オリキャラ紹介
死神屋 皐月(女)/コア
黒猫のデビルを連れた自由気ままな少女。
エイリアの姫君と最強の少女として知られている。
他人の怒りに触れるような言い方をしてしまう為、マスターランク三チームに嫌われている。
妹の皆月が雷門に居る。
容姿・特徴
・緑色のロングヘアに髪の毛の先が金髪。
・
季節編HAPPY HALLOWEEN!〜コア視点〜
「トリック・オア・トリート」
急に狼男の仮装をしているガゼルがそんな事を言って来た、?マークが出る。
いやいや急に何だ、そして、なんだその手は・・・。
コアは疑心しながらガゼルと差し出されているガゼルの手を見る。
「何?急に・・・」
「お菓子」
「は?」
「君の耳は悪いのか?お菓子をくれと言ったんだ」
其処は聞き取れてます、コアが知りたいのは何故お菓子をくれと言っているのかだ。
「ごめん、今持ってない」
「そうか・・・なら、悪戯だな」
「悪戯って何するの?」
コアがそう言うと、ガゼルは急に抱き着いてきた。
急な事でコアの思考回路は追いついていない、此処が廊下で本当に良かった、食堂とか皆が居る場所でやったら1ヶ月は絶対ネタにされる。
「悪戯・・・」
「悪戯にしては軽くない?」
「皐月に戻ったな」
「あ、バレた?」
〜皐月視点〜
「と言うか、急に抱き着くな!びっくりするわ!」
俺はアリスみたいな服を着ながらくっ付いてる風介を見る、風介はお菓子をくれるまで離れないと断言した。
あのクララ達を敵に回すのでやめてくれないか?本当に・・・。
「お菓子欲しいの?」
「あぁ・・・、君が作った奴」
「何で知ってんだよ!」
「毎晩毎晩お菓子を作って居ればバレるに決まってるだろう」
風介はそう言うと、俺の服を掴みながらトコトコと歩く。
そう言えば、小さい頃から風介は俺にくっ付いていたっけ?理由を聞けば、離れたくないからと言う理由らしい。
「可愛いな、その仮装」
「バーンと同じなのが気に食わないが」
「いいじゃん、風介も気に入ってんでしょ?」
「うん・・・」
俺に寄りかかって来る風介の頭を撫でてやると、風介は嬉しそうな顔をしてさらに寄りかかって来た。
たっく・・・いつまで経っても風介は風介だな、風介は周りには冷静を装っているが本当は寂しがり屋で俺と居る時だけ甘えたりとしている。
これもその一つだ・・・、まあ、俺にしては別にいいんだけどね。
弟が出来たみたいで妹はいるけど・・・。
「可愛い弟みたい」
「私は君と同い年だ」
「あはは、ごめんって。拗ねんなって」
俺はポンポンと風介の頭を軽く叩く。
ムッとした風介は急に止まったかと思うと、俺の首に顔を埋めて来た。
その瞬間に何かチクッとした痛みがしたが、その痛みもすぐに消えた。
風介は俺から少し離れると急に絆創膏を出すは、俺の首筋に貼って来た。
「急にどうしたんだ?」
「絶対絆創膏を捲るな、いいな?」
「はいはい」
でも、これこそが風介のトリック・オア・トリートかもしれない。
だって・・・絆創膏を貼った理由は風介のキスマークがついているから、それを知るのは風介と俺だけ。
続く
季節編HAPPY HALLOWEEN!〜皐月視点〜
「ハロウィンも大詰めだな、そろそろ」
俺は部屋に籠りながらそう言った、膝を見れば膝の所で丸くなって眠っている魔女の帽子とマントで仮装しているデビルがぐっすりと眠っている。
ふぅ〜、体がクタクタだよ・・・。
俺はデビルを猫用のベッドに置いて、自分もベッドに寝ようとした時だ。
「皐月〜」
「んだよ、ネッパー」
「何やってんだよ?姿がないから探したぜ」
「俺寝る」
「早ッ!」
俺が布団を被ろうとした時、簡単に剥ぎ取られた。
この野郎・・・、俺はジトッとした目を親友である夏彦を見る。
「たっく、まあいいや。俺も疲れたし」
「って言うか何で俺の部屋で寝んだよ、意味分からん」
「減るもんじゃねぇだろ、あ、言い忘れてた」
「何を?」
「ほれ」
夏彦は無愛想な顔をしながら投げ渡して来たのは、板チョコ。
こいつ・・・何でチョコなんか持ってるんだよ?俺が不思議に思っていると、ハロウィンだからかと納得した、だって夏彦がこうやって誰かにあげるのって珍しいんだよな〜。
「あ、美味い」
「太「あ”ぁん?」悪い」
「なら、俺もあげるよ。ハッピーハロウィン」
「お前が言えば寒「何か?」何も」
俺は所々のネッパーの言葉を遮って、ポッキーをやる。
チョコ味ですけどね、本来なら悪戯も仕掛けたいですがねお菓子貰ったからさ。
「そうだ」
「何だよ、今度は」
「時期は早ぇけど、ポッキーゲームしないか?」
「ぶッ!!ふざけんなッ、んな恥ずかしいゲーム誰が!!」
「あ、棄権なら俺の命令に従って貰うからな」
「はあ!?」
ぜってーそれは嫌だ、と言う事で売り言葉に買い言葉で俺は夏彦と時期が早いポッキーゲームをする事に。
後、誰か来るのは嫌だからドアをロックしておく。
「本当にやんのか?」
「今更やめんのかよ「やめねぇよ!」そうこなくっちゃな」
お互い端をかじるとゲームはスタートなのだが、俺は一向に進めてない、いや進められない。
だってさ、あれだよ?夏彦の顔が目の前にあるんだよ?夏彦それを余所にサクサクと言う音共に進んでいる。
顔が目の前に来るとさすがの俺でもびっくりして、ポッキーを離す。
「はい、皐月の負けな」
「あ”!」
「んじゃ、悪戯って訳で・・・」
「な・・・!その服は絶対着ないからな!!」
「さっきポッキーゲームで負けたの誰だっけかな?」
痛い所を衝く夏彦に言い返せない、仕方なく俺は夏彦に手渡された服を見る。
うわ・・・何だこのミニスカートのメイド服、着てみたはいいが凄いスースーする。
「で・・・出来たぞ」
「案外似合ってんな」
「案外は余計!なあ、もう着替えていいか?なんか落ち着かない」
「ん〜、もうちょっと待て!」
「えぇ〜、もう無理ってうわぁ!」
俺の今の現状ですか?夏彦の膝に座っている状況、それもお互い顔が見える。
バンダナで瞳の奥は分からないけど・・・こいつも成長してるんだな〜。
恥ずかしさの余りに俺は夏彦の首に顔を埋める。
「どうしたんだよ?」
「恥ずいんだよ!お前の顔・・・、その・・・真っ直ぐ見てたら」
「ふ〜ん」
夏彦がそう言うと急にまた俺とまた向い合せみたいになってる、もう死にたいんだけど・・・俺。
俺がそう思っている時に、夏彦は俺の耳元で何かを呟き頬にキスを落とした。
『ハッピーハロウィン、皐月』
終わり
第76話忠実なるロボット(コア)〜皆月視点〜
沖縄を離れて稲妻町に向かうキャラバンの中では、お姉ちゃんの話題で沢山だった。
「恋姫先輩、何だか怖かったですね。まるで何もかも捨てたような目もしてました」
春奈ちゃんの言葉に、綱海先輩は確かにと小さく呟いた。
でも、私はそれだけじゃないかった、何だか泣いてる様にも見えた。
そして、やっと稲妻町に着くと円堂先輩は大声で帰って来たぞー!と伝えた。
だけど、此処で問題なのだが綱海先輩をはじめ遠くから来た人もいる。
私はキャラバンの中とかで寝れるけどね、だけど、此処が円堂先輩の良い所でもあるのか皆泊めてやると笑顔で言った。
「皆さん笑顔ですね、?吹雪先輩」
吹雪先輩に話していると、吹雪先輩は何かを感じ取る様に上空を見る。
私も上空を見ようとした時、上から降ってきたボールは水色の閃光を放った、その色は見た事がある。
風介だ・・・。
『雷門イレブンの諸君、我々ダイヤモンドダストはFFスタジアムで待っている。来なければ・・・黒いボールを無作為にこの東京に打ち込む』
(無作為・・・!?)
