オリキャラ紹介
死神屋 皐月(女)/コア
黒猫のデビルを連れた自由気ままな少女。
エイリアの姫君と最強の少女として知られている。
他人の怒りに触れるような言い方をしてしまう為、マスターランク三チームに嫌われている。
妹の皆月が雷門に居る。
容姿・特徴
・緑色のロングヘアに髪の毛の先が金髪。
・
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死神屋 皐月(女)/コア
黒猫のデビルを連れた自由気ままな少女。
エイリアの姫君と最強の少女として知られている。
他人の怒りに触れるような言い方をしてしまう為、マスターランク三チームに嫌われている。
妹の皆月が雷門に居る。
容姿・特徴
・緑色のロングヘアに髪の毛の先が金髪。
・ユニフォーム代わりに黒色の猫耳付きのフードを着ていて、肩に黒猫のデビルを乗せている。
・目はネコ目で瞳の色は金。
・チームは何処にも所属していない。
・お日さま園に住んでいて、過去に訳アリ。
・一人称は「コア」
死神屋 皆月(女)
皐月(コア)の妹。
エイリア学園に入ってしまった姉達に間違っていると教える為、瞳子に付いて行く。
何事も瞬時に見極め、ゲームメイクも鬼道とほぼ互角。
白猫のムーンをいつも連れていて、大切にしている。
容姿・特徴
・金髪のセミロングに髪の毛の先が緑色。
・雷門のジャージ代わりに白い色の猫耳付きフードを着ていて、白猫のムーンを肩に乗せている。
・目はネコ目で金。
・ポジションはFWかDF。
・お日さま園に住んでいて、訳アリ。
・一人称は「私」
プロローグ
謎の石の目の前に一人の老人と痩せ細った男と5人の少年はその二人に跪き、1人の少女は棒付きのキャンディーを舐めながらその老人と男を見ていた。
「グラン、バーン、ガゼル、デザーム、レーゼ・・・そして、コア」
「「「「「「はい、父さん」」」」」」
「分かっていますね?貴方達の使命を・・・。コア、言ってみなさい」
老人は一人の少女を見やると、男と5人の少年達はその少女を見た。
少女は口から棒付きキャンディーを出し、飼い猫であろう黒猫を肩に乗せた。
「はい、コアを入れた全ランクのチームは脅威となる者に勝ち続け、世界に私達の力を知らしめる為・・・ですよね?父さん」
少女は怪しく笑みを浮かべながら、老人に言った。
「そうです、コア、グラン、バーン、ガゼル。貴方達4人の内に1チームだけ、宇宙最強の称号『ジェネシス』が与えられます。そして、デザーム、レーゼは世界に私達の事を知らしめる為、中学校を破壊して貰います。」
「「「「「「はい、分かってます」」」」」」
「期待・・・しておりますよ“ジェネシス計画”の為にも・・・」
老人の言葉に5人の少年と1人の少女は不敵な笑みを浮かべながら、返事をした。
彼らの歯車は狂い始め、彼らの物語は動き出す・・・。
彼らの心はどう動かすのか・・・この怪しい光を帯びている石は何なのか?それは、この物語に隠されています。
鍵は黒猫と白猫なのですから・・・。
プロローグ終了・・・
第1話黒猫の少女は何を見る?
「ついに始まったね」
白いスポットライトが、赤髪の逆立った少年が嬉しそうに言う。
「燃えて来たぜ」
赤いスポットライトに居る赤髪の少年もまた不敵な笑みを浮かべながらそう言う。
「君のその暑苦しい言い方や言動・・・どうにかできないのか?」
「何!?」
水色のスポットライトに居る銀髪の少年が、赤髪のした少年に喧嘩腰でそう言う。
赤髪の少年は、銀髪の少年を睨む。
だが、その喧嘩も猫の鳴き声で喧嘩は静まる。
「コア・・・君はやる気はあるのかい?」
銀髪の少年は困った様に暗闇の向こうに居る少女に向かって言い放った。
緑色のスポットライトに照らし出された少女は、棒付きキャンディーを噛み砕き三人の少年にこう言い放った。
「コアはやる気あるも〜ん。コアから見たら、グランとバーンとガゼルがやる気なさそうに見えるし・・・。ねえ?デビル」
「にゃ〜」
「「「何???」」」
少女コアは、飼い猫である黒猫のデビルに向かってそう言った。
デビルもそれに同意するかのように鳴き声を上げる。
三人はコアの言葉に眉を動かす。
「コア、あまり調子に乗らないでよ?特別扱いされてるからって」
「してないし」
「そう言うのをしてるって言うんだぜ?」
「それに君の実力は私達を超えている。自分がジェネシスになれると思うな」
三人の少年は冷たくコアに言い放った。
コアは別に調子に乗ってないと低めな声でそう呟き、デビルの頭を撫でた。
デビルはコアの傷の心を癒す様にコアの頬を一舐めした。
コアは嬉しそうにその行為を受けながら、三人にこう言い放った。
「コアはコアのやりたい方でジェネシスになる。コアは何処のチームにも所属してないなら、尚更ね。デビルは私の味方だし」
そう言うと、コアは面がすべて黒で包まれているボールで姿を眩ませた。
コアの姿が無くなると、三人の少年は大きな溜息を零した。
「全く、コアには困ったものだよ」
「まあ、これから敵になんだ。別に気にしねぇよ」
「そうだな、だが、コアの事だ。私達が気にしない以上コアの自由気ままな癖はどんどん酷くなる」
銀髪の少年がそう言うと、赤髪が逆立った少年はそうだねと言った。
「まあ、コアも俺達を嫌っている。コアの飼い猫のデビルもね・・・、けど、俺達もコアに負けてられないよ」
赤髪の逆立った少年がそう言うと、二人の少年は小さく笑みを浮かべ、スポットライトは消えた。
続く
第2話すべての物語はこれから・・・コア視点
全く、グラン達もひどいよね?あんな言い方は無い様な気がする。
まあ、デビルだけがコアの味方だもんね。
コアは今何処に居るかって?簡単だよ、レーゼ達の様子を見ているんだよ。
今は・・・雷門中を破壊し終ったのかな?結局、あの子は現れなかったけど・・・。
コアと言えば、これ以上みても同じだと思って、レーゼ達が壊しに行く予定の傘美野中に向かう。
「此処が・・・傘美野中?すっごい平凡」
コアがそう言うと、傘美野中サッカー部であろう奴らが居た。
あぁ、めんどくさい。
「私の名前はコア。エイリア学園の者」
「え・・・エイリア学園?」
「今から言う事、ちゃんと聞いて答えてよ?コアがレーゼ達の代わりに学校を破壊してあげる。試合する?」
コアがそう聞くと、信号機みたいに傘美野中サッカー部の顔は変わっていく。
あぁ、面白い。
コアが楽しんでいると、コア様とかしこまった声が後ろから聞こえて来た。
レーゼじゃん、もう来たんだ。
「レーゼ、もう来たんだね。雷門は終わったの?」
「はい、先程。ですが、どうしてコア様が?」
「別にエイリア学園に居れば、グラン達がまた何か言って来るから来ただけ」
半ば嘘の様に聞こえるがこれは本当だ。
レーゼ達はお手数おかけしましたと頭を下げた後、傘美野中サッカー部を見た。
目が怖い、だけど、コアとデビルにとってはそれはご機嫌が良くなる。
だって、人の怒ってる時の目や蔑んだ目って快感にしかならない。
「コア様が言った言葉の返答はしたのか?」
「いえ・・・まだ」
「代わりに言ってやろう、今すぐ試合をするか棄権するか選べ」
返答に遅い傘美野中の奴らにイライラしていると、分かりましたと小さな声が聞こえた。
「棄権・・・します」
「ふ〜ん、自分達の命選んだんだね。レーゼ」
「はい」
コアがしようと思ったけど、興味が失せたからレーゼに任せよう。
あの子も居ないんじゃ、来た意味ないし・・・。
そう思い、破壊するところだけを見ようとしたその時だ。
「待て!」
こいつら・・・誰?コアが不思議に思っていると、パンドラが耳打ちしてきた。
「先程破壊してきた雷門中のサッカー部です」
「へえ〜」
パンドラの説明が終わると、オレンジ色のバンダナをした子がコアに気が付いた。
またもやめんどくさい展開になりそう・・・。
それは的中した。
「お前もこいつらの仲間か!?」
「そうだよ、コアはレーゼ達の仲間だよ。まあ、試合をしたいなら無理だね。」
「何だと!」
「だって、この子達は棄権を選んだんだよ?棄権は負けって意味だし、学校は破壊しなくちゃ。」
コアがそう言うと、傘美野中の奴らは自分達が弱いからと言った。
その通りだ、自分達が弱いのがいけないのだ。
デビルもにゃ〜と鳴きながら、そう言っている。
だけど、雷門にはそれは通用しない・・・。
「学校を守るために棄権を選んだ、別に恥じる事じゃない」
「鬼道の言う通りだ!」
「それとも何か?お前、ビビってんのか?」
コアの頭の中からプチッと何かがキレる音がした。
それにはレーゼ達も勘付いたのか顔を真っ青にしている。
久しぶりに頭に来た・・・。
実力の違い、教えてあげよう。
「いいよ、コアが相手してあげる。「コア様!」いいよね?レーゼ」
多分、今のコアの笑顔めちゃくちゃ怖い。
まあ、レーゼから試合はしていいと言う許可は貰えたからやるけど・・・。
コアはオレンジ色のバンダナをした子の近くまでジャンプした。
うん、もちろん着地は完璧に出来たからね?失敗したと思った奴、殴ってあげる。
「コアが相手してあげる」
「おう!」
実力の違い、教えてあげないと。
続く
第3話白猫少女〜コア視点〜
「名前を教えて貰おうか、俺の名前は円堂守。この雷門サッカー部の「キャプテン・・・でしょ?」あ・・・あぁ」
コアの情報をなめないでほしいな。
コアって、こう見えてもグラン達より実力が高いし情報も早い。
「私の名前はコア、まあ、レーゼ達の仲間と思えばいいよ。あぁ、後さ宇宙人ね、レーゼ達と私」
この設定・・・忘れる所だった。
宇宙人と言う単語を聞いた雷門は一人一人の感想を述べていた。
あ、後、学園の事も言い忘れていた。
「後、君達の次元で言うと、私達はエイリア学園」
「エイリア学園・・・」
「うん、それより試合してよ。デビルが待ってんだから」
「デビル?デビルってあの猫かよ?」
よし、あのピンク髪の奴ボコボコにしよう。
コアはそう決め、自分のポジションに就く。
「おま!チームは?」
円堂守がびっくりした様な言い方で言った。
チーム?コアはチームなんてないから、これが普通だ。
「いないよ、コア一人の実力を見せてあげる」
コアがそう言うと、一人の子がなめていると呟いた。
本当の事だもん。
コアは何も間違った事は言っていない、やっぱり人間って信じられないよ。
コアの居場所ってデビルだけだもん、父さんでさ今じゃ信じられないし・・・まあ、信じてはいるふりはしてるけどね。
そして、試合が始まるけど・・・一目瞭然。
「本当、諦めないね。これで何点目?」
「1・・・12−0です」
これでも手加減はしているつもりだ。
まあ、前半戦はこのくらいだろう。
豪炎寺修也が入って技を打つも、コアには効かない。
やっとハーフタイムになり、コアはベンチに戻ると、レーゼ達が駆け寄って来た。
「お疲れ様です」
「別にそんなかしこまらなくてもいいよ。コアがお願いしたもん」
「いえ、貴方様は私達の上司なので」
「ふふ、そうかな?」
コアはそう言って、ポケットからデビルの大好きな煮干しをあげる。
デビルはパクッと煮干しを食べると、レーゼの足に頬をスリスリした。
あ〜、やっぱりデビルは分かるんだね。
レーゼ達が優しい子だって・・・。
「あ!す・・・すいません!勝手に・・・」
「いいよ、デビルが懐いてる証拠だから」
コアはそう言って、雷門を見る。
ほら、やっぱり蔑んだ目をしている。
あぁ、快感だ。
何て言う快感なのだろう、コアはそれに身を震わせていた。
さぁ〜て、後半はどんな試合にしようかな?コアは半分そう考えた。
「後半戦開始だけど・・・試合をやめるなら今の内だよ?」
「へっ!誰が棄権するもんか!」
このピンクの頭の奴・・・バーンみたい。
でも、怪我人は増えるばかり・・・。
あぁ、キャプテンさんのせいでこんなにも怪我人が増えちゃうなんて・・・。
後半戦が終わって、得点板を見れば20−0・・・うん、笑えちゃう。
「レーゼ、やっちゃって♪」
「はい」
コアが言うと、レーゼは黒いボールを傘美野中に向かって蹴る。
傘美野中は崩壊・・・あぁ、快感だ。
コアは後ろを少し振り向き、こう言ってやった。
「君達が弱いから・・・いけないんだよ?」
レーゼ達と一緒に帰る時、コアの目に留まったのは・・・白い猫を肩に乗せた少女。
コアの・・・妹だった・・・。
続く
第4話白猫少女・皆月と吉良瞳子〜皆月視点〜
私の目の前に広がるのはボロボロになった雷門イレブンと瓦礫と化した傘美野中だった。
涙が溢れ、零れ落ちる。
それを私の飼い猫である白猫ムーンが舐め取ってくれる。
「ありがとう、ムーン。一緒にお姉ちゃんを助けようね」
私はそう言って、ムーンを肩に乗せながら、瞳子姉さんが待っている車に向かう。
ムーンはお日さま園に入った時からの友達で家族、決して離れない。
「どうだった?皆月」
「計画が始まったよ、瞳子姉さん。さっきお姉ちゃんも見かけたもん」
「そう、皐月が・・・」
お姉ちゃんの話をした時、瞳子姉さんは悔しそうに顔を歪める。
その顔を見ると、あの時の事がフラッシュバックする。
ヒロト達も変わった、父さんも変わった・・・。
どうすればいいの・・・?そう今も考えてしまう。
「姉さん、これから何処行くの?」
「雷門中よ、貴方に言っておくわね。雷門イレブンが現れたら、貴方と私は赤の他人よ。私達の関係を知っているのは響さんと理事長だけ・・・」
「うん」
赤の他人・・・か・・・。
私はムーンを撫でながら、落ちそうな涙を拭いた。
雷門に着くと、私はムーンの紹介と自分の紹介を済ませて今から入るチームメイト達を見た。
そして、やっと到着。
「あの・・・響監督。あの人たちは・・・?」
「あぁ、紹介しよう。瞳子監督だ、お前達の“新しい監督”だ。そして、隣に居る奴は死神屋皆月、そして飼い猫のムーンだ。」
ムーンの紹介をしてくれるなんて、優しいな〜。
そう思っていると、目の前に手を差し出している円堂先輩が居た。
「これからよろしくな!皆月!」
「はい、こちらこそ。ムーンが迷惑を掛けると思いますが、これから共々よろしくお願いします」
「それで、お前のポジションは?」
「FWかMFなら」
それしかやった事ないです・・・。
それにしても、噂通りだな〜鬼道先輩って・・・。
マント羽織ってるし・・・。
「それでムーンってこの猫か?」
「はい、ずっと一緒に居る言わば私の家族ですよ。」
「そうなのか、よろしくなムーン」
円堂先輩がそう言い、ムーンを撫でた。
ムーンは私と違って、社交的であり誰にもでも懐く。
悪い人以外なら・・・。
「皆月さんの紹介は済ませたわね。私の目標は地上最強のチームを育てる事よ、覚悟して」
瞳子姉さんの言葉に雷門イレブンの人達は驚き、響さんを見た。
もちろん監督は瞳子姉さんであり、響さんではない。
響さんは理事長と一緒に何かを調べるらしいから・・・。
「ムーン・・・これから頑張ろうね!」
「にゃあ〜」
そう、これからなのだから・・・。
続く
第5話黒猫少女は誰も信じません〜コア視点〜
コアはエイリア学園に帰って来たが、帰って来るなりプロミネンスの連中やダイヤモンドダストの連中の喧嘩に巻き込まれたと言うより、帰ってきた途端コアのせいだと急に言い出したのだ。
もちろん状況はよく分からないけど、コアは違うと全否定している。
本当、バーンとガゼルってどういう躾してるのさ。
「コア、父さんの所に行きたいんだけど」
コアがそう言うと、話は終わってないとヒートに言われる。
デビルも怒りそうだし、この場を早く抜けたい・・・。
「・・・分かったよ、罪は認めるよ。無罪だけど、ね?デビル」
「みゃ〜」
「ふざけるのも大概にして!」
あぁ〜、うるさい。
仕方ないもんね?怒らせた君達が悪い訳だしさ・・・。
「デビル・・・ちょっと離れて」
コアでも驚くほどの低い声にプロミネンスの連中もダイヤモンドダストの連中も数歩後ろに下がった。
まるで怪物扱い・・・まあ、慣れてるけどね。
デビルは私の肩からストッと降りると、私は小さく呟いた。
「出ておいで・・・皐月」
コアの意識は無くなって行き、逆に意識の中でコアそっくりの女の子がコアの体を乗っ取った。
あは、プロミネンスもダイヤモンドダストも悪いよ?コアを怒らせちゃったんだからさ・・・。
〜???視点〜
「ふぅ〜、コアを傷つけた子・・・誰?」
コアの体を乗っ取った俺は低い声でそう言った。
「お前・・・誰?」
「そんな事・・・どうでもいいだろ?」
俺はデビルが持って来てくれたボールを足で止め、ヒートとアイキューを睨みつける。
お前等・・・いい加減にしろと俺は思ってしまう。
コアは俺の仮の姿だけど・・・傷つけられると、すっごいムカつく。
「ねえ?蜂の巣にしてもいいよな?」
「!!」
「ナイトメア!!」
グレントとベルガに悪夢を見せる。
これはコアが努力を努力で重ねた最強の技、“ナイトメア”。
ナイトメア・・・その名の通り、悪夢を見せて相手から点を奪うのだが俺は無性に腹立った為、撃っただけ。
もちろん、この技はコア本人は本気で怒らせた人にしか見せない。
あ、それはつまり俺の事ね。
「グレント!」「ベルガ!」
「はあ〜、綺麗な友情ですこと・・・。こいつら雑魚みたくなりたくなかったら、今後怒らせない事だね」
俺はそう言ってデビルを連れ、父さんの部屋に向かう・・・が!俺にはコアと入れ替わると言う仕事がある。
あの雑魚達が居ない所に着くと、俺は戻っていいと言った。
俺の意識は無くなって行き、逆にコアが俺の体を乗っ取る。
〜コア視点〜
「ふぅ〜、皐月に悪い事しちゃったな〜。ねえ?デビル」
「にゃ〜」
はあ〜、本当皆変わったな〜。
まあ、変わった時点でコアは誰も信じない・・・。
コアはここに居ても何の得にもならないから、廊下から出ると、ばったりとグレントを担いだプロミネンスとバーン、そして、ベルガを担いだダイヤモンドダストとガゼルが居た。
あ、これ・・・めんどくさいパターンですやん。
「何?」
「よくも俺達のチームメイトを可愛がってくれたな?」
「コアのせいじゃないし」
「嘘を吐くな。アイキュー達がお前がやったと言っているぞ」
軽く舌打ちする。
だから、仲間とか嫌いなんだよね・・・コア。
「知らない、皐月がやった事だもん。文句なら、皐月に言えば?」
「その皐月がお前だろ!!」
「なら、ほっておいて。コアはデビル以外信じてない!」
あれ?何で視界がぼやけてんだろ?デビルが俺の目元を拭いてくれる。
「デビル・・・ありがとう」
「にゃ〜」
デビルを肩に乗せ、コアはガゼルとバーンの横切る。
もう、誰も信じてないんだから・・・。
コアはそう思いながら、父さんの部屋に向かった。
続く
第6話コアの涙と皐月の感情〜ガゼル視点〜
『コアはデビル以外信じてない!』
コアはそう吐き捨てて涙を貯めていた事が頭に過る。
コア・・・意味は物の中心部つまりエイリア学園の心臓だ。
だから、父さんが特別扱いするのも分かる。
だが、コアは信じていない・・・そう誰も・・・。
「私達・・・コアに悪い事・・・しちゃったかな?」
アイシーの小声が聞こえた。
確かに、あれは言い過ぎたと今更ながら思えてくる。
だが、コアもやり過ぎだと分かっている筈だ。
(あとで・・・謝りに行くか・・・)
父さんの部屋に行くと言っていたな、確かその次は・・・会議だ。
めんどくさいと言うのも半ばあり、コアに会うの気まずいと言う物も半ばある。
私はチームメイトに部屋に戻るよう言って、自分の部屋に戻る際中、コアの飼い猫である黒猫のデビルがこちらにやって来た。
引っ掻きに来たのか?私は数歩後ろに下がり、デビルを見やる。
「にぎゃ〜〜〜〜」
(完全に警戒心持たれたな・・・これは)
威嚇のポーズをされ、そう思った。
私は不機嫌であろうデビルを横切り、自分の部屋に着く。
部屋に着くと、目に入るのはお日さま園の時の写真だ。
「・・・もう、あの頃には戻って来てくれないのか?皐月」
エイリア学園に入って、真っ先に必要のない感情、人格を捨てたのは皐月だ。
最初こそ戸惑ったものの皐月にとってはそれが当たり前の様なものになってしまったのだろう。
アイキュー達の話じゃ、怒った時に皐月が出て来たと言っていたな。
話がしたい・・・。
「お前が・・・私の初めての友達なんだから」
皐月がお日さま園に入ったのは4歳の時、私と同じ時にお日さま園に入ったのだ。
女の子らしい・・・そう言えば、全然女の子らしくなかった。
いつも一人称は俺で言動も男らしかった。
唯一女の子らしい姿を見たと言えば、黒猫のデビルを可愛がっていた時だ。
「皐月・・・すまない。」
今はそれしか言う事が出来なかった。
私に守る力さえあれば、皐月は守れたのに・・・。
〜コア視点〜
「父さんの話は確か・・・雷門の潜入だよね」
めんどくさい、何でそんな事しなきゃいけないのだろうか?そんな事が頭に巡る。
そう言えば、この後会議だったよね?はあ、めんどくさいと言うかバーンとガゼルに一番会いたくないし一番喋りたくない・・・。
「「あ・・・・」」
はい、バーンと出会いました。
コア逃げる!コアが後ろを振り返り、逃げようとした時だ。
「あ・・・あのさ!」
「何?」
声を掛けられ、返事を返す癖・・・直しとこう。
皐月に心の中でさんざんに言われた意味が分かった気がする。
そう言えば、デビルは!?デビルが居ない事にコアは慌てふためく事しか出来なかった。
「その・・・さっきは言い過ぎた。悪かったな」
「・・・コアが許すとでも思ってるの?」
あれでどれだけ傷ついたかも知らないで・・・。
コアはバーンを睨みながら、デビルの捜索を始めた。
デビル・・・何処行ったの?大事な・・・大事な“家族”なのに。
〜バーン視点〜
「あれ?コアは?」
グランの言葉に俺とガゼルは顔を逸らす。
コアが来ない原因は俺達だ。
だけど、グランには分かったのかニヤリと不敵な笑みを浮かべてこう言った。
「まさか、二人共・・・コアを泣かしたの?」
「「・・・・」」
「あぁ〜、コアが来ないのも分かるよ。今回ばかりはコアに同情するね」
グランのワザとらしい声にイラッと来た。
確かに俺達が悪いが、半分はコアも悪い。
だけど、泣かした俺達が悪い。
「まあ、いいや。コアが居ないなら、代わりに伝えないとね」
「何を?」
「コアが雷門に潜入するんだよ。まあ、俺達とっては好都合だよね?」
確かに好都合かもしれない、俺達マスターランク三チームはコアを嫌っているから。
だけど、仲直りも出来ずに居なくなるのはどうしても気まずい。
さっきも謝ったけど・・・許してくれる気配も感じなかった。
「まあ、それじゃあコアが来るまで何か話そうか?」
グランの一声で気まずい空気の中他愛のない話をした。
そして、コアが来た時には俺は真面にコアの顔を見る事が出来なかった。
続く
第7話コアは人間にならないといけないの?〜コア視点〜
やっと胸糞悪い会議が終わった。
でも、人間の姿の時は少し変化をしないと・・・多分姉さんや皆月に気づかれてしまう。
コアはそう言う変化みたいなのは苦手、この猫耳フードも取らないといけないのが何よりも嫌だ。
だって、デビルと同じ色だから・・・。
デビルも連れて行けないもんな〜。
「本当、コア・・・最悪」
他に服なんか無かったような気がする。
そう考えた時に、プロミネンスとダイヤモンドダストにまた遭遇した。
今日はやけにコアの目の前に現れるからイライラする。
デビルも完全に警戒心丸出し。
「何か用?コアは忙しんだけど」
「その・・・さっきは・・・」
「謝っても皐月が許さないならコアも許さないから」
何か言いかけているヒートを横切って、コアは自分の部屋に向かう。
あぁ、イライラする。
デビルもコアがイライラしているのに気が付いたのかコアの頬に自分の頭をスリスリさせた。
デビルだけがコアの支えだもんね。
「ねえ?デビル。デビルは・・・コアと離れたい?」
「にゃ〜」
「そっか、そうだよね。離れたくないよね」
はあ〜、本当にお前だけだよ・・・信じられるのは。
勿論レーゼ達ジェミニストームやデザーム達イプシロンも数少ないコアの信頼できる人。
ガイアやプロミネンスやダイヤモンドダストや父さんなんて信じられなくなっている。
「さぁて、着替えよっか?」
この緑色の髪の毛を少し変えて見ようかな?
