私の大好きなナミちゃんを取り巻く、キセキの世代や他のみんなのお話。
とりま帝光から書きます
帝光中学生のナミ
二年前の姿(まだFカップやな)
帰宅部だが、キセキの世代と仲良し
黒いセーターを着てる
キセキの世代1人目
私が征ちゃんと出会ったのは
入学式の日
の翌日である
何故翌日かというと、そこんとこは察してほしい。
寝坊して起きたときにはもう学校が終わってたのだ。
「はぁー…やっちゃったわ。なんで昨日寝坊してしたのよあたし!そして何で起こしてくれなかったのよアネキとアニキは!!」
そんな文句を言っても過ぎてしまったものは仕方がない。
ガラガラと教室の後ろのドアを開けて中に入る。
すると何人かがバッとこちらを振り向いた。まだみんなクラスに慣れてないのか教室は静まり返っていた。
なんか居心地悪いわね…ってかあたし、席がわならないわ
「もしかして、昨日来てなかった子?だったら席あそこだよ」
あたしが突っ立ったまま教室をキョロキョロ見回していたから、不思議に思った女の子が気づいて席を教えてくれた。
きちんとその子にお礼を言って教えてもらった席に行った。
窓側から二番目の列の前から二番目
あまりよくない席ね…
ちょっとむくれながら席に座ると左隣から視線を感じた。
誰だと思い横を見ると赤髪の少年と目が合った。お辞儀をされたので慌ててこちらもお辞儀を返す。
「君、昨日学校来なかったよね」
「昨日は家庭の事情ってやつで…」
ただの遅刻だ、とは情けないと思われたくないので言えない。
「そうか、俺の名前は赤司征十郎だ。よろしく」
「あたしはナミ!よろしく!!」
よっし!友達1人目ゲットォ!!!
あたしを見ながらこの男の子は優しく微笑んだ。なんかすごくいい人そうね…
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「ナミさん、昼ごはん一緒に食べないか?」
昼休みになって赤司くんに声をかけられた。やっぱりこの人優しい。
ちなみに今日も遅刻ギリギリだったので、朝ごはんは食べてない。だから腹ペコだ。
「もちろん!食堂行きましょう。あとあたしのことは呼び捨てでいいわ」
「分かった、ナミ」
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「赤司くんって下の名前何だっけ?」
「征十郎だ。」
「そうそう、征十郎征十郎。」
「ったく…あ、カードでお願いしますね」
「カード!?あんた…金持ちの坊ちゃんね!」
「何を言ってるんだ。はやく食べるぞ」
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「あ、教科書忘れた」
「最初の授業なのに何してんだお前は」
「最初の授業だから忘れてもいいのよ。教科書見せて赤司くん」
「ああ」
「…下の名前何だっけ」
「征十郎だ!覚えないと見せないぞ」
「悪気はないのよ」
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「やっと帰れるー…」
「ナミは部活入らないのか?」
「うん。面倒だから入らないわ。赤司くんは?」
「俺はバスケ部に入る」
「へー…がんばりなさいよ!セイジくん!!」
「おい、がんばったのは褒めてやるが合ってないぞ」
「あんたの名前長いのよ!!覚えにくい!!」
「じゃあ、呼びやすい名前で呼べばいいじゃないか。征十郎だから…」
「だから…征ちゃん!!」
「は?」
「征ちゃん、いいじゃない!かわいい!短い!覚えやすい!!」
「…分かった。またな、ナミ」
「うん!バイバイ征ちゃん!また明日!!」
うんうん
やっぱりこの人は優しいわ
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「くっ、あの日あの時征ちゃんを優しいと思った自分を殴りたいわ」
「なにか文句あるのか?お前が勉強教えてほしいって言ったんだろ」
「スパルタ過ぎるわッ!!もっと優しく教えなさいよ!!」
「その問題解けなかったら、この問題集を今日中にやれ」
「ギャアァァァァァァァ!!!!!!」
キセキの世代2人目
これは入学式があって数日後の話
学校が終わってすぐに帰宅したあたしは早急に夕飯を食べて、ソファでくつろいでいた。
「ナミー、アイス食べたくない?」
「食べたい!」
「じゃ買ってきて。お金はあたしがだすから」
家にあるんじゃねーのかよ、と怒鳴りたくなったが、余ったお金でお菓子を買っていいと言われれば黙って従うしかない。
あたしは歩いてコンビニに向かった
「どのアイスにしようかしら…」
アイスを選んでいたが、先にお菓子を買ってしまわないと溶けることに気がつき、お菓子コーナーへ向かった。
辺りを見回すと残り一つの期間限定まいう棒みかん味があった。
「運がいいわっ!あたし!!」
みかん味ときたら買わずにはいられない。
まいう棒みかん味を手に入れようと手を伸ばす。しかしあと少しのところで横から掻っ攫われてしまった。
「っ誰よ!あたしのまいう棒みかん味を取ったやつは!」
そう叫んで、まいう棒みかん味を持っている手をたどって行くと紫色の髪をした男までたどり着いた。
ってか、何こいつ…デカ過ぎィ!!!
なんとまいう棒みかん味を手にしたのは長身の男だった。
しかもこいつ帝光中の制服着てる
いくら長身の男で同じ中学とはいえ、あたしのまいう棒を奪った罪は重い。
キッと睨みつけてやると、あたしの視線に気づいた彼がこっちを見てきた。
「あらら〜…何でそんなに睨んでんの〜」
身体に似合わないおっとりとした喋り方にたいそうイライラする。
「それはあたしが最初に見つけたまいう棒よ!」
「え〜そうなの〜?あんたもまいう棒好き?」
「好きよ!特にそのみかん味は!!」
「ふ〜ん、そっか〜…じゃあこれあげる」
渡さなかったら一発ぶん殴ってやろうとさえ思っていたのに、あさっさりと譲ってくれて拍子抜けした。
「いいの?」
「うん」
「ありがとう!あんた帝光の人よね?あたしも帝光一年のナミっていうの!よろしくね!」
「へ〜ナミちんも帝光なんだ〜。俺紫原敦〜」
「じゃあ、あーくんって呼ばさせてもらうわ」
急いでお菓子とアイスを買って会計を済ませたあと、なんやかんやで一緒に帰ることになった。
しばらく2人でお菓子談義していると、ふと疑問に思ったことを口にした。
「むっくんはこんな時間まで何してたの?」
「部活〜。で、赤ちん達と帰る途中に俺だけコンビニによった〜」
赤ちん!?誰よその人。変なあだ名だな
「ふーん…そうなの。あ、じゃあ私こっちだから」
そう言ってあたしは自分の家のほうへの道を指差す。
「もう暗いし危ないから送る〜」
子供みたいな性格なのに意外と紳士なのね
「大丈夫よ」
「だめだめ。それにもっとお菓子の話したいし〜」
もしかしてそっちが本音?
