私の大好きなナミちゃんを取り巻く、キセキの世代や他のみんなのお話。
とりま帝光から書きます
帝光中学生のナミ
二年前の姿(まだFカップやな)
帰宅部だが、キセキの世代と仲良し
黒いセーターを着てる
「……」
「……」
「…あああ!もうイヤ!!」
「諦めんの早いっスよ神楽っち」
「あんたのせいよ!」
あたしと涼太くんは今マジバにいる。何をしてるかというと、勉強である。
テツと真太郎の試合が終わって、神奈川に帰って来た。そして、海常高校ではもう少しでテストがある。
中学の時なら征ちゃんと真太郎がいて、二人の次に頭が良かったあたしは二人のサポートだけで良かった。
だけど、高校でみんなと離れたら、必然的にあたしが一人で教えることになる。
「だいたいあんた、なんか噂で勉強そこそこできるって聞いたわよ。あれ嘘だったの?」
さっきから分からないと言うところを教えて、分かったかと聞くと返ってくる答えは、
ちょっと分かんないわからないっス
だけである。
「そこそこはできるっスよ。現に赤点取ってないし」
「そうだけど!!」
「ほら泣かない泣かない。じゃあ気分転換にちょっとお話しようっス!」
あんたのせいよ、と真向かいに座っている涼太くんを睨み付ける。
「そうお話!オレ、ナミっちに聞きたいことあったっス」
「聞きたいこと?」
「ナミっちってキセキの世代と仲良いでしょ?誰と1番仲良いんスか?」
それは、崎ピョンこと灰崎祥吾と修兄こと虹村修造もキセキの世代に入るのか?
「う〜ん…征十郎…あーくん?いや大ちゃん?う〜ん…やっぱ征十郎かしら?」
まぁこの三人とは頻繁に一緒にいたからほぼ同じぐらいだけど。いや、もちろん他の奴等とも仲良い。
「赤司っちっスかー。なーんか意外な感じがするっスね。赤司っちみたいなタイプとナミっちみたいなタイプって、合わない気がする」
「そう?あたしがうるさいタイプだから、静かに話を聞いてくれる人とは相性がいいの」
涼太くんは眉を下げながらそうっスか、と呟いた。
「じゃあじゃあオレはその中でどんぐらいの順位っスか?」
「崎ピョンよりは上よ、たぶん」
「いやショーゴくんはキセキじゃないから…しかもたぶんって何なんスか!?」
「あ、そっか」
「…そう言えばショーゴくんって高校どこいったんスかね、まぁ興味ないけど」
「あれ、どこだっけ?聞いたけど忘れたわ」
「聞いたんスか?電話で?それともLINEで?」
「電話が掛かってきたの。お前どこ行ったんだ?って、だからあたしも聞いたんけど…なんだっけ…」
うーんと唸るが全く思い出せない。一文字も思い出せない。
涼太くんはなんか、ショーゴくんから電話ショーゴくんから電話ショーゴくんムカつく、とかぶつぶつ呟いている。不気味なやつだ。
「キセキの世代の人達とよく電話するんスか?」
「遠方組とは頻繁にするわ。あとの奴等はまぁたまにね」
そう言うと涼ちゃんは少し不貞腐れたような顏をした。
「オレとも電話してくださいっス!」
「何バカなこと言ってんのよ。あんたとは学校で散々喋ってるでしょーが。電話でまで話す必要ないでしょ」
学校ではほとんど一緒に居るんだから、電話までするなんて馬鹿らしい。あたしはお前の彼女か。
「でもナミっちにおやすみとか言われたいっス!」
そう言って口を尖らせる。だからあたしはお前の彼女か。
否、違うわ。
「それじゃああたしがあんたの彼女みたいじゃない。学校でもずっと一緒で夜電話しておやすみ、とか彼女以外の何者でもないわよ!なんなら付き合う?養ってくれる?」
最後喧嘩口調になったのは見逃してくれて構わない。
そんなことより何故か涼太くんは顏を真っ赤にしている。
「や、養うって…」
「あ、ほんのジョークよジョーク」
「もぉナミっちーー!!からかわないで下さいっス」
「そんなにあたしが好きなら落としてみなさいよ。あんたにできるかしら、坊や」
これも冗談で言ったつもりだが何故か涼太くんの目が燃えていた。
「あ、そんなことより勉強よ!!ほら、ノート開いて!また一から教え直し!!」
いつの間にか閉じてやがったノートを開けさせる。くそ、征ちゃんと真太郎がこんなに苦労してたなんて…
「ここはね、こうなるわけだから…ここまで理解した?涼太くん」
「いやまだ分からないっス」
その返答を聞いた瞬間、手元にあった空のジュースの紙コップを涼太くんの顔面に向かって投げつけた。
「ブッ!!」
痛がる涼太くんを見て満足するが、これではテストの勉強が全く進まない。
……あ、前方に笠松先輩発見!!
