桜空「・・・・・」
(桜空は、認めたくなかった・・・・・
狼谷と一番長い付き合いだからか、桜空自身も心のどこかでわかっていた、狼谷はもう助からないということを・・・・・
だが、薫先生の死という前例があることから、大切な人の死というものを桜空自身がとうしても受け入れたくない、現実逃避をさせようとしていた・・・・・
だが、ここまで来て今改めて思い知らされる、そこにある確かな迫り来る死の気配・・・・・
あぁ、そうか・・・・・またか、と桜空の思考は停止する・・・・・
結局、守る側の立場になっても、以前よりも強くなっても、守れない者は守れない、現実とは非情だ、だが何よりも悪いのは、守れなかった自分自身の無力さだと・・・・・
桜空の顔に影がかかる・・・・・)
>>664、665、666
狼谷
「ははは……何を辛気臭い顔をしてんだよ……?
お前は最善を尽くした、寧ろよく四人もあの場から生存出来たと言ってもいいだろうな……お前は悪くない。」
死の間際にはその者の本性が現れるものであり、その多くは生への執着から醜いものになる事が多いのだが、狼谷は桜空を責めること無く、これまで見たこともない……いや、狼谷自身もした事の無い穏やかな笑みをしながら、恨み言は一切言わずにこの結果は最善のものだった事を言う。
狼谷
「お前はもっと強くなれる。
誰も理不尽な悪に踏みにじられないような世界を…
俺みたいな半端者には出来ない理想を…
お前なら叶えられると俺は信じている…!
だからこそ、こうしてお前に安心して託すことが出来る。」
狼谷はfirstの理念である不殺の信念を認め、桜空の想い描く理想を肯定し、自分の想いを託すことが出来ると言う……
自分はここで命を落とす。
だが、自分のような半端者では叶えることの出来なかった理想を桜空であれば安心して託す事が出来ると言う。