その言葉を聞いて私の頭の中には黒いボールで東京が滅茶苦茶の姿が浮かぶ。
そして、私達はFFスタジアムに向かった、風介・・・覚悟しててね。
FFスタジアムに着き、私達は姉さんの話を聞いていた。
「相手がどんなチームか、全くの謎よ。どのような攻撃をしてくるか分からない、豪炎寺君、早速だけどFWを任せるわ。死神屋さんはベンチよ」
「「はい!!」」
「豪炎寺君は間違いなくマークされるわ、彼にボールを回す事も大事だけどチャンスがあればどんどんゴールを狙いなさい!」
「「「「はい!!!!」」」」
私は最初ベンチか・・・、まあ、豪炎寺先輩が居れば大丈夫だろう。
私はそう信じる、すると、豪炎寺先輩と目が合いお互い頷き合った。
隣のベンチを見てみるが誰もやって来ない、それには壁山君と目金先輩も話していたが、目金先輩と来たら自分の力に恐れをなしたと胸を張っている、いやいや貴方には多分誰も恐れてませんって。
私が少し呆れていると、あの時と同じ水色の閃光が放たれる。
「フッ」
「「ひぃぃぃぃ!!」」
今更驚く壁山君と目金先輩。
「マスターランクチーム『ダイヤモンドダスト』だ」
冷気を発し、そしてチームの誰もが不敵な笑みを浮かべている。
正直に言えば怖い・・・。
「マスターランク・・・やっぱり、恋姫と同じ・・・」
「君達の言う恋姫はそろそろ居なくなる」
風介の発した言葉に私達は?マークを浮かべる、そろそろ居なくなる?どういう意味なんだろう?それには風介も呆れた様子で私達にこう言った。
「言い方が悪かったようだね、君達が言っている倭国恋姫の人格は無くなると言っている。無くなれば、エイリア学園に忠実になる、“人間の感情”に“人格”を捨てるんだからね」
「ッ!どうして・・・どうして、そんな事が出来るんだ!!恋姫はお前達の仲間じゃないのかよ!!」
「仲間?バカな事を言うな、彼女はジェネシスの称号を争う敵でしかない。まあ、それは良いとしよう。円堂守、君に凍てつく闇の冷たさを教えてあげるよ」
「熱いとか冷たいとかどうでもいい!サッカーで町や学校を壊そうとする奴らを俺は許さない!そして、お前達を倒して恋姫を取り戻す!!」
円堂先輩の言葉にダイヤモンドダストの子達はクスクスと笑う、浦辺先輩は何がおかしいのかと大声で言うとクララが口を開く。
「もし、私達が勝ってもコア様は貴方達の所には戻りませんよ。それはイプシロン戦で証明された筈ですがね・・・」
「そういう事だ、まあ、精々頑張る事だね」
風介達はそう言ってベンチに行ってしまう、だけど、風介は私を見るとキッと私を睨んで試合の準備をし始めた、絶対勝って見せる!私はお姉ちゃんを取り戻す!私は心にそう決めた。
続く
第77話現れた神と舞い降りた白猫の舞姫〜コア視点〜
「ふわぁ〜」
コアは観客席に座りながら大きな欠伸をする、バーンとグランからガゼル達ダイヤモンドダストが雷門と試合をすると聞いて、コアは見に来ている。
白猫の舞姫さんは今回はベンチか・・・、案の定吹雪もベンチだしね。
楽しくなさそうな試合だ・・・、まあ、豪炎寺が入ってるだけでもマシか・・・。
「あれ?コア、来てたんだね」
「コアが居て悪い?グラン」
「いや、デビルは寝てるんだね。最近よく寝るね〜、それにしてもガゼルってばさすがだね。」
「あぁ、早い指示に行動。さすがダイヤモンドダストのキャプテンね」
「けっ」
コアの言葉にグランの隣に居るバーンは機嫌を悪くした、あんたもあんたで良いキャプテンだと思うけどね。
ダイヤモンドダストのスピードや行動に惑わされないのは精々コアか白猫の舞姫となった皆月だけ。
皆月がその異名を隠すのには理由がある、まあ皐月もその異名を隠すにはちゃんとした理由がある。
それは『自分達が猫の力を借りないと何もできない』そう思われない為に、自分達が誰かに勝ちたいと思った時しか使わないと約束した。
「つまらん試合だ」
「バーンに同意」
バーンの言葉にコアも同意だ、だってさ、今の流れはダイヤモンドダスト。
つまらな過ぎて欠伸が出そうだ、出たけど・・・。
「どうかな?見ててよ、円堂の熱さが分かるから」
唯一楽しんでるのはグランだけ、円堂の熱さは雷門の潜入時によく見ていた。
だから、知っている。
だから、つまらないのだ。
「きゃあぁぁぁぁぁぁ!」
「!リカ!!」
悲鳴で我に返り、観客席から立つとゴッカのフローズンスティールで足を押さえているリカが目に入った。
リカの元に行きたいけど、行けない・・・。
自分はエイリア学園の者だと明かしたではないか、今更行ってどんな顔をして会えばいいのだろう。
「それが闇の冷たささ」
ガゼルの吐き捨てるような言い方に何故か無性に腹が立った、謝ればいいのにそう心が言っている。
だけど・・・もう遅いんだよ。
試合に目を向ければ、ガゼルのノーマルシュートを塔子と壁山が止めていたが、二人で止めるので精一杯。
コアと戦っていれば、塔子と壁山は大怪我は間違いない。
そして、ボールは観客席に・・・。
「ぇ・・・!」
だけど、ボールはグラウンドへ戻って行く。
同時に誰かが空から華麗に着地する、その人物にコアは見覚えがあった。
そう、FF決勝戦で雷門の対戦校だったキャプテンだ。
「アフロディ・・・」
雷門の皆は驚きで開いた口が塞がっていなかった、それはそうだ、相手は神のアクア使ってサッカーを汚したのだから。
でも、何だろう?初めて見た時より何故か悪い気配が全然ないし、その反対で誰かの助けになりたいと訴えているように見える。
とりあえず、会話を盗み聞きしますか。
「また会えたね、円堂君」
「・・・何し来たんだ?」
いつになく真剣な円堂、あんな円堂を見るのはコアは初めてだ。
それはそうか、試合は見たけど円堂にとっても見ていた人にとっても良い思いでなんて何一つない。
「戦う為に来たのさ、君達と・・・」
「ッ!!」
円堂はアフロディを睨む、だけど、アフロディの言葉から出たのは驚きの言葉だった。
「・・・君達と共に、奴らを倒す!」
「何っ!?」
まあ、びっくりだ。
コアがもしあの場に居たら理由を聞いてたね、うん。
そして、姉さんは足を負傷したリカを交代してFWにアフロディをそして土門に代わって皆月を入れて来た。
だけど、グラウンドに来た皆月の様子が違った。
「出たね、白猫の舞姫さん」
「何か言った?コア」
「べ〜つに!」
見せてよ、君が成長した実力を・・・。
続く
第78話新たな力〜皆月視点〜
私は覚悟を決めた、風介に私の覚悟を見せてやろう。
だから、ずっと嫌っていた異名を使おう、膝に座っているムーンを肩に乗せて姉さんを見る。
「監督・・・私を出させてください!」
「・・・分かりました」
姉さんは私が何をするか理解したのか頷き、土門先輩と代わった。
「頼むぜ、皆月!」
「はい!」
土門先輩と交代し、グラウンドに入る。
風介達を見れば、睨んでいて今にも文句を言われそうな状況だったけど、私は負けない様にニコッと笑い、自分のポジションに就く。
「皆月、ムーンを乗せて大丈夫なのか?」
「はい!大丈夫ですよ!アフロディ先輩、よろしくお願いします!」
「あぁ」
私はポジションに就き、風介を見る。
風介は前髪を弄りながら、アフロディ先輩に向かってこう言い放つ。
「世宇子中の敗北者か・・・、人間に敗れた神に何が出来る?そして、お前達が出るとはな・・・」
「・・・私達が出て、何か問題でも?」
「いや、君だけは私は許さない。皐月を傷つけた君だけはね・・・」
ガゼルはそう言った、見せてやる!コアはそう決めた。
お姉ちゃんを傷つけたのは確かに私だ、でも、本当にそうなの?私だけがお姉ちゃんを傷つけたの?風介、よく考えてよ。
そして、試合は再開。
上手い具合にパスをカットするけど、皆はパスをアフロディ先輩に渡さない。
