>>551
素鴉
「そうだ……だからお前もこれ以上立ち上がる必要はない。」
やはり、身も心も無垢な子供だ。
揺さぶれば直ぐに移り変わる。
だが、だからこそ今ここで己の信念を捨てて楽になる権利がある。
死と言う終わりによって解放される権利がある。
自分はその権利を認め、行使することを許す存在だ……
素鴉はそう考えつつ、子供を殺害することに強い抵抗があるものの、相手と自分の立場を考えた上で処刑することを選び、今度は全体重を乗せた、必殺の威力を持った右ストレートを桜空に向けて打ち込もうとする……
薫
『硬くぶ厚いコンクリートを突き破って伸びる植物のように、踏まれても踏まれても諦めず、無謀な挑戦と言われても頑張り続けられる人は強い。貴方にはそんな人になって欲しいな。』
命を落とす前、薫と桜空が少年院の中庭にあるベンチで日差しに当たりながら一緒に話している時に薫が溢した、桜空になって欲しい人物像について話す……これは少年院に来たときの全てに恐怖し、全てを拒絶していた桜空を知っている薫だからこそ、こう言ったのだろうか?
だが……同時にこれは薫にとっての理想でもあった。
薫は桜空に、何が起きても自分を曲げず、どんな窮地や絶望へ追い込まれても一つの信念を貫ける、そんな真の意味で強い人物になって欲しい、なりたかった……
今は亡き薫の遺志を……桜空はどう受け止めるか………
ドゴォオオッ!!!!!
(素鴉の一撃が、桜空に直撃・・・・・したのではなく、床に直撃し、あまりの勢いに床を凹ませる・・・・・
確かに桜空は軽く脳震盪を起こし、まともに動けなかったはずだ、それにここでは能力も封じられている、もし使えたとしてもゲートが開いていなかったことから、いずれにしても能力を使ったとも考えられない・・・・・)
ドガッ・・・・・!
桜空「悪いが、俺はまだくたばるわけにはいかねぇんだよ・・・・・」
(桜空の踵落としが、相手の後頭部へと直撃する・・・・・
攻撃を受ける場所の問題以前に、桜空の繰り出す攻撃の威力、そして桜空の身体の移動速度ががさっきよりも格段と跳ね上がっているのがわかる・・・・・
かつて恩師が委ねてくれた理想を、桜空は貫き通す時が来たのだと実感する・・・・・)
紀《そ・・・・・んな・・・・・こんなところ・・・・・で・・・・・》
がぼっ・・・・・
紀「・・・・・」
(紀の動きが止まる・・・・・
つい数秒前まで必死にもがいていたのが嘘だったかのように、ピクリとも動かない・・・・・
命が尽きたのか、それとも・・・・・)
>>553