「じゃあ送ってくれてありがとう。また学校で」
「うん!バイバイ!ナミちーん」
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「あたしに触ってんじゃないわよッ!!!!」
「「「ぎゃぁぁああああ」」」
「高校生三人を一発で倒すとか…ナミちん強すぎ…」
キセキの世代3人目
あたしが大ちゃんと出会ったのは…
いや、出会ったっていうのは少し違う。なんせ、大ちゃんはあたしと征ちゃんと同じクラスだったのだから。
あたしと大ちゃんが仲良くなったのは席替えで隣になったのがきっかけである。
「征ちゃんやったわ!あたし1番後ろの席よ!」
「そうか、よかったな」
「うん!」
入学式からしばらくしてようやくみんなが学校生活に慣れてき日、担任の提案で席替えすることになった。
そして運良くあたしは窓側から二番目の一番後ろの席になった。
隣誰かなとワクワクしながら席を移動させる。
「「あ」」
隣の席はなんとガングロくんだった。最初の席ではあたしの斜め前で征ちゃんの前の席だったガングロくんだが、彼は征ちゃんと話すだけであたしはそんなに話したことはなかった。
「よろしく」
「おう」
あたしたちの会話はそれで終わった
つまらないので征ちゃんはどこかな〜と探すと教卓の真ん前で彼を見つけた
かわいそうな征ちゃん…ぷぷっ
なんて思っていると征ちゃんがこちらを振り向いて睨んできた。
え、何あの人怖い
2時間が始まって暫くしたらなんだか暇になってきた。以前の席なら授業中に板書する手を休ませたら、容赦無く隣の席からシャーペンやら消しゴムが飛んできた。
私はチラッとガングロくんを見る。ガングロくんはぼーっとしなが黒板を眺めている。
こいつは面白くないわ、と思い黒板をもう一度見ると、隣のガングロくんの席から紙をめくる音が聞こえてきた。
さっきまでぼーっとしてた奴が、ベタに教科書で隠しながらエロ本を読んでいた。
「何読んでんの?」
「堀北マイちゃんのグラビアこのおっぱいがいいんだよなー…」
「あたしの方がおっきいわね」
「まじかよ。触らせろ」
「いやよ。10万円払いなさい」
「じゃあ揉ませろ」
「10万」
しばらくそんなやり取りをしていたら、先生に気づかれた。
「ちょっと青峰くん、朱崎さん、うるさいです。ってか青峰くん、教科書で隠してもエロ本読んでるのバレバレです。没収します」
先生に注意されてしまった。あたしは恐いのでガングロくんの足を踏んづけてやった。
何が恐いってそりゃ教卓の真ん前に座っている赤髪のお方に決まってる。あたしから見えるのは彼の後頭部だけなのに絶対怒っていると確信できる。
「あんたのせいでバレたじゃない…後で絶対征ちゃんに怒られる〜」
「悪かったな、ほらお詫びにコレやるよ」
そう言って彼が渡してきたのは、まいう棒だった。
「いやん、ありがとう!ガングロくん!!」
「おい、やめろよそれ」
お礼を言った後、まいう棒を受け取ろうと手を伸ばしたがガングロくんに頭を掴まれて阻止された。
「くれるんじゃないの!?」
「俺の名前は青峰大輝だ」
なるぼどガングロくんっていうのが気に入らなかったのね
「まいう棒ちょうだい、大ちゃん」
「大ちゃん!?」
「うん。可愛いじゃない」
そう言うと大ちゃんは笑ってまいう棒をくれた。
それからあたしは征ちゃんと大ちゃんと一緒に行動するようになった。
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「おいナミ、青峰、なぜ怒られてるか分かってるよな?」
「「…授業中に騒いだからです」」
「そうだ。分かってるじゃないか。俺もあまり怒りたくない。反省しろよ」
「「はい…」」
授業後、めちゃくちゃ赤司に怒られた2人であった。
キセキの世代4人目
あいつを最初にみたのはいつだったか…
只今ここ帝光中はテスト期間。帰って勉強しようと思ってたところにバスケ部の副主将である赤司征十郎から図書室に来いと呼び出しを受けた。
「何の用なのだよ赤司」
図書室に踏み入って目に入ったのは青峰の隣にいる女。誰なのだよこの女。
最初は桃井かと思ったが、髪の毛の長さと色が違う。取り敢えず赤司のもとへ向かう。
「ああ、よく来てくれたな緑間。さあ、こっちに座ってくれ」
そう言って赤司が自分の左隣の席を引いた。左隣というとあの女の前。しかし赤司に言われては仕方がないので、渋々席につく。
すると女は俺と目を合わせたあと、俺の左手に視線を送った。
「何…その可愛い人形」
「これは今日の俺のラッキーアイテムなのだよ」
「へー、可愛いわね。このマツゲ」
「なんなのだよその名前は!これはそんな妙な名前ではないのだよ!カエルのケロ助だ」
「へー、でもマツゲの方が可愛いいからマツゲね!」
「赤司、なんなのだよこの女は」
隣の赤司の方に顔を向けるとたいそう呆れた顔をしていた。その向かいにいる青峰は腹を抱えて笑っている。
「緑間、彼女は俺らと同じクラスのナミだ。ほら、お前も挨拶しろ」
「…緑間真太郎なのだよ」
眼鏡を押し上げながら自己紹介をした。なんというか、女子は苦手だ。
「あたしはナミなのだよ。よろしくなのだよ」
「真似をするな!」
「お前、似合わなすぎだろ!!ぶふっ!!」
「緑間、悪いがナミの勉強見てくれないか?俺は青峰ので手いっぱいなんだ」
何故俺が…と思ったが自分の勉強にもなるだろうと思い、渋々承諾した。
「よろしくお願いします。いろりまくん」
「緑間なのだよ」
「いろりまて…ぶふぉ!」
「おい、とっとと始めるぞ」
赤司の声をきっかけに早速勉強に取り掛かった
「おい、そこはさっき教えたばかりなのだよ」
「青峰、そこはさっき教えた公式を使えと言っただろ」
どうやらこいつらの頭はそんなに悪くはなく、むしろいい方だが、同じところで間違える厄介ものらしい。
「えー、かぶりまくんの言ってること難しくてわかんないのよ」
「緑間なのだよ」
「さっきの公式ってどれだ?」
はぁーと赤司と同時に溜息をつく。この調子じゃ全く進まないのだよ
「あたし国語じゃなくて理科がしたい〜」
「ダメだ。ナミは国語が壊滅的だから、まずは国語からだ」
「征ちゃんの意地悪…」
「…続けるのだよ」
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「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか」
赤司がそう呟いて初めて外が暗くなっているのに気がついた。
「ナミ、家まで送ろうか?」
四人で校門まで行ったところで赤司が彼女にそうきいた。
「大丈夫よ。今日アネキとアニキと外食する約束してるから、もうすぐ迎えに来るわ」
「そうか」
「気ぃつけろよ」
「うん!また明日ね!征ちゃん!大ちゃん!ミドリムシくん!」
後ろから大声でそんな声が聞こえてきた。
「…ミドリムシ?」
「ぶふっ!!ギャハハハハ!!!」
「…緑間、明日彼女に会ったら下の名前で呼ぶように言ってみろ」
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今日のラッキーアイテムはみかん飴なのだが、手に入れることができなかった。
すると後ろから聞いたことのある声がした。
「あー!緑頭眼鏡くん!!」
緑間なのだよ、と言おうとして振り返ったら昨日のナミとかいう女がいた。
が、重要なのはそこではない。なんと彼女の手にはみかん飴が握られているではないか。
「お、お前それは…!…そのみかん飴を今日だけ俺に貸してくれないか?」
俺は必死の形相で彼女の肩を掴んだ
「貸すだけなら全然いいけど…」
こうして俺はラッキーアイテムを手に入れた
「お、礼にし、下の名前で呼ばさせてやっても構わないのだよ」
「ふーん…じゃあまたね、真太郎!」
「あ、ああ、またな。な、ナミ」
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「どう?あたしの手作り弁当!うまいでしょ?特別にタダよ」
「…普通なのだよ」
「そこは嘘でもうまいって言いなさいよ!!」
「やめろ!バットを振り回すな!それは俺のラッキーアイテムなのだよおおおおお!!!」
キセキの世代5人目
これは2年生の春。俺がバスケ部に入る前の話
今日はモデルの仕事があったので午前中は授業を休んで、俺は昼休みの今登校している途中だ
俺の姿を見つけた女達に一応笑顔で手を振る。すると女共は騒ぎ出す。あー、ありがたいけどうるさいっス
心の中ではそんなことを思いながら、笑顔で廊下を歩く。
ガラッ
「じゃあ放課後お菓子持ってくるわね!またブッ」
俺が開ける前にドアが開き女が俺にぶつかってきた。ってか“ブッ”とか女子としてどうなんスか
「いったー!何?誰よ!!」
女が俺のほうを見た
「大丈夫っスか?」
と言いながら女の頭を撫でる。大体の女の子はこれで顔を赤らめのに、この女は違った
「気安く触んないで。誰よ、あんた」
パシッといい音を鳴らせて俺の手を払った。
「俺のこと知らないんスか?」
そう問うとその女は顎に手をあてて考える素振りをした。
「知らない。」
「いや、俺の名前黄瀬涼太ですけど」