あ、レーゼ達にちょっと悪役頼もう。
「デビル、これをレーゼに渡して来て。絶対にプロミネンスの子達とかダイヤモンドダストの子達とかガイアの子達に見せないでね」
デビルにそう注意をしながらクルクルに巻いた手紙をデビルの首輪に付けた。
デビルは鳴き声を上げ、コアの部屋を出て行った。
さて、服どうしよう・・・。
そう悩んでいると、コアの部屋にノックの音が転がり込んだ。
ドアを開けると、そこには痩せ細ったまさに死神である剣崎が居た。
「はい」
「旦那様より、コア姫様の洋服でございます」
剣崎は一番嫌いだ、エイリア学園の中でも。
ワザとらしい敬語もコアにとっては不愉快この上ない。
剣崎から渡された服を見れば・・・動きやすい服装、フードは猫耳じゃないけど黒。
黒色が一番好きな色、だって人の絶望の色でありデビルと同じ色なんだもん!だから、何よりもこの色が好きだ。
剣崎に軽くお礼を言って、服を着て見る。
「まあまあ、似合ってる」
そう呟いた時、コア様とコアの名前が呼ばれた。
「レーゼ、急に呼び出しちゃってゴメンね」
「いえ、それより手紙の内容に人質役をするからと書いてましたが・・・」
「うん、だから・・・レーゼ、お願い・・・出来ないかな?」
「・・・分かりました。我らもコア様にあの時のお礼がしたいですし」
お礼?そう思ったけど、深くは聞かない事にした。
だって、今のレーゼの笑顔は紛れもなく“緑川リュウジ”なのだから。
〜翌日〜
「じゃあ、デザーム。デビルの事、お願いね」
「はい、お任せください」
コアは肩に乗っているデビルをデザームに渡す。
デビルの寂しそうな表情に胸が痛む。
だけど、大丈夫。
すぐ帰って来るからね。
「それじゃあ、行こう。レーゼ」
「はい、コア様」
此処から出れば、少しの間コアはお休み。
お願いね?皐月・・・。
続く
人間時のコアの紹介
偽名・・・倭国 恋姫(わこく こいひめ)
死神屋皐月の名を伏せたコアの人間時の姿。
エイリア学園の時とは違い、優しくほんわかとした温かみのある雰囲気を出している。
雷門イレブンのマネージャーとして、キャラバンに潜入する。
染岡と風丸を極端に嫌う。
容姿・特徴
・緑色の髪の毛が濃い緑色からグラデーションで黄緑色になっている。
・服は雷門のジャージに代わり、黒いフードにジャケットのズボンと言うワイルドな格好。
・目は変わらずネコ目で瞳の色は変わり、金から黄緑。
・一人称は「俺」
〜ここでコアと皐月が使う必殺技紹介〜
コアの場合
・ナイトメア(シュート技)
・パーティーキャット(シュート技)
・ブラッディレイン(ディフェンス技)
・マジックイリュージョン(ドリブル技)
禁断の技
エンド・フューチャー(シュート技)
皐月の場合
・ナイトメア(シュート技)
・ダークナイトキャット(シュート技)
・マジカルフローラ(ディフェンス技)
・フラッシュトランプ(ドリブル技)
禁断の技
エンド・フューチャー(シュート技)
第8話塔子と人質〜皆月視点〜
SPフィクサーズとの試合も終わり、皆も自分達が宇宙人ではないと証明出来たので安心している。
「いや〜、まいったよ。FFで優勝した雷門だね!」
「そうだろ〜って!えええええええ!!」
「やっぱり・・・」
私の勘が当たったようだ。
ムーンはすぐに塔子さんに跳び付き、自分の頬を塔子さんの頬をスリスリしていた。
「え?この猫・・・誰の猫?」
「あ、すいません・・・私の猫です。ありがとうございます、財前総理の娘さん」
「え?え?え!!」
私がそう言うと、円堂先輩は驚いた様に私と塔子さんを交互に見た。
塔子さんと言えば、ムーンを私に返してよく分かったねと驚いた様子でそう言った。
頭の中をすべて探った甲斐があったよ。
その後、塔子さんは自分の父親である財前総理が誘拐された事を事細かく話してくれた。
(父さん・・・緑川になんて事を・・・)
緑川だって本当はしたくない筈なのに・・・。
そして、塔子さんはお父さんを救いたいと言う熱い思いに円堂先輩は快く迎えた。
あ、もちろん瞳子姉さんの許可を取ってね。
その時だ。
近くにあったモニターが急にザザザ・・・と言う音を出したと思ったら、モニターからレーゼとなった緑川と何処かで出会った事のある少女が捕まっていた。
「何だ?!」
『地球人よ、我らはエイリア学園である』
「レーゼ!」
『お前達地球人に我らの大いなる力を示す為、この地に降り立った。我らは野蛮な行為を望まぬ、もし、野蛮な行為を行ってみよ・・・この女を見せしめにする』
緑川・・・。
どうして・・・そんな事・・・。
『そんな物を見たくないのなら、お前達の星にある、サッカーと言う1つの秩序において逆らう意味がない事を示そう!』
そう言うと同時にモニターは何事もなかったかの様に映像が消えた。
それより、あの女の子・・・何処となくお姉ちゃん似てた・・・。
まさか・・・ね・・・、お姉ちゃんがね・・・。
そんな胸騒ぎを持ちながら、私は円堂先輩達と緑川の居場所を探していた。
「分かりました!場所は・・・」
〜奈良シカTV〜
「此処か・・・」
私達は上を見上げた時、屋上であろう所から不気味な光が光っていた。
皆は急いで屋上に行く。
緑川・・・どうして、そんな事をしたの・・・!私はムーンをおちない様に両手で抱え、皆の後に続く。
そして、屋上に着く。
「レーゼ!」
ボールを蹴ろうとしていた緑川に円堂先輩が呼ぶ。
「また貴様らか・・・」
緑川は女の子を抱きかかえながら、こちらに振り向いた。
女の子は私達に気が付くと、悲痛な声で私達に助けを求めた。
「助けてください!お願いします!」
「分かってる・・・絶対助けてやるからな!」
円堂先輩がそう言うと、緑川は不敵な笑みを浮かべながら円堂先輩じゃなく私を見据えていた。
「にゃ〜・・・」
ムーンの悲しい鳴き声、緑川・・・戻って来て、あの時の優しい緑川に・・・。
続く
第9話倭国恋姫〜コア(皐月)視点
雷門って・・・単純すぎだ。
あ、俺?俺は死神屋皐月、今は名前を変えて倭国恋姫と言う名前だ。
おかしい名前と思うけど、パンドラとマキュアが一生懸命に考えてくれた名前だ。
それより、雷門が単純過ぎて何も言葉が出ない。
まあ、俺は人質役だから・・・そんな事一言も言えないのだ。
(コアも今は眠ってるし・・・デビルも居ないし・・・すっごい暇)
レーゼ達には事前に俺が皐月だと言う事は伝えておいた。
その時のレーゼの顔・・・驚いてたけど、良かったって小さい声で言ってた。
その時の声は紛れもなく好敵手でもあった緑川リュウジだった。
でも、その声もすぐに終わってレーゼに戻った。
「まあ、俺にとって不足か得か見極めさせてもらうぜ」
それにしても・・・俺の格好、ワイルドすぎだろ?フードにズボンって・・・。
でも、レーゼ達の試合は一目瞭然だ。
もうボロボロで試合を棄権しては?と俺は思っている。
これが・・・皆月と姉さんが選んだ地上最強のチーム?笑わせてくれるね。
レーゼがこちらを見て来た、一瞬何でだろうと思ったが試合の終了は俺が決めるのだとすっかり忘れていた。
(確かに・・・これじゃあ終わりだね)
俺は口パクで『技を打って終われ』と言っておいた。
だけど、円堂守は諦めない。
あぁ、イライラする。
「地球にはこんな言葉がある、井の中の蛙大海を知らずとな・・・」
レーゼが足をボールから離すと、ボールはまるでブラックホールみたいに周りの物を吸い込むんじゃないかと言う程の風を出しては、不気味なまでのエネルギーが光っていた。
「アストロブレイク!」
これがレーゼの必殺技だ。
と言っても、俺みたいに一人用の必殺技が2個もある訳じゃない。
でも、当然ボロボロの円堂守には止められず結局の所止められずに倒れてしまった。
ざまぁない。
「この女は返しておこう、さらばだ」
レーゼに押され、俺は雷門に。
無事潜入は完了した、けど、少しの間レーゼ達と会えないとなると悲しい。
俺は一度振り向くが、もうレーゼ達との姿はなかった。
そして、一度雷門はキャラバンに戻っている。
「俺のせいで・・・皆さんをこんな目に・・・すいません」
俺は落ち込む演技で雷門に謝った。
はあ〜、何で俺が頭を下げないといけないのだ。
だけど、演技だと近づかない雷門は俺は被害者だとそう言った。
「大丈夫?それより・・・貴方、名前は?」
「あ!す・・・すいません、俺、倭国恋姫って言います。」
「そうなんだ、よろしくね。恋姫ちゃん」
うわ〜ちゃん付け慣れねぇ〜。
「恋姫・・・だったかしら?」
「う・・・うん」
うわ、皆月!俺はバレるのではと言う緊張感を隠しながら返事をした。
ムーンの目が怖い!!デビルより怖いぞ、ムーン。
「私のお姉ちゃんに似てるわね、気のせいかしら?」
「き・・・気のせいだよ、ほら、似てる子っていっぱい居るじゃない?」
うわ〜、こう言うの苦手なんだよな〜。
そう思っていると、雷門の一人一人が文句を零していた。
姉さんのありがたみを分からないって、案外バカな連中かも。
父さんはこのチームに何を求めてるんだ?そんな不思議な疑問を持っていると、鬼道有人がこう言った。
「いや、よく考えてみろ。あのまま体力の限界だった俺達が、もし、俺の作戦で行っていたら・・・」
「俺達も半田達みたいに病院に行っていた・・・」
あ、案外真面な奴が居たけど・・・あの青色の髪の毛の奴、あんま俺好きじゃねぇな。
だけど、ピンク頭はこれは俺達のサッカーじゃない!と文句をただ零してるだけ、いやいやコアにも勝てなかった癖によく言うよ。
俺が心の中で呆れ果てていると、それは違う!と大きな声が聞こえた。
え?レーゼの技が当たったのに、動けてるし!?普通は2,3日寝込むぞ。
「監督はあいつらを使って、特訓させてくれたんだ!」
続く
第10話豪炎寺修也の離脱〜皐月視点〜
バカみたいだと言うのが今の俺が雷門に言える事かな?だって、レーゼ達を使って特訓って見てたけどさ、凄いやられてたよね?あれを特訓って・・・。
俺は呆れ半分に円堂守を見ていると、ザッと足音が聞こえ、振り向くと姉さんと皆月が居た。
一体どうしたんだろうか?雷門や俺は首を傾げていると、姉さんは豪炎寺修也の元へ行ってこう告げた。
「豪炎寺君・・・貴方にはチームから外れて貰います」
その言葉に雷門は目を丸くした。
彼奴らも上手くやったんだ、失敗するかと思ったのにな〜。
まあ、文句も零す事も出来ず豪炎寺修也の次の行動を待った。
豪炎寺修也は驚いたが、姉さんの意図が分かったのか何も言わず去って行った。
その後を追い掛ける円堂守に何故嫌な気分が来て、吐きそうになる。
そういや、コアは仲間とか嫌いなんだった。
「監督・・・少しいいですか?」
「えぇ、どうしたの?死神屋さん」
「彼女・・・どうしますか?」
ムーンを抱いている皆月が俺を見ながら姉さんに相談した。
姉さんも俺の方に向き、そうねと小さく呟いて俺の方に向いた。
「一緒に来て貰いましょう、此処に置いておくのも・・・」
「ありがとうござます」
俺はサッカーが出来ないと言う事でマネージャーとしてやる事に。
本当は出来るけど、コアがそうしろと言っていたからそうしているだけ。
今はコアが俺の主みたいなものだ。
そして、夜になって未だに豪炎寺修也が何故キャラバンを離れければ行けないのか姉さんに説明を求めている染岡竜吾が居た。
はあ〜、本当、此処にバーンがいるみたい。
すると、姉さんのポケットからケータイの着信音が聞こえた。
「はい、・・・はい、分かりました」
電話の相手から何かを話し終えた姉さんは、こちらに振り向いてこう言った。
「北海道の白恋中に居るエースストライカー・吹雪士郎を仲間に入れ、戦力アップを計れ」
「それってつまり・・・」
「今から北海道に行って、その吹雪士郎って方を仲間にするって事ですね」
皆月の言葉に姉さんは頷いて見せた。
吹雪士郎・・・、調べる必要はありそうだな・・・。
コアには伝えておかなくちゃ。
そう思い、俺は雷門の潜入に成功し、姉さんも皆月も俺が死神屋皐月だとは気が付かなかった。
だけど、ムーンは違った。
俺は誰も居ない席に座ってボケッと外の景色を見ていると、にゃ〜とデビルとは違った可愛らしい声が聞こえて来た、あ、もちろんデビルの方が可愛いからな!!勘違いするなよ。
「どうしたの?」
「にゃ〜」
「(絶対気づいてる・・・)飼い主は何処行ったの?」
「あ、ごめんなさい。ムーン!」
皆月の声にムーンは反応して、すぐさま皆月の膝に飛び乗って眠る態勢に入った。
そういや小さい頃から寝る時はそこが一番のお気に入りだったっけ?ムーンにとっては・・・。
ふわあ〜眠い、俺は窓辺に頬づきしながら目を閉じて、そのまま眠った。
目を覚ました時に辿り着いていたのは、北海道の白恋中ではなく国会議事堂前。
「え?何で・・・」
「おはよう、恋姫ちゃん」
「あ、おはよう。何で、国会に居るの?」
同じマネージャーの秋さんに聞いてみると、雷門に居た財前総理の娘である財前塔子に父親を会わせる為に北海道の前に国会に来たのだとか。
「家族・・・か・・・。」
「どうしたの、恋姫ちゃん?」
「家族って聞いたらさ、あんまいい思い出がないから・・・羨ましいなって」
今の家族は・・・離ればなれ。
父さんも昔の優しい父さんじゃない、だから、コアも信じてない。
ヒロト達も皆変わってしまった、まあ、一番初めに変わったのって俺なんだけどね。
父さんの期待に答えなきゃと言うプレッシャーの中で生まれたコア、今の俺は二重人格だ。
「そっか、でも、大丈夫だよ」
「え?」
「今作れなくてもこれから作って行けばいいじゃない。」
今じゃなくて・・・これから。
そう考えた時だった、ちょうど財前塔子と円堂守が戻って来た。
そうだ、俺は雷門を探るために来たんだから・・・。
続く
第11話二重人格の少年・吹雪士郎と変わってしまった父さん〜皐月視点〜
白恋中に到着した俺達は、吹雪士郎と言う子を探す。
それにしても・・・途中で出会った男の子、ちゃんと目的地まで辿り着いたのかな?って何で俺がそんな心配しなきゃいけねぇんだよ!バカみたいだな、一回エイリア学園に戻ってみようかな。
そう考えていると、隣に立っていた皆月が不思議そうな顔をしながらこっちを見ていた。
「どうしたの?一人で」
「え?ううん、何も」
「そう?そう言えば、ムーン見てない?」
「ムーンってあの白猫?」
ムーンならそう言えば、白恋中の女の子に跳び付いて一緒に吹雪士郎を迎えに行ったな。
それを皆月に伝えると同時に吹雪君と言う白恋中の女の子の声でその声の先に目をやれば、目を疑った。
「あれ?君達・・・」
そう、その子は先程俺達と一緒にキャラバンに乗って居た子だ。
まさか、あの子が吹雪士郎だったなんて・・・知らなかった。
その後、雷門の皆は雪合戦をしたりとしていたが俺は今の状況報告をしなくてはならない為、一時エイリア学園に帰った。
〜コア視点〜
「ふわあ〜、全く皐月も情に流され過ぎだよ」
コアがそう言うと、心の奥に居る筈の皐月からごめんと声が聞こえた。
久しぶりかな、こうやって皐月とコアが話すのって・・・。
小さい頃はいっぱい喋ってたのに・・・。
「それより、父さんだよね〜。よし、報告してさっさと雷門に戻らないと」
絶対心配されるのが、コアにも分かる。
と言っても、父さんに報告・・・か・・・・。
デビルに逢いたいけど・・・すぐに雷門に戻らなきゃいけない。
今回はデビルに会うのは諦めようかな・・・そう考えていると、即に父さんの部屋に着いていた。
「行きたくないな〜」
『しょうがない、行って話したら俺が交代するから』
「うん」
皐月に言われ、コアは一時帰って来た事を部屋に居る父さんに言った。
父さんから入りなさいと言われ、襖を開け入ると、そこにはマスターランクのキャプテン達が居た。
グラン達に会うとか・・・最悪だ。
今すぐ代わって・・・、皐月。
『しょうがないな〜』
そう言って、皐月が代わってくれた。
コア・・・頭が痛い。
〜皐月視点〜
「父さん、コアの代わりに皐月がお伝えします。」
「そうですか」
全く、コアのグラン達の嫌うのをやめて貰いたい。
しょうがないか、コアは俺が作っちまったもんだし。
「雷門は戦力アップの為、北海道でエースストライカー吹雪士郎を入れるようです。豪炎寺修也はこちらの作戦の通り、雷門から離脱しました。何事も無ければ、こちらの味方になると思われます」
「そうですか、それにしても皐月として話すのは此方に来て久しぶりですね」
「はい」
そう言われれば少しだけ嬉しくなる。
でも、言葉は優しくても・・・もうあの時の父さんじゃない・・・。
あの優しかった父さんじゃない・・・。
コアもそれが分かってる、デビルもグランもバーンもガゼルもレーゼもデザームも皆が知ってる。
でも、知ってるからこそ従っている。
「では、引き続き雷門の潜入をお願いしますよ。」
「はっ!」
「それと、コアにこう伝えておいてください」
続く
第12話吹雪アツヤと吹雪士郎〜皐月視点〜
コアに何を伝えるのだろう?俺はそう思って、父さんの話を聞いた。
グラン達を見れば、少し悲しそうな顔をだった。
ん?何だ?まさか、コアをって言うか俺を追放とかじゃないよな・・・。
冷や汗を出しながら、俺は父さんを見る。
「プロミネンス、ダイヤモンドダスト、ガイアとの試合をして貰いたい。だけど、コアにはコアの用事があります。そこで暇が出来た時、此処に戻って来てほしいとコアに伝えておいてください」
それだけ?それなのに、グラン達悲しい顔をしてるの?俺は不思議に思いながらも分かったとだけ父さんに伝えた。
そして、4人で父さんの部屋に出る。
さて、雷門に帰りますか・・・。
「皐月・・・」
「ん?何?」
「・・・久しぶりだね」
ヒロト・・・。
「そうだね、こうやって話すのも久しぶりだよ」
今はちゃんと笑えているだろうか?やっぱ自分でも分からねぇわ。
でも、ヒロト達の姿を見て少しだけ安心できた。
「此処で話すのも何だし、違う所で話そう」
「そうだね」
姿は変わってもヒロト達なのだと今更理解する。
コアは俺の負の感情、俺が生み出した存在。
チビの頃から俺の傍に居てくれた、それこそデビルより長い間傍に居てくれた。
だから、俺はコアをエイリア学園の人間として俺の力を貸してやった。
それをグラン達に話すのはまだ無理そうだ、多分信じてはくれないだろうな。
〜部屋は変わり会議室〜
「皐月としてこの部屋に入るのは初めてだな」
俺達が来たのは誰もが使える会議室だ。
棚を見れば・・・見なかった事にしとこう。
「此処じゃ、皆本名で呼び合ってるからね。」
「そうなんだ・・・、コアは此処の部屋知ってるの?」
俺が聞くと、風介が首を横に振った。
だろうな・・・コアは仲間とか嫌いだから。
コアも少しはヒロト達と仲良くしてほしいのにな〜。
「皆もまだ・・・自分が居たんだね」
「当然だってんの。でも、これからどうすんだよ?皐月は」
「俺?・・・このまま雷門に潜入して、時間を見て正体を明かす。それが父さんに言われた事だからね。あ、後、もうちょっとエイリア学園に居させてくれる?ちょっと調べたい事があるから」
「皐月が調べもの?珍しいね」
ヒロトさんや、俺だって調べ物はするよ・・・あんましないけど。
と言う事で、しばらくの間は俺はエイリア学園に居ることにした。
調べ物と言うのは、吹雪士郎の事だ。
疑問はいっぱい残る・・・一つは雪崩の事、もう一つはチラッと見ただけだったが彼のシュートは彼自身の物じゃないと違和感を持った事。
ヒロト達には皐月が居るって事は教えない欲しいと言う事にした。
「さて、調べるのを開始するか」
北海道で起きた事件をすべて調べ上げる。
注目は雪崩と言う単語だ。
「雪崩・・・雪崩・・・あ!あった!!」
俺はその記事を開くと、よく読んだ。
吹雪夫妻、吹雪アツヤ雪崩によって死亡・・・。
そういう事か、簡単な話じゃないか。
吹雪も孤児なんだなと思いながら、その記事を読んで行く。
「そろそろ帰りますか」
俺は席を立ち、ドアを開けるとばったりと茂人と修児に会ってしまった。
あ、やべ。
俺は冷や汗を流しながら、数分3人共その場に固まっていた。
「「「わあああああああああああああああああああああ!!!」」」
そして、大声。
茂人と修児を見れば、お化けを見てる様な顔。
わぁ〜傷つくな〜。
「え?え?どうして、コア様が・・・」
「コアじゃないよ、今はね。」
「え!?皐月!?」
「うん」
二人共・・・本当に酷くね?!俺は幽霊なのかな?一人落ち込んでいると、二人に両手を掴まれ、またさっきの部屋に逆戻りになった。
それにしても、吹雪にもあんな過去があるなんてな・・・雷門の奴らは誰一人思ってねぇよな・・・。
続く
第13話空っぽの力とストライカー勝負!〜皐月視点〜
「え?本当に皐月だよね?」
「そうだよ」
コアは今は眠いとの事で何ヶ月か眠っている。
デビルに会いたがってたけど・・・これじゃあ仕方ないか。
「あのさ・・・皐月、あの時はゴメン。」
「いいよ、俺もあの時怒り任せだったから。コアもやり過ぎたとは分かってるから」
「ありがとう・・・それより、雷門に戻らなくていいのか?」
「いや、さっき戻ろうとしたら修児と茂人に会って・・・」
俺達はまた沈黙となった。
そして、あの時のお礼をと言う事で茂人と修児に北海道まで送って貰った。
空を見ればもう真っ暗だ、早く戻ろう。
教室に入ると、秋さんが心配した様に俺の元に来た。
「恋姫ちゃん!何処行ってたの!?私達心配したんだよ・・・」
「すいません、ちょっと辺りを散策してたらこんな時間に・・・・」
「そうだったのか!次は気を付けろよ!」
次・・・か・・・。
俺達マネージャーは円堂守とは違う時間にご飯を食べ、眠る事にした。
俺はと言うと、眠る事は出来ずキャラバンの上で月を見ていた。
エイリア学園に初めて来た時に見た月もこんなに綺麗だったな〜。
俺が月を見ていると、恋姫?と呼ばれた。
見れば、風丸一郎太だ。
「どうしたんだ?」
「眠れなくて・・・風丸は?」
「俺はちょっと考え事」
「そう・・・、もしかしてエイリア学園の事?」
俺が聞くと、風丸一郎太は肩をビクッと震わせた。
どうやら図星らしい。
話を聞くとレーゼ達の実力でもし自分も神のアクアがあれば強くなれると考えていたらしい。
その力を使っても、エイリア学園には勝てないだろうな・・・。
「皆、強くなってると思いますよ?それに・・・エイリア学園に神のアクアなんて通用しないし」
「何か言ったか?」
「何も言って無いよ。とにかく風丸なら大丈夫だよ」
「そうか?恋姫がそう言うならそうかもしれないな」
少し話をして俺はキャラバンの屋上で一夜を過ごした。
そして、朝起きるとレーゼ達が白恋中を襲撃する事を映像にして語っていた。
そろそろ本気で動いたって所か、まあ、負ければただ特訓を受けるだけだってヒロトに聞いたし、大丈夫だろうけど・・・。
「恋姫ちゃん、一緒にスノボーやらない?」
「え?!」
吹雪士郎に誘われるが、産まれてこの方俺はスノボーなんぞやった事ない。
ヒロト達なら簡単に滑れるだろう、俺はお日さま園の中でもスノボーやスキーと言った冬で遊ぶ物は大の苦手だ。
俺は断ったが、出来ないなら僕が教えると吹雪士郎が言ってくれたのでやって見る事に・・・。
「だ・・・大丈夫だよね?」
「うん、落ち着いて。自分は風だって思って・・・」
俺は風、俺は風、俺は風ずっとそんな事を思っていると何かに滑ってる感覚が頬で感じ取れた。
少しだけ目を開けると、吹雪士郎が横に居て俺は滑っている。
え?!え〜〜〜!!!俺は一人驚きながら、後ろで感じる気配に俺は咄嗟にスノボーを左にずらす。
横に通って行った物を見ると、雪玉。
円堂守達が特訓で使っていた物だ。
その後、何個か避けた後で俺はスノボーをやめた。
「凄いね、恋姫ちゃん。スノボー上手だね」
「そ・・・そう?(初めて滑ったとは思えない)」
一人そんな感覚に驚いていると、染岡竜吾がこちらに来て吹雪とストライカー勝負をしたいのだと言う。
試してみよう、もし、吹雪士郎にアツヤの人格があるなら俺と同じだ。
そして、ストライカー勝負は白恋中にあるグラウンドでやる事に。
でも、どっちが勝ってもエイリア学園には勝てない
続く
第14話吹雪アツヤと倭国恋姫〜皐月視点〜
ストライカー勝負の勝者は染岡竜吾で終わった。
まあ、あのままアツヤで居れば吹雪が勝っていた。
何であの時・・・アツヤをやめたんだろう?そう考えた時に俺の頭に葉っぱが一枚落ちて来た。
上を見上げれば、リスが一匹。
そういう事か、俺は納得すると吹雪がこちらにやって来た。
「隣、いいかな?」
「別にいいけどさ、吹雪アツヤ出すのやめたでしょ?リスを助けるために」
「!よく分かったね」
「気に障ると思うけど、ちょっと調べさせてもらったんだよ。雪崩の事件の事。そのマフラーは・・・アツヤの形見って所?」
俺が白いマフラーを指差すと、吹雪は顔を暗くさせながら頷いた。
その後色々と詳しく聞かせて貰った、聞き終わると分かったのが俺とは違う境遇だけど悲しさの余り人格を生み出したって所は似ていた。
「ねえ、夜に一回だけ君と勝負がしたいんだけど・・・いいかな?」
「!アツヤでも・・・いいかな?」
「うん、アツヤと少しだけ話したいんだ。アツヤがどんな子か知りたいんだ」
「そっか・・・僕と恋姫ちゃんって似てるね。何だか、安心するよ」
「そう?後、俺の事ちゃん付けはしないで、恋姫で良いよ」
「分かったよ、恋姫」
吹雪・・・か・・・。
俺は少しここ離れて、コアと話す事にした。
コアはちょうど起きている、俺は誰も居ない森林に入ると木に凭れてコアに話し掛けた。
「コア・・・吹雪の前ではコアは出ちゃ駄目だよ」
『分かってるよ〜、コアもそこまで分からないバカじゃないもん!』
「そう、ありがとう。・・・コアから見て吹雪はどう思う?」
『ん〜〜、繊細な子で・・・いつか壊れちゃいそう、昔のコア達みたいに・・・』
「・・・そうだね、でも、俺達は敵。吹雪とは敵と言う事は憶えておこう、どんなことがあっても」
『うん・・・』
俺とコアは会話を終了すると、俺は元来た道に戻って行った。
吹雪の事を支えてやりたいと思うのは・・・俺とコアだけだろうか?吹雪は俺がエイリア学園って知ったらどう思うだろう?・・・バカなことは考えないでおこう。
そして、夜。
円堂守達が寝たのを確認すると俺はソーッとキャラバンを抜けだし、グラウンドに行く。
「待たせたね、吹雪・・・アツヤ君?」
「へっ!お前が兄貴の言う恋姫か・・・。中々面白そうじゃねぇか」
「こちらもお会い出来て嬉しいよ、君達との練習試合は見れなかったからね」
「で、俺と勝負したいんだろ?ストライカー勝負か?」
「まあね、やろうよ。ストライカー勝負」
俺は持って来ておいたサッカーボールを地面に置いて、お互い間合いを取る。
そして、お互いが笑ったところで勝負が始まった。
奪われたら取り返すそれの繰り返しだった、久しぶりだ・・・こんなに楽しいサッカーをやったのは・・・。
結局俺も本気を出さず、引き分けと言う事になった。
「やるじゃん・・・と言うか、アツヤ・・・本気出してなかったでしょ?」
「はぁはぁ・・・お前もな・・・。」
「俺さ、マネージャーだけど・・・お前とのサッカー楽しかった。」
「そうかよ・・・じゃあ、今度は選手として勝負したいぜ」
俺とアツヤはそう言って、グラウンドで大の字になって夜空を見上げた。
〜皆月視点〜
「やっぱり・・・お姉ちゃんなのかな?」
私は瞳子姉さんと人があまり来ない場所で最近やって来た倭国恋姫さんの事を話していた。
「分からないわ、でも・・・ムーンがよく懐くのはいつもの事じゃない」
「ううん、なんて言うかムーンが恋姫さんが行った場所じゃいつも切なげに鳴いてるから・・・」
「そう・・・もうちょっと様子を見て、彼女に聞いて見ましょ」
「うん」
お姉ちゃんならどうしよう・・・。
私はそう思う、私は腕に中で眠っているムーンを見ながらムーンの毛をそっと触った。
ムーン・・・貴方は倭国恋姫さんがお姉ちゃんだと思う?私は少しだけ思ってるの。
続く
第15話 コアと皐月の不安〜皐月視点〜
レーゼ達がやって来た、ついにこの日がやって来たのだとレーゼ達が来た事で実感する。
俺はマネージャー達と一緒に座らず、近くの柵に凭れながら試合を見る。
レーゼは勝つ気満々だけどね、雷門も強くなってる・・・。
今のレーゼ達には分からないと思うけど、この試合・・・なめてたらレーゼ達が負けちゃう。
そして、試合が始まろうとした時、目の前に白猫のムーンを差し出された。
「ムーンの事、お願いできますか?」
「う・・・うん」
どうやら皆月もこの試合には出るようだ・・・。
俺はムーンを受け取ると、皆月が見える様にムーンを抱いてあげた。
吹雪がDFか・・・ふ〜ん、姉さんもいい考えするじゃん。
そして、俺はある気配を感じて後ろを振り返る。
・・・ヒロト、どうして居るの?俺が不思議に思っていると、ヒロトがこちらを向いた。
(内緒って意味?・・・後で、コアに聞いて貰おう)
俺はレーゼ達の方に目を向けた。
試合が始まって分かった事・・・雷門の能力値が上がってる!?やっぱり、あの時のスノボーの特訓が役に立ったって事か?!姉さんは・・・何処までこのチームを育て上げる気だ!!俺は一人困惑していると、皆月に注目した。
皆月・・・お前の力はこんな物じゃない筈だよ・・・俺の妹なんだから・・・。
〜皆月視点〜
「我々のスピードに慣れて来るとは・・・最低限の学習能力はあるようだな」
緑川・・・。
緑川がそう言うなんて、本当に変わったの?優しかった緑川兄さんが・・・。
なら、目を覚ましてあげる!