「やっぱり・・・まだ・・・」
信じ切れていない・・・、私はムーンと顔を見合わせる。
そして、ダイヤモンドダストのカウンター攻撃で風介のノーマルシュートを円堂先輩はガッチリと止める。
さすが、円堂先輩!私も頑張らくちゃね。
「やるじゃないか。だが、チームはかみ合ってないようだ、崩すのは容易いな」
確かに・・・疑念と言う感情はアフロディ先輩に向いている、だからこそ、パスも回せない。
(お姉ちゃんならこの時どうするだろう・・・)
お姉ちゃんなら、どうしてただろう?そして、私はある事に気が付いた。
私は自分が困った立場になると絶対お姉ちゃんに力を貸して貰っていた、それじゃあダメなんだ。
自分で考えて行動しなくちゃ!私はいつもお姉ちゃんに頼ってた、だから、自分の思い通りのゲームメイクも出来なかった。
そして、遠いぞ!と綱海先輩の声で我に返る。
「やばい!」
私も走るが間に合わない、そして、風介の指示で綱海先輩は囲まれてしまった。
だけど、綱海先輩の行動に雷門の動きは変わる。
「へっ!ちょうどいいぜ、アフロディ!!」
「!・・・行くよ」
やっとパスがアフロディ先輩に回った、私も同時に上がる。
「お手並み・・・拝見だな」
ガゼルの言葉に徹と愛がアフロディ先輩を止めに入る、だけど、此処でアフロディ先輩の技が出る。
「ヘブンズタイム!」
アフロディ先輩のヘブンズタイムで動きが止まる、そして、愛と徹を抜き、また色を取りも出した。
「「キャア!/ウワァ!」」
「堕落したものだ、君を神の座から引きずり下ろした雷門に味方をするとは・・・」
風介が立ち塞がって、アフロディ先輩にそう言う。
アフロディ先輩は気にする様子もなくこう言った。
「引きずり下ろした?違う!彼らが、円堂君達が僕を悪夢から目覚めさせてくれた・・・新たな力をくれた!」
「君は神のアクアがなければ・・・何もできない!」
「そんな物・・・必要ない」
アフロディ先輩は私にパスを回す、そして、風介を抜いたアフロディ先輩に私はまたパスを回す。
そして、新たな力を打つ。
「ゴッドノウズ!」
続く
第79話絶対零度の闇と狂気の赤〜皆月視点〜
「ゴッドノウズ!」
パワーアップをしたゴッドノウズが一角が居るゴールに向かう、これが・・・円堂先輩によって出来た新たな力・・・凄い!私はそのシュートを見て興奮した。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ゴールが決まって、先制点は雷門が取った。
アフロディ先輩はこちらに来ると、ニコッと優しい笑みで微笑み、私も笑みを返す。
「昔は昔!今は今だって訳だ!」
「いいぞ!皆!!このユニフォームを着れば、気持ちは一つ!皆で同じゴールを目指すんだ!!」
「「「「おう!!!!!」」」」
「やるじゃないか、これが雷門と・・・円堂守と戦って得た力だと言うのか・・・。叩き潰してやるよ!」
完全にキレている風介に円堂先輩達は気づいていない、そして試合は再開。
立向居君が上がった時、風介の手が上がる。
「見せてやろう・・・・絶対零度の闇を!!」
「ッ!立向居君、こっちにパス!」
「え!は「フローズンスティール!」うわぁ!!」
パスを回そうとした立向居君に寒太郎がフローズンスティールでボールを奪う、そして超ロングパスで風介に渡る、これはヤバい!私はそう直感した。
風介の技はエイリア学園でどれ程強化されたか・・・私はこの目で瞳子姉さんと見た事がある。
「ノーザンインパクト!!」
「『正義の鉄拳』!くっ・・・うわぁぁぁ!!」
究極奥義が破られた、進化した正義の鉄拳を破ってボールがゴールに突き刺さる。
点は1−1、そこで笛が鳴った。
「この程度とは・・・がっかりだね」
そう吐き捨てる風介はダイヤモンドダストに戻って行った、そして前半は幕を下りる。
〜ベンチ(ガゼル視点)〜
ベンチに戻って来ると、デビルを肩に乗せるコアがニコニコと笑って立っていた。
「機嫌悪そうだね」
「君のせいでね、一体何の用だ?」
「バーンとグランが連れて来いって」
コアの笑顔でグランとバーンに何言われるか予想がついてしまう、私は軽く舌打ちをして案内するように言った、チームの皆は心配するがこれは私の問題だ。
私はコアの後に付いて行くと、壁に凭れているバーンとグランを見つけた。
「互角ってんのは恥ずかしんじゃねぇの?」
壁に凭れて私にそう言い放つバーンに言い返す言葉もない。
「勝てるよね?円堂君に・・・」
グランの言葉とバーンの言葉で私の押し殺していた怒りが湧く。
「私は負けない!あいつにも絶対に・・・!ダイヤモンドダストの名に懸けて!!」
「コアから何か言う事ないの?」
「・・・狂気」
「え?」
「あ、いや、何もないよ!」
コアの慌て様に私とグランとバーンは首を傾げた。
私はベンチに戻ろうとした時、ふとコアを見た時、コアの体に異変が起きたと分かった。
何故分かったかはコアの目は・・・あの金色の瞳じゃなく“赤色の瞳”になろうとしていた。
続く
第78話そう思っているのか?〜コア視点〜
その後、ガゼル達の流れは悪い方向へと流れていく。
「同点になったね」
「このまま終われば、あいつらはジェネシス候補から落ちちまうな」
冗談めいて言ったのかそれとも本気で言ったのか分からないが、バーンはそう言った。
グランもまたそうだねと笑顔で言った、この二人は何とも思ってないの?レーゼ達やデザーム達みたいにガゼル達も追放されると言うのに、それにそろそろレーゼ達の特訓も終わっても良い頃だと思うのに・・・。
コアが大きな溜息を吐いた時、また目の前が真っ赤になった。
(何なのよ、これ・・・!)
コアは何度も瞬きをしてやっと普通の景色が見れた、さっきもガゼル達が話している時に目の前が真っ赤に染まった。
一体なんなんだろう?この眼帯のせいかな?狂気を集めるって言うのはもう分かったけど・・・。
「ダメだ!ペナルティエリア外だぞ!!ハンドになる!!」
鬼道の声でコアはまた試合を見る、ゴールはがら空きだ。
これって・・・どうぞ、点を入れてくださいって言ってる様な気がするんだけどね〜。
ガゼルのノーザンインパクトが徐々に円堂に向かう、これで終わりかコアはそう思って本部に帰ろうとした時だった、目に入った。
何と、あろうことか円堂はヘッドでノーザンインパクトを止めようとしていた。
無理に決まっている・・・コアは今度こそ帰ろうとした時、グランとバーンの驚いた声が聞こえた。
もう一度グラウンドに目を移すと、今度こそコアも驚くような光景が目に入った。
「ガゼルのノーザンインパクトを・・・止めた!?」
コアがそう言ったと同時に笛が鳴り響く、そしてダイヤモンドダストは此処で用済みになる事が確定された。
同点・・・それも2−2のだ。
「グラン、何処行くの?」
「ガゼルの所さ、コアも行く?」
「・・・そうさせてもらうわ」
コアはグランの後に付いて行き、ガゼルの所に行く。
「そこまでだよ、ガゼル」
「ヒロト!それに・・・恋姫」
円堂の言葉に雷門全員もグランからコアに移る。
「恋姫・・・」
「何?前も言ったけど、コアは恋姫って名前じゃ「お前、本当にこのままでいいと思ってんのか?」!」
綱海の言葉に頭を掻いていた手を止める。
「あんたに何が分かる訳?」
「あぁ、分かるさ。あんたがこの方法が間違ってるって思ってる」
「バカ言わないで、そんな事否定しているならコアは自分自身を否定してる」
本心をバラしては終わる、コアの頭の警告音がそう鳴り響く。
「恋姫、あんたホンマに雷門に戻らへんの!?」
「ッ!」
「恋姫先輩!私、恋姫先輩が戻って来るって信じてますよ!小暮君だって!」
やめてよ・・・、コアはそう言おうとした時その場が凍りついた。
