?でも、何で俺の事知ってるんだろ?俺がそう思った時、谷村君が答えてくれた。

「いや〜、パーティーでお会いした時の望愛さんとそっくりでしたので、まさかと思い声を掛けたのです」

「ほう、んでお前は風介と望愛が付き合ってることは知らなかったんだな」

「はい、ですが!俺は望愛さんにもう一度言います!」

何をですか!?

「俺と結婚前提にお付き合いしてください!」

「あの・・・それは、お断りさせていただきたいんですけど」

俺がそう言うと同時に玄関からヒロト君と緑川君の声が聞こえた。
部屋に入って来るなり、いきなり谷村君を見て、声を上げた。
そして、俺は全部説明を終わらせると、ヒロト君も困った顔をした。

「あの・・・社長さん、望愛は風介と付き合っていて、俺としては望愛の気持ちを尊重させたいのですが」

「しかし!「なら、いいだろう」

何が!俺はびっくりして声のした方を見ると、風介君が谷村君を見ていた。
何だろう?見えない火花が俺の目の前に見える。

「望愛、明日と明後日用事はあるか?」

「え?明日は朝からお日さま園の仕事で抜けるのは昼ぐらいだよ、ねえ?愛ちゃん」

「えぇ、で、望愛の明後日の用事もお日さま園の仕事でその日は夜勤になるから朝はお日さま園の仕事はありませんよ?」

「なら、その明日と明後日あなたと私で望愛に選んで貰おうじゃないか。」

え?俺はまたもやびっくりして風介君を見た。
それってつまり明日と明後日はこの二人のデートに付き合えと言ってるのか?俺は、頭の中こんがらがっていると、谷村君はいいでしょうとなんか受ける気満々に言った。

「ちょっと待った!風介、望愛の気持ちを尊重しようよ」

「そうだな、望愛はいいか?」

「それで二人が納得するなら、俺はいいけど」

「決まったな、なら、私は明後日に行こうじゃないか!」

「なら、僕は明日に。それでは、今日は此処で失礼します、それでは望愛さんまた明日」

はい、また明日。
完全に谷村君が居なくなると、皆は一斉に風介君に詰め寄った。

「おま!風介、お前何言ってんのか分かってんのか!?もし、望愛があの谷村って奴選べば、お前と別れんだぞ!!」

「そうですよ、やっと実を結んだのに!!」

「望愛も望愛で、何であそこで良いと答えちゃってるの!!」

「皆の言う通りだが・・・」

「確かにああするしかなかった様な気がする」

俺と風介君が言ったら、更なる説教が始まった。
その説教はお姉さまが帰って来るまで続いた。

〜次の日〜

「はあ〜・・・」

「望愛、やっぱり乗り気しないんだな」

夏彦君が大量の洗濯物を持ちながら、そう言った。
それはそうだけど、谷村君が納得するならこれしかないと思うから。
仕方ないんだけどね。

「それもそうね、絶対あんな男に惚れちゃ駄目よ!!」

「分かってるよ、愛ちゃん」

その時だ、狩屋君が慌てて部屋に入ったと思ったら、夏彦君に激突。
俺と愛ちゃんは倒れた洗濯物と洗濯物の下敷きとなっている夏彦君を見た。
わお、さすが円堂君の所で鍛えている雷門中。

「どうしたの?狩屋君」

「ちょ!玄関の前何ですか!?何か、知らない人が花束持ってましたけど!!」

「それって、あの谷村じゃないの?」

「そうかも」

俺は玄関のドアを開けに行くと、目の前に花束があった。
それも薔薇!高そう・・・。

「お・・・おはよう、谷村君」

「おはようございます、望愛さん!」

大丈夫かな?この仮デート。

続く

74:太陽と月◆i6:2016/08/13(土) 10:29 ID:4hI

〜次の日〜

「え!?風介君が二日酔い!!」

俺は修児君からの電話に驚いて、回覧板を持ってきたお婆さんに変な目で見られた。
そう言えば、昨日の電話で晴矢君達と飲んでるとか言ってたな〜。
風介君ってお酒なんて飲めないのに・・・どうしたんだろう?そんな事を考えながら、回覧板のお婆さんから回覧板を受け取り、再度修児君に連絡する。