「染岡さん!」
「おう!」
染岡さんのパスを受け取ると、大夢に阻まれる。
「滝登り!!」
「うわ!」
水の柱が大夢を退かせ、私はすぐさま陣に入る。
その後もDFが囲むように私を阻んできた、なら、空中戦で勝負になる。
私は勢いよくジャンプする。
「皆月が・・・跳んでる!」
「・・・染岡さん!」
「!おう!」
染岡さんにパスをする、染岡さんのドラゴンクラッシュが炸裂するが、ゴルレオに止められてしまう。
これ以上・・・緑川達に悲しい思いはさせたくないのに・・・。
〜皐月視点〜
「互角に戦えますね!恋姫先輩・・・座らないんですか?」
「うん、座るとちょっと・・・」
春奈ちゃんの言う通り、雷門は互角に戦えている。
現にレーゼも困惑状態に陥りそうだ、俺は心の中でレーゼに勝つ事を望む。
もし・・・此処でレーゼが負けたらと考えれば、もう会えなくなると言う不安が如何してか溢れて来る。
ただ特訓を受けるだけなのに・・・どうして?どうして、こんな不安な思いになるのか俺には分からなかった。
「あぁ!!ジェミニストームの動きが変わりましたよ!」
レーゼ達の本気だ。
まあ、癖を見つけたら終わりだけどね。
でも、未だに見つけられずレーゼがシュートを打った時に前半戦は終了となった。
俺はドリンクを配り終えると、トイレに行って来ると言ってグラウンドを後にして、コアに話しかける。
「コア・・・交代して」
『グランの事?分かった!』
俺の意識は一瞬にしてコアになる。
〜コア視点〜
「グラン」
「コアじゃないか、どうしたんだい?」
全く澄ました顔しちゃって嫌な感じ。
まあ、今のグランの姿は基山ヒロトだけどね。
「何してるの?」
「レーゼ達の試合を見に来たんだよ」
「それだけ?」
「何が言いたいんだい?」
「だって〜、コアから見たらグラン・・・自分が興味を持ちそうな人とか探してるんじゃない?」
コアがそう言えば、グランの眉がピクッと動く。
グランってば、分かりやす〜い!コアはクスクス笑いながら、今から始まる後半戦を見る。
コアから見たら・・・レーゼ達負けるのかな?皐月も言ったけど、どうしてコアの中に不安が渦巻くの?ただ特訓させるだけだよね?どうして・・・。
「コア?」
「ねえ、グラン」
「何?」
「レーゼ達が負けたら・・・ただ特訓するだけだよね?」
続く
第16話追放って何?〜グラン視点〜
「レーゼ達が負けたら・・・ただ特訓するだけだよね?」
コアが悲しそうにそう聞いてきた。
今にも泣きそうで昔の皐月と重なって見えた。
いつも冷たい事しか言わないコアが、どうしてレーゼ達の心配をするのだろうか?その疑問が半分と父さんが言っていた“本当のルール”を隠している事の罪悪感が押し寄せてくる。
「うん、そうだよ。急にどうしたの?」
俺は精一杯の嘘を吐く。
「そう・・・だよね・・・」
コアのか細い声が俺の心に痛みを与える。
ごめんね・・・コア、皐月・・・。
俺は数分、痛みを抱えながらもコアとこれからの話をして、コアは雷門に帰って行った。
「コア・・・ごめんね」
俺はベンチに戻って行ったコアを見ながら、眼下に広がる試合の行方を見た。
その中には裏切り者の皆月が居た、力・・・上がったね・・・皆月。
その時、にゃ〜と猫の鳴き声が聞こえた。
「ムーンじゃないか・・・久しぶりだね」
「にゃ〜」
「でも、今は君とも敵なんだ。デビルもそう思っているよ、君の姉のデビルもね・・・」
俺はムーンをベンチに行くように言うと、ムーンは理解したのか木々に跳び移りながらコアが居るベンチに戻って行った。
〜皐月視点〜
やっぱり・・・コアに確認して貰ったけど、特訓するだけだって言っていた。
俺の勘違いかな?そう思いながら、後半戦を見る。
だけど、一之瀬がパンドラの動きを見破って、雷門の動きは一気に変わった。
そして、FWに上がっている吹雪と染岡その二人のサポートをしている皆月は敵のピッチに上がっている。
「レーゼ・・・」
〜皆月視点〜
このままなら、きっと勝てる!私はそう思った。
私は土門さんのパスを受け取ると、すぐに染岡さんにパスを出した。
だけど、DFが染岡さんを囲む。
染岡さんは一瞬だけ、吹雪さんを見て何か考え込んでいた。
やっぱり・・・まだ、吹雪君さんの事信じていないのかな?私がそう思った時だ、染岡さんが吹雪さんにパスを渡す。
「吹雪!」
「染岡ッ!おう!吹き荒れろ、エターナルブリザード!!」
エターナルブリザードがゴルレオの居るゴールに向かう。
「う・・・うわああああ!」
ゴルレオはボールを受け止めきれず、ゴールを許した。
得点板を見ると1−1・・・。
同点・・・、嘘でしょ!?初めてジェミニストームと並んだ。
私が目を見開いていると、緑川の声が聞こえて来た。
そして、エイリア学園からのキックオフ、レーゼとディアムが一気に上がって来た。
一体何するつもりなの!?
〜皐月視点〜
「「ユニバースブラスト!!」」
レーゼとディアムの連携技が出た。
これがジェミニストームの切り札だ、これを止められたらジェミニストームに後がない。
多分・・・負けてそのまま特訓だと思うけど・・・。
だけど、それは的中となった。
円堂守がマジン・ザ・ハンドでユニバースブラストを止めたのだ、嘘だろ・・・?!俺は一人、口をポカーンと開けた時、皆月にパスが回る。
今、染岡と吹雪はマークされている。
「ホワイトキャット!」
皆月のロングシュート、白い猫がゴールに向かって駆ける。
ゴルレオはブラックホールで止めるが、ホワイトキャットの威力の方が勝ったのか点を許してしまった。
これで2−1・・・その時、ピッピー!と後半終了の合図が響き渡る。
「嘘・・・レーゼ達が負けた!?」
雷門が喜ぶ反対俺は驚愕していた。
レーゼ達が負けた!?嘘だろ・・・俺が見開いた時、レーゼが口を開いた。
「お前達は・・・まだ知らないのだ」
「負け惜しみ?」
「フッ、我々はセカンドランク・・・ファーストランクのイプシロンに比べれば・・・」
レーゼと目が合う、まあ、少しだけヒントを与えるか。
俺は口パクで裏切り者が居る事を言っておいてくれと頼んでおいた。
「それに・・・お前達の中に裏切り者が居る。我々、エイリア学園の一人がお前達に混ざっているのだからな!」
「「「!!!」」」
案の定、驚いた顔をする雷門。
コアが見たら、嬉しくて騒いでそうだな。
その時だ、辺りから黒い霧が広がる・・・デザームが来たのだ。
「無様だぞ!レーゼ!!」
「!デザーム様・・・」
デザームと目が合う。
が、すぐに逸らしてこう言い放った。
「覚悟はできているな?お前達を・・・“追放”する!!」
え・・・?追放って・・・どういう事!?
続く
第17話発言と黒猫少女の過去〜コア視点〜
今、コアはエイリア学園に向かっている。
グラン達に詳しく聞かなきゃ・・・どういう意味なのかを聞きにだ!グランがあの時言ったのと全然違っていたから、コアは聞きに行くだけだ。
決して怒鳴り込もうとはコアは思って無い。
「グラン!!」
「「「!!」」」
「な〜んだ、プロミネンスの会議だった此処」
まあ、居ると思ったんだけど・・・。
ダイヤモンドダストの会議室かな?プロミネンスの会議室を後にし、ダイヤモンドダストの所に向かう。
ん?デザームから直接聞けばいいのに、な〜んでコアはグランに聞きに行ってんだろ?コアが不思議に思っていると、コアの名前が呼ばれた。
振り向くと、バーンが居た。
「何?」
「お前・・・わざと会議邪魔しに来たのかよ?」
「違うよ、グランを探してるの!会議邪魔した事なら、コア謝るから」
「ふ〜ん、お前から謝るのは珍しいな。で、グランに何の用だよ?」
「別にバーンに教える必要ないでしょ?」
コアがそう言うと、バーンがムッとした顔になった。
だって、バーンに教える必要なんてないでしょ?コアがそう思っていると、バーンが不機嫌そうにこう言ったのだ。
「コア、あんまり調子に乗んなよ」
「だーかーらー、調子に乗ってない!」
「そう言う意味じゃねぇよ、お前が知りたいのはレーゼ達の事だろ?」
「・・・・」
「図星かよ、一つだけ教えてやる。お前の狂気はぜってー逃げられねぇ、どんな事をしても・・・な。」
「は?」
コアが不思議に思ったが、2年前に起きた事件が頭に過る。
2年前の事件はここに居る全員が被害者だ、主犯は誰か今も分からない。
「その話はもうしない事になってなかった?」
「あぁ、ワリィな。グランなら、ガイアのグラウンドじゃねぇか?」
「そう、ありがとう」
コアはバーンにお礼を言い、ガイアのグラウンドに向かった。
〜バーン視点〜
「バーン・・・」
「ガゼルか、何の用だよ?」
「君、あの時の事件を思い出させるような言い方はやめろ。コアだって、まだあの時の事件の傷が癒えてる訳じゃないんだぞ」
それは俺でも分かってる。
あの時の事件を俺だって思い出したくないが、少し腹を立てて言ってしまったのだ。
コアには悪い事しちまったな・・・。
「あの時の力はコアでは抑えきれなかった・・・それがエイリア石の力を一時使えなくなってしまったのだからな」
「・・・狂気の力だろ?あん時はビビったけどな」
「その主犯格は誰か分からないが、コアの狂気にはコア自身も逃げられない。誰が手を差し伸べても・・・、父さんはその力を狙っている、それは君も分かっているだろ?」
「あぁ・・・だから、コアもそれが分かって本気の力を出さない。」
あれ以来、コアは誰にでも冷たく振る舞うようになった。
それは多分だけど、誰にも傷ついて欲しくないからだと思う。
「グランもそれが分かって、嘘を吐いている。ここの“本当のルール”を教えてないんだからな」
「あぁ、知ってるよ。お前に言われなくてもな・・・。」
続く
第18話悪戯小僧はサッカー部!?〜皐月視点〜
あれからエイリア学園に行ったもののグランには会えなかったし、バーンに事件の事は蒸し返されたし、コアの機嫌は悪いしと良い事ばかりではなかった。
仕方なく聞けず仕舞いに終わり、雷門の所に帰って来た。
そして、今俺達が居るのは昨日襲撃予告があった漫遊寺中なのだが・・・のんびり和やかだな。
レーゼ達が色々と学校破壊して来たのに、度胸があり過ぎるだろ此処の学校・・・。
(めんどくさいな〜、歩くの)
俺は吹雪の隣を歩きながら、辺りを見回す。
確か情報じゃ・・・FFに出場して居たら、優勝校と言われているが此処の学校のモットーが心と体を鍛える事、あの鬼道有人も裏の優勝校だって言わせる程だ。
と言うか、サッカーをして心と体を鍛えるとかありえねぇ〜。
「吹雪〜・・・何してんのさ?」
「あ、サッカー部の場所を聞こうと思ってね。」
女の子に囲まれていた。
見なかった事にしておこうかな、吹雪って確かにイケメンさんだもんね。
吹雪さんはそんなもんに自覚はないらしいですけどね、自覚を持ってほしい物です。
そして、サッカー部の場所を聞いた円堂守達も吹雪を見て呆れ果てて言葉をしなかった。
ムーンなんか呆れ果てた鳴き声出したからね!?驚くよ、あのムーンが呆れ果ててるんだからさ!!デビルなら、まだ分かるけどね・・・。
「長〜い」
「恋姫って歩くの嫌いなの?」
「まあね」
いつもコアに歩いて貰ってたからな〜。
吹雪なんか不思議そうに見てるから、頑張るけどさ・・・。
別に好きじゃないよ、勘違いはしないでね!エイリア学園の裏切り者と言うのも雷門で話題になった、だが、姉さんの言葉でこれは雷門だけの秘密となった。
まさか、俺とは思わないだろうな〜。
その時だ、ドシーン!と鈍くて大きな音が長い廊下に響き渡る。
「何!?・・・何してんの、これ?」
「それが・・・やっと見つけたサッカー部の部室に円堂先輩達が走ったら、急にこけて・・・ねえ?ムーン」
「にゃ〜・・・」
絶対ムーン・・・円堂守達をバカにしたな。
俺はコケたと言う場所に行くと、一部の床だけピッカピカになっていた。
触るとツルツルって、これ・・・ワックスじゃん。
それには秋さんも分かったのか、これはワックスじゃないかしら?と皆に尋ねていた。
いや、ワックスですけどね・・・。
そう思った時だ、茂みからウッシッシッと楽しそうな声が聞こえて来た。
「ざまぁみろ、FFで優勝したからっていい気になるなよ!」
「お前〜〜〜っ!よくもやったなって、うわっ!」
塔子が柵を飛び越えて皆を転ばせた張本人である男の子を捕まえようとするが、俺の視界からすぐに消えた。
俺は塔子の飛び越えようとした柵を見ると、落とし穴に居る塔子さんが居た、おいおい、財前総理の娘に何やってんだ?この子は・・・。
たっく、この為にコアを使いたくないんだけど・・・。
「うっしっしっ〜!引っ掛かってやんの〜!」
「あんまり調子に乗ってたら・・・コアが潰しちゃうよ?」
「うわっ!お前・・・え!?」
そりゃそうだわな。
さっきまで柵の所にいた奴が、いきなり隣に居たらびっくりするよね〜。
男の子は飛び退くのを見て、俺は塔子に手を貸す。
俺は大丈夫か聞くと、塔子は大丈夫大丈夫と答えていた。
あんた・・・財前総理の娘であると言う自覚を持とうね、俺は心の中でそう思いながら、その男の子を見る。
その時だった。
「小暮ーー!」
「げっ!お・・・お前!覚えとけよ!!」
何で俺?そう思いながら、岩と言う岩を身軽い動きでかわしては何処かへ行ってしまった。
声の主を見れば、漫遊寺中の男だ・・・。
そして、今の有様を見て男はさっきの子がやったと理解し、俺達に向かって合掌した。
そして更に分かった事は、さっきの男の子はこの男と同じくサッカー部らしい
「「「えええええええええええええええええええ!!!」」」
雷門の皆さんもよくハモりますね・・・。
続く
第19話過去の恐怖を思い出す〜皐月視点〜
彼奴が・・・サッカー部って世の中すげぇな、これには雷門の皆も驚きを隠せない様子でその話を聞いていた、現に俺も驚いているんだけどね。
「彼奴は小暮と言って・・・全く困った奴なんです。周りを“全て敵”だと思っているらしく・・・」
全て・・・敵・・・。
『お前達は人間じゃない!!』
あはは・・・、何でだろう?あの時の事は、皆月と忘れるって決めて、忘れたのに・・・。
結局思い出してんじゃん、小暮に仲間意識を持っちゃうよ。
昔の古傷が痛むな・・・これ、俺は誰にも見えない様に痛む背中を擦った。
「小暮には、精神面から鍛える為に修行をさせているのですがね・・・小暮にとっては、それは“イジメ”と思っているらしくて・・・」
ん〜〜、何かそれも分かる。
「全く、同じサッカー仲間として恥ずかしい限りですよ。あぁ、壁山君こっちもお願いしますね」
お前もな・・・!俺は笑顔を引き攣りながら、目金を見る。
多分だけど、まだ小暮の方がマシじゃないかな?俺はそう思いながら、肩もみして貰ってる目金を見る。
すると、秋さんがどうしてそんなにも皆が信じられないのかと男に尋ねた。
男は表情を暗くさせながら、少し俯きながらこう言った。
「小暮は・・・小さい頃親に「裏切られた」え!」
俺がそう呟くと、男は驚いたような顔をした。
「どうして、それを?」
「俺も同じような事があったからだよ、まあ、あそこまで捻くれなかったけどね」
俺が言うと、雷門の皆の視線が俺に来ていたことに気づいた。
やべ・・・つい、いつもの癖が出ちゃったよ。
俺は苦笑いを浮かべ、吹雪の居る所に戻る。
さっきのでまた古傷が痛んだぞ、それに妙に足の震えが凄くなって来てるしね?これ、やばくない?こんなの誰にも見せたくないよ。
「先程、あの方が言う様に小暮は親に裏切られて・・・それ以来人を信じなくなったんです」
『お前は悪魔の子なんだ!』『消えてよ、怪物!』『近づかないで!』
色んな声が頭の中に入って来る。
助けて・・・。
「あれ?恋姫何処行くの?」
「ちょっと気分が悪いから・・・、景色見て来る」
俺は吹雪にそう言って、雷門から離れたと分かると全速力で誰も居ない場所へ走る。
涙が溜まって周りがぼやけている、どうしよう・・・こんな顔でエイリア学園に帰ったら、皆に心配される。
コアにもデビルにもまた迷惑を掛けちゃう・・・、どうして、どうして俺だけ・・・こんな目に遭うの?涙が頬に伝うのを感じる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
近くの竹藪に入り、俺は急いでエイリアボールを取り、エイリア学園に帰還した。
今回はコアを出したくない、こんな泣いてる姿コアに心配されたくもないし迷惑掛けたくない。
エイリア学園に着くと、俺はフラフラになりながら自室を目指していると、古傷が更にいたんだ。
もう歩けるのも限界だった時だ・・・。
「コア?」「コア様?」
「愛、マキ・・・。たす・・・!助けて・・・!!」
「!どうしたの!?」
「マキュア、デザーム様呼んでくる!」
俺は愛に縋り付き泣き声を上げた。
愛はそれが只事ではないと気付き、俺の背中を擦ってくれた。
マキも分かってくれたのか治兄さんを呼んでくると言って、行ってしまった。
それから数分して、皆が集まって何があったのかを聞かれた。
「もう・・・一人・・・じゃないよね?」
「何言ってんだよ、お前は一人じゃねぇよ!!」
「俺もコアも・・・怪物じゃ・・・ないよね?」
「違うよ、コアも皐月も人間だよ」
皆にそう言われ、少しだけ背中の古傷も癒えて来た。
そのまま俺は瞼をゆっくりと閉じてしまった、俺は一人じゃない・・・。
コアと俺はそう言い聞かせた・・・、一人じゃないと大丈夫だと信じて・・・。
続く
第20話お前と一緒〜皐月視点〜
「ん・・・」
此処・・・何処だ?俺の部屋じゃないな、痛む頭を押さえながら辺りを見回す。
此処って、医務室・・・。
「そういや・・・泣きすぎて、寝ちまったんだ」
それも皆の目の前でだし・・・うわ〜、恥ずかしい。
俺は顔を両手で覆いながら、恥ずかしさに布団を被った。
ヤバイ・・・死んじゃいそう・・・。
『そんなので死んだら、コア驚くよ〜』
そう言う意味じゃないって!て言うか、俺の心を勝手に読むな〜〜!!俺は一人怒りながら、布団から顔を出した、雷門に帰ろうかな?包帯も巻き変えないと行けないし・・・俺は医務室のベッドから出て、棚を漁る。
包帯・・・包帯・・・あ!あった〜。
俺はすぐに服を脱ぎ、古傷を隠している包帯を取り、鏡の方へ行く。
酷い傷だな〜、ずっと見ていると吐き気と頭痛とかすっごい来る。
「コア〜、目さめ・・・ごめん!!服着替えてたって分かんなくて!!」
「いやいや茂人が悪い訳じゃないから!!安心しろ!!」
今の状態を説明すると、俺は上半身は裸、茂人はそれを目撃。
つまり、思春期真っ盛りの男の子にとっては目に毒な光景に目にしてしまっていると言う事だ。
俺は事情を諸々説明して茂人にお願いして、包帯を巻いて貰う事にした。
「それにしても・・・酷い傷だね。昔からあるの、この傷?」
「まあね、捨てられたとか虐待されたとかイジメにあったとかそんな話聞けば、古傷が痛むんだ。それにしても、鍵かけとけばよかったな・・・」
「アハハ・・・俺もノックしとけばよかった。これで良いかな?キツくない?」
「うん、大丈夫。ありがとう、茂人」
俺は茂人にお礼を言った後、愛やマキにもお礼を言って、雷門に戻って行った。
空を見れば、もう真っ暗・・・吹雪達に心配かけちまったな。
俺はサッカー部の道場を見に行くとタライが何個もあった、中を覗けば小暮がタライに何かしていた。
「何、してんの?」
「お前・・・あの時の!別にいいだろ、お前に関係ないんだからさ!」
「イジメ・・・でしょ?それにこのタライ・・・サッカー部の奴らに浴びせようって算段かな?」
俺が言うと、小暮は驚いた様に俺を見た。
「俺さ、お前と同じように親に裏切られたから、お前の気持ち・・・分かるよ?」
「お前も裏切られたのか?」
「うん、裏切られたって捨てられたって意味でしょ?俺もそうだったんだ、ただ猫と話せるだけって意味で捨てられた、信じていた奴らにも」
お日さま園に来る前の友達の事が頭に浮かんでくる、今でも憎んでいる・・・信じていたのに。
俺は小暮の隣に腰を掛けて、こう提案してやった。
俺とサッカーバトルをして、俺からボールを奪えたら一緒に練習させて貰うように頼むと言う提案だ。
小暮は乗り気ではなかったが、俺がバカにしてやるとやってやる!と単純に俺の提案に乗ったのだ。
〜漫遊寺中グラウンド〜
「ほっ!よっ!」
「うわっ!お前、真面目にやれよ!」
至って真面目です、俺は足にボールを乗せながら小暮に取って見ろと言ってみた。
それにしても、こいつの体力底力だな・・・エイリア学園にスカウトしてもいい程の体力の持ち主だ、特別な力でも持ってんのかな?そう言う不思議な考えが頭の中にあった。
「ふう〜、ん?春奈じゃん、どうしたの?」
「あ、恋姫先輩!恋姫先輩の声がしたんで、こっちに来て見たら小暮君と何やってるんですか?」
「サッカーかな?それにしても、あいつの動きはいいよ・・・さすがの俺も疲れちゃう」
「おい!早くしろよ!!」
小暮に言われて、俺は小暮の元に行く。
たっく、調子が良いんだがそれとも・・・強大な敵になるんだが・・・。
続く
第21話デザーム襲来〜皐月視点〜
デザーム達が漫遊寺中に来る日、俺はいつもの様に近くの壁に凭れ掛かっている。
漫遊寺中サッカー部は最初こそサッカーでやるのではなく話し合いでどうだとデザームに持ちかけるが、それで聞きいる程デザームもバカではなく、サッカーをしないのならば破壊すると言い、校舎の一部を破壊。
それに逆上した漫遊寺中は受けると言ったもののすぐに潰された、そりゃ実力の差で考えたらね。
「今度は俺達の番だ!」
また、円堂守か・・・。
エイリア学園を倒す為に来たもんね、当たり前は当たり前なのだが・・・ジェミニストームとは格が違うのだ、イプシロンは・・・。
「キャプテン、お願いがあります!小暮君を・・・試合に出してあげてください!」
「「「小暮ーーーー!!!」」」
へえ〜、春奈も良い事言うじゃん。
まあ、春奈が言っていなかったら俺から言ってたかもしれない、小暮には体力が無限にあるじゃないかと思える程の体力がある。
雷門には良い戦力にはなると思うが、円堂守以外の奴らは小暮で大丈夫なのかと春奈に問うていた。
春奈は何度もお願いするが、補欠だから低いと言うレッテルを貼られた小暮にそれに何も言えない春奈が居た、何で・・・かな?助けたいそう思うのは・・・。
「いいんじゃない?春奈の願い・・・聞いてやっても」
「恋姫!お前まで何言って「こいつの実力は俺が知ってる」え!」
風丸の言葉を遮ってそう言う。
「小暮の実力は皆の言うように低いし、役に立たないかもしれない。けど、それだけで判断するのは良くないんじゃない?俺は昨日こいつと勝負して、こいつには誰も持ってない程の動きと体力がある!そう思った。決めるのは・・・円堂守、お前だ!」
俺は小暮の隣に行きながら、円堂守を見据えた。
お前の心の広さはどれくらいだ?俺は円堂守を見据えながら、そう思った。
「分かった・・・小暮!一緒に戦おうぜ!」
広い心を持った奴・・・か・・・。
「小暮君!さあ!」
「でも・・・俺・・・」
「何怖気ついてるの!恋姫先輩があんなに皆を説得してくれたのに!」
説得・・・なのか?あれは・・・。
「小暮・・・俺は信じてるよ。」
「信じる・・・?お前が?」
「俺だけじゃない、春奈もそう思ってんだから」
俺がそう言うと、小暮は春奈を見た。
春奈はコクッと大きく頷いて、小暮は俺達から顔を背け信じるなんて簡単に言うなって言う。
簡単じゃないから、俺は言える。
だって、君と似てる・・・親に捨てられた所もすべてが敵だと思える所も全部似てる気がする。
だから・・・君とは敵だけど、俺は君を信じるよ、いつだってね。
「あの、またムーン・・・お願いできないかな?」
「いいけど・・・」
「それと・・・」
「何?」
「ううん、何も!」
皆月は慌てた様にそう言い、すぐにグラウンドに戻って行った。
俺は変な奴と思いながら、ムーンの毛並みをそっと撫でてあげた。
デビルにもこうしてあげたいな・・・、最近してないから・・・、今日はエイリア学園に一時帰ろうかな?また来たのかってガゼルやバーンにも文句言われそう。
俺は一人そんな事を思いながら、クスクスと笑っていた。
(ん・・・?あれって、ヒロト!?)
