( また時計の鐘が鳴り出した。今は何時だっただろうか。そう思ってどうにか顔を上げてみても、この部屋には時計は無く、音も数えられるほどはっきりは聞こえない。苛立ち紛れに両手を引っ張るが、付けられた手錠の鎖が大きな音を立てただけだった。苛立ちは収まらず、憎悪に満ちた炎を瞳いっぱいに湛えて力の限り暴れようとする。しかし、両手両足が捕らえられている身ではそれも叶わない。自分の耳にも痛いほどの無機質な音が部屋中に響き渡ったところで、はっきりと青ざめた。扉が開いたのだ。目の前の相手の名を、掠れた声ですがるように呟いた )
…り、る