氷華
「信念の貫くと言うのは構わない。けれど奪い、壊し、無垢の民を苦しめ、そうするしか生きられぬと言うのなら私は死をもって貴方達をその苦しみと悪徳から解放する、それだけよ。」
《シャッ》
飛ばした氷柱を回避されると、桜空の言葉に返すように、悪は悪、排除すべき害であり、無垢の民を苦しめなければ生きられぬと言うのならば粛清すると応える。
氷華もまた、理不尽な悪によって家族を奪われ、本来ならば目覚めること無く消えていくだけだった殺戮者としての才能を開花させてしまった……この才能も、強力な異能も、決して氷華自身が望んだものでは無かった……
だからこそ自分はこの殺戮者としての才覚と強力な異能を持って悪を根絶し、悪の存在しない世界を作り上げ、自分のように悪に人生を奪われる者がいなくなるようとしている。
端的に言えば"毒を以て毒を制す"と言うべきその思想を、自らの信念として語ると、移動した桜空に向けて振り向き様に右手の手刀を振るい、剃刀のような切れ味を持った氷の斬撃を飛ばして彼を切り裂こうとする……
潜鴉
「ククッ、強がるな……お前が地獄に行くのは既に確定しているんだ。」
出血で失神するのが先か、体力と異能が限界を迎えるのが先か……
もはや自分の勝利は確実なものであると確信した潜鴉は更に手にしたナイフを突き出して今度は隅影の右足を斬り付けようとする。
桜空「無垢の民を苦しめるだと・・・・・?」
グチャッ・・・・・!
(相手の言葉を聞くと、そのまま飛んできた斬撃をもろに肩に受けるも、怯むことなく
「ふざけるな!!!!!お前らはそうやって正義の味方面して、何も見えちゃいねぇ!!!!!奪う!?壊す!?お前らが気づいていないだけでお前らだってそれをしてるじゃねぇかよ!!!!!」と、怒りをぶつける・・・・・
きっと、過去に少年院送りにされた際に、自分を異常者だと冷たい視線を向けた世間のみならず、正義の味方と言いながら悪を排除するだけに徹底し、悪によって全てを奪われた自分のような被害者には見向きもせずに救ってくれなかった人間に対しても、憎悪の念が募っていったのだろう・・・・・
ドゴッ!
(桜空は、怒りで我を忘れ、相手の目の前まで移動すると、そのまま相手の腹部へめがけて拳による懇親の一撃を御見舞しようとする・・・・・
もし、他の仲間が今ここにいたとするなら、目を見開いて驚愕するだろう・・・・・
桜空は、滅多に我を忘れるほど怒り狂うことはないのだから・・・・・)
隅影「それはどうかな?」
バキキッ!!!!!
(隅影は、自身の体の強固さを利用し、地中を砕きながら相手の手を掴む・・・・・
そして、ナイフを掴んで握りつぶすと、次に相手の体をその強固な拳で殴り、更に拳の勢いで殴ったまま地中を掘り進むように砕いてゆく・・・・・)
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