Fate/staynightの衛宮士郎がセイバーに裏切られた話。
4:匿名さん:2019/12/18(水) 18:46 ID:b02 士郎「うっ......ここは?」
士郎は目を覚ました。だがそこは真っ白な空間であった。
???「気が付きましたか?」
女性が士郎に声をかけた。
士郎「誰だ!?」
士郎は女性から距離を取って警戒する。無理もない。ついさっき裏切られたばかりなのだから。
士郎「ここは何処だ!?そしてお前は誰なんだ!!?」
???「落ち着いてください。ここは貴方の願いを叶える聖杯の内部です。
そして私は、解りやすく言えばこの聖杯の意思そのものです。」
女性は士郎に落ち着くよう言いながら、質問に答えた。
士郎「ここが聖杯の中?どうして俺がここにいるのか教えてくれないか?」
士郎は聖杯に『過去に戻る』事を要求した。
だが何故自分が聖杯の中にいるのか理解できなかった。
小話=ここでは聖杯に意思がある設定で通しますので、あしからず。
聖杯「貴方は私(聖杯)に求めました。『過去に戻る』事を。
ですが、それだけでは駄目なのです。
『今』の貴方が過去に戻った所で、同じ轍を踏むだけ。
だからこそ、私(聖杯)は貴方をここに連れてきた。」
士郎「な、何が駄目なんだ?お前は俺に何を求めるんだ!?」
聖杯の言った言葉は正しい。
それを正すために士郎は聖杯の内部に連れて来られた。
聖杯「『今』の貴方は、セイバーに復讐する事しか頭にない。
その状態で過去に戻れば貴方は令呪で自害を強要するのではないですか?」
士郎「っ!?」
図星だった。
そして、急速に頭が冷えていく。
セイバーを自害させた所で、自分の命が危ない事に変わりはないのだ。
ランサー、ライダー、キャスター、アーチャー、バーサーカー、アサシン、金色のアーチャー、
その他諸々、数え出したらキリがない。
士郎「......復讐をするなっていうのか?そんな事を言われても、俺は止めない。」
聖杯「貴方自身がセイバーに復讐する事は否定しません。
ですが、自分の気持ちを整理してから行動してほしいのです。」
そう言って聖杯は
聖杯「だから、今は思いっきり泣いても良いのですよ?」
士郎を優しく抱擁した。
士郎「...!?うっ、ううぅぅぅうぅぅぅぅぅぅぅぅ......!!」
士郎は泣いた。思いっきり泣いた。
何故自分がこんな目に遭わなければいけないのかと、自分は何も間違えていないと、
イリヤスフィールに命を狙われるのはお門違いだと。
そうしていくうちに士郎は泣き止んだ。
士郎「えっと、その...ありがとうございます?」
聖杯「ふふっ、お気になさらず。」
聖杯は微笑み、その後真剣な顔をした。
聖杯「気持ちの整理が着いた今だからこそ言います。
士郎くんはセイバーに復讐をするんですか?」
士郎「復讐はしない。でも、俺はもうあいつと仲良くする気はない。
今度は真っ当な主従関係を築こうと思っている。当然聖杯も渡さない。
私情を挟まず、利用できる時に利用する。それだけさ。」
聖杯「わかりました。では、貴方に力を授けましょう。
聖杯戦争を、この世界で生き残るための力を!」
聖杯は士郎の額に触れて、力と同時に士郎が生き残る上で必要となる知識を与えた。
士郎「っ......これは!?」
士郎は頭を押さえる。
聖杯「貴方の魔術回路の本数を50に増やしました。
そして、貴方は投影魔術が得意のようですから、
幾多の英霊達の武器や技術を貴方の記憶に移しました。
これでうまく立ち回れるはずです。
ただし!体もきちんと鍛えてくださいね!?
体を壊した時に私は責任は取れませんからね?」
謎の圧を感じてそれに頷く士郎。
士郎「...?あれ?」
士郎の体が粒子となって消えていく。
聖杯「どうやら時間のようですね。」
士郎「......そうみたいだな。」
士郎は悲しい顔をしたが、その目には固い決意が宿っていた。
士郎「ありがとう聖杯。お前に会えて良かった。
俺はもう間違えない。必ず生き残って見せる!!」
聖杯「私も士郎に会えて良かったです。貴方の無事を祈ります!!」
聖杯によってやり直しの機会を与えられた士郎は『過去に戻った』。
そして.........