「ごめんね、で、風介君ってお酒飲めないんじゃなかったっけ?」

『そうなんだけど・・・俺が迎えに行ったら、もうべろべろのでろでろ。見た瞬間に、二日酔いだなとは思ったけど・・・。』

そんなに飲んだんだ・・・。

『俺は休みなんだけど、同じく昨日飲んでた茂人と夏彦も二日酔いでさ、今日のお日さま園出勤が愛しか居ないからその手伝いしないといけないから、風介さんの様子見て来てくれない?』

「うん、一応茂人君と夏彦君の様子も見て来るよ。そう言えば、飲んでたのって晴矢君もだけど、晴矢君は二日酔いじゃないの?」

『晴矢は元々酒豪だからね。多分、風介さんは晴矢に張り合って飲み過ぎたんだと思う』

「考えられるね、じゃあ、愛ちゃんお願いね。夜には交代するから」

一応・・・三人は今後お酒は控える様に注意しておこう。
出勤日じゃなかった風介君はともかくあの二人って出勤日に二日酔いって・・・。
そう思いながら、俺は車を運転しながらまず同居してる茂人君と夏彦君の家に向かった。
お日さま園の近くの家に住んでるって前に言ってたよね?まさか、これ?俺は厚石と言う表札と熱波と言う表札を見て、疑心してしまった。

「まあ、悩んでてもしょうがないよね。」

俺はインターホンを押すと、数分後はーいと苦しそうな表情が思い浮かびそうな声が聞こえた。
俺の名前を言うと、がたがたッと何か落ちる音がして入っていいと言う声が聞こえた。

「お邪魔しま・・・何があったの?」

「いや、まあ、ちょっと寝相が・・・頭が痛い」

「修児君から聞いたけど、昨日凄く飲んでたみたいだね。」

「晴矢さんに勧められて・・・つい」

「だからって、出勤日に二日酔いは・・・。修児君が代わりに行ってくれてるから」

「「あははははは・・・・」」

俺は二人に注意して、家にあった頭痛止めを置いて、二人の家を後にした。
多分、一番の被害者は風介君かも。
俺は家の中でゲッソリしてるであろう風介君を想像して、風介君の家に向かった。
それにしても・・・風介君の家ってあんまり行った事ないけど、晴矢君の話じゃ凄い田舎って言ってたな。

「そう言えば・・・お日さま園の時・・・」

〜お日さま園(望愛高校生)〜

「ただいま〜」

「お帰り、望愛。今日も大変だったね」

高校生になって、俺は普通に言うとお金に余裕がなかった。
だから、余裕が出来るまではお日さま園でお世話になって貰っていた。
そこには、お金には余裕がありそうな風介君とかも居て、最初は不思議で仕方なかったけど愛ちゃん達みたいに年下の子も居るから、少しばかり恥ずかしかったから嬉しかったけど。

「うん、わあ〜。本当、高校でもモテるね」

「今日も朝と帰りに大量のラブレターが入ってたよ」

「嫌味か何かかって晴矢君なら言いそう・・・。」

「嫉妬?」

「まあ、うん。それより、風介君って何で一人暮らししないの?」

「・・・・秘密」

「教えても良いじゃん!」

そこで俺がむくれたのも憶えている。
風介君がそんなむくれた俺に困った顔をして、何か悩んでいたのも憶えている。

「じゃあ、望愛が自分でキスしてくれたら教えてあげるよ。」

「え!?」

「まあ、今じゃ無理だからいつかね。約束してあげるよ」

「本当!じゃあ、約束!」

〜回想終了〜

風介君・・・この約束憶えてるかな?憶えてくれていたら、嬉しいけどな・・・。
そんな事を考えていると、風介君の家に着いていた。
わあ・・・本当に田舎だ、のんびりできそう・・・。

