閲覧ありがとうございます。
こちらは上海アリス幻樂団様の「東方Project」二次創作小説になります。
以下の成分が含まれますので、苦手な方はご注意ください。
◇オリジナル主人公、及び複数のオリジナルキャラクター
オリキャラ同士の絡みもあります。
◇残酷な描写
◇遅筆、不定期更新
◇見事な残念クオリティ
ご感想や改善点、誤字脱字などありましたら、お気軽にどうぞ。
厳しいご意見でも構いません。
何かお言葉をいただけると作者が泣いて喜びます
>>9
>>麗さんへ
いらっしゃいませー!来てくださってありがとうございます😊
どうぞごゆっくりしてってください!
返事遅くなってごめんなさい!
ありがとうございます!
返事遅くなってごめんなさい!ありがとうございます!
13: MissZ ♯1:2019/11/12(火) 23:35 ID:hjU
「・・・・・・・・・・・・っ!」
──声が、聞こえる。
「・・・・・・っと!」
そっと目を開ける。
手が汗でびっしょりだ。いつの間にか地べたに寝転んでいた。一瞬気を失ってしまったのだろうか。
「ちょっと!あんた!」
すぐ前に、人の子が立っていた。機嫌が悪そうだ。
「さっきの石!返しなさいよ!」
は?石?石なんか取ってないよ。首飾りの宝石ならあるけれどこれは元から持ってるものだし。
「あの茶色いやつよ。持ってるでしょ」
肩を揺さぶってくる。
さっきあたしの目に入ってきたのだろうか。でもあれは霧だ。石では決してなかったはず。首を横に振った。これが人間の〈否定〉を表す身振りだ。
「嘘でしょう?私見たわ。あんたの方に飛んでくの」
そう言われても、石じゃないんだってば。
しばらく無視していたらさすがにあきらめたのか、彼女は大きくため息をついて手を放した。
「もういい。じゃあ私帰るから。さよなら──って、何よ?泣きそうな顔して」
『何よ』じゃないよ。ひとの家を壊しておいて、謝りもせずに自分だけ帰るなんて。ひどいよ。
あたしは鋏の先っちょを家の破片に向けた。
「あのボロ箱がどうかしたの?ボロ箱くらい壊したっていいじゃない。なんでそんな自分の家が壊されたみたいな顔してんn・・・・・・まさかあれがあんたの家?」
ぼっ・・・・・・ボロ箱で悪かったね!でもあれがあたしの大事な家なんだよ、なんとかしてよ!
首を大きく縦に振った。こちらは〈肯定〉の合図である。
「悪いけど、今オカネがないのよ。自分でなんとかしてちょうだい」
オカネというのは、色々なものと交換できるという人間の道具だ。家とかも買えるはずだ。オカネをたくさん払うほどいいものがもらえる。彼女の服は、山で見かけた人間のそれより鮮やかで美しい。
こいつ嘘ついてるな。オカネいっぱい持ってるけど使いたくないんだ。このケチめ。
「・・・・・・」
にらんでやった。
彼女はまたため息をつき、
「わ、わかったわよ・・・・・・」
あたしの目つきは相当悪いらしい。彼女の顔が少しひきつっていた。よっぽど怖かったんだな。半分脅しみたいになってしまったけど、仕方ないか。悪いのはむこうなんだから。
彼女はこう提案した。
彼女は人間を襲う〈妖怪〉という生き物の退治を仕事とする〈ハクレイのミコ〉だという。先程の熊も〈妖獣〉と言って妖怪の一種だそうだ。そりゃ強いわけだ。一度仕事をしただけで大金が手に入るらしい。必要なオカネを集めあたしの新居が建つまでの間、家に泊めてもいいとのことだった。
これは予想外だった。本当にオカネを持っていないようだった。巨大な熊を楽々倒した彼女だ。オカネがないなら、そこらの木を切ってきて、この場で小屋でも建ててくれるとてっきり思っていた。というか、そうしてほしかった。あたしはこの場所が好きだ。この景色が好きだ。空気は美味しいし、草木をかき分け探検するのが楽しい。山の頂上へ行けば、次々と表情を変える空がある。この山を離れること、この生活をやめるのは嫌だったのだ。
でも、最近山でとれる食料は明らかに減っている。それに外の気温もどんどん下がっている。食べ物もすぐ手に入るし、暖かいすみかを提供してもらえるのも悪くない。
少し考えてから彼女の言葉に甘えることにした。人間と一緒に暮らすといっても住む場所が同じになるだけだ。別に仲良くならないといけないわけではないだろう。一人でのんびりすればいい。それに新生活も永遠ではない。家が建ったら、その時点でおさらばだ。ちょっとの辛抱である。
こうして、あたしと〈ハクレイのミコ〉の同居生活が始まったのだった。
第0話、第1話完成です。第2話は現在推敲中です。
16:MissZ:2020/07/24(金) 20:56 ID:ap2 あたしの手に黒い箱が渡される。箱といっても木でできておらず固い。石とも違う不思議な材質だ。箱の一面からは黒い筒が飛び出し、その先端には硝子〔ガラス〕がはられている。小さな両手で持つとずしりと重かった。見上げるとあたしよりずっと背の高い女の人が立っている。
──ありがとう、おかあさん!