あたしは涼太くんを置いて、笠松先輩に後ろから抱きつく
「ナミっちーー!!!置いてかないでっスーーー!!!!」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「かーさまーつせーんぱいっ!」
「うおっ!…ナミか。どうした?」
「ちょっと助けてよ!今デルモに勉強教えてるんだけどね、全然アイツ理解しないのよ!」
「別にいいけどよ…後ろの方でそのデルモがお前のこと必死に探してるぞ」
「哀れね、黄瀬涼太」
「お前結構性格悪いな」
「ナッちゃーーん!!」
「さつきーー!!」
ガバッ
そんな音が聞こえそうなほど、強くお互いを抱きしめる。
彼女の名は桃井さつき。夜遅いのに駅まであたしを迎えに来てくれた、あたしの親友だ。
「誠凛が明日はカントクさんの家が経営しているジムのプールで、朝練をするって情報があるから、今日はうちに泊まっていきなよ!」
「そうするわ!」
明日は土曜日ってことで、さつきの情報収集がてら誠凛のみんなに会おうと思ったのだ。
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「ナッちゃんさー、恋してるでしょ」
さつきの家に行って、お風呂とごはんを済ませてから、さつきの部屋で女子トークをする。
「え!!?」
「あはは、分かりやすいね」
あんまり恋愛とか恋バナとかに縁がなかったあたしは、そういうのに免疫がない。なので、つい照れてしまう。
「誰々!?ナッちゃんの好きな人!元カレみたいな感じの人!?」
「えー…違うわよ〜」
元カレが一人、いるだけだ。そういえば、さつきには話したことがあるけど、写真は見せたことがなかったっけ…
「せ、先輩なのはそうなんだけど…」
「へえ〜…たしか元カレも先輩だったよね?他校の…」
「元カレのことはもういいから!」
そう何度も何度も元カレを連呼されると、なんだか恥ずかしい…
「えっと…せ、誠凛の…」
「誠凛の!?」
「い…」
「い!?」
「伊月、俊くん…」
名前を出した途端、恥ずかしくなって布団に潜り込む。
「誠凛のイーグルアイを持つPGの伊月俊さんかぁ…」
「うん…」
さすが情報通。俊くんのことも詳しい。ってゆーか、あたしばっかりだったけど…
「あんた、テツとはどーなのよ」
そう聞くと、さつきのうっとりとした顔から恋する乙女に変化した。
「テツくんね!たまに連絡取るよ!!」
「へえ、告白は?」
「こくはっ…!?だ、ダメだよ!!大事な試合前なのにそんな…!」
「あぁ、ゴメンゴメン」
テツは試合とかは鋭いくせに、恋愛だけには疎い。さつきの大胆なアタックも、なかなか気付いてないだろう
「明日はテツくんと会える…!ナッちゃんも、伊月さんに会えるじゃん!」
「……うん…!」
こうやって、さつきと恋バナをできることがすごく嬉しい。
あたしはほんっとうに恋愛に縁がなかったから、テツに恋をするさつきが少し羨ましかった。だから、俊くんという心を撃ち抜いてくれた相手に出会えたのが、嬉しい
「恋バナはちょっと終わりね。…さつき、あんたに伝えないといけないことがあるの。」
「?」
「征十郎って、天帝の眼を持ってたじゃない?未来が視える眼。その能力が、あたしにもある」
「え、ええーーーー!!!??」
予想通りの反応だ。
「それがあたしの能力、女帝の眼。征十郎と違うのは、少し身体を見れば分かること。そして、体力が切れそうな人しか先読みできない」
これは、最近分かった。涼太くんたちの部活中、レギュラー以外の人は外周の後ぐらいから見切れるけど、レギュラーの人たちは練習が終盤に近付くと見切れるようになった。
「でも、体力が限界に近付けば近付くほど、あたしはその人の先の先の未来まで視ることができる。」
「女帝の眼…」
女帝の眼の話を終えた後、もう一度恋バナをしてからあたしたちは眠りについた。
ピィッという笛の音と、バシャバシャという水の音。そして荒い息遣い。更衣室まで聞こえるその音が、練習が辛いことを分からせてくれる
「はい、一分休憩ー」
「あー!キッツイマジ!!」
日向たちが休憩に入ったと同時に、ナミと桃井の着替えが終わり、更衣室を出る。
「面白い練習してますねー」
上から聞こえるその声に日向が顔を上げると、しゃがんで自分を見ている謎の女と、立って自分を見ているナミがいた。
パーカーを着ても隠し切れない豊満な身体に、日向は言葉にならない悲鳴をあげる。
「ーーーーーーーー!!?」
「…どうしたキャプ…っておお!!?ナミ!と誰!?」
伊月たちが振り向くと、顔を赤くした。その中でも、冷静な男が一人。
「…桃井さん、ナミさん」
「知り合い!?」
黒子だ。黒子に続いて、リコも二人に声をかける。
「えっ…とナミちゃんと…どちら様?」
「えーと…なんて言えばいいのかなー?」
「そのまんまでいいんじゃない?」
ナミが少し動くと、紺と白の縦シマのビキニが揺れる。それに男はうっ、と反応する。
「じゃあ…、テツくんの彼女です♡決勝リーグまで待たなくて、来ちゃいました」
「テツくん?」
「黒子テツヤくん♡」
少しの間のあと、
『ええええええ!!!!』
という大声をその場にいるみんなが出した。ナミはぷっと吹き出す。
「黒子ォ!!お前彼女いたの!!?」
「違います。中学時代、マネージャーだった人です」
「テツくん!?久しぶり!!会いたかったーー!!」
「苦しいです、桃井さん」
黒子がプールからあがると、桃井が勢いよく抱き付く。ナミも伊月の腕を自分の腕と絡ませる
「さつきがテツの彼女なら…あたしは俊くんの彼女かな?」
「え、あの…えっと、ナミさん?」
(羨ましすぎる!!黒子と伊月!!)