「へー」
「……」
なんだコイツ誰だ、とでも言いたげな顔で俺をみてくる女。俺のこと知らないんスね。
「俺モデルやってるから、みんな知ってると思ってたんスけど…あんた流行りとか知らないんスね」
「…なんだ、びっくりした。俺のこと知らないんスか?とか聞いてくるからどっかで会ったことあるのかと思ったわ」
俺の皮肉を全く気にしないでそう言った女は、じゃーね金髪君と言って俺の横を通り過ぎていった。
…変な女
あの変な女に再開したのはそれからすぐのことだった。
あの女に初めて会った日の放課後、特にすることがなくて教室から外を眺めていた。教室には俺1人しかいないのでとても落ち着く。
ガラッ
せっかく心地がよかったのに誰かがドアを開ける音のせいで台無しになった。誰だと思ってドアのほうを振り返るとアイツがいた。
「あれ?あーくんは?」
「あーくん?」
「紫原敦よ」
「あー、紫原くんか…もう部活に行ったんじゃないっスか?」
「もー…なんで教室にいないのよ…あれか、体育館まで持ってこいってことか…」
俺のことなんか見向きもしないでブツブツ独り言を言ってる。こんな女初めてだ。
「ねえ、あんた名前なんて言うんスか?」
俺は彼女に近づきながら問う。
「人の名前を聞くときは、自分から名乗るのが礼儀でしょ」
「いや俺昼休み名乗ったスよ!覚えてないんスか!?」
「え?あー、……「黄瀬涼太っス!」
なんなんだこの女
「あーハイハイ。なんか聞いた気がするわ。あたしはナミ!」
くっそイライラする。俺は女の前まできて彼女を見下ろす
「へ〜、ナミちゃんねー。…俺とイイことシないっスか?」
「イイこと?」
可愛い顔してるし、体型だって悪くない。いい遊び相手ぐらいにはなるだろう。俺はナミちゃんの後頭部に手をまわして、ぐいっと引き寄せ、口付けようとした。
「っっ!?いったあああああ!!!!」
もうあと少しで唇が重なるってときに突然男の大事な部分を蹴り上げられた。
「あたしに手を出すなんて100万年早いわ!出直しなさい!」
高笑いしてるナミちゃんを睨みつけたいけど、それどころじゃない。今迄感じたことのない痛みが俺を襲いその場にうずくまる。
「え、そんなに痛かった?ご、ごめん」
ナミちゃんがしゃがみ込んで俺の顔を覗いてきた。かなり焦った顔をしてる。
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「はーっ、散々な目にあったっス」
「だからごめんって言ってるじゃない。手加減するの忘れてたわ」
あのあと、罪悪感を感じているのかナミちゃんはシュンっとしてしまった。なんか小動物みたいで可愛い
思わず手がのびてナミちゃんの頭を撫でてしまった。しかし昼休みと違って振り払われることはなかった。
ちょっと嬉しいとか思ってしまった
ナミちゃんの顔をチラッと覗き見ると意地悪が成功したときのように、ニヤリと笑っていた。
…ドキン
胸が高鳴った。これが俺とナミっちの出会い
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「ナミっちーー!!!」
「何よ、黄瀬涼太」
「なんでフルネーム!?下の名前で呼んでくださいっス」
「えー…涼太くん?」
「っいいっスねそれ!もぉ、ナミっち可愛い」
「ちょっ、抱きつくなァ!!!」
「グフォッ」
キセキの世代6人目
僕が初めて彼女を見たのは、まだ僕が一年生で青峰くんともまだ仲良くなっていない時
その日帝光中はテスト期間で部活もなかった。参考書を借りようと僕は図書室へ立ち寄った
図書室に入ってすぐに目に入ったのは青峰くんと赤司くん
「征ちゃん、ここ分からない…」
すると、女の子の声が聞こえてきた。彼女の方に目を向けると、オレンジの髪が見えた
「ちょっと待て。今青峰に教えているところだ」
返事をして彼女は疲れたのか伸びをした
そしていきなりこちらを振り返った。一瞬彼女の目が合ったが、彼女は何事もなかったかのように正面に向き直った
これが僕が初めて彼女を見た日だった。僕はあの赤司くんと青峰くと一緒にいた彼女に興味が湧いた
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僕が廊下を歩いているとよく赤司くんと青峰くんと並んで歩いている彼女を見かける。どうやら彼女は赤司くんと青峰くんと仲がいいみたいだ
なんて思っているとある時、眼鏡を片手に持って廊下を走っている彼女とすれ違った。その彼女の後を追いかける、これまたバスケ部の緑間くんを見かけた
またある時は、コンビニでこれまたバスケ部の紫原くんとお菓子談義しながらお菓子コーナーに突っ立っている彼女を見かけた
またある時は、我等がバスケ部の主将である虹村先輩にしがみ付いている彼女を見かけた。…先輩に何してるんですか
またまたある時は、不良で喧嘩っ早いと言われている、またまたバスケ部の灰崎くんを引きずりなが廊下を歩く彼女を見かけた
そして二年生になって黄瀬くんがバスケ部に入って、僕がキセキの世代とも仲良くなった時、黄瀬くんに抱きつかれている彼女を見かけた
どうやら彼女はバスケ部の人と仲がいいらしい。でも、マネージャーではないはずだ
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ある時僕は具合が悪くなったので、保健室へ向かった
保健室の扉を開けると真ん前に保健室の先生が立っていた。どうやらちょうど保健室を出ようとしてたらしい
「どうした、黒子屋…」
この保健室の先生はロー先生といって、クマが濃くて恐そうな人だ
「具合が悪くて…」
「そうか…俺は今から用があってここにいられねェんだ。悪ィな…」
「たぶん少し寝れば大丈夫だと思うんで気にしないで下さい」
「すまねェ。あ、今ベッド使われてんだけど、2人共仮病だからどっちか叩き起こしてくれて構わねェよ」
そう言ってロー先生は保健室を出て行った。二つあるベッドのうち手前の方にあるベッドのカーテンを開けた
「あ」
なんとそこに寝ていたのは僕が興味を持ったあの彼女だった
「あの」
「うーん…もう時間なの?トラ男くーん」
取り敢えず肩を揺すったら彼女は目を擦りながら半分寝ぼけて起き上がった
「あれ、トラ男くんじゃない…」
「ロー先生なら用事があるみたいでさっき出て行きました。あと、すみません、ベッドを…」
「あ、もしかして具合悪いの!?ごめん!」
彼女は慌ててベッドから退いて僕の背中を押してベッドに寝かせてくれた
彼女が手を僕の額に乗っけた
「熱はないみたいね。いつまで寝るの?時間になったら起こすわ」
僕は素直に甘えることにして彼女に昼休みが始まる前に起こしてもらうように頼んだ
「時間になったわよ」
「ありがとうございます。だいぶよくなりました」
「いえいえ。元気になって良かったわ」
そう言って彼女は隣にあるもう一つのベッドにむかった
「大ちゃん!起きて!昼休みよっ!!」
「あー、うっせぇな。もうそんな時間かよ…って、テツ!?」
「どうも」
なんともう一つのベッドに寝ていたのは僕の相棒の青峰くんだった
「大ちゃん知り合いなの?」
「まぁな。テツだ。黒子テツヤ」
「テツね。あたしはナミよ。よろしく」
「どうも黒子テツヤです。ナミさん」
「呼び捨てでいいわよ」
「いえ、癖なんで」
彼女は僕たちをおいて保健室をあとにした
「青峰くん、ナミさんっていい人ですね」
「ケチで暴力的だけどな」
僕は今日、新しい友達ができました
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「テツゥ!!!!」
「重いですナミさん。抱きつかないでください」
「……」
「上目遣いでもダメです」
「黒子っち羨ましいっス」
キセキの世代おまけ1
これはナミが青峰と仲良くなった後、まだ緑間と出会う前の話。
今は放課後。やっと授業が終わって、さぁ帰ろうとしたナミを呼び止めるものがいた。
「ナミ」
「何?征ちゃん」
そう彼女を呼び止めたのはバスケ部副主将の赤司征十郎。
「お前に頼みたいことがあるんだが」
「イヤよ」
「まだ何も言ってないだろ」
「絶対面倒くさい」
「引き受けてくれたら昼飯奢ってやる」
「何なりとお申し付けくださいませ、若」
奢られるとなるとすぐに釣られてしまうナミ。そんな彼女の扱いをすでに熟知している彼。
「実はバスケ部の灰崎祥吾という男子を体育館まで連れてきてほしい」
赤司の話によると、その灰崎祥吾という男はサボり癖があってなかなか部活に顔をださないらしい。近々練習試合があるので絶対部活に出させたいということで彼を探して連れて来いということだった。
「俺が連れきてもいいが、その時間が勿体無いから暇そうなナミに頼みたい」
もちろん奢ってもらえるなら、とナミはその頼みを快く引き受けた。
「どこにいんのよ!」
ナミは図書室、保健室、中庭、いろいろまわったが何処にも彼はいなかった。もう放課後だし帰ったのではないかと一瞬考えたが、赤司がたぶんどこかで寝ていると言っていたのでそれはないなと考え直す。
「あっ!屋上!不良といったら屋上よ!」
なんともベタな考えだがあながち間違っていないみたいだ。