あたしの口が勝手に動き、元気な声が発せられる。
──大事に使うんやで
〈おかあさん〉と呼ばれたその人はやさしく笑い、あたしの頭を撫でた。
女の人の髪は白銀〔しろがね〕色で長く、かろうじて着物を着ていることしかわからない。全体的に姿がぼやけている。
──うん!
あたしは大きくうなずいた。
気がつくと真っ暗な部屋の隅に座っていた。隣で、ハクレイのミコが布団に潜り気持ち良さそうに寝息をたてている。外からは秋の虫の涼しげな声が聞こえてくる。まだ真夜中なんだろう。
──あぁ、またこれか。
ずっと前から変な夢を見ることがある。同じ内容の夢を、何度も繰り返し見ている。夢の中ではなぜか自分の体が思い通りに動かない。誰かに操られるみたいにひとりでに動いてしまう。夢の主人公はあたしのはずなのに、自分事として感じられない。
でも、その時の感触は妙になまなましく覚えている。さっき女の人に撫でられた感覚もそうだ。
胸の中にあたたかくふわっとしたものが入ってきて、ゆっくり流れ出てゆく。そしてあとにはほのかに胸をしめつけるような痛みが残る。夢から覚めるといつもこうなるのだが、この感覚をなんと呼べばいいのかわからない。別にわからなくてもいいけど。所詮夢なんだから。
だんだん瞼が重くなってくる。腕に顔をうずめているうちに、やがて眠りに落ちていった。
〈辞典〉という便利な書物がある。新しい家〈ハクレイじんじゃ〉の蔵で見つけたものなのだが、この書物にはさまざまな言葉とその意味が同じ場所に書かれている。つまり、知らない言葉があればこれで調べられるというわけだ。分厚く重さもかなりあるけれど、役に立つ本だと思う。まだまだわからない言葉が多いので、ここで人間と暮らす以上たくさん知っておかなければならない。
ハクレイのミコに簡単に字を教わってから、手始めに〈かみさま〉と引いてみた。線が複雑に入り組みわけのわからない字(カンジというらしい)が混じっていたので、彼女に読み上げてもらった。
『神(かみ)・・・・・・信仰の対象として尊崇、畏怖されるもの。』
うーん。いまいちピンとこないが、何か〈すごいもの〉というのはわかった。こう見えて、あたしは案外「すごい奴」なのかもしれない。
ついでに〈じんじゃ〉〈みこ〉も調べてみた。
(『ハクレイ』はなぜか載っていなかった)
『神社(じんじゃ)・・・・・・神をまつるための施設。』
『巫女(みこ)・・・・・・神に仕える女性。』
へぇ、彼女はあたしの召し使い的存在らしい。あんなにケチそうなのに、昨日しぶしぶながら泊めてくれたのも納得できる。
辞典をぱらぱらめくっていると、彼女がこちらを振り返った。なにかしてくれるのかな?
「ねぇ、縁側の落ち葉すごいから掃いといて。あと草むしりも」
──ったく、なんであたしが神社の掃除なんか・・・・・・。
竹箒で乱暴に落ち葉を掃きながら、心の中で毒づいていた。ここが神社だって言うからいろいろ世話してもらえる、なんて期待してしまった自分が馬鹿だった。
縁側の開け放たれた戸から、ごろ寝しているケチ巫女が目に入った。美味しそうな食べ物の写真つきの本を読んでいる。
箒を持つ手に力が入る。神のあたしに仕事を押しつけサボっている彼女が許せない。しかし残念なことに、彼女にどうこう口を出せる立場ではない。不満ならどこか別の場所に行ってくれ、と一蹴されて終わりだろう。悔しいのは山々だが、このことについてくよくよ考えたところで事態が変わるわけではない。今やるべきことは与えられた仕事である。早く終わらせよう。