普通なら人の肉眼では見えない場所にヒロトが居た。
一体どうして・・・?!俺はそう思った時、ヒロトの口が動いていた。
(・・・今日の夜、エイリア学園に来い・・・)
俺が不思議に思っていると、ムーンが俺の頬を舐めて来た。
「どうした?お前のご主人が頑張ってんだぞ?」
「にゃ〜、にゃ〜!」
何かを訴えかけているが、聞かないふりをした。
「雷門中、ジェミニストームを打ち破り、コア様が認めている唯一のサッカーチーム。たったそれだけの事で我らを打ち破ろうと思われいるのなら、我々も舐められたものだ。・・・試合にはコア様も見ている、恥を晒すな!」
「暴れ足りねぇ」
「お手並み拝見としましょう」
「ぶっ潰す」
「命知らずって、マキュア大好き!」
イプシロンの皆さんの目が怖いのは気にしないでおきます。
続く
第22話隠された力〜皐月視点〜
「やっぱり・・・荷が重すぎたかな?」
俺は一人そう呟く、姉さんがイプシロンの態勢を分かった所で雷門に勝てる確率は0だ。
けど、俺は今回イプシロンの他注目してるのは小暮夕弥・・・その秘めたる力だ、人は危機に陥れる程その力を出そうとする、俺も2年前の事件でその体験をしたから分かる。
小暮・・・。
「さあて、ショータイムの始まりはいつかな・・?」
俺は誰にも聞こえない程小さく呟いた。
皆月もジェミニストームで限界か・・・期待外れと言うのがあり、助けてやりたいと言うのがあった。
何言ってんだ俺?皆月とは敵じゃん、まさか・・・俺が知らない所で俺は雷門を離れたくないとか思ってんのか・・・?おかしい、こんなの俺じゃない。
そう思っている内に、雷門の皆は俺の眼下で傷ついっている・・・。
「それにしても・・・さすが、小暮だな」
小暮だけ、逃げてる様に見えるけど・・・完璧にかわしてる。
それには多分、俺と春奈しか気づいていない。
イプシロン何て絶対に気づいていないだろうな、今日帰った時にイプシロンには一応の忠告はしておこう。
そろそろ3分・・・イプシロンが言った戦闘も終わりの時間だ。
「まもなく3分・・・次の一撃でゲームは終わりだ」
「また勝手に決めるし・・・!」
デザームの情けかな?分からないけど、これ以上戦えば円堂守達は病院送りだ。
「我らは10日後、もう一度お前達と試合をしてやろう」
デザームが自分かああ言うなんて・・・円堂守達の力にそんな興味持ったのかな?俺には分からないや。
「だが、果たしてその勝負の日までお前達は生き残って居られるか・・・」
「どういう意味だ!」
鬼道有人の質問にデザームは答えず、持っていたボールを勢いよく蹴る。
そのボールに吹雪は突っ込むが、吹き飛ばされてしまう。
そして、そのボールが狙っていたのは小暮と円堂守・・・円堂守もヤバいけど、一番ヤバいのは小暮だ!エイリア学園に戦った事も無い奴があんなシュートまともに受けたら、小暮は病院送りだ・・・。
「小暮ー!伏せろーーーーー!!!」
「小暮!」
俺も小暮の名を叫ぶ、でも、その声にはパニック状態である小暮に聞こえない。
その時だ、小暮は壁山の体に足を引っ掛け、砂嵐に似た物が舞い上がる。
何!?俺が不思議に思った時、その砂嵐に似た物も消え、イプシロンも居なかった。
でも・・・俺の目の前に起きているのはイプシロンが居た事実を物語っていた。
「え?・・・デザームのボールを止めた・・・」
俺は未だに目の前の光景に疑った、小暮がデザームにボールを止めた。
何とか試合は終了し、皆は小暮を誉めていた、漫遊寺中のサッカー部の奴らと言えば小暮に近づこうとした時に小暮の作った落とし穴にはまった、春奈に怒られ小暮はどこかへ逃げてしまった。
〜道場〜
「何だよ」
俺は小暮が来そうな場所を手当たり次第に行き、道場に着くと、小暮は体育座りで座っていた。
俺はその隣に座りながら、小暮を見た。
「見返してやれって・・・言ったじゃんか」
「見返してるじゃん」
「お前も思ってんだろ?あんなの・・・まぐれだって・・・」
小暮の声がか細くなって行く。
確かに最初見た時はまぐれかと昔の俺は思ってた筈だ、あれ?何で俺・・・こんなこと思っての?昔の俺って何で思ってるんだろう?俺はそう思いながら、小暮にこう言ってやった。
「まぐれじゃない、あれは小暮の中に眠ってる力だよ。俺は、あんたを信じる。」
「信じるって簡単に言うけど・・・お前は裏切られたことあんのかよ!」
「前も話したでしょ?俺もあんたの様に親に裏切られたんだって」
「あんたの言う裏切りと俺の裏切りは違う!いいか・・・裏切られたって言うのは・・・捨てられたって事なんだぞ!!」
小暮の言葉に俺は何も言えなくなる。
俺だって同じだ、捨てられてすべてが敵だと思い込んだ日もあった。
けど・・・父さんに会わなかったら、きっと俺は・・・。
「分かるよ、お前の気持ち・・・。俺も違う捨てられ方だったけど・・・俺もあんたと同じ“捨て子”だよ。」
「え?」
「俺の家族は妹に、ネコ2匹に父さんと母さんが居た・・・」
これが・・・俺の過去なんだから・・・。
続く
第22話皐月の悲しき過去〜皐月視点〜
「自慢話かよ・・・」
「ううん、俺は産まれた時から不気味だって言われ続けられた。妹も巻き添え喰らって、不気味な姉妹だって言われ続けた」
「何で・・・?」
小暮が聞いてきた。
「なんて言うかね、俺さ猫と会話が出来るし人の顔見ただけ人が何考えてるか分かっちゃうんだよ。それのせい・・・。今は猫と会話しか出来ないけどね」
俺がそう言うと、小暮はそうなんだと言った。
捨てられた境遇や捨てられる前の生活は小暮とは絶対違う、けど、小暮を支えたいし小暮を守りたいと思えたのは、敵じゃない仲間として守りたい。
それは吹雪だって同じだ、吹雪も敵としてじゃない仲間として守りたいのだ。
「似てねぇけど・・・お前も裏切られたんだな」
「うん、でも・・・今は幸せだよ。小暮もいつかそうなる、小暮だって信じれる人や幸せだって感じる時が絶対来る。だから、前を向いて信じて見てよ。それにこの話したの・・・小暮が初めてだな〜」
俺がそう言うと、小暮は驚いてそうなのか!と言った。
その後、何分か話した後俺は道場を出て盗み聞きしている人物にこう言ってやった。
「春奈・・・入りたかったら、入ればよかったのに」
「!恋姫先輩・・・。すいません」
「いいよ、春奈・・・。このことは秘密にして」
「はい」
俺はそう言って、道場を後にして、エイリア学園に向かう。
エイリア学園に戻れば、酷く驚かれましたよ。
俺は幽霊なんですかね、全く俺はそう思って未だに驚いているバーン達を見て見ると、修児の手の平にある機械じみた物と俺のポッケの中にある歪な形をしたものを手に取る。
ほう〜。
「お〜ま〜え〜ら〜〜〜!!」
俺が怒鳴ると、すぐさま全員は一斉に逃げた。
まあ、俺は全速力で全員捕まえて、その場に正座をさせている。
「たっく、盗み聞き何て・・・「そういうけど、雷門のマネージャーには許してたよね?」グラン・・・」
「俺達だけにはダメで、どうして雷門のマネージャーやあの子は許したのかな?」
俺はすぐさまコアに変わる。
〜コア視点〜
「コア、何の事かぜ〜んぜん分かんない」
「さすが皐月とコアだね、人格の入れ替えが早いよ」
グランはそう言って、褒める。
別にコアも皐月もやりたくてやってる訳じゃない、仕方ないからやってるだけ。
皐月はここ最近コアの調子が悪いからあんまり出してくれなかったのに・・・。
「それで、コアを呼んで何の用?」
「そうそう、父さんにこんなもの渡されたんだ」
グランがコアに差し出して来たのは、黒い眼帯にその真ん中には黄緑色に光る不気味な宝石が埋め込まれていた、何これ?コアが不思議に思い、グランを見るとグランは悲しそうな瞳をしていた。
皆を見れば、皆も同様に暗い顔をしていた。
「これ・・・何?」
「父さんが潜入を頑張ってるご褒美らしいよ。」
「今掛けた方が良いの?」
「ん〜〜、皐月とコアが付けたいって思った時に付けてよ」
コアは今は付けたくないから皐月の服にその眼帯を入れる。
その後、コアは皐月と代わって皐月は皆に厳しく注意して帰って行った。
〜皐月視点〜
廊下に進む時、俺の名前が呼ばれた。
振り向けば、バーンとガゼルが居た。
「どうしたの?」
「その・・・さっきの眼帯・・・」
バーンとガゼルの歯切れ悪さに俺は?マークが踊る、いつも二人はこんな歯切れの悪い言い方はしない。
俺が首を傾げていると、バーンとガゼルは何か小声で二人で話していた。
その会話の内容は聞き取れず、更に俺の頭の中に?マークが踊りまくる。
「二人共?」
「皐月・・・やっぱなんでもねェよ」
「悪いね、急に呼び止めて」
「?う・・・うん」
俺は不思議に思いながら、エイリア学園に戻って行った。
続く
訂正コーナー
暁「はい、作者の暁です」
コ・皐・皆「^言^」
暁「はい、今から訂正させてもらう場所は最後の行にある“エイリア学園に戻って行った”と言う所です。本当は“雷門に戻って行った”です。」
コ「全く〜、駄作者にしては凄い間違いですね〜」
暁「−−:」
皐「コアの言う通りだよな〜、誤字や脱字ならともかくあれだよ?」
皆「本当、他の人でもそんな間違いしないわ。」
暁「すいませんでしたーーーー!!!」
コ・皐・皆「待てーーーーーー!!!」
その後、作者の残骸を見つけた円堂達とグラン達は驚いたと言う。
番外編1黒猫少女(名前編)〜皐月視点〜
「名前・・・か・・・」
俺の名前は死神屋皐月、今俺はものすごく悩んでいる。
名前はある・・・が!俺の悩んでいる“名前”は死神屋皐月を隠す名前の事、どうしてこんなにも悩まなくてはいけない羽目になったのかは、1時間前に遡る。
〜1時間前〜
俺はいつもの様に部屋でだらけて、晴矢の借りた漫画を読んでいた時だ。
やっと楽しい展開になる時にだ、コンコンと俺の部屋にノックの音が転がり込んできたのだ。
「(誰だよ〜、やっと面白い展開になって来た時に・・・)は〜い」
「あ、皐月?父さんが広間に来いって」
俺はドアを開けると、そこには小さい頃からの大親友である夏彦が居た。
父さんが呼んでいるとなると、仕方なく俺は呼んでいた漫画にしおりを挟んで夏彦と一緒に広間に向かう。
「お前・・・女らしくしたらどうだ?」
「は!?それ、遠回しに女らしくないって言ってんの!!」
ギャイギャイと文句を言っていると、やっと広間に到着。
何だろうね?夏彦と話してると近い部屋が遠く感じるのは・・・、俺はそう言う複雑と言うか変な思いを持ちながら広間に入った。
「父さん、皐月連れてきました」
「そうですか、皐月・・・前に来なさい」
え?怒られんの!?俺は冷や汗を出しながら、父さんの所に行く。
「皐月・・・「はい」貴方に話があります」
何の話だろう?怒られるのは覚悟の承知だ。
だが、そんな覚悟も予想外に違っていた。
「皆にはもう話しているのですが・・・貴方には話していませんでしたね。貴方にもエイリア学園を入って貰いたいのです」
「え・・・エイリア学園?」
あれ?この近くにそんな学園あったか?俺が不思議に思っていると、父さんの代わりに剣崎が父さんが作った学園だと話してくれた。
あぁ、それなら知らんも当然だわな。
「でも、どうして急に?」
「その学園に貴方の力とヒロト達の力が必要なんです。先程、皆月と瞳子にも説明したのですが入らないと言われて・・・」
あの父さん大好き皆月が・・・父さんの誘いを断った。
珍しい〜。
「どうですか?皐月」
「・・・いいよ」
〜回想終了〜
めんどくさい事を今更ながら引き受けてしまった、それにチームに所属するか所属しないかって・・・あんまめんどくさい事は嫌いなんだよな〜。
「まず・・・これを決めるか」
チームはジェミニストーム、イプシロン、ダイヤモンドダスト、ガイア、プロミネンス・・・。
・・・所属してないとどうなるんだろう?俺はそんな興味が湧いてきた。
俺は所属してないという文字に丸をして、名前を決めようと考えた。
「うん・・・無理だわ、図書館で調べてそれを名前にしようかな?それか、由紀や夏彦達に聞こうかな?」
まあ、まず図書館に行ってそれでも決まらなかった夏彦達の参考にしよう。
と言うか、夏彦の嫌な顔が目に浮かぶのは気のせいかな・・・?俺はそんな事を思いながら、部屋を出た。
図書館なんて久しぶりだな、最近漫画しか見てなかったから、久しぶりに来たよ、うん。
「えっと・・・英語で行くか。辞書、辞書「お兄ちゃん、もうちょっとだから頑張って!」ん?」
この声・・・愛?俺は声のした方に行けば、肩車をしている修児と高い所から本を取ろうとしている愛と修児の周りに応援であろうか寒太郎達が居た。
「何・・・してんの?」
「あ、皐月!」
「皐月!じゃないよ、高い所の本取りたいならそこに梯子あるから使いなよ」
俺がそう言うと、全員あっと小さな声を上げた。
気づいてなかったんかい!俺は一人心の中でツッコみながら、英語の辞書を取った。
続く
番外編2黒猫少女(名前編)〜皐月視点〜
「色々あり過ぎっしょ、これ」
英語の単語が子守唄に見えてきましたよ、俺は目を休める為一時辞書を閉じた。
隣を見れば・・・愛達、愛達にどうしてここに居るか聞くと風介の名前を自分達が決めたいと言ったのだが、風介のイメージに合いそうな名前が見つからなく、図書館に来ているのだと言う。
風介も愛されてるね〜、ん?待てよ?じゃあ、愛達はチーム所属って事か・・・風介は確か、ダイヤモンドダストのキャプテンだから・・・愛達はダイヤモンドダストか。
「はあ〜、そういや彼奴の名前も決めてなかった」
彼奴と言うのは俺が飼っていた黒猫の子猫だ、親猫である黒猫は病気で亡くなってしまった為もうこの世には居ない。
彼奴の名前・・・そういや、親猫には小悪魔って付けてたっけ?その英語は確か・・・デビル。
デビルにしてあげよう!子猫の名前は決まったとして、俺の名前だよ・・・。
「決まんないよ〜」
「皐月も?」
「全然、子猫の名前は決まった癖に・・・」
「そこはどうでもいい場所だぞ!!」
一角のツッコミに俺の心にとげが刺さる。
おう、痛い・・・。
夏彦とか絶対決まってるよな〜、
「決まらん!」
「即答・・・、ちゃんと探したの?」
「探しましたけど・・・「どうせ、分からなかったんでしょ?」はい」
クララの一言一言が痛い!!泣きたいよ〜。
借りるか・・・、確か図書館のカードはポケットに入れて来た筈。
ありました・・・。
「あれ?帰るの?」
「うん、子猫が今風邪だし早く帰らないと行けないから。これ、借りよっと」
「またね〜」
「おう」
俺は辞書を借り終ると、図書館を出た。
うわ・・・雨になりそうな曇り、早く帰ろう。
俺は早足で、お日さま園に向かう。
〜お日さま園〜
「ただいま〜」
「お帰りって何処に行ってたんだよ?」
帰ると、晴矢のお出迎え。
何処に行っていたのかと聞かれると、俺は図書館と一言そう言った。
「皐月が図書館!?珍しいな」
「お前・・・はっ倒すぞ?」
「わりぃ、冗談。そういや、皐月ってチーム所属するのかよ?」
「しないよ、夏彦は晴矢の所でしょ?」
「当たり、さすが親友だな」
夏彦はチビの頃から晴矢の事になると、目の前が分からなくなりますからね。
部屋に入ると、元気よく跳び付いて来たのは子猫のデビルだ、もうデビルって名前にしたぜ。
デビルを見れば、母親の血を受け継いでるのか目の色が綺麗だった、まるで吸い込まれそうだな〜。
「ただいま、デビル。飯?」
「にゃ〜」
「フフ、そう言えば・・・姉さんも皆月も居ないな」
俺は雨になってしまった空を見ながら、皆月の姿と姉さんの姿がない事に気づいた。
晴矢なら知ってるかな?俺はそう思い、晴矢の部屋に行く。
晴矢の部屋に着き、ノックをしようとすると、話し声が聞こえた。
『晴矢・・・結局皆月の事話さなかったの?』
『出来る訳ねぇだろ、皆月が姉さんと出て行ったなんて・・・』
出て行った・・・?どういう意味だ?俺が不思議に思いながら、部屋のノブに手を掛けようとした時、ドアが開いて現れたのは杏だった。
「皐月!?」
「あ・・・えっと・・・よう」
気まずい・・・。
偶然聞いてしまったとは言え、盗み聞きみたいな事をしてしまったのだ。
続く
番外編3黒猫少女(名前編)〜皐月視点〜
「あ・・・その・・・話してる最中だった?」
「え!まあ・・・うん」
気まずい〜〜、俺自身も目を逸らしているもんね。
晴矢を見れば冷や汗が滝のように流れ出ている、聞くしか・・・ないよな。
「あのさ、晴矢」
「お・・・おう」
「皆月が姉さんと出て行ったってどういう事?」
「・・・それが」
晴矢は気まずそうに俺の顔を見ながら、全部話してくれた。
俺が来る前に姉さんと皆月にエイリア学園の話をしていたのだと言う、だが、姉さんも皆月もそれには反対でその二人に父さんはならば出て行けと言ったそうだ。
俺にさっき話そうとしたが、泣き出すのではないかと思ったらしく話せなかったのだと言う。
「わりぃ・・・本当は早く話そうとは思ってたんだ」
「いいよ、晴矢が悪い訳じゃない。俺も気づけなかったのが悪いしね」
悪いのは俺でもある、晴矢一人のせいではない。
その後、色々と分かってところで俺は自分の部屋に戻る。
つまり、デビルの妹である白猫も早くも離れ離れって訳か・・・。
俺はデビルを抱きながら、誰もいない部屋でこう話した。
「聞こえる?」
『聞こえるよ、どうしたの?』
「今回のエイリア学園の話・・・お前に任せる」
『え?いいの?』
「俺だと・・・多分、姉さん達と敵になる覚悟がない。だから・・・」
『分かった!じゃあ、名前は決めてね」
「はいはい」
俺は裏の俺である子に頼まれ、返事をした。
さて、名前を考えないとな・・・。
こいつが中心になるなら・・・名前は、中心である名前を付けよう。
「コア・・・物の中心部・・・これだ!」
こいつにぴったりの名前だ、俺は急いで名前を書く欄にコアと言う字を入れた。
後・・・デビルも入れてあげよう、こいつを一人にしとくのは可哀想だ。
俺はチーム表にデビルと入れて、父さんが居る広間に向かう。
〜広間〜
「父さん」
「皐月ですか・・・どうしました?」
「これ・・・」
俺は紙を父さんに手渡すと、父さんは紙を一通り見て俺の方を向いてこう言った。
「このデビルとは誰ですか?」
「子猫の事です、あいつ一人じゃ可哀想だなって思えて」
「そうですか、分かりました。エイリア学園に入れば、皐月・・・貴方の名前はコアです。いいですね?」
「はい!」
終わり
第23話狂気を集める眼帯〜皐月視点〜
次の日、漫遊寺中つまり京都を離れる日が来た。
漫遊寺中のサッカー部と監督に見送られている・・・ただ、小暮は居ない。
小暮からユニフォームを返して貰っていないから、そのまま仲間になるのかと俺はずっと思っていた。
ただ俺が気になるのは、昨日父さんから褒美として貰ったあの不気味な眼帯だ。
ヒロトは着けたい時に着ければいいって言っていたから、俺は頃合いを見て着けようと思う。
「色々御世話になってすいません」
「いえ」
「お嬢さん方」
お嬢さん方それは春奈と俺に向けられた言葉だったと言うかこの監督、俺の事を女だってよく分かったな、ヒロト達にも男だって勘違いされたのに・・・。
「貴女方の小暮への心遣いは本当に感謝をしております、小暮の心にも御二人の言葉がきっと届いているでしょう」
「はい・・・!」
本当に・・・そうだといいな。
そして、最後に俺がキャラバンに入ろうとした時またあの監督に引き留められた。
「何でしょうか?」
「お嬢さんに一つ忠告をしておきましょう、いや何・・・信じるも信じないも貴方の心一つで決めてください。」
「はあ・・・」
「貴方の心は今まさに揺れている、大切な人に尽くすか今の仲間に付いて行くかそう心が揺れている。」
うわ・・・当たっている様な当たっていない様な・・・。
「そんな貴方に闇が忍び寄っている、貴方が一番恐れている狂気に・・・」
狂気と聞いて、俺の肩がピクッと動く。
闇が忍び寄る・・・狂気・・・あまり関連性がない為、ピンと来ない。
俺は一応その忠告を聞き入れ、漫遊寺中の監督にお礼を言って、キャラバンの中に入った。
漫遊寺中に別れを告げ、キャラバンは一旦雷門中がある稲妻町へ向かって走っていた。
「チームに入れなくて良かったのか?」
「彼を入れなくて正解ですよ!彼を入れたら、宇宙人に勝てるものも勝てなくなります」
「でも・・・いつもベンチで見てる目金よりはいい戦力になるんじゃない?やった所で途中で逃げ出しそうだし」
「さすが恋姫・・・毒舌も凄い」
吹雪に言われ、俺はいつもの癖が出てしまっていたことに気が付いた。
後ろに居る目金を見れば、ショックなのかシクシクと泣いていた。
悪い事しちまったかも・・・。
「ごめん・・・目金。つい本音がポロって出ちゃった」
「それも・・・逆効果ですよ。」
「にゃ〜・・・」
本当にゴメン・・・。
「でも、恋姫ちゃんって会った時より凄いみんなと仲良くしてるわね」
「え?」
「そうね、最初こそ冷たくてあんまり皆と話さなかったのに・・・」
夏未に言われ、俺はエイリア学園側の奴であり本当の目的を思い出した。
そうだ、いつまでもこんな楽しい時間も壊れるんだよな・・・。
「?」
「どうしたんですか?恋姫先輩」
「あ、いや」
何だったんだろう?さっき・・・ゾクッとした感覚があった様な・・・。
気のせいか!俺はそう思い、いつもの様に窓に目を向けて変わる変わるの景色を楽しんでいた。
けど・・・漫遊寺中の監督の忠告をあの時聞き入れていればと後悔する日は、そう遠くはなかった。
〜エイリア学園では(作者視点)〜
「グラン・・・、君は自分がやった事は分かっているのか?」
青のスポットライトに照らし出されたガゼルは、白のスポットライトに照らし出されているグランに低い声を出しながらそう言った。
「・・・・」
「あんたが渡した物は、周りの人間の悲しみや憎しみを体内に貯める狂気を集める眼帯。んなもんをコアに渡したって事は、コアだって自分自身じゃ抑えられない程の狂気の力を持つって事だぞ!!」
赤のスポットライトに照らし出されたバーンは顔を険しくさせながらグランを見た。
グランは未だに黙っていて、二人の苛立ちも募り募っている。
「グラン・・・」
「分かってるさ・・・、あの眼帯を渡しちゃいけない事ぐらい。でも、二人だって父さんの命令だったら仕方なく渡してただろ?」
グランの弱々しい声に二人は俯くしか出来なかった。
(((ごめん・・・皐月・・・)))
そして、ただ謝るしか出来なかった・・・。
続く
第24話影山の正体〜皐月視点〜
「相変わらずだな・・・小暮も」
小暮がキャラバンに忍び込んでいた、最初こそは俺も驚いたけどそれは本人の意思で此処に居るそれが分かるととやかく言うのもバカらしく思える。
その小暮と言えば、目金の大切な物であるフィギュアの顔に大量の落書きをしていて、栗松の雑誌にも落書きをしてしまい二人に怒られているが、効き目何て0だ。
「小暮君!皆にちゃんと謝りなさい!じゃないと、漫遊寺中に帰って貰うわよ?」
「・・・ごめんよ」
すっげー・・・。
俺は春奈と小暮を交互に見ながら、そう感心した。
そう言えば、小さい頃の俺が悪戯したら皆月がよく怒ってたっけ?ヒロト達に妹に怒られるなんてって呆れられもした。
円堂守が未だに怒っている栗松と目金を宥められている、二人はキャプテンが言うならと言い小暮を睨むと、小暮はすぐさまの俺の所に来た。
「皆、許してあげなよ。小暮だって、反省してるんだから」
俺がそう言うと、小暮は横からそうだ!そうだ!と目金達に訴えていた。
そして、やっとの事ながら姉さんが帰って来てキャラバンを走らせる。
小暮は壁山の横に大人しく座っている、俺はと言うとムーンと皆月と姉さんの様子を監視している。
(ふぅ〜、この眼帯・・・どうしようかな?)