「やっぱり!見つけたっ!」
赤司と別れる前に聞いた灰崎の特徴と合致する人が屋上で寝ていた。
「ちょっと!起きてッ!!」
ナミは灰崎の耳元で大声を出した
「あぁン?うっせーなぁ」
灰崎がガバッと起き上がって耳を押さえる
「誰だテメェ」
そしてナミを睨みつけた
「あんたが灰崎祥吾って男よね?」
なんなんだ、この女とでも言いたげな顔でナミを見る灰崎。
「あたしはナミ!征ちゃんに頼まれてあんたを迎えに来たのよ」
「はっ、なんだ赤司の差し金か。部活なら行かねーって言っとけ」
そうナミに言って灰崎はまた寝転んだ
「それじゃダメよ!あんたを体育館に連れて行ったらあたし、征ちゃんに昼ごはん奢っってもらえるの!!」
「へ〜…お前赤司の彼女か?」
「違う。クラスメートで友達よ」
「ふ〜ん、その割には結構気に入られてるてェだな」
灰崎がニヤリと笑った
「なぁ、ここ座れや」
灰崎が起き上がって自分の隣を叩く。ナミは警戒せず素直にそこに座った。
その瞬間灰崎に押し倒された
「へ?」
「お前を喰ったら赤司はどんな顔するだろうなァ」
灰崎は片手でナミの両手を頭の上で掴み、もう片方の手でナミの口をふさぐように顔を掴んだ
しかしナミもやられっ放しなわけがない。ガブっと顔を掴んでいる手に噛み付く
「いってェー!!」
そしてその隙に灰崎から抜け出した
「ちっ…」
舌打ちしてナミを睨みつける灰崎
「あたしに手を出そうなんて百年早いわ!坊や!」
そう言ってファイティングポーズをとるナミ
「テメェ…つーか女がファイティングポーズとるってどういうことだよ」
なぜかドヤ顔のナミに灰崎はなんか自分が馬鹿らしくなった
「はぁー」
「あら、部活行く気になったかしら?」
「しょーがねェから行ってやるよ」
「よっしゃ!昼飯代浮いた!!」
早く行くわよ、とはしゃぎながら灰崎の腕を引っ張るナミ
こんな女見たことねェ
そんなナミの様子をみて自然と笑みが浮かぶ
こうしてナミは無事に灰崎を体育館まで連れて行くことができた
「じゃーね、灰崎!これからはちゃんと部活出るのよ!!」
「呼び捨てしてんじゃねェ!先輩付けろ!!」
「じゃあハサミくん!」
「そんなダッセー名前付けんじゃねェ!」
「うるさいわねぇ…じゃあ崎ピョンね!またね、崎ピョン!」
「変なあだ名つけんじゃねェ!バカナミィ!」
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「部活でなさいって何度言えばわかるの!殴るわよ!!」
「もう数発殴られてるわ!つーか俺を引きずんなバカナミ!!」
「口答えしないっ!!」
「もぉー、勘弁してくれ…」
キセキの世代おまけ2
「あー…この学校体育館いっぱいあってわかんないわ…」
あたしは今同じクラスの征ちゃんを探している。さっき第二体育館に行ったが、征ちゃんは第一体育館にいると言われた
そう言えば、今までバスケ部の連中とたくさん絡んできたけど部活しているところを見たことはなかった
「ま、あたしは見るより自分がする派だから」
見るだけなんてきっと退屈で寝てしまう
「ここね」
第一体育館に着いて分厚い扉を開ける
「あれ…?まだ部活始まってないの?」
生徒がまばらにいるものの、本格的な練習ではなくて各々好きなようにシュートしたり1on1したりなど自主練のようだ
「あ?ナミ?」
扉の前に突っ立っていると後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえたので振り返った
「あー!大ちゃん!!」
そこにいたのは青峰大輝だった。彼は一年生のときに同じクラスだった
「おー、なんか久しぶりな気ぃすんな」
「クラス離れてからあんま会わないからね」
とは言っても定期的に昼ご飯を一緒に食べることもあれば一緒にサボることもあるのだ
「てか何してんだ?こんなとこで」
「征ちゃんにノート返しにきたんだけど、いないの?」
征ちゃんから借りたノートを大ちゃんに見せて問う
「さっきまでレギュラーだけのミーティングがあったからよ、もうすぐ来ると思う」
そう言って大ちゃんはさっき自分が来た方向に目を向けた。つられてあたしもそっちを見たら目当ての人が資料を見ながらこっちに歩いて来てた
「あ、本当だ」
「まぁな」
何故か誇らし気な大ちゃんを一瞥してまた征ちゃんを見る
「征ちゃん!!」
資料をずっと見ながら歩いているからなのかあたしに気づかないので、頃合いを見て声を掛けた
「ん?ナミか、どうした?」
声を掛けると資料から顔を上げて少し急いでこっちに来てくれた
「お前にノート返しに来たんだとよ」
隣りにいた大ちゃんが代わりに言ったのであたしは頷いてノートを差し出す
「わざわざすまない。ありがとう」
「いやいやお礼を言うのはこっちよ!ノートありがとう!」
それから少しだけ分からない問題を征ちゃんに教えてもらっている(大ちゃんも強制的に教えられている)と聞いたことあるような声があたしを呼んだ
「ナミっちーーー!!!」
「…ん?誰かに呼ばれた気がするわ」
「ナミっち!!」
「気のせいだな」
「気のせいだね」
「気のせいだわ」
「ちょっと、酷いっスよ三人共!」
さっきからキャンキャンうるさいこいつは黄瀬涼太。何故知り合いになったかは…忘れた
「あれ?何であんたここにいんの?」
「なんでって…バスケ部だからっスよ!」
「え、涼太くんバスケ部だったの!?」
「こいつ最近入ったばっかだけどな」
大ちゃんが親指で涼太くんを指差しながらそう言った
「っていうかナミっち、2人と知り合いなんスね」
「まぁ俺は、今と一年生の時に同じクラスだから。青峰は今は違うが一年生の時にクラスが一緒だったよ」
征ちゃんが丁寧に説明すると涼太くんは納得したみたいに、へーそうなんスかと呟いた
「お前黄瀬と知り合いだったのか」
「なんで知り合ったかは覚えてないけど」
大ちゃんとヒソヒソ話していたらまたあたしを呼ぶ声が聞こえた
「ナミちーーん」
「あーくん!!!」
紫色の髪の毛をした長身の彼、紫原敦が手を振ってこっちに来たので、あたしも全力で手を振り返した
「なんなんスか、この差」
キセキの世代おまけ2ー2
「あ、真太郎とテツもいる!」
「久しぶりなのだよ」
「どうも」
むっくんの後ろにお祭りとかでよくあるりんご飴を持った緑間真太郎と水色の髪の毛をした黒子テツヤがいた
なにあのりんご飴、おは朝鬼畜かよ…
「ナミっちみんなと知り合いなんスね…」
「まぁね」
そんなことよりもあたしは真太郎が持っているりんご飴の方が気になる
「ナミ、りんご飴見過ぎだ」
征ちゃんに言われて一瞬テツを見たが、すぐに目は真太郎のりんご飴を捉える
「ちーっす。遅れましたー」
そう言って現れたのは灰崎祥吾
なんだかその場の雰囲気が悪くなった気がする。涼太くんの眉間にシワが寄っていた
「遅刻だ灰崎」
「ワリぃワリ…な、ナミ?」
「よっ、崎ピョン」
「変なあだ名で呼ぶな!あー!俺用事あったわ、帰る」
そう言って彼は逃げるように去った。何なのよあいつ
「ショーゴ君とも知り合いなんスね」
涼太くんの問い掛けに応えようとしたら、違う人の声に遮られた
「おいテメェら!!何してんだぁ」
「あー主将だ〜」
あーくんがそう言ったのでバッと声がした方を向く。するとその人と目があった
「あ?…お、お前「修兄!!!」
勢いよくその人の方に向かって走り、そのまま正面から飛び付いた
「「「「「え?」」」」」
「…ナミさん、何してるんですか?」
「え、修兄に抱き付いてる」
「ちょ、お前離れろって!一々抱き付いてんじゃねぇよ!」
グイグイと修兄はあたしを引き剥がそうとするが、必死に食らいつく
キセキのみんならはポカーんとその光景を見ている
何分かその攻防戦を繰り広げたが結局修兄が諦めた
「主将とも知り合いだったんスか!?」
「知り合いっていうか、家が近所なんだよ」
「修兄とがこの中で1番付き合い長いわね。アネキとアニキのことも知ってるし」
そう言いながら降りたら、あー重かったと言われので今度は後ろから飛び付いた
「ちょっ、首締めんじゃねぇ」
「ナミ、そろそろ降りたらどうだ」
「主将困ってんぞ」
「そうっスよ!」
なんだか若干不機嫌な声になってる気がする
どうしたのよ、こいつら?
「ナミさん、そろそろ練習始めるみたいなので降りてください」
「ナミちーん、ほら峰ちんの財布あげるから」
「あっ、テメ、紫原!!」
はっっ!!分かった!こいつらも修兄におんぶされたいのね!!!
「くっ…お、お金で釣れるとお、お、お、思わないでよっ!!!」
「思いっきり釣られそうじゃねぇか」
「修兄は黙って!あんたたち、そんなことまでして修兄におんぶされたいの!?」
(((((いや、ちがうわ)))))
(少しおバカなんですねこの子)
(何キモいこと言ってんだナミのやつ、つーかどうでもいいから早く降りろ疲れた)
「訳がわからないことを言うな、先輩に迷惑がかかっているのだよ」
「じゃあ真太郎がりんご飴くれたら降りる」
そう言った瞬間バッとみんなの視線が真太郎にいく
「ぜ、絶対ダメなのだよ!」
くそ…でもあたしは諦めないわよ。そのりんご飴を見た時から、私の脳内はりんご飴一色なんだから!