士郎「痛っ!?ここは?......お前は!!?」
???「サーヴァント、セイバー。
召喚に応じ参上した。
ーーー問おう。
貴方が私のマスターか?」
第五次聖杯戦争は幕を開ける
第一部 騎士王の裏切り/衛宮士郎のやり直し 完
『プロフィール』
衛宮士郎
聖杯の力で過去に戻ったセイバーのマスター。
『聖杯の意思』と邂逅した際に、『今』の状態で過去に戻っては同じ轍を踏むだけだという事で、肉体改造的な事を3つされた。
1、魔術回路の本数を50本に増やした。
2、幾多の英霊の武器や技術に関する記録を脳に移された。
3、膨大な魔力を体内に宿した。
セイバーの事は裏切られた事もあり嫌っている。仲良くする気は毛頭ない。
間違いを犯さないために、主従関係を築こうと思っている。恨みはあるが、復讐心はない。
好きなもの 家庭料理
嫌いなもの 梅昆布茶
天敵 言峰綺礼、セイバー、イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、アーチャー
聖杯戦争が終わったら 自分の夢(正義の味方になる事)を実現する
士郎「痛っ!?ここは?......お前は!!?」
士郎は怒りと恨みの感情に囚われそうになった。
だが、それを必死に抑える。
???「サーヴァント、セイバー。
召喚に応じ参上した。ーーー
士郎はこの瞬間に、何度も思った。
あの時の大災害で『あの人』に助けられた頃に戻れたらどれ程幸せだったのかと。
−−−問おう。
貴方が私のマスターか?」
そこは、自分を裏切った英霊と初めて出会う切っ掛けとなった蔵だった。
今更どう思っても遅い。ここからやり直しが始まる。
戦いの火蓋は切って落とされたのだ...。
第2部 裏切者との再会/第五次聖杯戦争、開幕
セイバー「ここに、契約は成された。私は貴方の剣となり、勝利へと導きましょう。」
セイバーは何か言っているが、士郎の耳には届かなかった。
???「何!?クソッ、あの小僧が最後のマスターだったのか!!」
赤い槍を持った男、ランサーが言った。
セイバー「っ!?離れていてくださいマスター!!
貴方の安全のために私はあのサーヴァントを倒す!!」
士郎「あっ...待て!!」
セイバーが離れて、ようやく落ち着きを取り戻した士郎。
しばらくの間セイバーはランサーの槍を捌き、ランサーはセイバーの剣を捌いた。
ランサー「お前、セイバーか?」
セイバー「どうだろうな?これは槍かもしれないし、斧かもしれない。」
ランサー「へっ、抜かせ。」
そして時間がやって来る。
ランサー「悪いが止めを刺してやる。」
その言葉と同時に槍が赤く光る。
ランサー「その心臓貰い受ける!!」
槍は投合され、不可思議な動きをしながらセイバーに当たりそうになる。
ランサー「突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)!!!」
セイバー「躱して見せる...!」
セイバーは躱そうとしたが、
セイバー「グッ...!?」
左肩に命中した。
ランサー「クソッ、仕留め損なったか...!」
槍はランサーの下に戻って来る。
セイバー「今の槍......まさか貴方は、ケルト神話の英雄クー・フーリン!!」
今ここに、ランサーの真名が判明した。
ランサー「ヘッ!今のでバレたか。まだ戦い足りねぇぜ!!...と言いたいところだが、
生憎俺のマスターは臆病でね、暫く戦った後は帰ってこいとの事だ。」
セイバー「逃げるのか?」
セイバーは挑発する。
ランサー「ワリィな。今度会った時は全力ぜ戦うさ。じゃあな!!」
ランサーは霊体化して帰っていった。
セイバーは士郎の下に駆け込む。
セイバー「ご無事ですか?マスター?」
士郎は答える。
士郎「...あぁ、平気だ。」
セイバー「ところでマスター、貴方の名字と名前を聞きたいのですが...。」
セイバーはそう言った後、士郎は迷う。
名前は良い。だが、名字まで教えるべきか?
その迷いを振り払って士郎は答えた。
士郎「......衛宮士郎。俺の名だ。」
セイバー「衛宮?」
セイバーは顔を歪める。
士郎は『やはりそうか』と心の中で呟く。
士郎「...何か不満でもあるのか?」
士郎は問う。
セイバー「っ、いえ、何も...。」
セイバーは少し焦る。マスターに不信感を与えるわけにはいかないのだ。
士郎「そうか...。なら、俺の事は『マスター』と呼んでくれ。
名前で呼ぶと敵マスターにバレるかもしれないだろ?」
セイバー「はい。わかりました、マスター。」
士郎は自分の事を『マスター』と呼ぶように言った。
主従関係を築くため、二度と自分が失態を犯さないようにするための決意を込めての言葉だ。
この二次創作における衛宮士郎の現在。
1、聖杯の加護により力を得た。(>>10参照)
2、前回の士郎は『やり直しなど不可能』だと考えていたが、
セイバーに裏切られた事で、『自身の考えに疑問を抱くようになった』。
3、士郎はセイバーの事を、『聖杯のためならマスター殺しも厭わない外道』と認識している。
>>17 追加
3(追加)最悪の場合は『令呪で無理矢理』従わせようと思っている。
4、士郎とセイバーの『魔力供給ライン』は繋がっている。
士郎「...セイバー、早速だけど頼みたい事がーーー
士郎が何かを言おうとした時、
セイバー「マスター。敵サーヴァントが接近しております。
私は後一度だけなら戦えます。ですので、ここでお待ちを。」
そう言って、セイバーは敵サーヴァントを倒しに行った。
士郎「ッ!?待て、セイバー!!(クソッ、もう来やがったか!?)」
士郎はセイバーを止めるために蔵を出る。
???「グッ!?」
士郎が駆けつけた頃には、赤い外套の男は傷だらけだった。
???「アーチャー!?待ってなさい、今すぐ治療をーーー」
少女は治療しようとする。
セイバー「させるか!!」
セイバーは少女に止めを刺そうとするが、
士郎「止めろセイバー!!止めを刺すな!!!」
士郎はセイバーに止めろと命令した。
セイバー「ッ!?何故止めるのですか!!?マスター!!彼らは敵です!
