新連載「アルパカさんはエロ漫画を読みたい」
第一話〜崩壊〜
ジリジリ、という聞きなれた目覚まし時計の音で目が覚めた。
眠気と格闘しながら部屋のカーテンをあけると、途端に凄まじい情報量が俺の脳を圧倒し侵食していく。
小鳥のさえずり、もう秋だと言うのに鳴り止まない蝉の鳴き声。
ここは田舎だから、動物の鳴き声や田んぼの緑が外の景色に色を付けているが、果たして都会はどのようになっているんだろうか。
立ち並ぶ高層ビル、通り過ぎる地下鉄の音。
きっと素晴らしい世界なんだろうな、と思い俺は自転車のペダルに足を掛けた。
きゅう「ねえ聞いたよアルパカ、引っ越すんだって?」
アルパカ「ファッ!?」
登校して1番に俺に話しかけたのは幼馴染みのきゅう。
親が弁護士をしている、れっきとしたお嬢様だ。
きゅう「え、知らないの?お父さんが転勤なんでしょ?大変だね、頑張って」
アルパカ「え?え?」
頭が追いつかない。
俺の引越しを俺より先にきゅうが知ってて、理由まで完璧に把握してて___
ぼんやりとした頭で授業を乗り切った。
アルパカ「お母さん、きゅうに聞いたけど俺ら引っ越すの?」
母「...内緒にしようと思ってたんだけど」
アルパカ「は?なんでだよ!?俺そんなに信用ないの?」
母「い、いやそうじゃなくて___」
アルパカ「もういい!お前らなんか大嫌いだ!!」
これまでの幸せな日々が、崩れていくような気がした。
「アルパカさんはエロ漫画を読みたい」
(前回>>729)
第二話〜新たなる出会い〜
それから俺は親と話すことがほとんどなくなった。
とはいえ引っ越しはしなきゃならないわけで、親同士がLINEで繋がっているきゅう以外とはお別れだ。
アルパカ「えー…新しくこの学校に来ました、ユキと言います。前の学校ではアルパカって呼ばれてました、よろしくおなしゃす」
気乗りしない挨拶。
教師「あー…ちなみに私の名前は雪白の林檎。先生って付けなくていいから雪白とでも呼んでね。じゃあ皆、改めてアルパカ君とよろしく!」
教室中「はーい」
キーンコーンカーンコーン♪
はぁ、やっとか。
一時間目から数学とか使うエネルギー多すぎるんだよ…
錆「よお」
アルパカ「え?錆じゃん。久しぶり」
なんと、塾のクラスメイトだった錆太郎だった。
結局錆太郎からどこか遠い別の塾に行ってしまって会えなくなっていたが、こんなところで再会するとは。
錆「つかそんなことよりいつからお前アルパカになったんだよww」
アルパカ「†俺が望んだことだからな…†」
とこんな風に談笑していると。
カチュ「あ、錆さんに…あ…ある…」
錆「アルパカな」
カチュ「アルパカさんやん。はじめまして、僕の名前はカチューシャ。錆さんとは知り合い」
錆「おいこらそーっと逃げんな」
98「いっっった、首掴むな」
カチュ「挨拶しろ」
98「あー、きゅっぱちっす。じゃあまた」
なんだかこっちでもなかなか楽しくなりそうだ。
__引っ越しも、なかなか悪くないかもしれない。