>>73
「んん……? あぁ、副隊長」
声だけでは誰か判別できず、薄っすらとかかる魔の霧の向こうからくる人影をじっと見る。特にそれのせいという訳ではないのだが、彼女なりに能力持ちの魔人のことを警戒しての反応だったのだろう。
ひらりと右手を力なく上げれば、ぺたりと地面に落とす。その様子からして彼にもわかってくれるだろうか。
「こっちも全くだ、魔人の人影なんて無い……それどころか死体がなぁ」
苦笑いを相手に見せながら、少し空を仰ぎ見る。どうするものかなぁと彼女にしては珍しく考え込み始めた
魔人を一人殺した後、歩みを進めて
「あー…血がべったりついちまったじゃねえか。落とすの面倒くさいんだよなぁ。」
と服についた返り血をしかめっ面で見つめながら独り言のように呟く。
ふと、座り込んでいるような人影を発見しどうしたんだと不思議に思って
「なあ、どうしたんだ?」
とまだ魔人か人間かわからない後ろ姿に警戒しながら近寄る。
>>78
「だよなあ…今日は何処を探し回ってもいねえ。路地裏から広場まで散々探したっつーのによ。」
と疲れ気味に壁に寄りかかる。
「ところでお前、弾丸持ってねえか?昨日使いすぎて無くなっちまったんだよ。」
と弾切れの銃を見せる。