「よっし!」

俺は気合を入れ直して、インターホンを押した。

続く

75:太陽と月◆i6:2016/08/14(日) 15:39 ID:4hI

〜風介の家〜

「失礼しまーす、やっぱり倒れてる」

俺はリビングに入ると、うぅと言う呻き声と共にげっそりとしている風介君を見て、苦笑した。
昨日お酒飲んだのが悪いと思うけどね。

「ん・・・あ、望愛か・・・。」

「大丈夫?修児君から聞いたよ、昨日すっごいお酒飲んでたって」

「あぁ・・・、昨日の出来事もあんまり覚えていない」

「だろうね、風介君お酒飲んだらぶっ倒れちゃうのに・・・。昨日はよくぶっ倒れたなかったね」

俺はそう言いながら、風介君を起こして、水を飲ませた。
俺は皆から晴矢君とは比べ物にならないくらいの酒豪だと言われている。
風介君は俺とは反対ですっごく酒が弱い、なんて言うかお酒のにおいを少しでも嗅いだら少し酔っちゃう。
初めてその光景を目にした時は、びっくりしたな〜。

「・・・・」

「?どうしたの」

「あ、いや、昨日の仮のデートはどうだったかなって・・・。あれは無理矢理私が提案した物だから」

「気にしないで、デートって言ってもお日さま園の話とかしてただけだし。」

「そうなのか?」

「うん、それにずっと固まってたしね。俺」

風介君は安心したのかフワッと優しい笑みを浮かべていた。
心配してたんだ、俺が谷村君に惚れるんじゃないかって。

「心配した?安心してよ、俺は風介君が好きだからさ」

俺は頬を赤らめながらそう言って、風介君にキスをした。
俺はキスをやめて風介君を見ると、風介君の顔は真っ赤になっていた。
いつも風介君からキスするからね。
俺からキスしてきたことに驚いたのかな?俺はそう思うと、クスッと笑ってしまう。

「風介君、顔真っ赤」

「そ・・・それはそうだ!い・・・いきなり」

「風介君だって、いきなりして来るから。そのお返しかな?それとさ、高校生の時憶えてる?」

「いつのだ?」

「えっと・・・お日さま園に居た頃。あの時、風介君お金に余裕あったでしょ?でも、一人暮らししてなかったし」

「あぁ、あれか?約束だからな、教えてあげるよ、耳貸して」

俺は言われた通り、風介君に耳を貸すと風介君は教えてくれた。
その言葉を聞いて、俺は顔を真っ赤にして数秒間は言葉に出来なかった。
風介君と言えば、仕返しと言わんばかりの悪戯な笑みを浮かべていた。

「それ・・・本当なの?」

「あぁ、本当。そう言えば、望愛の誕生日って今日だったな」

「う・・・うん」

「なら、昨日の夜に渡しに行こうと思っていたんだが、酒を飲んでしまっていたから。だが、今日渡せてよかった」

風介君はそう言って、棚から可愛らしいラッピングをした箱を持ってきた。
俺はそれを受け取ると、中身を確認する為ラッピングを取って箱の中身を見た。
そこには可愛らしいコースターがあった。
数を数えれば、お日さま園で働いている人たち人数分あった。

「これ・・・」

「前に修児から聞いて、作ってみたんだが・・・上手くは」

「・・・ありがとう、風介君」

俺は嬉しくて風介君に抱き着いた。
風介君は少しばかりびっくりしてたけど、すぐに俺の頭を撫でてくれた。

続く

76:太陽と月◆i6:2016/08/14(日) 22:38 ID:4hI

〜翌日(ヒロトの会社)〜

「望愛・・・気のせいかな?休憩中でも、俺達の背中に痛いほどの視線が来てるんだけど」

徹君がコーヒーを飲みながら、俺をジトと見た。
俺はパンを食べながら、その目から逃れる様に目を逸らした。
もちろん、そんな痛いほどの視線を俺も受けていて、一緒に昼食を食べている修児君や徹君にも被害を受けている。
視線でこんなに痛いって思ったの久しぶりかも。