後ろを振り向けば、ガゼル、グラン、バーンそしてダイヤモンドダストの皆が雷門を氷より冷たい目で睨んでいた、それには言葉を出し掛けたコアも口を噤む。
「コアを仲間として思う気持ちがあるなら、コアをこれ以上傷つけないでくれるかな?」
「ふざけるなよ!お前らが恋姫を傷つけてるじゃねぇか!!」
土門の怒鳴り声が聞こえる、仲間と思っていてくれている本当は有難うって言ってエイリア学園に帰りたい。
でも、そんな言葉を言えばコアは皐月も救えずに捨てられる。
「それじゃあ、またね。円堂守」
「恋姫・・・!!」
コアは最後にそう言うと、水色のエイリアボールが光り出す。
「円堂守・・・!次こそは必ず、君達を倒す!!」
ガゼルは怒りと悔しさが混じった声でそう言うと、一気にエイリア学園へと帰って来た。
「コア「今は話しかけないで!」分かったよ」
グランの言葉をコアは声を荒あげてそう言った、自分の部屋に戻るけどまだ雷門の皆の声が頭に残る。
こんなコアや皐月を仲間と認めてくれる人が居るのだと何処か嬉しく思えた。
だけど、惑わされないそう決めたから・・・。
コアは気持ちと頭を落ち着かせる為、部屋を出て屋上に向かう。
続く
第79話パスワードと幼い合言葉〜コア視点〜
「ふぅ〜」
屋上に向かう途中だった、コアは大きな溜息をまた零して閉じていた眼を片目を開けた時、エージェントが沢山のご飯をワゴンで運んでる様子が目に入った。
あれ?もう研究者達は帰った筈なのに・・・、コアは不思議に思い気づかれぬようにエージェントの後ろを付いて行く。
やっと止まったかと思った時、何もない壁が開いた。
「嘘っ!いつも通ってるのに・・・」
カモフラージュする程隠したいものって何?エイリア石?いや違う。
それよりもっと隠したい事って何?コアはワゴンに目をやると、22人ぐらいのご飯がワゴンに置いてあったのだ、エイリア学園では11人チーム。
追放されたのはイプシロンにジェミニストームだけ・・・。
まさか・・・コアは嫌な予感がした、そして、やっとエージェントがその場を去るとコアは誰も居ないかを確認してさっきの場所へ行く。
「あった!って!!パスワード!?」
驚きのあまり大きな声が出てしまった、コアは両手で口を塞ぎまわりを確認した。
良かった・・・誰も居ない。
「えっと・・・パスワード・・・パスワード・・・」
色々と打つけど、全部間違った。
こうなったら、皐月の記憶も使ってみよう。
そして、ある記憶が蘇る。
〜お日さま園(皐月(コア)9歳)作者視点〜
「ヒロト〜!」
「あ、皐月!」
サッカーボールを抱える小さい頃の皐月と庭で集まっている小さい頃の緑川、治兄さん、ヒロト、晴矢、風介が居た。
「サッカーしようよ!」
「君、そう言いたいならスカートはやめなよ」
「俺は穿きたくて穿いてる訳じゃない!まあ、別に気にしないけど!」
皐月のあっけらかんとした言葉に5人は呆れた溜息を吐いて、じゃんけんをした。
チームが決まると6人は楽しそうにサッカーボールを奪ったり蹴ったりしていた、この6人のサッカーはお日さま園内でも有名で見ている子達も楽しい気持ちになるのだ。
やっと終わると、皐月は良い事考えた!と大きな声で言った。
「何々?」
「大きくなったら、皆でまたサッカー出来るかな?」
「出来るよ!サッカーが好きならね!」
「緑川の言う通りだな」
「だからね、皆で合言葉決めない?」
皐月の提案に5人は顔を見合わせた。
「合言葉って何するんだよ?」
「サッカーしようぜ!」
「早ッ!」
「早い方が良いよ、ね!どう?」
「ん〜、良いと思うよ!じゃあ、皆の約束!」
ヒロトの手に皆の手が重なった、そして6人は空に向かって叫ぶ。
「「「「「「サッカーしようぜ!!!!!!」」」」」」
そして、この数日後6人はエイリア学園の人間となった
〜回想終了(コア視点)〜
コアはその合言葉の通りパスワードを打つと、ドアは自動に開いた。
「行かなきゃ!」
コアの足はそのドアの向こうへと動く、もし、もしこの合言葉をレーゼかデザームが考えたとすれば二チームは絶対この先に居る。
コアはそう確信した。
そして、階段を降りていくと光はポツポツと点いてるだけだった。
何だろう・・・自室や廊下みたいに近未来的じゃない、此処は何と言うか西洋の牢屋みたいだ。
「大丈夫、確かめるだけだ!」
コアは一人そう納得して階段を降りて行った。
続く
第80話明かされた本当の事実〜コア視点〜
やっと階段の最後の段を降りた、廊下みたいに続く道を歩いていると泣き声らしき声が聞こえた。
コアは急いでその場所へ行くとある所で足を止めた、そのある場所は2つの“牢屋”にデザーム率いるイプシロンとレーゼ率いるジェミニストームが居た。
どうして?特訓部屋に行ったんじゃなかったの!?コアの頭の中が混乱する。
「コア様!!」
「ディアム!これ、どういう事?!」
「それは・・・」
ディアムの顔が曇る。
「そのままの意味さ、コア」
ディアムや牢屋に居るジェミニストームやイプシロンの誰でもない声が響く、声のした方を睨む。
「一体どういう事?!コアはこんなの知らないわ、グラン、バーン、ガゼル!!」
「とうとう見つかっちまったな」
とうとう?その言葉に違和感を持った、まさか・・・こいつら!!ずっと知っててコアに黙っていたの!?コアの考えていた事が分かったのかグランがこう言った。
「コアに教えたルールは嘘が混じってる」
「嘘?」
「そう、本当は負けた者は追放と言う形で閉じ込める。それも永遠にね、まあキャプテン責任って事でデザームとレーゼはそれぞれ特訓を行ったけど」
デザームとレーゼを見ると、二人の顔や足や手には痣が沢山あった。
「どうして・・・どうして、コアには!「父さんに口止めされていたんだ」え?」
「コアがもし此処の本当のルールを知ればエイリア学園を離れていく」
「そんなの決まってるじゃない!」
「だからさ、父さんはガイア、プロミネンス、ダイヤモンドダスト、イプシロン、ジェミニストーム全員に口止めされたんだよ」
グランの言葉がそれを事実だと語っていた、コアが早く気づいていれば・・・!コアに後悔の念が押し寄せて来る、だけどそれと同時にある事が浮かぶ。
もし、コアがジェネシスになればと言う考えが・・・。
「グラン、もし、もしコアがジェネシスになれば今まで追放された子達は解放されるの?」
「コアが望めばね」
グランの目が妖しく光る、このやり方しかない・・・。
コアは牢屋の前でしゃがみ、ディアムとゼルにレーゼとデザームにこう言ってくれと頼んだ。
「コアがジェネシスになるから少しの間待ってて」
コアと入れ違いにダイヤモンドダストの皆が横切った、その前にはガゼルも居た。
そして、分かった・・・。
ガゼルが居たのは此処に入れさせるためなのだと、コアは牢屋に入って行くダイヤモンドダストを見てごめんねと小さく言った、届いたかは分からない。
けど、届いて欲しかった・・・。
「ガゼル達の追放は知らない間に決まっていたの?」
「あぁ、さっき会議でね」
牢屋の部屋から出て壁に模したドアは自動に閉まって行く。
「そう・・・」
「まあ、次は誰が入るのかは父さんしか分からないさ」
淡々と語るグランの話を聞きながら、少し空を見る。
夜空が広がっていた・・・でも、その夜空は雲に覆われていた、まるでコアの今の心の中みたい。
〜ある部屋(作者視点)〜
その部屋では今、総理大臣、瞳子、理事長が居た。
話はどうやらエイリア学園の事だった。
『最近はエイリア学園による中学校の破壊もピタリと止んでいるよ。これも雷門イレブンのおかげだよ』
「ありがとうございます」
瞳子は軽く頭を下げてモニターを見る。
『一方ではこう言う考えも出て来ている。エイリア学園の狙いが、雷門イレブン潰しにあるのではないかと』