(いいなあ二人とも!しねばいい!!)
黒子と伊月が美女に絡まれてるのを、恨めしそうに見る他の部員。
「ちょっ…いやいやいやいや、伊月は分かるけどなんで黒子!?さえねーし薄いしパッとしないし!」
「え〜、そこがいいんですよ〜。でも試合になると別人みたいに凛々しくなるところとか、グッときません?」
桃井の意見に、伊月と腕を組むナミもうんうん、と頷く。
「あと…アイスくれたんです」
『はあ!?』
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桃井の話が終わると、ナミと桃井がきゃーきゃーと話す。
「分かる!!さりげない優しさがいのよね!」
「そう!!ナッちゃんもアイスだっよね!」
二人の会話に、他の部員はそんなことで…と驚いているが、対する黒子と伊月はなんの話か分かっていないようだった。
「だからホントはテツくんと同じ高校に行きたかったのー!!けど…けど…」
「あたしだって俊くんのこと知ってたらココに来てマネージャーしてたのにー!!でもぉ…」
「二人とも…プール内は響くので大声は控えてください」
(((((((なんだこの展開…)))))))))
涙を流すナミと桃井に、静かに声をかける黒子。
「なっ、ななな…いったいなんなのあの子!?ナミちゃんはいいとして…」
二人の美女に騒つく部員に、少し焦りつつも呆れるリコが日向に声をかける。
「そもそも、ちょっと胸が大きくてかわいいぐらいでみんな慌てすぎよもう!ねえ?日向くん?」
「……うん。そだね…」
チラ見する日向の視線には、ナミのIカップと桃井のFカップがうつっている。
「チラ見してんじゃねぇよーー!!」
そんな日向をリコが拳で成敗する。その様子を見ていた桃井が二人に声をかける。
「日向さん死んじゃいますよー」
「えっ、なんでオレの名前を…」
日向の問いかけに、桃井は怪しく笑う。ナミは桃井をじっと見つめる。
「知ってますよー。誠凛バスケ部主将でクラッチシューター日向さん。」
日向が驚く間も与えずに、次々と名前を出していく桃井
「イーグルアイを持つPGでナッちゃんの未来の彼氏、伊月さん。」
「なんか違う!!」
「無口な仕事人でフックシューター水戸部さん。」
「……!」
「小金井さんと土田さん」
「あれっ!?そんだけ!?」
「ギリギリBのカントク、リコさん」
「ふざんけなぁ!!」
桃井に対して目を釣り上げるリコ。ナミも大笑いしている。
「桃井さん…やっぱり青峰くんの学校行ったんですか」
黒子の言葉に、少し悲しそうに眉を下げる桃井。ナミも少し二人から目を逸らした。
「…うん」
ナミは目をつむりながら、強く下唇を噛む。
「ナミ…?」
それに彼が気付いた。
「アイツほっとくと、何しでかすか分かんないからさ…」
桃井は困ったように微笑んだ。
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「少し、二人で話してもいいですか?」
「え、うん…でも午後の練習もあるから、それに間に合うようにね」
「はい」
ナミも空気を読んで更衣室へ向かおうとすると、誰かに腕を掴まれた
「っ、俊くん!」
「カントク、オレとナミも二人で話してもいいか?」
「伊月くんも?まぁ練習に間に合うならいいわよ」
「分かった。ナミ、外に行こう」
「…うん!」
プールに黒子と桃井を残して、他のみんなはプールを出た。
「ごめん俊くん!おまたせ」
「大丈夫だ。さ、行こうか」
入り口の近くで、あたしを待っていてくれた俊くんは制服姿だった。
それに比べてあたしは、オレンジを基調とした花柄のTシャツと短パン…髪の毛も下ろしてるだけだし…
さつきと同じように制服着ればよかったかしら…でも制服は神奈川にあるし…
「そういえば、ナミの私服って初めて見るな。似合ってるよ」
「しゅ、俊くん…!!」
やっぱり私服着てきてよかった!!