俺はポケットから眼帯を取り出し、その眼帯をジッと見た。
そう言えば、渡された時より黄緑色の宝石の光が強くなってる様な・・・俺の気のせい?それとも目が悪くなったとか・・・此処ん所、忙しかったから目の疲れが取れてないのかも。
俺がそう思った時、姉さんのケータイと俺のケータイの着信音が同時に鳴った。
「響さんからだわ」
(父さんからだ)
俺はケータイを開くと、メールの相手は剣崎だ。
はあ〜、剣崎のメールを受け取ると俺のケータイが汚されていくのは気のせいかな?いや、絶対気のせいじゃない!うん、断言しよう。
メールの内容は・・・影山が真・帝国学園を設立した事そして影山が負けた際には一応報告する事、あぁめんどくさい、一応ってどういう意味さ!一応ならやらなくてもいいじゃん。
「恋姫、どうしたんだ?」
「あ、ううん。遠い所にいる友達からメール」
エイリア学園だなんて口が裂けても言えない。
「!影山が愛媛で真・帝国学園を設立した」
「影山が!?」
「でも、影山は捕まっていた筈じゃ・・・」
「逃げ出したらしいわね」
俺達の手でね、父さんも影山を使って来るなんて・・・焦ってんのかな?まあ、ジェミニストームを倒したチームだもんね。
雷門の皆と言っても影山の事をよく知らない皆月や小暮、吹雪や塔子は頭の上に?マークが踊っている。
いつも冷静な鬼道もこれ程取り乱した所は初めて見た、それ程までに影山は何を仕出かしたのか全部父さんから聞いている。
「影山ってサッカー協会の副会長だろ?」
「あぁ、そして・・・帝国学園の総帥・・・俺達のチームの・・・」
「どうしてそんな奴を?」
皆月がそう聞くと、鬼頭は落ち着きを取り戻そうとしているが全然無理だ。
「影山は勝利を掴む為なら、何だってしない。言わば、どんな手段も使っても勝利を手にする・・・自分の手じゃなく他人の手でね。」
俺がそう説明すると、鬼道からよく知っているならと言われた。
それは父さんに教えて貰いましたからと言えず、噂で聞いたと言っておいた。
「それに、影山FF決勝戦では世宇子に神のアクアを与えたけど・・・結局それが逮捕に繋がったけどね、まあ卑怯を服に着たって奴かな?」
「そんな悪い奴が・・・」
「ふにゃ〜〜〜!!」
うわ、ムーンがキレた。
「どうしたんだ?ムーンの奴」
「あぁ、影山の話を聞いてキレてますね」
染岡の質問に皆月はタジタジになりながら答えた。染岡はムーンを抱き上げ、一緒に倒そうぜ!と言っている。
何だろうな?この気持ち・・・胸が痛い・・・。
続く
第25話不動明王〜皐月視点〜
俺は路地裏で一息ついている、これからの事を考えないといけない。
エイリア学園を裏切るか、雷門を裏切るか・・・今の俺にはエイリア学園に居たいと言う気持ちが半分あり、雷門にも居たいと言う気持ちが半分あった。
でも・・・今更、俺がエイリア学園の者でしたと言えば皆怒るだろうな・・・。
それなら、エイリア学園側の人間でありたい。
「はあ〜「君が悩むなんて、珍しいね」ガゼル」
声のした方を見れば、ガゼルが俺の隣で壁に凭れながらこちらを見ていた。
「何の用?此処に居て、エイリア学園の話なんかすれば、俺がばれちゃう」
「あぁ、それは父さんの命令を邪魔している様なものだ。後、コンビニにはバーンが居る」
あぁ、つまりバーンの付添みたいな物か。
俺の頭の中にはバーンが雷門の横で何かを買い物をしているのが浮かぶ。
「で、それだけで此処に来る訳ないでしょ?」
「さすがだね、父さんからの伝言を本来ならばグランが伝えるんだが・・・」
「居なくなったの・・・?」
「あぁ、その代わりと思ってくれてもいい。で、父さんの伝言だが・・・『愛媛に着いた時には、真・帝国学園の生徒が待っている』と言う事と『今日の夜、ダイヤモンドダストと試合をして欲しい』と言う事だ」
ガゼルとか・・・。
ガゼル達は守備的攻撃とか相手の心理を使った攻撃が得意だから、コアの苦手対象でもある。
ガゼルとの話が終わると同時にアイスが入った袋を持っているバーンが帰って来た。
「よお、どうだ?雷門の潜入は」
「別に・・・」
「君の事だから、感情に流されてるか心配だ」
グサッと俺の心に突き刺さる。
「どうした?」
「いや・・・別に・・・」
「そうか、今日の夜迎えに行くよ。デビルがうるさい程鳴いてるからね」
ガゼルはそう言うと、バーンとエイリア学園に帰って行った。
はあ〜、結局ガゼルや鈍感なバーンにもバレるのが時間の問題になる・・・いや、グランもか。
この三人は妙に勘が良いから俺の気持ちを見破られるのが怖い、この事は考えてなかった事にしとこうかな。
俺は路地裏から出ると、ちょうど雷門の皆と見知らぬ男の子が睨み合いながら居た。
「どうしたの?」
「恋姫か・・・、それが真・帝国学園の奴が」
風丸に聞くと、風丸は俺から目の前に居る少年に目を向けた。
あぁ、ガゼルが言った真・帝国学園の生徒ってこの子か・・・。
俺がその子を見ていると、その子は俺に詰め寄って来たかと思うと観察物みたいにジロジロと俺を見る。
俺は風丸の後ろに一歩下がり、その子を睨む。
「そう睨むなよ、倭国恋姫」
「お前、どうして恋姫の名前を!」
「こっちも色々と調べてるんでね、あぁ、あんたには紹介遅れたな。俺の名前は不動明王って言うんだ、よろしくな」
俺は軽く礼だけをして、今まで何があったのかを事細かく染岡が話してくれた。
そして、雷門は真・帝国学園に行く為にキャラバンを不動と一緒に乗る事になった。
こいつ・・・俺の存在の事は知ってるよな?倭国恋姫って言う偽名も調べたって言ってたし・・・。
俺は不動の様子を監視しながら、雷門の様子を見る。
うわ・・・顔が怒ってる、鬼道有人なんか物凄い怖い。
「そっち曲がって・・・」
不動も偉そうに古株さんに指示を送っている、ムーンを見れば・・・引っ掻くのがもう準備万端状態です。
不動はそんな物知らないとでも言いたげに、指示を未だに送っている。
そして、やっと真・帝国学園の場所に着いたと思ったら・・・港。
周りは海で学園らしき物は見えない・・・、バカにされたのか?それには、雷門の奴らも納得出来ず不動に文句を言っている。
「短気な奴らだなぁ・・・真・帝国学園だったら、ほら」
不動の指差した場所に皆は目を向ける、何もない。
だけど、その場所だけどんどん膨らんだかと思えば、ドッパーン!と言う音と一緒に現れたのは潜水艦だった、それには周りの皆も呆然だ。
「帝国の旗・・・」
俺が呟いた事で、此処が真・帝国学園だと皆理解した。
続く
第26話騙し合いとエイリアの姫君〜皐月視点〜
俺達が潜水艦を見ていると、潜水艦の入り口は開いて行き、現れたのは影山零治その人だ。
鬼道を見やれば、目は憎しみへと変貌していた。
そりゃ雷門との地区予選で鉄骨を落としたりしてたもんね、その試合は父さんの命令で俺は見に行ってたから分かるけどね。
影山と言えば、この計画は俺達に理解は出来ないと言っている、そんな計画理解も俺はしたくない。
俺がそう思った時、影山の不敵な笑顔が更に醜い笑顔へと変わった。
「だが、お前達の中でもう騙し合いは始まっている。エイリアの姫君、お前達の中に居るのだからな!」
あの野郎・・・!俺は誰にも見えない様顔を歪ませながら、影山を見る。
そして影山と言うバカは父さんの事も話しながら、俺と鬼道を真・帝国学園に入るよう言った。
俺は影山に文句の一つや二つ言わないと気が済まない為、迷わず真・帝国学園に入ろうとした時、不動に腕を掴まれた。
「あんたは・・・こっちからじゃないぜ。」
「は?」
俺が問おうとした時、不動は文句など言わせないと言わんばかりに鬼道とは違う方向に行った。
〜影山の部屋〜
「総帥、連れて来たぜ」
「ご苦労、久しぶりですね・・・エイリアの姫君であり最強少女のコア様。」
仰々しいその一言が影山にお似合いだ、俺は瞬時にコアと代わる。
〜コア視点〜
「仰々しい挨拶はコアは嫌い、影山!一体どういう事、コアの素性はバラさないで!」
コアがそう言うと、影山はワザとらしく怒らないでくれと言った。
人の正体バラそうとした癖に・・・!コアは怒りが治まらず、影山を睨みつけてると、影山はニヤッと不敵な笑みを浮かべ、コアにこう言う。
「さすが・・・エイリアの姫君だ、それで一体エイリア学園の奴らを見殺しに出来るか・・・」
「どういう意味?」
コアが聞こうとした時、そろそろ試合だと不動が言って来た。
まあいいや、試合が終われば聞けばいいし・・・。
〜皐月視点〜
『さすが・・・エイリアの姫君だ、それで一体エイリア学園の奴らを見殺しに出来るか・・・』
影山の意味深な言葉が頭の中を駆け巡る、見殺し・・・?一体どういう意味?俺がいつ皆を見殺しにした?そう考えた時にふとレーゼ達の事が頭に過る、まさか・・・な。
俺は必死に違うと自分に言い聞かせ、今から始まる試合を見守った。
どうやら影山が言っていた仲間とは、佐久間次郎と源田幸次郎の事らしい。
「どうしたの、恋姫さん。顔色が悪いわよ」
「え!ううん、気のせいだよ」
夏未に言われ、姉さんの話を聞いていた雷門も一斉にこっちを見る。
俺は何もないように振り舞い、姿が変わっている佐久間次郎と源田幸次郎を見る。
気が満ちてる・・・エイリア石の気が・・・。
「・・・鬼道君、佐久間君と源田君は貴方の仲間だったんでしょう?」
「だった・・・違います!あいつらは今でも俺の仲間です!」
仲間・・・。
「そう・・・今日の試合、貴方に任せるわ。」
姉さんはそう言うと、鬼道はありがとうございますと軽く礼をしてお礼を言った。
俺はと言うと、影山が言っていた言葉が頭の中でループして居ていた。
見殺し・・・か・・・。
続く
第27話禁断の技“皇帝ペンギン1号”〜皐月視点〜
そして、試合が始まる。
そう言えば、此処に来る前不動が言ってたっけ?俺達には秘策があるって・・・秘策って?俺が不思議に思っていると、俺の秘策の技が思い浮かぶ。
“エンド・フューチャー”あれは俺の禁断の技、1度打てば体の全身に激痛が走り歩く事さえままならない体になる、2度打てば二度とサッカーのできない体になる可能性が高い。
その技は、父さんに出すなとキツく言われてるからコアと俺が本当に勝ちたいと思った時に出そうと決めた。
(まさか・・・俺と同じ禁断の技を誰かが持ってるって事?)
俺はボールを持って雷門のピッチに上がって行く佐久間と不動を見る、佐久間の顔から察するに佐久間に秘策がある、いや、後一人いる筈だ。
そして、佐久間にボールが渡ったと思えば、急に立ち止まった。
「はああああああああ!」
「!やめろ、佐久間ぁ!!」
鬼道の悲痛な叫びが真・帝国学園のグラウンドに響き渡る。
〜皆月視点〜
佐久間先輩を止める鬼道先輩の顔は、焦りが出ていた。
佐久間先輩はそんな制しを聞かず、指笛を拭く。
そこから出て来たのは、皇帝ペンギン2号の黒いペンギンではない赤いペンギンだった。
「それは・・・“禁断の技”だぁぁぁ!!」
「え?!」
「皇帝ペンギン・・・1号!」
「やめろぉぉぉぉ!!」
鬼道先輩の声も聞かずに佐久間先輩はその禁断の技を円堂先輩の居るゴールに打つ。
円堂先輩はゴッドハンドで受け止めるも破られ、点を決められてしまう。
佐久間先輩を見れば、地面に手をつき蹲っていた。
「円堂先輩!大丈夫ですか?」
「あぁ・・・でも、体中が痛い・・・こんなシュートは初めてだ」
まさか・・・鬼道先輩が言った禁断の技って!私がそう思ったのもつかの間、鬼道先輩の声が響く。
「二度とその技を打つな!!あれは・・・禁断の技なんだぞ!!」
「「「!!!」」」
〜皐月視点〜
「二度とその技を打つな!あれは・・・禁断の技なんだぞ!!」
鬼道の言葉に俺は体が硬直した。
今の佐久間の状態・・・俺の頭の中からエイリア学園に来て間もない頃のバーン達とガゼル達、デザーム達とレーゼ達が苦しむ姿が浮かんできた、そうだ、あの時もエイリア石の力が強大過ぎて皆がこうやって苦しんでた。
(あの時も・・・救えなかった)
俺の胸が痛くなった、あの時も誰も救えなかった、いや・・・怖かったから救えなかった。
「!恋姫ちゃん、どうしたの!」
「え?」
秋に言われ、俺は目元を拭くと涙がぽろぽろと零れ落ちていた。
俺は目にゴミが入ったとだけ伝えて、試合の行方を見つめた。
〜皆月視点〜
「敗北には価値がない・・・勝利の為なら、俺は何度だって打つ!」
佐久間先輩はそう言って、鬼道先輩を通り過ぎて行った。
敗北に・・・価値はない・・・それはあの人と同じ考えだ、あの人も今もそんな考えを持ってるんだろうな。
「鬼道、どういう事なんだ?二度と打つなって・・・それと禁断の技って」
「・・・皇帝ペンギン1号は影山が考案したシュート・・・。恐ろしい威力を持つ反面筋肉は悲鳴を上げ激痛が走る、体に掛かる負担があまりにも大きい為、二度と使用しない“禁断の技”として封印された。1試合2回が“限界”だ・・・、三回打てば・・・ッ!」
鬼道先輩の顔が悔しそうに歪んで行った・・・。
続く
第28話笑って欲しい〜皆月視点〜
鬼道先輩の表情で皆は三回打てばどうなるか分かった、二度とサッカーのできない体になると・・・分かったのだ、そんな光景を私は見たくないよ・・・誰かが苦しむ姿をもう私は見たくないんだ。
「そんな!くッ!」
「円堂先輩!」
「円堂!お前ももう一度あのシュートをまともに受けたら、立っていられなくなる!」
鬼道先輩の言葉に皆目を見開く、私もその一人だ。
「この試合での作戦が決まった!佐久間にボールを渡すな!!」
「はい!」
「目の前でそんな光景を見たくないもんね」
「僕もディフェンスに戻るよ」
雷門の皆も同じ気持ちだった、目の前でサッカーで苦しむ姿を見るのは嫌だ。
そして、試合は開始。
私はボールを受け取ると、佐久間先輩が来てもかわして鬼道先輩にパスを出す。
佐久間先輩・・・目を覚まして!鬼道先輩の為にも!私はそう願いながら、佐久間先輩を見る。
「見ろ!これが本当の・・・皇帝ペンギンだ!!」
鬼道先輩がそう言うと、染岡先輩と一之瀬先輩がシュート態勢に入る。
鬼道先輩が指笛を拭くと黒いペンギンが現れた。
「皇帝ペンギン!」
「「2号!!」」
あれが・・・皇帝ペンギン2号・・・。
初めて生で見た・・・って!そんな事言ってる場合じゃないよ!皇帝ペンギン2号はそのまま源田先輩の居るゴールへと向かう、だけど、源田先輩は不敵な笑みを浮かべる。
「ビーストファング!」
「ッ!」
「う!あぁあああああああああああ!!」
皇帝ペンギン2号を止めた源田先輩は不敵な笑みを浮かべていたが、すぐに苦痛の叫び声を上げながら佐久間先輩みたいにその場に蹲った。
まさか・・・これも!?私は鬼道先輩を見ると、鬼道先輩の顔は悔しそうにまた顔が歪まれていた。
「まさか・・・ビーストファングまで・・・!」
「鬼道、ひょっとして・・・今の技も!」
染岡先輩の言葉に鬼道先輩は重々しく頷き、この技も体を破壊する技だと説明した。
「源田にあの技を出せるな!」
出させるなって言われも・・・シュートをしなきゃ、1点も取れない。
皆の顔は悔しさで歪んで行っている、それもそうだ、目の前で2人も体を破壊しそうなのに・・・。
「あ・・・あいつら、サッカーでそこまで命かけるなんて・・・!」
小暮君の言葉に私も賛成だ。
たった一回で・・・源田先輩も佐久間先輩も凄い体力を消耗している。
これ以上この二人を悲しませたくない、鬼道先輩の為にも!そして・・・あの二人の為にも!!笑って欲しい、鬼道先輩と佐久間先輩と源田先輩が笑っていてほしい。
私とお姉ちゃんみたいに・・・3人にはなって欲しくない。
そして、試合は再開。
不動さんがボールを持って上がり、佐久間先輩にパスを出す。
させない!私はその一心で、パスをカットする。
「一之瀬先輩!」
「染岡!」
一之瀬先輩は染岡先輩にパスを渡し、染岡先輩はドリブルで選手をかわして行く。
そして、染岡先輩は私にパスを渡して来た。
けど・・・そのパスはカットされる。
そのまま不動さんにパスが渡り、ノーマルシュートを打つ。
円堂先輩を見れば、弾き返すのがやっとだ。
だけど、そのこぼれ球を土門先輩がフィールドの外に出してくれた。
「円堂先輩・・・まだ、ダメージが」
「あぁ、全然抜けない・・・」
「円堂先輩・・・」
続く
第29話甘い考え〜皆月視点〜
「目を覚ませ!自分の体を犠牲にした勝利に、何の価値がある!?佐久間、源田!!」
「分かってないのは、鬼道・・・お前だよ!」
「勝利こそ価値がある、俺達は勝つ!!どんな犠牲を払ってでもなぁ!!」
勝利こそ・・・私の頭の中からお姉ちゃんが見下した目をしている場面が蘇る。
エイリア学園と同じ考えだ・・・そう思えた。
不動さんは説得をしても無駄だと鬼道先輩に言って、シュートをしてみろと言っている。
そんな事・・・出来る訳がない!!それを知ってなのか不動さんは、ボールを鬼道先輩に渡す。
「くッ!はあぁぁぁ!!」
「おっと・・・」
この人・・・凄いテクニックの持ち主だ。
私と比べれば、あの人のテクニックの方が上手い、私とは雲泥の差だ。
不動さんはそのボールを持ちながら、再び上がって行くが、鬼道先輩に阻止される。
「何故だ!?何故、あいつらを引き込んだ!!」
「俺は負ける訳には行かねぇんだよ!!」
鬼道先輩と不動さんが衝突した時、不動さんの首からキラッと紫色に光る物が出て来た。
あれって・・・!!私が驚いた時ボールは空中高く上がり、そこで前半戦は終了。
点は1−0となった。
〜皐月視点〜
真・帝国学園のベンチを見れば、佐久間と源田は息を荒くしていた。
俺は何もできないかよ・・・!あの時みたいに、誰も救えないのか?俺は一人悔やんでいると、後半戦を棄権しないかと言う提案出ていた、だが、それは姉さんは認めない。
「でも・・・そんな事したら、佐久間先輩と源田先輩の体が!!」
「意見は聞いてないわ、私の目的はエイリア学園を倒す事!この試合負ける訳には行かない!!」
姉さん・・・不動の首にあったエイリア石を見て、やけに焦っている。
「試合を続けよう、確かにこのまま試合を中止すれば、佐久間達の体は守れる。」
「鬼道の言う通りだ、皆この試合の意味忘れてんじゃないの?試合を中止?そんなの甘い考えに過ぎない、もし此処で試合を中止にしてみなよ、あいつらは目を覚まさない。禁断の技なんかいらない、それ教える試合でしょ?今ここで、試合をやめてみな。佐久間達は影山の奴の思い通りになる・・・、監督」
仕方ない・・・コア、ごめん。
「何かしら?」
「俺を試合に出してください」
俺が姉さんにそう頼むと、雷門の皆は目を見開いて驚いていた。
そりゃそうだよね、ずっとマネージャーとしてやってる奴がいきなり試合に出せなんて言う筈がない。
でも、此処でずっと見てるのは嫌だ。
監督は分かったわと言うと、俺は皆月と交代した。
「お願いします!」
「任せな」
〜後半戦〜
「皐月・・・お前、サッカー経験はあるのか?」
「あぁ、なんなら小暮と吹雪に聞けばいい。二人は俺と一回サッカーバトルやってるからね」
俺が二人を見ると、二人は力強く頷いた。
そして、俺は皆月が居たMFのポジションに就く、佐久間と源田・・・あの二人から禁断の技を打たないようにするには・・・この方法が良い。
グランの考えを借りるか。
「鬼道」
「何だ?」
「あの二人から、禁断の技を出さない方法がある」
続く
第30話許されない行為〜皐月視点〜
俺は皆を集めて、俺と言うより昔グランが考えてくれた作戦を皆に伝える。
俺が伝えた事は、佐久間からボールを渡さないようにする事。
これは変わらないが、問題はGKである源田だ。
源田にはビーストファングを出す前に、誰かがシュートを決める。
でも・・・吹雪がFWになった事で、佐久間にボールが渡り易くなった。
(そこは・・・俺が何とかしよう。マスターランクのいや・・・コアの名に懸けて!)
〜離れた場所〜
「どうすんだ?完全にコアは雷門の空気に飲まれてんぞ」
「このままでは・・・」
「分かってるさ、コアを雷門に置くのが間違いだったね」
〜真・帝国学園スタジアム〜
最初は俺がシュート打つと決まっていたが、アツヤがシュートを決めると言う事で決まった。
まあ、アツヤなら俺も信頼出来る・・・大丈夫だ。
そして、試合は始まった。
試合が開始すると、アツヤは前線に上がって行く。
「よし!ここまで大丈夫」
不動の激しいスライディングもアツヤは難なくかわす。
こぼれ球となってしまったボールを染岡が拾い、ゴール前へと行く。
真・帝国学園のディフェンス二人が居るが、不動の指示で二人は退く。
あの野郎・・・!俺は怒りに任せになりそうだった。
シュートは源田が止めるってか?染岡を見れば、染岡はシュートを躊躇っている。
(染岡のシュートはビーストファングを出しちゃう・・・)
俺が動こうとした時、染岡の取った行動は・・・。
「ワイバーンクラッシュ!」
あのバカ!!俺が怒鳴ろうとした時、ボールはシュートコースを変えた。
そこに居たのは吹雪!そういう事か・・・バカだって思ってたけど、結構頭いいじゃん。
「ビースト・・・」
「おせぇよ!エターナルブリザード!!うおりゃああああ!!」
エターナルブリザードはビーストファングを出させる前に決まった、さすが吹雪だな!信じてたよ。
それにしても意外にあの二人っていいコンビかな?いつも仲悪そうに見えるけど・・・。
だけど・・・不動明王、あいつがどういう行動をとるか・・・。
そして、試合は再開。
「もう一丁いくぜ!」
染岡が上がった時だ、不動がスライディングをしてきた。
だけど・・・そのスライディングは完全に染岡の足を狙っていた、止めないと!だけど、俺の足は震えて動かなかった。
そして、染岡の悲痛な叫びで我が返った。
染岡・・・俺の目の前には足を抱え込んでいて、苦しそうな表情をしている染岡が横たわっていた。
「染岡!!」
俺はすぐに染岡の方に駆け寄り、染岡の足の状態を見る。
ひどい・・・これ以上続ければ染岡の足は・・・今の佐久間達みたいになる。
俺は不動を睨み、吹雪が不動に手をあげようとした時、染岡の静止声が響いた。
殴ったら、退場になる!染岡の声に俺と吹雪は手をグッと握り締めながら殴る事をやめた。
「秋・・・どうだ?」
「駄目、これ以上は・・・」
交代と言えば、目金と皆月。
皆月は染岡の代わりになる、俺は皆月を呼ぼうとした時だ。
染岡は交代を拒んだ、皆が説得するが染岡は首を縦には振らなかった。
「役に立たねェかもしれねぇが、影山には負けたくねぇんだ!」
染岡の熱意には誰も一緒だ、だからこそ交代して欲しい。
「いいんじゃねぇの?用は俺がこいつの分までプレーをすればいいんだろ?恋姫!」
「何?」
「協力しろよ、約束したろ?此処で決めようじゃねぇか」
あぁ、あれか。
「いいよ!染岡、本気で無理になったら嫌でも交代して貰うからな」
「おう!」
俺と染岡と吹雪はお互い笑みを見せて、頷き合った。
見てろよ・・・影山!
続く
皐月と皆月の追加設定と皆月の技
死神屋 皐月(しにがみや さつき)女・中学2年生/コア
黒猫を連れた自由気ままな少女でエイリア学園のマスターランク。
エイリアの姫君と最強の少女として知られている。
他人の怒りに触れる言い方をするが、本当は優しく誰にでも好かれる。
過去の傷が背中にあり、いつも背中には包帯が巻かれている。
俺系少女でよく男の子と間違われる。
妹の皆月が雷門に居る。
容姿・特徴
・緑色のロングヘアに毛先が金髪、目はネコ目で瞳の色は金。
・ユニフォーム代わりに黒猫のデビルと同じ色の黒色の猫耳付きフードをしている、肩に黒猫のデビルを乗せている。
・棒付きキャンディーを舐めていて、怒った時には噛み砕く。
・チームは何処にも所属していない。
・お日さま園に住んでいて、訳アリ。
・黒猫の舞姫と言う異名を持っているが、グラン達は知らない。
・裏の人格と表の人格があり、コアの時は裏の人格を使っている。
・一人称は「コア」
死神屋 皆月(しにがみや みなづき)女・中学1年生
エイリア学園の考えに反対している白猫を連れた正義感強い女の子。
エイリア学園の考えが間違っていると教える為、瞳子に付いて行く。
何事も瞬時に周りの状況を見極めゲームメイクをする、鬼道のゲームメイクとはほぼ互角。
やんわりとしていて優しい雰囲気を持っているが、キレると皐月も怖がる程本当に怖い。
白猫のムーンを連れており、大切にしている。
容姿・特徴
・金髪のセミロングで毛先が緑色、目はネコ目で瞳の色は金。
・雷門のジャージ代わりに白猫のムーンと同じ色の白色の猫耳付きフードを着ており、肩にムーンを乗せている。
・ポジションはMFかFW。
・白猫の舞姫と言う異名を持つが、グラン達や円堂達は知らない。
・年上の人には先輩付けで呼ぶ。
・一人称「私」
皆月の技
・スイートドリーム(シュート技)
・ホワイトキャット(シュート技)
・ロリポップヒップホップ(ドリブル技)
・雷神の怒り(ドリブル技)
第31話傷つけないで・・・〜皐月視点〜
試合は両チーム共すごい事になっていた。
小暮に激しいタックルが来るけど、小暮は間一髪に回避さすが小暮!だけど、小暮からボールを奪う不動に土門と一之瀬が立ち塞がった。
「佐久間にボールは渡さない!」
「いい子ちゃんは引っ込んでな!!」
不動はそう叫ぶと、一之瀬の腹部にサッカーボールを投げつける。
不動を追いかけたい・・・けど、足は一向に俺の意思とは違い、動かなかった。
動け!動けってば!!俺は自分に言い聞かせながら、足を動かそうとするも足は自分でも驚く程動いてくれなかった、傷ついて行く人が増えていく・・・頭では分かってるのに。
「皇帝ペンギン・・・」
「!佐久間・・・!!」
佐久間の声に俺は我に返って止めるも佐久間は皇帝ペンギン1号を打つ体制に入って居る。
「やめろぉぉぉぉ!」
「1号ぉぉ!!」
皇帝ペンギン1号を打たれ、俺の足は即にもう動いていた。
もう・・・遅いよ・・・俺は一人自分を恨みながら、シュートの威力を少しでも減らそうと俺の足は動いていた。
「くッ!」
「やめろ恋姫!!お前の足が・・・!!」
鬼道に言われるが、俺はやめる訳には行かなかった。
染岡の為にも!染岡が怪我してしまったのは紛れもないあの提案をした俺の責任でもある。
だから、止めないと!コアの静止の声も聞こえるけど、今回ばかりは聞けない。
何とかボールを止めるけど、ボールを止めていた足はズキズキと痛みが走る。
「大丈夫か!何故あんな無理を・・・!」
「俺が染岡を怪我させちまった様なもんだから、こんな無理しないとさ・・・。鬼道、止めよう!これ以上皇帝ペンギン1号を打てば、佐久間の体も・・・」
「あぁ!」
俺は鬼道の手を取り、立ち上がる。
そうだ・・・怖いかもしれないけど、佐久間達を助けたい。
エイリア学園の一人じゃない・・・今は、今だけは雷門中の一人として戦いたいんだ!佐久間を見れば、先程のシュートで痛みに耐えている佐久間が見えた、殺気のは紛れもない俺のせいだ。
鬼道を見れば佐久間を説得させるが、佐久間は鬼道には自分の気持ちが分からないとそう言って、グラウンドに戻って行った。
試合を再開させるが、不動がこれまた厄介で皆も苦戦していた。
「俺にパスお願い!」
「あぁ!」
パスを貰おうとした時、そのパスは不動にカットされる。
やばい!俺がそう思ったのもつかの間、不動はすぐに佐久間にボールをパスする。
「これで決める!」
俺と鬼道の声が重なるが、不動とディフェンスの一人に俺と鬼道は佐久間の元へ行けない。
俺がやっとの事でディフェンスを掻い潜った時、目の前に入ったのは皇帝ペンギン1号を打ってしまった佐久間の姿だった。
俺があの時、すぐにでも不動からボールを奪っていればと後悔の波が押し寄せてくる、俺は涙がポロッと零れ落ちた、その時だ。
「うりゃぁ!」
「染岡!」
染岡が体を張り、皇帝ペンギン1号を止めた。
俺は急いで染岡に駆け寄り、大丈夫か聞くと、染岡は無理矢理笑顔を作り大丈夫だと言った。
染岡は残しといてよかっただろと言うと、ぐったりと気を失った。
俺の中から何かが込み上げてくる、これが怒りだと気が付いた。
感情なんてとっくに捨てた自分でもそう思えた、でも・・・こんなに怒ったのは初めてだ。
「佐久間!もう一度!」
不動の言葉に俺は佐久間を見ると、佐久間と言えばそのボールを受けとらずその場に倒れてしまった。
続く
第32話怒り心頭〜皐月視点〜
「佐久間・・・?」
鬼道は震えた声で佐久間の名前を呼ぶ、佐久間は何の反応も示さない。
それもそうだ、さっきので3回目・・・体の筋肉の限界だったのだ。
そして、試合は1-1と言う引き分けで終わった、源田もすぐに佐久間の名前を呼ぶが、佐久間は反応を示さない。
姉さんの声や皆月の声、色んな声が聞こえるが・・・俺はそんな声なんて今ではどうでもいいとさえ感じた。
バカだ、俺も禁断の技の持ち主なのに・・・!禁断の技を出さない対策や作戦が立てれた筈なのに!!俺はグラウンドの地面に自分の拳を叩き付けた。
「「影山ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
俺は染岡を皆に任せ、影山の部屋に向かう。
足の痛みも今なんてどうでもいい、今は自分の無力さに自分を憎みたい恨みたい!俺は涙でぼやけていた。
〜外では(皆月視点)〜
あれ?恋姫さんと鬼道先輩が居ない。
春奈ちゃんも二人がいない事に気づき、円堂先輩に伝えていた。
「まさか・・・!」
円堂先輩の顔が真っ青になって行く、その顔で今の二人の居場所が分かった。
あの二人・・・影山の所に!私が追い掛けようとした時、吹雪先輩に手を掴まれる。
「駄目だよ、皆月ちゃん!」
「でも・・・!」
「信じよう、あの二人の事!!」
吹雪先輩にそう言われ、私は走ろうとしていた足を止め、瞳子姉さんと一緒に逃げた。
無事でいて!