「はぁー…しょーがねぇ…帰り何か奢ってや「早く練習を始めなさい!!」
奢ってやると聞いて速攻で修兄から降りた
「まだ最後まで言ってねぇよ。ってか切り替え早ぇし、何で上から目線なんだよ」
キセキの世代おまけ2ー3
「おい、ナミィー」
「んぁ?」
あれ…いつのまにか寝てた
「ほら、家ついたぞ」
あたしは修兄におぶられていた。たぶん修兄を待っている間に寝てしまったんだ
「奢るのはどうなったのよぉ…」
まだ覚醒しきっていない頭でそう尋ねる
「お前が寝てたから適当にお菓子買った。フルーツキャンディでよかったか?」
「にじむー!流石ね!あたしのこと分かってるわ」
「はいはい。あとそのあだ名はやめろ。そして早く降りろ。ナミゾウがこっち見てる」
今から何処かに出掛けるのか、確かに兄のナミゾウが玄関の前に突っ立って、修兄を笑顔で殺気を放って見ている。
このままでは修兄がかわいそうになってしまうので仕方なく背中から降りる。
「じゃーな、ナミ」
「うん。またね」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「修造お父さん聞いてよ!!ナミゾウがね!」
「おいコラぁ!そのあだ名やめろ!!あと抱き付くな!!!」
赤(別に羨ましくないからな)
青(チッ)
黄(俺にも抱き付いてほしいっス)
紫(俺のナミちんが〜…)
緑(あの後結局りんご飴取られたのだよ)
黒(………)
キセキの世代おまけ3
最近、大ちゃんの口から“ナミ”という名前がよく出てくる
一年生の時に同じクラスで、今も定期的にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られてるらしい
これは、大ちゃんの幼馴染として、日頃のお礼を言わないと!!
さっそく、昼休みにナミさんのクラスへ行ってみる。
「ナミさんいますか?」
「あ、あたしあたし!どーしたの?」
ナミさんはオレンジの短い髪の毛を二つに結っていて、黒いセーターを着ていた。
「桃井じゃないか。どうしんだ?」
「征ちゃん、この子のこと知ってるの?」
「ああ。バスケ部のマネージャーの桃井さつきだ。」
「そうなの…あたしは朱崎ナミ!よろしく!」
赤司くんと仲が良いいというナミさん。だからあの愛想のかけらもない、ただただエロいだけのガングロとも仲良くやれるわけだ。
「ナミさん、いつも青峰くんと仲良くしてくれてありがとうございます。」
「何でさつきがお礼言うの?」
「桃井は青峰の幼馴染なんだ。だからだろう」
「あいつと一緒にお昼ごはんを食べたり、一緒にサボっては赤司くんに怒られたり…迷惑ばっかりかけて、これからもかけると思いますけど、これからもよろしくお願いします。」
深々と頭を下げる。すると、ナミさんは私の頭を撫でてきた。
「さつきって何か可愛い犬みたい…どっかの駄犬とは違う、賢くて可愛い犬」
…きーちゃんだ、駄犬ってきっと。
「それに、お礼言うのはあたしの方だもん!」
頭を上げると、ナミさんはニヒッと笑って赤司くんの肩に腕を置いていた。
「あたし、征ちゃんと大ちゃんはもちろん、あーくんと涼太くんとテツと真太郎と出会って、中学生活すっごく楽しいの!」
涼太くんには調子乗るから言わないけどね、と付け足しながらも、ナミさんは嬉しそうに笑っていた。
「だからあたしは、みんなにお礼を言うの!」
それ以降私は、ナミさん…ナッちゃんと仲良くなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ナッちゃん!この服おそろいで買おうよ!」
「あ、安いし、動きやすそうだしいいわね!」
「じゃあ私、黄色にします!」
「じゃあ、あたしは白!」
「…女の子っていいっスよね、青峰っち」
「あァ?どこに女の子とやらがいるんだよ…ゴフッ」
「何か言ったかしら?」
やばい。かなりやばい。どれくらいってゆーと、すごくやばい。
「ナミっちと校門で会えるなんて珍しいっスねー!」
「何が校門で会えるなんて、よ!!あんたがあたしを待ち伏せしてたんでしょーがッ!!」
「たまたまっスよ〜、たまたま」
隣でシャララしてんのは、キセキの世代の1人でモデルをしている黄瀬涼太。
一緒に歩いていると、周りの女の子の目が痛い。ヒソヒソと悪口を言う子もいれば、わざと聞こえるように言う子もいる。…気付いてないのか、この駄犬は
「ナミっち聞いてるっスか?そこで青峰っちが〜…」
そこへ、車が校内に入って来た。少し反応が遅れた。すると、涼太くんが腕を引いてくれて轢かれずに済んだ。
「大丈夫っスか!?ナミっち!!」
抱き締められている形になってしまったので、周りからは悲鳴が聞こえる。
「ッ大丈夫だから!!」
あたしは急いで涼太くんを押しのけた。そして、置いて行くようにスタスタ歩く。
「ナミっち、どうしたんスか?悩みごと?」
小走りで追いかけて来た涼太くんは、あたしの頭に手を置いた。
「ッ何でもないわよ!」
頭に置かれた手を振り払って、歩くスピードを更に上げる。…これ走ってるくね?
「ナミっち、俺怒らせるようなことしたっスか?」
すると、女の子たちが涼太くんの周りにたくさん集まって来た。みんなあたしを睨んでいる
「黄瀬くん、朱崎さんなんか放っといて私と教室行こ〜?」
「黄瀬くんに近付かないでよ。まじキモイし」
「何か勝手にキレてるし。意味分かんない」
意味分かんないのはこっちよ、という言葉を込めて女たちを睨み付けてから、あたしは本気で走った。
「ちょ、ナミっち!!」
涼太くんは女の子たちを振り払ってあたしを追いかけて来た。あたしもがんばって逃げるけど、やっぱりバスケ部には敵わない。あっという間に追い付かれた。
「ナミっち!!どうしたんスか!?俺、何かしてたら謝るっス!!!」
腕を掴まれて、振り払おうにも振り払えない。これが男女の差か
「何でもないって言ってるでしょ!!?あんたのそのしつこいところ、うざいのよ!!」
言い終わってからハッとした。涼太くんの顔を見ると、酷く傷付いた顔をしていた。
「ご、ごめん、涼太く「ごめんっス、ナミっち…俺、うざかったっスよね。…もうしつこくしないっスから…」
そう言うと涼太くんはあたしを置いて教室に向かった。
あたし、友達を傷付けた…!
最低だわ
「…先生、お腹痛いんで保健室行って来ます」
その日、なかなか気分が上がらないあたしは、保健室へ向かった。
「トラ男くん、ベッド貸して」
「…先客がいる」
は?誰よ!と思ってカーテンを開けると、大ちゃんだった。…つーか隣のベッド空いてんのにカーテン閉めてんじゃないわよ、不良教師!!
「…大ちゃんあたしね、最低なの。涼太くんのこと傷付けちゃった。うざいって言っちゃった…もう…、嫌われたかな…?」
寝てる大ちゃんに、自分の気持ちを言ってみた。最後の方が、鼻声になる。
「あたし本当は涼太くんのこと、大好きなんだよ…?征ちゃんも大ちゃんも、真太郎もあーくんもテツもさつきも…みんな大好きなのに、何で素直になれないのかな…?」
涙が出て来て、あたしは急いで隣のベッドに潜り込む。すると、大ちゃんの声がした。
「その気持ちを伝えたらいいんじゃねぇの?それに、あいつがうざいのは元からだろ」
大ちゃんの方を見ると、目を瞑ったままで。天邪鬼のあたしに気遣ってくれたんだ。
「……何か、気遣いのできる大ちゃんとか…大ちゃんじゃないみたいで正直キモイ…」
「っテメ、ナミ!人がせっかく気遣ってやったのに「でも、ありがとう。何か元気出た!」
お礼を言うと大ちゃんは少し黙ってから、照れ臭そうに笑いながらおう、とだけ返事をした
「あたし、涼太くんにちゃんと言うわ!自分の気持ち!うざいけど、大好きだって!あ、もちろんあんたたちも大好きだからね!」
そう言ってあたしは、保健室を出た。狙うのは、涼太くんが部活に行く前か、帰る前。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「でもサボったことは征ちゃんに言っとくから」
「はァ!?お前もサボろうとしてただろーが!共犯だよ共犯!!!」
「私はお腹痛かったのよ。もう治ったから教室に戻ります」
「あ、テメ!ナミィ!!」
ナミっちに、しつこいところがうざいと言われた。我慢、させてたんスかね?