見逃せば貴方の命に関わります!!」
セイバーは言う。しかし、
士郎「セイバー、俺はまだこの状況をーーー
士郎が何かを言う前に
???「えっ、衛宮くん!?何で!?」
少女は士郎がいる事に動揺した。
士郎「その声は...遠坂か?」
士郎は動揺した振りをする。
少女、遠坂凛は顔を歪める。
凛「まさか、衛宮くんが『魔術師』で、しかも『マスター』だったなんてね。」
その言葉を聞いた士郎は。
士郎「遠坂。セイバーも言ってたが、マスターって何だ?
それと、俺は『魔術師』じゃない。『魔術使い』だ。」
知らない振りをすると同時に、自身が『魔術使い』である事を話す。
凛「...。まぁいいわ。助けられたのは癪だけど、ちょっと家に上がらせても良いかしら?
色々話したい事があるのよ。」
凛は微笑む。(悪い笑顔)
士郎「......好きにしろ。」
士郎は素っ気無い態度で凛を家に入れる。
アーチャー「...?(あの小僧の様子、何かおかしい。)」
アーチャーは士郎を警戒する。
その後、士郎はセイバーと凛に聖杯戦争についての説明を聞いた。
凛「あっ、そうだ。今すぐ私と一緒に教会に来なさい。
『聖杯戦争に参加するのに必要な事』だから。」
士郎「......わかった。」
士郎は露骨に嫌そうな顔をした。
凛「何よその嫌そうな顔は。まさかとは思うけど、
『遠いから行きたくない』とか言うんじゃないでしょうね?」
凛はそう言うが、士郎自身は言峰綺礼に会うのが嫌なだけである。
士郎「ちっ、違うって!?今から行こうと思ったんだ!!」
凛「ふーん。どうだか。」
呆れた表情をして凛は玄関を出る。
その後士郎はセイバーに聞く。
士郎「セイバー、アーチャーがやっていた霊体化はできるか?」
セイバー「申し訳ございませんマスター。ある事情により霊体化できない状態なので...。」
(ここでもか...!)士郎は心の中で愚痴をこぼした。
やっとの思いで教会に辿り着いた士郎達。
凛が教会の扉を開ける。
???「ん?凛ではないか?まさか、もう敗退したのか?」
凛「んな訳ないでしょ!?参加申請してないマスターを連れてきたのよ。」
???「そうか。...どうやら君が最後のマスターのようだね?」
神父は士郎に話を掛ける。
士郎「ッ!!?......あぁ、そうだよ。」
士郎は神父を警戒する。無理もない。
この男はセイバーが自分を裏切る切っ掛けを作った人物なのだから。
???「名乗っていなかったな。私の名は『言峰綺礼』。
『第五次聖杯戦争の監督役』だ。」
士郎「...。」
士郎は名乗る気になれなかった。
ここでも変な事言われるんじゃないかと。
言峰「どうした?何故名乗らない?」
言峰は首をかしげる。
士郎「衛宮...士郎...。」
言峰「衛宮?ほう...君が。」
言峰はにやける。(気持ち悪い微笑みである)
士郎「なぁ、もう帰って良いか?」
士郎は今すぐにでも帰りたいと思っている。
言峰「ん?聖杯戦争のルールは聞かなくて良いのか?」
士郎「遠坂から聞いたから良い。」
そう言って士郎は扉を開けようとすると、
言峰「喜べ少年。君の願いはようやく叶う。」
そんな事を言われたが、士郎はそれを無視して出ていく。
言峰「何故急いでいるかは知らんが、まぁいいだろう。」
言峰は部屋の奥に進んで去っていく。
凛「あら?随分早かったのね?あいつの長話に付き合っていくのかと思ってたわ。」
士郎「いや、早く帰って頭の中を整理したかったからな。」
凛「...そう。なら、早く帰りましょうか。」
そんな会話をしながら住宅街まで来ると。
凛「悪いけど、私はやらなくちゃいけない事があるから。
後、明日からは敵同士よ?それを頭に入れなさい?」
士郎「えっ?なんでさ。二人で協力すればこの戦いは有利に進めるだろ?」
士郎の言葉に凛はため息を吐いた。
凛「あんたねぇ、協力した所で最後は戦う事になるとわかってて言ってるの?」
士郎「あたりまえだ。じゃなきゃこんな事言わない。」
凛の言葉を肯定する士郎。
同じ過ちを繰り返さないためには早めに『同盟を組む』しかない。
凛「わかった。貴方の提案に乗ってあげる。
途中で裏切るようなら破棄させてもらうわよ?」
士郎「あぁ。よろしく頼む、遠坂!!」
会話が終わったその時、
???「ねぇ、話はそれで終わり?だったら、私も混ぜてくれない?」
そこには子供がいた。否、ただの子供ではない。
???「こんばんは、お兄ちゃん。こうして会うのは二度目だね。」
邪悪な笑みをこちらに向けて、幼女(?)は士郎に話を掛ける。
第二部 裏切り者との再会/第五次聖杯戦争、開幕 完
次回
第三部 狂戦士、来襲/セイバー陣営、アーチャー陣営 同盟結成
『プロフィール』
遠坂凛
遠坂家当主であり、アーチャーのマスター。
努力家で周りの人達からは慕われているが、稀にミスをする。
かなりの守銭奴。主な原因は、言峰綺礼と宝石魔術。
