>>193-194
結界ははったがあの程度ならやぶれるだろう。
しかしそう遠くには行っていないはず。
ならば……
あの妖のかおり…?
あいつなら気配を消せるはずだが…。
いや、もしそれだけの力が残っていなかったら。
瀕死の状態だとしたら。
あり得る。
終わってない、が、もうすぐ終わるだろう。
気配が薄くなっていく。
『音もなく忍びは屋根を飛び、項垂れる妖の脳天に槍を突き立てた』
『未だ意識の残る妖は槍と忍びを外そうと暴れ、それを許さぬ忍びは刺した槍を用いて
首の上へと飛び乗り、抜刀する』
忍殺
『槍と刀の血を払い、忍びは帰途に着く
後には首を失い、倒れ伏した雄牛程の妖が残る』
…………(やれやれ…この歳にもなって忍殺とはな)
(滾る血を抑える、老後の運動と言っても限度があるだろう…忍びの悲しき宿命である)