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適当に歩きながら、少し昔の話をする。
「大ちゃ…青峰はテツの相棒だったのよ。バスケが誰よりも好きで、テツとのコンビネーションも最高で…」
「うん」
「あたしね、アイツのバスケ好きだったの!テツとの連携でシュートを決めて、そのシュートを誰よりも喜ぶアイツがカッコ良かった!」
本当に、カッコ良かったの
「ってゴメンね!暗い話しちゃって!!もう戻りましょう、俊くん!」
「……そうだな。戻ろう!」
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俊くんと一緒にジムへ戻ると、まださつきとテツは話をしているようだった。
「じゃあ、あたし帰りますね。さつきに先に帰ったって伝えといてください」
「ナミちゃん、」
「いいんですよ日向さん!どーせさつきも学校行かなきゃダメだから!!」
それに、好きな人とはもう少しいさせてあげたいしね
あたしはジムを出た。そういえばこの道を少し行った先に、バスケコートがあったっけ…
少し、撃ってみようかしら
あたしがコートに行くと、誰かがいるようだった。近付いてみると、それは火神ちゃんと大ちゃんだった。
(二人で1on1…?でもたしか、火神ちゃんの足は真太郎との試合で…)
その時、あたしは視えた
圧倒的な速さで抜かれる、“火神ちゃんを”
「お前の光は、淡すぎる」
そして、そのすぐ後に火神ちゃんは大ちゃんに抜かれた。
「っ、大ちゃん!!火神ちゃん!!」
怖くなったので、急いで駆け寄る。何が怖いってそりゃあ、誠凛バスケ部のカントク様に決まってる。きっと火神ちゃんは無理をしたせいで、リコさんにものすっごく叱られる。
「…ナミ。お前の予想は外れだな。こいつの光じゃ、オレは倒せねぇよ」
「……!!」
また冷たい目だ。
「うっさいわね!!あんたは光ってゆーより、闇でしょーが!あんた鏡見たことあんの!?全身真っ黒よ!」
「うるせーよ」
ムキになって言い返すと、大ちゃんはあたしの額を指ではじいた。
「じゃあな」
それだけ言うと、大ちゃんは行ってしまった。
「……」
火神ちゃんは座り込んだまま、何もしようとはしなかった。大ちゃんとの圧倒的な力の差に、ショックを受けているのだろう
「火神ちゃん…」
「…悪ぃ、ナミ。一人にしてくれ」
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仕方ない。あたしは誠凛高校に足を運んだ。体育館では、みんなが必死に汗をかいて練習をしている。
(…練習しない人が勝つなんてない。アイツは絶対に負ける)
あたしの賭け、と言ったら軽いかしら…でもあたし、賭けには強いから
(よし、帰ろう!)
大丈夫。今のままでは勝てないかもしれないけど、火神ちゃんは大ちゃんへ突っかかることはやめない、はず!
(それがアイツ…アイツらの刺激になればいいんだけど…)
アイツらといえば…涼太くん、テツ、大ちゃん、真太郎は会えるからよしとして、あーくんと征十郎は元気なのかしら
あーくんとはよく電話するけど、征十郎とは最近してないわね…まぁ忙しいだろうし、アイツがかけてきた時にたくさん話せばいいわよね
あ、崎ピョンと修兄ともしてないわね…あとマコも
そんなことを考えているうちに、駅についた。これから、涼太くんたちがいる神奈川へ帰る。
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「お前…育ったな」
「ぁ、ちょ、も、揉むなぁ…!」
「何してんだよアホ峰!!」
今日は大ちゃんとテツたちの試合だ。なのに、コイツときたら…!!
「コラ!いい加減に起きなさい!」
「あと五分だけ…」
「ダメよ。試合に間に合わなくなるから、はやく起きなさい!」
全然起きない!ったく…仕方ない
「あっ、ダメダメ、何するつもりなの、しんたろ、!ひゃっ、どこ触って…んん!」
「わあああ!!緑間っち!前から思ってたっスけどやっぱムッツリ、ス…ね?」
「おはよ、涼太くん」
「お、おはようっス。み、緑間っちは?」
「いない」
「……はーー!!?」
「はやく準備してよね〜」
寝ぼけてるバカにはこういう方法が手っ取り早いのよね。あと、ごめん真太郎!!
「ナミっちがそこまでバスケの試合に興味持つの、珍しいっスよね」
「バスケの試合じゃなくて、火神ちゃんと大ちゃんの試合に興味を持ってんの。」
「どっちみちバスケの試合じゃないスか」
「うるさい。はやく食べて東京に行くわよ!」
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「ありゃ、まーた遅刻っスわ」
「ほら!あんたがもたもたしてるから」
「しかもまた負けてるし…」
試合会場につくと、すでに試合は始まっていた
「ん?」
「どうしたの?涼太くん」
「いや、アレ…」
涼太くんが指差す方を見ると、見慣れた緑頭がいた。
「真太郎!!?」
「…む?
ナミっ!?それに黄瀬も!?なぜ気づいたのだよ!?」
「アホスかグラサンて!」
「ってゆーか恥ずかしいからソッコー外して欲しいんだけど」
「なにィ!?」
いやホント、マジの方で。周りの人たちの視線が痛いし
「あれスか?見たくないとか周りには言ったけど、結局来ちゃったんスか?」
「テキトーなことを言うな!近くを通っただけなのだよ!」
「いやあんたの家、真逆じゃない」
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「で、どースか試合は?」
「…………どうもこうもないのだよ。」
涼太くんの問いかけに、グラサンを外した真太郎がメガネをカチャッと上げる
「話にならないのだよ。青峰がいないようだが…それでもついて行くのがやっとだ」
「大ちゃんいないの!?」
あんのガングロ!!今度会ったらタダじゃ済まさないんだから!