魔術師としての弱点は、実戦経験に乏しい事と甘さを捨てきれない事(時と場合による)。
衛宮士郎の事は、話が進むにつれて信頼すると同時に、強すぎる力を危険視している。
『幼少期に家の事情で離れ離れになった少女』に対して複雑な心境を抱いている。
好きなもの 宝石磨き 士郎弄り
嫌いなもの 電子機器全般 予想外の出来事
天敵 言峰綺礼、衛宮士郎(?)、『幼少期に家の事情で離れ離れになった少女』
聖杯戦争が終わったら 時計塔に行って魔術を学ぶ
???「ねぇ、話はそれで終わり?だったら、私も混ぜてくれない?」
そこには子供がいた。否、ただの子供ではない。
???「こんばんは、お兄ちゃん。こうして会うのは二度目だね。」
邪悪な笑みをこちらに向けて、幼女(?)は士郎に話を掛ける。
士郎「ッ!!?(ついに来やがったか!!)」
士郎は目の前の幼女(?)を睨む。
???「『御三家』である遠坂凛もいるみたいだから、自己紹介しなくちゃね。
初めまして、私は『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』。
ここまで言えばわかるわよね?」
イリヤスフィールは凛に目を向ける。
凛「『アインツベルン』!?」
凛は最大限の警戒をする。
イリヤスフィール「そして、これが私のサーヴァント、バーサーカーよ。」
目の前で実体化した偉丈夫はバーサーカーと呼ばれたサーヴァント。
あまりの威圧感に足が竦む二人のマスター。
セイバー「マスター!下がってください、ここは私が!!」
セイバーは既に戦闘態勢に入っている。
だが士郎は知っている。今のセイバーではバーサーカーに勝てないという事を。
戦いが今、始まろうとしていた...!
第三部 狂戦士、来襲/セイバー陣営、アーチャー陣営 同盟結成
イリヤスフィール「じゃあころすね。蹴散らしなさい、バーサーカー!!」
バーサーカー「−−−−−−−!!!」
バーサーカーが接近する。
しかし、
セイバー「はぁぁっ!!」
セイバーは己がマスターを守るために戦う。
セイバー「グッ...!(つ、強い...!?これがバーサーカーの力なのか!?)」
セイバーはバーサーカーに押し負けていた。
士郎「...。(何やってるんだあいつは!?これじゃ、『あの時』と同じじゃないか!?)」
士郎は焦っていた。このままでは『あの時』の焼き直しになってしまうと。
だが、士郎は自身の体の違和感に気付いた。
士郎「(そういえば、いつもより体が軽い?いや違う。力が漲って来る。もしかして?)
士郎は違和感を確かめるために、セイバーに魔力を送り込んでみた。すると、
セイバー「ッ!?(何だ!?突然力が漲って、だが、これでバーサーカーを倒せる!!)
せいやぁぁっ!!!」
バーサーカー「−−−ッ!?」
セイバーはバーサーカーの斧剣を退けるそして、
ザクッ
セイバーの剣がバーサーカーに突き刺さる
凛「やった!セイバーが勝ったわ!!」
凛が勝利を確信した。
イリヤスフィール「......フフッ。」
イリヤスフィールはほくそ笑む。
凛「何が可笑しいのよ?バーサーカーはこれでーーー
凛の言葉を遮る者がいた。
士郎「遠坂。何だか様子がおかしい。」
凛「えっ?それって一体ーーー
凛は全てを言い切る前に、
バーサーカー「−−−−−−−−−!!!!」
セイバー「なっ!?グァァァァァァッ!!!」
セイバーはバーサーカーに突き飛ばされた。
セイバー「グフッ!?」
壁にぶつかり、一瞬動けなくなったセイバー。
イリヤスフィール「まさか、バーサーカーを一度ころすとは思わなかったわ。
でも、貴方達にはこの『ヘラクレス』を倒す事は絶対にできない。
何があっても決してね。」
凛「なっ!?『ヘラクレス』ですって!?『ギリシャ神話』で有名なあの!?」
バーサーカーの真名を聞いて動揺する凛。
士郎「遠坂、知ってるのか?」
士郎は知らない振りをして凛に聞く。
凛「『十二の試練』を乗り越えた『ギリシャ最強の英雄ヘラクレス』、
それがあのサーヴァントの真名よ。」
士郎「...!?」
改めて聞くと、なんて規格外なサーヴァントだと士郎は思う。
イリヤスフィール「それで?まさかこれでお終いとか言うんじゃないでしょうね?」
イリヤスフィールは問う。『続きはまだか?』と。
凛「っ...通じるかどうかわからないけど...!」
詠唱をする凛。ガンドを撃った。だが、
バーサーカー「−−−−−」
凛「嘘......。」
バーサーカーには一切通じなかった。
イリヤスフィール「それで最後?なら、これでサヨナラね。
バーサーカー、止めを刺しなさい。
でも、そこにいる男はころしちゃ駄目よ?」
バーサーカーは二人に迫って来る。
セイバーはマスターを守るため必死に走る。
士郎「(どうすれば良い?『令呪』を使うか?駄目だ、こんな所で無駄遣いしたくない。
『聖杯から貰った力』でバーサーカーを倒す?