〜影山の元(皐月視点)〜
「見つけた!!」
俺がそう叫ぶと、俺の後に鬼道が影山の元へ着いた。
「佐久間達にあんな目に遭わせて満足か!!?」
「ふん、満足?出来る訳なかろう!!常に勝利するチームを見つけるまではなぁ!!」
こいつ・・・ふざけんな!!あんなにも・・・染岡や佐久間、源田にあんな事しておいて満足じゃない?ふざけんなよ・・・!俺は拳をまた強く握ると影山を睨む。
「これまで私が作って来た中で最高の作品は鬼道・・・お前だ!そして・・・倭国恋姫、やはりお前は“仲間想い”だ!だが・・・お前のその想いが見殺しに繋がらないと良いな?この私みたいに!!」
「「影山ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
俺と鬼道はヘリコプターに乗って来た刑事によって、避難された。
そして、影山は真・帝国学園と共に海の底へと沈んで行った。
俺は刑事さんから助けられた後、誰とも会いたくない為、ユニフォームを夏未に渡した後誰も居ない倉庫の所にやって来た。
「・・・・この!」
俺は近くにあった物を一発蹴り上げた、怒りが治まらなかった。
情けない・・・、俺は涙が零れ落ちて来た。
本当に泣きたいのは鬼道の筈だ、大切な仲間が目の前で倒れたのだ・・・俺が泣いても意味がない。
俺は怒りのままに近くの物に八つ当たりした後、コアと話した。
『皐月・・・大丈夫?』
「そう見えるか・・・?」
『ごめん・・・コアが、この試合に出てればあの子達は・・・』
「コアのせいじゃない!今回ばかりは俺の責任だ、コアのせいじゃない!」
俺は一旦落ち着いてから、雷門の元へと戻った。
そして、夜・・・。
俺は寝ているふりをしながら、ガゼルが来るのを待った。
数時間後、コンコンとノックの音が聞こえ、俺は席から立ち上がりキャラバンのドアを開ける。
「待たせたね」
「別に・・・」
「・・・随分と荒れてるね、影山と何かあったのかい?」
俺は別に・・・とだけ言い、ガゼルと共にエイリア学園へと向かった。
続く
第33話河川敷での出来事〜皐月視点〜
昨日の夜はしんどかったな・・・、怒り任せに自分の部屋にある物を片っ端から壊したからな〜。
ダイヤモンドダスト戦も身が入らなくて、何とか勝てたけど・・・ガゼルに君らしくないぞって言われる始末だったし、昨日は散々だったな・・・。
俺は一人稲妻町の鉄塔広間で身を休めていると、昨日の出来事が頭に思い浮かぶ。
思い出すと、イライラして来る・・・。
「最悪・・・」
俺がボソッと呟くと、微風が俺の頬を撫でる。
気持ちいい風・・・エイリア学園の屋上に行けば、こう言う風が吹く事もある。
そう言えば・・・今、円堂守達が居る場所って河川敷だったよね?河川敷まで行くのか・・・、河川敷と聞けば、嫌な思い出しかないな〜。
「行くか・・・」
ここ最近俺の様子もおかしい、昨日父さんからエイリア学園にはそろそろ戻って来いと言われたけど・・・コアも俺もすぐに「はい」とは言えなかった。
ただその時に感じた事は、雷門にもう少し居たいと言う気持ちだった。
あの時の俺はどうかしてたんじゃないかって感じている、俺は鉄塔広場から離れた所で見慣れた人物に出会った、と言うか・・・何故にチームを引き連れて?その人物と言うのが・・・。
「バーン・・・、ガゼル・・・」
「よぉ!」
「昨日ぶりだね」
そうですね・・・。
俺は苦笑いをしながら、バーン達とガゼル達の笑顔に少し癒された。
俺達は円堂守がいる河川敷から少し離れた所の河川敷で腰を掛けて座っていた。
「部屋は片付けといたけど・・・今度からあんな部屋見せんなよ?」
「あはは・・・ごめんごめん。昨日ムシャクシャしてたから」
「にしては、バーンから聞いたが酷い有様だったんだろう?今度から気を付けろ」
ガゼルに言われ、俺は素直に返事した。
この気持ち・・・話した方が良いのかな?昨日感じた雷門に居たいって言う気持ち・・・。
「あのさ・・・」
「何だ?」「何だい?」
「・・・やっぱ何もない」
俺は目の前でチーム対抗戦でやってんのか分からないサッカーをやってる茂人達と修児達を見た。
こう見たら、二チームとも仲良く見えるんだよな・・・。
「それじゃあ、俺・・・そろそろ雷門の潜入に戻るわ」
「・・・なあ、皐月。こんなこと聞くのっておかしいと思うけどよぉ」
バーンの声に俺は歩く足を止め、バーンとガゼルの方を振り向く。
「お前・・・雷門に居たいとか思ってねぇよな?」
「・・・急にどうしたのさ」
「君の様子が最近おかしいからね、真・帝国学園での試合も少しだけ見させてもらったよ。あの時、雷門の空気呑まれていたから・・・」
バーンとガゼルに気づかれていた、俺は初めて目の前に居る大切な家族に嘘を吐いた。
「そんな事、思ってる訳ないじゃん!気のせいだよ」
俺は精一杯の笑顔でそう言った、だけど・・・バーンとガゼルの顔は少しだけ暗かった。
怪しまれてないよね?俺はそう思いながら、二人に手を振った。
〜皐月が去った後の二チーム(バーン視点)〜
「・・・バーン様、コアは・・・」
サトスが俺に話し掛けて、皐月が歩いて行った道を見つめていた。
さっきの彼奴の笑顔・・・無理矢理にも見えた。
「思ってる訳がない・・・そう言っていたが、あの笑顔からして雷門に居たいと言う気持ちが見える」
ガゼルの冷静な声に一部の奴らは暗い顔をしながら俺とガゼルを見ていた。
「今後の様子見だな・・・、ガゼル」
「あぁ、そのようだ」
俺とガゼルはそう言って、エイリア学園に戻って行った。
続く
第34話染岡の脱退〜皐月視点〜
河川敷に着くと、染岡と吹雪の連携技“ワイバーンブリザード”が完成して、そのボールがゴールに入ったのが見えた。
出来たんだ俺は嬉しさと少しの複雑さがあった、俺は近くのベンチに座り染岡の様子を見た。
染岡は真・帝国学園の時に怪我をしてしまったのだ、俺のせいで・・・。
俺があの時動いていればと染岡の怪我を・・・今でも考えれば後悔の念が押し寄せてくる、染岡は気にするなって何回も言ってくれたけど、俺的には凄い気にしている。
(あれ・・・?染岡の奴・・・バテてない?あいつ、こんな早くバテたっけ?)
吹雪と言ってもアツヤだが、アツヤも染岡の様子に気づいてこんな物でバテてるのか?と染岡に言っていた。
染岡と言えば、苦しそうな表情を浮かべ、そんな訳ないと言っていた。
あいつ・・・まさか!俺が立ち上がって、円堂守に練習中止をお願いしようとした時、染岡がシュート態勢に入った。
その時だ、染岡は急に呻き声を上げたと思ったら、その場に倒れてしまった。
「染岡!!」
俺は急いで秋に救急箱を持ってくるように言って、染岡の傍に寄る。
染岡は皆に運ばれ、ベンチに座らせ、秋に処置して貰っている。
「染岡・・・お前・・・」
「何だよ、皆・・・大げさ「大げさもんだよ!このバカ岡」バ・・・!」
俺がそう言い、染顔の靴下を脱がすと露になったのは真・帝国学園で怪我したであろう足が真っ赤に腫れていた、こいつ・・・帰ってきた後、ケアしてなかったな。
「バカ岡、お前・・・ケアしてねぇだろ?」
「・・・・」
俺は溜息を吐き、出来るだけの手当てをした。
これは・・・酷い、チーム離脱の可能性が高いなこれ・・・。
染岡は大丈夫だと言うが、いつの間にか居たと言うか俺が気付いてなかったかもしれないけど古株さんが強がった所で得はないと染岡に言っていた。
「古株さんの言う通りだよ、バカ岡。」
「イプシロンの試合まで1週間・・・それまで怪我は・・・」
「無理!こんな怪我を1週間で治してみな、化け物だよ、化け物!」
俺が鬼道に向かってそう言うと、染岡は治してみせる!と俺に言って来た。
ワイバーンブリザードを完成させたのは染岡や吹雪だって、嬉しい事だ。
俺だって、見てる側だったけど嬉しい気持ちになった。
吹雪と言えば、自分のせいで・・・と落ち込んでいた、吹雪のせいではない。
怪我の様子をちゃんと見ていなかった俺のせいでもある、俺達が沈んでいると姉さんと皆月とムーンがやって来た、何処行ってたんだろ?
「染岡君・・・貴方には、チームを離れて貰うわ」
「そんな!監督・・・!」
姉さんの言い分が正しい、だけど、風丸はその言い分に反対する。
風丸の気持ちは姉さんもきっと分かってるだろう、風丸が言った“仲間”という言葉を・・・。
姉さんは仲間だからこそ離れて貰うと言った。
「けど・・・!」
風丸が未だに反発しようとした時、バンッ!と大きな音が聞こえた。
その音は染岡が、拳をベンチに叩き付けた音だった、悔しい筈なのだ染岡だって・・・。
「もう・・・いい、風丸。悔しいけど、監督の言う通りだ・・・!吹雪!雷門のストライカー任せたぜ!」
「あ・・・あぁ」
「恋姫」
「何?バカ岡」
「吹雪の事・・・支えてやってくれよ!最初はよ、俺の事はバカ岡って呼ぶからすっげー腹立ったけど、真・帝国学園で一緒に試合して、お前のサッカーへの気持ち伝わったぜ!」
染岡・・・。
俺が暗い顔をしていると、目の前に染岡の手があった。
「よろしく頼むぜ!」
「任しときな、バカ岡!」
「うるせぇよ!バカ姫!」
俺と染岡は握手して笑い合った。
続く
第35話小暮の必殺技完成!〜皐月視点〜
「またすぐ戻って来る!一時撤退って奴だ、だから皆!!そんな暗い顔すんなよ!」
染岡は場の空気を変えようとしているのか、無理矢理の笑顔だが元気そうにそう言った。
俺が小さくその場で微笑みながら、皆には聞こえない程の小さい声でコアに話し掛けた、コアだって染岡の事をストライカーと認めているのだから・・・。
「コア・・・染岡の事、どう思ってる?」
『な!別に、あの煩い奴が居なくなって、コアは清々してるし!』
「嘘ばっか・・・」
俺がそう言うと、グスッとコアが泣きそうな嗚咽を出した。
たっく、泣くなよ。
俺はそう思いながら、皆と話している染岡を見た。
俺だって、染岡の事は最初は嫌いだったよ?人のイラつく言葉しか言えない、頑固で、バカで・・・だけどさ雷門キャラバンに参加して、染岡とも行動する時間が増えて、そこで分かったんだ。
染岡のサッカーへの気持ち、仲間への気持ち・・・それは良い奴の証拠で本物気持ちだって事。
「バカ岡・・・待ってるよ、お前が戻ってくんの」
「おう!待ってろよ、バカ姫!」
「バカ姫って・・・俺、お前より賢いし」
「おま!!」
俺がそう言うと、染岡の文句が俺にやって来る。
ははは、痛くねぇ〜。
俺と染岡の口喧嘩に雷門の奴らは苦笑いして、喧嘩を止めているが先程より少し元気を取り戻していた。
すると、春奈がパン!と手を叩き、小暮に新しい技が出来たと伝えた。
へぇ〜。
「どんな技だよ?小暮」
「見てのお楽しみさ!」
こいつ〜・・・教えてくれてもいいじゃねぇか・・・。
俺はそう思いながら、技を見せてくれると言うので皆はグラウンドに目を向ける。
塔子がボールを蹴ると、小暮は逆立ちをして回転する、これってイプシロンの時に見せた奴とそっくりだ。
小暮はそのボールを受け止め鬼道へ、鬼道はそのボールを受け取り小暮に向かって蹴る。
そのボールも小暮は難なく受け止め、土門へ。
「さすが・・・悪戯好きの小暮だ」
俺は小暮の技を見ながら、そう呟いた。
これは・・・強力なディフェンスになりそう、これは父さんに報告しておく必要があるかも。
俺はそう思いながら、戻って来た小暮にハイタッチした。
目金と言えば、小暮の技名を受けてあげたが、本人の感想は・・・。
「ダサい!」
ははは、目金ドンマイ。
「じゃあ、技名何するんだ?」
「俺の技は・・・旋風陣だ!」
旋風陣・・・確かに目金が考えた技名より良い技名だ!何気に俺さっき酷い事言ったような・・・。
まぁ、いっか!俺は気を取り直して、染岡の方を向いた。
染岡と言えば、風丸に支えられながら小暮の技を誉めて、握手をしていた。
あ、もちろん俺と小暮が考えた悪戯付きでね♪え?悪戯って何のだって?玩具のカエルだよ。
「小暮ーーー!」
「ウッシッシッ!成功だぞ、恋姫!」
「いえーい!」
「お前らーー!!」
俺と小暮はハイタッチをし、染岡は俺達に怒鳴っていた。
でも、その表情は明るくて、皆も明るかった。
続く
第36話これ以上辛い思いは・・・〜作者目線〜
〜エイリア学園吉良の部屋〜
「と言う訳です・・・。コアの様子に関しましては、ガゼルとバーンから」
グランは隣に座っているバーンとガゼルを横目で見ながら、吉良を見た。
「俺から話すと、コアは雷門に残りたいと言う気持ちが強いって思われます」
バーンがそう言うと、その言葉にガゼルが継ぐ様に言う。
「私達も先程逢ってきましたが、コアの曖昧な返事とコアと雷門の仲の良さからそう見えてきました」
ガゼルがそう言い終わると、グランは以上だと言い、三人は吉良を見た。
吉良はそうですかと小さく言い、グランにこう言った。
「そろそろコアを此処に連れ戻しましょうか・・・。皐月には申し訳ないですが・・・」
“申し訳ないですが・・・”その言葉の先の意味を三人は瞬時に理解し、顔を暗くさせた。
その意味とは一体何なのか?剣崎だけが分からずじまいだった、三人は吉良に礼を一つして吉良の部屋を後にした。
「グラン、あの眼帯を渡したこと自体が・・・・間違っていたようだな」
ガゼルの低い声にグランは何も言わなかった。
「グラン・・・貴様がこれ以上コアに辛い思いをさせるならば、私達ダイヤモンドダスト全員は容赦しない。コアは冷たい態度を取っている理由は貴様たちも分かってる筈だ」
ガゼルはバーンとグランにそう吐き捨てる様に言うと、サッサと自分のチームへと戻って行った。
バーンはあいつもコアが好きだな〜と肩を竦めながら、グランを見やる。
「あんた・・・気にしてんなら、ガゼルの言う通りこれ以上辛い思いさせねぇ方がいいぞ?ガゼルのさっきの目は本気だったからな、忠告はしとくぞ」
バーンはそう言い、自分のチームへと戻って行った。
グランと言えば、二人の言葉を思い出しながら、そんな事分かってるよと小さく呟き小さかった頃の自分に話し掛けて来てくれた皐月を思い出した。
グランは暗い顔をしながら、自分のチームへと戻って行った。
〜吉良の部屋では〜
「旦那様・・・先程の話・・・」
「皐月の話ですか・・・彼女に渡したのは、狂気の力を集める眼帯。彼女の近くで悲しみや憎しみや挫折が居る者が居れば、眼帯は皐月が知らず知らずの内に力を集め、皐月が眼帯を身に付ければコアの人格が去勢的に出され、皐月の人格は無くなってしまう・・・。それがあの眼帯の効力です」
吉良の話を聞いた剣崎はゴクッと唾をのみ込み、あの時見た三人の暗い顔の意味を理解した。
「ですが・・・あの事件から心を閉ざしていた皐月を、信じれるようにした雷門・・・。これは少し厄介ですね。」
吉良はそう呟き、湯呑みに入って居るお茶を啜った。
コンと鹿威しが鳴り、二人の会話が終わる。
〜一方、コアが居るからキャラバンでは〜
「ZZZZZ・・・」
「恋姫先輩・・・寝てしまってますね」
春奈の言葉に円堂をはじめ皆吹雪の隣に居る皐月を見る。
吹雪は起こさないようにねと笑みを浮かべながら、隣で寝ている皐月を見た。
「ここ最近、恋姫さん眠ってませんでしたからね・・・」
「それにしても、いつも俺って言ってる恋姫の寝顔って本当の女の子だな」
風丸の言葉に夏未は失礼よと注意し、皐月に布団代わりに毛布を被せた。
小暮は心の中で暑苦しいと思いながら、皐月のズボンのポケットに入って居る眼帯を見つけた。
「何だこれ?」
「小暮君!勝手に触ったらダメじゃない!恋姫先輩に怒られるよ?」
春奈は小暮から眼帯を奪うと、すぐに皐月のポケットに眼帯を入れた。
眼帯に付いている黄緑色の石は誰にも分からない程妖しく艶やかに光っていた。
続く
第37話一之瀬がお婿さん!?〜皐月視点〜
此処はナニワランド、大阪にエイリア学園の拠点があるのではないかと理事長の考えで染岡と別れ、大阪に来ているのだ。
まあ、拠点は拠点だけど修練場なんですけどね。
俺は大きな欠伸をしながら、一人で修練場を探していたのだが、ふとグランに貰っていた眼帯が気になった。
最近やけにゾクッとするような感覚に襲われている日が多くなった、気のせいだろうとは思っているが・・・こんなずっと続くなら、父さんに相談した方が良いかもな〜。
「はあ〜、あれって・・・一之瀬?」
たまたま一之瀬の姿が見えた、後を追ってみると一之瀬が見知らぬ女の子に連れて行かれていた。
あいつ・・・どうしたんだ!?俺は一之瀬とその子の後を追う。
ナニワランド出たけど・・・一之瀬とあの子、何処に行くんだろう?俺はそう思いながら、変装して尾行しながら一之瀬の様子を探る。
うん、最初に分かった事・・・一之瀬を引きずってる女の子は超強引だ。
「此処って・・・お好み焼き屋?」
確か、一之瀬とあの子は此処に入って行った・・・。
俺はそのドアをガラガラと開けると・・・一之瀬を品定めしている超強引の子にそっくりな大人と一之瀬を逃がすまいと腕に絡みついているあの子が居た。
一之瀬は俺の存在に気が付くと、助けてくれと声を上げる。
あのバカ・・・!俺は笑顔を引き攣るのを必死に耐え、一之瀬の元へ行く。
「ちょい待ち、あんた・・・うちのダーリンに何の用なん?」
「は?ダーリン?一之瀬・・・お前「違う違う!」だよな」
あぁ、びっくりした。
一之瀬の彼女ってこんな超強引な子なんだって思った・・・。
「で、あんた誰なん?」
「(はあ〜、めんどくさいけど・・・一之瀬ごめん!)一之瀬の彼女です」
「「は!?」」
俺がそう言うと、一之瀬とその子は驚きの声を上げ、俺を見ていた。
「ちょ!恋姫!!」
「どういう事や!ダーリン!」
あ、これ・・・とんだ修羅場になった。
俺はメンドクサイと思いながら、一之瀬を俺の方に寄せる。
一之瀬は俺に文句を言おうとするが、俺は一之瀬の耳元でこう呟いた。
「演技だよ、演技!また捕まりたいの?」
俺がそう言うと、一之瀬は分かったと納得し、俺が彼女であると言う偽の情報をその子にあげた。
すると、その子は一之瀬の話を聞き終えるとほお〜と黒い笑みを浮かべながら、こっちに来る。
「あんた・・・」
「はい」
「うちと勝負しひん?うちが勝ったら、ダーリンは諦めて別れて貰うで!」
「は?」
「まあ、今やるのはお腹空いてるダーリンに悪いからまずはあんたもお好み焼き食べ!」
俺はポカーンとしながら、一之瀬の足を蹴った。
この野郎・・・めんどくさい奴に捕まりやがって!!俺はそう思いながら、女の子が座った場所に俺も座る事にした。
続く
特別編コアが女らしい格好するってよ
「だ・か・ら!そのヒラヒラ服は着ないって」
「え〜!」
此処は娯楽会議室、コアの人格ではない皐月は大声でワンピースを持っているレアンこと杏、ボニトナこと穂香、バーラこと華に追いかけられている。
それを遠目で平和だと見つめているのはプロミネンスの子達、そしてダイヤモンドダストの子達だ。
「何があったんだ?私達の来る前に・・・」
「それがなぁ・・・」
バーンこと晴矢は、ガゼルこと風介が来る前の出来事を話した。
最初に居たのは皐月らしく娯楽会議室にあるソファーで寝ていたら自分達が来て、杏達が寝顔を見てしまい大騒ぎになった皐月、女の子らしい服を着たら寝顔の件は忘れると言っているのだが・・・現在に至っている。
「そう言えば、皐月は女の子が着てる様な服は苦手だったな。」
「だけどよぉ、寝顔見た時一発殴られたけどな・・・。ネッパーが」
バーンは後ろを振り返り、未だに気絶しているネッパーこと夏彦を見た。
「何があった・・・!彼は!!」
「それが、皐月が起きた時に真っ先に顎を殴られて気絶だ。で、それを踏まえての女子の服を着ろって杏達が言ってんだけど・・・さっきからあの状態だぜ」
「平和じゃないと思ったのは私達だけか?」
「まあ、皐月が杏達からどこまで逃げきれるかだな」
「でも・・・、そんな見られて嫌な物だったの?」
アイシーこと愛がそう晴矢に尋ねると、晴矢は別にそれ程でもないと言った。
「それじゃあ・・・何で・・・」
「その寝顔の写真なら、葉隠が撮ってたよ」
ヒートこと茂人がそう言って、バクレーこと葉隠からその寝顔の写真が入って居るであろうカメラを風介に渡した。
風介達はその写真を覗こうとすると、バッ!とカメラは消え、目の前に居る人物を見れば顔を真っ赤にしている皐月が居た。
「何人の寝顔を風介達に見せようとしてんだよ!!てか、幸太郎!この写真消せよ!!」
「あ、ごめん!パソコンにも入っちゃったよ〜!」
「この野郎・・・!」
怒りで体が震えている皐月を見て、風介達は巻き添えを喰らわない様に数歩後ろに下がる。
「さ〜つ〜き!」
「あ”・・・」
「捕まえたから着てくれるよね?」
「・・・分かりましたよ!着ればいいんだろ!着れば!!」
((ヤケクソだ/だな))
皐月はヤケクソにそう言うと、会議室を後にした。
数分後、驚いた顔をしながら入って来たウルビダこと玲名、キーブこと布美子、クィールことルルが皐月が女物の服を着ていたと晴矢と風介に訴えていた。
二人は本当に着たんだと驚きながら、何故着る羽目になってしまったのかを三人に話した。
「あらら・・・皐月も災難ね・・・」
「でも、可愛かったっぽ!」
「で、その皐月は何処行ったんだ?」
「それなら・・・」
晴矢の問いに玲名は出入り口のドアを指差した。
近くに居たベルガこと一角がドアを開けようとすると、物凄い力で開けない様にされている。
「あいつ・・・何処にこんな力あるんだ?」
「あぁ、皐月は恥ずかしがると女子じゃない程の力出しますからね」
「お!お帰り、夏彦!じゃあ、呼んで来てくれよ。」
「多分・・・また俺気絶しますよ?あいつ・・・俺だけ容赦ございませんから」
((一体過去に何をやったんだお前は!?))
夏彦の発言に驚くプロミネンスとダイヤモンドダスト、ガイアの女子は心の中で夏彦にそう聞いていた。
続く
特別編コアが女らしい格好するってよ
「はあ・・・」
晴矢達は自分達の目を疑っていた、何故かって?目の前に女の子らしい皐月が居るのだから。
その皐月と言えば大きな溜息を吐きながら椅子に突っ伏していた、それを慰めている夏彦。
それを小声だが可愛いと言っている女子軍に苦笑いしている男子軍。
「なあ、杏〜。これも脱いでいいか?」
「え〜!もうちょっとだけ!!」
このやり取りも何回聞いただろうか?晴矢達には分からなかった。
皐月と言えば、げんなりした顔をしながら足をぶらつかせていた。
「でも、本当に可愛いわよ。いつも男気溢れてる皐月もいいけど」
「布美〜、あんまからかうなよ。下がスースーする」
「まあ、いつも着ているズボンではないからな。どうだ?女の子の気分は?」
「玲名・・・俺は元々女の子だよ。まあ、男気って言われると女って見られてないんだろうけど」
それは当然だと晴矢達は今までの言動を思い出しながら当然だと言いきれた。
「でも、皐月も黙っていれば女の子だよね」
「もう何言われても返す気ない。はあ〜、そろそろイプシロンと試合だから、戻るわ。服着替えるからね!」
皐月はそう言うと、デビルを連れ娯楽会議室を後にした。
その後、皐月が女の子らしい格好をしていたと言う噂はすぐにエイリア学園中に広まったと言う。
終わり
恋花1輪目俺が親友を好きになるなんてあり得ない!〜皐月視点〜
最悪・・・、俺は一人娯楽会議室で溜息を吐いていた。
「あ!皐月〜!」
「ん?杏・・・」
「あら?元気ないわね・・・まさか、また夏彦と喧嘩したの?」
穂香に言われ、俺は返す言葉がない。
え?何で夏彦如きで俺が落ち込んでいるかって?よくぞ聞いてくれた。
それは・・・。
「好きな人なのにね〜」
華の言う通り、何故か・・・俺はネッパーこと夏彦が好きになっている。
最初はただの普通の好敵手だと思っていたが、知らない内に目が離せない存在となった。
最初こそは親友としての心配なのかもしれなかったが、杏をはじめ夏彦が女の子と喋っているとイラッて来てこの上ない。
「で、今日は何の喧嘩?」
「それが・・・ネッパーがさ、急に俺にさ・・・」
只今説明中・・・。
「あらら、今回ばかりはネッパーが悪いわね」
「でしょ!「でも、ついカッとなって“絶交だ!”なんて言う皐月も悪い」う”・・・それは否定できない」
「なら、素直に謝ればいいじゃない。あんたたち仲が良いんだから」
「今回はそう言う軽いもんじゃ・・・ないもん」
はあ〜、何であの時絶交だ!なんて言っちまったんだよ、俺〜〜!一人暗く沈んでいると、ガチャとドアが開く音がした、音のした方を向ければ今一番会いたくない人物が居た。
「あ〜〜!俺、用事思い出した!」
「え?今日用事何てなかったんじゃ・・・」
「いや、急な用事!じゃあ!」
はあ〜、夏彦にどう会えばいいんだろう?俺は一人フードを被りながら、棒付きキャンディーを口に運ぶ。
・・・まずっ、いつもみたいに甘い苺味もただのまずいキャンディーでしかなかった。
早く帰ろう・・・俺はそう思って、自分の部屋に向かう途中ヒートに会った。
「よお、ヒート!」
「あ!皐月。ネッパー知らない?」
「え?ネッパーなら・・・娯楽会議室に居たけど・・・」
「そう!ありがとう、さっきバーンが無茶苦茶不機嫌な顔しながらネッパー呼んで来い!って言ったから探してたんだ。じゃあ!」
あいつ・・・バーンを不機嫌にさせるほど何かやらかしたのか?俺は呆れながら今から怒られるであろう夏彦に同情した。
はあ〜、俺ももうちょっと素直で居ればな〜。
「今さら悔やんだって仕方ないっか・・・。」
俺は立ち止まっていた足をまた動かし、自分の部屋へと戻って行った。
続く
ストーリーのネタが・・・^p^←作者の心境
恋花1輪目俺が親友を好きになるなんてあり得ない!〜皐月視点〜
「今何時・・・?」
コアの姿をしながら俺は自分の部屋にある時計を見やる、もう夕方の17時か・・・。
眠い・・・、体がダルイ・・・、食欲がない・・・。
医務室に行くか・・・俺はそう思い、ダルイ体を起こしながら医務室に向かう。
視界もグワングワンしてる、目眩か?足を動かせば、頭痛もしてくる。
「はあ〜・・・本気でしんどい・・・」
そういや此処最近忙しかったから、充分に休めていなかった。
グランからあれ程健康管理はしろって言われたのにな〜。
「はあ〜・・・」
「コア・・・」
「あ、ネッパー」
うわ・・・今一番会いにくい奴が目の前に現れた〜〜〜!!俺は笑顔を引き攣らない様ネッパーの顔を見た。
やべぇ〜、喧嘩してるから顔をまともに見れない・・・。
「何処行くんだよ?」
「医務室・・・」
「気分・・・悪いのかよ?」
「まあ・・・ね・・・。」
気まずい・・・。
俺が俯いた時、急に腕を引かれた。
「ちょ!何してんの!」
「医務室まで連れて行く」
「自分で行けるし!!」
「気分悪い奴が何言ってんだよ、ほら、行くぞ」
言い返す言葉が見つかりません。
そして、分かった事だがさり気なく手を握られていた。
手・・・大きい、前は小さかったのに・・・。
「でかくなったな・・・」
「それ遠回しにバカにしてんのか?」
「してないし、率直に感想を述べただけ」
やば・・・ドキドキしてきた。
やばい!俺は静まる様に頼むけど、俺の意思とは反対にドキドキと更に大きくなって行く。
ちょ!伝わるから!!俺は一人焦りながら、平静を装っている。
「着いたぞ」
「うぇ!あ・・・ありがとうって!何でお前も医務室に入ってんだ!?」
「別にいいだろ?ほら、座れよ」
妙に夏彦が優しい・・・。
「う・・・うん、ゴホ」
ありゃ・・・とうとう咳まで出ちゃったよ。
「ほら、体温計」
「ありがとう・・・、あのさ・・・今日はゴメン。言い過ぎた」
「・・・俺も悪かったよ。はい、冷えピた」
俺は夏彦から冷えピたを受け取り、体温計を覗く。
うわ、37度を超えやがった。
そして、ピピッと体温計が終了の合図を出すと、俺は脇から体温計を取り出した。
「はい・・・」
「37.6って!お前はヒートかよ!」
「知らないよ・・・、ちょっと横になる」
「そうか」
俺は医務室のベッドで横になり、医務室で何かカチャカチャと何か触っている夏彦を見ながらゆっくりと瞼を閉じた。
恋花1輪目俺が親友を好きになるなんてあり得ない!〜皐月視点〜
「ん・・・」
よく寝た気がする・・・。
俺は起き上がり、周りを確認するとちょんと指先が何かに当たった。
指先に当たった所を見ると、見る見る内に俺の顔が赤くなって行く。
何とそこに居たのは俺の横で寝ている夏彦だった。
「は!?え?!ちょ・・・!」
やばいやばい!俺の頭の中、混乱してるって!俺の頭パンクしそうだよ・・・。
いやいや異性で一緒に寝るとか今の中学生である俺達にとってビックリ仰天光景だよ!じゃなくて、え?一体俺が寝ている時に何があったんだ!俺一人ギャーギャーと騒ぎながら考えを巡らせていると、後ろから急に抱き着かれた。
「ふぇ!」
「うるさい・・・」
「おま!いつ起きた!」
「さっき・・・」
「さっきじゃない!いつ俺の横で寝てたんだよ!?」
「・・・皐月が寝てすぐ」
俺が怒鳴ろうとした時、ドアが開いた音が聞こえた。
「そう言えば、ネッパーとコア何処に行ったのかしら?」
この声・・・杏!?あ、俺と夏彦と言えば一番奥のベッドに隠れている。
近いって〜〜〜!!やばい、胸がドキドキしてきた!!夏彦にまで聞こえちゃうって・・・。
「近い・・・」
「しょうがねぇだろ、レアンと・・・後一人誰だ?」
「ちょ!」
抱くな〜〜!俺はドキドキしながら夏彦に抱かれていた。
「そうね〜、あの二人も早く告白しちゃえばいいのに。」
「出来ないから私達も困ってるのよ」
ん?この声・・・杏と愛!?あの二人っていつも仲悪いからあんまり喋らないかと思った。
それよりも誰の事話してるんだろう?俺はそんな疑問を持ちながら、二人の話に耳を澄ました。
「これ以上コアかネッパーが告白しないなら、私達が背中を押した方が良いわよね」
俺達の話だった〜〜!と言うか、皆さんの迷惑になっていたんですね。
だけど、杏と愛は俺と夏彦が聞いてるとも知らずに色々と喋っている・・・そう、色々と・・・。
「俺らの話だな」
「そうだな・・・、あのさ」
「何?ん!」
「俺さ・・・お前の事、好きなんだけど・・・」
「俺も好きだよ・・・夏彦の事。」
でも、急にキスして来るとは思わなかったけどね。
俺はそう言うと、夏彦は苦笑しながらまたキスを落として来た。
〜その翌日〜
「だから!ネッパーが悪いんでしょ!」
「俺じゃねぇって何回言えばお前も分かるんだよ!」
すぐに付き合ってるとエイリア学園中に広まったのだが・・・未だに喧嘩ばかりしていた。
「本当に付き合ってるのかしら?」
キーブの一言に喧嘩を眺めている傍観者達は頷いていた。
「世に言うケンカップルじゃない?」
「「「「あぁ」」」」
アイシーの言葉にまた頷いたのだった。
ネッパーとコアと言えば、そっぽを向きながら横目で自分の恋人を見ていたのだ。
((本当は好きだってんの))
二人はお互いそう思っている様です。
終わり
第38話CCC対皐月!?一之瀬を賭けた試合〜皐月視点〜
(最悪・・・、何でこう言うやつを俺は敵に回したんだろう?)