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ナミっち!聞いてっス!昨日の試合で俺…」
「活躍したんでしょ?知ってるわよ」
「え、なんで!?見に来てなかったっスよね!!?」
「修兄がメールですっごく褒めてたから!すごいじゃない、涼太くん!」
こうやって、試合で活躍したことを知ってもらったら、頭を撫でてくれてり
「ナミっちー!!聞いてっス!!」
「ハイハイ、聞いてるわよ。今日は何?」
「青峰っちにまた1on1で負けたっスー!!」
女の子が近くにいなければ、抱き付いても殴られたりはしなかった。
「ナミっち、今日の弁当うまそうっスね!卵焼きちょーだいっス!!」
「あ!!取ったわね〜!購買でパン買って来なさい!!私のおかずはタダじゃないのよ!」
「じゃあ、俺のコロッケあげるっス!!」
「……もらっといてあげる。でもいつか、絶対パン買わないと許さないから、ね?」
「りょ、了解っス…」
普通に会話することもあった。…姿を見ては駆け寄って、抱き付くと思い切り殴られてたけど、それでもナミっちは怒った後は必ず笑っていた。
全部、むりやり笑顔を作ってやってたんスか?ナミっち…
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「先生、気分が悪いので保健室に行って来るっス」
先生にそう言って、保健室に向かう。ロー先生に声をかけて、ベッドで寝ようとした。するとナミっちの声が聞こえたから、カーテンを開けようとしていた手を思わず止めた。
「…大ちゃんあたしね、最低なの。涼太くんのこと傷付けちゃった。うざいって言っちゃった…もう…、嫌われたかな…?」
どうやら、青峰っちに話しかけてるようで、彼女の声は最後の方になるに連れて鼻声になった
「あたし本当は涼太くんのこと、大好きなんだよ…?征ちゃんも大ちゃんも、真太郎もあーくんもテツもさつきも…みんな大好きなのに、何で素直になれないのかな…?」
きっと彼女は涙を流している。布団をゴソゴソする音も聞こえた。
良かった…嫌われたんじゃないんだ。そう思うと、気分が良くなって来た。急いで教室に戻る
ナミっち、俺も君が大好きっス
でも、まだ心の準備ができてないから待ってて欲しいっス
ーーーーーーーーーーーーーーーー
(はっ!!もしかしてアレはナミっちの愛の告白だったのでは…!?だとしたら俺は…昇天するっスーー!!!)
「何ニヤニヤしてんの?黄瀬ちーん。気持ち悪いんだけどー」
「ニッ!?ちょっ、紫原っちひどいっスよー!」
授業が終わって、すぐにあたしは教室を出た。体育館の前で涼太くんを待つ。
「ッ涼太くん!!」
「な、ナミっち!?」
声をかけると、逃げられてしまった。あたしはすぐに追いかける。
「涼太くん待って!待ちなさい!!」
中庭に逃げられたけど、それが運の尽きね。女子たちが騒いでるところに黄瀬涼太よ!!
「涼太くん!!」
女子たちをかき分けて必死に涼太くんのところへ行く。それでも涼太くんは逃げる。
「っなんなのよ、あの駄犬は…!!」
あーー!!もうっ!怒った!!!!
あたしは急いで中庭を見渡せる階段へ向かう。そして、思い切り叫んでやった。
「黄瀬涼太ーーーー!!!!!」
あたしの声は中庭の隅々まで聞こえただろう。涼太くんを囲んでた女子たちも、涼太くんも、部活に行く途中だった人も、みんなあたしの方を見る。
「あんた逃げてんじゃないわよーッ!!!あたしが待てっつったら待て!!!」
「なに?あの女!!」
「黄瀬くん、無視していいからね!!」
聞こえるように言ってるであろう女の子たちの声を無視して、私は階段を飛び降りた。
「あ、危ない!!」
一番上から飛び降りると、涼太くんがキャッチしてくれた。
彼の腕をガッシリ掴む。
「え…」
「捕まえた♡」
ニヤリと笑うと、涼太くんは冷や汗をかいた。だけどもう、逃がさない。
「な、ナミっち「聞いて、涼太くん」
真剣な表情をすると、そのままの体勢で涼太くんも真剣な表情でこちらを見る。
「たしかにあんたはうざいし、しつこいけど、それが涼太くんじゃない?」
「へ?」
「あたしはそこにはなんにも思ってないのよ。…ただ、周りの女の子の目を気にしてただけなの。」
「ナミっち…」
「だからあたしは、もう女の子の目を気にせずにあんたと接する!!むしろ、何かされたら倍にして返してやるわ!!」
「ナミっちが言ったら倍返しって冗談に聞こえないんスけど!」
「何言ってんのよ。冗談じゃないからいいじゃない」
「ちょっと!!?」
「冗談よ」
あれ?何だかいつもの感じに戻ってない?あたしは何だかおかしくなって、笑いだした。
「どうしたんスか?ナミっち」
「ふふっ!だって、仲直りできたんだもん!」
「ふはっ!そうっスね!!仲直りっス!」
しばらく2人で笑い合っていると、女の子たちの中からあーくんがやって来た。 ヒョイっとあたしはあーくんによって、涼太くんの腕からあーくんの腕に引っ越しする。
「仲直りおめでと〜黄瀬ちん、ナミちんー。でも部活始まるよー」
むっくんの言葉に、涼太くんはハッとして女の子たちをかき分けて体育館へ向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「仲直りしたから、ハグしようよナミっち!」
「は?調子乗るんじゃないわよ、駄犬」
「ナミちん俺は〜?」
「あーくーーーんッ!!!」
「差別を感じてるっス!!」
「しっしっ、あっちへ行きなさい。駄犬」
「ひどいっスー!!」
今日は卒業式である。ナミやキセキの世代たちがお世話になった虹村や、逆にお世話をしていた灰崎が卒業する。
「修兄ー!!」
「抱き付くなナミ!涙と鼻水が付くじゃねぇか!」
「だって修兄がいなくなるのよ!?寂しいじゃない!」
「おいコラ修造!!俺のナミにくっ付くんじゃねーよ!!!」
「うっさいナミゾウ。修造、おめでとう。」
虹村と家族ぐるみで仲が良い朱崎家は、家族全員で虹村の卒業式を見に来た。ちなみに、ナミは二年生なので必ず来なければならない。
「ナミゾウ!あんたの妹が勝手にくっ付いてくんだよ!!あとノジコ、ありがとよ!!」
虹村に抱き付くのが終わったかと思うと、次は灰崎を探すナミ。 その間にナミゾウはキセキの世代へ警告をしておく。
「テメェらァ!!ナミにちょっとでも触れんじゃねェぞ!ナミは俺のだ!!」
「いや、あんたのじゃないから。犯罪だから、それ。ってゆーか、あんたたちがナミがいつも話してる友達?いつも妹がありがとね」
「いえ。俺たちもナミの存在には感謝してますので。これからも、よろしくお願いします。」
赤司の完璧な挨拶にナミゾウはうっ、と何かが詰まった。
「必要以上に近付くなよ…」
「…? はい。一応、肝に命じておきます」
「一応ってなんだよ!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「崎ピョーン?」
「ナミさん」
「ひっ!…って何だテツか」
背後からいきなり黒子に声をかけられ、驚くナミ
「灰崎先輩なら、屋上にいるそうです」
「は?卒業式なのに?まったく…あんの不良は最後まで世話が焼ける…」
ぶつくさ言いながらも、黒子にお礼を言ってから屋上へ向かう。黒子はいつものポーカーフェイスで、ただナミの背中を見つめていた。
「灰崎祥吾ーーー!!!!」
「うるせぇバカナミ!!…んで、何の用だよ」
「あんた卒業生でしょ?みんなと写真撮らないの?」
「…撮らねぇよ。別にもうバスケ部でも何でもねぇし」
「ふーん…じゃああたしが撮ってあげる!」
持っていたケータイのカメラを開いて、無理やり嫌がる隙も与えずに灰崎と肩を組んで、写真を撮る。
「あ!!ブレてる!何で!!?」
「…ったくしょーがねェなぁ…貸せ」
「きゃっ」
ケータイを奪い取り、ナミを押し倒してその隣に自分も寝転ぶ。
「カメラ見ろ」
「あ、はいチーズ!」
カシャッ
2人の手でカメラを持ち、シャッターを押す。
「あ、ブレてない!!」
「へっ、俺が押したからな」
ナミがカメラロールを確認すると、ムフッと笑った。
「おい、俺に送っとけよ。その写メ」
「ぜーったいいや!じゃぁね〜」
「あ、テメ、バカナミィ!!!」
写真の中の2人は、心の底から笑っていた。
「虹村お父さん!」
「だからそのあだ名やめろ!!」
崎ピョンと写メを撮って、修兄や征ちゃんたちがいるところに戻る。
修兄は中学を卒業したら、アメリカに行っちゃうから本当にお別れだ。
「修兄、一緒に帰りましょ!」
「おう。っつーかナミゾウとノジコは?」
「先に帰ったわよ」
みんなと写メを撮り終わってから、家が近い修兄と帰る。何か話そうと思ったけど、口を開けば涙と鼻水が出そうだから話せなかった。
「ね、ねえ修「ナミ…」
それでも話そうと思ったら、修兄があたしの名前を呼んだ。
「どうしたの?修兄…」
「ん、」
修兄はあたしの肩に顔をうずめた。
「…やっぱさー、あいつらと離れるってなったら寂しいんだわ…」
あたしは抱き締めることも、頭に手を置くこともしない。きっと修兄はそれを望んでないから
「緑間はおは朝占い信者だし、青峰はアホでエロいし、黄瀬は何かうざい駄犬だし、紫原はお菓子ばっか食ってるし、黒子は何考えてるか分かんねぇし、赤司は…、いや、何でもねぇ…」
何で征ちゃんのことは言わないのかは謎だけど、要するに修兄は、みんなのことが大好きで、すっごく心配なのね
「キャラが濃いやつばっかでさ、退屈しねぇですんだしな…」
それは分かる。みんなといたら、それだけで楽しい。それに、さつきと崎ピョン、他の先輩もいたらもっと楽しい。
「いざってなるとさー…不安だわ」
「…ったく、何言ってんのよ。」
修兄の肩を押して、顔を上げさせる。そして、真っ直ぐ目を見つめる。
「あんたがしんみりするって柄じゃないでしょ!あいつらのことは、あたしがあんたの分まで面倒見るから!!あんたは安心してアメリカに行きなさい!」
「…そうだな。」
修兄の家の前でお別れ。あたしはバシッと背中を叩いてやった。
「不安になったらいつでも帰って来なさいよね!あたしが背中を叩いてあげるから!!」
「おう!ありがとな、ナミ」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「……行くのは二週間後だけどな」
「わ、忘れてた…」
「…外で会っても話しかけんなよ、恥ずいから」
「あたしだって恥ずかしいわよ…」
「おい修造、ナミ。修造んチでパーリーだぞ。はやく来い」
「アニキ!!あんたが一番恥ずかしいわ!!」
「はぁ!?お、おい修造!」
「あー…これは俺にはどうにもできねぇわ」
「はァァァ!?」
あたしは3年になってから、よくバスケ部を見学するようになった。
「ナミっち!!クラス一緒っスね!」
「俺もなのだよ。」
あたしたちのクラスは変わり、ずっと一緒だった征ちゃんと離れて、涼太くんと真太郎と一緒になった。
「真太郎、ナミのことは頼んだよ。サボったりしてたら止めてくれ。…殴ってでも」
「あたし死ぬわッ!!!」
変わったのはクラスだけじゃない。
征ちゃんもだ。
初めて違和感を感じたときは、部活の新人かと思った。本当に別人になったんだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「誰よ、あんた」
「…僕の存在に気付いたのは君と虹村さんぐらいだよ。」
修兄も気付いてたんだ…ってことはやっぱり征ちゃんじゃないってこと?