これも駄目。遠坂達に警戒されて『同盟』どころじゃなくなる。
こうなったら、これしかない...!)」
凛「きゃっ!?...えっ、ちょっ...衛宮くん!!?///」
士郎は『身体強化』で凛に足払いをした後、横抱きにして全速力で森林が多い場所に逃走した。
セイバー「待ってくださいマスター!ただ逃げるだけでは!!」
士郎はただ逃げているだけではない。
セイバーがバーサーカーと戦えるようにするための時間稼ぎをするために逃走をしているのだ。
イリヤスフィール「っ!?追いなさいバーサーカー!!見失っちゃ駄目よ!!」
バーサーカー「−−−−−ーー!!!」
イリヤスフィールの命令に従い、士郎を追いかけるバーサーカー。
森林内に入った凛と士郎。
しかし、バーサーカーは追跡を諦めず、セイバーは二人に追いつけない。
士郎とセイバーは焦燥に駆られる。
セイバー「(何故だ!?何故『先程の力』が出てこない!?
『あの力』さえあればバーサーカーに追いつくというのに!!)」
士郎「(くそっ!一体どれだけ走ったんだ?それにいつになったらセイバーは来るんだ!?)」
凛「(どっ、どうすれば良いのよ!?いきなり衛宮くんに横抱きされるなんて!?
いつになったら解放されるのよ!?///)」
凛はバーサーカーに追いかけられている事以上に、
士郎に横抱きされる事が恥ずかしくて顔を赤くしている。
士郎は怒りの感情を露にしながら、もう一度セイバーに魔力を回す事にした。
士郎「いい加減にしろよな......。いいからさっさとこっちに来やがれ、セイバー!!!」
凛「...衛宮くん?(何をそんなに怒ってるの?)」
凛は何故士郎が怒っているのかわからなかった。
セイバー「ッ!?(この力...!これならバーサーカーに追いつく事が出来る!!)
やぁぁぁぁっ!!!」
セイバーは自身のスキルである『魔力放出』を発動してバーサーカーに接近する。
バーサーカー「−−−−−−!!?」
バーサーカーは追跡どころじゃなくなった。
セイバーをここで倒さなければ、マスターの命令を遂行できない。
だから、セイバーと戦うしかない。
セイバー「待て...!バーサーカー...!マスターを倒したければ、私を倒してからにしろ...!!」
そういってバーサーカーと剣を交えるセイバー。
バーサーカー「ーーーッ!!」
バーサーカーはセイバーを放置したかった。
だが、邪魔をし続けるならさっさと倒すべきだと判断した。
そこにーーー、
イリヤスフィール「帰りましょう。バーサーカー。
『お兄ちゃん』はまた今度捕らえれば良いんだから。」
バーサーカー「−−−。」
マスターの命令に従い、大人しくなるバーサーカー。
セイバー「バーサーカーのマスター。どういうつもりだ?」
セイバーは警戒する。
イリヤスフィール「別に?これ以上追いかけても
『お兄ちゃん』を捕らえるのは無理だと判断しただけよ?」
そう言った後、バーサーカーの肩に乗るイリヤスフィール。
イリヤスフィール「またね、『お兄ちゃん』。
次会った時は必ず私の『モノ』にしてあげるんだから。」
その言葉を最後に、イリヤスフィールはバーサーカーと共に撤退していった。
『プロフィール』
イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
聖杯戦争が始まる切っ掛けを作った『御三家』、『アインツベルン』に生まれた幼女(?)。
バーサーカーのマスター。バーサーカーの事は全面的に信頼している。
肉体の成長が『第一成長期』で止まっている理由は、
幼少期に行われた『強引な肉体改造』が原因である。
自分を置いて行方を晦ました『ある男』を恨んでおり、
彼の息子である『衛宮士郎』を捕らえて自分のモノにしようとしている。
好きなもの 雪、バーサーカー
嫌いなもの 寒い所、猫、『ある男』
天敵 『遠坂凛が幼少期に家の事情で離れ離れになった少女』、『ある男』、
『金色のサーヴァント』
聖杯戦争が終わったら 『アインツベルン』の悲願である『第三魔法』を完成させる
凛「衛宮くん?ちょっと良いかしら?」
士郎「どうした?遠坂?」
士郎は凛を見る。
凛は顔を赤くしながら笑顔になっている。
凛「いつになったら私を離してくれるのかしら?」
その言葉には怒気を含んでいた。
士郎「あっ、悪い遠坂!今すぐ解放するから!!」
そう言って士郎は凛を解放した。
凛「はぁ...。まったく、今日は散々な一日だったわ...。」
二人とも疲れがたまっているが、凛の方が特に疲れているようだ。
凛「それじゃ、私は家に帰るから、貴方達も早く帰った方が良いわ。
『寝不足で遅刻しました』なんて恥ずかしい事がないようにね。
最後に一つだけ、『明日、屋上で待ってるわ』」。
士郎「えっ?あぁ。わかった、また明日。」
屋上で待っている。その約束を残して、凛は帰っていった。
凛Said
アーチャー「凛。君に聞きたいことがある。」
凛「何かしら?アーチャー?」
アーチャーは実体化する。
セイバーにやられた傷は癒えてきたようだ。
アーチャー「本当にあの小僧と同盟を組む気か?」
凛「?えぇ、そうだけど?何か問題でもあるの?」
アーチャー「っ...いや、何も。」
凛「そう。なら良いんだけど...。(アーチャーの奴、何で衛宮くんを警戒してるのかしら?)」
凛はアーチャーの態度に不信感を抱くが、一先ず頭の片隅に入れておく。
暫く時間が経って、凛は眠りに就いた。
凛Said out
アーチャーSaid
アーチャー「あの小僧は...何か違う...。
あれは私が知る...いや、『オレ』が知る『衛宮士郎』ではない。」
アーチャーは士郎を警戒していた。
何故なら、彼が知る『衛宮士郎』は、『逃走』などという選択をしないからだ。
アーチャー「もっと早い段階で凛に忠告するべきだったのだ...!もっと早くに!」
今更後悔しても遅い。既に凛は士郎と『同盟を組む約束』をしてしまったのだから。
アーチャーSaid out
士郎は自宅でセイバーと話し合いをしていた。
士郎「セイバー。何故全力でバーサーカーを追い越さなかった?