俺は目の前に居るCCCとか言うチームをうんざりしながら見た、そのキャプテンが一之瀬を勝手にダーリンと呼んでいる浦辺リカ、はあ〜、何で俺が・・・俺は染岡が居たFWのポジションに就く。
「あんたには絶対負けへんで!」
「リカの為や!皆行くでー!!」
「恋姫・・・変なことになってるね」
「吹雪・・・聞かないでくれよ。それじゃあ、一之瀬の為にしゃあなし頑張るよ」
俺は頭を掻きながら吹雪にボールを渡す、めんどい・・・早く終わらせよう。
俺は吹雪からのパスを受け取った時、女の子がこちらに来た。
「プリマドンナ!」
「え!・・・不覚」
恥ずい!あんな格好を俺がさせられるなんて・・・。
「恋姫さん何やってるんですか!」
「なんか・・・悪い・・・」
目金に何故か叱られ、俺は謝っておいた。
あぁ、思い出しただけで鳥肌が凄いよ・・・。
こんなのヒロト達に見せられたら、一番恥掻くのはコアだ・・・。
絶対、コアがからかわれる・・・。
そして、浦辺のド真ん中シュートは円堂守がガッチリと止め、試合は再開。
「皆月!」
「はい!「ディフェンスばぁぁん!」え!?」
「って、ディフェンスはうちやったわ」
皆月からボールを取るなんて・・・案外こいつらやるじゃん。
それにしても、あのスピードと言い、ジャンプ力と言い、何かデザーム達みたい。
あの鬼道さえもボールを奪えたり、栗松は知らないけど栗松からもボールを奪っている。
そして、可哀想な事に風丸もプリマドンナの餌食となった・・・。
風丸がやると似合うよな・・・、うん。
「風丸!似合ってけど、早く立って!」
「何処かだ!」
やば、つい・・・口が滑った。
「小暮!」
「任せとけって!旋風陣!」
俺が指示すると、小暮はすぐに完成技となっている旋風陣でボールを奪うも、決めポーズで奪われる。
おい・・・決めポーズは後にしような、今度から。
そして、恐れていた事態が発生!浦辺にボールが渡ってしまった。
「「バタフライドリーム!!」」
「爆裂パンチ!・・・え?」
円堂守の爆裂パンチでボールを止めようとすると、ボールはまるで蝶の様にかわしゴールへと入った。
おいおい・・・こいつら案外やるじゃん。
誰だよ、こいつらでサッカー挑んだの!?俺は怒りを覚えながら、その提案した目金を横目で見た。
そして・・・前半戦は終了となった。
「凄いですね、あの人達・・・」
「あぁ(まるで修練所を終えたあの時のヒロト達みたい・・・)」
俺の脳裏から修練場で鍛え上げられたヒロト達の姿が流れる。
今は試合に集中だ、これ以上点を取られればコアのプライドも地位も危ないし、何よりあの三人にコアがバカにされる!それだけは避けなければ。
そして、皆が円陣を組んで後半戦の事を話した。
出来るだけペースには呑まれるなって事か・・・。
「相手が誰であろうと関係ない!俺達は俺達のサッカーをするだけだ!」
「「「おう!!!」」」
続く
皆月と皐月の異名の由来
皐月の異名の由来
黒猫の舞姫の由来は、黒猫を用いたシュート技やデビルを肩に乗せながらサッカーをしている事からその名が付いた、サッカー界では誰もが知っている異名でもある。
皆月の異名の由来
白猫の舞姫の由来は、白猫を用いたシュート技やムーンをを肩に乗せながらサッカーをしている事からその名が付いた、サッカー界では誰もが知っている異名でもある。
二人曰く「その異名が嫌」な為、二人が本気にならないとムーンやデビルとサッカーをしない。
その異名の由来を知っているのは鬼道とヒロトだけと言っても二人も皆月と皐月がその異名の主とは知らない。
第39話後半戦コア視点〜
全く、皐月ったらコアに恥掻かせる気?後半はコアが出る事になった。
裏に人格として試合の事は見ていたけど、もう二度とあのプリマドンナの餌食になりたくない!まだレアンのプリマドンナの餌食になった方がコアのプライドも許せる、だけど、こんな地元チームのプリマドンナの餌食はコアのプライドが嫌な程傷つく!絶対勝つ!それだけが今のコアの目標だ。
「アツヤ・・・」
「何だ?恋姫」
「笛が鳴ったら、恋姫にボール渡して」
「あぁ(あれ?恋姫って自分の事恋姫って言って無かったよね?アツヤ)」
アツヤからボールは貰う事は大丈夫!絶対勝つ!そして、後半開始の笛が鳴り響く。
アツヤからボールを奪うと、本気の半分の力でコートを駆け上がる。
『ちょ!宇宙人ってバレるって!』
「今そんな事言えないよ!」
そうだ、そんな事言える暇があるなら勝つしかない。
そう思った時だ、目の前からCCCのディフェンスがやって来る、コアを舐めないでよ!こう見えて空中戦もあんた達より得意なんだから!一応言うと、バーンよりも得意だ。
コアはボールを空中に投げ、コアもボールに向かって跳ぶ。
そして、空中でのバク転。
「決めてあげる!『ナイトメア』!」
「はな・・・!きゃあああ!」
うっしゃ!ナイトメア使ったってバレたな、皐月。
今は裏の人格なのに皐月の冷めた視線が後ろから感じるよ〜!コアはこれで清々したから皐月に交代しようっと!そう思って、コアは勝手に入れ替わる。
〜皐月視点〜
たっく、コアったら・・・いくらあんな恥ずかしい格好させられたからってナイトメア打つかな?普通。
まあ、レアンのプリマドンナとCCCのプリマドンナ喰らうならレアンのプリマドンナの方がマシだな。
これ、レアンの前で言ったら俺殺されるな・・・。
「皐月・・・すげぇな!あんな技、見た事なかったぜ!」
「え?あ・・・あぁ、ありがとう」
円堂守に言われ、俺は戸惑いながらもお礼を言っておいた。
コアめ・・・俺は笑顔を引き攣りながら、裏の人格となって苦笑しているであろうコアが目に浮かぶ。
そして、此処からが本気とでもいいた様にCCCも攻防を繰り返していた。
アツヤのエターナルブリザードも決まり、2−1となった。
皆月のホワイトキャットも決まり、3−1。
凄い速さで決まって行く、うひゃ〜、前半戦の奴なんだったんだろう?そう俺は思えた。
「後・・・1点決めればいいかな?」
俺がそう呟いた時、そうはさせへんで!と目の前に浦辺が現れた。
俺・・・この子苦手だわ、風丸や染岡以上に・・・。
そう考えていると、スライディングでボールを奪われる。
ちっ!俺は舌打ちをしながら、浦辺を見た時、浦辺は誰も手を出しにくい空中に居た。
此処からの距離で跳んで、ボールを奪えば・・・浦辺が怪我する可能性が高い。
「オチは最後までとっておくもんやで!『ローズスプラッシュ』!」
「マジン・ザ・ハンド!」
あれが・・・浦辺の切り札って所かな?俺はそう考えた時、ボールが俺に飛んでくる。
俺にパスって訳か・・・、良い判断だよ・・・。
さて、シュートはこの問題を起こした一之瀬にやって貰いましょうかね?え?根に持ってるのかって?持ってるに決まってるじゃないか・・・、あんな目に遭わせられたのに・・・。
「一之瀬!決めてやれ!」
俺は一之瀬にボールを渡すと、さすがフィールドの魔術師と言えばいいのかCCCのディフェンスを簡単に突破して行った、さすがだね。
「スパイラルショット!」
一之瀬の必殺技が決まる、そして決めポーズ。
小暮かよ・・・お前は・・・。
俺はそう思いながら、残り少ない時間の中俺ノーマルシュートがゴールに決まる。
そして、試合は終了した・・・。
続く
第40話皐月の苦しみと吹雪の異変〜皐月視点〜
俺はナニワラドの地下の修練場に居る、此処は元々俺達エイリア学園の敷地で今はもう誰も使っていない。
だからって無断で使ったって分かると、心底イラッと来たのは内緒ね。
どうりで浦辺達がデザーム達みたいな動きすると思ったら、此処を使って特訓してたんだな。
あ、スピードがデザーム達並に速いとかじゃないよ!雷門のペースを乱すところね。
「あれ?恋姫先輩・・・何処行くんですか?」
「ん?少し用事、すぐ戻るよ」
さて、父さんに報告しよう。
何かそう考えると、胸痛いのは気のせいと感じて居たい、だって・・・コアと俺の心は一つで半分。
だけど、コアも最近ながら雷門の仲間の方が良いんじゃないかと俺に言ってくるようになってきた。
どうしたんだろう?コアも俺も姉さんや皆月と敵対する決めたのに・・・。
〜エイリア学園(コア視点)〜
「雷門はコア達が使っていた修練場で特訓をするようです。目は光らせといていいでしょうか?」
「そうですね・・・、瞳子と皆月の監視を続けなさい。あそこはもう、必要ありませんからね」
父さんの言葉にコアは軽く頭を下げて、監視を続けるように言われた。
父さんの部屋を出ると、にゃ〜と聞き覚えのある鳴き声がした。
「久しぶり、デビル」
「にゃ〜」
「そうか、デビルも嬉しいか!」
コアはわしゃわしゃとデビルの頭を撫でると、デビルはにゃ〜と喜んでいた。
さて、父さんの部屋から退かないとまたうるさく剣崎の小言を聞かされそうだな・・・。
コアは父さんの部屋の前を後にすると、廊下へと歩く。
「デビルの頭を撫でるのは久しぶりだね〜、でも・・・すぐに雷門を戻らないといけないから・・・」
「にゃ〜・・・」
「悲しまなくていいよ、すぐ戻って来るからね!」
「にゃ〜!にゃ〜!」
「フフっ、そろそろ戻らないと・・・。あ!デザーム!」
コアがデザームを呼ぶと、デザームは此方に気づいて何か用かと聞いてきた。
「デビルの事・・・よろしくね」
「分かりました、お気をつけて」
「うん!すぐ戻って来るね!」
コアはそう言うと、いつもの皐月の姿に戻って、黒いボールで雷門の居る大阪に戻った。
〜修練場(皐月視点)〜
「ただいま〜」
「あ、お帰りなさい。どうだった?」
あ、そう言えばブラブラして来るって言ってたの忘れてた。
俺は楽しい所ばかりだったと秋達に伝えて、特訓に励んでいる雷門中を見た。
昔の俺やコアなら、くだらないだと特訓をしても意味がないって言うけど・・・レーゼ、緑川達を倒した相手に今じゃ俺も少しばかり焦っている。
「皆・・・頑張ってるね」
「それはそうよ、何たってもうすぐイプシロンとの試合。彼らも気合が入るわ」
「そうですよ!そう言えば・・・恋姫先輩も練習しないんですか?」
「え?」
「だって・・・恋姫ちゃん、真・帝国学園や今日の試合でもサッカーしていたから・・・」
秋の言葉に俺はあれはまぐれだと言っておいた、エイリア学園の選手ですからと口が裂けても絶対に言えないよ、うん。
「それより・・・吹雪は?」
「吹雪君なら・・・」
続く
第41話宇宙人として・・・〜皐月視点〜
「吹雪!あ、今は違うか」
此処はシュートを鍛える修練、俺もよく此処でシュートを鍛えた。
慣れた頃にはロボットを何個破壊したかも今じゃあ数え切れない程怖いしたかもしれない、アツヤも俺と同じようにロボットを壊している。
エイリア学園は豪炎寺修也がもし、エイリア学園に入らなかったら豪炎寺夕香に危害を加える。
だけど・・・警察もそれで黙ってるとは思えない、もし、豪炎寺夕香が奪還された時は・・・吹雪を仲間に加えるだろうな。
「恋姫か・・・、どうしたんだ?」
「いや、皆の所にアツヤが居なかったからマネージャー達に聞いたら、此処だって」
「そうかよ・・・」
「あんまり無理するなよ、お前は黒く染まっちゃいけない。俺みたいにな・・・」
「?」
俺はそれだけを言い残して、特訓部屋から出た。
そう、あいつは俺みたいにどす黒く染まっちゃいけない・・・。
俺はマネージャー達が居る場所に戻って来ると、秋に吹雪の様子はどうだったかと聞かれた。
アツヤも邪魔されたくないだろうし・・・俺は特訓に励んでいたとだけ言っておいた。
それにしても・・・目金もチームの一人なんだよな?俺はジトッとした目で隣に居ると言ってもCCCの中でも小さい女の子が居るので、隣の隣と言えばいいのかな?浦辺は目金の隣に居て、からかっている。
「それにしても・・・頑張るね」
「それはそうよ、何たってもうすぐイプシロンとの試合。気合も入るわ」
あ、そういやデザームが1週間後に試合とか言っていたな。
またコアの名前出さないと良いんだけど・・・。
俺は修練場を見て回ってくると言って、色んなところを見た。
ゴールキーパーの修練では、円堂守が居た。
そういや、一角も大蔵も此処ですっげー頑張ってたな〜。
よく特訓をサボっては此処で二人と一緒に喋っていた、まあ、君之と治兄さんにバレたら即刻俺は逃げたな。
「フフ、久しぶりだな〜」
MFにとっては良い修練では、喧嘩が多くて全員の休憩場所になっていた。
そういや・・・此処でパンドラ、希望に占いして貰って・・・その占い当たったな〜。
回って行く内に色んな思い出が蘇る、はあ〜昔の様に皆が戻って来てくれるかな?この計画が終わった時には皆・・・戻って来るかな?俺はそう考えながら、マネージャー達が居る場所へ戻って行った。
「ただいま〜って特訓終わったの?」
「えぇ、皆今は差し入れに夢中ね」
大阪名物ばかりじゃねぇか・・・。
壁山が全部食べないか心配・・・、そういやムーンの飯はどうするんだろう?俺が考えた時、ちょうど皆月が戻って来た。
何していたのかと聞くと、ムーンに餌をやりにキャラバンに戻っていたと言った。
そして、特訓は再開され夜になると皆夜ご飯を食べ、キャラバンで眠った。
だけど・・・俺だけ起きていた。
「・・・・「恋姫?」あ!円堂」
「どうしたんだ?」
「ううん!何もないよ」
「そうか?困った事があったら、俺や皆に相談しろよ!と言っても、俺が役に立つかどうか分からねぇけどな」
「あぁ」
円堂守に言えないよ・・・俺がエイリア学園の一人だって・・・。
宇宙人・・・か・・・、宇宙人らしく破壊活動でもすればいいかな?もしバレたら・・・。
俺はそう考えながら、ゆっくりと瞼を閉じた。
〜翌朝〜
「ん・・・」
俺は目を開けると、キャラバンには誰も居なかった。
あ、もう修練場に行ったの?早くない?あ、俺が遅いだけか・・・。
「あ、恋姫ちゃん!おはよう」
「秋、おはよう」
「皆はもう修練場に居るよ、私達も行こう」
「うん」
俺はキャラバンを降りて、秋の後を追う。
続く
第42話心〜皐月視点〜
もうレベル最大か・・・、凄いかも雷門イレブンって・・・。
エイリア学園にとって雷門なんて、あり一匹に見えていたけど・・・これは本当にやばいかも。
特に円堂守が居る限り雷門はサッカーなんて諦めもしないだろうな・・・。
俺がそう考えていると、円堂守がこっちにやって来た。
「おつかー、円堂」
「おう!」
「皆楽しそうね」
夏未に言われ、俺は特訓を受けている雷門イレブンを見る。
確かに皆苦しい特訓の筈なのに笑顔でやっていた、小さな事でも皆嬉しそうに特訓に励んでいた。
最初は俺達もそうだった・・・どんな小さな事でも成功したら、嬉しかったな〜。
俺が一人そんな事を思っていると、隣に居る秋が浮かない顔をして特訓を受けている雷門イレブンを見ていた。
「秋?どうしたの」
「サッカーって楽しいのよね・・・」
目が悲しそうだった。
秋の言葉を聞いていたマネージャー達や円堂守達は、首を傾げた。
「エイリア学園の事、ジェミニストームやイプシロンそれに多分私達の中に居るスパイの子もどんな思いでサッカーやってるのかなって・・・。やっぱり、地球征服の手段でしかないのかな?だから・・・皆、辛いだけに・・・」
秋・・・。
俺は何とも言えなかった、俺達はいつも父さんが言ったからと自分達に言い聞かせて破壊活動を行っている。
「俺・・・あいつらの試合、辛いだけじゃないと思うぜ!」
(え・・・!)
「今までと同じくらい楽しんでる!そりゃ・・・シュートを受け止める時、めっちゃ痛い時もあるけど、それもひっくるめて、楽しんだ!だって、俺・・・サッカー好きだから!」
『俺、サッカー大好きだから!』
小さい頃の俺の声と円堂守の声が同時に聞こえた、おかしいの・・・昔の感情も気持ちもエイリア学園に入った時に捨てたのに・・・。
「それに俺・・・思うんだ。最初にエイリア学園で戦ったコアもあいつらも本当はサッカーが好きで楽しいって思ってるんじゃないかって!どんな悪い奴も・・・サッカーが好きじゃなきゃ安奈凄いサッカーは出来ねぇよ!」
円堂・・・。
嬉しかった、エイリア学園なんて全世界から見ればただの敵でしかない、ただ倒す奴としか思われてない。
けど・・・円堂は、俺達がサッカーが好きな事、楽しいからサッカーをやってた事を分かってくれた。
俺達がエイリア学園で世界征服をしようと思ったのは、父さんの息子に影響されたから。
この子とは別の時に話そうかな?父さんの息子さんはもうこの世に存在しない、俺は写真でしか見た事がないけど、サッカーが本当に好きそうなそんな子だった。
(その人がこの世に居たら・・・父さんだって変わらなかったのかな?)
俺がボーっとしていると吹雪の怒鳴り声で我に返った、はあ〜、アツヤったら俺は大きな溜息を吐き、アツヤの所に向かう。
無理しないと良いけど・・・。
その時だった、一瞬だけだったけど・・・あの姿はと思い、俺は散歩してくると言い皆の元を離れ、修練場を出ると、見た事ある人物が居た。
「はあ〜、何で毎回毎回お前らが来てんの?」
「別にいいだろ?一応、俺はコアの監視なんだから」
「監視にしては派手に俺が見つかる場所でやってるね。コアも気づいてたと思うよ?」
「・・・なら、そろそろ話してくれないかな?皐月がどうして“二重人格”なのか」
「!」
「今日の夜、全ランクと言ってもレーゼ達とは会えないけど、皆娯楽会議室に居るから。もちろん、喋るのはコアで頼むよ」
グランはそう言うと、エイリアボールで帰って行った。
続く
第43話そろそろ消える〜コア視点〜
話さないといけないのかな?コアはエイリア学園に戻って、自室に居ながらそう考えた。
まあ、グラン達も娯楽会議室で待ってるなら行ってあげないとコアはそう思い、自室を出て娯楽会議室に向かう、行った事がない筈なのに体は覚えてる様に娯楽会議室に向かう。
そりゃ・・・皐月があんなに娯楽会議室に通ってたんなら、体も覚えてしまう。
デビルは先に娯楽会議室に居るらしいけど・・・コアが生まれた事実をグラン達が受け止めてくれるかどうかだよね〜。
「着いちゃった・・・」
入るのに躊躇ってしまうのは、皐月が傷つかないか心配だから。
でも、事実を話さなければグラン達はますます怪しむかもしれない。
なら、今話した方が良いかも。
コアはグッとドアのノブに力を込めてドアを開く。
「やあ、遅かったね」
「ちょっと考え事・・・」
はあ〜、やっぱ皆の目が怖いよ。
デビルはと言うと、コアを見つけるとデザームの腕から抜け出しコアに跳び付く。
「で、グラン達が知りたいのは皐月の二重人格でしょ?まあ、別にいつ話しても良かったんだけどね」
「じゃあ、どうして今まで話さなかったんだ?」
「ん〜、簡単な話。皐月とコアが話したくなかっただけだよ。ねえ?デビル」
「にゃ〜〜」
コアがそう言うと、キィーン・・・と頭の中に金属音に似た音が響く。
最近よく金属音に似た音が起こっている、一体何の影響なのだろう?皐月はそんな音は聞こえないと言っていたから、コアだけ?コアがそんな事を考えていると、ウルビダの声で我に返る。
「どうした?」
「・・・ううん、何でもないよ!まあ、詳しくは教えられないけど・・・コアは負の感情から生まれちゃった皐月の裏の人格だって事。分かった?」
「あ・・・あぁ」
「じゃあ、コアはそろそろ帰るね〜。あ、後デザーム・・・皐月から忠告」
「何でしょうか?」
「『雷門を甘く見るな』だって。それじゃあ、デビルお願いね〜」
デビルをマキュアに預けてコアはエイリア学園を後にした。
それにしても・・・そろそろ消えるかもな〜、コアも。
その時のコアはまだ知らなかった、コアが感じていた金属音に似た音、それは・・・皐月の人格を閉じ込めてしまう破滅への1歩なのだと・・・。
〜皐月視点〜
翌朝、デザーム達イプシロンとの試合の日がやって来た。
あぁ〜、ヤバイ眠いよ。
俺は大きな欠伸をしながら、イプシロンが来るのを待った。
今回は俺は試合に出ない、つまりマネージャー仕事をやると言う事だ。
「どうしたの?恋姫さん」
「眠いんだよ、昨日あんまり疲れが取れなかったから。それより・・・来た様だよ」
俺の一言に雷門の空気は一瞬にして変わった。
俺達の目の前にイプシロンが現れる。
「時が来た、10日もやったのだ。どれだけ強くなったか・・・見せて貰うぞ!」
2度目のイプシロン戦・・・この試合の結果はどうなるんだろう?そうして、俺達が連れて来られたのは修練場の地下にあるグラウンドだ、ここでは特訓で鍛え上げられた子達が試合で使っていたりとしていた。
「やっぱりここは・・・エイリア学園の・・・」
拠点ですよ、夏未さん。
俺は心の中でそう言い、今日は珍しくベンチで観戦しようと思う。
そんな話をしている間にデザーム達イプシロンはテレビ中継を始めた、人間共にエイリア学園の力を見せつける時が来たとそう言って・・・。
何故だか・・・それはやってはいけないと心の奥底から思えてしまった。
俺・・・変わってんじゃないの?雷門に入って・・・、雷門が正しいと思えてしまう。
「恋姫先輩、顔色悪いですよ。気分でも悪いんですか?」
「え!そう・・・見えてた?」
「はい、すっごい気分悪そうですよ。キャラバンで休んでおきますか?」
「大丈夫だよ。皆の試合を見ないで休むのは嫌なんだ」
本当は嘘だ、デザーム・・・治兄さん達の様子が見たいだけ。
そう言えば・・・デザーム達が来る時はデビルどうしてるんだろう?ヒロト達にでも預けてるのかな?俺はそう考えを過らせながら、浦辺も入った試合が始まった。
続く
第44話パワーアップ〜皐月視点〜
本当に凄い、円堂守達はこの1週間という短い期間でめまぐるしい成長を遂げている。
ゼルのガニメデプロトンを前は3人がかりでしか止められなかったのに、今じゃあ円堂守のマジン・ザ・ハンド1人がかりで止められている。
その様子を見ていたデザームを除いたイプシロンの皆は目を丸くし、驚いていた。
いや、一番驚いていたのはガニメデプロトンを打ったゼルであろう。
そして、円堂守が止めたボールは浦辺へ。
「聞いたで、あんたら・・・悪い奴らなんやってな。うちがお仕置きしたる!『ローズスプラッシュ』!」
浦辺のシュート態勢かと思っていたら、浦辺はニヤッと不敵な笑みを浮かべた。
「な〜んてな!ダーリン!」
へえ〜、浦辺って案外やるじゃん。
そして、一之瀬は次々とイプシロンの子達を抜かしていく。
「鬼道!」
「「ツインブースト!!」」
一之瀬と鬼道の連携技、デザームはそれを難なく受け止めた。
イプシロンの子達はニヤッと不敵な笑みを浮かべるが、デザームは少し足元を退け見ると、フィールドに少々踏ん張った足跡があった、それに不敵な笑みを浮かべていたイプシロンの子達はまたもや目を見開いていた。
デザームがどうして“10日の猶予”を与えたのかを一番理解していなかったゼルもイプシロンの子達と同様その意味を理解していた。
「イプシロンを率いる貴方が何故ッ!」
「最高だ・・・」
デザームの小さな呟きを俺は聞き逃さなかった、この試合で・・・いや、デザームは初めて雷門と試合を挑んだ日、雷門の皆に興味を持ったのかもしれない。
そして、試合と言えば激戦を目の前で繰り広げられていた。
イプシロンがシュートを打てば円堂守が止め、雷門がシュートを打てばデザームが止める。
「そうだ!この血が沸き立つような感覚こそが私が求めていたものだ!!」
デザームがあんな生き生きと輝いている見るのは久しぶりだった。
コアの時はそんなに楽しいとは感じなかった、でも・・・いざ雷門に入って一緒にサッカーをやったら楽しくて自分がエイリア学園側の者だって忘れてしまうぐらい楽しい物なのだ。
最初こそは何だろうなこの気持ちとしか思っていなかった、けど・・・試合に出る度に分かった。
(この気持ちは・・・“あの時”と同じ気持ちなんだって!)