「僕は赤司征十郎。もう1人の赤司征十郎だ。赤司征十郎が、勝者を必要とする赤司から自分を守る為に僕は作り出された。」
「……どういうこと?」
「負けてはいけない、負けると赤司じゃない、という赤司征十郎の思いが“僕”ということさ」
背筋が凍りそう。征ちゃんの“勝ち続ける重圧が歪んだ形で姿を現した姿”がこの赤司征十郎なんだ…
「征ちゃんは病院に行ったの!?」
首を横に降るもう1人の征ちゃんにあたしは、なぜか自分が泣きたくなった。
「赤司の家がそれを許さない。赤司の家の人間が、精神病院に行っていたら示しがつかないからね。」
あたしの大好きな征ちゃんを…みんなのリーダーである征ちゃんをこんな風にしたのは、“赤司の家”だと考えると、怒りが湧いて来た。
「それが親のすることなの!!?息子よりも、自分の家が大切なの!?今、征ちゃんに赤司の家がやってることはは人間がすることじゃないッ!!」
そう大声で言うと、もう1人の征ちゃんはふっ、と笑った。少し、ドキッとする。
「ありがとう。しかし、赤司の家に生まれたんだ。こういう扱いは慣れてるよ。それに…」
最後の方は聞こえなかったけど、あたしは征ちゃんを抱き締めた。
「あなたが征ちゃんを守ってくれるの…?あなたが征ちゃんに危害を加えたらあたし…」
「彼は僕の守る対象だ。安心しろ、危害は加えないよ」
あたしが言い終わる前に、征ちゃんを守る対象だと言ったもう1人の征ちゃんに安心して、離れる。
「あんたはあたしが知ってる征ちゃんじゃない…けど、あんたも征ちゃんよ。だから、あたしは征ちゃんが2人いても別にいいと思うの。大好きなのは、変わらないから…」
「ああ。ありがとう。僕は君だけには、嫌われたくないからね。」
「じゃ、体育館に行きましょう?“征十郎”」
「ああ、そうだね。行こうか」
全くの別人を作り出した征ちゃん。征ちゃんと征十郎は、どういう関係?征ちゃんは征十郎を知ってるの?
分からないことだらけだけど、唯一分かったことがある。
それは、どっちもあたしの好きな赤司征十郎ってことは、変わりないってこと。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「ナミ、僕のタオルを取ってくれないか。」
「ああ、これ?はい」
「ありがとう。」
「征十郎!」
「?」
「いいプレー、できてんじゃん!」
「…当たり前だろう。僕は勝者にふさわしいのだから。」
今日は部活がないから早急に家に帰って、コンビニに行くと、高校生ぐらいの人が黒飴を買っていた。背はむっくんより少し低いぐらいかな
…にしても黒飴って、チョイス渋すぎでしょ
まあ、いいわ。私はまいう棒の新しい味、いちごキャラメル味を食すのだから!!
すると、黒飴チョイスくんもまいう棒に手を伸ばした。しかもそれは、私のお目当のいちごキャラメル味。こいつ…できる!!
「あなたもこの味が気になるの?」
「ああ、俺もまいう棒好きでさ。発売初日から気になってたんだ」
「私も!ねえ、ちょっと話さない?」
「いいよ。俺は木吉鉄平」
「私はナミ!よろしくね!!」
木吉鉄平…?どこかで聞いたことがある、ような…あ!むっくんが「木吉鉄平うぜー」的なことを一時期言ってたわね…この人か
「木吉さん、あなたって誠凛の人よね?そこってバスケ部新しくできたんでしょ?どんな感じなの?」
「鉄平でいいよ。んー、監督がすごく怖いかな。でも、俺たち選手のことを考えてくれてるから頑張れるんだ」
「きゃー!監督愛されてるー!!」
監督が女なのか男なのかはさておき、ウチの監督はおっさんだし、髪白いし、あんまり指導しないと思ったらすごい練習ねじ込んでくるし…
「そうだ、ナミさん。さっき黒飴買ったから食べるか?」
「頂くわ!あと、私もナミでいいわよ!あなた先輩だし!」
鉄平さんと黒飴を食べる。黒飴は渋くて大人の味。うん、美味しい。
「ナミは中学生か?」
「ええ、そうよ。もう受験生!」
「そうか。もう高校は決まってるのか?」
「海賊高校行きたいけど、心配なやつが2、3人いるからそっち付いてくかも。でも誠凛も何だか気になって来たわ!」
心配なやつってゆうのは、涼太くんと大ちゃんと征十郎。
涼太くんは女の子に手ェ出しそうだし、大ちゃんは最近不良化してるし、征十郎は二重人格。
でも、涼太くんもさすがにゴミクズじゃないだろうし、大ちゃんにはさつきがいるし、征十郎も何とかやっていけるだろう。
あーくんとテツと真太郎は特に心配はないけど…そいつらも心配っちゃぁ心配
「ま、ナミが最終的に行きたいと思ったところに行けばいいんじゃないか?誠凛はナミを歓迎するよ」
鉄平は私の頭をポンポンと叩いた。誠凛かぁ…気になるな…
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「鉄平さん、あんた掃除してから帰るのよ」
「難しいんだ、これ」
「だからって辺り一面が飴まみれになるまで挑戦しなくてもいいわよっ!!」
「口に入れるまでやりたかったんだ」
「知るかァッ!!!」
「真太郎ー!」
ドスッと緑間の前の席にナミが座る。緑間はハァ、と溜息を吐いた。
「ちょっと聞いてよ!今日校門で涼太くんと会ったから一緒に教室行ってたら、女子に囲まれたのよ!」
「……」
「ちょっと!!聞いてんの!?」
「ハァ…それが何なのだよ」
読んでいた本を取られて、緑間は二度目の溜息を吐いた。
「囲まれるのは慣れたからいいんだけど、一部の女子に紙投げられたのよッ!!おかげで髪の毛がボサボサだわ!!」
チラリと視線を髪の毛に変えると、確かにいつも彼女の髪の毛はキレイに揃えられ、二つに結われているが今日はボサボサで、下ろしていた。
「だいたいねぇ、紙投げるくらいなら石投げなさいよっ!石投げられてこっちが血ぃ出したら反撃できるじゃない!!」
ナミはすぐそばに会ったバットを投げた。緑間が慌ててバットを取りに行く。
「このバットは俺の今日のラッキーアイテムなのだよ!!迂闊に触るな!!」
「触ったんじゃないわ。投げたのよ」
「屁理屈言うんじゃないのだよ!!ハァ…」
後ろを向いて、バットに傷一つ付いていないことを確認した緑間は、ナミに向き直る。
「何がしたいのだよお前は」
「反撃」
「真顔で言うな」
「冗談よ。今日部活オフでしょ?」
「ハァ…お前が言うと冗談に聞こえないのだよ」
「ちょっと手伝いなさい」
「なぜ俺だ?黄瀬に近付くなとでも言えばいいのだよ」
「涼太くんにそれが言えたら楽よ!でも、ぜーーったい傷付くわ!!だから手伝いなさい!」
「ハァ…分かったのだよ。何をすればいい?」
「取り敢えず、涼太くんがあたしに近付いて来たら追い払って。それでも紙投げられたら、容赦しないわ!!」
緑間は今日何度目になるか分からない溜息を吐いた。
授業が終わって帰る準備をして、ナミっちの席の前に急いで行く。
「ナミっち!一緒に帰ろうっス!」
「あ、ごめん涼太くん。今日は真太郎と帰るのよ。」
「え、じゃあ俺も緑間っちと帰るっス!」
「行くのだよ、ナミ。じゃあな、黄瀬」
「あ、はーい!また明日ね!涼太くん」
…は、ハブられたーーーー!!!!!!なんで!?緑間っちはともかくナミっちまで!!ひどい!超ひどいっス!!