そうすれば早い段階であいつらが撤退してたかもしれないんだぞ?」
セイバー「そっ、それは..。」
士郎はセイバーが全力でバーサーカーを『追い越せなかった』理由を知っている。
ランサーの宝具を喰らって消耗していたからだ。
士郎「はぁ、まぁ良い。次からはこんな失態を犯さないでくれよ?」
セイバー「っ!わかりました、マスター。」
その言葉を聞いた後、布団を用意して寝ようとする士郎。
すると、
セイバー「待ってくださいマスター。寝ると言うのなら、私もここでーーー
士郎「駄目だ。どうしてもっていうんなら隣の部屋にしろ。」
士郎はセイバーと同じ部屋で寝るのは何が合っても避けたかった。
当然だ。こいつは裏切者なのだから。
セイバー「しっ、しかし...。」
セイバーは納得していなかった。
だから士郎は適当に言い訳を言った。
士郎「セイバー。マスターとサーヴァントが同じ部屋で寝るのは如何なものだと思わないか?
それにな、この家には知り合いが『二人』来るんだ。誤解されるのを避けたいんだ。」
セイバー「っ...わかりました。マスターがそういうのなら...。」
セイバーは渋々、といった態度で自分を無理矢理納得させた。
セイバー「(...何故マスターは私に対して強く当たるんでしょうか?)」
セイバーは士郎に不信感を抱く。だが、セイバーは知らない。
『自分がマスターである衛宮士郎を裏切ったという事実を』
聖杯戦争初日、終了。
『プロフィール』
ランサー
真名 クー・フーリン
属性 秩序・中庸 隠し属性 天
地域 アイルランド
出典 ケルト神話、アルスター神話
クラス別能力 対魔力C
保有スキル 戦闘続行A 仕切り直しC 矢避けの加護B
神性B ルーン魔術B
マスター 『魔術協会から派遣された武闘派女性マスター』 → 『八極拳を使う男性』
アイルランド神話『アルスター伝説』に登場する大英雄。
『クランの猛犬』と呼ばれている。『イヌ』と呼んだら怒る。
影の女王スカサハの下でルーン魔術と体術を会得し、魔槍ゲイ・ボルクを授かる。
女王メイヴの策略で誓約を次々と破らされ、最終的にゲイ・ボルクを腹に受けた。
しかし、自分の体を柱に縛り付け最後まで国を守るために戦い続けたという。
宝具
刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)
ランクB 対人宝具
因果逆転の宝具。
『心臓に槍が命中した』という結果を作ってから『槍を放つ』という原因をもたらすことで、
必殺必中の一撃を可能とする。
魔力消費が非情に少なく、マスターのバックアップ無しで七回使用しても問題ない。
回避難易度は非常に高く、幸運ランクB以上かつ『直感』のスキルを持つサーヴァントでも
心臓からズレた場所に命中して致命傷を免れる程度である。
神々が持つ『権能』の一歩手前とされる。
ルーン魔術を使用すればランクAにする事が可能なため、
『ランクA以上でなければ攻撃が通らない』といった敵でも問題なく使用できる。
通称『刺しボルク』
突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)
ランクB+ 対軍宝具
魔槍ゲイ・ボルクの本来の使用方法。
魔槍の呪いを最大限発揮させた上で相手に投合する特殊使用宝具。
威力重視で、炸裂弾のように一撃で一軍を吹き飛ばす。
心臓に当たるわけではないが、何度躱されようと敵を捕捉し続ける特性は維持している。
通称『投げボルク』
好きなもの 気の強い女、無茶な約束
嫌いなもの 回りくどい方針、裏切り
天敵 『金色のサーヴァント』、アーチャー、『八極拳を使う男性』
召喚に応じた理由 強者との戦闘ができるから
聖杯に叶える願い 特になし、本人曰く「聖杯を手に入れてから考える。」
この二次創作に出てきた登場人物の現在の人間関係
士郎 → セイバー 決して信用してはならない裏切者、隣にいるからストレスが溜まる
セイバー → 士郎 何故か自分に対して当たりが強い事に不信感を感じる
士郎 → 凛 聖杯戦争を有利に進める上で最も信頼できる人間、憧れの人
凛 → 士郎 現段階では信頼できないが、同盟を組む相手としては問題無し、
横抱きにされて少し意識するように
士郎 → イリヤスフィール 自分勝手な理由で自分の命を狙う幼女(?)、今回は助けない
イリヤスフィール → 士郎 『ある男』と一緒に暮らしていた義理の弟、嫉妬の対象、
捕らえて必ず自分のモノにする
イリヤスフィール → 『ある男』 自分を置いて行方を晦ました男、大嫌い、
見つけ次第直ぐにころす
士郎 → 言峰 セイバー裏切りの切っ掛けとなった人間、絶対許さない
言峰 → 士郎 『ある男』の息子と知って興味が湧いた
イリヤスフィール → バーサーカー 自分のサーヴァント、全面的に信頼している
