>>72【こちらこそよろしくお願いします〜】
「あー…クッソ。全然魔人がいねえじゃねえか。」
大都市の道をズカズカ歩き辺りを見回す。
遠くに一人の女性がいて、よく見るとうちの討伐部隊隊員じゃないかと思い
「よう、そっちはどうだ?一人くらい見つかったか?」
と大きめの声で言い相手に近寄る。
「んん……? あぁ、副隊長」
声だけでは誰か判別できず、薄っすらとかかる魔の霧の向こうからくる人影をじっと見る。特にそれのせいという訳ではないのだが、彼女なりに能力持ちの魔人のことを警戒しての反応だったのだろう。
ひらりと右手を力なく上げれば、ぺたりと地面に落とす。その様子からして彼にもわかってくれるだろうか。
「こっちも全くだ、魔人の人影なんて無い……それどころか死体がなぁ」
苦笑いを相手に見せながら、少し空を仰ぎ見る。どうするものかなぁと彼女にしては珍しく考え込み始めた