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《ドスッ》
紀の撃ち出した弾丸は蟲鴉を撃ち抜く前に、視界を覆う巨大な鉄球を喰らう百足達が開けた穴を覗き込んだ巨大な蝗の頭に命中し、蝗の頭の中で弾丸が食い止められる形で防がれてしまう……
水鴉
「ヒヒヒ……お前の相手は俺だァ……!」
《ズズズズズズズズズズズ……》
遂に中川の作り出した壁を通り抜けることに成功した水鴉がスライムのような体を用いて紀を呑み込み、窒息死させようとする。
物理攻撃を無効化する事が出来ると言うその性質上、並大抵の攻撃では水鴉を捉えることが出来ず、その全ての攻撃が無駄な体力の消耗となってしまうだろう……
蟲鴉と水鴉。
どちらも一筋縄では行かない厄介な異能力者達であり、その実力は未だに未知数だ……
桜空「・・・・・そう・・・・・かもな・・・・・夢なんて、所詮は夢だ・・・・・どんなに努力したって、し尽くしたって、叶わない夢はある・・・・・」
(過去のあの日の惨劇が、桜空の脳裏によぎる・・・・・
一度ならず二度までも・・・・・文字通りこの言葉のように、悪は自分の大切なモノを根こそぎ奪っていった・・・・・
桜空自身も悪なんて死ぬほど大嫌いだった、この世から消えてしまえ、跡形もなく、そう思っていた・・・・・
だが、そんな自分を救ってくれたのも、違う形の悪であり、違う角度から見た正義だった・・・・・
言わば、麻間桜空は悪人になったからこそ、今まで生きてこれたのだ・・・・・)
紀「なっ・・・・・!?」
ゴボボッ・・・・・
(紀は抵抗する間もなく、水鴉の思うがままに呑み込まれてしまう・・・・・
必死にもがくものの、もがけばもがくほど息が苦しくなるだけであり、ここから脱出するだなんて夢のまた夢である・・・・・
まさに、絶体絶命・・・・・)
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