バーサーカー → イリヤスフィール 自分のマスター、命に代えてでも守る
士郎 → 『ある男』 自分の夢である『正義の味方』の切っ掛けとなった人物、
今は自分が聖杯戦争に参加する原因になったのではないかと思っている
アーチャー → 士郎 自分が良く知る『衛宮士郎』ではない事に違和感を感じている
士郎 → 聖杯 命の恩人、もう一度会いたいと思っている
聖杯 → 士郎 可哀想な人、彼の救済を望む
凛 → 『家の事情で離れ離れになった少女』 他人という壁を壊して和解したいと思っている
『家の事情で離れ離れになった少女』 → 凛 輝いている姿が羨ましい、
苦しんでいる自分を助けてほしい
士郎「んっ...何だ、もう朝か?」
士郎は悪態を吐きながら目を覚ます。
何やら台所から音がしていた。
音の正体を知るために台所に行くと、
???「あっ、おはようございます『先輩』。まだ寝てても良かったんですよ?」
そこには紫髪の少女がいた。
士郎「...あぁ、おはよう『桜』。台所から音がして目が覚めちまったんだ。」
少女の名は『間桐桜』。ちなみに『先輩』とは士郎の事である。
桜「そうだったんですか...。あっ、そうだ。
料理はもう出来上がっているので、テーブルに置くのを手伝ってほしいです。」
士郎「あぁ、わかった。そんで早く朝食を済ませようぜ。」
そういって桜と一緒に朝食を済まそうとする士郎。
すると、ドタバタと駆け足で家に入って来る女性が来た。
???「おっはよーー!!士郎!!!早速だけど朝ご飯を...ってもう出来てた!?」
桜「あっ、おはようございます『藤村先生』。」
士郎「おはよう藤姉。今日の朝食は桜が作ってくれたんだ。」
女性の名前は『藤村大河』。士郎が通っている学校で英語の先生をしている。
大河「ホント!?ありがとう桜ちゃん!!」
そんなこんなで朝食を済ませた三人は学校へ登校した。
昼休み
士郎は屋上に行くと、既に凛がいた。
凛「あら、遅かったじゃない。もう少し早く来るのかと思ってたわ。」
士郎「わっ、悪い。教室で急いで昼飯食ってたもんで...。」
凛「態々急いで食べなくても...っていうかここで食べていけばよかったのに...。」
士郎の早食いに少々呆れる凛。
凛「ところで衛宮くん。何であそこにセイバーがいるのかしら?
霊体化させて一緒に行動しないのが気になるわ?」
士郎「その事なんだけど、セイバーは『霊体化できない』とか言い出してさ...。」
凛「はぁ!?『霊体化できない』ってどういう事よ!?嘘言ってるんじゃないでしょうね!?」
サーヴァントが『霊体化できない』という異常事態に驚く凛。
士郎「俺だって驚いたさ。でも理由を教えてくれないんだ。それで学校に行く前に家で揉めてさ。」
そう言って士郎は家での出来事を凛に話す。
回想
士郎「セイバー、霊体化できない理由を教えてくれないか?」
セイバー「申し訳ありませんマスター。例えマスターでもこれだけは教える事はできません。」
士郎「そうか...まぁいい(理由何て知ってるけど)。だったら今日どうやって行動するつもりだ?」
セイバー「?マスターと一緒に行動すれば良いのでしょう?」
その言葉を聞いて溜息を吐く士郎。
士郎「あのなぁセイバー。霊体化できないって事は俺の命が常に危険な状態になるって事なんだぞ?」
セイバー「何故ですか?敵が来れば私が倒しますよ?」
怒りを通り越して呆れそうになる士郎。
士郎「セイバー?一緒に行動するのは別に良いが、お前まで学校にいれる訳にはいかないんだ。
何でかわかるか?皆お前の事を始めて見るから注目される。そして俺の事も変な目で見る奴が来る。
どうしてもって言うんなら、学校の屋上で待っていてくれないか?」
セイバー「はぁ...。マスターがそこまで言うのであれば...。」
セイバーは少しだけ納得したようだ。
回想終了
士郎「って訳なんだ。」
凛「...そう。正直な事言っちゃうと、貴方達二人はかなり不利な状況よ?
『サーヴァントが霊体化できない』なんて致命的な弱点を抱えているんだから。」
士郎「わかってる。例え弱点を抱えたとしても、戦うしかないんだからな。」
士郎は既に戦う決意を抱いている。
凛「それじゃ早速なんだけど、同盟を組むなら互いに得意な事をここで話すべきね。」
士郎「得意な事?魔術とか体術を話せば良いのか?」
確認のために聞く。
凛「当然でしょ。どうでも良い話をここでする訳ないでしょ?」
少々呆れた様子で話す凛。
凛「私が得意な事は『宝石魔術』と『八極拳』。
『宝石魔術』は『お父様』から教わって、
『八極拳』はあの『似非神父』...じゃなくて『綺礼』に教わったわ。」
『お父様』とは『遠坂時臣』の事であるが、士郎が彼について知る事はないだろう。
士郎「そうか...。(あの時バーサーカーに撃ったのが『宝石魔術』って事で良いんだよな?
