( / この度は選んでいただきありがとうございます。これからよろしくお願いしますね!、では初回投下させていただきます )
…、
( 古びた城にはあまり似つかわしくないような、そこだけ時が止まったように、ピアノが悠然と佇んでいる。よいしょ、と声を漏らし蓋を開けては、楽しげに椅子に腰掛けて。いつ弾いたかわからない曲、けれど指が覚えていたそれを奏ではじめ。幽霊になっても、ペダルを踏む感覚は愛おしいし、楽器から鳴る音は美しい。小さく体を揺らし、響く音を楽しむように。そういえば、この曲のタイトルはなんだったっけ。確か有名な曲。ああそうだ、春の歌、だ。ここに誰かが来てくれたら楽しいのに、なんて、指先は鍵盤に集中したまま、ちらりと辺りを窺って。 )
>> 演奏を聴いてくださる誰かへ
ふんふんふんふんふんふんふーん、 ふんふんふんふんふんふるるーるるーん
( 多分此処にも慣れてきたし、幽霊さんの顔も覚えた。随分昔から此処に居たのか錯覚するくらいに、城に自分が溶け込んでいるように迷わず廊下を辿り。鼻歌だって歌っちゃう、昨日あの幽霊さんが聞かせてくれたメロディー。何だっけな? 後でちゃんと聞こう。兎に角今は今日の曲を聞きたいな、とこんこんとノックしたのは、日本の国会議事堂みたいに背が高くて年季の入った香りの重々しい扉。扉からはピアノの音が漏れてきていて、少し耳を澄まして。それから音を立てないように、目が覗くくらいに少しだけ扉を開け、目をちょこんと隙間から出し、ピアノの音にぎりぎり埋もれて聞こえないくらいの声を。 )
ピアノのおねーさーん、
>>47 / ピアノのLydiaおねーさん