「あれでしょ?今日の朝の出来事じゃない?」

「あぁ、風介さんの彼女が望愛だって分かったから、風介さんが好きな女子が目の敵にしたって訳ね。」

「淡々とその事話さないでよ・・・。まさか、会社の朝礼で谷村君が来るとは思わなかったんだもん!」

「だからって、あそこで風介さんも望愛は自分の物って言うかな?そのせいで、風介さんも周りの男たちの視線が痛いほど来るって言ってたよ」

修児君はそう言って、自分のケータイを取り出しメールを打っていた。
メールの送り相手と言えば、愛ちゃんかな?愛ちゃんが修児君からよくお昼にメールが来るって嬉しそうに話してたし。

「また愛にメールか?」

「あぁ、まあ兄として心配なんだよ。前にお日さま園の仕事中倒れたって聞いてからずっとメールしてるしね」

「あれね。病院行ったら、ストレスって言ってよ。」

「話し戻すけど、あの後谷村の奴、どうしたんだよ?」

話を戻しましたね。

「まあ付き合えませんって言ったら、また告白に来ますって何か・・・」

「あいつ・・・諦め悪いな。」

「全くだよ、それにしても、今思い出しても望愛もあそこでよく風介さんが自分の彼氏だって言えたね〜。やっぱり人間ってやれば成長もするもんだね」

しみじみと語る修児君。
いや、恥ずかしかったしあれ言わなかったら谷村君も諦めてくれなかったかもしれなかったから。
まあ、結局諦めてくれなかったけど。

「お!望愛、彼氏さんがお持ちだぞ」

「え?あ、そう言えば忘れてた!!」

「何を?」

「今日、風介君と一緒にヒロト君に代わって取引先の社長さんに会わなきゃいけなかったんだった!!」

「谷村じゃなきゃいいな。いってらっしゃい」

二人に見送られながら、俺は急いで風介君の所に向かった。
風介君の所に行くと、廊下にも他の女の子の殺気に似た睨みが俺に来た。

「遅いぞ、早く行かないとまた自由奔放社長が怒る」

「あはは、その言い方やめなよ。ヒロト君にクビされちゃうよ」

「その時は、お日さま園で働く」

「その手があったね。」

話してる間でも凄い殺気が来るな〜。
どれだけ風介君モテてたのか今分かったよ。

「そう言えば、あのコースターどうしたんだ?」

「え?愛ちゃん達と一緒に使ってるよ、使いやすいって皆に好評だったよ」

「そうか、良かった。そう言えば、今何時だ?」

「もう、10時になるよ」

「!急ぐぞ、望愛!!」

「え!?分かりました!!」

その後、猛スピードで相手の社長さんに会いに行きました。

続く

77:太陽と月◆i6:2016/08/15(月) 18:59 ID:4hI

〜社長室〜

「お帰り〜」

「お帰りじゃないぞ、全く。ほら、相手方の資料さ」

ヒロト君の穏やかな笑みに風介君は嫌な顔をしながら、取引先の社長さんが渡した資料をヒロト君に渡したと言うより投げ渡した。
ヒロト君は受け取るとペラペラと資料を見ながら、満足したのかニコッとまた笑みを浮かべた。

