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鴉
「………!!?
…………………………。」
桜空が武器のライフルを放り投げ、自身もそれほど強くないと言った事に驚き、あのまま無理難題を押し付けられそうになった場合、護身用に持たされていた拳銃を使って返り討ちに合うことを覚悟して一矢報いろうとしていたのだが、それをする決意や覚悟は桜空の言動によって消えた。
鴉は名も知らない敵組織の人間だ。
だが、彼もまた一人の人間であり、無用な殺生を行わず、自分の優位性を捨て、相手の立場を考えて行動の出来る桜空に一種の感銘を受ける。
鴉(通信先)
『南東地区に水道管の破裂を確認した!そっちの方は大丈夫か!?』
鴉
「……ああ、こっちは何も起きていない、問題無しだ。」
監視員の鴉は無線機から仲間の声が聞こえて来ると、桜空の顔を見て、少し微笑んだ後、無線機を手に取り、仲間に桜空の事を伝えず、異常無しだと答える。
もし、この鴉が無線機を取らずに沈黙していたり、少しでも異常を伝えていれば、瞬く間に鴉の大軍が押し寄せ、異能を封じられた桜空を包囲し、最悪殺害されていただろう……
鴉
「俺は何も見ていないし、此処では何も起こらなかった。」
貸し借りは作らない。
桜空が自分を殺害せずに見逃した事を、自分もまた相手を見逃すことで返すことにした。
桜空から受け取った地図をモニター台近くに設置していた小型のコピー機によって複製すると、それを桜空に渡し、上記を言うと、再び監視モニターの前に移動して行く。
彼の様子から、警報ボタンを押したり、無線機を介した救援を要請するつもりは無いように見える。
桜空「感謝する、じゃあな・・・・・」
(そう言うと、桜空は部屋から出て、地図を見ながら仲間のいる目的地へと目指し、歩みを進める・・・・・
が、同時に鴉のいる部屋には、鉄のような臭いがし始める・・・・・
が、それは鉄の臭いではない、紛れもなく人間の血の臭いであり、桜空がいた場所には、小さな血溜まりができていた・・・・・
自分が来た何よりの証拠になることから、恐らく桜空自身も気づいていなかったと思われると同時に、桜空の体の状態はかなり危険であるということの前触れなのだろう・・・・・)
紀「何してるんです!!!!!私が食い止めていた内に行けばよかったものを!!!!!」
(覚悟を決めて能力行使に出たのに、相手は自分を引っ張ってまで一緒に逃げるという選択をした・・・・・
正直、この程度で死ぬほどやわじゃないと言いたいが、それを言ったとしても相手には通用しないだろう・・・・・
紀は、中川に怒鳴り散らす・・・・・)
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