「なるほど、侵略の為にも最大の敵となった雷門イレブンを排除しようと動き出した。敵も相当焦っているのかもしれませんな」
『いや、楽観は出来ないぞ。それに・・・それに基山ヒロト、南雲晴矢そして倭国恋姫と言う少年少女の存在だ。』
「実力ある人間を宇宙人によって操られている可能性もありますね、瞳子監督はどう思いますか?」
理事長に聞かれた瞳子は何ともと小さく言った。
すると、財前総理はふとこんな事を言った。
『あの倭国恋姫、そして今雷門イレブンに入って居る死神屋皆月。何処かで見た事がある様な気がするんだが・・・』
続く
第81話ネオジェネシス計画〜作者視点〜
〜国会議事堂(財前総理の部屋)〜
(倭国恋姫・・・そして、死神屋皆月・・・)
財前総理は部屋でコアと皆月の事を調べていた、理事長と瞳子の会話を終わり昨夜からずっと部屋に籠ってその二人の事を調べていた。
机には倭国恋姫の姿をしたコア、そして皆月と肩に乗っているムーンの写真が置かれていた。
「何処か出会っているんだ、あの二人に・・・」
財前総理は机を叩きながら、写真に写っている二人を見た。
そして、写真を手に取り、眉間に皺を寄せた。
〜一方エイリア学園では(コア視点)〜
「これぐらいかな・・・今日の練習は・・・」
コアはサッカーボールを手に取り、今は使っていないダイヤモンドダストのグラウンドを後にする。
さっきガゼルに許可を貰って使っただけなのだが・・・。
自分の部屋を出た時、ふとマスターランクしか使えない会議室のドアが開いていた。
部屋を覗けば、バーンと本来ならば牢屋に居る筈のガゼルが居た。
「聞いたか?ガゼル」
「あぁ、まさかあのお方がジェネシスをガイアに選ぶとはな・・・」
嘘でしょ!?昨日ガゼル達が追放されたばかりなのに・・・!コアは驚いていると、ポンッとサッカーボールが落ちてしまった。
「「!!」」
ヤバイ・・・!!コアはそう思って、その場を離れようとボールを取ろうとした時、扉がまた開く。
「コア!」
逃げようとした時、ガゼルに手を掴まれ、会議室へと強制的に入らされた。
「コア、聞いていたのか?」
「ジェネシスがガイアに選ばれた所だけは」
「絶対認めねぇぇぇぇ!!」
バーンは黒いボールを柱に向かって蹴る、それにコアはビクッとなった。
そして、跳ね返って来たボールをバーンは今度は手で弾き返す。
まあ、バーンは認めたくないのも分かる。
バーンはまだ雷門とも試合した事がない、けど、ジェネシスに選ばれなかった原因は一つだけある。
沖縄の時に勝手に雷門に潜り込もうとした時だと思う、でも、何でコアも候補から落とされたんだろう?全然分からない。
「コア、ガゼル、どうだ?大暴れする気はないか?」
「私と組もうと言うのか?「そんなもんじゃねぇ」?」
「あのグランに思い知らせてやるんだよ、上には上が居るって事をな・・・」
「いい考えじゃない、まあ、コアも雷門と試合したいと思っていたのよ」
「利害が一致したな」
コアとバーンとガゼルは手を重ねてこう言う。
「グランを倒し、ジェネシスの称号を奪い取ってやる!」
「そして、ジェネシス計画に相応しいのは誰かあのお方に示すのだ!」
「雷門イレブンに絶望を・・・そして、ジェネシスの称号を!」
「「「ネオジェネシス計画を・・・此処に発動する!!!」」」
〜帝国学園(皆月視点)〜
私達は帝国学園に来ている、円堂先輩の技メガトン・ヘッドも完成して尚且つ鬼道先輩、土門先輩のデスゾーン2も完成させた。
凄い・・・!凄いよ・・・!私は湧き上がる興奮の熱が治まらなかった。
そして、どうしてデスゾーン2が完成できたかそれは帝国学園のチームカラーは全員の意思統一、雷門はそれぞれの個性のぶつかり合いなのだと言う、あ、これは佐久間先輩が言っていたの。
「凄いですね!アフロディ先輩!先輩?」
私がアフロディ先輩に話を振ると、アフロディ先輩は上空を見ていた。
私も上空を見ようとした時、赤と青の黒いボールがこちらに落ちて来た。
紫色の煙が巻き上がる。
「これは・・・エイリア学園!?」
円堂先輩がそう言った時二つの影が見えた、間違いない・・・晴矢と風介だった。
「バーン!ガゼル!」
「「我らはカオス!!」」
「猛き炎プロミネンス!」
「深淵なる冷気ダイヤモンドダスト!そして・・・」
風介と晴矢が真ん中を退くと、後ろに居たカオスのメンバーも不敵な笑みを浮かべ真ん中を退く。
そして、現れたのは黒い猫耳のフードを纏いそこから見える赤と青のユニフォームそして肩に黒猫を乗せ、口には棒付きのキャンディーを加えた見知った女の子が居た。
続く
第82話決別〜皆月視点〜
「「「「恋姫!/恋姫先輩!恋姫さん!/恋姫ちゃん!」」」」
「狂気を操るエイリアの姫君コアが融合した」
「「「最強のチーム」」」
三人がそう言った、そしてこの場に居る誰もが理解したのだお姉ちゃんと・・・恋姫さんと戦わなければいけないと理解してしまった、知りたくなかった事をお姉ちゃんは私達に教えた。
「我らカオスの挑戦を受けろ!」
「宇宙最強が誰なのか証明しよう!」
「ちょっと待て、コアは宇宙最強じゃないのか?」
鬼道先輩がそう聞くと、お姉ちゃんは数回瞬きをして大笑いし始めた。
「あははは、違うって!もし、コアが宇宙最強になってるなら君達なんて最初から叩き潰してるからね?ねえ?バーン、ガゼル」
「あぁ、全くだぜ」
「まあ、コアの実力を知ればそうはなるだろうけどね。で、どうするんだい?受けるのかい?」
風介の言葉に円堂先輩はお姉ちゃんを一度見たが、すぐに風介と晴矢に受ける!と言い放った。
そして、お姉ちゃんは場所と日時を教えると晴矢と風介そしてカオスのメンバーを率いて去って行った。
カオスが居なくなったが、沈黙が広がる。
「恋姫ってあの時戦ったあの女の子か?」
「あぁ、本当の正体はエイリア学園のマスターランクのコアだ」
「とうとうこの日が来てしまったっすね、俺・・・恋姫先輩と戦いたくないっす」
「それは皆同じや、だけど、受けてしもうたもんはしょうがないやん」
浦辺先輩の言う通りだ、受けてしまった物は仕方ない、この試合でカオスに勝つしかない。
すると、円堂先輩がぽつりと呟いた。
「恋姫がいつもの恋姫と違ってた」
「どういう意味だ、円堂」
「なんて言うか・・・難しいけど、ダイヤモンドダストで会った時のコアはまだ恋姫のままだったんだ。けど今日会った時、いつもの恋姫じゃなかった」
「何か・・・ありそうだな」
鬼道先輩の言葉にお姉ちゃんについて皆は疑問を持った、そろそろお姉ちゃんも本気を出す頃かな?黒猫の舞姫としての実力でこの試合に挑むなら、私は白猫の舞姫になって戦おう。
〜エイリア学園(作者視点)〜
「じゃあ、夜に練習ね。」
「あぁ、グラン達や父さんには言うなよ」
バーンの注意にコアは分かってるってと幼さを残す笑顔で言った、バーンはその笑顔が昔のコアの笑顔と重なり罪悪感が押し寄せた。
「バーンってば、バーン!」
「うわぁ!」
「どうしたの?ボーっとしちゃって」
「え?いや、わりぃ。練習メニュー考えてた!」
「もう、考え過ぎはよくないよ!チームの皆も心配してるんだから」
「おう!(悪い事しちまったのかな?俺達・・・)」
バーンは去って行ったコアの姿を見ながらそう思った、だがこの計画は隠れているウルビダに聞こえていたとはコアもそしてバーンもガゼルも知らなかった。
だけど、彼らは自分達の計画の為にそんな事を調べなかった・・・。
〜またその頃、財前総理は〜
「やはり・・・資料がない・・・」
財前総理は椅子に凭れながら、そう言った。
SPのスミスは少しは休んだ方が良いと勧めるが、財前総理はそれは出来ないと断った。
そして、また体勢を立て直した財前総理はあるニュースの記事を目にした。
「『白猫の舞姫、黒猫の舞姫が消息不明』。!この写真は・・・!?今すぐ死神屋皆月を呼んでくれ!」