「まあ今、あの二人が決めたじゃないスか。これからっスよ」
「忘れたのか、黄瀬。桐皇には桃井もいるのだよ」
真太郎の言葉にハッとする涼太くん。あたしはさつきを探す。
「アイツはただのマネージャーではないだろう。中学時代、何度も助けられたのだよ。
…つまり逆に、敵になるとこの上なく厄介だ」
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「真太郎、さつきに関しては素直じゃない」
「ホントっスね。いつものツンデレはどこっスか?」
「ツンデレじゃないのだよ!ってゆーか、口に手を当てて笑うな!」
「桃っちスか…そーいや青峰っちと幼馴染だったスね」
「でもさつきって、テツのこと好きよね?むしろ本気なんて出せないんじゃ…」
もし、あたしが俊くんの敵なら本気なんて出せずに負けてしまうかもしれない。
「そうなのか?」
「気付いてなかったの!?バレバレっていうか、むしろ毎日アタックしまくりだったじゃない!!」
「あれ見て気付かないとか…サルスか!?」
「なにィ!サルとはなんなのだよ!!」
真太郎って…ホンットに恋愛には疎いわね…賢いのにバカみたい
「…まあいい。だったら尚更なのだよ。」
「え?」
「黒子が試合で手を抜かれることを望むはずがないのだよ。そもそも、アイツのバスケに対する姿勢は選手と遜色ない。
試合でわざと負けるような、そんなタマではないだろう。」
「…そうね。」
あたしは選手でもなければ、マネージャーでもない。でも、手を抜かれたらそれが親友だろうが、好きな人だろうが、許せない。
「ナミっちー、ケータイ鳴ってるっスよ」
「え、ウソ!ったく誰よ!!」
荒々しくポケットからケータイを取り出すと、青峰大輝という名前が表示されていた。
(は?大ちゃん?あのガングロ、試合出てないくせにあたしに電話できるわけ?)
「ごめん涼太くん、真太郎!あたしちょっと出るわ」
「了解っス」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「もしもし」
『お前出んの遅ェよ』
「うっさい!!あんたもはやく試合に来なさいよッ!!」
『そう怒るなって』
電話の向こう側に怒っても仕方ない。こういうのは本人をハッ倒すのが一番だ。
「で、あんた今どこにいるわけ?」
『んぁ?あー…会場』
「はあ?はやく来なさいよ」
『迎えに来い』
「イヤよ。今試合見てるし!さつき見てるし!俊くん見てるし!」
『いいから来いや。どうせ第1Qはあと少しで終わんだろ?』
「もう第2Q始まってるわよ!!」
こいつと話してたらツッコミがいくつあっても足りないわ…
『お前が迎えに来ねぇなら、オレはこのまま帰る』
「駄々っ子か!!…今会場のどこら辺?」
『入り口のロビーんとこ』
「よりによって入り口なのね…今から行くから、絶対試合出なさいよ!」
『へいへい』
仕方なく、あたしはロビーへと向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「いた!!ほら、行くわよ」
「もう来たのかよ…」
「迎えに来いって言ったのは誰よ…!!」
試合前じゃなかったら思いっきり殴ってたのに…くそっ
「んじゃ、行くか」
「はやくしなさいよね…ってきゃっ!」
あたしはあろうことか、エロ大魔神青峰大輝に片手でヒョイッと抱えられてしまった。
「離して!離しなさいよっ!ヤられる!!」
「ヤるかアホ!お前も行くぞ」
どこに、と言う前に歩き始めた大ちゃんは、右手にはカバン、左手にはあたしというカオスな状態だ。
「お前、オレたちのベンチでじっくり見とけ。」
「ッッ!!」
ゾクッと何かが背中を走った。まるでこいつは、ケモノだ。
「……わ、分かったわよ…」
あたしは落ちないように、そいつの腰に手を回した。大ちゃんの腕は、ちょうどあたしの腰回り。
「細いな、腹」
「ウエストって言ってくれるかしら…?」
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「お前…暴れたらオレの腕におっぱい当たるぞ」
「やっぱりヤられるぅー!!征ちゃーん!真太郎ー!涼太くーん!テツー!あーくーん!修兄ー!ナミゾーウ!」
「だから暴れんなっつの!あとまだヤらねぇ」
「まだってなによ!!ヤる気満々じゃない!」
あたしは今、大ちゃんに抱えられながら試合会場へ向かっている。
「大ちゃん、お尻触んないで」
「ケチなこと言うなよ」
「ハッ倒すわよ」
扉を開けると、みんな試合に夢中で異質なあたしと大ちゃんには気付かない。
「行ってこい!」
「ウス!」
ちょうど、誠凛がメンバーチェンジをしたところだった。大ちゃんは嘲笑うように火神ちゃんに近付いて、肩に手をまわした。
「そーそー、張り切ってくれよ
少しでもオレを楽しませられるようにさ」
「……!!テメェ…青峰!!」
「ナミちゃん!!」
やっと大ちゃんとあたしに気付いたみんなが騒ぎ出す。
「アレって…ナミっち!!?」
「なぜ青峰と一緒なのだよ!!」
はやく下ろしてもらおうとジタバタしていると、チームメイトらしき人が大ちゃんに声をかけて来た
「やっと来たかまったく…早よ準備して出てくれや!!」