「黄瀬くん!一緒に帰らない?」
「今日朱崎さんいないの?やったー!」
「ご、ごめん。今日は1人で帰る…」
テンション下がりまくりで、帰り道はずっと下を向いていた。前を見るとナミっちが緑間っちと紫原っちに挟まれて帰っていた。
…紫原っち!?俺は断られたのに紫原っちはいいんスか!!?やばい、まじでハブられてる…
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「おい、さすがに黄瀬が可哀想なのだよ」
「今日は何で周りに女子がいないのよ!石でも何でも投げに来なさいっての!!」
「ナミちん鬼みたいだよ〜」
「なんですって!!?」
「落ち着くのだよ。紫原もこいつをキレさすようなことを言うな」
すると、路地から紙が投げられた。その紙はナミの頭に当たる。
「っ、また紙!?ってか、涼太くんの周りの女の子が投げてるんじゃないの?」
紫原と緑間はその紙を見てあることに気がついた。その紙は、ぐちゃぐちゃでよく分からないが、紙飛行機らしき形をしていたのだ。
「ナミちんその紙貸して〜」
ゴソゴソと紙飛行機を開くと、中には文章が書いてあった。
「…あなたはこの世に舞い降りた天使です。僕は君の笑顔にハートを撃ち抜かれました。この汚い世界の中で輝くあなたは、まるで僕を助ける為に現れた天使。汚れなき僕の愛しい天使…はぁ?何なのだよ、この迷惑な手紙は」
「続きあるよー。君を幸せにする為の計画を立てました。一緒に愛を紡ぎませんか。お返事待ってます…ってこれ、ラブレターじゃない?」
「宗教の誘いじゃないのか?」
「ミドチン、宗教が愛を紡ぎませんかとか言う訳ないし。まじ恋愛には鈍いね〜」
「うるさいのだよ紫原!!…これは返事をするしかないのだよ。はっきり断れ」
「えー、でも、この人がお金持ちだったら私が幸せにするわ。」
「金で人を決めるな!!…とにかく、断るのだよ。」
「…ナミちん、これ俺もちゃんと断った方がいいと思う〜。これ、ぜってー後からストーカーとかになるタイプだし」
「そこまで言われるのなら…名前書いてないの?」
「汚すぎて読めないのだよ。明日、返事を書いた手紙を紙が飛んで来た方に投げるのだよ」
「分かった。」
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ーー優しくしないでって思ってるんでしょ?
「え…」
声が聞こえたので、ナミは後ろを振り向いた。しかし、誰もいない。ナミの行動を不思議に思った緑間は、ナミに尋ねる。
「どうしたのだよ、ナミ」
「……別になんでもないわ!行きましょ!」
(あの声はたしかにあたしだった…どういうことなの…?)
ザワザワと胸騒ぎがする。この胸騒ぎはいったいなんなのだろうか。
ーーいつかあんたは、私に縋り付く
そう聞こえたナミは、赤髪の彼の顔を無意識に思い浮かべていた。
「真太郎、おはよう」
「遅いのだよ、ナミ」
朝、校門で涼太くんと会ってもいいように真太郎に家まで迎えに来てもらった。
「おい緑頭!ナミに手ェ出すんじゃねェぞ!」
「なによナミ。彼氏いるなら言いなよ〜」
「なっ、か、彼氏!?俺は認めねェぞそんなの!」
「うっさいバカアニキ!!こいつは彼氏じゃないっての!」
「どうも、緑間真太郎です」
「行くわよ真太郎」
後ろでガヤガヤと騒ぐナミゾウとノジコを放って、あたしと真太郎は学校へ向かう。
「返事は書いたのか?」
「うん。…お手紙ありがとうございます。あたしはあなたのことを知らないので、お付き合いはできません。さよなら。…どう?」
「いいと思うのだよ。後は今日も手紙が投げられた方に投げるだけか…」
校門につくと、女の子たちが集まっていた。これはきっと涼太くんね
「ナミっちー!緑間っちー!」
「くそ、駄犬が…!行くわよ真太郎!!」
「おい、俺を引っ張るな!」
あたしは涼太くんを無視して、真太郎の手を引っ張って教室へと向かう。
「った…あ、紙だわ」
「っ見せるのだよ」
すると、また紙が投げられた。桜の木の後ろ辺りからだ。真太郎に見せると、これは昨日のものと同じだと言われた。
「早く返事の手紙を投げるのだよ」
「分かった!」
真太郎に言われた通り、桜の木の後ろ目掛けて紙を投げる。その紙はすぐに拾われた。
「ひとまず、これで大丈夫なのだよ」
「うん!ま、次紙投げて来たら殴るだけだけどね」
あたしは上機嫌で真太郎と教室に行く。
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「すいません、朱崎ナミ先輩いますか?」
「ナミならいるよ。おーい!ナミー!!」
「ん?なに?」
「1年の子が呼んでるー!!」
昼休み中、ナミが緑間と黄瀬と弁当を食べていると、友達に呼ばれた。
「どうしたの?あんたは?」
「あ、あの、僕はあなたへ手紙を書いてた男です!」
「ああ、あんたがね!それで?」
「その、話があるんで来てもらっていいですか?」
ナミは直接告白でもされる、と思い緑間と黄瀬に適当に理由を告げてから1年の男の後を付いて行った。
「…にしてもナミも罪だね〜」
「どうしたんスか?」
「ああ、ナミが一年に告られんの。あの子顔可愛かったし」
「ナミっちは俺の彼女なのに!!」
「別にお前の彼女ではないのだよ。…しかし、嫌な予感がするのは気のせいか…」
緑間は深刻な顔でメガネをカチャッと上げた。
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“ナミっちは俺の彼女なのに!!”
「ちょ!なに録音してんスか!」
「これはナミのお兄さんに報告しとくのだよ」
「俺死んじゃう!!」
「で、私に何の用なの?」
「僕、先輩の手紙読みました。ちゃんと返事書いてくれて嬉しかったです。」
1年生の男の子につれて来られたのは、あたしの5組から少し離れたもう使われてない教室。告白の場所ではベタっちゃぁベタね
「先輩は僕のことを知らないとおっしゃってましたよね?」
「え、うん。だからあんたとは付き合えないの。ごめんなさい」
「大丈夫ですよ。安心してください」
「本当?良かったぁ…」
「今から教えてあげます」
「え、」
ガシッと肩を掴まれた。力が入ってるのだろう。すごく痛い。
「僕が先輩の体に僕を教えてあげます」
「ちょ、何言ってんの?」
そのまま押し倒されてしまった。逃げ出そうにも、力が強くてなかなか逃げられない。
(何コレ…最近の一年生ってこんなに力強いの?逃げられないじゃない…!)
足で股間を蹴ってやろうと思っても、1年生はあたしよりも高い身長を使って、足も固定して両手も固定する。
(やだ、助けて…誰か…!!)
「僕が先輩に触れる日が来るなんて思ってませんでしだ」
1年生の男の手が制服に伸びて、ボタンを開けられて、シャツを脱がされて下着があらわになる。私は力を振り絞って口で髪の毛を引っ張る
「誰か助けて!お願いッ!!」
「来るわけないじゃないですか。今は授業中で、鍵もしてますし。」
もうダメだ、と覚悟を決めた時、ドアが吹っ飛んだ。
「ナミを返せ!」
「…ヒネリ潰すよ」
「ナミっち!無事っスか!?」
「大丈夫ですか?ナミさん」
「やはり、嫌な予感が当たったのだよ…」
「待たせてしまったね、ナミ。」
「…本当、遅すぎよッ!」
我慢していた涙が溢れて来た。
この人たちは、こんなに頼もしいのか。
「大ちゃん…むっくん…涼太くん…テツ…真太郎…征十郎…っ」
助けに来てくれて…、ありがとう
「助けて…」
1年生は、みんなの気迫に押されて顔が青ざめていた。