不知火
(あの人…悪を打つためなら何だってするんですね…)
白髪の少年と応戦し氷華が無数の氷雨を廃ビルに打つ。崩れ行く廃ビルの壁を器用に足場にしながら地を目指す。
ふと、屋上を見上げると金色の月明かりに照らされ見惚れるような銀髪をなびかし冷たい眼差しで見下ろす氷華と目が合い心臓がどきりと脈打ち、急いで目をそらす。
(…崩落から運良く逃れることができた悪党らを排除しよう)
どんなやつでも自分の命が大切、廃ビルから出てくると同時に攻撃しようかと考えている…。
>>139(桜空)
《ザシュッ》
氷華の振り下ろした氷剣が桜空の体に右肩から左腰にかけて袈裟斬りを行うものの、自分がダメージを受けることと引き換えに氷華の頭上に瓦礫が転送されると、視線を頭上の瓦礫に向けて氷剣を持っていない左手を即座に翳す。
氷華
「ええ、自分が転移出来るのなら他の物体も転送できるでしょうね?」
《ドガガガガガガガガッ》
空中である事に加えてこれまでのように氷の足場を作って回避しようにも氷の足場を形成した瞬間に瓦礫の山に押し潰されると言うことを悟った氷華は翳した掌から氷塊を撃ち出して瓦礫の山を弾き飛ばそうとする。
また、瓦礫の山に向けて氷塊を打ち出すと、迫り来る地面に対しても同じく氷塊を打ち出し、それを足場として着地する事で落下する距離を縮め、落下の衝撃を緩和させようとする。
譲れない正義がある。
譲れない信念がある。
譲れない理想がある。
不知火も感じたように氷華は自分の理想のためならどれだけの犠牲を払うことも厭わないし、自分が犠牲になる必要があるのならば何の躊躇いもなくそれを選ぶだろう。
『誰もが幸せに暮らせる世界』
そんな夢物語を本気で現実にしようとしている者は狂人にしか見えないのだろうか?正義と呼ぶにはあまりにも稚拙で純粋であるが故に氷華は狂信的とも呼べる狂気を持って戦う。