「えー?つか勝ってんじゃん。しかも第2Qあと1分ねーし」
その人の顔はあまり見えなかった。だけど、監督さんとその人は大ちゃんを試合に出そうとしている。
「そうだコイツ、ウチのベンチで見せるぜ。」
「はあ?誰やねん、このお嬢さん」
「あー?あー…オレの彼女?」
「違うわッ!!はやく下ろしなさいよ!」
「いいよな?オレが試合出てやるからよ」
「…好きにしてください。桃井さん、このお嬢さんをウチのベンチへ」
「は、はい!ほら青峰くん!ナッちゃん下ろして!!」
「へいへい」
やっと下ろされたあたしは、とりあえずあたり一面を見渡した。
「荷物持っとけ」
「はあ?…ぶっ!」
上着やらカバンやらを好き勝手に投げられたので、腹が立って捨ててやった。
「脱いだもん全部投げんなーーー!!!」
「あーー!!ナミッ、テメ!」
「あんたたちあたしを荷物持ちだと思ってんの!!?か弱い女子に汗くさいジャージ投げるなーーー!!!」
すると、ずいぶん前にあたしに荷物を預けてバスケをした涼太くん、テツ、火神ちゃんがビクッと反応したのをあたしは見た。
「中学の頃からそうよ!!ったく…」
「結局持つのかよ!!」
「あとでたっぷり“おかえし”もらうから」
「仕方ねえな…
じゃあ…ま、やろーか。」
その後、桐皇のリードで終わった前半戦。いつもなら誠凛の控え室に行くところだけど、そうもいかなかった。
「ナミ、行くぞ」
「はあ!?もうベンチで見たじゃない!!涼太くんと真太郎が心配してるから、戻りたいんだけど!」
「知るか」
デカイ態度を取る大ちゃんにイラついて、あたしから荷物を取って桐皇の控え室に行こうとする大ちゃんのふくらはぎを、足で思いきり蹴ってやった。
「テメェ…選手の足を…!」
「ほとんど試合に出てないんだし大丈夫よ」
「…先行っとくぞ」
ポケットからケータイを取り出すと、涼太くんから大量に電話がかかっていた。あたしは電話帳から涼太くんを探し出す。
『もしもし!ナミっち!?』
「うん。あ、ごめんね?涼太くん。あたしベンチで見るつもりじゃないんだったんだけど…」
『青峰っちに連れて行かれたって感じだったっスね…分かってるっス』
「そう、良かった…今日はもう戻れそうにないから…」
『了解っス。帰る時にまた連絡して?迎えに行くから』
「うん、分かった。」
涼太くんとの電話を終えてから、大ちゃんたちの控え室に足を運んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「大ちゃーん、さつきー」
ガチャリ、とドアを開けると桐皇の人は驚いたようにこっちを見た。
「おー、ナミかぁ。久しぶりやな〜」
「そうね、翔一。久しぶり」
「知り合いなの!?ナッちゃん!」
メガネで関西弁の男が話しかけて来た。
「知り合いもなんも…」
「中学の時に言ってた元カレって、コイツだもん」
「……え?」
『はあああ!!?』
控え室を出ようとしていた大ちゃんを含めた桐皇の人全員が、大きな声で驚いた。
「きっ、聞いてないよナッちゃん!!」
「写真とか見せたことなかったから…それに、さつきたちと同じ高校だって知らなかったし」
「元恋人って…気まずくないんスか?」
たしかこの人は…
「何をゆーとんねん若松ぅ。ナミが神奈川行くから別れたんやで?」
そうそう、若松さん!大ちゃんがうぜーって言ってた先輩よね!!
「遠距離って難しいですから。それに、あたしには新しい相手がいるんで!」
「あーー、誠凛のPGか」
「そう!カッコイイでしょ?」
「そういえば、花宮とナミゾウ元気か?」
「元気元気。また会ってやってよ」
「せやな」
ポカンとしているみんなを置いて、あたしと翔一は会話を進める。
「そういえばナミゾウさんって…」
すると、ナミゾウという言葉に反応したさつきが口を開いた。
「霧崎第一のマネージャーやってるらしいですよ。なんでも、“奪う”眼を持ってるとか」
奪う眼…あたしの未来を視る眼とは違う種類かしら…
「奪う眼、ねぇ…」
「はい。その名は“海賊王の眼”(パイレーツキング・アイ)なんでも、その眼で見た選手の技術の分析を行い、弱点や癖、全てを読み取る眼だそうです」
あたしのエンプレス・アイとは違うわね…あたしは視ることはできるけど、奪うことはできない。
「ナミゾウが新たな敵ってことか…」
「大ちゃん!」
「たとえナミゾウでも霧崎第一でもオレには勝てねぇよ。オレに勝てるのは、オレだけだ。」
「……せやな。ナミゾウでも花宮でも、こっちには青峰がおるんや。強気で行こ」
そして、休憩が終わっていよいよ後半戦が始まった。
あたしは桐皇のみんなと、ベンチへ向かう。
ノジコ、ナミゾウの細かい設定
朱崎ノジコ
実は福田総合学園高校3年
静岡で一人暮らし
キセキの世代は弟だと思ってる
灰崎とは仲が良い
朱崎ナミゾウ
霧崎第一高校2年
幼馴染の花宮に誘われてマネージャーになった
キセキの世代とは普通に仲が良い(特に青峰)
東京で一人暮らし
ナミゾウの“海賊王の眼”は“泥棒猫の眼”(シーフキャット・アイ)に変更
ノジコの能力はまだ考え中
ナミゾウって実は芸名
ナミゾウはシスコンでナミゾウ大好き!って感じだけどノジコも大好き!
