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水鴉
「ヒヒヒ……獲物の横取りはいけないなぁ……いけないいけない。」
水鴉は自分の獲物であると見なしていた桜空に対して悠矢が攻撃を仕掛けようとしているのを察知すると、実体を失い不定形なスライムのようになった体の表面に薄気味悪い笑みを浮かべた水鴉本体の顔が浮かび上がり、悠矢に対して桜空は自分の獲物だと言う。
潜鴉
「地の底には地獄がある。お前も地獄へ招待してやる……」
取引相手の前から姿を消した次の瞬間、相手の足元から潜鴉の両手が突き出し、相手の足首を掴んで地中へ引きずり込もうとする。どれだけ肉体が頑丈でも地中深くへ生き埋めにされてしまえば呼吸することが出来なくなり窒息死してしまう……
潜鴉の異能が適応されるのはあくまでも潜鴉本体だけであるため、直接触れていても相手には地中活動の異能は適応されず、一度引きずり込まれてしまえば後は死体すら残さず地中深くで命尽きる事になってしまうだろう。
異能無しに対しては先程の不意討ちを、
身体強化系の異能者に対してはこの生き埋めを、
この二つの殺害方法によって潜鴉は数多の罪人を葬り、十二鴉にまで登り詰める事が出来たと言っても過言ではない。
氷華
「正義は常に勝利する……
いや、勝利したものだけが正義を名乗れるからか。
敗北した正義は悪となり滅ぼされる。なら……私は誰にも敗れない、絶対正義の存在とならなければならない。」
水鴉と潜鴉は要人である桜空と取引相手の二人を仕留めることを選び、蟲鴉と毒鴉は他の取引現場にいる構成員の殺戮する事を選び、それぞれが廃工場を凄惨な地獄へと変えて行っている中、ビルの屋上で両腕を組んだ氷華は静かにその光景を見ながら小さく呟く。
先に向かわせた雛宮が取引現場にある物を把握し、合図を送るための隙を作り、行動しやすくなるために外道四鴉も向かわせたのだが、自分達が向かうまでもなく、外道四鴉だけで制圧することが出来るのならそれでも構わないと思っている。
悠矢「なぁら半分こにでもするかい?こちとら報酬がかかってんだよねぇ・・・・・♪」
(半分こ、というのは、獲物を二つに切り裂くという意味か、それとも左右、もしくは上下で攻撃する箇所を分けるという意味か・・・・・
いずれにしても正義の名のもとに活動する者の発言とは思えないが、それは水鴉も同じだろう・・・・・)
桜空「かかってこいよ雑魚ども!てめぇらなんか怖かねぇよ!!!!!」
グォッ・・・・・!
(桜空は自分の能力さえあれば、この場から取り引き相手と一緒に捕まることもなく逃亡できると確信している・・・・・
今までだって、裏の世界で生きる立場上、幾度と危機にさらされてきた・・・・・
もっとも、今ほどの危機は経験しては来なかったが・・・・・)
取り引き相手「ほう・・・・・地獄か、見たこともねぇ奴がよくもまぁ軽く言ってくれるもんだ」
(取り引き相手は特に抵抗することもなく、地中に引きずり込まれてゆく・・・・・
普通に考えればこのままだと窒息死する未来しかないが、チップそのものを死守する為に死を潔く受け入れるという最終手段か、それとも・・・・・)
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