スミスにそう言うと、スミスは急いで瞳子に連絡を取った。
そして、その数時間後に皆月がやって来た。
「スミス、席を外してくれ。この子と二人で話がしたい」
「はい!」
スミスは部屋を出ると、財前総理は皆月に目を向ける。
皆月は大きな溜息を吐き、財前総理の机にある記事を見てこう言った。
「知ったんですね、私と恋姫さんが白猫の舞姫で黒猫の舞姫だっていう事を・・・」
「あぁ、一体どういう事なんだ?」
「消息不明にさせたのは私達はその日に決別をしました。お互い赤の他人だと」
続く
第83話スイートドリーム〜皆月視点〜
『君達は一体何者なんだ?』
昨日の財前総理との会話を思い出す、財前総理とは小さい頃に会った事がある。
まあ、色々と容姿も変わっちゃったから相手は私がその時に会った小さい子だとは思っていなかった。
私とおねえちゃんが何者かなんて人間だ、けど、そんな事が言えず時が来たら分かると言った。
そして、今日。
明日にはカオスとの試合がある為、皆で練習をしていた。
「皆月ちゃん!」
「はい!『ホワイトキャット』!」
白い猫がグラウンドを駆け巡り、ゴールに入る。
ホワイトキャットの威力も上がっている、これならきっと蔵人のバーンアウトにも勝てるかもしれない。
「やったじゃん、恋姫!また威力が上がってるよ!」
「はい!」
「だが、相手も技の強化やスピードを上げているだろう。なんせ相手は俺達の技や癖を知り尽くした恋姫が居る」
そうだ、私の技も一度見られてしまっている。
だけど、まだ見られていないシュート技が一つそれが『スイートドリーム』。
意味は甘い夢、お姉ちゃんのナイトメアとは対なる技だ。
「あの、皆さん」
「何だ?」
「皆さんには黙っていたんですが、私、まだ恋姫さんに見られていない技があるんです!」
「それ、本当なんか?でも、なんでわざわざ「嫌いだったんです、自分の技」え?」
「でも、技を隠したまま試合をしたらきっと勝てません!だから、私ずっと隠してた技出そうって思うんです!」
私がそう言うと、豪炎寺先輩はその意気だと言った。
そして、時間は流れて夕方になって練習はやっと終わった、スイートドリームの威力も豪炎寺先輩達のおかげで短時間で上がった。
そして、私は一度行ってみたい場所へ足を進めた。
そこは稲妻町のシンボルである鉄塔の所へ行く、そこにはタイヤを蹴っている豪炎寺先輩と綱海先輩、そして何かを話し込んでいる鬼道先輩と円堂先輩が居た。
「ん?皆月か」
「先輩たち何してるんですか?」
「綱海と豪炎寺は見ての通りだ」
「そうですね、パワー勝負とさっき言ってましたから」
「なあ、皆月、円堂」
「「何ですか?/何だ?」」
「グランの事を・・・どう思う?」
グラン・・・その単語を聞いて、福岡の事を思い出した。
ヒロトは父さんに忠実だ、いや、父さんの実の息子さんに似ている。
だから、ヒロトは自分の居場所を失くさない様に父さんに従っている。
「グラン・・・ヒロトの事か?」
「あぁ」
「どうって・・・分からない」
「私も分かりません」
「そうか・・・「でも!!」ん?」
円堂先輩の方を鬼道先輩と私は見る、円堂先輩はやっぱり分からないとそう言った。
そして、綱海先輩に誘われ私達は日が暮れるまで鉄塔広場に居た。
翌日、カオスとの試合の日・・・。
帝国学園では帝国学園のサッカー部の人達、そして私達しか居ない。
皆はそれぞれウォーミングアップをしている、私もまたウォーミングアップをしていた。
ムーンもね、だって、ムーンも後半から出ることに私は決めているから。
「よしっ!」
「気合十分だね、皆月ちゃん」
「アフロディ先輩、それもそうですよ!今日は全力で行かないと相手はマスターランクですよ?」
「そうだね、それより彼・・・大丈夫かな?」
アフロディ先輩の目線の先には吹雪先輩が居た、私はきっと大丈夫だと信じている。
「大丈夫です!信じましょう、吹雪先輩を!」
「そうだね」
その時だった、上空から黒いボールが落ちて来て紫色の煙が巻き上げる。
煙が晴れるとそこに居たのは、カオスのユニフォームに身を包んでいるお姉ちゃんと晴矢と風介そして茂人達が居た。
続く
第84話短期間のパワーアップ〜皆月視点〜
「おめでたい奴らだ」
「負けると分かっていながらノコノコ現れるとは・・・」
「でも、それが円堂守率いる雷門イレブン。そこだけは褒めてあげるよ」
三人揃っての嫌味発動ですか、だけど、此処で引き下がるつもりなんて円堂先輩達はきっとない。
だからこそ私達は此処に居る、すると、お姉ちゃんは私を見つけるとクスッと笑う。
クスッと笑う時の仕草・・・忘れてなかった、口元に手を当ててそう笑う癖。
「何が・・・おかしいの?」
「いや、久しぶりに白猫の舞姫さんとも戦えるとなると黒猫の舞姫であるコアも嬉しいからね」
白猫の舞姫と黒猫の舞姫と聞いて、鬼道先輩は驚いたように私とおねえちゃんを見る。
黒と白、それは対なる形でそれと同じようにお姉ちゃんは攻撃を私は守備をといつも決めていた。
「白猫の舞姫が・・・皆月!?」
「まあ、そうなるかな。ガゼル達の時は、本気も出していなかった」
お姉ちゃんがそう言うと、ガゼルの顔が歪む。
正解だ・・・。
「これはコアの推測だけど、コアがいつか試合に出る時白猫の舞姫の状態で尚且つ本気モードで行くつもりだった。どうかな?」
「全部当たりですよ、さすがエイリアの姫君ですね」
「こっちも色々と調べてるんだよ、まあ、今回はお互い本気でやろうね。白猫の舞姫さん?」
そう言うお姉ちゃんの瞳は真っ赤に染まった、まるで血を連想させるように・・・。
私とお姉ちゃんの会話が終わると、ガゼルはキッと私を睨みながら円堂先輩も見る。
「円堂守!宇宙最強のチームに受けた事・・・後悔させてやる!!」
「負けるもんか!俺にはこの、地上最強の仲間がいるんだ!」
「皆月!てめぇも覚悟しとくんだな!!」
「受けて立つわ、あんた達こそ覚悟しとくのね!」
「勝負だ!!」
試合が始まる、ダイヤモンドダストとは一度戦った事あるけど・・・プロミネンスは晴矢しかない。
お姉ちゃんは・・・ベンチ!?それは私だけじゃない、円堂先輩達も驚いていた。
てっきりお姉ちゃんは入って居ると思っていたが、お姉ちゃんは真剣の様子でカオスを見ていた。
そこで分かった、お姉ちゃんは司令塔としてベンチに居るのだと。
でも、どうして?そう思ったけど、ふと帝国でのデスゾーン開発時の佐久間先輩の言葉が頭に過る。
『此処から見ていたらよく分かるんだ』
そういう事か・・・。
そして、私は白猫の舞姫の状態で出る。
試合は開始、晴矢と風介を見れば凄い気迫だ・・・。
それ程までに目指したいものって一体・・・。
雷門のキックオフ、私は土門先輩に代わって入って居るから前半戦はデスゾーン2が打てない。
豪炎寺先輩は一之瀬先輩に、一之瀬先輩は塔子先輩にと順番にパスを回していく。
徹が上がって来た、此処で誰もが思っただろう・・・抜けるとそう“抜ける”と。
「お前なんかに取られるかよ!」
「フっ」
お姉ちゃんがニヤッと笑った、そして、それと同時に徹は塔子先輩からボールを奪った。
前は・・・かわせたのに・・・。
「皆月!」
「はい!」
私が立ち塞がるが、徹はそれを難なくとかわした、そして目が合った時徹は不敵に笑って上がって行く。
(一体・・・この短期間で・・・スピードを!?)
壁山先輩が行くもそれをもかわす徹、そして、お姉ちゃんの崩れない不敵な笑み。
まさか・・・技も強化してるんじゃないの!?それじゃあ、今の立向居君には・・・!もし、これが当たっているなら先制点は間違いなくカオスだろう。
(絶対に勝つ!ジェネシスの称号を手に入れる為にも、そして、何よりコア様を・・・皐月を助け出すには!!)
