《ザンッ》
刹那の瞬間に放たれたピエトロの一撃を避け、逆にピエトロの体を蹴り飛ばし、その姿が遥か遠方に飛ばされ、姿が消えた瞬間、蹴りを放った右脚に激痛が走り、血が洪水のように溢れ、右脚に踝から太腿に至る縦に、骨まで届く深い斬り傷が付けられている事に気付く……
どうやらピエトロは蹴られる瞬間にカウンターとして舞綴の右脚に対して左手に纏った白銀の手刃で斬擊を放っていたようだ……
サン・ピエトロ
「……この攻撃の反応速度、一撃の重さ……
やはり、貴方達はただの人間では無いようですね。」
コキコキと首を鳴らしながら破壊された民家の中に舞い込んだ砂埃の中から立ち上がった、あれだけの派手に吹き飛んだにも関わらず全くの無傷といった様子のピエトロが、白い軍服に付いた埃を払いながら、二人の先程からの様子からやはりただの人間では無い事を推測している。
【これでおあいこだと思いますので、お気になさらず〜。】
「づっ!!?―――おのれこの使い切りドレッシングめ、猪口才なっ!右の剣の方に意識を傾けすぎていたか、
反省した…っ!!切り落とされなかっただけマシと思うか…。てゆうかそれ、剣いらなくないか……?」
着地と同時に傷を負ったことに気づき、思わず痛みに声を上げそうになるも、痛覚の電気信号の動きを能力
で鈍化させることにより脳の知覚する痛みを和らげる。同時に、無事な左足に重心を移動させることでバランス
をとり、辛うじて手を地に付けることはなかった。
「かっこつけ優先するからですよ!!このバカ先輩!バーカ!!すぐ治癒の魔法をかけ―――」
亜留羽は慌てながらも舞綴に、本のページをめくり治癒をかけようとする。舞綴の足の傷周りに赤紫色の魔方陣が
浮かび上がり、構築された治癒の術式が指示通りの処理を開始するが……
「―――って、あれ……!?」
―――――だが、おかしい。傷の治りが進まない。いや違う。余りにも遅すぎる(・・・・・・・・)。
「なんで……!?」
亜留羽は舞綴の負った傷の周りを調べてみる。すると、傷周りに付着する"何か"が治癒の魔術に使われる魔力を散ら
して効力を阻害していることを理解する。これだ。この何かが傷の治癒の促進をジャマしている。
「これは、まさか……このっ……!!」
それを押さえ込むように、人一人の傷の治癒には過ぎるほどの追加魔力を注ぎ込んで無理矢理治癒を促進する。
何とか傷の再生が半ばまで進み始め出血は止めることができた。しかし、
「機動力(あし)が半ば削がれたか。無理に速く移動しようとすれば傷が開いてしまうな。チッ……下がっていろ亜留羽」
亜留羽の体を片手で押しのけて下がらせる。フィンガーグローブをはめた両腕をピーカブーの型で構える。自分はコレなの
にあれだけ派手に吹き飛んだ相手は元気なモノだ。
(なにかカラクリは在るはずだ……。まーさか、無敵とは言わんよなぁ。それはない。ま、とりあえず通用しそうな箇所を総当
たりで殴ってみてからだ…、さっきの差し合いを鑑みるに油断さえ無ければ技量速さではこちらが上。
さっきのようなのはそうそう通さん)
【>>666を見て、治癒の阻害はピエトロも持ってると考えての描写ですがこれで良かったでしょうか?】