ペースが雷門へと流れ始めたその時だ。
「いつまで守ってんだよ!!」
吹雪がアツヤへと変わった。
鬼道の声も聞こえない程、アツヤは前回自分の技を止めたデザームの事で我を忘れている。
たっく、吹雪の静止声も聞こえなかったのかな?アツヤは・・・。
「完璧じゃきゃ、俺は居る意味がねぇ!!」
完璧・・・。
アツヤの前にイプシロンのディフェンス陣が止めに入るが、デザームがディフェンス陣を退かせた。
まるでアツヤは自分の獲物の様に・・・。
「ふざけるな!喰らえ!『エターナルブリザード』!」
アツヤのエターナルブリザードがデザームの居るゴールに向かう。
「待っていたぞ!このシュート・・・あれだけの遠距離から打って、あれだけのパワーこれぐらいからだったらどれだけ強烈か!!『ワームホール』」
デザームがついに必殺技を放った。
エターナルブリザードはワームホールに吸い込まれ、デザームに止められた。
雷門ではあの距離からエターナルブリザードを止めた事が衝撃で開いた口が閉まっていなかった。
アツヤも目を見開き驚いている、これで2度もエターナルブリザードが止められたんだ、仕方ないよな。
「もっとだ!もっと・・・もっと私を楽しませるのだ!」
デザームの目が一瞬だけだったサッカーを楽しんでいたあの時の治兄さんに見えた。
続く
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜ガゼル視点〜
私は今、エイリア学園を少し離れてある町でアイスの買い物を済ませ終わった所だが・・・雨が降っていた。
そう言えば、エイリア学園に出る前にアイキューが雨が降りそうだから傘を持って行った方が良いと言っていたな、ちゃんと聞いておけば良かった。
今更悔やんでも後の祭りだ、私はさっき入ったコンビニに戻り、金の無駄だが濡れるのは嫌なので安いビニール傘を買って、雨の降る町を歩いていた。
(はあ〜、雨も少しずつだが強くなってきてるな)
私がそう思って人の居ない路地裏に入ると、路地裏の壁に凭れて座っている子を見つけた。
その子は私に気が付くと、ガゼル?と首を傾げて聞いてきた。
この声・・・間違いなくコアだ、コアと言うのは私と同じエイリア学園の一人でありマスターランクの一人である。
まあ、私の苦手対象の一人だが飼い猫である黒猫のデビルに見せる年相応の幼い表情を見せる。
あまり憎まれ口を叩かなければ、可愛らしい女の子だ。
「コアじゃないか、何してるんだ?」
「別に・・・ただ、バーンと喧嘩しただけ」
「またか・・・。まあ、いつもの事だろ。ッ!」
「何?」
「べ・・・別に!帰るぞ!」
此奴は女だと言う自覚はないのか!私が何故驚いたのかと言うと、今、コアの服はびしょ濡れでいつも着ている猫耳のフードはデビルに被せていて、白いシャツが透けてしまっているのだ。
つまり・・・下着が見えるのだ。
エイリア学園に帰って来ると、とても明るくコアを見れば一層下着が見えてしまう。
「一度私の部屋に来い、服は・・・ジャージを貸してやる」
「・・・ありがとう」
いつもお礼も言わないコアがお礼を言うなんて珍しい。
後言っておくが、私やコアは宇宙人のフリをしている。
いや、エイリア学園に通う全ての者が宇宙人のフリをしている、もちろんガゼルやコアと言う名前もエイリアネームだ。
コアの本名は死神屋皐月で、私の本名は涼野風介だ。
「ほら、シャワー室も貸してやるから入ってきなよ」
「うん・・・」
「(随分しをらしいな)ジャージは近くの置いておくぞ」
「分かった・・・」
本当にバーンと何の喧嘩をしたんだ、こいつは・・・。
私はそう思いながら、ジャージを置いて行くついでにデビルの体も拭こうとタオルも持って行く。
私がタオルを持ってデビルの体を拭こうとするが、私に威嚇をして来て今はデビルと攻防戦だ。
「全く・・・「ガゼル、どうしたの?」あぁ、コアか。デビルの体も濡れているから拭こうと思ったんだが、威嚇をしてくるんだ」
ちょうどシャワー室から出て来たコアに言うと、コアはデビルを抱いて濡れて毛並みを撫でていた。
「今なら拭けるよ、拭いて見て」
「あ・・・あぁ」
コアに言われて大人しくしているデビルを拭いてみると、先程とは打って変わって大人しくしているではないか、こいつは誰に似たんだか・・・まあ、飼い主のコアだろう。
「もう大丈夫だよ。ありがとう」
「いや、私の気まぐれだ。それより・・・」
「何?」
「君の髪の毛も乾かしてあげるよ、そのまま帰ったら風邪を引くぞ」
コアは別に風邪は引かないと言うけれど、それで風邪を引けば私に罪悪感が押し寄せてくる。
私は半ば強制的にコアを座らせ、コアが持っていたタオルで髪の毛を拭く。
時々見るコアの毛先の金髪とグラデーションの様になっている緑色のロングヘアの髪の毛が綺麗に見えた。
「ねえ、ガゼル」
「何だ?」
「いつも冷たいのにどうして今日は優しいの?」
「は?いや・・・ただの気まぐれだ」
さっきの一瞬の間は何だったのだろう?私はそう思えた。
「そう・・・」
そして、コアの儚い笑顔に私の心は痛く締め付けられた。
続く
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜皐月視点〜
俺は只今、コアの人格ではなく皐月の人格で廊下を歩いていた。
今日は特別にコアが人格を出していいとくれたから嬉しいのだ、それにしても・・・エイリア学園ってこうなってるんだ!エイリア学園内部の構造は初めて見たから、ドキドキするよ!俺は興味本位でキョロキョロと辺りを見回していると、見覚えのある人物が見えた。
「あ!ゼル」
「ん?あ!コア様」
ゼルの本名は瀬方隆一郎でお日さま園の時は何かとよく勝負をしては瀬方が全敗していた。
まあ、エイリア学園の瀬方を見るのは初めてだけど・・・変わったな、うん。
それとコアにならないと!俺はそう思って、コアがいつも振る舞っているようにする。
「どうしたの?元気ないね」
「あぁ・・・それがさっき・・・練習でミスしてしまって、デザーム様に怒られてしまったんです」
「そうなんだ、でも、ゼルなら練習でミスした所もすぐ直せるよ!コアはそう思うよ」
俺がそう言うと瀬方はそうですかねと少し考え込むような顔をしながらも、コア様が言ったならそうかもしれませんねと笑顔で言い、何故かお礼を言って足早と去って行った。
「コアの真似・・・大変だよ」
そう言えば、コアの服変わってない。
デビルがさっきから肩に乗らないと思ったら、服が違うからかと思ったが理由はそこではなくてダイヤモンドダストのジャージを着ていたから、そういやコアってばバーンと喧嘩して飛び出したら雨が降って、路地裏に居たらガゼルと会ったんだ。
「ガゼルが貸してくれたのかな?」
俺が見ていると、あーーー!!と大きな声が聞こえ振り向くと運悪くアイシーつまり凍地愛に見つかった。
「何でコアがダイヤモンドダストのジャージ着てるのよ!」
いや〜、俺に聞かれても困りますし・・・そう思っているとデビルがにゃ〜〜!!と威嚇の声を上げ、愛を見ていた。
愛にとってはそれは効果なしですよ、デビル。
そう俺が思っていると、何故か愛はビビりながら何の用よ!とデビルに怒っていた。
俺が困り果てていると何の騒ぎだと聞いた事ある声が聞こえた。
「ガゼル様!」
「何の騒ぎだ、アイシー」
うわ、完全に目が怖い。
「あ、えっと〜「それがデビルと喧嘩してたんだよ。コアが注意してなかったから」
「そうなのか、分かった」
ん?それより何でガゼル顔真っ赤にしたんだ?俺は不思議に思いながら、ガゼルの後姿を見た。
愛と言えば、どうして自分を庇ったのかと聞いてきたが、俺はコア風にただの気まぐれだよと言って自分の部屋に向かった。
〜自室〜
どうしよう・・・服をガゼルの部屋に忘れて来ちゃった・・・。
さっき居た時気が付けばよかったよ〜〜〜!俺は一人後悔していると、コンコンとノックの音が聞こえた。
誰だろうと思い、ドアを開けるとそこにはガゼルが居た、片手を見やると濡れている俺の服とブラを忘れていた、恥ずい・・・。
「どうしたの?ガゼル」
「私の部屋に君の服と・・・「ブラだよね。ごめん」あ、いや、私もさっき気が付いたんだ」
うわ・・・気まずい。
「ありがとう、ガゼル」
「あぁ、今度は気を付けろ。それと、バーンとは仲直りはしておけ」
「うん」
と言うか、本当にガゼルなんで顔が真っ赤なんだろう?俺はガゼルと別れ、部屋の電気をつけ服を乾かしに洗い場の方へ向かった。
ふと洗い場の鏡を見れば、俺の顔は真っ赤だった・・・。
妙にガゼルの笑った顔を思い出すのは何故なのかな?胸がドキドキするのは何故だろう?俺はただそんな不思議な思いを持ちながら、服を乾かした。
続く
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜バーン視点〜
やべ〜、昨日の喧嘩の事は俺から謝った方が良いのか?でも、コアも悪いよな?と言うか、コアがあんな事言わなきゃ喧嘩にならず済んだ筈だ。
俺は昨日の喧嘩の事を思い出しながらプロミネンスの会議室に向かう、そりゃデビルを投げ渡した事は悪かったって思えるけど、コアが俺のチームメイトを傷つける言い方をしたのも原因だ、俺ならまだそんな傷つける言い方も言い返せるけど、あいつらにとっちゃコアは上司みたいなものだ。
「はあ〜」
コアと喧嘩するのは毎度の事だが、こんな長い喧嘩は初めてだ。
いつもなら、俺から謝るが今回の喧嘩ばかりはコアが謝るまで俺も謝れない。
「あ、おはようバーン。皆もう集まってるよ」
幼馴染のヒートに昨日こってりコアと一緒に説教された、まあ、説教終わった後コアはエイリア学園を飛び出したらしいけど・・・。
そういや、昨日の夕飯の時も顔出してなかったよな。
「おう、はあ〜」
「その様子だとまだ仲直り出来てないの?あ、そう言えばコア様が俺たち全員に用があるから会議室に居るよ。・・・その露骨に会いたくないって顔は本人目の前でやらない方が・・・」
そりゃ昨日喧嘩した後、昨日顔なんか一つも会わせなかった奴が急に居るとなるとそんな顔もするわ。
憂鬱だな・・・、俺はヒートに続いて会議室に入ると入り口のドアの横で壁に凭れているコアが居た。
顔からして『いつまで待たしてんだ、お前本当にキャプテンか?』と言われている様な気がする、いや、絶対言われてる。
「よぉ」
「おはよう」
長い沈黙にオロオロし出し始めた俺のチームメイト。
俺が何しに来たのか言おうとした時、コアの口から驚いた言葉が飛び出た。
「昨日は言い過ぎた、ごめん」
「「「は???」」」
全員の間抜けな声が会議室に響き渡る。
「今・・・なんて・・・」
「聞こえなかった?ごめんってコアは言ったの」
相変わらずの憎まれ口に上から目線で謝った事を述べるコアに一体どうしたのかと思ってしまう。
昨日悪いもんでも食ったのかと考えたが、コアはそれを察したのか何も悪い物は食べてないと不機嫌な様子でそう言い放った、何か悪い・・・。
「それじゃあ、用はそれだけ。じゃあね」
「あ、おい!・・・行っちまった」
「どうしたのかな?いつもバーンが謝りに行くのに・・・、何かあったの?バーン」
「俺に聞かれても・・・」
世の中不思議な事もあるんだな、本当。
俺はそう納得しながら会議をやった。
会議が終わって、俺は廊下を歩いていると、グランがやって来た。
「あ、バーン。コア見てないかな?」
「コアなら見てねぇぞ。どうしたんだ?」
「それが急にガイアと試合する事になったんだけど・・・コアが見つからなくて」
「ふ〜ん、そういや今日のコアどっか様子が変だったぜ?俺に謝って来たし」
俺がそう言うと、グランは呆れ返った様な顔でまた喧嘩したんだねとクソムカつく様に言った。
悪かったな!よく喧嘩して!俺は心の中で毒吐きながら、嫌々グランとコアを探す事になった。
「あ、コア居た!コア〜」
「ん?バーンとグランじゃない?コアに何の用」
相変わらずの上から目線で聞くな、おい。
グランは急に試合が決まった事を話しており、俺は部屋に戻ろうとした時にコアの肩にいつも居る筈のデビルが居ないではないか。
「おい、デビルは?」
「え?・・・ガゼルの所に行った」
ガゼル?何で?俺の頭の上で?マークが踊る。
だって、デビルってコア以外懐かねぇしコアに近づく奴は容赦なく引っ掻くしグランやガゼルや俺を見つけるなり理由もなく引っ掻くと言うこれまたコアに似た猫だ。
でも・・・何でガゼルの所に居るんだ?本当、世の中不思議だわ。
続く
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜グラン視点〜
コアとの試合がやっと終わり、やはりコアが勝った。
コアは当たり前の様な素振りでガイアのグラウンドを後にしていた、それにしてもデビルが居ない事には驚いたな〜、いつもコアの傍から離れないデビルがガゼルの所に居るなんて・・・俺達にも懐いて欲しいよ。
ウルビダ達と別れて自室に戻ろうとした時、試合の観戦場が出来る部屋からガゼルが出て来るのが見えた。
足元に目をやれば、デビルが歩いている。
「やあ、ガゼル」
「何だ、君か・・・」
相変わらず冷めた態度を取るな〜。
デビルも俺に気が付くとツンッとした態度で俺を見ていた、それも欠伸して。
「別に声を掛けただけよ。珍しいね、デビルがガゼルと居るなんて」
「今日の朝・・・私の部屋の前に居ただけだ。こいつの気まぐれで私の傍にいるだけだろう」
本当、ガゼルもコアも嘘が上手だよ。
俺は知ってるんだけどな〜。
「それ・・・嘘だろ?今日の朝にコアがガゼルと話してるの見たから」
「ッ!」
「あ、図星?」
それにガゼルもコアとあんな楽しく話すわけないからな〜、いつも淡々と話したらすぐに自分の部屋で作戦を立ててる事も多いから・・・。
ガゼルは俺に図星を衝かれると、すぐに顔を真っ赤にして俺を睨む。
顔を赤くなせながら睨まれても・・・気迫とか全然感じないよ。
「まあ、俺もとやかく言わないけど・・・恋する事だけはやめといた方が良いよ?俺達、今は“敵”なんだからさ」
「ッ!貴様に言われなくても、分かっている!!」
あらら、俺も少しやり過ぎちゃったかな?俺は怒りながら何処かへ行くガゼルを見ながら、自室へと向かった。
それにしても・・・一応コアにも忠告しておいた方がいいかな?・・・別にいっか、ガゼルから言ってくれれば俺も少しは手間が省けるしね。
「あんたも趣味ワリィな」
「あはは、バーン程じゃないよ。バーンもさっきコアに忠告して来たんだろ?ガゼルに任せればいいのに」
「そのおかげでまた喧嘩しちまったじゃねぇか。どうしてくれんだよ」
「え?俺が悪いの?」
俺達はそんな会話をしながら廊下の奥へと消えて行った。
え?いつバーンがコアに忠告したのかって?それはね、俺達と試合を始める前さ。
コアったら、物凄い怒鳴り声出してたよ。
あれは俺も驚いちゃったな、本当大人ぶってる二人は嘘も誤魔化しも下手なんだか上手なんだか・・・。
続く
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜ガゼル視点〜
「チッ!」
これで何回目の舌打ちだろう?グランと別れてからずっとしている様な気がする、デビルもこちらが不機嫌なのを分かってか私の隣でただ歩いていた。
別にコアに恋愛感情を持った覚えは・・・ない筈だ、こう言う時の答えが曖昧なのが自分でもイラッて来る。
「はあ〜、部屋に戻るか。君は、コアの部屋に返しに行くか」
私がデビルを抱くとデビルは驚きなのか放してくれと言う様にジタバタと暴れ出した。
そう言えば、デビルは急に担がれたり抱かれたりすると驚いて暴れ出すとか最も酷いのは引っ掻くらしい。
さっきのは私が悪かったな。
私がデビルを降ろすとデビルは何かを感じ取ったと言うより何かの気配を感じたのかダッとその感じた場所に走る。
私も後を追っていくと、見覚えのある人物が居た。
デビルはその人物に飛びついた、その人物は驚いたがやったのがデビルだと分かると、花のような笑みでデビルの頭を撫でていた。
「コア・・・」
「ガゼル・・・」
沈黙が続く。
グランに会って、あんな事言われた私にとっては今は気まずい状況だ。
コアも何もない素振りを見せているが、目が完全に私と合わせていない。
コアもグランに何か言われたのだろうか?コアの様子から見て私はそう思った、それよりこの状況はどっちかが喋らないと帰れない状況なのか・・・。
「「・・・・・・」」
「にゃ〜〜」
空気を読む事は出来ないのか・・・この猫は・・・。
「あ、えっと・・・」
コアが喋ろうとするが会話が見つからないのか歯切れが悪い。
私も多分喋ろうとしてもコアみたいに歯切れの悪い言い方しかできない。
「また会議でね」
「あ・・・あぁ」
気まずい状況の中そんな会話だけを交わして自室に戻って行った。
私は部屋に入るなり何故か知らないが体がものすごく疲れ、ベッドで横になる。
何もしてないのにこの疲れは何なんだ?まだ試合をしていたコアやガイアなら分かる、何故私はこんなに疲れているんだ?私が瞼を閉じると思い浮かぶのはあの時コアが見せた儚げな笑顔だった。
それに胸が痛くまた締め付けられた。
「変な奴・・・」
一体誰に向かって言っているのか?私が呟いた言葉は虚しくも誰も受け止めてくれない。
と言っても、部屋には私一人だけだ。
本当変な奴だ・・・私はそう思いながら、また瞼を閉じた。
続く
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜ガゼル視点〜
私が目を覚ました時には、もう夕方になっていた。
今日はダイヤモンドダストの試合予定や練習予定が無くて安心した、もう少し寝てたい気持ちがあるがこれ以上寝たら夜の時に眠れなくなる、私は一つ背伸びをして部屋を出る。
すると、ドアの前に居たのはコアの飼い猫のデビルだ。
「どうしたんだ?」
「にゃ〜」
・・・・分からない。
コアはどうやってデビルの言葉を分かっているのだろうか?部屋の外でバカやってしまった。
私はそんなバカな事で落ち込んでいると、デビルの首輪に紙が挟まってあった。
コアからだ、コアは自分から手紙などを持って行くのは絶対にない。
だから、手紙を持って行く係がデビルだ、何故かデビルがパシリに見せるのは気のせいとしておこう。
紙を取り広げると、顔色が悪かったが大丈夫なのか?と言う心配した様子を見せた手紙だった。
コアが心配するなんて珍しいな・・・。
「私は大丈夫だ、コアにそう言っておいてくれないか?」
「にゃ〜」
デビルは承知したのかすぐに廊下の奥へと消えてしまった。
私はもうすぐ夕食の為、食堂に向かう。
食堂に行けば、プロミネンスと私のチームであるダイヤモンドダストが喧嘩をしていた。
何か・・・良い眠気覚ましになったな。
プロミネンスの近くを見れば、バーンは机に突っ伏して・・・寝ている。
叩き起こそうかと思ったが、叩き起こして文句を言われたらますますめんどくさい状況になるだろう。
(どうしたものか・・・)
大きな溜息を吐きながら私はいつもの場所へ座り、いつまで続くかも分からない喧嘩を眺めた。
それにしても・・・いつも喧嘩を止めようとしているヒートとアイキューの苦労が分かる様な気が・・・いや、まあ、私とバーンの喧嘩が元凶なのだがな、あの二人が苦労したのは・・・。
そう考えていると、うるさいと声が聞こえ、振り返ればコアが眠そうな顔で立っている。
「何今度は?廊下の奥からでも怒鳴り声が聞こえた」
コアはそう言うといつもの場所に座り、コテンと寝てしまった。
可愛いな・・・。
そして、全員が集まるのと同時に夕食の時間になった。
未だに寝ているコアを起こそうと奮闘しているデビル、何故だろうか?エイリア学園に入る前の皐月と皆月みたいだ、皆月と言うのはコア・・・皐月の妹だ。
「ふぅ〜、世話のかかる飼い主だな」
「いつもの事だろ?あぁ、ねみぃ〜」
バーンは私が叩き起こしておいた。
と言うか、そろそろ本当に起こさないと被害が私達にまで及びそうなのだが・・・。
「ガゼル起こして来たら?」
「何故私だ、貴様が起こしに行けばいいだろ」
「だってよぉ〜・・・」
バーンがご飯を食べながら、隣の席を指差す。
デビルがずっと私を見ているではないか、これ・・・私が被害に及ぶのではないか!コアを起こすと、大抵殴られる奴らが続出する、何故かデビルの時だけ殴らないのだ。
その為、誰もがコアを起こすのを嫌がる。
「私が起こすのか?」
「それしかないよ、俺達は殴られたくないもん」
それは私だけなら殴られても構わないと言っているのか?アイキューか誰かに助けを求めようとするが、此処でチームを巻き込みたくないので仕方なく起こす事に。
「おい、コア」
「ZZZZZ・・・・」
「おい!コア!!」
「ふえ!!あ、ガゼルか」
あ、ガゼルかじゃない!何で私が叫ぶと起きるんだ!コアと言えば、まだ寝たいと呟きながらデビルの夕食であろうか煮干しと水をあげ、コアは食事をとりに行った。
はあ〜、今日は疲れるな、うん。
続く
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜ガゼル視点〜
夕食もなんやかんやで終わり、入浴やら自主練習やら自分達の好きな事をやっている。
私と言えば先程自主練を終えて、部屋に戻る最中だ。
「ふぅ〜、部屋に帰ったら風呂にでも入りに行くか。ん?」
私は先程見えた毛先の金髪を目で追った、確かあの先は・・・関係者以外立ち入り禁止の屋上に繋がる階段だった筈だ。
私達マスターランクもあまり出入りできない場所だが・・・、さっきのは間違いなくコアだが他に金髪の奴と言えばボンバしか思いつかないが、ボンバはさっき浴場の方へ行ったのは私は憶えている。
じゃあ・・・やっぱりコアか?コーマの可能性もあるが、コーマは立ち入り禁止と書かれた場所には絶対に行かない、お日さま園の頃から見てきた私なら言える事だ。
「まさか・・・な・・・」
自分で納得しようとした時、にゃ〜と猫の鳴き声と言っても猫を飼ってるのはコアだけなのでデビルなのだがデビルの顔からして『退け』と言われた気がした。
私は一歩退くと、デビルは私が見ていた階段を登って行った。
「デビルが行ったと言う事はやっぱり・・・」
さっきのはやっぱりコアか・・・、だが何か用事でもあるのか?そう考えていると、私の名前を呼ばれた。
振り向けば何処に行っていたのか分からないがグランが居た。
今日で何度目だ?こいつに会ったのは・・・。
「どうしたの?此処って来ちゃ行けない場所だろ?」
「それが・・・デビルがこの階段を登って行ったんだよ。まさかと思うが、コアが登って行ったんじゃないかと思うんだが・・・」
「あぁ、ガゼル知らないの?コアってよく屋上を出入りしてるんだよ。何しに行ったのか聞けば、関係ないでしょ?って言ってばかりだし、ウルビダも呆れて今は聞いてないよ」
「ふ〜ん」
ウルビダも呆れる程か・・・。
私はグランの話を聞きながら、横目で階段の方を見やる。
「ガゼル・・・聞いてる?」
「あ、悪い。何だ?」
「酷いな〜!まあ、気になるのも無理ないけど・・・今回は俺が目を瞑ってあげる。父さんに聞かれたら俺が何とか誤魔化すし、バーンにも協力はして貰うよ」
私は少し驚いたが今回ばかりはお礼を言っておいた、それより・・・何でバーンが出たんだ?私が疑問を持っていると、ザッと靴の音が聞こえ、私の後ろを振り返った。
そこには盗み聞きをしてたであろうバーンが居る。
こいつ・・・、私は大きな溜息を吐きながら、バーンを見る。
「バーンってば、盗み聞きは良くないよ?」
「う・・・うるせぇな!あんたもしてた癖に!」
バーンの文句を聞き流していると、屋上から微かに草笛の音が聞こえた。
それにはグランもバーンも静かになり、誰も口を開かずただ音を聞いていた。
「ガゼル、早く見て来てよ」
「そうだぜ」
二人に背中を押され、半ば強制的に階段を登らされる。
それにしても・・・登って行くと段々暗くなって行く。
猫は夜行性だから、この時ばかりだけデビルが羨ましく思えた。
やっと屋上のドアに着き、私はドアノブに手を掛けドアを開けるとそこには大勢の鳥とその鳥の目の前で草笛を吹くコアとその音色を安らかに聞いているデビルが居た。
まるで森のコンサートそのものだった。
「〜♪・・・。あれ?ガゼル」
「すまないね、途中から聞いていたよ」
久しぶりにフードを取ったコア・・・皐月を見た。
その姿を見ると、トクンと胸が脈打った。
続く
作者の心境
も・・・もうすぐだ
恋花2輪目私が恋焦がれてしまったのは黒猫の少女〜ガゼル視点〜
鳥たちは私の存在に気が付くとバサバサッと一斉に逃げて行った。
デビルも私の存在に気が付くと、何故か気を遣ってコアの隣を開けてくれた。
私はそこに行くと、デビルはご機嫌な様子で私の足元で頬をスリスリさせた、なんて言うかくすぐったいな。
「ガゼル、何でこんな所来てるの?此処、関係者以外立ち入り禁止だよ?」
「それを言うならコアもだろう」
私が言うと、コアは自分は父さんに許可を貰って此処に来ているのだと言う。
どうやらデビルが此処によく通っているらしく気が付いた時には、コア自身もよく通っていたのだと言う。
私がコアを見ていると、フワッと風がやって来た、それもとても優しい風が・・・。
涼しいと私が思っていると、コアは今日も吹いたと嬉しそうに言った。
「今日も?」
「此処の風は気まぐれでね、俺も気に入ってる風なんだよ」
「やっと話せた様な気がする、皐月と・・・」
私が言うと、コア・・・皐月は『あ!』と呟き苦笑いを零した。
本人にとってはコアは演技みたいな物なのだ。
「あのさ・・・皐月になった事は・・・」
「知ってる、内緒にしておくんだろ?・・・君に相談していいかな?」
「何を?」
「君って恋愛感情とかあるのかい?」
私がそう聞くと、皐月は顔を真っ赤にして口を金魚みたいにパクパクさせた。
「してるに決まってるだろ!それで何だよ・・・」
「いや、私も最近好きになった子が居るんだよ。少しお転婆だが」
「へえ〜、俺も最近好きになった奴なら居るぜ?その子はさ、いつも冷たい癖にすっごい優しくてサッカーが大好きな奴!」
皐月は私を見てそう言うと、ニコッと満面な笑みを浮かべた。
私かも分からない人物の事なのに私は顔を真っ赤にした。
でも・・・皐月は私の好きな人の事、分かってくれたかな?その相手が目の前に居るのに・・・。
私と皐月はお互い顔を見合わせてクスッと笑うと夜空に浮かぶ満月を見上げた、そして・・・私と皐月が付き合う事になるのはもうちょっと先の未来の話・・・。
終わり
作者の心境
やっと終わった・・・。←ネタで力尽きた