「任せろ!」
徹に向かう綱海先輩、すると、徹はチラッと横を見た。
そこには風介、やっぱり私も止めに入るが相手も分かったのかすぐに風介にパスを回す。
「しまった!あいつ、いつの間に!」
「今度こそ教えてあげよう、凍てつく闇の冷たさを!『ノーザンインパクト』!!」
間に合わない!そして、立向居君のマジン・ザ・ハンドでノーザンインパクトを止めようとするが、やっぱり私の予想が正しかったのか技は強化されていて、ノーザンインパクトがゴールネットを突き刺さる。
こんな短期間で技もスピードも上がる物なのだろうか?お姉ちゃんを見ると、まるでこれは序の口だと言いたそうな顔をしてこっちを見ていた。
続く
第85話実力〜皆月視点〜
「立向居!」「立向居君!」
私と円堂先輩は急いで立向居君の所に駆け付ける、やっぱり・・・技も強化されてる。
多分・・・晴矢のもそして今居るカオスの皆の技も全部が強化されてる筈だ、もし、技の強化やスピードを短期間で出来るとしたらお姉ちゃんの練習に入れた可能性が高い。
「これが我らの力!」
「宇宙最強のチーム、カオスの実力だ!」
二人は私達にそう言い放った、確かに凄いし完璧だ。
だけど、まだ始まったばかりだ!絶対に勝たないと、ジェネシスには勝てない・・・。
そして、点を取りに行く事を私は集中して試合は再開。
「豪炎寺!」
「いけぇ!豪炎寺!」
豪炎寺先輩にボールが渡る、その時だ。
「フッ」
晴矢が不敵に笑った、それと同時にクララと寒太郎に囲まれてしまう。
凄いタイミングの良さ、誰も指示を出してないのに・・・。
豪炎寺先輩はすぐに後ろに居たアフロディ先輩にボールをパスする、アフロディ先輩はすぐに上がるが・・・。
「いかせねぇ!」
夏彦が居た、でも、ヘブンズタイムでならボールは取られない。
「『ヘブンズタイム』!付いて来れるかな・・・?」
そう、誰もが思っただろう・・・。
アフロディ先輩なら突破できたと・・・。
「フッ!」
「!?」
「なッ!!」
「ヘブンズタイムが・・・」
「破れられた!」
一度も破られた事のない言わばアフロディ先輩の唯一無二の技は、夏彦によって簡単に破られてしまった。
アフロディ先輩自身も一体何が起こったのか分からない様子だった。
「ネッパーか・・・、プロミネンスも中々やるじゃないか(いや、皐月の考え・・・と言えばいいか)」
〜ベンチ(コア視点)〜
「さすが、ネッパー。コアの目に狂いはなかったって事だね」
そう、ヘブンズタイムの破り方を教えたのは紛れもなくコアだ。
それは昨日の練習の後だった。
〜昨日の練習〜
「ネッパー!」
「ん?なんですか?」
そう、コアはネッパーの実力を見込んでヘブンズタイムを破る方法を教えようと思った。
「ネッパーって雷門に負けたくないよね?」
「それはそうでしょ、いきなりなんですか?」
「そんなネッパーに教えたい事があるんだけど・・・今日の練習終わったら少し残っててね」
「?はい」
〜回想終了〜
「にゃ〜」
「デビルも出たいの?それもそうか、ムーンが居るんだから・・・」
コアも負けない様にしないと・・・ね・・・。
多分今日でコアの人格は乗っ取られちゃうもん、誰にって?そんなの簡単じゃん。
『狂気』の自分に・・・だよ・・・。
続く
第86話伝わるなら〜皆月視点〜
昔、親に虐待されて挙句の果てには使い物にならないと判断されて捨てられた、だから私はお姉ちゃんしか信じられなかった、父さんやお日さま園の皆や瞳子姉さんに会うまでは・・・。
雷門イレブンに会った時も本当にエイリア学園を倒せるのだろうかと心の何処かで信じてはいなかった。
けど、今は・・・どうだろう?円堂先輩達は諦めず時には降りる人も居た、だけど諦めずにエイリア学園と戦って来て、今はお姉ちゃんと同じランクのマスターランクとさえ戦えている。
(ボールをパスされる時、皆の声が聞こえた。負けたくない!って言う言葉が・・・)
お姉ちゃんにも分かるよね・・・?その気持ち、教えてあげる。
「一之瀬先輩!」
「!皆月」
一之瀬先輩にボールを貰うと、ディフェンスがやって来る。
「ロリポップヒップホップ!」
ボールをリズムよく蹴ると蹴った場所から光の音符が現れてディフェンスに取り囲む。
ディフェンスはその音の煩さに耳を塞いでその場に蹲る。
私はその間にディフェンスを抜く。
「早い!」
激や華を抜いて蔵人が居るゴール前にやって来る。
「行け!皆月!」
「はい!(伝わって!私の思い!)『スイートドリーム』!」
白い蝶がボールを包み込みながらゴールへ向かう、届いて!その一心のシュートだった。
「『バーンアウト』!ぐッ・・・・なんてパワーだ・・・!」
バーンアウトが破れ、ゴールに入ろうとした時、ある人物がまた止めに入った。
「行かせるか!」
「絶対・・・止める!」
「晴矢!風介!」
二人の思い・・・そして、私の思い・・・きっと思う気持ちは絶対に違う。
「いけぇぇぇぇぇぇ!!」
「「ッ!うわあぁぁぁぁ」」
ボールがゴールネットに突き刺さる、私はその場で放心状態になった。
夢だろうか?私は頬を抓って見ると、夢ではない事が分かった。
入った・・・入ったんだ・・・!私は自然に笑顔になった。
「やった!1点取れた!」
「さすがだぜ、皆月!」
「はい!!」
伝わったかな?私の思い・・・。
〜バーン視点〜
「あれが・・・白猫の舞姫の力か・・・」
ガゼルの言葉に俺は皆月を見る、皆月は困った様に円堂守達と笑っていた。
「そのようだな、侮ってたぜ」
だけど、あの時技を止めた時何か聞こえた気がした。
(間違ってる・・・か・・・。んなの、最初から分かってるよ)
そう、エイリア学園が出来た時からずっと・・・分かっていた。
それはガゼルも同じだ、でも・・・もう逆らう勇気はないんだよ。
続く
第87話見える物〜皆月視点〜
「よぉし!皆月が取った1点だ!俺達もどんどん点を入れていくぞ!」
「「「「おう!!!!」」」」
私達は拳を高く突き上げる、何とか私の技で同点まで持ち越せた。
カオスをチラッと見れば信じられない様な顔をしていた、それもそうだ、私があんな怖い顔をしたのは生まれて初めてだと思う、カオス一人一人の瞳でそんな私の顔が分かった。
そして、試合は再開。
流れは雷門に少しずつ傾いている、何処まで傾けるだろか・・・。
そんな時だった。
「選手交代!死神屋皆月から土門飛鳥!」
監督からの交代、これも作戦の内だ。
瞳子姉さんは後半にはお姉ちゃんが出るそう考えて私を後半戦に向けての体力回復を狙っている。
「土門先輩!見せてくださいよ!」
「任しとけ!」
私は土門先輩に代わりベンチに座る、お姉ちゃんは点を決められた事そして私が交代した事には予想外だったのか少し冷や汗が出ていた。
「これが円堂の力・・・、グランをも惹きつけた円堂の力だと言うのか・・・!」
「だが、それも所詮悪足掻き」
その後もプロミネンスのディフェンスやダイヤモンドダストのディフェンスに悉く止められてしまう。
皆の目を見るけど、何も伝わってはなかった。
ただ伝わっていたのは・・・お姉ちゃんだけだった。
試合には出ていないお姉ちゃんだけが伝わった私の思い・・・。
でも、それで良かったのかもしれない・・・。
「それにしても、ボールがカットされますね」
「多分ですけど、円堂先輩がGKの時は超防御型でした。けど、リベロに上がれば・・・」
「GKの時は前線で攻撃したらゴール前がガラ空きだったわ。まさか!」
「それと同じような物です、円堂先輩がリベロとなれば超攻撃型になります。ですけど、それには欠点が一つだけあるんです。それが・・・」
「相手に点を許してしまう・・・」
そう、だから上がろうにも上がれない状況。
鬼道先輩も困ってる様子だった、良い方法が見つからない。
完璧と言う言葉はこの為にあるのか?でも、カオスにも何処か欠点がある筈!私は必死にカオスを見る。
得点差は9点だ、これ以上の失態をカオスは犯す筈がない。
