胸の高さまである、岩場があり、その先を覗き込むと、真下は海だった。
真っ黒い海でだった。深い深い海だった。
私はその岩場の上に登った。
なんだかフラフラする。疲れたんだろうけど。
こんな岩場の先までくれば、民宿からもみられることはないし、一人になれる。
寝転がってみた。
寝返りを打てばそのまま海に落ちるほど狭い。
頭の下に手を敷いて、片手で携帯をひらいた。
登録者は2人。
母親と昔の親友。
日にちをみて驚いた。
その日は9月で親友の誕生日だったから。
私は何ヶ月かぶりにメールを送った。
誕生日おめでとう。素敵な1年になりますように!
5分ほどで返信がきた。
ありがとう! 高校生活、お互い頑張ろうね☆
親友はなにもしらない。
私は普通の高校生になってると思っているんだから。
もう何年もあっていないのに、いじめられていたこと知っているはずなのに、いまでも連絡をとれる唯一の友達・・・。
なんだかホッとした。
だから間違えても、連絡したくなかったあの人に・・・メールを送ってしまったんだ。
お母さん、家に帰りたい。もう限界
母からの返信はなかった。
それでも返事を待った。
♪〜♪〜♪〜♪〜
1時間ほど経って着信音が鳴った。
頑張りなさい
メールを読んで携帯を閉じた。
フッと口元が緩んだ。
「あっはっはっはっはっはwww」
笑いが止まらない。
涙が・・・溢れ出した。
そして一瞬で無になる。
気持ちが一気に冷める。
そして子どものように声を出して泣きじゃくる。
わ”ぁー−ん う”ゎぁあ”あ”ーーーーん
落ち着いた。
岩場の上にまた寝そべった。
睨みつけるように空をみる。
夜空には数え切れないほど輝く小さな星たちがいた。
生まれて初めてこんな空をみた。
もっとよくみようと星をみつめる。
目に涙が溜まり、ぼやけてよくみえなくなる。
流れ落ちる涙。拭いても拭いても、溢れてとまらなかった。
「このキレイな星をもっともっとみたいのに・・・!」
そう思えば思うほど、私の涙が邪魔をする。
涼しくなった夜に、私の顔だけが火照り、熱かった。
熱い涙を流した。
どこまでも果てしない海。
ずっとみていたかった・・・。