夕渚「・・・・・氷華、なんか思いつめた顔してる・・・・・」
(そう言うと、両手を下ろして「どうしたの?・・・・・何か、お仕事で嫌なことでもあった・・・・・?」と、氷華の表情の奥底に隠れた氷華自身もよくわからないような感情に、直感的に気がつく・・・・・
こうして毎日毎日病室で過ごしている夕渚には、到底氷華の苦労をわかることはできない・・・・・
そもそも、氷華の立場上、本来ならばこうしてこの場にいることはそもそもないのだ・・・・・
住む世界が違うとはよく言うが、二人の関係は正に友人であると同時にそれに該当する・・・・・)
>>207
氷華
「……………!!」
第三者から見れば氷華は眉一つ動かさずに話しているように見える程、その表情に変化はほぼ無かったものの、その僅かな変化を見逃さずに言葉をかけた夕渚に少し驚く。
彼女は異常に勘が鋭い。他の者であれば見抜けない程の小さな変化にも気付ける……嘘を付いて誤魔化そうとしても彼女は見破るだろう……加えて、滅多に会うことの出来ないと言うことからも、氷華自身は気付けないような変化にも、大きな変化として気付けてしまうのだろうか。
両頬を押さえ、真っ直ぐにじっと自分を見つめる夕渚に対して氷華はまるで氷のように冷たく、深海のように暗い瞳を持って見返す……氷華の体は異能による影響からか少し冷たく、まるで氷像に触れているかのように感じるだろう。
氷華
「……貴方は自分が自分でなくなるような感覚を覚えたことはある……?本当に今此処にいる存在は自分なのかわからなくて……本当の私は実はもう
そして……その事を嫌だとも思わなくなっている自分が……怖い。」
商店街の巨大なバルーンを触れずに瞬時に凍結させたり、直径10m以上もある巨大な氷塊を瞬時に生成してその軌道を自在に操る、圧倒的多数の敵に囲まれた状態でも逆に蹂躙するだけの格闘技術、戦闘能力を持ち、怖いものなど何もない最強の存在である筈の氷華は自分の抱く"恐怖"について話す。
そう語る氷華の顔や声からは明確な恐怖心は感じられない……いや、その恐怖心さえも削れて無くなってしまっている……