「上出来だよ、いや〜風介と望愛二人で行ったらいい情報が入るね。さすが恋人」

「冷やかしならお断りですよ、社長!」

「あはは、望愛を怒らせるとこっちが痛い目に遭うね。あ!なら、もう一つお願いしてもいい?」

「「え??」」

俺と風介君はヒロト君からのお願いにまた声を上げるとは思わなかった。

〜夜〜

「全く、一人は怖いからって何も私達をパーティーに誘わなくても」

「本当はリュウジ君と行く筈だったけど、リュウジ君が急に具合悪くなったもんね。仕方ないよ」

今俺と風介君は、ヒロト君のお願いと言う事で社長だけが集まるパーティーに誘われた。
俺はドレスと言う物をこれで2度目だ、やっぱり正装は苦手だな〜。

「望愛のドレス姿も結構似合ってるぞ?」

「風介君もね、あ、ヒロト君の演説が始まる」

「確か内容は・・・これからの方針だったな。それなら、昨日ヒロトがやって来て、教えてくれたな」

「へえ〜・・・確か、日常で役に立つ道具をさらに役に立つ物にするんでしょ?」

「あぁ、私達は席を外しておこう。」

「そうだね」

俺と風介君はそう言って、パーティー会場を後にした。
外に出ると、フワリと微風が吹く。

「そうだ」

「何?」

「これ、望愛にあげるよ。まあ、キザかもしれないけど」

風介君はそう言って、俺の髪の毛に向日葵の髪飾りを挿してくれた。
何で向日葵?と思い、風介君を見ると風介君はその気持ちを察してくれたのかフワッと満月にも負けない優しい笑みで耳元でこう呟いた。

「花言葉」

「え?」

「二人共〜!」

俺が尋ねようとした時、ヒロト君の声が聞こえた。
かなり走って来たのか俺達の近くに来るとはあはあと息が乱れていた。
結構ながら頑張って走って来たんだね、社長。

「ごめん、違う社長さん達と話し込んじゃって・・・。二人はもう帰るの?」

「私は家に帰って、明日の仕事の準備だ」

「俺はお日さま園かな?愛ちゃんが何かの資格取るらしくてそのお手伝い」

「そっか、じゃあ送って行くよ」

「ふん、そのくらいはして貰いたいものだ」

風介君は憎まれ口を叩きながら、ヒロト君の車に入った。
俺とヒロト君はお互い顔を見合わせて、苦笑した。

〜お日さま園の前〜

「ありがとう、ここまで送ってくれて・・・」

「服は愛に預けてるから、着替えはお日さま園でしてね。それじゃあ、お休み〜」

「望愛、お休み」

「うん、ヒロト君も風介君もお休み」

俺は二人にそう言ってお日さま園の中に入って行った。
あ、玄関暗いって事は小さい子達は寝たのかな?俺は、静かに廊下を渡り広間に行った。
広間に行くと、今日の家計簿とか付けてある茂人君と部屋の掃除をしている愛ちゃんと食器を洗ってるクララちゃんが居た。

「あ、お帰り〜!望愛〜〜!!」

「ただいま、何か手伝おうか?」

「それじゃあ・・・まず、あそこで寝てるバカ二人を叩き起こしてきてくれないか?」

茂人君に言われ指差した場所を見ると、ソファーにぐーぐー眠っている晴矢君と夏彦君が居た。
あぁ、何となく理解したよ。
あれか、ソファーの掃除が出来ないからか。
それにしても、バカ二人はないと思うけどな・・・。