それに『八極拳』かぁ...。だからあんなに動きが良かったのか。)」
凛「ちょっと。本当にわかってるの?」
士郎「わっ、わかってるって!頭の中で整理してた所なんだ!」
怒られそうになったので正直に言う士郎。
凛「私は話したわよ?次は衛宮くんの番よ。」
士郎「あぁ、わかった。俺が得意な魔術は、『身体強化』と『投影魔術』だ。」
その言葉を聞いて凛は驚く。
凛「『投影魔術』?あんた、それ本気で言ってるの!?」
士郎「そうだけど、何か問題でもあるのか?」
前回、凛から投影魔術の欠点を聞いた士郎はもう一度聞くことにした。
不信感を抱かれる訳にわいかないからだ。
凛「良い、衛宮くん。『投影魔術』っていうのはね、基本は儀式の補助に使われるものよ。
仮に完成させたとしても、中身は空っぽで使い物にならない。
それに魔力は気化する上に、世界から働く修正力で長持ちしない。
それだったら、材料をそろえて作った方が効率的だって訳。
つまり、貴方の得意分野が相手に通じないかもしれないって事よ。」
凛はここまで言い切ると一気に不安になる。『同盟組むのやめようかしら』何て事を考えながら。
士郎「でも、俺はランプを投影しようとして全部壊れちゃったけど、まだ残ってるぞ?」
凛「なっ!?ありえないわよ!!?」
士郎の言葉に動揺して混乱する凛。
士郎「そこまで言うなら、学校に帰って俺の家の蔵にあるやつを全部見てほしいんだ。」
凛「わかったわよ。本当に残っているか確かめてやるんだから!」
真偽を確かめるために士郎の家に行く約束をした凛。
すると凛が、
凛「となると、学校で結界を張った犯人は衛宮くんじゃないって事ね。」
士郎「...結界?(そういえば、そんなのがあったな)」
学校に結界が張られていた事を思い出す士郎。(忘れるなよ)
凛「えぇ。学校に入った時に違和感を感じて、その原因を今壊している最中で...。
私は衛宮くんが犯人かと思ってたけど、
『投影魔術』が得意って言った衛宮くんが人体に有害な結界を張るとは思えない...。
という事は、私達以外のマスターがこの学校にいる...?
だとしたら、ここにいる全員の命が危ない!!」
その言葉と同時にーーー、
士郎「何か、周りが赤くなってないか?」
凛「呑気な事言ってる場合じゃないでしょ!?結界が発動したのよ!?早くしないと皆が!!」
『皆』。士郎はその言葉に反応した。
士郎が目指すものは『正義の味方』。何が起こっても絶対に助けなければいけないと士郎は思った。
士郎「ッ!!(絶対に『皆』を助ける...!どんな手を使ってでも!!)」
凛「ちょっ、待ちなさい衛宮くん!一人で先走らないで!!」
凛の静止を無視して結界を張った『犯人』を捜す士郎。
セイバー「待ってくださいマスター!私もこちらに向かいます!!」
セイバーは士郎を追いかける。
アーチャー「(小僧が、私の知る『衛宮士郎』に戻った?)」
アーチャーは相変わらず士郎を警戒していた。
士郎「(そうだった...!こんな時にセイバーを利用しないでどうする!?
俺が一人で先走った所で何が出来るって言うんだ!!?)」
士郎は『また同じ過ちを繰り返す所だった』と後悔する。
今回の戦闘は学校だ。セイバー裏切りの切っ掛けとなった言峰はいない。
つまり、『ここでの戦闘でセイバーを信用しても問題ない』
ならば答えは一つだけ。
士郎「セイバー!俺を抱えてくれ!!弓道場までは俺が案内する!!」
セイバー「ッ!わかりましたマスター!!
振り落とされないようにしっかり捕まっててください!!」
衛宮士郎は初めて、『この世界のセイバーを信用した』。
士郎とセイバーは弓道場に辿り着いた。
士郎「ッ!見つけたぞ......慎二!!」
???「ん?誰かと思ったら衛宮じゃないか。」
この男が学校に結界を張った張本人、『間桐慎二』である。
士郎「慎二、お前が結界を張った犯人なのk−−−−−−
士郎が言いかけたその時、
セイバー「マスターッ!!!」
セイバーが士郎を突き飛ばした。
何者かが奇襲を仕掛けたのである。
慎二「ちっ、当たらなかったか...。ったく『ライダーの奴』。」
二人は聞き逃さなかった。
慎二は『ライダー』と言った。
つまり、ここに『ライダーのサーヴァント』がいるという事。
『プロフィール』
藤村大河
穂群原学園の英語教師、2年C組の担任、弓道部の顧問。
ある者からは『冬木の虎』として恐れられている。
自堕落な姉としっかり者の教師の二面性がある。
教師としては信頼が厚く、生徒の悩みに真摯に受け止める良い先生である。
衛宮邸では自堕落、わがまま、暴君姉として他人を困らせる事が多い。
好きなもの 万物全て、衛宮士郎
嫌いなもの ライオン、『タイガーと呼ばれる事』
天敵 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
最近の悩み 最近夜になると騒がしくなる事