そして2人と同じぐらい花宮も大好き!学校では花宮とずっと一緒で、花宮もまんざらでもない
ノジコが行った学校にたまたま灰崎が来た
ナミと黄瀬みたいな関係なのがノジコと灰崎、ナミゾウと花宮
ちょっとノジコと灰崎、ナミゾウと花宮の小説書きますね
【ナミゾウと花宮(ほんのりBL感ありかも?)】
オレの幼馴染は花宮真。オレが生まれたとき、真の家はオレたちの家の向かいにあった。
「まーこーと!」
「あぁ?」
「今日ウチに来ねぇ?母さんもゲンのおっさんも仕事なんだよ」
「…仕方ねぇな」
小学校の頃から、母さんとゲンのおっさんがいないときはウチに泊まっていた真。
「マコーー!!」
「あ、真ー!」
「よぉナミ、ノジコ」
もちろんナミとノジコも真が大好きで、いつも真が泊まりに来るのを楽しみにしていた。
「マコ!今日はあたしと寝る?」
「あぁ?」
「悪ィけどダメだナミ!真はオレと寝る!」
「なんでよ!あたしもマコと寝たい!!」
「まあまあ…ナミはあたしと寝よ?」
「うん!」
「誰とでもいいから、早くメシ食おうぜ」
オレはナミのことが大好きで、なにかを許してたり譲ったりしていたけど、真のことはどうしても譲れなかった。
「ナミゾウ!!また真を泊まらせたな!」
「っるせーなジジイ!!真の名前を気軽に呼んでんじゃねぇよ!」
周りの奴になんて言われようと、オレは真の隣から離れようとしなかった。
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「ナミゾウ」
「……真…」
母さんが死んだあと、オレは家を出た。
あんな腐った人間と一緒にいたら、オレまで腐っちまう。
「ナミとノジコが心配してた」
「……」
家を出て、街を歩いてたらスカウトされてモデルになった。そして事務所が所持しているアパートに住んだ。
それでも、真はオレに会いに来ていた。
「それだけだ」
「…………真!」
「あぁ?」
「オレ、お前とノジコと同じ中学行くから!その、えっと、くそ…し、心配すんなって伝えとけ!!」
「ふはっ」
いつものように笑っただけで、真はなにも言わずに事務所を去った。オレが稼いだ金を、ノジコとナミに届けるために。
(ナミが中学に行くまであと約一年…それまでにナミの学費稼げるか…?)
いや、稼げるかじゃねぇ。稼ぐんだ。
そして、ゲンのおっさんが死んだと聞いた。
中学に行ってから、オレはさらにモデル業に専念した。有名になって、テレビにも出るようになった。
「真」
「あぁ?」
「オレ、もう一回やり直してみるな!」
「…おう」
「そしたらしばらく会えねぇけど…」
「引っ越し、すんのか」
「おう。帝光の地区にいる母さんの親戚がアパート持ってて、タダで部屋貸してくれるって」
「そうかよ…じゃあ帝光中に転校すんのか?」
「しねぇよ?ノジコはするけど…オレがいなくなったらマコっちゃん、悲しいだろ?」
「…!ふはっ、誰がマコっちゃんだよ。んなワケねぇだろバァカ」
「えーー!ひでぇな〜、真は!」
そしてオレたちはナミが小6、オレが中1、ノジコが中2の冬にまた三人に戻った。
「真!!オレ、お前と一緒に高校行くからな!絶対連絡くれよ!」
「気が向いたらな」
「なんだよー!気が向いたらって!」
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「あーー!!原っ!お前真に近付きすぎ!!」
「別にいいじゃん。オレにも花宮貸してよ」
「ヤダねぇーっだ!あ!古橋!!あとザキ」
「オレはついでかよ!!」
「おーい、健太郎起きろよ〜」
「無視すんなっ!!」
「うるせぇよテメェら!!」
「怒んなよマコっちゃ〜ん」
【ノジコと灰崎】
「あれ?灰崎じゃない。なんでここにいんの?」
「ゲェッ!ノジコ!!」
「ノジコさん、でしょーが」
あたしはナミの二つ上の姉貴で、ナミゾウの一つ上の姉貴であるノジコ。
この灰崎祥吾という男は、中学の頃のサボり仲間だ。ナミと同い年であり、友達でもある。
「なんでノジコサンが静岡(ここ)にいるんスか」
「その言葉、そのまま返すわ。…あたしは推薦よ」
「はあ!?一緒にサボってたのに頭良かったのかよ!!?」
「まあね。むしろサボってたのは授業が分かってたから。」
「そんなのアリかよ…」
ここは屋上。あたしのサボりスポットでもあるこの場所に、灰崎を誘ってあげたのだ。あたしって相当優しい。
「っていうか、あんたのその頭…なに?」