続く

78:太陽と月◆i6:2016/08/16(火) 12:30 ID:4hI

晴矢君と夏彦君を叩き起こして、それぞれの仕事が終わった。
俺の仕事は二人を叩き起こす事だけだったけど・・・。
今は皆でお茶をしている。

「そう言えば、望愛って髪飾りとかしてたか?」

「え?」

「だから、向日葵の髪飾り。どうしたんだよ?」

晴矢君に言われ、俺は風介君から貰った髪飾りに触った。
あ、晴矢君達なら向日葵の花言葉知ってるかも。

「これ、風介君から貰ったんだけど・・・皆ってさ、向日葵の花言葉知ってる?」

「俺は知らねぇな、茂人は?」

「俺もそう詳しくはないから、夏彦は?」

「知らねぇ〜、クララは?」

「愛慕と崇拝ぐらいしか・・・愛ならわかるんじゃない?」

「私は知ってるわよ、いや〜風介さんもすっごいロマンチストね」

愛ちゃんの笑顔に?マークが頭の上で踊る晴矢君と茂人君と夏彦君と俺。
その様子を見た愛ちゃんは呆れた様な溜息でこう言った。

「向日葵の花言葉は・・・」

〜風介の家(作者目線)〜

「本当、風介も望愛が大好きだね。まあ、分かるけど」

「それはいいとして、何故貴様が私の家に居る!!」

風介はボキッと鉛筆を折ると、まるで自分の家の様に寛いでいるヒロトを睨んだ。
ヒロトは硬い事言わないでよとコーヒーを飲みながら、風介を落ち着かせた。

「それに・・・向日葵の花言葉知って・・・向日葵の髪飾りまで買うとは思わなかったけど」

「おま!何故、お前が知ってる!!」

「緑川と出掛けた時に、たまたま見かけたんだよ。緑川の勘って凄いね〜、“あの髪飾りは望愛にあげるんじゃない?”って言ったからね。まあ、中学の時なんか円堂君達居るのに告白したもんね。」

「貴様・・・それ以上喋ると三途の川に渡らせるぞ」

「お〜怖い」

ヒロトは冷や汗を掻きながらコップを台所に置きに行った。
風介と言えば、顔を真っ赤にしながら明日の仕事の準備に取り掛かった。

〜お日さま園(望愛目線に戻る)〜

「「「「ほう〜〜〜〜」」」」

花言葉を聞いた晴矢君達は、顔をにやけさせながら俺を見た。
俺と言えば、もうその場にカチンコチン。
風介君が多分この場に居たら、全員殴ってるだろうな(愛ちゃんとクララちゃんを除いて)。

「あら?望愛どうしたの?」

「今日はもう帰るよ、眠くなってきた」

「そう?最近ストーカーも多いから気を付けてね」

「お休み」

「お休み〜、また明日」

俺はお日さま園を後にした時、愛ちゃんが言った言葉を思い出した。

『向日葵の花言葉は・・・私は貴方だけを見つめます』

「もう、それは俺もだって・・・あの時からずっと」

俺は急いで家に帰って庭に向かった。
俺もある花を風介君に贈ろうかな。

〜数日後(風介の家・作者目線)〜

「宅配でーす」

風介は玄関のドアを開けると、ブーゲンビリアの可愛らしい花束が目の前にあった。
風介は届けられたブーゲンビリアを受け取り、花束を見ると、その中には小さなメッセージカードが置かれていた。

「何だ、これ?・・・ブーゲンビリアの花言葉・・・か。」

風介はメッセージカードの中身を見て、小さな笑みを浮かべた。

「飾っておくか・・・私の大事な彼女がくれたんだからな」

風介はブーゲンビリアの花束を花瓶に移して、幸せそうな表情を浮かべた。
メッセージカードに書かれていた言葉、望愛が送った言葉はこうだ。

『ブーゲンビリアの花言葉『情熱・貴方は魅力に満ちている・貴方しか見えない』

風介と望愛の幸せそうな表情を知っているのは双方が贈った花と花の髪飾りしか知らないのであった。
そして、その数年後その二人が共に歩む人生を送るのはまた別の話。

終わり

79:太陽と月◆i6:2016/08/17(水) 22:32 ID:4hI

望愛のデート(晴矢編)

「〜♪あ、来た!」

俺は今、ワクワクしていてドキドキしている。
何でかって?それはね、今日は久しぶりに俺の彼氏である晴矢君とデートする事になったのだ。
俺と晴矢君の仕事上の都合が全然合わなくてデートは全然出来ないのだ。
だけど、今回は訳が違う!今日の私の仕事は休みで晴矢君の仕事も休みなのだ。