「どうしたら・・・ッ!!」
その時だった、急に皆の声が聞こえた。
『どうして・・・どうして・・・ヒロトだけ!!』
『俺達だってあの人に尽くしたのに・・・!!』
『憎い・・・』『助けて・・・!』
聞こえた・・・カオスの皆の声!そう言えば、お姉ちゃんが昔こんな事を言っていた。
『人の声ってんのはどうにかしたい!そう思う時に俺は聞こえる』
そうか、昔は理解が出来なかった。
だけど・・・今なら出来る・・・。
「皆も苦しかったんだよね・・・」
私はムーンの背中を撫でる、伝わる毛並みの暖かさに私は後半戦誰が相手だろうと全力を叩きこむ事にした、それがカオスの皆の声が少しでも聴けるように・・・。
すると、ふと風介と晴矢とお姉ちゃんの言葉に違和感を持った。
『『『最強のチーム』』』
福岡の時、ヒロトは最強のチームだと私は密かに会って聞いた。
それなら本当におかしい、最強のチームが二つもある筈もない・・・。
「見えたな、この勝負」
「俺達こそが真のジェネシスだ」
真の・・・?まさか、お姉ちゃん達・・・!ヒロトからジェネシスを奪う気なの?じゃあ、あの時ヒロトはどうしてジェネシスと言ったのかな?そんな事を考えていると、カオス全員の足並みを見る。
そう言えば、沖縄で音村先輩が鬼道先輩と私に教えた事がある。
『そこに2ビートが入れば、8ビートになる・・・。面白考え方だ』
『だから、私達の動きも・・・!』
『そう、でもそこに16ビートを加えれば?』
『『右の守りが甘くなる・・・』』
『ビンゴ、簡単な事なのさ。この世はすべてリズムで出来ている』
そうか、簡単に考えれば分かる事じゃない。
続く
第88話仲間割れ〜皆月視点〜
リズムを取る、すると、一つだけ音のずれを見つけた。
「ネッパー!パスだ!」
「・・・ヒート!」
やっぱり、夏彦は昔から頑固だから今もその性格が変わってなかったらと思っていたけど、その性格は営利学園でも変わらなかったらしいね。
パスをお願いした徹も目を丸くしている、何だろうな・・・後半戦が荒れそうな気がする・・・。
そして、また夏彦にボールが回る。
「ネッパー!」
「・・・バーラ!」
これじゃあガゼルはいいとしてダイヤモンドダストの皆が早く気づきそうだ。
その後の夏彦の暴走は続く、プロミネンスの皆も夏彦の暴走に続かなきゃいいけど・・・。
仕舞いには夏彦は横で走っている徹に鼻で笑う始末、あぁ、もう〜これ敵を回してるようなもんじゃん。
いやいやカオスの味方はしないけど・・・これを見たお姉ちゃんの顔が想像出来てしまう。
そーっとお姉ちゃんを見てみれば、眉間に皺が寄っていた。
(後半戦・・・どうなるのかな?)
そして、夏彦が茂人にパスを回すが鬼道先輩がそれを阻止。
来る!デスゾーン2!!私は祈る様に上がる鬼道先輩と円堂先輩と土門先輩を見る。
「デスゾーン?」
「残念だけど、違う!帝国学園が意思統一ならデスゾーン2は個性のぶつかり合い!デスゾーンが足し算なら・・・あのデスゾーン2は・・・掛け算!」
「「「デスゾーン2!!!」」」
私が言ったと同時にデスゾーン2が打たれる。
「『バーンアウト』!ッ!おわぁぁぁぁ!!」
そして、2点目。
私は春奈ちゃんと手を取り合いながら喜んだ、出来た!出来たんだ!!一度味わった興奮が治まらない。
雷門の皆も喜びながら、茫然としているお姉ちゃんを見ていた。
お姉ちゃんは片手を顔に覆い隠すと、クスッと笑い出した。
「フン、たかが1点で雑魚共が調子に乗るなよ」
試合は再開、バーンが一人で上がって行く。
翻弄する動きで鬼道先輩をかわして、誰にも届かない様なジャンプをしてかわした。
「立向居!」
「アトミックフレア!!」
「(此処でゴールをやる訳には行かない・・・!雷門のゴールは・・・俺が、守る!!)『ムゲン・ザ・ハンド』!!」
え?その時に起こった光景に私は開いた口が塞がらなかったが、立向居君の手の中にあるボールで正真正銘のムゲン・ザ・ハンドが出来たのだと物語っていた。
そして、それと同時に前半終了の笛が鳴る。
皆は大喜びしながらこっちに来た、それもそうだ、練習に練習を重ねて来たムゲン・ザ・ハンドが出来たんだから!やってない私も嬉しいほどだ。
「休止符?」
作戦会議中、私と鬼道先輩は同じ考えをしていた。
「あぁ、音村風に言えばな」
「さすが鬼道先輩ですね!さて、皆さんまずあのミッドフィルだーを」
私が言うと、皆は靴紐を結び直している夏彦を見る。
「どんな完璧にも穴があると言う物だ、あのミッドフィルだーはダイヤモンドダストを完全に無視している。プロミネンスだけで勝てる所を見せたいんだろう」
「大量得点で欲が出て来たって事ね」
「はい、ですから簡単に言えばネッパーを中心にして攻めれば、カオスに逆転できる可能性が高いです」
「ただ俺達より早く気づいた奴もカオスにいる」
そう、お姉ちゃんだ。
お姉ちゃんは何かカオスの皆に話してる様子だった、会話の内容は聞き取れていなかったけど、晴矢の俺達が大丈夫じゃない!と少し涙声の怒声が響いた。
お姉ちゃんは笑顔で大丈夫だと言っているが、反面悲しそうな顔をしていたが、私達を見ると私達の前まで来て円堂先輩を指差してこう言った。
「後半戦、コア一人だけ出る!あんた達なんかに・・・絶対に負けない!“禁断の技”を使っても!!」
お姉ちゃんはそう言って踵を返してカオスの所へと戻って行った。
続く
第89話見てしまった物〜コア視点〜
「お疲れ様」
ベンチに戻って来たカオスの皆にコアはそう言う、まさかデスゾーン2やムゲン・ザ・ハンドそれにスイートドリームが来るとは予想が出来なかった。
考え直すか・・・。
「次の作戦はどうする?」
「そうね・・・、まずあの三つの技ね」
「デスゾーン2とムゲン・ザ・ハンドとスイートドリームか・・・。その二つは良いとしてムゲン・ザ・ハンドも警戒しなくちゃいけないのか?」
「えぇ、まずムゲン・ザ・ハンドが最初から出来ていたらガゼルのノーザンインパクトやノーマルシュートも最初に止められてた。だけど、何かヒントを得たのかバーンのアトミックフレアを止めた、警戒は充分にしないと・・・。?どうしたの」
ふと皆の顔を見れば、何故か全員が真っ青な顔になっている。
コア・・・何か悪い事言った?いやいや言って無い、今回は言って無い筈だ。
コアは?マークを出しながらさっきの言葉を思い返していると、やっと我に返ったバーンが何もないと言ったのだ。
真っ青な顔されて、何もないわけがない。
コアはそう思った。
「本当?」
「!」
「狂気の事なら、心配しないで。そもそもこの眼帯が狂気を集める物だって事も・・・」
そうだ。
「バーン、ガゼル、頼みがある」
「「??」」
後半戦・・・本気、見せちゃおうかな?コアはそう思いながらその頼みの内容を二人に話した。
「おま!それ本気なのか!!」
「じゃないと、言わないし。それに大丈夫だよ!」
「俺達が大丈夫じゃねぇんだよ!!」
コアは何度も大丈夫だと言うと、雷門の方に行ってこう言った。
「後半戦、コア一人だけ出る!あんた達なんかに・・・絶対に負けない!“禁断の技”を使っても!!」
そう禁断の技を使っても・・・雷門に勝たなきゃ、コアはレーゼやデザームやそれに・・・カオスの皆やダイヤモンドダストの皆、プロミネンスの皆を助けられない。
そして、後半戦が始まろうとしていた。
「デビル、おいで」
「にゃ〜」
コアはデビルを呼び、グラウンドへ向かう。
ふとバーン達の顔を見ると心配そうな顔をしていた、それもそうだよね。
あんな頼み・・・聞きたくなかったよね。
『禁断の技を使わせてほしい』
って・・・。
〜グラウンド(皆月視点)〜
「宣言通り、1人でやるつもりか」
「コアが嘘つきとでも?コアは自分で言った事は実行する。例え、体が壊れても・・・」
お姉ちゃんはそう言って、ニヤリと不敵に笑った。
さあ、波乱の後半戦が始まる。
続く