「高校デビューってことでイメチェンした。つーかナミは?」
「ナミは涼太と同じ海常。…まあ、神奈川ね」
すると灰崎は怖い顔になった。声も低くなる。
「…黄瀬に、ついてったのか…」
「……誘えっつーの」
「は?」
これは姉の特権で、その姉と同じ高校に来たこいつの特権だ。教えてやろう。
「ナミは、迷ってた。どこの高校に行くか、誰と同じ高校に行って支えるか。
あんた、後輩になったから教えてあげるけど、ナミはあんたのことも心配してたのよ。もちろん、他の奴らも。」
「……」
「だから誘えば、あんたと一緒にいることを選んだかもしれないのに…あんたたちは自分についてくるのが当たり前だと思って…!」
ナミは一人で、ナミにも選ぶ権利がある。
だからキセキの世代の中でも、一緒の高校へと誘っていた涼太と行ったのは正解だと思う。
「あんたたちってバカね…」
「……オレは別にナミと一緒に行きたかったわけじゃねェ。」
そう言うと灰崎はゴロンと横になった。あたしはその隣に座り込む。
「黄瀬と一緒っつーのが気に入らねェだけだ」
「……」
「でも…あんたがオレの隣にいてくれるなら、オレは負けねェよ?」
「どういうこと?」
「そのまんまだよ。あんたの推薦の理由、オレが知らないとでも?」
なんだ…知ってんのね。
「なあ…?朱崎ノジコ監督」
あたしの推薦は、もちろん学力の高さもある。だけど、女バスでやっていた監督としての能力も買われたのだ。
男子バスケ部に。
「あんた、知ってたのに聞いたのね?タチ悪いわー」
「っるせぇよ!!」
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「灰崎!!!サボんな!!」
「ぎゃーーー!!!鬼監督ッ!!」
「一人で外周20周ね!」
「本気で鬼か!!」
今吉翔一
ーーたしか、あたしの元カレ。彼のことは、私もよく覚えているわ
ーーそうなの?
ーーええ。あなたに危害を加えるワケでもなから、彼は結構お気に入りだったわ
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「ねーねー、君って帝光の子だよねー?」
「俺らと遊ばなーい?」
コンビニに寄ったのが運の尽き。ガラの悪い高校生ぐらいの三人組に絡まれてしまった。
「えー無視ー?」
うざい。どうやって逃げようか、と考えていると1人の男が吹っ飛んだ。そして、もう2人も吹っ飛ぶ
「大丈夫やったか?嬢ちゃん」
「え、あ、うん…」
この人も、中学生だろうか。立ち去ろうとするその人の裾を、あたしは慌てて掴んだ
「あ、あの!!」
「ん?」
「あ…ありがとうございました!」
「礼にはおよばへんって。」
「あたし…ナミっていいます!!あなたの名前を教えてください!」
「今吉翔一や。よろしゅう頼むわ」
これが彼との出会いだ。今吉さんとはそのコンビニで頻繁に会って、友達になった。
それが、今吉翔一との出会いだ。
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ワーッと会場が盛り上がり、あたしは一気に過去から今に意識を戻した。
コートでは、大ちゃんがギリギリのところでシュートを打っていた。DFは、火神ちゃん。
点数は、51対39
(さすがね、火神ちゃん…ここまで大ちゃんに付いて来れた選手を見るのは初めてよ…でも、視えた!!)
一気に火神ちゃんがボールを投げる。速攻だ。
でもここで、アイツが速攻に追いついてシュートを防ぐ。
(あたしの眼で見たのは火神ちゃんが止められる未来…計算からして、今のは大ちゃんの未来じゃなくて火神ちゃんの未来…)
つまり、火神ちゃんの体力の消耗が激しいのに対して、大ちゃんの体力はまだ大分残っているということだ。
すると、大ちゃんのフンイキが変わった。
そして、誠凛のみんなをトリッキーな動きであざむかせる。
(このバスケ…知ってる!)
昔、修兄とアメリカに行った時に見た
ーー変幻自在
路上の(ストリート)バスケ…!
火神ちゃんを避けると、次は日向さんたちが3人がかりで大ちゃんをとめるために飛ぶ。
でも、大ちゃんはそのまま行った。
そして、ボールをゴールの裏に投げる。
誰もが外すと思われたそのシュートは、不思議なことにゴールに入った。
(これが、キセキの世代のエースの力…アイツのこの強引でめちゃくちゃなバスケは、常識(セオリー)が全く通じない)
それでも火神ちゃんの目に、諦めはなかった。