「よお、待ったか?」

「全然待ってないよ!遅刻してたら怒ってたけど」

「時間に厳しいのは治さんの影響か?まあ、いいや!久しぶりに望愛と二人だし!」

「もう、恥ずかしいよ」

「わりぃわりぃ、で、何処行くんだ?」

晴矢君に聞かれ、俺は鞄の中に入って居るチケットを取り出した。
え?このチケットは何って?このチケットは遊園地のチケット。
何処で情報を仕入れたか分からないけど、ヒロト君が晴矢君と行っておいでと言ってくれたものだ。
さすがヒロト君だと思ってしまったのは秘密にしている。

「ここの遊園地が良いな、今、ひまわり祭って言うお祭りもやってるし」

「望愛はひまわりが好きだもんな。いいぜ!じゃあ、しゅっぱーつ!」

「え!?ちょ待って!!」

俺は晴矢君の後を追いながら、遊園地に向かって出発した。
その遊園地はあまり遠くなく電車で行けば3駅なのだ。
それまで今の仕事の話とか遠くに行ってしまった俺達と同じお日さま園で暮らしてた子達の今の様子とかを話した。

「そう言えば、杏ちゃん。最近仕事の方も上手くやってるんだって!」

「へえ〜、確かあいつ・・・看護師だったよな。最初の頃は泣き付いて来たのにな〜」

晴矢君は感心しながら首を縦に振った。
そう、晴矢君の言う通り、杏ちゃんは最初看護師の仕事に戸惑って失敗ばかりしてしまい、先輩の看護師さんによく怒られて、俺や晴矢君や他の子達に泣き付いてきたのだ。
杏ちゃんが泣く所をあまり見た事がない俺は励ます事しか出来なかったけど、晴矢君や皆は自分が決めた物だとか泣き付くならやめろときっつい言葉を浴びせていた。
さすがの俺も泣きそうになり、皆に迷惑を掛けたのは言うまでもない。

「でも、あそこで望愛が泣くとは思わなかったぜ」

「何か・・・自分に言われてる様な気がして・・・」

晴矢君は苦笑いをしながら俺が泣いたところを思い出していた。
俺はと言うと、エイリア学園での黒歴史よりそっちが何よりの黒歴史となった。
その後、杏ちゃんは元気になって看護師の仕事を頑張っている。
お日さま園の頃みたいに殴ってなきゃいいなと思ったのは晴矢君もだ。

「お!そろそろ駅だな」

「そうだね、それにしてもここで降りる人いっぱいだね」

「そうだな・・・そんじゃ離れねぇように・・・」

そう言われ、晴矢君は俺の手を握った。
俺は驚くよりも嬉しさが込み上げてきた、晴矢君の手を握り返した。
案の定、ここで降りる人は多かった。
やっとの事ながら人いっぱいの駅から抜けると、俺は深呼吸した。

「んじゃ、目的地までしゅっぱーつ!」

「フフ」

晴矢君の後姿を見て、中学生の時の彼と変わっていないと思った。
いや、変わったら変わったで俺が一番困るかもしれない。
お日さま園の頃からヒロト君と玲名ちゃんに並ぶリーダーみたいな存在だ。
友達になろうと言いだしたのは晴矢君だったし、いじめられた時も誰よりも早く駆けつけてくれたのも晴矢君だった。

「どうした?」

「え?ううん、晴矢君は変わってないな〜って」

「え!?変わっただろ、背とか」

「そうだね、前はヒロト君と風介君より身長小さかったのにね」

「やめろよな、風介は髪の毛がヤバイから高いだけだ」

そうなのかな?俺は苦笑しながら晴矢君の隣に並ぶ。
辺りを見れば、カップルの人が多い。
あ、俺もか。

「どうした?」

「え?何が?」

「何か・・・すっげー俺の手握るから」

晴矢君の真っ赤な顔に俺は自分の手を見ると、確かに握っていた。

「あ、えっと、ごめん!」

「いいよ、気にしてねぇから!着いたぜ、遊園地!」

「本当だ!うわ、花壇がひまわり!」

「そうだな、んじゃ、行くか!」

「うん!」

俺が頷くと、晴矢君は俺の手を握って遊園地の中に入った。
さあ、一体どんなデートになるのかな?

続く


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